2009年2月4日水曜日

インタビュー・環境戦略を語る:郵便事業会社・北村憲雄会長

(毎日 1月26日)

日本郵政グループは、07年10月の民営化の際に環境ビジョンを定め、
二酸化炭素(CO2)の排出削減に取り組むことを打ち出した。
郵便・物流部門を担当し、グループ内でも特に多くのCO2を排出する
郵便事業会社は、どのような削減策を進めているのか。
北村憲雄会長に聞いた。

-昨年12月から電気自動車の実証実験を始めた。

◆郵便事業会社は、郵便物の集配などに使う軽貨物自動車を
約2万2000台、トラックを約2000台保有。
これだけの車を持っているのに、環境対応に取り組まなければ、
企業としての姿勢が問われてしまう。
軽貨物を、CO2削減効果の高い電気自動車に切り替えていく方針を
昨年5月ごろに決めた。トラックは、ハイブリッド車を中心にする。

-電気自動車の本格導入はいつごろ?

◆軽貨物の電気自動車は開発途中。
郵便事業会社が導入に手を挙げたことで、メーカーの開発が加速すればいい。
完成すれば、徐々に電気自動車に切り替えていく。
水素自動車など他の環境対応車を採用することも検討。
都市部を中心に、リヤカー付き電動アシスト自転車の導入も始めた。

-電気自動車の普及には、充電装置の整備が欠かせない。

◆将来、郵便事業会社の支店がある全国の郵便局に急速充電装置を設置し、
一般の人にも利用してもらう。

-省エネ運転活動も進めている。

◆全事業所を対象に3カ月単位で、ガソリン使用量をどれだけ減らせるか
競わせている。その結果、昨年4~10月のガソリン使用量が
前年同期より1・4%減った。
元々、ガソリン代の削減が主目的だが、CO2削減にもつながっている。

-他にどのような取り組みを?

◆物流業は、段ボール箱を大量に廃棄する。
もったいないので、初期費用はかかるが、100回は再利用できる箱を使い始めた。
社会貢献の一環として、郵便ネットワークを生かし、昨年から店頭で
プリンターの使用済みインクカートリッジを回収。
書き損じで交換した郵便はがきは、段ボールの原材料にしたり、
いろんな形で再利用。
郵便事業会社は紙の使用量が多いので、09年度に前年度比2割程度削減したい。
そのため、社内のコピー機の台数を少し減らそうと思う。

-どのくらいのCO2削減を目指すか?

◆日本郵政グループ全体で、CO2排出量を12年度までに06年度比で15%、
年間25万トン減らす目標。
郵便事業会社としては、12年度までに年間8万トン削減するのが目標。
==============
◇きたむら・のりお

鹿児島大卒、67年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。
イタリアトヨタ社長などを経て、06年9月、日本郵政取締役。
07年10月から現職。福岡県出身。67歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/26/20090126ddm008020027000c.html

0 件のコメント: