2009年2月7日土曜日

早食い防止:一口30回かんで健康に 唾液分泌…肥満、脳の老化、虫歯予防

(毎日 2009年1月30日)

慌ただしい現代社会、急いで食事をかきこむ癖のついた人は多い。
早食いは健康に良くないと聞く。
早食いの影響や、ゆっくり、よくかむためのアイデアを調べた。

◇時間かけて食事 歯ごたえある食材利用

大阪大の磯博康教授(公衆衛生学)らは、30-69歳の男女3287人を対象に、
早食いと肥満の関連を調査。
早食いで満腹まで食べる人は、そうでない人に比べると、
肥満度を示すBMIが25以上の「肥満」になるリスクは約3倍。

人は食事をすると、血糖値が上昇し、満腹中枢が刺激されて食事をやめる。
早食いの人は、満腹を感じる前に多く食べてしまうため、
エネルギー摂取量が多くなる傾向。
磯教授は、「早食いと怒りや疲れなど精神的ストレスも関係。
慢性的にストレスを感じている人は、高カロリーの食べ物を好む傾向」

埼玉県戸田市文化会館で、65歳以上の男女11人がリズムに合わせ、
口をとがらせたり、すぼめたりする運動。
頬の筋肉を動かすなど、12種の動きを取り入れた「お口の健康体操」。

指導する埼玉県歯科医師会の白根雅之・歯科医師は、
「よくかむと、あごの骨や筋肉が動いて血液循環が良くなり、
脳細胞の動きが活発になり、脳の老化を防ぐ。
口に入れた食べ物が小さくなるので、のどに物が詰まりにくくなり窒息予防に」
参加した女性は、「毎朝、食事前に体操している。
口の周りが軽くなり、おいしく食べられるようになった」

体操には、あごの下の唾液腺を刺激する運動を取り入れている。
唾液に含まれる酵素「アミラーゼ」は、でんぷんを分解し、胃腸の負担を減らす。
口の中の汚れを洗い流し、歯の表面をきれいにする。
口の中を常に中性に保とうとする作用も。
唾液は、かめばかむほど出る。

ハンバーガーやカレー、牛丼、ラーメンなど軟らかく、食べやすい食事は、
忙しい人にはとても便利。
日本咀嚼学会元理事長の斎藤滋さんは、時代とともにかむ回数が
どう変化してきたかを、当時の食べ物から推測。
現代人が1回の食事でかむ回数は、弥生時代の6分の1以下、
食事時間も5分の1。
戦前と現代を比べてもかむ回数、食事時間とも半分以下に減っている。
出版社「学校食事研究会」は、よくかむことの効能を八つ掲げ、
それぞれの頭文字をとって「卑弥呼の歯がいーぜ」とのキャッチフレーズ。
弥生時代後期の女王、卑弥呼にちなんだ。

毎日の食事で、どうやって早食いを防止すればいいか?
(1)一口で食べる量を少なくする、
(2)30回かむ、
(3)一口飲み込むごとに、はしを置く

メニューから工夫することも。
歯ごたえのあるレンコンやゴボウなど、食物繊維の多い野菜や小魚を加えたり、
白米に玄米を混ぜるのがお勧め。

「会話を楽しみながらゆっくり食事をすると、親近感も深まる。
子どものころから身につけることが大切」
……………………………………………………………………………………
◆よくかむと期待できる8大効用
◇ひ 肥満予防=少量で満腹感が得られ、ダイエットに
◇み 味覚の発達=食べ物本来の味が分かる
◇こ 言葉の発音はっきり=あごが発達し、歯が正しくはえ、かみ合わせが良い
◇の 脳の発達=脳細胞の動きを活発化。ぼけ防止にも
◇は 歯の病気予防=唾液がたくさん出て歯周病や虫歯を予防
◇が がん予防=唾液には発がん物質の働きを抑える物質が含まれる
◇い 胃腸快調=よくかむほど消化酵素がたくさん出て、胃腸の負担を軽減
◇ぜ 全力投球=奥歯をぐっとかみしめ、力いっぱい遊びや仕事ができる
※学校食事研究会発行「学校の食事」などから作成

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/1/30/90818/

2009年スペシャルオリンピックス冬季世界大会・アイダホ 日本選手団の結団式が行われる

(東京オリンピック招致 2月4日)

2月7日(土)に開幕する
「2009年スペシャルオリンピックス冬季世界大会・アイダホ」
日本選手団の結団式が行われ、
アスリート61人、コーチ26人の計87人が活躍を誓った。

スペシャルオリンピックス(SO)は、知的発達障害のある人たちに、
さまざまなスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を、
年間を通じて提供している国際的なスポーツ組織。

大会は、1968年から始まり、現在では250万人のアスリートが
世界180カ国以上で活動を展開。
日本は、1995年のコネチカット大会が初参加。
今年は、アメリカ・アイダホ州のボイジで7~13日まで開催、
日本選手団はアルペンスキーをはじめとした7競技全てに参加。

結団式には、スペシャルオリンピック日本理事長であり、
東京オリンピック・パラリンピック招致委員会招致大使でもある有森裕子さんや、
シドニー、アテネ、北京と3大会連続でオリンピックに出場し、
東京オリンピック・パラリンピック招致委員会では岡山県ふるさと特使として
活動する為末大選手らが出席。
オリンピアンならではの熱いはなむけの言葉を贈った。

有森さんは、「選手たちは、ぜひこの素晴らしいチャンスをものにして、
日々、頑張ってきた一日一日を、素晴らしい会場で、素晴らしい人たちの
応援のもとで、自分の納得のいく形にして日本に持ち帰ってほしい。
私たちも彼らの頑張りを見て、生きる力につなげられたら・・・。そんな思いでいる」

為末選手は、「世界大会ともなれば、緊張は避けられない。僕も同じ。
でも、周りの選手たちもみんな緊張しているので、これまで頑張ってきたことを
思い出し、日ごろの練習の成果を出すことだけを考えればいい。
それが最後には一番の助けになる。オリンピックは楽しむことが一番!
存分に楽しんできてほしい」

谷川健次・東京都副知事東京オリンピック・パラリンピック招致委員会副会長は、
「東京都も、2016年オリンピック・パラリンピックの招致に向けて
頑張っているところ。
スペシャルオリンピックスとオリンピック・パラリンピックに
共通するのは“平和”。
一生懸命練習をしてきて、金メダルを取れればそれにこしたことはないが、
とれなかった場合でも勝った相手の努力を認め、
尊敬の念をもって握手を求めていく。
ここに平和の根源があるのではないか。
ぜひ、将来に残る思い出を作ってきてほしい」

高円宮妃殿下、細川佳代子スペシャルオリンピックス日本名誉会長、
2007ミス・ユニバース森理世さんらをゲストに迎え、司会は堀尾正明さん。

アスリートたちは、力強い決意表明で激励に応えるとともに、
世界の選手たちと交流するためのアスリートオリジナル名刺を、
谷川副知事から受け取った。

http://www.tokyo2016.or.jp/jp/news/2009/02/2009_2.html

離島で学ぶ(2)都会の講師から刺激

(読売 1月29日)

出前授業が、子供たちの人間力を培う。

「井の中のかわずでは、島を出れば通用しない。
島外の人たちの多様な考えが、子供たちの視野を広げてくれる」

島根県の隠岐諸島・海士町の佃稔教育長(62)が、
町の学校で盛んに行われている出前授業の狙いを語る。
地域社会を築いていける力を「人間力」と規定、その力を養うため、
東京や大阪などから若手実業家や大学生らを招き始めて3年に。

町の人口は約2400人だが、この5年間で100世帯、175人が移住。
豊富な水産資源を生かした起業など、30~40歳代が目立つ。
家族連れを呼び込むには、魅力ある教育が不可欠。
その目玉の一つが出前授業。

町教育委員会の岩本悠さん(29)は、2006年5月の第1回授業の講師。
一橋大学の教授や学生が地域活性化策を探るため、
町に入っており、その縁で依頼。
東京生まれ、東京育ちで、当時はソニーの社員。
大学生の頃にアジアやアフリカの途上国を訪れ、
国際支援活動をした経験を生かした。

生徒たちに、アラブの石油王や貧困国のストリートチルドレンなど、
様々な役割を与えて疑似的な交流をさせ、
「相手を受け入れるだけでなく、自分の魅力を伝えよう。そのバランスこそが自立」
島の未来と重なる言葉。「耳を傾ける生徒の純粋な表情が印象的」

半年後に移住した岩本さんは現在、
人間力推進プロジェクト人づくりプロデューサーとして、
出前授業の人選や交渉を任されている。

出前授業は年5回程度、実施。
学校の改修工事を建築家と検討したり、大学講師と起業を考えたり。
海士中の宇野和福校長(55)は、「小さな集団で育った子供たちが
コミュニケーション能力を高める絶好の機会」と評価。

中学生は4年前から、修学旅行先の東京で、島の歴史や観光スポットを
紹介する試みも続けている。
出前授業は、生徒たちが島の魅力を再認識し、
情報発信する気持ちを強くさせている。
昨年、海士中を卒業した生徒23人のうち、将来Uターンを希望したのは13人。
1年生の頃は4人だけ。

田口啓君(14)(2年)は、「授業で、当たり前に感じていた島の自然や文化が、
かけがえのないものだと気づいた。
自分が島で教師になって、その気持ちを伝えていきたい」と夢を語る。

進学や就職で、大半の若者が一度は島を離れてしまう。
岩本さんは、それでも構わないと思う。
「島に戻りたいと思った時、仕事はないかもしれない。
でも、仕事を作り出せる柔軟な発想を持つ子供を育てたい」

海士中では、昨年12月中旬、コピーライターの栃内淳さんを招き、
町のキャッチコピー作りに挑んだ。
「海産物の宝庫」「満天の星 満点の笑み いっぱいの心」。
生徒たちが書き上げたキャッチコピーを、岩本さんは頼もしそうに眺めていた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090129-OYT8T00252.htm

CSRやSRIの専門家として、経済を研究している河口真理子さん

(低炭素社会づくり 1月22日)

やまだ:経済と環境の話がどう結びつくのか?
これまで、モノをつくって経済を発展させ、豊かになってきたが、
現在では、その発展によって地球環境の破壊が起こっている。
このまま経済を推し進めて、環境もよくなっていく仕組みが存在するのか?

河口:経済と環境の共生は、わたしたちの心がけ次第で可能。
「お金に意志をもたせる」という言葉をよく使っているが、
お金がお金を生む、という仕組みをまず理解。
投資によって、お金が世の中で働いてお金(の子ども)を生む、
という考え方はあまり馴染みがないかも。

やまだ:現金が手元にあると使ってしまうから、銀行に預けるという考え方。

河口:銀行は、みんなからお金を預かって、お金を事業に貸して、利益を得る。
お金がどんなふうに働くのか、ということが重要。
どういう事業に貸したり投資するかが問われる。
バブル経済の時代は、巨額の不動産投資が行われ経済が急速に拡大したが、
事業内容の社会的な善し悪しは問われなかった。
今では、武器の製造に投資して20%儲かるのと、
再生エネルギーの製造に投資して10%儲かるのでは、
社会的により望ましいのはどちらか、といった「意志」が重要。

個人的には20%儲かっても、世界中で争いが増えるほうが幸せか?
自分の利益は10%でも、再生エネルギーが普及して
地球環境がよくなるほうがいい、と判断する人が増えてきている。
投資する事業が、どう社会に貢献するか、どれくらい利益をあげられるか、
という両面を考える。

河口:企業から、SRIについて教えてほしいという依頼が増えている。
利益だけでなく、環境に配慮した事業へ積極的に投資する方向へと、
企業や投資家が模索している段階。
お金には、環境を変える力があることを気がつかなかった人たちが、
これから投資の世界で動き出せば、世の中は変わっていく。
環境のためにできることは、ゴミを分別したりエコバックを使うだけでない。

最先端の環境技術に投資することも。
自然の乱開発に反対するなら、木に抱きついてブルドーザーを止めるよりも、
その開発事業への融資を止めるほうが、効果がある。

やまだ:お金にもエコな活動をさせる。

河口:日本は、個人の金融資産が1500兆円もある国。
その半分が預貯金。
この預貯金に意志を持たせたら、すごい力を発揮。
エコ事業に投資しようという貯金や寄付が出ている。
寄付も大事だが、もらって使って終わってしまうという意味では
サスティナブル(持続可能)ではない。

エコなビジネスを成り立たせ、利益をあげて回していくことが大切。
お金を使ってモノやサービスを提供して、利益を出して、
またお金が戻ってくる、これが経済。
お金をグリーンにするとは、経済のサイクルにエコの考え方を入れること。
森林を破壊しない材料とクリーンなエネルギーを使い、
使用後はリサイクルもできるモノをつくるれば、お金がグリーンになっていく。

やまだ:10~20代の人は、環境について教育を受けているが、
金融教育についてはまだ普及していない。
金融の基本を知って、環境に配慮した事業に投資しなければいけない
時代が来るということは、両方の教育が重要に。

河口:アメリカや英国の小学生に対する金融教育では、リスクとチャンス、
税金、寄付など、どうやってお金と付き合うかを教えている。
資産を運用するとき、あなたの意思決定が社会をつくるから、
あなたには責任があるのですよ、ということを教えている。

やまだ:格差社会がニュースで伝えられて、子どもたちはお金さえなければ
平和な社会なのに、と考えてしまう傾向。
経済で動かしている社会の上に生きていることを、わかってもらいたい。

河口:お金は、自分を幸せにするための道具。
お金を崇拝するのでも忌み嫌うのでもなく、対等な立場で付き合っていきたい。
自分が汗水流して働くと同時に、自分のお金にもちゃんと働いてもらう、
という発想が大切。
金融の先進国イギリスは、産業革命の後、金融立国を実現。
「サスティナブル・ファイナンス」を打ち出し、環境に配慮したサスティナビリティが
評価の対象になるような、新しい金融のしくみをつくっている。

これまでは、違法伐採の木材で安く家具をつくれば得をする、というように
エコは経済のしくみの外にあったが、今はそんな企業は信用されない。
環境の問題に配慮することは、経済の必須条件になっている。

やまだ:不景気になって、これまでの価値観を再認識するきっかけに。
新しい動きとして見ておくといいというものは?

河口:若いソーシャル・アントレプレナー(社会的企業家)が活躍。
彼らの活動からは、若い人たちも刺激を受けたり学ぶところがある。
青森や秋田、長野など、日本各地で地方自治体や市民が協力して
運営しているグリーン電力ファンドの活動なども、軌道に乗っている。

やまだ:低炭素社会実現の目標である2050年に向け、経済分野での課題は?

河口:過去の成功体験を持っている日本の企業人は、
「経済成長」から頭を切り替えることが難しい。
経済成長だけでなく、新しい「成長」=サステナビリティのかたちがある。
今後、炭素エネルギーである石油が使えなかったらどうするか、
を真剣に考えなければならない。

石油・石炭に頼らない新・再生可能エネルギーの時代に、
パラダイム・シフトしなければならない。
最先端の技術によって、昔から使っていたエネルギーや素材の可能性を
再評価することができる。
必ず社会に貢献する新しいビジネスとなる。
日本の江戸時代は、再生可能エネルギーだけで持続的な社会を作っていた。
そこから学ぶものは沢山あるはず。
新たな安全で経済的生活のため、お金の新しい使い方が求められることを、
企業も生活者も自覚していきたい。

やまだ:経済と環境のことをしっかり勉強して、社会に貢献している会社や事業に
投資をすることが、環境を守ることにつながる。
「地球を救うのはあなた、とあなたのお金」とも言えるかも。

◆河口真理子
株式会社大和総研経営戦略研究所主任研究員。
一橋大学大学院修士課程修了。大和証券外国株式部、投資情報部を経て、
1994年に大和総研に転籍、企業調査部を経て現職。
研究テーマは環境経営、企業の環境評価、環境会計、環境報告書、
社会的責任投資、企業の社会的責任。
青山学院大学非常勤講師、東京都環境審議会委員、サステナ日本評議委員、
社会的責任投資フォーラム代表理事・事務局長などを歴任。
著書に『SRI 社会的責任投資入門』(日本経済新聞社=共著)など。

http://www.team-6.jp/teitanso/dialogue/index.html

2009年2月6日金曜日

特集:健康を考える スギ花粉症

(毎日 2009年1月30日)

花粉症は国民の16%、2000万人以上が罹患する「国民病」。
日本では、1964年にスギ花粉症が報告され、その後、四十数年で
60種以上が確認されるなか、特にこのスギ花粉症が激増。
環境省は、今年のスギ、ヒノキの花粉の飛散は全国的に
「平年並みから多め」と見込み、「開始日」も1-2週間早いと予測。
医療法人森下眼科の森下清文理事長が、花粉症の予防策などについて。

花粉症は、アレルギー性疾患。
私たちには、異物(抗原)が入るとそれを察知して体内に「抗体」を作り、
異物を排除する機能がある。

この免疫反応が必要以上に敏感になり、それほど害にならないものまで
排除しようとして生じるのが「アレルギー」。

花粉症のアレルギー反応を見ると、花粉が粘膜や結膜に付着すると
「IgE抗体」が作られる。
特定の細胞(肥満細胞)に結合し、繰り返し花粉と接触するうちに
抗原に反応して肥満細胞が破壊され、ヒスタミンなどの刺激物質を放出。

スギ花粉症の激増の背景には、スギ林の増加が。
戦後の山林振興策で、1950~70年に全国でスギが造林され、
スギの面積が全国の森林の18%、国土の12%を占め、
452万ヘクタールにも広がった。
多くが樹齢30年を超え、現在最も多くの花粉を作る時期に。

花粉症の主症状は、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの四つ。
目の場合、目の周囲がかゆくなり、まぶたが腫れぼったくなり、
結膜が赤く腫れる。掻くと悪化し、結膜や角膜を傷つけ、
かすんだり、まぶしく感じたり。

鼻では、粘膜についた花粉を取り除こうとしてくしゃみが出る。
洗い流そうとして鼻水が出る、花粉を侵入させまいとして粘膜が腫れる。
ひどくなると、全身の倦怠感や発熱を伴う。

日常生活での注意では、マスクや眼鏡の併用が効果的。
市販の不織布やフィルター付きマスクは、正面からの花粉の90%前後をカットし、
頬などにすき間ができないよう、フィットしたマスクを選ぶことが必要。
マスクには保温・保湿効果もあり、粘膜の荒れを防ぐ。
普通の眼鏡でも、結膜への花粉の付着を60-70%カット。

ゴーグル型だと90%カット。
服装は、花粉が付きにくい上着やコート、表面がツルツルして織り目が詰まった
ナイロン素材がよく、髪は束ねて帽子をかぶるのがいい。
花粉が付きにくくなるスプレーなどの便利グッズも。

帰宅したら、玄関で衣服や髪に付いた花粉を払い落とし、屋内に花粉を入れない。
花粉は最高気温が15度以上、湿度が60%以下になると飛びやすく、
風が強い日は60-80キロと遠くまで飛ぶ。
飛散量が多い時、窓などを開けっ放しにせず、洗濯物も外で干さない。

毎日こまめに掃除する、干した布団や洗濯物は取り込む前にはたくなどして
花粉を落とす。空気清浄機を使うのもいい。
うがい、洗顔、目を洗うのもいい。
防腐剤の入っていない点眼(人工涙液)5-6滴で洗い流す。

食事面では、カテキンにはアレルギーを抑える成分。
ニンジンのβカロチンには、IgE抗体を減らす、
鼻詰まりにはシソ、西洋フキなどに効果が。

予防面では、花粉情報をこまめにチェックし、
自分の「花粉日記」で症状がいつごろ出るのか分かれば、
その2週間ほど前から抗アレルギー薬で発症を予防したり、軽減させる。

スギ花粉症は、少しの花粉でも反応が出る人がいるため、
花粉飛散の開始日前から治療を始めることも「初期治療」として認められる。

抗アレルギー薬には、細胞を安定させ、ヒスタミンなどが出ないようにする
ケミカルメディエーター遊離抑制薬」、
出てしまったヒスタミンが働かないようにする「抗ヒスタミン薬」がある。

症状が強い時は、ステロイドを使用する場合。
内服薬としての第2世代の抗ヒスタミン薬は、即効性がある。
市販薬も数多く出回っているが、専門医を受診し、適切なアドバイスを
受けることをお勧め。
…………………………………………………………………………
◇花粉情報サイト

スギ花粉飛散開始マップはじめ、花粉症関連の情報・データなどを
まとめた環境省のページ。
2月上旬から、各地の花粉飛散情報を報告する「花粉観測システム」
(はなこさん)の運用が始まる予定。
http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/
………………………………………………………………………………………………………
◇もりした・せいぶん

1954年三重県伊賀市生まれ。
80年兵庫医科大卒業後、大阪医科大眼科学教室で研修。
82年神戸海星病院、83年北野病院に勤務。
84年から同医科大で白内障、緑内障、眼底疾患の診療・研究に従事。
88年同医科大講師。91年大阪市北区天神橋で医療法人森下眼科を開業。
医学博士。市民健康講座「目の勉強会」代表世話人。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/1/30/90873/

「第2次ゲノム革命」が始まった

(日経 2009-01-16)

「ゲノム(全遺伝情報)」という言葉を覚えているだろうか。
生命の営みを決める遺伝暗号の全体を意味し、2000年、
日米欧の国際プロジェクトで、人間のゲノム(ヒトゲノム)が初めて解読。
生命科学研究に革命をもたらす、と言われたこの成果からまもなく10年。
「第2次ゲノム革命」とでもいうべき新たな動きが起きている。

米ベンチャーのパシフィック・バイオサイエンシズは、2010年をめどに、
塩基情報を1時間に1000億個読み取れる解読装置(シーケンサー)を製品化。
24時間で2兆4000億塩基を読め、兆を意味する単位「テラ」と組み合わせて
「テラシーケンサー」とも呼ばれる。

ヒトゲノムは全部で約30億塩基なので、
新装置を使えば2分弱で読み切ってしまえる計算。
国際ヒトゲノム計画で、すべて解読するのに約10年を要したのと比べ、
隔世の感がある。

パシフィック・バイオは、遺伝情報を記録したDNAが作られていく様子を、
「リアルタイムでとらえることができる」
解読コストも10年前の約1000分の1以下に下がり、
医療・バイオ分野の日常的な解析ツールとして期待。

医療機関では、個々の患者の遺伝子レベルの特徴をとらえ、
既存データベースと照らし合わせて予防・治療戦略を練る。
新薬の開発や、特殊な働きを持つ微生物を効率良く探し出し、
産業応用をめざす研究にも強力な武器に。

テラシーケンサーの一歩手前であるギガ(10億)級のシーケンサーは、
既に各国で普及。
「次世代シーケンサー」とも呼ばれ、米ライフ・テクノロジーズ
(旧アプライド・バイオシステムズ)、米イルミナなどが相次ぎ新製品を投入、
市場獲得競争が激化。

米国、欧州に加え、中国への普及ペースが速い。
北京、上海などのゲノム研究機関は、数十台単位でギガシーケンサーを
そろえており、「次々世代」であるテラシーケンサーの大量導入計画も。

日本には、ギガシーケンサーはまだ少ない。
東京大学、理化学研究所、産業技術総合研究所などが中心。
タカラバイオ、北海道システム・サイエンスなど一部の専門企業が
受託解析事業を始めた。
伊藤忠テクノソリューションズ子会社のシーティーシー・ラボラトリーシステムズなど、
解析システムの輸入販売に力を入れる企業が出てきた。

なぜ日本は出遅れたのか?
1990年代、日立製作所が先端的なゲノム解読技術を開発、
特許を取得したものの、製品化は米社の手に委ねてしまった。
国際ヒトゲノム計画では、米欧に主導権を握られた。
重要たんぱく質の構造を徹底解析し、医療応用などに結びつけようとした
国家プロジェクトも、思ったほどの成果を出せずに幕を引いた。

日本ゲノム研究の頂点にあった理化学研究所の
ゲノム科学総合研究センターは縮小、改組を余儀なくされた。

米国では、国立衛生研究所(NIH)などの後押しで
着々と新たな解読手法や医療応用の研究が進み、
その成果を生かしたベンチャー企業も発足。
欧州でも、診断技術で世界の先端を行くロシュなどが開発研究を急いだ。
そうした動きがここへ来て一気に花開いた。

日本勢が、今から新装置を開発するのは難しい。
やるべきことは山ほどある。
装置がはじき出した膨大なデータから意味のある内容を
うまく引き出す作業は、まだ始まったばかり。
遺伝子が次々に機能し、たんぱく質を作り出してゆく流れ、
生体内で情報がやりとりされるネットワークの研究では、
理研の成果が国際的にも一目置かれている。

京都大学の山中伸弥教授も、新型万能細胞(iPS細胞)の作製にあたり、
理研の解析データを活用。
iPS細胞を使った病気の治療研究を進める慶応大学の岡野栄之教授は、
ギガシーケンサーなどにより、「遺伝子と病気との関係をさらに調べられる」

がんや糖尿病、生殖医療などの分野で、新鋭シーケンサーを使った
国際研究計画が次々に始まっている。
日本は、米英中が進めるがん関連の国際プロジェクトに参加を
求められながら、予算不足などを理由に断った。
こうした計画に背を向けるのでは、失うものが大きすぎる。
大量のシーケンサーを並べて片っ端からゲノムを解読する「物量作戦」は
他国に任せるにしても、
日本はアイデアと丁寧な分析で積極的に貢献していくべき。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec090114.html

「2050日本低炭素社会シナリオチーム」のプロジェクトリーダー、西岡秀三さん

(低炭素社会づくり 12月24日)

やまだ:「低炭素社会」って、どうイメージすればいいのか?

西岡:炭素の排出量をゼロにする「ゼロエミッション」。
二酸化炭素(CO2)を出さない社会にする。
大切なのは、そういう社会にしようと、みんなでいつも考えて行動すること。

やまだ:本当に「人類の危機」が迫ってくるのか?

西岡:地球の温暖化に伴い、さまざまな生態系の変化が生じている。
お米ができる地域に異変が生じたり、みかんなどの果物が熟す時期と
味のタイミングが昔と変わっている。
ゲリラ雷雨や洪水、山火事など、気候変動が進むことで起こる災害が増加。

やまだ:どうにかしなければ、と感じていても、わたしたちは実践的に
何をしなければいけないのか?都会の生活を捨てて、自給自足のような
生活をしたほうがいいという考え方もあるが。

西岡:都会で昼もしっかり働き、夜も楽しむことで豊かさを感じる人もいれば、
田舎で自給自足の野菜を作ってゆとりをもって暮らすことに豊かさを感じる人も。
CO2排出量については、ほぼ同じ。
どちらが幸せかについては、個人個人の考え方による。
その選択は、個人の自由。
われわれがめざす低炭素社会は、突飛な社会ではなく、
知恵を働かせれば実現可能な社会。

やまだ:CO2を減らすために、これから何をすればいいのか?

西岡:CO2排出量を70%減らせるのか、という疑問をよく投げかけられるが、
「技術的には減らすことができる」
消費エネルギーを半分にすることによって可能。
照明で、白熱灯を蛍光灯にすれば、エネルギーは1/4から1/5に。
電気自動車や断熱住宅など、環境に配慮した商品が売り出されている。
ガソリン代や電気料金が安くなり、確実にお得。
70%のCO2排出量の削減が可能だが、なぜできないか?
それは、われわれの社会の中に、なんらかのバリアーがあるから。

やまだ:消費者の立場からいうと、情報が入ってこないように感じる。

西岡:企業の立場から言えば、新しいことをやるためにはコストがかかる。
急激にやったら社会がついていけないし、本末転倒に。
低炭素な社会ではなく、人びとが安定な気候の下で
豊かで安心して暮らせる社会。

やまだ:みんなが平和でうまくいかない限り、過激すぎてもだめ。

西岡:低炭素社会へ移行していくことが、損する人もいる一方、
ビジネスチャンスになるということを知ってほしい。
しっかり儲けている人はいるが、そういう人はあまり声を上げない。
人は損したときだけ騒ぐもの…(笑)。
低炭素社会になれば、若い人が活躍できる場が生まれ、活力あふれる社会に。
かつて産業革命で世の中が変わったように、さまざまな可能性が広がる時代。

やまだ:低炭素社会とは、単純に質素で、地味で、昔の生活に戻っちゃうのではと
思っていたので、それは無理だろうと。
でも、違う未来がある。
新しい産業やビジネスが生まれるチャンスがあると思うと、やる気が出る。

西岡:今までは、どれだけモノを持っているか、
どれだけエネルギーを使っているかが社会的なステイタス。
これからは、違うことに価値観があってもいい。

やまだ:今までとは違う発想を持たなければならないということを伝える時、
先生が気をつけていることは?

西岡:上から目線で言ってもだめ。
地域の横のつながりから、口コミで広げてもらえるところを大切にし、
一方で、どんな企業でも、経営のトップが、環境の意識を高めることが重要。
環境に配慮することが、結果的に会社の利益になることを理解してほしい。
これからの企業は、モノでしか自分たちの商売が成り立たない、
モノでしか自分たちを表現できない、というところを変えなければいけない。
電力会社は、電力を売るだけが商売じゃない、
自動車会社は車を売るだけが商売じゃない、ということを考えてみるといい。
一つひとつ発想の転換をし、今の体制を変えるためのベースを見つける。
みなさんも、自分が勝負しているものを一度やめてみた時、どうなるかを考えると、
新しい方向性が見えるかもしれない。

やまだ:高齢化社会になれば人口は減り、技術も日夜進歩するし、
自然に低炭素社会になるのではないか、という気持ちもある。

西岡:大切なのは、一人ひとりが自分に何ができるのかを考えること。
私も年齢を重ねるにつれて、次世代の若い人のために
何を残せるかということを考えるように。
低炭素社会は、地球全体の気候が安定して、みんなが安心して生産し、
生活できる社会を次の世代につなげること。
地球環境資源について、資源の枯渇や水資源の問題など、さまざまな不安が。
一つ先のことを見ながら、低炭素社会のことをやっていくことが大切。

やまだ:違う世代の人と価値観を共有しあっていくことが必要。

西岡:新しい価値をつくっていくことを考えてほしい。
モノと技術は飽和している。
低炭素社会に貢献するすばらしい商品が次々と生まれ、
企業がビジネスを広げようと思ったら、違う企業と組むことが重要に。
「業際」ということも、この改革の時代に重要。
環境の問題は、最終的に地域の話に。
NGOやNPOの人たちの活動もいろいろ進んでいる。

やまだ:低炭素社会の未来を、どう想像していくかが大切。
異なる業種や世代間で語ることやコミュニティの場がもっと必要に。
今まで、低炭素社会について難しく考えていたが、
もっと楽しく想像していいことがわかり、楽しくなってきた。

◆西岡秀三
東京大学大学院数物系研究科博士課程修了、工学博士。
旭化成工業を経て国立環境研究所勤務、東京工業大学教授、
慶應義塾大学教授、IGES気候政策プロジェクトリーダー、
国立環境研究所理事を歴任。
専門は環境システム学、環境政策学、 地球環境学。
温暖化の科学・影響評価・対応政策研究に従事。
環境省地球環境研究計画「2050年日本低炭素社会シナリオ研究」 のリーダー。

◆やまだひさし

ラジオDJ。「やまだひさしのラジアンリミテッド DX」のメインパーソナリティ、
テレビ番組のナレーション、イベントMC、映画の吹替えや声優として活躍。
環境とエンターティンメントのイベント「Re-Style LIVE」の総合プロデュース・司会、
「うちエコ!特命大使」に任命。
著書『やまだひさしの日本縦断(エコ)アンリミテッド』(ソニー・マガジンズ)。

http://www.team-6.jp/teitanso/dialogue/01.html

世界レベル技術者誕生 三次元設計で本県初

(岩手日報 1月25日)

三次元設計ソフトの国内最大シェアを誇る「ソリッド・ワークス」の
認定技術者(CSWA)として、本県第1号の合格者が誕生。
日本初のCSWA試験機能を有する北上市三次元ものづくり革新プロジェクト
(三浦範和統括責任者)の初試験で、全国でも100人程度しかいない
世界レベルの称号を手にした。

合格者は、同プロジェクトが緊急雇用対策として北上市で企画した
三次元CAD(コンピューター利用設計システム)実践講座を受講した
小石川敬さん(33)と藤原裕道さん(36)。
ほか2人と計15日間の講座を24日修了し、同日試験に挑んだ。

試験はパソコンを駆使し、三次元構造物のモデリングや作図、解析など
7問を3時間以内に解く。
合格率60%の難関で、小石川さんは100点満点、藤原さんは90点で突破。

講座修了式は、北上高等職業訓練校で行われ、
主催する北上川流域地域産業活性化協議会の石川明広・市商工課工業係長が
4人に修了証書、主講師の小田中稔さん(34)が合格者に認定証を授与。

高度な三次元設計技術者は、新製品開発の手を緩めないグローバル企業
からのニーズが高く、CSWAは就職への近道。
小石川さん、藤原さんは、「設計技術者を目指し就職できるよう頑張る」
受講生4人は職を失い、昨年中に同プロジェクトの初級レベル講座を修了。
ほか2人は、合格ライン70点に一歩及ばなかったが、
「必ず、次回挑戦する」と熱く誓った。

三浦統括責任者は、「日本初のプロバイダー認定で初の合格者はうれしいが、
満足せず、合格率100%を目指し、講座を充実させていく」

◆CSWAとは

ものづくり産業で広く活用される三次元設計ソフト「ソリッド・ワークス」を提供する
ダッソーシステムズ・ソリッドワークス社(米国)が認定する
高度な三次元設計技術者。
北上市三次元ものづくり革新プロジェクトは08年12月、
日本で初めてCSWA試験ができるCSWAプロバイダーに認定。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090125_9

2009年2月5日木曜日

健康は肥満対策より禁煙、節酒 厚労省研究班、メタボ健診に疑問投げかけ

(毎日 2009年1月30日)

がんや心筋梗塞などの循環器疾患を起こさないで、
今後の10年間を生きる可能性が最も高いのは、
「禁煙、月1-3回の飲酒、BMI(体格指数)25-27」の人であることが、
厚生労働省研究班による約9万6000人の調査結果に基づく推計で判明。
禁煙や節酒の取り組みは生存率を向上させるが、
BMIだけ下げても変化はなかった。

津金昌一郎・国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部長は、
「がん、循環器疾患を減らすには、肥満対策より、
まず禁煙、節酒を推進することが重要。
国民全体の健康対策として取り組む場合、肥満中心の手法は
適切ではない可能性がある」と、
肥満改善を重視する現在の特定健診(メタボ健診)に疑問を投げかけた。
米医学誌電子版に発表。

調査は、全国8県に住む40-69歳の約9万6000人が対象。
生活習慣に関するアンケートをし、約10年追跡。
調査対象年齢の人が、10年間にがんか循環器疾患を起こすか、
死亡する可能性が最も高いのは、
男性が「1日40本以上喫煙、週に日本酒2合相当以上の飲酒、BMI30以上」、
女性が「喫煙、同1合相当以上の飲酒、BMI30以上」

50-54歳の男性で、最も不健康な条件の人が10年間にがんを発症する割合は、
健康な条件の人の2・8倍、循環器疾患は4・8倍。
がん、循環器疾患にならないで生存している割合は81%。

BMI30以上の人が同25-27に下げても、平均的な生活習慣の男性の生存率と
ほとんど変わらなかった。
禁煙や節酒の取り組みを組み合わせると、大幅に向上した。
……………………………………………………………………………………
◇「小太り」が最も健康

厚生労働省研究班の大規模調査は、従来の「肥満=不健康」との
考え方に再考を迫る結果。
昨年4月に始まった特定健診(メタボ健診)は、
腹部肥満が循環器疾患の元凶と位置づけた。

国内では、肥満でなくても糖尿病や循環器疾患を発症する人が多いうえ、
国民の死因の第1位はがん。
肥満と循環器疾患だけにターゲットを絞った健診への批判は根強い。
世界保健機関(WHO)は、やせていても生活習慣病の多いアジアの住民に配慮し、
BMIに代わる細めの腹囲を使った基準導入を検討。

今回の研究では、従来の肥満の基準を多少超える「小太り」が
最も健康な条件に入った。
メタボ健診で重視されない喫煙や飲酒習慣の改善が、
生存率向上に関与していることが判明。
大櫛陽一・東海大教授(医療統計学)は、
「メタボ健診では、やせている喫煙者には何の指導もない。
メタボ健診のあり方に大きな問題提起をしているのではないか」
…………………………………………………………………………………
◇BMI

国際的に肥満度を示す指標として使われており、
体重(キロ)÷身長(メートル)の2乗で算出。
日本肥満学会は「18.5未満」をやせ、「22」を標準、「25以上」を肥満。
政府が推進する「健康日本21」やメタボ健診では、
25以上の人にやせることを推奨。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/1/30/90872/

環境保全を地域振興に 大船渡でフォーラム開催

(東海新報 2月1日)

「地球の環境は私たちの足元から」をテーマとしたフォーラムが、
市民文化会館・リアスホールで開かれた。
環境と共生した地域づくりやビジネス展開を提言する基調講演、活動発表、
地元産のナタネ油やシカ肉利用食品などの試食もあり、
来場者は環境を大切にする身近な取り組みの重要性に理解を深めた。

「けせん環境フォーラム2008」、大船渡湾水環境保全計画推進協議会、
三陸町地域の美しい水環境をつくり守る協議会、
気仙川流域基本計画推進協議会、けせん菜の花エコネット、
県大船渡地方振興局が主催。
環境保全活動への参加を促進する目的で開催し、市内外から約160人が訪れた。

マルチスペースでの開会行事では、大船渡湾水環境保全計画推進協議会の
水野雅之亮会長が、「今後の環境保全は森・川・海に農耕地も加えて考える必要」
大船渡地方振興局の高橋克雅局長も、「環境への取り組みは、
多くの地域の方々が一歩ずつ前に進むことが重要」

「未来に残したい気仙の風景」写真コンクールの表彰式を開催。
青い海と水田、三陸鉄道の列車が調和した風景を収めた作品「夏めく甫嶺」で
最優秀賞に選ばれた村上廣一さん(大船渡市)、入選、佳作、審査員特別賞の
各受賞者に賞状などが贈られた。

基調講演では、「川がサケを思い出す日」と題し、
北里大学海洋生命科学部の朝日田卓准教授が講師。
人工ふ化放流といった増殖事業の半面、海の栄養を山に運ぶサケの
重要な役割が見過ごされている点を指摘し、森や川の豊かな自然が
漁業資源確保につながる流れを解説。

朝日田氏は山、川の栄養確保やサケの回帰率向上、漁業者との共存に向けて
0・5~1%のサケを上流に遡上させる、
稚魚数を減らす代わりに単価を上げる、などを提言。
「開発に反対するだけではダメ」として、環境保護を地域活性化につなげる
取り組みや、環境共生型のビジネスを提案。

具体的には、川上を遡上したサケを見学する旅行企画や、
二酸化炭素排出権取引の活用などを提言。
太陽光エネルギーを活用した港湾事業など、既存設備を再整備することによる
新たな産業創出の可能性にも触れた。

活動発表では、生出地区コミュニティ推進協議会、川の駅よこた、
北里大学海洋生命科学部、大船渡市地域婦人団体連絡協議会、
三陸町婦人会綾里支部の計5団体が、日ごろの取り組み成果を説明。

午後の講演では独立行政法人・森林総合研究所東北支所の
掘野眞一生物多様性研究グループ長が、ニホンジカの生態などについて解説。
シカ肉カレーやナタネ油を使ったお菓子、けんちん汁の試食が行われた。
シカ肉は、「思ったよりもクセがない」、ナタネ油を使った食品も好評。
香ばしさに誘われるかのように、来場者の長い列ができ、
忙しさに追われた関係者も普及に手応えを感じていた様子。

廃油を使ったキャンドルづくり体験も企画、けせん菜の花プロジェクト、
里ジカ対策などの取り組みをパネル展示で紹介。
見学した来場者は、環境保護を地域活性化や産業振興につなげる動きに理解。

http://www.tohkaishimpo.com/

離島で学ぶ(1)親元を離れ、世界に近づく

(読売 1月28日)

離島から、世界に目を向ける授業がある。

取り出したのは、赤や黄、紫など6色のひも。
長崎県立壱岐高校で、中国語の授業を受け持つ呉雲珠講師(56)は、
文法の復習を20分ほどで切り上げると、黒板に「中国結」と書いた。

3年の女子生徒に、「結ぶの文字から連想するものは?」と問いかける。
8人いた生徒のうち1人が、はにかみながら手を挙げ、「ジエフン(結婚)」と答えた。
「そう。中国では幸せと幸せをつなぐ意味がある。
今日は、恋人同士が腕にする中国結びを教えます」と呉講師。
興味津々の生徒たちは、2本のひもで編む中国流のアクセサリーを作った。

長崎県が6年前から始めた離島留学制度。
壱岐高校など離島の県立高校4校に、自然や文化を生かした特色ある
専門コースを設けるとともに、島外からの入学者に県と市で
下宿費用3万円程度を補助、県内外から目的意識の高い生徒を募っている。

玄界灘に浮かぶ壱岐島は、古くから大陸との交流拠点として栄えた。
高校の「原の辻歴史文化コース」は、島の東南部にある国の特別史跡
「原の辻遺跡」から名を取った。
遺跡の発掘や測量など、専門的な技術を学ぶ歴史学専攻と、
語学中心の中国語専攻がある。
コースに在籍する28人の半数が島外出身者。

中国語専攻3年の河野萌さん(18)は大分市出身。
中学3年生の時、新聞で留学制度を知った。
昨秋、九州・山口地区の高校生による中国語スピーチコンテストで優勝。
「島での生活は、家族の大切さを改めて教えてくれたし、
私をひと回り成長させてくれた」。
上海外国語大学への留学を目指している。

呉講師は2年前、県と上海市の教育交流で、同大から赴任。
授業では、中国の新聞や雑誌から最新の流行を読み取らせ、
生徒と一緒にギョーザを作ったりもする。
伝えたいのは、文化を理解する気持ち。
相手の文化を深く理解できる国際人を送り出したい」と、
校長たちの思いを代弁する。
生徒たちは、通訳や中国語を使う雑誌の編集者などを夢見ている。

国境の島、対馬の玄関口にあたる厳原港で船を下りると、
あちこちにハングルの案内板を目にする。
韓国・釜山とは、わずか50キロの距離。
観光などで、人口の2倍の年間7万人余の韓国人が訪れる。
対馬高校には、韓国人講師から韓国語を学ぶ国際文化交流コースがある。
韓国への語学研修も盛んで、12人の卒業生が韓国の大学に留学。

コース主任の重松真知子教諭(35)は毎春、島外出身の新入生を
ドライブに連れ出す。島の祭りにも生徒を誘う。
親元を離れた生活に不安を抱える生徒が多いだけに、
島の魅力を知り、早く島を好きになってほしいから。

奈良市から来た1年生の狭川典麿君(15)は、祖母が対馬に住む。
街を歩けば、すぐに観光客の韓国語が聞こえてくる。
覚えたばかりの韓国語を使う絶好の話し相手。

2校のほか、五島高校ではスポーツコースを設け、
猶興館高校大島分校(平戸市・的山大島)では農漁業体験を取り入れている。
島外からの入学者は、4校でこれまでに計150人を数えた。

島内からの進学者を加えても、全コースが定員(1学年20人程度、猶興館は40人)
を満たすまでには至っていない。
県教委では、「高い志を持つ高校生が集まり、夢の実現に近づく場所にしたい
(高校教育課)と、長い目で見守ることにしている。

多感な高校生には、物足りないかもしれない離島の環境。
だが、3年後の姿が明確な生徒には、最高の助走期間になるはずだ。

◆急速に進む過疎化

離島の過疎化が急速に進んでいる。
全国の離島を抱える139自治体が出資する日本離島センター
(理事長・高野宏一郎佐渡市長)によると、離島振興法などの指定を受ける
離島の小中学生は、2006年度で約6万1500人。
10年前の約9万5000人から約35%も減り、国全体の減少率(約15%)の2倍以上。
背景には、子育て世代が離島を離れて生活せざるを得ない現状。
06年度の小中学校数は計868校、高校は63校で、
10年前より、小中学校で111校、高校で8校減った。

離島の学校は地域社会の核でもあり、統廃合や閉校は過疎化を加速化させる。
離島の自然や文化を生かした授業を売り物に、全国から生徒を集めるなど、
独自の教育を打ち出す動きも広がりつつある。
同センターの三木剛志広報課長(41)は、
「島でしかできない教育が、今後ますます重要になってくる」

◆離島振興法

社会資本整備での補助率かさ上げといった優遇措置がある。
沖縄などは別の法律がある。
国土交通省によると、これらの指定を受ける離島は1月現在、全国で312。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090128-OYT8T00292.htm

英訳版、市内で発売 「遠野物語」発刊100周年

(岩手日報 1月28日)

2010年の遠野物語発刊100周年を記念し、
元大学教授のロナルド・A・モース氏による英訳版「遠野物語」の発売
遠野市内で始まった。
自身の約30年前の英訳本を全面的に見直し、約3年がかりで書き下ろした。
2月21日、同市で出版披露を兼ねたモース氏の記念講演会が開かれる。

モース氏は、1938年生まれ。現在は米ネバダ州ラスベガス在住。
米プリンストン大博士課程に学び、卒業論文のテーマは「柳田国男の研究」。
米国防総省、国務省などに勤務し、
カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)教授、麗澤大教授などを歴任。

同氏が訳した「英訳遠野物語」は、1975年に国際交流基金から出版、
遠野物語の発刊100周年に合わせて再翻訳。
昨年9月にアメリカで再発売。
2月21日、「英語で読む『遠野物語』」と題した同氏の講演会を開く。

同書はA5変型判、83ページで2800円。
遠野ふるさと公社が輸入し、遠野風の丘、遠野ふるさと村など
同公社の施設で販売中。
問い合わせは、遠野物語発刊100周年記念事業準備室。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090128_11

2009年2月4日水曜日

短く簡潔に 好印象与える会話整理術

(日経 1月20日)

会議の発言や業務連絡で、「相手に言いたいことが伝わらない」と悩む
ビジネスパーソンは多いはず。
短時間で簡潔に話す会話整理術を学べば、相手の記憶に残り、
好印象を与える話し方ができる。
「主題は17秒」、「1発言は1分以内」と指摘する専門家に
短時間話法のコツを伝授してもらう。

◆パンネーションズコンサルティンググループ 安田正社長

「人間の短期記憶は、17秒が限界。話の趣旨を17秒にまとめて話そう」
「言いたいことが確実に伝わる—17秒会話術」(明日香出版社)の著者である
安田正さんはそう指摘。
認知心理学の実験では、相手の発言が18秒を超えると、
冒頭の言葉から順に忘れてしまう。

会議のプレゼンテーションや職場での連絡などで、「話が長くて分かりにくい」、
「それで一体何が言いたいの?」と言われた経験がある人は多いだろう。
それは、自分の話をきちんと整理していないことが原因。
安田さんは、「まず話の筋道を予告して、相手に聞く準備をしてもらうことが重要
その時間が17秒だ。

例えば、「プロジェクトの懸案事項について報告します。
懸案は2つあって、予算と納期です」。
こう予告すれば、話の枠組みが相手に伝わる。
新聞の見出しや雑誌のタイトルだ、と考えれば分かりやすい。

後は具体的な内容を説明し、枠の中を埋めていくことで話を整理。
内容は、「階層話法」で伝えよう。
第1階層はテーマ分け、第2階層はテーマごとの具体例や理由を説明。

例えば、「予算は、当初の200万円から150万円に削減されます。
納期は、2月の予定が3月にずれ込むかもしれません」と
テーマを簡潔にまとめるのが第1階層。
第2階層では、「予算が減らされた理由は…… 。納期が遅れる場合に備えて……」
など具体的な理由や対策を説明していくパターン。

こうした話法は単純だが、我々の会話の中であまり使われていない。
安田さんは、「日本人は、普段から話が相手に伝わることが当たり前と考えて、
論理的なコミュニケーションを訓練していない」

どんな訓練をすればいいのか?
本の一文など長い文章にタイトルを付け、内容を表やグラフなど図解で示す。
17秒の予告と、階層話法に基づいて文章を整理し直す。
これを繰り返せば、「論理的な思考法も身に付くようになる」

◆話し方研究所 福田健会長

「まず1分間にうまくまとめる—話し方超整理法」(日本実業出版社)の著者、
福田健さんは、「会議などでの発言は、1分間が原則
「話を整理すれば、1分間で言いたいことは伝わり、
長くなるほど相手は飽きてしまう」

1分間の会話を文字数にすると、300—350文字。
新聞記事だと30行程度。
実際に時間を計って新聞を1分間読んでみるなど、時間感覚を磨く訓練が有効。
やってみると、1分間は意外に短く、相手に伝えるために
会話の要点を整理する必要が出てくる。

1分間話法の基本は、「三角シナリオ法」。
「言いたいこと、主な内容、理由・具体例」の構成で、簡潔に話す手法。
1つ1つの文章を短くし、句点の「。」で終えるようにする。
文章と文章の間は、意識的に接続詞でつなぐことが重要。

例えば、「他に優先する仕事があって、まだ書類ができあがっていないので、
今日の会議には報告できません」というより、
「書類がまだ完成していません。なので、今日の会議では報告できません。
なぜなら、他に優先すべき仕事があったからです」
接続詞を使うことで、要点と理由を整理して話すことができ、会話がより簡潔に。

人前で話すのが苦手で、あがってしまう人も多いだろう。
福田さんは、「あがるのは、相手に伝えたいという意欲の表れであり、
むしろ緊張するくらいが相手に伝わりやすい」
話の長い人は、「自分は話がうまい、と勘違いしている自己陶酔タイプが多い」
本人が気付いていないようなら、指摘してあげる必要も。

話を相手に伝えるための最大の心構えは、「相手の身になる」こと。
相手がどう感じているのか、自分に何を求めているのかを常に考えながら話す。
それがコミュニケーションの基本。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090120.html

海洋資源の開発を目に大船渡でワークショップ高校生、大学生も熱心に

(東海新報 1月29日)

海洋基本法が制定されて1年半。
海洋資源の開発を目指す動きが活発化。
本県でも、三陸沿岸の海洋資源の利活用に向けて専門家を含めた
研究会を立ち上げ、その取り組みの一環で、
大船渡市で海洋資源活用の可能性を探るワークショップが開かれた。

ワークショップは、県といわて海洋資源活用研究会が主催し、
市民交流館カメリアホールに行政、企業、一般市民、北里大生や
高田高校生など約140人が参加。
海洋研究者4氏が講師として登壇、平成19年に制定された海洋基本法、
20年に策定された海洋基本計画、最新の海洋科学技術などについて講演。

東京大学海洋研究所国際沿岸海洋研究センターの道田豊教授が、
「海洋基本計画の概要について」と題し基調講演。
同氏は、海洋基本法の目的について、「日本は資源小国といわれるなか、
周りの海を利用した海洋資源の開発と利用促進がその大きな柱に」
必要な海洋科学技術の開発、海洋産業の振興と国際競争力の強化や、
「産業を育成して、新しい人材が海の世界へ入ることも一つの柱」
海洋基本計画に掲げる11の施策を具体的に説明。

海洋施策の一つとして、「大陸棚延長のための対策の推進」があり、
「ある条件を満たせば、200カイリを超えて範囲を伸ばすことができる
ルールになってきている」とし、排他的経済水域の200カイリを越えて
大陸棚の外側の限界を延長するために必要な大陸棚限界画定の調査が実施、
「今、日本の排他的経済水域ではない空白のところも、
ヒョッとすると埋めることができる。

まさに海を利用していく時代になった」と海洋開発の可能性を強調。
海洋情報の一元的管理の重要性も述べ、海洋産業の振興に関連して、
「若い方々に自分たちの将来は、海の利用開発にかかっている、
というつもりでぜひ関心を持ってもらいたい。
海が日本の救世主となるよう、研究者も頑張るので、
皆様方も関心を持っていただきたい」

東京大学生産技術研究所海中工学研究センターの浦環教授、
北里大学海洋生命科学部の三宅裕志講師、
独立行政法人海洋研究開発機構極限環境生物圏研究センターの
丸山正プログラムディレクターが講演。

浦氏は、活動が困難な深海での資源探索に欠かせないロボット開発の
必要性と、その現状について説明。
「自分で認識し、自分で行動を決めて仕事をこなすことができる
自律型ロボットの開発が急がれている」

三宅氏は、海底資源の目印となる深海生物を貴重な写真も交えながら紹介。
日本海溝がある三陸沖は、ナラクハナシガイなどが生存し、
「世界最深の化学合成生態系が存在し、重要な研究ポイント」

丸山氏は、海洋での生物共生について、シャコガイと微細藻類の研究を紹介。
「深海でのシロウリガイ類共生菌は、ミトコンドリアゲノム縮小の現代モデル」として、
生物の起源、進化解明への貴重な研究対象と指摘。

深海生物の標本なども展示され、多くの聴講者が興味津々。
高田高水産技術科2年の小山達也くんは
「人間の手が届かない深海をロボットが拓いていると聞いて驚いた」、
千葉俊二くんは、「温暖化など地球環境の変化が深海に与える
影響などもあれば学んでみたい」

ワークショップは、宮古、久慈に続いて3回目。
本県海域で想定される海洋資源として、メタンハイドレート、海底熱水鉱床、
天然ガス、石油、金などのレアメタル、波力、潮汐、深海生物など。

http://www.tohkaishimpo.com/

インタビュー・環境戦略を語る:郵便事業会社・北村憲雄会長

(毎日 1月26日)

日本郵政グループは、07年10月の民営化の際に環境ビジョンを定め、
二酸化炭素(CO2)の排出削減に取り組むことを打ち出した。
郵便・物流部門を担当し、グループ内でも特に多くのCO2を排出する
郵便事業会社は、どのような削減策を進めているのか。
北村憲雄会長に聞いた。

-昨年12月から電気自動車の実証実験を始めた。

◆郵便事業会社は、郵便物の集配などに使う軽貨物自動車を
約2万2000台、トラックを約2000台保有。
これだけの車を持っているのに、環境対応に取り組まなければ、
企業としての姿勢が問われてしまう。
軽貨物を、CO2削減効果の高い電気自動車に切り替えていく方針を
昨年5月ごろに決めた。トラックは、ハイブリッド車を中心にする。

-電気自動車の本格導入はいつごろ?

◆軽貨物の電気自動車は開発途中。
郵便事業会社が導入に手を挙げたことで、メーカーの開発が加速すればいい。
完成すれば、徐々に電気自動車に切り替えていく。
水素自動車など他の環境対応車を採用することも検討。
都市部を中心に、リヤカー付き電動アシスト自転車の導入も始めた。

-電気自動車の普及には、充電装置の整備が欠かせない。

◆将来、郵便事業会社の支店がある全国の郵便局に急速充電装置を設置し、
一般の人にも利用してもらう。

-省エネ運転活動も進めている。

◆全事業所を対象に3カ月単位で、ガソリン使用量をどれだけ減らせるか
競わせている。その結果、昨年4~10月のガソリン使用量が
前年同期より1・4%減った。
元々、ガソリン代の削減が主目的だが、CO2削減にもつながっている。

-他にどのような取り組みを?

◆物流業は、段ボール箱を大量に廃棄する。
もったいないので、初期費用はかかるが、100回は再利用できる箱を使い始めた。
社会貢献の一環として、郵便ネットワークを生かし、昨年から店頭で
プリンターの使用済みインクカートリッジを回収。
書き損じで交換した郵便はがきは、段ボールの原材料にしたり、
いろんな形で再利用。
郵便事業会社は紙の使用量が多いので、09年度に前年度比2割程度削減したい。
そのため、社内のコピー機の台数を少し減らそうと思う。

-どのくらいのCO2削減を目指すか?

◆日本郵政グループ全体で、CO2排出量を12年度までに06年度比で15%、
年間25万トン減らす目標。
郵便事業会社としては、12年度までに年間8万トン削減するのが目標。
==============
◇きたむら・のりお

鹿児島大卒、67年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。
イタリアトヨタ社長などを経て、06年9月、日本郵政取締役。
07年10月から現職。福岡県出身。67歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/26/20090126ddm008020027000c.html

宇宙ステーション長期滞在で骨への影響深刻

(サイエンスポータル 2009年1月28日)

国際宇宙ステーションに半年間滞在すると、
座骨の強度が平均14%も低下することが、
米カリフォルニア大学アーバイン校などの研究者たちによって明らかに。

女性1人を含む13人の宇宙飛行士を、コンピュータ断層撮影(CTスキャン)
よって調べた。
13人のうち3人は、半年間の滞在で骨の強度低下が20-30%に達し、
これは骨粗しょう症と診断された高齢女性に匹敵する値。

Joyce Keyakカリフォルニア大学アーバイン校教授は、
「何らかの予防策がとられないと、宇宙飛行士の何人かは、
国際宇宙ステーションに長期滞在した数十年後に
骨折の危険が高まるかもしれない」と警告。

骨の強度低下は、これまで骨に含まれるミネラルの密度を調べる
方法がとられていた。
この方法で、同じ宇宙飛行士たちを調べると骨の強度低下の割合は、
国際宇宙ステーションに1月滞在するごとに0.4-1.8%と算出。

しかし、Keyak教授が骨粗しょう症患者の骨を調べるため、
20年間かけて開発した今回の検査法によると、
1月滞在するごとに生じる骨の強度低下は、0.6-5.0%と大幅に増えた。
座骨の骨折は、ほとんどが入院や大手術を必要とし、自力歩行能力を損ない、
長期の身体障害を引き起こす危険性もある。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0901/0901281.html

2009年2月3日火曜日

英語力の鍛錬、目標据えて体で覚える

(日経 10月21日)

社内の昇格試験に向けて英語を勉強したいが、なかなか時間がとれない。
単語を暗記しても年のせいかすぐ忘れてしまう——。

こんな悩みを抱えるビジネスパーソンも多いだろう。
時間が限られるビジネスマンが効率的に、継続してできる英語勉強法は?
英語の“達人”2人に聞いた。

英語の勉強は、「社会人からでも遅くはない」。
グーグル日本法人社長で「村上式シンプル英語勉強法」(ダイヤモンド社)の
著書がある村上憲郎氏はこう語る。
村上氏自身も、英語を本格的に勉強し始めたのは31歳。

「英語は、語学ではなく語力」と説く。
頭ではなく、「体に覚えこませる」との発想。
特に英語の文法をある程度理解している人にお勧めなのが、
毎日1万語を眺める方法。
1万語はビジネスで困らない単語数。

毎日の通勤電車の中や昼休みの細切れの時間を使って、短い時間でもいい。
1万語程度の英語が盛り込まれた単語帳を毎日眺める。
その際、単語帳に書かれた日本語はできるだけみないで、
英語だけを眺めることが大事。
意味がわからないものだけ日本語をみる。
毎日1万語を眺めていると、「いったん忘れてしてまった単語も、思い出せる」

最初は、「英絵辞典」のような絵が付いている辞書を使うのも効果的。
「日常生活に即した単語を絵を見ながら覚えることで、覚えやすくなる」

英語に自信のない人は、まずは中学校の教科書から始めると、
英語に慣れるにはちょうどよい。
その際、単語を覚えるためにペンを走らせる必要はない。
1年分の教科書の本文を毎日10回読んで1週間で終わらせる。
とにかく「英語の構造がわかればよい」。

リスニングは、「最初からレベルの高いスピードの速いものを聴くこと」
「リスニングは、筋力トレーニングと一緒」。
最初からレベルの高いものでトレーニングすることで、
リスニングの筋力がアップする。
できれば毎日一時間必ず聴くこと。
「週に1回は初級レベルのリスニングを聴く」。
実力がついたことが実感でき、さらに勉強しようとする意欲に。

大手メーカーなどでビジネス英語の講師を務める中村澄子氏は、
「自分に何が必要なのかをきちんと把握すること」と強調。
ビジネス英語であっても、会話なのか文章作成なのか、
「TOEIC」などのテストの点数を取ることなのか、目標をはっきりさせる。
半年から1年程度の計画で、1週間単位で細かくやるべきことを決め、
スケジュールを作成する。
多少のゆとりをもたせ、達成できるようにしよう。

社会人になりたてのビジネスマンが気をつけなければならないのは、
大学入試の延長で勉強してしまうこと。
「大学入試で必要な文法は難しいものが多く、実際のビジネスで役に立たない」

旅行用の英会話から初めてしまう人が多いが、これも間違いの勉強法。
ビジネスで使う英語と一般的な会話とでは、覚えるべき単語が違うケースも。
中村氏がビジネス英語の学習で勧めるのは、IR資料を読むこと。
「自動車」という単語は、一般的には「car」だが、
米国の自動車会社のIR資料では「vehicle」で統一。

企業で配属や昇進などの要件として、幅広く使われるTOEIC。
TOEICの具体的な勉強法について、中村氏は「執筆時期の古い問題集や
参考書はなるべく使わないほうがよい」
ビジネス関連の英語が増えてきているように、問題の傾向は年を経るごとに変化。

TOEICのリーディングは全体的に長文化しており、速読力が重要。
長文の英語を読む能力を付けるには、毎日読むことが大事。
毎日触れることで、前後の文脈から意味を類推する力が付くようになる。

長文は3分、4分など時間を区切って読むようにする。
タイマーではかり、自分の読むスピードを毎回意識することで、
読解力の向上につながる。

リスニングの勉強も繰り返し聴くことが大事で、「毎日2時間は確保したい」。
通勤の行きと帰りで1時間ずつ、というように時間を確保。
読み上げる文の縮小コピーも持って、そのコピーをみながら
ヒアリングすることが効果的。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz081021.html

科学立国の明日(3)優れた研究 劣る発信力

(読売 1月25日)

昨年12月10日夜、スウェーデンのストックホルム市庁舎で
盛大なノーベル賞晩さん会が開かれた。
正装の紳士淑女を見下ろすステージから、
日本学術振興会の小林誠理事が受賞者を代表して、
「宇宙には多くの謎が残っており、仲間と一緒に追い続けたい」とスピーチ、
翌朝の地元紙は「日の丸が祝宴を席巻」と報じた。

数ある賞の中でも、ノーベル賞は別格。
自然科学3賞で226人の受賞者を出している米国でさえ、大学などは、
輩出したノーベル賞学者の数を宣伝。

国や研究機関の威光を高めるだけでなく、現実的な利益も生む。
昨年の予算編成で、基礎研究を担う科学研究費補助金(科研費)が2%伸びた。
厳しい財政事情の中、塩谷立文部科学相も「ノーベル賞の効果」。
どの国も、ノーベル賞の「評価」を得ようと躍起。

政府は2001年、「50年間で30人のノーベル賞受賞者を出す」と打ち上げ、
ストックホルムに日本学術振興会の研究連絡センターを新設。
シンポジウムを開催したり、スウェーデン王立科学アカデミーとの
連絡窓口を務めたりして、学術交流を支援。
小野元之理事長は、「特別なロビー活動はしていない。
地道な学術情報の発信や交流がノーベル賞につながる」

ノーベル賞に大国の威信をかける中国政府は、
選考委員を国内に無料招待するなど、情報収集に力を入れる。
スキャンダルに発展するものもあり、昨年12月のノーベル賞授賞式直後、
スウェーデンのメディアなどは、「スウェーデン検察当局が、
汚職の容疑で予備的な捜査を始めた

選考委員らを招くのは、日本の大学なども同じ。
研究者の間では、「スウェーデンからシンポジウムの招待があれば、
断る科学者はいない」と言われるほど。

ノーベル賞の存在は、人口900万人の小国スウェーデンの「価値」をも高める。
日本は、優れた研究成果がありながら、情報の発信がまだ苦手。

ノーベル賞の選考は、研究者からの推薦で始まる。
ノーベル財団から推薦依頼が届くのは、約3000人と限られる。
ある国立大学教授は、「忙しい中、それなりの理由を挙げて
英語で推薦状を作るのは大変」
推薦の「特権」さえ、行使しきれていない。

内閣府幹部が01年、積極的な返信を呼びかけ、
「ノーベル賞の推薦状が机の引き出しで眠る現状は、
日本の研究評価の貧しさを物語る」と批判したが、
評価が根付かない風土は変わらない。

昨年10月、日本人としては史上3人目となる国際科学会議副会長職に
就任した東京大の黒田玲子教授は、
「外国の学者と対等につきあい、人脈を作るのが不得手な人が多い。
これでは、国際社会で日本の存在はアピールできない。
視野を広げ、社会や文化にもっと関心を持つことが必要

http://www.yomiuri.co.jp/science/tomorrow/tr20090125.htm

秋田県のポスドク先生は今

(サイエンスポータル 2009年1月26日)

1年前、秋田県教育委員会が初めて試みた教員特別採用で
教師の道を選んだ博士号取得者たちは、その後、どうしているのだろうか?

採用された6人(うち1人は非常勤講師)の1人、
瀬々将吏・秋田県立横手清陵学院高等学校教諭が、近況を報告。

秋田県教育委員会の新しい教員特別採用の試みは、
「39歳以下」と「博士」という条件だけで、教職課程修了の有無は問わない
というユニークなもの。

瀬々氏は、57人の応募者から選ばれた1人。
2003年に大阪市立大学で博士号を取得し、それまでは国立台湾大学で
ポスドク生活を送っていた。
素粒子論、とくに「ひも理論」と呼ばれる分野を専門。

採用時、ポスドク問題に関心のある人々の期待とともに心配の声も紹介。
「あたまでっかちな博士が送り込まれたとしても、
現場に迷惑がかかるだけではないか、という懸念も」
(NPO法人サイエンス・コミュニケーション代表理事、榎木英介氏)。

瀬々氏の巻頭言を読む限り、その心配はなさそうにみえる。
「一つの職員室に80名もの大所帯で、国語や社会、音楽など、
異分野の先生方とも距離が近くいろんな話ができます。
体育祭、運動会、文化祭などのイベントがもりだくさんで、
指導教科とは関係のないところでも活躍の場がたくさんあります。
専門分野だけではなく、いろいろなことに興味のある方なら
きっと楽しめる環境だと思います」

高校教育の現場に、抵抗なくとけ込んでいる様子がうかがわれる。
主な仕事は、「他の高校や中学に出向いての『出張授業』」というが、
肝心のこちらの方はどうか。
「専門のひも理論・素粒子論・宇宙論の授業のほか、
環境問題や通常の理科実験の授業も依頼に応じて行っている」というから、
高校生にとっては興味深いだろうが、なかなか手強い授業だと想像。

いまの中等教育の課題は、生徒の『学びへのモチベーション』を
いかに喚起するか、ということに尽きる。
高校にアカデミックな態度と雰囲気を持ち込んで、
生徒をその気にさせる存在として、ポスドク出身の方々がこれからも
おおいに活躍できることを期待しています」。

この結語に力づけられて、高校や中学の先生を目指す理工系の
博士号取得者が増えるだろうか。
秋田県に続いて、同じ教員特別採用を取り入れるところが出てこなければ、
どうにもならないが。

http://scienceportal.jp/news/review/0901/0901261.html

ピロリ菌の新たな胃がん発症メカニズム解明

(サイエンスポータル 2009年1月22日)

慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍や胃がんの原因と考えられているピロリ菌が、
がんを引き起こす新たなメカニズムを、東京大学医科学研究所の
研究者たちが見つけた。

胃粘膜に感染することで、病気の原因となるピロリ菌の危険因子としては、
CagAタンパクが知られている。
このタンパクが、胃上皮細胞内でリン酸化される結果、
細胞増殖にかかわる活性化補助因子であるβ-カテニンが
発がん関連遺伝子の転写を促進することは、これまでも分かっていた。

東京大学医科学研究所の笹川千尋・教授と鈴木仁・助教らは、
CagAタンパクがリン酸化されなくても、β-カテニンを活性化する
新たな発症メカニズムがあることを突き止め、
この新たな経路にかかわるCagAタンパクの部位を特定することに成功。

リン酸化されないCagAタンパクの感染役割が分かったことで、
日本人の胃がん原因の大半を占める慢性胃炎や胃潰瘍といった
ピロリ菌感染症に対する新たな治療薬やワクチン開発につなげることが期待。

科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)
研究領域「免疫難病・感染症等の先進医療技術」の一環。

ピロリ菌を発見し、胃炎や十二指腸潰瘍との関連を明らかにした
オーストラリアのロビン・ウォレン、バリー・マーシャル両博士は、
2005年のノーベル医学生理学賞を授賞。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0901/0901221.html

2009年2月2日月曜日

百度の失策、グーグルに好機到来?

(日経 2009-01-22)

中国ネット検索市場で、圧倒的首位を長らく維持してきた
百度(バイドゥー)の足元が揺らいでいる。
2008年11月、国営の中国中央テレビ(CCTV)が、百度の検索結果リストに
表示されるサイトには、無免許の医薬品販売業者が多く含まれ、
免許を持っているかのように偽っている業者もあると報道。
それをきっかけに、ネット利用者の反発を買っている。

米ナスダック市場で、同社の株価は報道前の180-230ドルから
報道後は110-140ドルに落ち込み、今も同水準で低迷。
百度は、不適切と思われるサイトを検索対象から除外したと発表、
信頼回復を目指した。

ところが、除外したサイトからの広告料収入が百度の売上高全体の
10-15%を占めていたと公表、同社に対する不信感がかえって強まった。
キーワードを買っている広告主のリンクほど、検索結果の上位に
表示されるように検索エンジンを調整し、利用者がクリックする確率を
上げることで、広告料収入を最大化。
百度は、検索で広告主と一般サイトを差別していないと否定するが、
なかなか批判が収まらない。

こんな疑念が生まれる素地は、広告リンクと一般サイトが検索結果本体に
同列に並んで表示される、百度の検索サービスの特徴そのものにある。
広告リンクは、検索結果本体の上位に並んでいれば、
利用者が重要なサイトだと判断して、クリックする確率が高くなる。
明示されてはいても、混然と並んでいれば利用者には区別しにくい。

米グーグルや日米ヤフーのように、広告リンクは「スポンサーサイト」などと
題した画面上部や右端のコーナーにまとめて並べる方式だと、
とたんにクリックされる確率が下がる。
無名企業の広いリンクだった場合、どの程度重要なサイトなのか
消費者は判断できないので、クリックへのハードルは高くなる。

グーグルやヤフーは、純粋な検索結果を表示することで
消費者の支持を獲得する戦略を採用し、その路線で検索事業は収益的にも成功。
だが、百度がこの分離モデルに切り替えると、
当然ながら広告リンクのクリック率が下がり、広告収入が落ち込む恐れ。

広告リンクと一般サイトを同列表示させる方式への批判が高まったのに応え、
百度は広告リンクを別枠で表示する方式の実験を始めた。
だが、検索結果本体内への広告リンクの表示も続けている。
完全に分離するかどうかは分からない。

北京在住のある中国人投資家は、「収益を考えると、百度が広告と本体の
完全分離を実行するのは容易でない。中国のネット検索市場には、
米グーグルをはじめ2番手集団が百度を追い上げるスキがある」

グーグルは、08年夏から音楽配信サービスをメニューに加えるなど、
中国市場への最適化戦略を加速。
それでも、百度のシェアはなかなか揺るがなかったが、
願ってもない敵失に恵まれた格好。
「東アジアで勝てないグーグル」という呪縛から逃れ、
世界最大のネット利用人口を擁する市場でトップをうかがうポジションを築けるか。

前出の投資家は、「中国政府は、絶対米企業をトップにはしないので、あり得ない」
しばらく中国のネット検索市場からは目が離せない。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt090121.html

現場再訪(12)民間校長 改革は続く

(読売 1月24日)

民間出身で公立学校長を経験した人材が、新たな道を歩んでいる。

「ひとはいざ こころもしらずふるさとは はなぞむかしの かににおいける」
三原徹校長(60)が、紀貫之の歌を読み上げると、
札を取る3年生の元気な声が教室に響いた。
私立東京女学館小学校(東京・広尾)で、
道徳の時間を使って行われた百人一首の授業。

同小には、日本人女性としての品性を身につけるため、茶道、華道、
着付け、日本舞踊、お箏など伝統文化を学ぶ時間がある。
百人一首は、以前から校長の担当。
ベネッセコーポレーションから転じて東京都足立区立五反野小の校長を4年務め、
昨春、女学館に招かれた三原さんも、その役割を引き継いだ。

歴史ある私立校への再度の転身。
「1年はまず様子見」と前任者の敷いたレールに乗ってきた。
まもなくその1年が終わる。
「伝統校でも、年ごとの課題は必ずあるはず」と、
新年度からの学校経営計画を作るため、
年明けから保護者に提案や意見を求めている。

「私学に通わせる保護者の期待は大きいはずだが、
口に出して言ってもらう機会が少ない。
私の役割は、学校と社会、教員と保護者の論理の落差を埋めていくこと」
その姿勢は、五反野小時代と変わらない。

同小の後任校長は、三原さんを副校長として2年間支えた土肥和久さん(49)。
民間出身ではないが、「後を託すならこの人」と三原さんが見込んだ逸材。
定年まで1年を残して三原さんが退職したのも、土肥さんの内部昇格を促すため。
地域住民らが学校運営に参画するコミュニティスクールの制度を
十分に生かした学校運営を続けている。

リクルート出身で、東京都杉並区立和田中学校長としての5年間に、
様々な改革を進めた藤原和博さん(53)は、
「公立学校を変えるためには、もっと民間出身校長を増やすべきだ」

昨年、大阪府特別顧問に招かれ、大阪の教育改革のために飛び回る。
藤原さんの提唱で、今春には、府内の義務教育学校では初めて、
寝屋川市内で民間出身の中学校長が誕生。
パナソニック出身の牧野一徳さん(57)。

東日本では、三原さんと同じベネッセ出身の水野次郎さん(51)が
千葉県立高校の教頭として修業中で、今春、校長に就く。
ベネッセ退職後、伊豆でプチホテルを経営、漁師の息子である高校生が
主人公の小説を書き、文学賞も受賞したユニークな人材。

教員免許を持たなくても、教育関連の仕事の経験がなくても、
公立学校の校長になれる制度が始まったのは2000年。
この制度で生まれた民間出身校長は、ピークの05年に92人を数えた。
その後はやや減少傾向に。
起用した自治体による効果の検証も十分ではない。

民間出身の校長起用が、「校長にふさわしい人材とは何か」を、
今も問い続けていることは間違いない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090124-OYT8T00323.htm

スポーツ21世紀:新しい波/291 武道の必修化/9

(毎日 1月24日)

12年度から中学校の保健体育で武道が必修化されることに伴い、
文部科学省は新年度予算案に自治体が整備する公立中学校の
武道場の補助費として、40億2600万円を計上。
中学校に武道の環境をどう整備するかは、大きな課題。

全日本弓道連盟では、弓道を授業で採用している中学校を調査しているが、
現在把握しているのは東京都と山口県の2校のみ。
全国には、1300カ所余りの弓道場があるものの、
弓道場を持つ中学校は少ない。

弓矢は竹で作られ、10万円以上する弓もある。
初心者には、グラスファイバーの弓やジュラルミンの矢など
比較的安価な製品もあり、5万~6万円で一式をそろえることもできる。

しかし、中学生用に作られたものはなく、重さや長さから扱いも難しい。
大手スポーツ用品メーカーが大量生産する体制にないため、
数もそろえにくいのが現状。

全日本弓道連盟の担当者は、「今後は、弓具店を統括する全日本弓道具協会と
話し合い、中学生にも使いやすい弓具を研究したい」
初めて弓道に接する中学生の体力や技術に合った、
安価な用具の開発も求められている。

元中学校教員でもある栃木県弓道連盟の桑田秀子会長は、
「弓道場がなくても、体育館に仮設で道場をつくることはできる。
矢が飛んで行った時の危険防止は、バレーのネットに防矢布を張ればいい。
競技者に古い弓矢を提供してもらったり、弓道部のある中学校や高校で
使用していない用具を貸し借りしたり、工夫次第で何とかなる」

桑田会長は、「何より重要なのは指導者です」と強調。
全国には、錬士など指導資格のある登録者が6000人以上いる。
しかし、保健体育科の教員に弓道経験者は少ない。
地域にいる指導者の派遣は不可欠といえる。

文科省は、地域連携指導実践校に全国470校を指定し、
4億9400万円の予算を見込む。
「施設」、「用具」、「指導者」の三つの課題を克服するには、
武道の現場を知る指導者たちの知恵が必要だ。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

カロリー制限で中高年の記憶力向上

(読売 2009年1月27日)

健康な中高年が摂取カロリーを制限すると、記憶力が向上するという
実験結果を、独ミュンスター大学の研究チームが、
米科学アカデミー紀要電子版に発表。

やせ過ぎていない50-79歳の男女49人を3グループに分け、
19人にはカロリー摂取量をふだんより30%減らしてもらった。
別の20人は、認知症の予防に役立つという説のある不飽和脂肪酸の摂取を
ふだんより20%増量し、残る10人は従来の食生活を続けた。

実験前と3か月後に言葉を覚えるテストを行った結果、
カロリーを抑えた19人の点数は約20%も上昇。
他の2グループは、成績に変化が見られなかった。
カロリー制限によって、体内の血糖値を調整するインスリンが
効きやすくなった人ほど、成績の伸びが著しかった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/1/27/90466/

2009年2月1日日曜日

オバマ流スピーチ術 トップも学ぶ

(日経 1月27日)

バラク・オバマ氏(47)が米大統領に就任した。
大統領選中から演説上手で知られるオバマ氏。
日本でも、演説集がベストセラーになるなど注目。
人や組織を動かす言葉の力の秘訣は——。
オバマ流のスピーチのコツを、ビジネスの場で活用している
若き経営者たちに聞いた。

「この人間は信じられる、と思わせるのがオバマ氏の力」と、
グリーの田中良和社長(31)。
SNS(交流サイト)を運営し、昨年12月に東証マザーズに上場。
投資家や取引先などとの会合では、
「真剣に考えて、これが結論だと信じることを話す」のを信条。

一介の州議会議員から一躍、名を上げた2004年の党大会基調演説で
オバマ氏は、「父はケニアでヤギを世話して育ち……」と貧しい生い立ちを語り、
自由と機会の国米国が持つ希望を強調。
「単なるお金もうけではなく、いいサービスをしたいから
会社が始まったストーリーを話す」(田中さん)。
人間味のあるエピソードは、話の印象を強める効果がある。

田中さんは、繰り返すことの重要性も挙げる。
「繰り返しになるが」と前置きし、毎週月曜の全社会議で
「いいサービスをしよう」と社長メッセージを発信。
10回言って1回伝わるかどうか、と心得て決して軸をぶらさないことが、
信頼性につながる。

価格比較サイト運営のベンチャーリパブリックの柴田啓社長(43)は、
親世代の個人投資家を前に、「皆様からすれば息子のような者ですが」と
切り出した。会場から思わず笑みがこぼれる。
昨年11月の投資セミナー。
その3カ月前に大証ヘラクレスに上場し、知名度不足は否めなかったが、
笑顔とユーモアで場をなごませた。

起業前に留学した米ハーバード大学ビジネススクールでは、
人種の異なる級友に分かりやすく説明する訓練を積んだ。
要点は、「論理の流れ」。
準備段階で聞き手が誰かを考え、身近に感じてもらえるテーマを設定。
内容をトピックごとに紙にし、順番を入れ替えて起承転結を練る。
結論を言ってから裏付けを展開するのが米国流。

本番では、壇上を動き回ったりスライドをポインターで指すなどの
「動き」を取り入れている。
オバマ氏が見栄えする一因は、「まっすぐ立つ姿勢にある」、
情熱を表すためキビキビした動作を心がけている。

衣類や雑貨の電子商取引(EC)サイト運営のイメージング(東京・目黒)を
率いる池本克之社長(43)が、オバマ氏に着目したのは昨年春。
予備選で各州を制すると、体全体で喜びを表現するものの、
はしゃぎすぎることがない。
対立候補のヒラリー氏に、厳しい言葉で非難されても感情的にならない。
「感情コントロールのうまさ」は、ビジネスにも生かせる
学者と共著で「オバマ『勝つ話術、勝てる駆け引き』」(講談社)を出版。

共和党のマケイン候補を下した08年11月の勝利演説で、
オバマ氏は「この勝利が誰のものかを私は決して忘れない。
それはあなた方のものだ。あなた方のものなのだ」と畳みかけた。
簡潔な言葉でも熱く伝わるのは、聞き手を巻き込む
「連帯の言葉を大切にしているから」

選挙戦を通じて発し続けた「Yes we can」のメッセージが、
もし「Yes I can」だったら、国民の熱狂はなかったとも指摘。
会議では一方的に話さず、「一緒に考えたい」という姿勢を示すことも重要。

1月20日の就任演説で、オバマ氏は顔をできるだけ左右に振り、
200万人の観衆に視線を行き渡らせた。
これも応用可能で、部屋の四隅を順に見るのがお勧め。
「人民の人民による人民のための政治」(リンカーン)など
米大統領には名句が多い。
単なる語呂合わせや実力とかけ離れた空回りにならないよう注意。

ベストセラー「オバマ演説集」(朝日出版社)の解説を執筆した
鈴木健・津田塾大学准教授に聞いた。

就任演説で、オバマ氏は「60年前、地元のレストランで食事をさせて
もらえなかったかもしれない父を持つ男」と自身に触れた。
パーソナルな物語ではじめて、全米の物語で締める。
多民族国家の米国で、オバマ氏自身が融合の象徴。
話し手自身が、演説の中身を証明する技巧を使っている。

最初と最後が大事だ。
「変化」、「希望」と最初に分かりやすい概念を提示し、次に具体的に展開して、
最後に決めのクライマックスを作る構成がうまい。
ネット時代になり、人の注意が持続する時間はいっそう短くなった。
簡潔な言葉を繰り返すのは、的を得ている。

主語の使い分けも戦略的。
歴代大統領では、ニクソン氏が「私」を繰り返して独善的な印象を与え、
ブッシュ氏が「我彼」の2分法で世界を分断したのに対し、
オバマ氏は「あなた」や「我々」を勘所よく使った。

聴衆と同じ目線に立つ姿勢が、共感を得ている。
ヒラリー氏は、自らの優秀さを誇る上からの目線。
オバマ氏は「こう言います、願います、信じます」のように
3回繰り返すテクニックも多用。
リズムが生まれ、聴衆の注意を引きつける。
これらのレトリック(言語表現の技)は、小さいころから人前で話す
訓練を積む国語教育が土台に。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090127.html

現場再訪(11)山の生活 子供に自信

(読売 1月23日)

山村の小さな学校が、不登校の生徒の心の扉を開き始めた。

ヘルメットをかぶり、軍手をはめ、長靴をはいた何人かの生徒が、
初体験のチェーンソーと格闘。
硬い幹に刃を当てても、簡単にはね返される。
足場は急斜面で、ひっくり返る生徒が続出。

「油断すると大けがをするから、くれぐれも気を付けて」と声をかけるのが、
「どんぐり向方学園」の学園長、中野昌俊さん(65)(名古屋経済大教授)。
生徒が失敗を繰り返しながら木を切り倒すと、
「すっげえ」「びびった」といった声とともに、「次は自分が」と手が挙がった。

人口約1800人、長野県最南端の天竜村にある学園で、
昨年11月に行われた林業体験。
「ほかの学校ではこんなことはさせないだろうが、ここではあえてさせる。
危険は体験しなければわからない」と中野さん。
教員とともに林業を営む住民も立ち会い、安全には気遣いを欠かさない。

開校は2005年。NPO法人が母体。
不登校経験など様々な事情を持つ小学6年から中学3年までの15人が、
寮生活をしながら学んでいる。
教科学習は午前だけで、午後は体験学習中心。
イネを育てたり、山で植林をしたり、自然に直接触れる課題を取り入れてきた。

「自然は思い通りにいかない。失敗することで工夫を考える。
1人で無理なら仲間と協力する。社会性が身につき、自立する」
という中野さんの考えからだ。
ゲームや携帯電話に没入することを子供に許し、子供を危険から遠ざけている
社会に警鐘を鳴らす。
「自分はできるという自信を獲得する体験の場がない。
子供たちに今それが必要です」

大阪府出身で、入学して2年の森田廉平君(13)(中学2年)は
「外での体験学習が楽しい。自分のやりたいことも自分で計画さえすれば、
やらせてもらえる。来て良かった」と笑顔を見せた。

我が子を送り出すことに親側の抵抗感が大きい。
昨年4月~11月まで、1週間の「体験入学」には16人の子供が参加したが、
入学者は8人にとどまった。
途中で転校する子もいる。それでも、3年間で22人が卒業。

昨春の卒業生、竹居賢治さん(16)は、不登校経験者だが、
今は都内の高校に元気に通う。
「自然に触れたことは全くなかったので、毎日が刺激的だった。
体験しないとわからないことが世の中にたくさんある。
今では教室の勉強がすべてではないと、自分を切り替えられる」

校舎は、廃校になった小学校を村から無償で提供され、
寮も村の予算1億円で建設。
学校法人を作ったことで、県からは年間1000万~1500万円を受け、
寄付も年間約300万円。
「経営的に安定はしているが、施設補修やIT環境の整備など、
積極的な施設整備はできない。児童生徒数は30人程度が目標だ」
開校時から生徒数は横ばい。まずその増加が課題のようだ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090123-OYT8T00235.htm

iPS細胞“100倍”作製…特殊たんぱく質で効率向上

(読売 2009年1月27日)

様々な細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)の作製効率を、
山中伸弥・京都大教授らによる従来の手法より、
最大で100倍以上高めることに、
バイオテクノロジー企業「タカラバイオ」の研究チームが成功。
日本再生医療学会で発表。

すでに特許を出願、3月にも「iPS細胞作製キット」として発売する予定で、
創薬や再生医療の研究を加速させそうだ。

2006年、4遺伝子からiPS細胞を作ったと発表した山中教授らは07年、
発がん性がある「c-ミック」を外した3遺伝子での作製に成功したが、
効率は大幅に低下。
ヒトの場合、1株のiPS細胞には元の皮膚細胞が2万-10万個必要で、
研究進展のため作製効率の向上が求められていた。

タカラバイオは、自社開発した遺伝子治療の技術を応用。
遺伝子を細胞へ運ぶ役目をするウイルスに、
人の細胞同士をくっつけているたんぱく質の一部を改良した
「レトロネクチン」という特殊なたんぱく質を加えて導入効率を高め、
2万個の皮膚細胞からiPS細胞が10-30株できた。

レトロネクチンは、がんなどの遺伝子治療で、必要な遺伝子をリンパ球に
効率よく導入する試薬としてすでに商品化。
同社は、iPS細胞作製に使う3遺伝子を組み込んだウイルスとセットで
発売する方針、京大が設立した特許管理会社「iPSアカデミアジャパン」と交渉中。

タカラバイオの加藤郁之進社長(理学博士)は、
「iPSを扱える研究者が一気に増え、難病の解明や新薬の開発が
大きく進むだろう」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/1/27/90455/

ポリオ撲滅に6億ドル超 ゲイツ財団などが投入

(共同通信 2009年1月23日)

国際ロータリー、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、英国とドイツの
両国政府は、ポリオの撲滅に必要な資金を新たに
6億3000万米ドル以上投入すると発表。

アフリカとアジアの一部の地域では、子供たちが、麻痺障害の後遺症を
もたらし、時には命をも奪うポリオ(小児麻痺)の危険に。
撲滅支援のリーダーは、資金投入の約束に加え、
ほかの団体や国にも寄付を呼びかけ、
ポリオ感染国の指導者に対しては撲滅活動を積極的に支援するよう働きかけた。

ゲイツ財団は、ポリオ撲滅のため、ロータリーに2億5500万ドルの補助金を授与。
ロータリーは、今後3年間に会員からの募金で1億ドルを調達し、
この補助金に上乗せしてポリオ撲滅に投入。
同時に、英国政府からも追加の1億5000万ドル(1億ポンド)、
ドイツ政府からもさらに1億3000万ドル(1億ユーロ)が、
いずれも世界ポリオ撲滅推進計画(GPEI)に寄せられた。

今後5年間の英国とドイツからの寄付は、ゲイツ財団補助金へのロータリーによる
上乗せ寄付には算入されない。

世界ポリオ撲滅推進計画(GPEI)の主導団体であるロータリーは、
主に資金の調達、政府や民間への支援の働きかけ、
ボランティアの動員といった役割を引き受けている。
人道的奉仕団体であるロータリーが、国際協議会において行われた。

ゲイツ財団共同理事長であるビル・ゲイツ氏は、
「ロータリアン、各国の指導者、保健専門家といった方々の
懸命な努力のおかげで、ポリオを患う子供の数は、
世界でもほんのわずかとなった。

しかし、ポリオウィルスの完全な根絶は難しく、今後も難を極めることだろう。
撲滅という目標に、私自身が深くかかわるようになったのは、
撲滅を目指して努力を傾けるロータリーのひたむきな姿に
深い感動を覚えたことが大きな理由である」

ジョナサン・マジィアベ・ロータリー財団管理委員長は、
今回のゲイツ財団との提携がポリオ撲滅のほかの協力者にとって刺激となり、
今後さらに支援が増えるだろう。
「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の支援の下、世界中で最も恐れられてきた
この病の撲滅まで、あと一歩。
ロータリーとゲイツ財団による共同の資金投入により、
各国政府や非政府団体も支援に前向きになり、
ポリオの根絶に必要なリソースがさらに寄せられることになるだろう」

英国のダグラス・アレクサンダー国際開発相は、
「英国政府からの1億ポンドの寄付誓約は、ほかの支援者から寄せられた
資金とともに、この病を世界から撲滅するための闘いを大きく後押し。
感染リスクの高い国では、予防接種の回数を増やすなどの対策を取っており、
新たな感染者数を減らす上で大きな進展を見せている。
ポリオ撲滅を完遂する大きなチャンスを迎えた今、今回の資金投入により、
麻痺障害をもたらすこの恐ろしい病で、これ以上、発展途上国の人々が
苦しむことはなくなるだろう」

ポリオ撲滅活動は、現在も資金不足の問題を抱えており、
撲滅を実現するにはこの不足を埋めなければならない。
今回の新たな資金提供、カナダ、ロシア、米国政府からの寄付を合わせても、
2009-2010年度の不足額は3億4000万ドル。

ドイツ政府からも新たな寄付が予定。
ドイツのハイデマリー・ヴィチョレク・ツォイル経済協力開発相は、
「先進主要8カ国は、ポリオ撲滅に必要なあらゆる手段を講じることを
これまでに何度も約束した。
ドイツは、この約束を守るために多額の寄付を行ってきた。
世界の子供たちをポリオから守るため、
現地の保健員が必要なサポートを得られるよう、
わが国は、資金不足の問題解決をほかの国にも呼びかけている」

ポリオは、アメリカ大陸、西太平洋地域とヨーロッパから完全になくなった。
野生型ポリオウィルスは、アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタンに
根強く残っているほか、これらの国から流入したウィルスによって、
ほかの発展途上国でも感染者が出ている。

最も深刻な課題を抱えているのはこれら4カ国であり、
こうした課題には、ワクチンの有効性の問題(インド)、
予防接種率の低さ(ナイジェリア)、
紛争により現地での活動が困難な状態(アフガニスタンとパキスタン)。

撲滅実現は、これらの各国の取り組み姿勢にかかっている。
国規模の全面的な取り組みがあれば、こうした課題は克服が十分に可能。
ロータリー、世界保健機関(WHO)、米国疾病対策センター、
ユニセフの主導の下、1988年に開始された世界ポリオ撲滅推進計画(GPEI)は、
過去20年間にポリオ感染数を99%減らすことに成功、
1988年の約35万人から、2008年の1600人(推定)にまで減少。

世界ポリオ撲滅推進計画は、今回の新たに提供された資金を、
幅広い撲滅活動へと充てていく予定。
WHOのマーガレット・チャン事務局長は、
「残る常在4カ国のあらゆるレベルからのさらなる協力の下、
今回の新たな資金投入は、残されたポリオ常在4カ国の政府が
全児童にポリオ予防接種を行う妨げを克服するために、
われわれがまさに必要とするものである」。

ポリオを完全に葬ることが、極めて重要。
この病によって、子供が麻痺障害を抱えなくて済むという理由に留まらない。
どこに住んでいようとも、どんなに困難で過酷な環境にあっても、
すべての子供たちの命を救う医療を行うことができるメッセージになる」

同事務局長は、2008年、ポリオ撲滅をWHOの最優先活動にすることを宣言。
ゲイツ財団からの補助金は、同財団からロータリーに贈られた2回目の補助金。
最初の補助金は2007年11月に授与、
ロータリーは同額を上乗せしてポリオ撲滅に寄付することに同意。

上乗せ資金を募金するための活動は、
「ロータリーの2億ドルのチャレンジ」と名づけられ、
既に世界中のロータリー・クラブが募金活動に全力をあげている。
最初のゲイツ財団補助金が発表されて以来、ロータリーはこの目標に向けて
6000万ドル近くを集めている。
献身的な活動を高く評価したゲイツ財団は、2回目の補助金を提供。
ロータリーは、rotary.org/endpolioでポリオ撲滅について学び、
「ロータリーの2億ドルのチャレンジ」に支援を寄せてもらうため、
一般の人々にも協力を呼びかけている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/1/23/86993/