2010年9月4日土曜日

メークが進化、スプレーに 触れずに可能、医療も注目 広がるかエアブラシ

(2010年8月24日 共同通信社)

模型などの塗装に使われるスプレーの一種、
エアブラシがメークの世界でも注目。
肌に手を触れずに、化粧品をむらなく塗れるという特徴から、
ファッションにとどまらず、傷あとのカバーなど
医療分野へも関心が広がっている。

東京ビッグサイトで、今年5月に開催された美容の総合見本市。
大阪のエアブラシメーカー「エアテックス」が主催した
メーク講座には、80人以上が集まった。
化粧水と乳液から始まってファンデーション、チーク、
肌に描いた花の模様まで、ほぼエアブラシだけで完成。
参加者から驚きの声が上がった。

エアブラシは、圧縮した空気の力で塗料を霧状に噴射する。
同社によると、もともと写真修整用器具として開発されたが、
きれいなグラデーションを描けるため、絵画や模型の塗装によく使われる。

ヘアメークの出居沙苗さん(35)によると、
これを化粧に使ったのは、米国が最初。
ハリウッド映画の特殊メークに利用されていたが、
1990年代に一般のメークに転用。

日本で注目されたのは、ここ数年。
背景にはテレビ、映画などのデジタル高画質化がある。
「エアブラシは、液状のファンデーションを薄く均一に
吹き付けることができるため、高画質でもむらが見えにくい」(出居さん)。

ショーの現場では、モデルの脚に暗い色を吹き付けて細く見せたり、
腹筋が割れているように筋を入れたり、といった使い方も。

ブライダル関係者も期待を寄せる。
広い範囲に素早く吹き付けられるうえ、化粧崩れもしにくいため、
背中が大きく開いたウエディングドレスにも向くし、
肌に直接レースやアクセサリーのような模様を描くことで、
"変身"もできる。

実際に体験した女性は、「肌に触られないから、
他人に化粧してもらうことに慣れていなくても、緊張せずに済む」

触らないという特徴は、やけどや傷のあとを目立たなくするための
医療メークの分野でも注目。
医療メーク指導者の育成に取り組む「日本パラメディカル協会」
常任理事の牧野エミさん(52)は、「肌への負担が少なく、
専門の化粧品を使えば、入浴しても落ちない。
数回の講習で、患者さんが自分でメークできるようになる」

空気を圧縮するコンプレッサーは、小さいものでも1kg近くあり、
持ち運びが不便だという課題も。
メーク法を指導できる人材もまだ少なく、
一般ユーザーに広がるには時間がかかりそう。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/24/124413/

におい感じ首振るロボット 生物の仕組み、センサーに

(2010年8月24日 共同通信社)

昆虫が、においやフェロモンを感じる仕組みを働かせた
細胞をセンサーに持ち、においやフェロモンを検出して
首を振るロボットを、竹内昌治東京大准教授(微細加工学)らの
グループが開発、23日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表。

人工のにおいのセンサーは、これまで酸化物半導体を
基にしたものが多く、生物の機能をロボットに応用したのは初めて。

竹内さんは、「口臭や体臭が分かるようにして、
介護に応用するなどしたい」

生物は、細胞の表面にある膜タンパク質の受容体で、
におい物質を受け止める。

グループは遺伝子操作により、カイコガで雌が雄を
おびき寄せるためのフェロモンなど、4種類の物質の
受容体が働くようにしたアフリカツメガエルの卵母細胞を作成。

それぞれの細胞に電極を入れたセンサーを、
ロボットの鼻の部分に取り付け、みけんに開けた穴から
フェロモンやにおいのある液体を入れると、
対応する受容体を持つ細胞が反応し、
首のモーターを動かして左右を向かせることに成功。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/24/124406/

太陽光 反射させ階下へ

(読売 8月23日)

21階建てビルの3階エレベーターホールに立ち、
ビル中央部を屋上まで貫く、吹き抜け空間を見上げる。
高さ約100mの最上部に、丸い鏡がずらりと並び、
太陽光を反射してギラギラと輝いている。

横浜市西区のオフィスビル「みなとみらいセンタービル」では、
吹き抜け空間と鏡を組み合わせて、自然の光を照明に使う
仕組みが本格採用。

「朝から夕方まで、太陽をフルに利用する。
吹き抜けの周囲にある廊下の照明電力を2割減らす効果がある」

建設を手がけた大成建設設計本部シニアアーキテクトの
峰村雄一さん(42)。
ビルが高層になればなるほど、吹き抜けを作っただけでは、
天窓からの光が下層階に届きにくくなる。

同社では、3種類の鏡を使って、各フロアに太陽光を行き渡らせる。
屋上の「1次ミラー」が、太陽の動きに合わせて自動的に角度を
変えながら日光を集める。

その光を反射させ、吹き抜け内へと送り込むのが「2次ミラー」。
吹き抜けの壁に下層階まで細長く張られ、
各フロアに光を届けるのが「3次ミラー」。

1次、2次ミラーは、直径1m20cmの円盤形、16台ずつ設置。
3次ミラーは、表面に細かな突起があるアルミ板、
建物内に柔らかい光を誘導。

この採光システムにより、照明電力が節約でき、
吹き抜けが屋内の熱気を逃がす換気塔の役割を果たし、
大型換気設備を設ける必要もなくなる。

屋上緑化やガラス窓の遮熱化などの工夫で、
ビル全体のCO2排出は同規模のビルより約3割少ない。
ビルは、環境に優しい建物を認証する横浜市の制度で、
最高のSランクを取得。

排出3割減は、様々な省エネ設備の組み合わせで実現、
吹き抜け効果が大きいとまでは言えない。
明るい吹き抜けを見ると、人は気持ちが安らぐ。
自然光を取り入れることは、省エネ効果以上の『効果』がある

今後も、太陽光の可能性を追求していきたい。

◆オフィスビルのCO2排出量

環境省などによると、08年度、オフィスビルなどが排出した
CO2量は2億3500万トン、1990年度比で43%増。
冷暖房や照明、オフィス機器が、ビルのエネルギー消費の約70%。
東京都は、排出削減のため大規模なオフィスビルなどを対象にした
排出量取引制度を、今年4月に導入。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/saizensen/20100823-OYT8T00519.htm

アメフット:スタンフォード大コーチの河田剛さんに聞く(5)

(毎日 8月21日)

スタンフォード大学で、アメリカンフットボール部の
コーチングスタッフとして活動中の河田剛さん(38)。
今季の展望と将来の夢を聞いた。

「今季は勝負」と、河田さん。
スタンフォード大学攻撃陣は、エースランニングバック(RB)の
ゲアハートがNFL入りした以外は、
前季の主なメンバーがほぼ残っている。
クオーターバック(QB)は、プロからも注目される逸材で、
パス攻撃は向上が見込まれる。
しっかりとしたラン攻撃が確立できれば、
「全米王者だって、決して夢ではない」。
ラン攻撃の戦術も担当する河田さんにとって、腕の見せどころ。

河田さんの将来の夢は、日本人のNFL選手を育てること。
「フットボール界のイチローを、世に送り出したい」。
それには、まず米国の大学に在籍してプレーすることが大事。

「今まで日本のチームから、NFLに挑戦してきた選手たちには、
言葉や文化、日本のフットボールへの関心の薄さ、という壁が
立ちはだかっている」
「カナダ人のNFL選手は、現在10人ほどいるが、
ほぼ全員が米国の大学でプレーして見いだされた選手」。

国境を接する同じ英語圏の国で、体格や運動能力の差があまりない
カナダでさえ、自国の大学からNFL入りする選手はほぼ皆無。
日本から挑戦には、もっと大きなハンディがあるのは間違いない。

河田さんは、米国でプレーしたいと思っている高校生や大学生の
サポートが重要。
「例えば、ビザはどうするのか、スポーツ選手の奨学金制度は
どうなっているのか、学費以外の経済的な負担は、
など米国の大学スポーツ事情が具体的にわかっている
日本人はほとんどいない」

高校卒業後の若い選手が留学するなら、
当人だけでなく保護者の理解も不可欠。

河田さんが米国に在住して、いろいろな情報を収集して、
「意志を持った若いプレーヤーを応援したい」
「私自身が、大学のフルタイムのコーチにならなければいけない」。

全米大学体育協会(NCAA)の規則は厳格で、
フットボールの正規コーチは1チーム10人まで。
現在の河田さんの地位は、アシスタント。
スタンフォード大学は名門だけに、NFLでの選手・コーチ経験を持つ
人間が非常に多い。
河田さんも、NFLチームでのスタッフ、そして正規コーチと
ステップアップしていくつもりだ。

http://mainichi.jp/enta/sports/news/20100821mog00m050008000c.html

2010年9月3日金曜日

百寿グループ活躍 三重・津の渡辺さん、25年指導 平均70歳、各地で体操披露

(2010年8月23日 毎日新聞社)

体操で100歳まで元気に--。
「健康体操百寿グループ」の渡辺美代子さん(63)は、
指導者としてグループを25年間引っ張り続ける。

平均年齢70歳というメンバーと一緒に、
全国のさまざまなイベントに参加したり、
老人ホームなどの福祉施設で体操を披露。
「元気な街、津市」をPRしようと、毎日張り切って体を動かしている。

グループは、体操で健康を保ち、医療費の削減につなげようと
84年に発足、現在のメンバーは約60人。

渡辺さんは、知人から依頼を受け、85年から講師を務めてきた。
平日はほぼ毎日、津市内の公民館などで体操やストレッチを教えている。
これまで大きな病気はなく、健康そのもの。

「目標を持つことが大事」と感じ、定期的に福祉施設やイベントで
体操を披露することを企画すると、
メンバーは真剣なまなざしで必死に練習するようになった。

中には、痛み止めを打って参加するメンバーも。
「私自身、メンバーから元気をもらっています」と渡辺さん。
数年前からは、メンバーを連れ、京都や大阪、北海道などで
行われるイベントに参加。

今年は、高知市で行われた「よさこい祭り」に初めて参加。
祭りに向けて行われた練習では、赤いTシャツにピンクのリボンが
付いたヘアバンド姿のメンバーがずらりと縦4列に並び、
両手に持った鳴子を「カチャカチャ」と鳴らして踊っていた。

練習が終わると、メンバーたちが「先生、先生」と渡辺さんの
回りに集まり、会話が弾み、笑顔がはじけた。

25年間、休んだ日はほとんどない。
長く続ける秘けつについて、
「無理なく、ぼちぼちとすること」

グループ名の100歳まで、あと37年。
「死ぬまで先生の指導を受けたい」と冗談を言われるほど、
メンバーの期待は大きい。
「そのためには、私自身が健康でいないとね」と、
晴れやかな笑顔を見せた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/23/124346/

カキいかだヒント、海洋発電の新システム

(読売 8月26日)

海に浮かべたいかだから、ワイヤのように発電装置を
海中に垂らし、波や海流を利用して発電する、
海洋エネルギー発電の新システムを、
広島大大学院の陸田秀実准教授(39)らのグループが考案。

竹製のいかだに、ワイヤを垂らすカキいかだから、
ヒントを得たといい、2011年に広島湾で実証実験を実施、
5年後の実用化を目指す。

力が加わると、電圧が発生する性質を持つ、圧電素子を利用。
陸田准教授らは昨年3月、フッ素化合物で作られた圧電素子を、
0・11mmまで薄くした「圧電フィルム」を、柔軟なシリコンとともに
層状に重ねて、発電の効率を従来の数倍から100倍近くまで
向上させることに成功。

これを束ねて、短冊状の発電装置(縦30cm、横5cm、厚さ5mm)を作り、
ワイヤのようにつないで、いかだから海中に垂らす。

カキいかだの形にしたのは、波の力を柔軟な構造で
受け止められるようにするため。

陸田准教授は、カキいかだの並ぶ、広島湾の風景を
眺めている時に、ひらめいた。
従来の海洋エネルギー発電は、波や渦、潮汐など、
特定の力を利用していたが、すべてを発電に利用できるのが特長。

標準的なカキいかだと同じ縦10m、横20mのいかだ本体に
発電装置を張り付け、さらに長さ10mのワイヤ状につないだ
発電装置を600本下げることで、一般家庭約10世帯分の消費量に相当、
年間4万3800kw時の発電が可能。

発電の効率は、風力発電と同等、費用は太陽光発電の半分程度。
独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」の
先導研究に選ばれ、陸田准教授らは実用化に向けて、
発電用のいかだの試作を進めている。

陸田准教授は、「発電効率の悪かった海洋エネルギー発電の
発展につながる可能性を秘めている。
いずれは太陽光発電などに並ぶほどに普及させたい」

◆圧電素子

力が加えられて生じたひずみを電圧に変換したり、
逆に電圧を加えるとひずみが生じたりする「圧電効果」の性質を持ち、
電子ライターの点火装置や、スピーカーなどに使われる。

駅の改札口に圧電素子を敷き詰め、乗客が改札を通過する際に
生じる振動で、電気を起こす実験が行われ、話題となった。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100826-OYT1T00810.htm

アメフット:スタンフォード大コーチの河田剛さんに聞く(4)

(毎日 8月21日)

スタンフォード大学で、アメリカンフットボール部の
コーチングスタッフとして活動中の河田剛さん(38)。
チームにとって、飛躍の年となった09年について聞いた。

スタンフォード大学のスタッフとなって、3年目のシーズンを迎えた
河田さんの業務は多忙を極めた。
米大学フットボールは、基本的に毎週土曜日に試合があるが、
河田さんがビデオで解析するチームは、
常に2週間先に対戦する相手。

「土曜日に試合が終わった瞬間から、ヘッドコーチ(HC)ら首脳陣は
次週の対戦相手への作戦を練り始める。
その時点で、相手の資料がすべてそろっていなければならない」

対戦校1チームにつき、だいたい4試合分のビデオを見る。
直近の試合はもちろん、前年シーズンに自軍と対戦があれば、
その試合も見る。
自軍と同種の攻撃戦術のチームとの対戦も参考に。
平日は、毎日十数時間モニター画面を見つめ続け、資料を作成。
グラウンドでは、攻撃ラインのコーチや控えチームの
アシスタントとしても働いた。
7月末から、最後の試合があった12月31日まで一日も休みはなかった。

スタンフォード大はこのシーズン、南カリフォルニア大や
ノートルダム大といった名門校から勝利を挙げ、
01年以来、8勝5敗と勝ち越し、ボウルゲームにも出場。
河田さんにとってうれしかったのは、
4年生のエースランニングバック(RB)トビー・ゲアハートの大活躍。

「13試合でラン1871ヤード、28タッチダウン。
いずれも全米1位」
ゲアハートは、大学フットボールの最優秀選手に贈られる
ハイズマン賞の選考でも2位となったが、
1位の選手と28点差は史上最もわずかな差。
ゲアハートを軸としたスタンフォード大のラン攻撃も、
全米1部120校中11位と躍進。
ラン攻撃の戦術担当も務める河田さんにとっても、大きな勲章となった。

http://mainichi.jp/enta/sports/news/20100821mog00m050007000c.html

スポーツ立国戦略:文科省発表 元トップ選手、地域で指導

(毎日 8月27日)

文部科学省は、今後10年間の国のスポーツ政策の指針となる
「スポーツ立国戦略」を発表。

五輪で過去最高のメダル獲得の目標を掲げ、
引退後のトップアスリートが地域の総合型クラブで指導するなどの
施策を盛り込んだ。

今後、戦略をもとに、61年に制定されたスポーツ振興法を見直した
スポーツ基本法の整備やスポーツ庁創設を目指す。

戦略では、国民のスポーツ実施率などを向上させるスポーツ機会の創造、
世界で競い合うトップアスリートの育成・強化、
スポーツ界における透明性や公平・公正性の向上--など
五つが柱になった。

育成・強化面では、ジュニア期からの強化体制づくりを掲げ、
日本スポーツ振興センターの機能強化や、
ナショナルトレーニングセンターのあり方を、
日本オリンピック委員会や日本体育協会などの意向を踏まえて検討。

最近の日本相撲協会の問題を受け、
「一部の団体のガバナンス(統治)に疑問、批判があり、
国民にスポーツ団体全体に対する信頼を失わせる危険性がある」
という指摘を追加。

スポーツ団体の代表、学識経験者らによる有識者会合を設置。
団体の組織や運営体制のあり方についての指針となる
ガイドラインを策定、国からの補助、助成金の内容に反映させる。
==============
◇政府主導の強化、JOCに危機感

国のスポーツ政策の指針が決まった。
文部科学省の「スポーツ立国戦略」。

選手強化について、文科省の外郭団体である
「日本スポーツ振興センター」(NAASH)の機能強化などが盛り込まれ、
JOCなどスポーツ界には、政府主導という懸念が残ったまま。

選手強化について、文科省の7月の原案では
NAASHの機能強化に言及。
JOCは、「選手強化の執行主体はJOC、日本体育協会と
その加盟団体であり、国やNAASHはそれをサポートする立場」
という反発する意見を提出。

最終的な戦略の中で、文科省はNAASHについて、
「支援機能の強化と体制整備」と表現を改め、
鈴木寛・副文科相は、「NAASHが仕切る、と受け止められているようだが、
私にはそういう考えはない」と火消しを強調。

これまで選手強化は、JOCが「ゴールドプラン」などを策定し、担ってきた。
昨年の「事業仕分け」で、JOCへの今年度の補助金は削減、
「マルチサポート事業」という国の選手強化策に、
前年の6倍もの予算が充てられた。

鈴木副文科相は、「マルチサポートを含め、
JOCの実質的な強化費は増えている」、
この事業の主体はJOCになく、市原則之専務理事は、
「金の流れが、力の流れになってくる可能性がある」と危機感。

五輪で過去最多のメダル獲得、という目標を掲げたスポーツ立国戦略。
具体性はまだ未知の世界だが、華々しい目標とは
逆の危機感をもはらんでいる。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/08/27/20100827ddm035050121000c.html

2010年9月2日木曜日

におい検査で早期診断 アルツハイマー病で新手法 鳥取大、治療にも好影響

(2010年8月24日 共同通信社)

物忘れなどの症状が極めて少ない早期のアルツハイマー病を、
においの検査で見分ける手法を、鳥取大の研究グループが開発。


アルツハイマー病に根本的な治療法はないが、
投薬や非薬物療法を早く始めることで、
病気の進行を食い止める効果が高くなる。

アルツハイマー病では、症状が目立たないごく早期から
嗅覚異常が現れることが知られ、
これを応用した検査の実用化が急がれている。

鳥取大グループは、日本人になじみのあるにおいを選ぶなどの工夫で、
ごく早期での病気の判別を可能。

鳥取大リサーチアシスタントの神保太樹さん(生体制御学)、
浦上克哉同大教授(同)らのグループが採用したのは、
ヒノキやメントールなど12種類。

認知症の簡易テストや診察で、早期アルツハイマー病とされた
平均約80歳の早期患者33人と年齢の近い非患者40人で、
におい検査を実施。
早期患者には、脳の画像診断などから病気の有無を確認。

12種類のうち、5種類以下しかかぎ分けられなかった人を、
「異常あり」として判定。

認知症簡易テストでは、30点満点中24点以上とテストでは
病気と判定できない、ごく早期の患者でも、
85%で嗅覚異常が見つかった。

神保さんは、「従来の検査では、判定できないごく早期でも見分けられた。
さらに精度を上げるほか、自費でも気軽に受けられるよう、
安価な検査として実用化を目指している」

※アルツハイマー病

物忘れなどを中心とした認知症の原因の一つ。
脳の細胞が脱落して、記憶や認知機能に障害が起きる。
症状の進行を抑える薬が実用化されているが、
ワクチンなど根本的な治療薬は研究段階にある。
運動や音楽、アロマセラピーを用いた非薬物療法も取り入れられている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/24/124387/

介護予防、筋トレで効果 同世代の社交の場にも 専門家が支援、メニュー調整

(2010年8月21日 毎日新聞社)

できる限り介護の世話にならないようにする「介護予防」。
青森市の高齢者団体では、筋力トレーニングで効果を上げ、
持病や後遺症を抱える会員の多くが、歩行や軽い運動を
支障なくできるようになっている。
所在が分からない高齢者が各地で報告されるなか、
同世代の社交の場としても定着、地域に欠かせない存在。

トレーニングマシンの利用やマットを使ったバランス訓練--。
県立保健大体育館(青森市浜館)は、月曜と木曜の午前中、
「杖なし会」(中村和雄会長)の体力作りの場に変わる。
会員66人の平均年齢は、74歳。
友人と談笑しながら毎回2時間、汗を流す。

約3割は人工関節を入れていたり、後遺症でまひがあったりする。
このため、専門家が支援する。

保健大理学療法学科講師の三浦雅史さん(39)は、
トレーニング全体を指導し、ボランティア約10人が補助。
保健師が血圧や脈拍を測って、体調に合わせてメニューを調整。

3年前、消化器の病気で体重が20kg以上落ちた
遠間正男さん(78)は、「トレーニングが何よりのリハビリに。
最近は、調子がよくて仕方ない」
マシンで腕を鍛えていた石沢トキさん(78)は、
「定年後に歩かなくなったので、5年前に参加した。
みんなで一緒にやるのが楽しい。一人なら続かなかった」

元々、高齢者の筋力向上を目指した04年の県モデル事業。
「手すりを使わず、階段を上れるようになった」などと
報告が相次いだが、3カ月で終了。
初めから期間が決まっていた。

「もっと続けられないだろうか」。
参加者らは、事業の監修者だった三浦さんの協力を得て引き継ぎ、
05年5月に会を設立。

県の事業費はなくなったため、週1回の参加は月額3000円、
週2回は5000円をもらい、運営費を賄う。
年金などから払う人も多く、趣旨に賛同した保健大が
会場を無料で提供。

三浦さんは、「多くの高齢者は、普段は運動をしていないので、
逆に短期間で効果が出る」と分析。
半身まひを克服して、杖なしで歩けるようになった会員も。
80代の女性は体力を付け、10年ぶりにスキーを楽しんだ。

トレーニング後、カラオケに行ったり、飲食したりするグループも。
休んだ友人を心配して自宅へ行き、病気で倒れているところを
発見した会員もいる。

「1人暮らしの会員も多く、常に誰かが気にかけていることは心強い。
所在不明になる会員は出ないでしょうね」
三浦さんが、和やかな口調で断言。

問い合わせは、三浦さん(電話017・765・2082)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/23/124297/

「元気は食から」 スポーツ栄養を"伝道" 立命大教授、海老久美子

(2010年8月23日 共同通信社)

最新の調理器具を備えたキッチンと、ちゃぶ台が並ぶリビング。
「洋と和」の実習室が、妙に落ち着く。
「RecO Studio」と呼ぶ。
「スポーツと栄養」をテーマに、20年以上走り続けた
海老久美子(48)がたどり着いた場所。

「ここが、わたしの聖地になる。
元気は食から。
ここから、発信したいことがいっぱいある」

ことし4月、立命館大は滋賀県草津市のびわこ・くさつキャンパスに
スポーツ健康科学部を開設。
海老は、教授に就任。
実習室の見取り図を、一晩で描き上げた。
食の"伝道"の夢が広がる。

全日本アマチュア野球連盟の選手強化本部医科学部会委員でもある。
全国の高校野球チームに、「食べるトレーニング」を指導する。

海老がアドバイスするチームの一つが、彦根東高。
今夏の滋賀県大会決勝で敗れ、甲子園出場を逃したが、
選手たちはがっしりした体格に変わった。

疲労回復には、運動後1時間以内に食事を取るのが理想だが、
進学校で1時間半~2時間かけて通学する生徒もいる。
練習後、「部活食」でエネルギーを補給することに。
地元の弁当会社が協力して実現した。

鶏照り焼き、エビフライ、マカロニ、ブロッコリー、納豆、
オレンジなど、おかずがぎっしり。
丼飯と豚汁を、選手がお代わりする。
1500~1800kcal。
今井義尚監督(50)は、「栄養とトレーニングが合わさって、
体ができることを実感した」

1985年、大妻女子大で栄養士の資格を取り、日立家電に就職。
自社製品を使い、人前で話しながら料理を作る。
食を伝える「原点」だった。
健康ブームが到来し、転職を決意。
89年、フィットネス関連の人材を派遣するスポーツプログラムスに入社。

最初に栄養管理を担当した社会人野球の名門、
日本生命で洗礼を浴びた。
「若い栄養士が上から物を言って、誰が聞く。
選手となじむことからだ。ジャージーを持って来い」

後になれば、コーチの言葉がありがたかった。
「選手は10本。海老は5本」。
坂道ダッシュが待っていた。
キャッチボールで硬球を取り損ね、おでこにコブをつくって
栄養セミナーを行った。

社会人の選手たちが、ベンチ裏でたばこを吸う。
ショックだった。
「食事の大事さは、もっと小さい時から言わなきゃ駄目だ」
高校野球を中心に見るようになった。

食べ物と体の関係を考える目的で、選手に「調理実習」をさせる。
今でこそ好評な試みも、20年前は理解されなかった。

四国の高校で、猛反発に遭う。
選手の父親がかみついた。
「包丁を持たせるために、子どもに野球をやらせた覚えはない。
あんたが東京でやっていることが、どれだけ社会的に意味があるか
わからないが、うちの嫁だけにはしたくない」。
実習を断念。

「野球道具」として食のテキストが必要だと、出版社に売り込んだ。
2000年シドニー五輪で野球日本代表をサポートし、
翌年に高校球児のための「野球食」を出した。
食べる力が練習を乗り切る体をつくり、野球を強くする-。
「野球食」の提言をデータで実証するため、
40歳を前に甲子園大大学院に入学。
日本高野連の依頼で、甲子園大会出場チームの栄養実態も調査。

▽プロの責任

06年、国立スポーツ科学センターの契約研究員に採用。
さまざまなスポーツの第一線に携わるチャンスを得て、
北京五輪を担当。

活動範囲は広がる。
理事を務める日本スポーツ栄養研究会が主管し、日本栄養士会と
日本体育協会の共同認定による「公認スポーツ栄養士」の育成事業
08年にスタート。

昨年、自らも第1期の認定を受けた。
ことし6月、同研究会の取り組みが評価され、
秩父宮記念スポーツ医・科学賞奨励賞を受賞。

海老は、「公認」の意義を強調する。
「スポーツ栄養士を名乗った人はたくさんいる。
でも、専門家では意味がない。
専門職として資格を持つことが大事。
栄養のプロとして仕事をすれば、責任も伴う。
スポーツの現場と同じ言語、同じ意識で話せる栄養士が育ってほしい」

▽おいしい栄養

「スポーツと栄養」の将来像は?
「今までは栄養素ありき。
栄養が先に出て、義務感になりすぎていないか。
おいしいスポーツ栄養を目指していきたい。
自分にとって豊かで、おいしいと思える食事で
体をつくって強くなってもらいたい」

これまで、トップアスリートが対象だった。
誰でも年を取る。
食事への意識も高まる一方だ。
これからは、健康であるための「スポーツと栄養」をどう形にして、
提供してゆくか。

マスターズに参加するような元気なお年寄り、引退したトップ選手が
健全な一般人として、体を維持してゆくための食生活も考えてあげたい。
野球を愛する大人のための「野球食シニア」も書きたい。
アイデアは際限ない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/23/124353/

アメフット:スタンフォード大コーチの河田剛さんに聞く(3)

(毎日 8月19日)

名門校スタンフォード大学で、アメリカンフットボール部の
コーチングスタッフとして活動中の河田剛さん(38)。
09年、米大学フットボールの伝説的名コーチ、ルー・ホルツ氏の下で、
スタッフとして働いた際の話を聞いた。

日本でアメリカンフットボールが始まってから、09年で75周年。
これを記念して、「09年7月、米国フットボール界随一の伝統校
ノートルダム大OBチームを招へい、日本代表が対戦」。
08年秋のこと。
ノートルダムOBチーム「レジェンズ」を、ヘッドコーチ(HC)として
率いることに決まったのがホルツ氏。

ホルツ氏は、33シーズンにわたってHCを務め、通算249勝。
率いた6大学をすべてボウルゲームに導き、ノートルダム大時代は
86年から11シーズンで100勝を挙げ、88年には全米王者。

ノートルダムでの12年目のシーズン前、同大学の名コーチだった
ヌート・ロックニーの記録105勝を抜かないため、
あえて勇退したといわれる謙虚な人柄もあり、
米国フットボール界の尊敬を集める指導者。

記念試合の話を聞いた河田さんは、
「当初は、日本代表のためになにかしたい、と考えた」
オフシーズンでも、スタンフォード大体育局の業務があった河田さんは、
代表チームに貢献するのは無理。
「それなら、本場のフットボールを日本のファンに見せることも、
日本に対する貢献だ」

頭を切り替え、今回の試合のために特別に結成される
ノートルダム・レジェンズのスタッフに応募することに。

人を介して履歴書をノートルダム大に送ったところ、
数日後にホルツ氏本人から手紙が。
そこには、「我々のチームにようこそ」という内容。

さっそくレジェンズのミーティングに参加した河田さんだが、
米国人コーチングスタッフは攻撃陣に厚く、守備が若干手薄だったため、
河田さんはスタンフォード大での役割と同じ、
ビデオによるプレー解析に加え、専門外の守備も担当。

「72歳のホルツさんが集めたコーチングスタッフは、
皆さん有名な方ばかりで、比較的年配ぞろい」
高齢者がコンピューターを操作するのは苦手、というのは、
米国でも日本とあまり変わらず、
「コンピューターを使用するコーチ業務が、私の元に集中する結果に」

河田さんは、日本代表チームについての情報がほとんどない
スタッフのため、07年ワールドカップ(W杯)での日本戦3試合などを
ビデオで繰り返し再生、攻撃・守備双方の偵察レポートを作成。
200ページに及ぶ守備のプレーブック(戦術書)も作成。

09年7月25日、東京ドームで行われた試合。
河田さんは、「スポッター席」と呼ばれる観客席最上部の席に陣取り、
戦況を分析。
サイドラインの守備担当コーチと無線機でやりとりした。
「守備コーディネーターだったゲーリー・ダーネルさんの英語は、
テキサスなまりがひどく、しかも興奮しているから
正確に聞き取るのに苦労した」

前半、日本の選手交代で入るユニットのメンバーから、
特定のプレーを割り出したときには、ダーネル氏から称賛。

試合は、19対3でノートルダム・レジェンズが勝利。
日本代表はタッチダウンを奪えず。
第3クオーター、ノートルダムDLハズブロックが日本のQB菅原を
エンドゾーン内でタックル、セーフティーで2点を奪うなど、
レジェンズ守備陣が日本の攻撃陣を圧倒し続けた。

「ダーネルさんが試合後、私に『TK(河田さんの愛称)、
スコアボードを見ろ。これは、ディフェンスウインだ。胸を張れ』と
声をかけてくれた」

ホルツHCからは試合後、こんな手紙をもらった。
「親愛なるTK、もう少し英語が上達すれば、コーチとして素晴らしい
未来が待っている。
もし私が(コーチとして)復帰するようなことがあれば、
必ず君のためにコーチの座を用意しよう」

「ホルツさんからの手紙は、私の一生の宝物」

この試合から半年近くたった09年シーズンのオフ。
ダーネル氏と、アシスタントヘッドコーチを務めたビル・ルイス氏から、
別々に同じ内容のメールと電話があった。
「次の仕事、どうするんだ?スタンフォードにいられるのか?
無理だったら、いつでも相談しろ」
河田さんの才能を評価してのことだった。

http://mainichi.jp/enta/sports/news/20100819mog00m050014000c.html

2010年9月1日水曜日

実感する理科(4)専科教員、校内に「博物館」

(読売 8月21日)

放課後、杉並区立井荻小学校の理科室は、
児童が自由に出入りし、授業とは違った活気に包まれる。

図鑑に見入ったり、骨格標本や磁石で連結する
原子模型に夢中になったり、集まる児童の目的は様々。
理科室前の廊下には、キアゲハの幼虫やカブトムシ、
ヤゴ(トンボの幼虫)の入った水槽もある。

「先生、これすごいでしょ」
校庭に通じる入り口から、児童が持ってきたのは
猫じゃらし(エノコログサ)。
穂先が三つに割れている。

理科室に常駐する理科専科教員の古野博教諭(47)が、
「珍しいね、どこで見つけたの。
ほかにもないか探してごらんよ」と促すと、
児童は再び校庭にかけ出した。

ミニ博物館のような理科室を作った古野教諭は、
「何かに興味を持ち、寄ってくれたらうれしい。
目指すは、『知の駄菓子屋』」

古野教諭は、科学教育の普及に努めるNPO法人「ガリレオ工房」
の会員で、月1回の研究会に顔を出し、
授業で使える実験や教材などの情報交換。

理科室には、科学関係の児童書が集められ、
学校の蔵書と古野教諭所有分を合わせて約150冊。
窓越しに表紙が見えるように並べられ、ショーウインドーのよう。

自由に触ることのできる魚の解剖模型や科学教材も陳列。
廊下に並ぶ生き物は、地元のNPO法人「すぎなみ環境ネットワーク」の
協力で集められた。
顕微鏡も、「たとえ壊れても、戸棚の奥に眠っているより
毎日使った方がいい」(古野教諭)と貸し出し。

科学教育の振興・推進を掲げる杉並区は、
今年度から理科専科教員の積極的配置を始めた。
理科好きな児童を増やすため、体験重視の教育環境を作るのが狙い、
区内43小学校のうち、理科専科教員は23校25人。

専科教員は、基本的に担任を持たず、授業に専念できる。
井荻小の理科室は、この余裕から生まれた。
古野教諭は、「授業で教える内容は、最低限の範囲なので、
もっと知りたい児童の受け皿として、理科室を生かした。
安全に注意を払いつつ、児童が自主的に使えるようにしたい」

◆理科専科教員

08年、科学技術振興機構などが行った
小学校理科教育実態調査によると、約27%が理科専科の
教員を配置。
専科教員は、音楽、家庭科など実技系教科に置かれることが多い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100821-OYT8T00149.htm

アメフット:スタンフォード大コーチの河田剛さんに聞く(2)

(毎日 8月17日)

米国きっての名門校スタンフォード大学で、
アメリカンフットボール部のコーチングスタッフとして
活動中の河田剛さん。
今回は、春のキャンプや2年目のシーズンについて聞いた。

08年、河田さんの2年目のシーズンは、春季練習から始まり、
3月、渡米しチームに帯同。
春期練習は、全米体育協会(NCAA)のルールで、
練習は15回に制限。

春季キャンプの締めくくりに、チームを二つに分けた
スプリングゲーム(日本で言う紅白戦)が行われる。
ヘッドコーチ(HC)は中立となり、口を出さず、
残りのコーチ陣が2チームに分かれて戦う。

選手は、2チームによる『ドラフト会議』で、
どちらかに振り分けられる。
ドラフトは本格的で、コーチミーティングで、
指名選手の決定や相手チームとの駆け引きなど、戦略を立案」

このドラフト会議は、12回目の練習終了後に開かれ、
50人まで選手が指名。
残りの選手は、ポジションを考慮して振り分けられ、
13、14回目の練習では、紅白それぞれのチームとして練習。

「試合は、1クオーター12分(通常は15分)。
勝者は、試合後のバーベキューで肉を食べ放題、
負けたチームは、ホットドッグ一つだけ」

試合は有料で公開、チアリーダーやマーチングバンドも登場。
この時期、プロフットボールNFLや大学フットボールは
完全にオフなので、試合に飢えているファンの高い関心を呼び、
名門大学の試合は8万人以上の観客が集まる。

この紅白戦を通じて、河田さんが感じたことは、
「彼らはなんでも本気になって、そして勝ちたがる」

春期練習後、河田さんはビザの関係でいったん帰国、
7月に再渡米。
この年から、河田さんはスタンフォード大学体育局全般の
仕事にも携わるようになった。

シーズン中は、フットボールが最優先だが、
オフに他のスポーツの裏方として働いた。
「チケットの販売や、マーケティングなど。
雑用でも、なんでもこなした」

08年も、チーム内での河田さんの仕事は同じで、
ビデオによる相手守備の解析と、ランニングゲームの作戦担当。
前年は、米国人スタッフをサポートするのが主、
この年は、自分の担当する部分は専任。

チームは、5勝7敗でシーズンを終えた。
前年より1勝多かったとはいえ、終盤の3連敗が痛かった。
スタンフォード大学の攻撃部門のランキングは、
NCAAの1部校120大学中、67位。
河田さんの担当するラン部門は、20位と上位に食い込んだ。

09年シーズン前、河田さんに新たな出会いがあった。
米大学フットボールの伝説的名コーチ、ルー・ホルツ氏の下で
働く機会を得たのだ。

http://mainichi.jp/enta/sports/news/20100817mog00m050016000c.html

歩き遍路で糖尿病克服…徳島

(2010年8月20日 読売新聞)

「歩き遍路」で、運動習慣を身に着けよう--。
四国の霊場巡りで、糖尿病やメタボリックシンドロームを克服する
ツアー「ヘルス・グリーン・ツーリズムin徳島」を、
徳島県などの実行委が企画。

県民には、山道もあって距離が長いツアーを用意、
10日から申し込みを受け付け始めたが、応募はまだ3人。
県はPRを強め、参加を呼びかけている。

徳島は、人口当たりの糖尿病死亡率が1993年以降、
2007年を除いて都道府県で最も高いため、
県と、県医師会の「糖尿病対策班」、徳島大開放実践センター、
県観光協会が協力。

歩き遍路と、ヘルシーメニューを取り入れたツアーで、
糖尿病患者らに運動習慣をつけ、食生活を改善してもらおうと考えた。

実行委は、県内の糖尿病患者らを対象にした
歩行距離12kmの「ツアー1」と、県外の糖尿病患者らも参加できる
一般向けの短い(6km)「ツアー2」を設定。
両ツアーとも、医師や保健師が同行、途中でバスも利用し、
塩分やカロリーを抑えたヘルシー弁当を食べ、
夜には阿波踊り体操も行う。
参加費は2万円、それぞれ定員25人、超えれば抽選。

ツアー1は10月29~31日、鳴門市の一番札所「霊山寺」から
十七番札所「井戸寺」まで山道も歩くコース、
9月5、19両日に開く健康セミナーを受講するのが参加条件。
ツアー2は11月5~7日、霊山寺から八番札所「熊谷寺」まで歩く。
ミカン狩りやコンニャク作りも体験。

ツアー2は和歌山、広島両県といった県外客などの申し込みが
8件あったが、県民のみのツアー1の申し込みは3件(各1人)だけ。
県は、「ツアー終了後も、運動習慣として身に着けてもらえるよう、
健康セミナーも開く。
糖尿病克服のため、ぜひ参加を」、
市町村役場や県医師会にも申込書を置いてもらう。

申し込みは、県ホームページでダウンロードできる申込書に書き、
実行委にファクスか郵送。
問い合わせ、健康増進課内の同実行委(088・621・2208)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/20/124279/

南部どり美容液商品化 大船渡のアマタケ

(岩手日報 8月27日)

大船渡市のアマタケ(甘竹秀企社長)は、
自社ブランド鶏「南部どり」から抽出したコラーゲンを使用した
ジェル状美容液の商品化を発表。

マーナーコスメチックス(本社千葉県、井田勝康社長)が開発協力、
藤沢町の化粧品工場で製造。
消費者に、南部どりの魅力を幅広く伝える手段とする考え。
同町のマーナー社くりこま高原藤沢工場で記者発表。

「南部どりモイスチャージェル」は、南部どりから抽出した
水溶性コラーゲンのほか、鶏由来ヒアルロン酸、ビタミンC誘導体、
くりこまの天然水、抗炎症効果があるグリチルリチン酸2K-を配合。
無添加で、年齢を問わず、若々しい肌を保てるなどの効果がある。

2年前から研究を始め、化粧品開発には約半年かけた。
井田社長は、「1万点を超える化粧品をつくってきたが、
これほどのコラーゲン入りは初めて」
1個50gで5千円。

9月からアマタケのホームページで販売、同社のイベントなどで紹介。
初回生産量は3千個。

甘竹社長は、「化粧品を通じて、安全とおいしさに絶対的な自信がある
南部どりの良さを、多くの人に知ってもらいたい」

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e201008/e1008271.html

2010年8月31日火曜日

実感する理科(3)OBの経験 若手教師へ

(読売 8月20日)

1人に1台割り当てられた顕微鏡を使って、花や微生物を観察、
屋外の流水実験装置では、浸食の様子を見る。
徳島県阿南市科学センターで行われた、小学校の理科の授業。
指導するのは、定年退職した理科の先生たち。

同センターは、鉄筋一部3階建て、延べ床面積2754m2。
理科学習などに使う「体験館」と、口径113cmの大型望遠鏡がある
「天文館」がある。
通常の博物館と違い、小中学校の理科の授業ができるよう、
展示物や機器などが工夫。

同市では、市町村合併前の那賀川町だった1997年から、
全小学校の4~6年生を対象に、同センターを拠点とした
理科学習を行ってきた。
今年度も、送迎バスの費用400万円を市が負担、
市内22小学校の児童が、学級単位で年間約100日通う。

指導員は、団塊の世代以上の元中学校理科教師3人。
最年長は、館長代理の山川茂則さん(70)。
研究員や学芸員とともに、施設を使って授業や教材の
研究開発をし、今年度は、新学習指導要領の授業案作りに協力。

この日、訪れたのは、同市立羽ノ浦小学校5年2組の29人。
山川さんら指導員が授業を行い、
担任の吉田玲子教諭(53)は補助役に。
縦10m、横1・5mの流水装置を使った浸食実験で、
子どもたちは、「カーブの外側が削れていく!」と、
川の蛇行の仕組みを実感していた。

センターを利用した小学校教師に行ったアンケートでは、
「丁寧な指導で理解が深まる」、
「教師側にも発見があった」と好評。
山川さんは、「大型実験装置とともに、
指導員の経験がセンターの魅力」と胸を張る。

「まず実験ありきでは、子どもは興味がわかない。
なぜという好奇心を大切に」
杉並区の済美教育センターで開かれた「授業塾」。
講師を務める元理科教師の松岡正子さん(61)が、
7人の小学校教員に呼びかけた。

松岡さんは、区の理科巡回指導員として、区内の小中学校を回り、
理科室の器具の配置や授業について助言。
授業塾は、若手が学べる機会が少ないとの松岡さんの指摘により、
同区が今年度から始め、2月まで計8回を予定。

松岡さんは、実際の授業では時間配分や失敗しやすい点を考えること、
電気回路のショートによるやけどなど、安全に気を配ることも注意。
高井戸東小の満留友樹教諭(27)は、
「実験の経験が少ないので、勉強になった」と満足。

「若手に伝えたいことは色々あります」と松岡さん。
ベテランならではの細かな心遣いで、現場を支える。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100820-OYT8T00176.htm

アメフット:スタンフォード大コーチの河田剛さんに聞く(1)

(毎日 8月16日)

スタンフォード大学といえば、ハーバードと並び称される
米国きっての名門私立大学。
鳩山由紀夫前首相やルース駐日米大使もOBの同大学は、
学業水準だけでなく、スポーツでも全米屈指のレベル。

スタンフォード大学のアメリカンフットボール部で、
一人の日本人がコーチングスタッフとして活躍中。
河田剛さん。
「昨シーズン、チームは8年ぶりに勝ち越し、
ボウルゲームにも出場しました」
河田さんは今、日本人の選手や指導者の中で、
米プロフットボールNFLに最も近い存在。
9月から始まる4年目のシーズンを前に、
今季の抱負や、自身の夢を聞いた。

河田さんは1972年生まれ、埼玉県の出身。
城西大学でフットボールを始め、社会人の
リクルート・シーガルズ(現オービック)でもプレー。
ポジションはオフェンスライン(OL)、
シーガルズ時代はライスボウル(日本選手権)3度優勝、
第1回ワールドカップで、日本代表が優勝した際のメンバー。
03年シーズンで引退、04年から3年間シーガルズのコーチ。

河田さんが、米国でコーチをするきっかけとなったのは、
05年春、NFLのアトランタ・ファルコンズの
新人キャンプを訪れたこと。
96~97年、シーガルズでコーチをしていたロバート・プリンス氏が
前年の04年、ファルコンズのコーチに就任。
昔教えていたシーガルズの選手・コーチに、
「キャンプを見に来ないか」との誘い。
河田さんは、2回渡米、合計2週間ほどキャンプを見学。

当時、ファルコンズのヘッドコーチ(HC)だったのは、
就任2年目の若手理論派ジム・モーラ氏。
「モーラさんは、NFLの各チームから、優秀なコーチを集めて
チーム作りをしていたので、私はそこで当時のNFL最先端の
技術や理論を目の当たりに」

ゾーンブロックの指導では、NFL随一のアレックス・ギブス氏、
ウェストコースト攻撃の専門家グレッグ・ナッブ氏、
現レイダースHCのトム・ケーブル氏など、そうそうたる顔ぶれ。
モーラ氏は、練習を公開するのを好まないため、
見学を許された部外者は河田さんを含め2人だけ。

「幸運なことに、05年8月、ファルコンズは来日、
プレシーズン戦を東京で戦った。
その際、1週間チームに帯同することができた」
合わせて3週間の経験が河田さんを、
コーチとしての新たな領域に踏み切らせた。

ファルコンズのキャンプが河田さんにもたらしたのは、
技術や理論だけにとどまらない。
トップ級のコーチたちとの人脈ができたのだ。

NFLのフォーティーナイナーズでも活躍したクリス・ダルマン氏が、
07年、母校スタンフォード大学のコーチとなった際、
河田さんに声をかけた。
ダルマン氏は河田さんと年齢が近く、
現役時代のポジションも同じOL。

プロのコーチとして生きていく目標を立てていた河田さんは、
春にさっそく渡米。
NFLのスター選手だった新任のジム・ハーボウHCに、
無給のボランティアとしてチームの手伝いをしたいと申し出た。
勤めていた会社を辞めると、大学近くに住んでいた
日本人の知人に同居させてもらい、「コーチ修業」を始めた。

日本で大学、社会人とステップアップし、さまざまなフットボールを
体験してきた河田さんだが、本場の名門大学で目にしたのは、
まったく違うものだった。

毎日が驚きの連続。とにかくスケールが違った。
アウェーの試合で、敵地に移動するとき、
市内から空港まで警察のバイクが先導、赤信号でも止まらない。
空港でも、チーム専用機の横まで移動し、
乗り込む際に身分確認を受けるだけ」。

試合開始前のロッカールームには、「毎回、新品のチームロゴ入り
キャップ、ポロシャツ、チノパンツがコーチ・スタッフ全員分ある」

極めつきは、スタジアム。
ライバル校との対戦では、南カリフォルニア大学の本拠地
メモリアルコロシアムでは9万3000人、
UCLAの本拠地ローズボウルスタジアムは9万1000人。
「ブーイングで、すぐ隣にいるコーチと会話ができないほど」

「TK」というニックネームで呼ばれるようになった河田さんが、
チームで与えられた役割は、ビデオで対戦相手の守備を解析。
「最初の3カ月が勝負だ、と思って馬車馬のように働いた」

ビザの関係で、シーズン中の10月に一度日本へ帰国、
その際に「TKがいなくて不便だな」、「戻ってきてくれないと困るな」と
思わせなければいけない。

毎日10時間以上、対戦相手の試合のビデオを
1プレー1プレー精査する日が続いた。
シーズン中は無休、朝6時に起きてすぐオフィスに向かい、
帰宅は12時過ぎ。
オフィスに泊まり込むこともしばしば、睡眠時間は3~4時間。
「『誰もができることを、誰にもできないくらいやる』をモットーに、
米国人スタッフの倍は働いた。
未婚で家族がいなかったので、時間はあった」

作業スケジュールを図表化したり、データをグラフ化したりと、
ちょっとした部分で工夫を重ねていった。

河田さんの努力は認められた。
ハーボウHCは、シーズン終了後、河田さんをオフィスに招き、
「来年は、スタッフとして働くためのビザ獲得をサポートしよう」と
言ってくれたのだ。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/08/16/20100816mog00m050008000c.html

「ロボスーツ」リハビリ支え、医療・介護に導入進む

(2010年8月20日 読売新聞)

人の「意思」で動くロボットの利用が、
医療や介護の現場で広がっている。

ロボットスーツ「HAL(ハル)」の訓練施設が、つくば市にオープン。
最先端技術がリハビリをサポートするのは、
サイボーグ世界をほうふつさせる。
励みにつながる意外な効果もみられる。

飯能市の飯能靖和病院で、両脚にHALを装着した男性(75)が、
かすかなモーター音とともに、段差10cmの階段で
上り下りを繰り返した。
「階段を上れるようになるとは思わなかった」とうれしそう。
見守る医療スタッフから、「すごい」と歓声。

男性は、4月に脳卒中で左半身がマヒ。
5月下旬、HALを取り入れたリハビリを始めた。
座ったまま足を曲げ伸ばししたり、立つ座るを繰り返したり、
段階に応じて新しい動きに挑戦。

練習を積んできた男性は、「最初は、HALに引っ張られるような
感じだったが、今はつえをつきながら歩けるように。
日本が作った最先端のロボットを、着けられることもうれしい」

リハビリを担当する大沢愛子医師(35)は、
「HALで動けるようになると、つらいリハビリにも希望が持てる。
ロボットを使える楽しさも大きい」

HALは、全国の病院や介護施設など37施設で導入。
筑波大の山海嘉之教授(52)は、
「人生80年、身体機能低下の傾きを、少しでもなだらかにし、
元気で暮らせるようになればいい。
将来的には、家庭で使えるようにしたい」

山海教授が社長を務めるベンチャー企業「サイバーダイン」は、
障害者らがトレーニングできる施設を、つくば市に開設。
理学療法士らがサポート、症例を集めて今後に生かす狙い。

茨城県は、生活支援ロボットの開発を促そうと、
約1億6000万円で30体を導入。

県立医療大では6月から、脊髄損傷で車いすを使っている人や、
脳卒中でマヒが残る人など10人に装着。
着脱の難しさや費用などの面で、課題もある。

同大の居村茂幸教授(61)は、「マヒで必要以上に、
緊張した筋肉に対応困難な場合がある」と指摘、
利用者の視点を生かしながら、細かい症状に対応できるように研究。

日本は、介護ロボットの分野で、「世界市場を獲得する」を目指す。
大手自動車や家電メーカーなども、相次いで参入。
経済産業省は、「高齢化社会で、介護ロボットは大きな意味を持つ。
ニーズも高い」(産業機械課)、
普及のため、安全基準づくりを進めている。

◆HAL

サイバーダインが、09年発売した世界初の福祉用ロボットスーツ。
体を動かそうとするときに出る微弱な「生体電位信号」を
センサーでとらえ、モーターを動かして手足の動きを
サポートする仕組み。
動きたくない意思が伝われば、その動きも止まる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/20/124277/

月内に基礎工事完了へ 約半年間の「難作業」 新大船渡魚市場建築工事

(東海新報 8月26日)

大船渡市で進めている新大船渡魚市場建築工事は、
難作業とされていた埋め立て部分での基礎工事が、
今月末で完了する見通し。

今後は、荷さばき所の床となるコンクリート打設が行われ、
10月以降、柱や梁などの設置に入る予定。
工期は来年3月まで、市では工事の進ちょく状況を見据えながら、
12月までに最終的な判断を固めたい考え。

新魚市場は、県が大船渡漁港広域漁港整備事業として、
岸壁建設や用地造成を行った敷地内に、市が中心となって建設。
築40年以上が経過、老朽化が進む現魚市場に代わる施設を
整備することで、衛生管理の高度化や水揚げ増強、
地域活性化が期待。

基礎工事では、敷地内の広範囲を掘削し、打設した杭上に
「フーチング」と呼ばれる杭や柱などをつなぐ基礎の一部や、
地中梁を整備する必要。

海水が浸透しやすい土砂が多く含まれ、予想以上に浸透率が
高いことが着手前に分かり、2月に開かれた市議会臨時会で、
変更承認議決を得た。

建築工事費は、設計変更の結果、当初より約3億4000万円増え、
46億4800万円。
3月、特殊な井戸とポンプを使った水位低下工法が本格化。
海水侵入を防ぐ矢板を二重にする施工も行った結果、
埋立地内の水位は平均で80cm低下。

想定した水位までは下がらなかったため、地中梁の形状変更や、
海水侵入を防ぐ鋼製型枠の導入などで対応。
「難工事」の問題点を克服しながら、作業を進めてきた。

結果、地中梁やフーチング整備などの基礎工事は、
今月中に完了する見通し。
ポンプによる水位低下策も終了。
すでに一部で始まった地中梁の間に土砂を埋め戻す作業や、
荷さばき所の床となるコンクリート打設完了は、9月末を見込み。

10月以降、柱や梁といった〝立体的”な整備が始まる。
県外の工場で製作された柱などが運ばれ、現地で組み立てる方式。

工期は、今年2月の時点で当初計画よりも6カ月延長、
来年3月25日まで。
設計変更した3月以降も、新たな改善策に迫られるなど、
一部関係者から遅れを懸念する声。

市魚市場建設推進室では、「ほぼ順調に整備は進み、
工期内完成に向けて努力しているが、今後の天候などによって
工程が左右されることも。
現在、全体的な施工計画を精査している最中で、
12月議会をメドに、最終的な方向性をまとめたい」

現在整備している荷さばき場や管理事務所の完成後は、
現魚市場施設を解体。
跡地に、サンマ水揚げなどに対応する南側岸壁を整備する予定、
完成は24年度中。

http://www.tohkaishimpo.com/

2010年8月30日月曜日

実感する理科(2)授業の技学び苦手克服

(読売 8月19日)


新学習指導要領で、新たに明記された発光ダイオードを使った
小学校教師向けの実験講座が、東京学芸大学で開かれた。

プラスチック板にアルミテープで配線、発光ダイオードや
電池とつなげること約20分。
最後にスイッチを入れ、赤、緑、青色の光が重なって白色になると、
参加した小学校教師ら8人から、「おおっ」と感動する声。

「光の3原色を確かめることが、新指導要領の言う
『実感を伴った理解』につながる。
装置を作ることで、満足感も得られる」
実験キットを開発し、この日の講座で講師を務めた
鎌田正裕教授(51)。

同大は、現職教員を対象にした指導力向上講座を年間通して実施、
実験講座は、その一環。
07年度から、「太陽と月・星の働き」、「生き物のくらしと環境」、
「地質野外観察会」など、教員アンケートで苦手意識の高かった
分野についての講座を開設。

苦手意識の背景には、教科書に載っている地層や生き物が
身近になかったり、教員自身が教え慣れないことがあった。
講座では、水槽の作り方や多摩川での地質観察会を盛り込み、
安全で失敗が少なくなるよう工夫。

講座をとりまとめた松川正樹教授(59)は、
「子どもの理科嫌いを減らすには、実験や観察で
興味を持たせることが大切。
先生の苦手意識克服は、最初の一歩です」

千葉県の市原市立牧園小学校で行われた、
川の中の「生命のつながり」を学ぶ公開授業。

顕微鏡で、メダカや微生物を観察する様子を、
新任教師約20人が見学。
教壇に立ったのは、同県が認定する理科の達人の1人である
荒木正範教諭(39)。

同県は、今年度から小学校の理科、音楽科、図画工作科で
「魅力ある授業づくりの達人」事業を始めた。
優れた教師を「達人」認定し、公開授業や近隣校で指導、
授業の技を伝えようという試み。
達人認定されるのは、教職経験が約10年以上。
各教育事務所管内で3人程度。

この日の公開授業では、授業の進め方や板書の書き方を
まとめた指導案も配られた。
授業後の質疑応答では、荒木教諭が、
「実験は、準備と片づけの段取りが重要」、
「虫の名前など、教科書以上に詳しい子どももいるが、
実際に見せて感じさせることが大切」などと、授業のコツを披露。

授業の技を伝授する取り組みが広がっている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100819-OYT8T00162.htm

メンデルの法則 優性遺伝子から「劣性」抑制物質…奈良先端科学技術大学院大

(2010年8月19日 読売新聞)

両親から受け継いだ遺伝形質のうち、片方だけが子に表れる
「メンデルの優性の法則」が起きる新たな仕組みを、
奈良先端科学技術大学院大のチームが、植物の研究で解明。

優性遺伝子が、劣性遺伝子の働きを抑える物質を作り出して
優位に立っている。
19日の英科学誌ネイチャーに掲載。

優性の法則について、機能が一部欠損している遺伝子が
劣性になる例は多く報告。
アブラナ科植物の自家受精を防ぐための遺伝子では、
劣性は、優性と機能の違いはないのに、形質が表れない。
高山誠司教授らは、劣性遺伝子の働きを調整するスイッチ部に、
「メチル化」という化学変化が起きて、働かなくなる仕組みを見つけ、
2006年に報告。

樽谷芳明研究員(現・国立遺伝学研究所助教)らと研究を進め、
詳しいメカニズムが今回、判明。
優性遺伝子に隣接する遺伝子から、「低分子RNA」が作られ、
劣性遺伝子のスイッチ部に取り付くことで、メチル化を誘導。
劣性遺伝子の働きが1万分の1以下に抑えられ、
形質が表れないことを確認。

高山教授は、「低分子RNAを操作することで、
有用なのに表れない劣性遺伝子を働かせたり、
不要な優性の形質を抑えたりでき、
農作物の品種改良につながるだろう」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/20/124280/

岩手の参入を承認 プロバスケbjリーグ

(岩手日報 8月27日)

日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)は、
2011年10月に始まる11~12シーズンから、
本県に本拠を置くチームが新規加入すると発表。

東北からのbjリーグ加入は仙台(89ERS)、
10~11シーズンから参入する秋田(ノーザンハピネッツ)
に続き3チーム目。

新規加入は、岩手プロバスケットボール設立準備発起人会
(龍沢正美代表)が目指していた。
今月10日、リーグ本部へ申請書類を提出し、
現地視察や審議を経て決定。

同会の龍沢代表は、「郷土のチームとして、
県民から応援していただけるようまい進したい」
チーム名や監督、選手などはこれから決める。
10月中にも運営会社を立ち上げ、スポンサー獲得などの準備を進める。

盛岡市の県営体育館をホームアリーナに検討、
龍沢代表は、「県内6市の体育館で興行をしたい」

同リーグは、男子のプロバスケットボールリーグ。
11~12シーズンから岩手のほか千葉、神奈川、長野のチームが
加わり、計20チームで優勝を争う。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100827_1

ゲーリッグは「ゲーリッグ病」ではなかった?

(2010年8月18日 読売新聞)

メジャーリーグの往年の名選手ルー・ゲーリッグが
発病したのは、その名をとって「ゲーリッグ病」と呼ばれる
難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)ではなく、
別の病気だった可能性があるとする見解を米研究者がまとめ、
18日発行の米医学専門誌で発表。

米ボストン大学のアン・マッキー准教授らは、
頭部に衝撃を受けやすいスポーツ選手や兵士などに、
ALSと診断される人が多い点に注目。

ALSと診断されて死亡したアメリカンフットボール選手2人と
ボクサー1人の脊髄を分析、2種類の異常なたんぱく質が
蓄積しているのを見つけた。
このたんぱく質が神経の働きを妨げ、全身がまひするALSと
症状が似た別種の病気を引き起こしたとみられる。

鉄人と呼ばれたゲーリッグは、けがで欠場しないことで有名、
当時はヘルメットが普及しておらず、頭にボールが当たり、
意識を失ったことが何度かあった。
ALSと診断されて引退、1941年に37歳で死亡。

マッキー准教授は、米メディアに「ゲーリッグが発症したのは、
度重なる脳しんとうなどが原因となったこの病気。
ALSではないだろう

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/18/124148/

2010年8月29日日曜日

実感する理科(1)業者の研修 実験に自信

(読売 8月18日)

ブロッコリーの花芽をはさみで切り、バラバラにしてすり鉢でつぶす。
食塩水など数種類の溶液に溶かした後、
エタノールの入った試験管に流し込むと、細い綿のような繊維が現れた。

「白い濁りが、遺伝子であるDNA(デオキシリボ核酸)。
試験管へ入れる際に、泡立てないのがコツ」

最先端の理科実験出前授業などを手がけるリバネスが、
札幌市内で開いた無料研修会。
白衣のスタッフの説明を真剣にメモする7人は、中学・高校の教師たち。

研修で紹介したDNA抽出実験は、20分足らず。
教師から、「DNAだと証明するには?」、「ほかに使える材料は?」
といった質問が相次いだ。
札幌市立八条中の伏見和弘教諭(40)は、
「新しいテーマをどう取り上げるか、ヒントを得た。
身近な材料で、実験ができそうです」と満足げ。

新学習指導要領で、中学3年で遺伝子の正体がDNAである、
と触れるようになった。

同社は事業PRを目的に、無料研修会を2003年から関東、関西で
開いているが、今年から教員の要望に応え、
回数を昨年の4回から12回以上にし、沖縄、北海道など開催地も増やす。
沖縄では、小学校の教師も加わり、参加人数は定員の20人を上回った。

学校教育用理科機器メーカーなどで作る日本理科教育振興協会は、
実験器具や教材を授業で広く使ってもらおうと、
「小学校教師のための理科実験セミナー」を、大阪教育大学で開いた。
新学習指導要領に盛り込まれた新しい内容に焦点を絞った内容で、
約30人が参加。
参加費は1000円、すぐに授業で使える教材など“おみやげ”もいっぱい。

6年で習う「電気の利用」に、新たに盛り込まれた手回し発電機の実験も紹介。
大阪市立酉島小学校の坂本拡介教諭(29)は、
「手回し発電機は、学校に大量に届き、困っていた。
これで、学校へ戻ったら、先生方に指導できます」

新学習指導要領では、40年ぶりに実験・観察の時間が増え、
年間にすると、小学校で約1・2倍(55時間増)、
中学で約1・3倍(95時間増)に。
09年度、自公前政権下の超大型補正予算で、理科設備費として
小・中・高校1校当たり約100万円が支給。

具体的な指導方法については、現場に委ねられ、戸惑うケースも少なくない。
実験・観察が多く盛り込まれ、「実感の伴った理解」へ向けた、
理科教育の各地の取り組みを報告する。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100818-OYT8T00190.htm

糖尿病関係のたんぱく質、神経伝達物質で脂肪調節…阪大など解明

(2010年8月19日 読売新聞)

糖尿病などに関係するたんぱく質「PPARγ」に、
神経伝達物質セロトニンが結合すると、
脂肪蓄積の調節などが進むことを、
大阪大などの研究グループが解明。
幅広い糖尿病治療薬の開発が期待、欧州の科学誌に掲載。

PPARγは、脂肪酸と結合すると活性化し、糖の分解を行い、
体重のコントロールや血中の糖の量を調節するきっかけとなる働き。

現在の糖尿病治療では、この後、インスリンの機能を
コントロールする薬を投与する。

研究グループは、たんぱく質などの結晶にX線をあて、
セロトニンも脂肪酸と同じように、PPARγにくっついていることを発見。
脂肪酸が結合した時と同じ働きをしていることを突き止めた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/20/124281/

外国人向け日本語学習テキスト出版 元IBC戸田さん

(岩手日報 8月25日)

米国ケンタッキー州在住、元IBC岩手放送アナウンサーの
戸田信子さん(一戸町出身)らが、外国人向けの
日本語学習テキスト「ビギニングジャパニーズ」を執筆、
米国タイトル社から出版。

平泉や弁慶など岩手の歴史も取り上げ、戸田さんは、
「語学だけでなく、日本の文化に興味を持つ入り口にしてほしい」

ケンタッキー州日本語協会会長を務める夫のネイセン・パットンさんと、
現地で日本語教師として働く仲間2人との共著。
英語と日本語で書かれている。

テキストは、主人公となる人物が日本各地を旅しながら、
日本語を学習していく内容。
イラスト入りの物語を読み進めながら、
会話の中に登場する単語や漢字を学習できる。

主人公が平泉を訪れる場面もあり、弁慶との会話を通じ、
侍や家来などの日本独特の文化や武士の服装なども紹介。

戸田さんは、結婚を機に2000年に渡米。
フリーアナウンサーとして活動を続けながら、
03年から同州の3大学で日本語の講師を務めている。
テキストも、一部の大学で使われる。

既存のテキストは、文法や漢字の読み書きを重視したものが多く、
「学生の目線に立って、日本の歴史や文化を紹介した
ガイドブックのような本を作りたかった」と執筆の理由。

テキストに登場する会話や単語を吹き込んだCD付きで、
自ら例文も吹き込んだ。
自分を通じて、岩手を発信できたらという思いがいつもある。
日本語教育の現場から、岩手や日本をもっと知りたいと
思うようなきっかけづくりができればうれしい」

日本からは、インターネットなどで購入できる。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100825_4

経済連携、年内合意へ 12億人市場のインドと 車、電機の輸出拡大 アジアの成長取り込む

(2010年8月18日 共同通信社)

日本とインドが、両国間の貿易、投資などを自由化する
経済連携協定(EPA)の締結で、年内にも合意に達する見通し。

経済発展が著しく、中国に次ぐ人口12億人を抱える
大市場インドへの自動車・同部品、電機製品などの
輸出増加を通じ、日本の成長促進が期待。
日本のEPA締結は12件目、民主党政権になってから初めて。

菅政権は、EPAによりアジアの新興国と経済的な一体化を進め、
アジアの勢いを日本に取り込むことを、
成長戦略の柱の一つに掲げている。

インドに続き韓国、ペルーなどとも交渉を急ぎ、
EPA網を拡大したい考え。

インドとの交渉では、難航していた日本国内の
医薬品認可手続きの簡素化、
インドの自動車部品の関税引き下げなどで、
双方が歩み寄ったもよう。

9月、両国の事務レベルで詰めの協議を行い、
今秋に予定されているインドのシン首相の訪日時に、
菅直人首相との首脳会談で大筋合意を目指す。

外務省によると、日本の貿易額に占めるインドの割合は
約0・9%(2008年度)にとどまる。
インドでは、日本の自動車メーカーなどが生産拠点増強を図っており、
EPA締結で、日本から資材や部品を輸入する際の関税が
下がれば、メリットは大きい。

インド側は、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の
対日輸出の増加などを期待。

09年末、当時の鳩山由紀夫首相がインドを訪問、
シン首相とEPAの早期締結へ交渉を加速することを確認。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/18/124123/