2008年1月12日土曜日

地球温暖化防止:提言グループ設立 サッカー日本代表監督・岡ちゃん、環境アシスト

(毎日 1月12日)

太陽光や風力、地熱など「再生可能エネルギー」を
もっと生かして地球温暖化を食い止めようと、
サッカー日本代表の岡田武史監督や女優の竹下景子さんらが、
政策提言グループ「地球環境イニシアティブ(GEIN)」を設立。

岡田監督を代表に、作家の倉本聡さんやシンガー・ソングライターのイルカさん、
ヤクルトスワローズ前監督の古田敦也さんら12人が発起人。
代表は、NPO「富士山を世界遺産にする国民会議」運営委員長の小田全宏さん。

約2%にとどまっている再生可能エネルギー導入率を、2050年に50%に高め、
化石燃料や原子力発電依存からの脱却を呼びかけるのが狙い。

岡田監督は、「僕らは子供たちに何を残していけるのか。
今(電気を)使うため、1万年もなくならない放射性廃棄物を
残すのは違うんじゃないか」と設立の目的を説明。

発足大会を3月23日、東京・日比谷公会堂で開き、
具体的な政策提言を発表して賛同者を募るという。

http://mainichi.jp/life/ecology/news/20080112ddm041040008000c.html

マクロファージでのToll様受容体シグナル伝達は自食作用経路を貪食作用に関連させる

(nature 2007年12月20日号Vol.450 No7173 / P. 1253-1257)

細胞外微生物の除去にかかわる貪食作用と、
細胞質内に侵入した微生物の破壊にかかわる自食作用は、
2つとも古くから高度に保存された過程。

自食作用では、細胞内の新陳代謝と微生物除去のどちらにおいても、
自食胞(オートファゴソーム)と呼ばれる二重膜構造が形成され、
次いで自食胞とリソソームとの融合による内容物の分解が行われる。
後者の過程は、食胞(ファゴソーム)の成熟と類似。

Toll様受容体(TLR)にリガンドが結合すると、食胞の成熟促進など、
食細胞内のさまざまな防御機構が活性化され、自食作用も誘導される。

我々は、TLRシグナル伝達は、これらの過程を関連させて
従来の食胞機能を高めている可能性があると考えた。
本論文では、マウスのマクロファージ上のTLRに結合する粒子は、
貪食されると、自食胞マーカーLC3を、自食経路のタンパク質である
ATG5とATG7に依存的に急速に食胞に移動させる引き金となることを示す。

この過程より先に、ベクリン1の食胞への移動と
ホスホイノシチド-3-OHキナーゼの活性化が起こる。
ベクリン1とLC3の食胞への移動では、従来の自食胞の特徴である
二重膜構造は認められなかったが、
食胞とリソソームとの融合に関連しており、
これによって急速な酸性化が誘導され、
取り込まれた微生物に対するキラー活性が高まった。

[原文]
Toll-like receptor signalling in macrophages links the autophagy pathway to phagocytosis

Miguel A. Sanjuan1, Christopher P. Dillon1, Stephen W. G. Tait1, Simon Moshiach2, Frank Dorsey3, Samuel Connell1, Masaaki Komatsu4, Keiji Tanaka4, John L. Cleveland5, Sebo Withoff1 & Douglas R. Green1
1. Department of Immunology,2. Department of Tumor Cell Biology, and,3. Department of Biochemistry, St Jude Children's Research Institute, Memphis, Tennessee 38105, USA 4. Laboratory of Frontier Science, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8613, Japan 5. Department of Cancer Biology, The Scripps Research Institute, Jupiter, Florida 33458, USA

Phagocytosis and autophagy are two ancient, highly conserved processes involved, respectively, in the removal of extracellular organisms and the destruction of organisms in the cytosol1, 2, 3. Autophagy, for either metabolic regulation or defence, involves the formation of a double membrane called the autophagosome, which then fuses with lysosomes to degrade the contents4, a process that has similarities with phagosome maturation. Toll-like-receptor (TLR) engagement activates a variety of defence mechanisms within phagocytes5, including facilitation of phagosome maturation6, and also engages autophagy7. Therefore we speculated that TLR signalling might link these processes to enhance the function of conventional phagosomes. Here we show that a particle that engages TLRs on a murine macrophage while it is phagocytosed triggers the autophagosome marker LC3 to be rapidly recruited to the phagosome in a manner that depends on the autophagy pathway proteins ATG5 and ATG7; this process is preceded by recruitment of beclin 1 and phosphoinositide-3-OH kinase activity. Translocation of beclin 1 and LC3 to the phagosome was not associated with observable double-membrane structures characteristic of conventional autophagosomes, but was associated with phagosome fusion with lysosomes, leading to rapid acidification and enhanced killing of the ingested organism.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200712/nature/7173/02.html?Mg=a73604122dc63deaeab2f8015c4bed51&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag

パーソナルトレーナー:目的に合わせ指導 一対一で効率よく、肩こりや腰痛の悩み改善

(毎日 12月27日)

スポーツクラブなどで、「パーソナルトレーナー」とは?
トレーニングを一対一で指導してくれるスペシャリストのことだが、
まだ敷居が高いイメージも。

フィットネス関連の専門誌「NEXT」編集長、岩井智子さん(40)によると、
パーソナルトレーナーは、体力づくりや減量、シェイプアップなど、
各人の目的に合った運動メニューを作成し、運動方法の指導や補助。
米国では20年以上前から始まった。
当初は、映画スターなど特別な人のためだったが、今ではごく普通に利用。
日本ではなかなか普及が進まなかったが、2~3年前から
大手スポーツクラブがトレーナーを置き、利用する人が増えてきた。
トレーナーの中から、目的や希望の時間帯など選べるシステムが多い。

国家資格はないが、米国の日本支部や国内の団体が認定制度を持つ。
NPO法人や専門学校が養成コースを開設、
社内認定制度を持つスポーツクラブも。
「知っているクラブのスタッフが、認定制度でパーソナルトレーナーになり、
気軽に依頼できるようになったことも、広がってきた理由の一つ」。

パーソナルトレーナーにつくメリットは、
自分の目的に合った効率的なトレーニングができること。

「やみくもにトレーニングしても効果は上がりにくい。
トレーニングマシンを使う時、自分はこれくらいの負荷がよいと思っても、
もっと重いほうが適していることもある」。
マシンの持ち方を少し変えるだけで、効果が違う。

パーソナルトレーナーを選ぶ際は、「技術の高さや知識量より、
楽しくトレーニングできる人が大事。話をよく聞いてくれ、
体の状態などをきちんとチェックしてくれる人がお勧め」。

慢性的な肩こり、腰痛に悩まされている記者。
何とか、トレーニングで改善できないだろうか?
20年の経験を持つパーソナルトレーナーで、養成学校も経営する
尾関紀輝さん(40)に指導してもらった。

まず、立った時の姿勢をチェック。
足首の角度が直角になっておらず、体のバランスがやや後ろに傾く。
骨盤も後ろに傾き、横から見ると本来はゆるやかなS字カーブを
描かなければいけない背骨が、まっすぐに近い状態。
それを調節するため、首や肩が前の方に湾曲し、猫背に。
肩こりや腰痛の原因の、「体のゆがみ」を改善するため、
3種類のトレーニングを指導。

(1)前に湾曲した肩を矯正し、肩の可動域を広げる
腰の下に少し空気を抜いたボールを置き、あおむけに寝る。
両手にダンベルを持ち、腕を体と直角になるように広げ、
ダンベルを左右同時に上下に、また左右を上下逆方向に動かす。
脇を締め、ダンベルを持った手を左右に開くように動かす。

(2)骨盤の傾きを矯正し、背骨のS字カーブを適切な状態にする
うつぶせに寝て脚を少し広げ、ひざにベルトを巻く。
脚を広げる方向に力を入れながら手を前方に伸ばし、
肩甲骨を寄せるようにして体の脇に引く。

(3)鈍角になっている足首の角度を直す
片脚を伸ばして座り、トレーナーが足の甲を持って前に伸ばす方向に力を入れる。
それに逆らって、すねの方に戻す方向に力を入れる。

この日のトレーニング時間は約30分。
「いいよ。上手」など声かけで集中力を高め、やる気を出させてくれる。
肩甲骨を寄せる時も、場所を指で触れて示してくれたので分かりやすい。
立ち上がると、後方に傾いていた体のバランスが前に移り、
歩く時に足が出しやすくなっているのを実感。
==============
★コナミスポーツクラブ

健康運動指導士や国際的な認定団体の運動指導者のライセンス保持者を
対象に面接と筆記試験で採用。現在、全国約80施設に計約200人。
料金はトレーナーによって異なり、30分2100~5250円。
メンバーのみ利用可。電話0120・919・573

★セントラルスポーツ
独自の認定団体がパーソナルトレーナー、ペアストレッチトレーナーを認定。
ペアストレッチが15分1575円、腰痛、機能改善ストレッチが30分3150円~、
パーソナルトレーニングは60分6300円~。基本的にメンバー対象だが、
ビジター料金や体験利用料を払えば利用可。電話0120・355・669

★ゴールドジム
12年前から導入。アメリカのゴールドジム本部が認定する資格を持ち、
試験、面接に合格した人。ビジターも利用可能。
料金はトレーナーによって違い、60分4000~6000円程度。
電話03・5766・3131

http://mainichi.jp/life/health/news/20071227ddm013100042000c.html

2008年1月11日金曜日

口粘膜 角膜再生 特殊培養皿で実現

(東京新聞 2007年12月4日)

口の粘膜から角膜をつくり、目に移植して視力を取り戻す。
そんな再生医療の実用化が始まっている。
細胞を薄いシート状に培養できる特殊な培養皿が、大きな役割。
応用が進めば、皮膚の下に肝臓もつくり出せる。

東北大医学部の西田幸二教授らは、細胞培養で角膜の表面を覆う
「角膜上皮」をつくる再生医療の方法を開発
これまで約20人が治療を受けた。
角膜は「上皮」「実質」「内皮」の三層構造で、上皮は代謝して生まれかわる。
だが、病気や事故で新しい上皮をつくる幹細胞が死ぬと代謝が止まり、
角膜が白濁して視力が極端に落ちる場合が。

治療では、どちらかの目に幹細胞が残っていれば、2ミリほど切り取って
直径約2センチの培養皿に載せ、細胞をシート状に増殖。
このシートを損なわれた角膜表面に移植すると、新しい上皮として働く。
自分の細胞なので、拒絶反応もない。
両眼を損傷した場合でも、口内の粘膜細胞から“角膜上皮”をつくれる。
粘膜を取って培養すれば、上皮そっくりのシートができて移植すると働く。

これまで実用が広がらなかったのは、
シートが培養皿からはがせなくなる問題があった。
培養した細胞は、「のり」の役目をするタンパク質を出して皿に張り付く。
無理にはがすと破れ、酵素でのりを溶かすとシートも損なわれる。

西田教授は東京女子医大と共同で、角膜上皮用の特殊な培養皿を開発。
この皿は「温度応答性培養皿」の技術を使い、
温度を少し下げると表面の性質が変わってシートが浮くので簡単にはがせる。

「上皮の組織が比較的簡単な構造で移植しやすいこと、
皮膚の培養技術を使えたことに加え、
培養皿ができたことで再生医療が実現できた」。

治療法は、西田教授が2年前まで在籍した大阪大で開発。
東北大でも体制を整えて来年に治療開始する予定。
「治療を始めて5年。移植した幹細胞が、長期間働き続けるか研究が必要。
実質や内皮の再生の研究も進み、将来は角膜全体の再生医療も可能に」。

●培養皿、食道再生などに応用

角膜表皮の再生医療を実現した「温度応答性培養皿」は、
東京女子医大の岡野光夫教授が1980年代後半に提案。
大和雅之准教授は、「培養皿の底には、温度で性質が変わる高分子を、
ちょうど20ナノメートルの厚みで皿に付けてあります」。

この高分子は、細胞培養に適した32度以上の温度では、
クシャクシャと縮んで細胞の「のり」が付きやすいが、
それ以上温度を下げると伸びて「のり」をはがす。

細胞をシート状に培養できるようになったことで、
角膜以外の再生医療にも応用。
「来年2月には食道の再生も予定」。
内視鏡手術で食道がんを取ると、手術後に食道が縮んで閉じる場合が。
患者の口の粘膜細胞をシート状に培養して傷口に張れば、閉塞を防げる。

「SFみたいに聞こえるが、シート状に培養した肝臓組織を
皮下に移植すれば血友病などが治療できる」。
特定のタンパク質がつくれない血友病は、肝臓の数%が正常に働けば治る。
正常な肝細胞を培養して数%分をつくり、
移植の簡単な腹部などの皮下に埋める方法。
最初に数グラムの細胞があればよく、提供者の負担が非常に軽くなる。

大橋一夫特任准教授は、「技術的な面で障壁はない」。
肺や心臓の治療への応用研究も進んでいる。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2007120402069600.html

「家庭でも分煙を」厚労省研究班 夫の喫煙、妻の肺腺がん危険2倍に

(毎日新聞社 2007年12月12日)

夫が喫煙者だと、非喫煙者の妻が肺腺がんになる危険が2倍になることが、
厚生労働省研究班(津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の
大規模疫学調査で分かった。

夫の喫煙本数が多いほど妻が肺腺がんになりやすく、
「家庭や職場で分煙を工夫すべきだ」。
肺腺がんは、主に肺の奥にできるがんで、女性の肺がんでは最も多い。

妻(40-69歳)がたばこを吸わない夫婦約2万8000組を対象に、
平均13年間追跡調査。
追跡調査期間中に肺がんと診断された妻は109人で、
うち82人が肺腺がん。

夫が喫煙者の場合に妻が肺腺がんになる危険は、
夫が非喫煙者の場合の2倍、夫がかつて喫煙者だった場合も同1・5倍。

夫の喫煙本数別でみると、
1日に20本未満の場合は吸わない場合に比べ1・7倍、
20本以上は同2・2倍と、本数が多いほど妻が肺腺がんになる危険が高い。
82人の約4割は、夫からの受動喫煙が原因と推定。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=64219

重い米袋も楽々、農作業ロボットスーツ開発…東京農工大

(読売 1月9日)

重い米袋も中腰のまま楽に持てる「ロボットスーツ」を、
東京農工大の遠山茂樹教授らが開発。

農作業のとき、服の上から体に装着する。
ひじや腰、ひざなど計8か所の超音波駆動モーターで人間の動きを補助し、
体にかかる負担を大幅に軽くする。
作業内容によって力の入れ具合を切り替えられるようになっており、
例えば大根の収穫では、引き抜く際に大きな力が必要な
ひざと腰を重点的に補助。

果樹の枝切りでは、腕を上げた状態で固定する。
このスーツを装着すれば、20キロ・グラムの米袋を抱えたまま中腰になっても、
何も持たずにイスに座っている感じ。
ロボットスーツは介護向けなどに開発されているが、
農作業に特化したタイプは世界初という。

4年後の商品化を目指しており、遠山教授は
「今後は、果樹の熟度を測ったり天気を予測したりするシステムを組み込んで、
農作業全体を補助するスーツを実現したい」。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080109i411.htm

2008年1月10日木曜日

東南アジアで自立支援 視覚障害者のため筑波技大

(共同通信社 2008年1月9日)

就学や就業の機会が少ない東南アジアの目の不自由な人たちの
自立を支援しようと、視覚障害者のための国立大学「筑波技術大」は、
現地に医療マッサージ師を派遣、講習会を開いている。

東南アジア諸国では、目の不自由な人たちへの支援が立ち遅れている。
カンボジアでは、視覚障害者約14万人のほとんどが
正規の学校教育を受けられず、定職に就けるのは1%未満。

日本では、約3万人の視覚障害者が医療マッサージ師として働いている。
定職を持つ目の不自由な人の3割を占め、職域を確立。

大学側は、医療マッサージ師を2007年からアジアの国々に短期で派遣。
同年12月にも、カンボジアで3日間の講習会を開いたばかり。
講師自身が受講者のマッサージを受けながら技術を指導、
座学で医学的知識を伝えた。

今後、ラオスやベトナム、バングラデシュに活動を広げ、
講習会がなくてもマッサージの技術や知識を習得できるように
英語や現地語の点字教材も用意。
現地で指導者を育てていく考え。

筑波技術大の形井秀一教授(鍼灸学)は、
「指の感覚でできるマッサージは能力を発揮しやすい。
アジアの目の不自由な人たちの助けになりたい」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65550

遺伝子配列の順序を入れ換える、新たなRNA加工様式を発見!

(nature Asia-Pacific)

立教大学理学部生命理学科関根靖彦 准教授

「DNAの遺伝情報を転写し、タンパク質の合成過程で仲介役を果たすだけ」。
長い間そう考えられてきたRNAだが、最近になって、
「驚くべき新たな機能」が相次いで発見。

マウスゲノムで70%以上もの領域が、いったんRNAに写し取られ、
その半分以上が「タンパク質をコードしない非コード RNA(ncRNA)」として、
遺伝子発現の調節機能などを果たしている。

立教大学理学部生命理学科の関根靖彦准教授は、
DNAの情報がRNAに写し取られて利用される際に、
配列の前半と後半の順序が入れ換わる「新たなRNA加工様式」がある。

RNAには、DNAの情報を写し取る伝令RNA(mRNA)、
mRNAの情報(コドン)に対応するアミノ酸を運ぶ転移RNA(t RNA) 、
タンパク質を合成する際にはたらくリボソームRNA(rRNA)など。

関根准教授らが用いたのは、「シゾン」という原始的な微生物(原始紅藻)。
「tRNAを作り出すための遺伝子が30種しかなく、極端に少ないため、
何かからくりがあるに違いないと直感して研究をはじめた」。
ヒトでは、48種のアンチコドンをもつtRNA遺伝子が知られ、
450コピーものtRNA遺伝子が存在。

シゾンの全ゲノムは、立教大学の黒岩常祥教授らによって完全解読。
「シゾンゲノムを、既存のtRNA遺伝子探索プログラムに照合しても
発見できないことから、tRNA遺伝子がどこかで分断されているのでは?」。
分断されたtRNAを想定して、シゾンゲノムの配列をみなおす作業。
その結果、実際のtRNAの塩基配列の前半と後半の順序が
入れ換わった遺伝子がみつかった。

入れ換わりのメカニズム」は、
1. DNA上の遺伝子の配列がそのままRNAに写し取られる。
2.RNAの先端と末端が結合して、環状のRNA(環状化RNA)になる。
3.環状化RNAの結合部位とは異なる部位に切れ目が入る。
4.ひも状になったRNAをもとに、特定の立体構造をもつtRNAが作られる。

「DNAには『ろちょうもんし』と書かれているところを、
RNAを作る際に文字を入れ換えて、『もんしろちょう』と
意味のある言葉にするようなものだ」と説明。

「もんしらかろちょう」から「らか」を削除して「もんしろちょう」にする、
「もんし」と「ろちょう」を連結することで「もんしろちょう」にする、
といったやり方でtRNAを合成する例は知られていたが、
今回のような入れ換えはまったく知られていなかった。

「同じような入れ換えの加工様式は、他の生物でみつかっていない。
この加工様式にどのようなメリットがあるのかは、まだ不明」。

今回の研究成果は、生物が予想以上にゲノム情報を柔軟に
加工・編集していることを物語っている。
「ゲノム配列には、生体システムを理解するうえで
重要なメカニズムがまだ多くあるはずだ」。
次なる「お宝」を掘り当てるための研究が続く。

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=66

心臓発作による死亡率は年末年始に上昇 専門家らが警鐘

(CNN 12月8日)

心臓発作など循環器系の病気による死亡率は例年、
クリスマス前後の12月から1月にかけて上昇する傾向があるとされ、
専門家らが注意を呼び掛けている。
胸の痛みなどの症状が現れても、パーティーや旅行の最中は
受診を後回しにするケースが多く、そのために手遅れになる恐れ。

ワシントン・ホスピタル・センターでは、循環器科医師のチームが
常駐する救急医療室を訪れる患者が、すでに急増の兆し。
11月末の感謝祭を前にした週末には、重体患者が次々に運び込まれ、
人工心肺装置が足りなくなるほど。
患者の多くは、「忙しくて自覚症状を無視していた」。

この時期は、
(1)通常の服薬を忘れがち、
(2)高脂肪の食事や塩分、アルコールの取り過ぎで、心臓に負担がかかる、
(3)気温が下がり日が短くなるため、運動不足になる
、といった要因が重なる。
雪かきなどの急な運動やインフルエンザなども、
心臓発作の引き金となることがあるという。

またクリスマス休暇中は、病院側の受け入れ態勢も手薄になりがち。
ただ、米心臓学会元会長のアリス・ジェーコブズ博士によると、
米国内の病院では、心臓発作への対応を迅速化するための改革が、
積極的に進められている。

詰まってしまった血管を、風船付きのカテーテルで押し広げる
血管形成術」などの治療を、患者の搬送後90分以内に行うことを目標に、
全米900カ所以上の病院が24時間態勢の整備に取り組んでいる。

しかし、早期治療のカギを患者自身が握っていることに変わりはない。
ジェーコブズ博士は、「どんな場所にいる時でも、
症状が起きたら無視せず、受診してほしい」。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200712080001.html

2008年1月9日水曜日

エビさんの食べるスポーツ:生きるのは面倒か=海老久美子

(毎日 12月10日)

意外に思うだろうか、それとも納得するだろうか?
アスリートには、食事に対して面倒くさがり屋が少なくない。
もちろん、意識の高い選手もまた少なくないが。

私が経験してきたアスリートの面倒くさがりぶりは、こんな感じだ。
手巻き寿司、鍋、果物の皮、セルフサンドイッチ、パンのトースト、
お湯を沸かす、缶切り、大皿盛り、スープをよそうこと、
骨付きの魚や肉、自分で調味、硬いもの・ぼそぼそするもの……。

なんでこんなことがと思うが、彼らには彼らなりの理屈があったりする。
もっとも、そのほとんどは言い訳だが。

傾向を見ると、ちょっとした「ひと手間」が、
イコール、面倒くさいになっているようだ。
手巻き寿司や鍋、サンドイッチは、自分の好きなものを好きな風に
組み合わせるから楽しいしおいしいのだし、
湯沸かしや缶切りに至っては、それをしなければもはや手に入らない。

アスリートが面倒くさがるひと手間は、摂れる栄養素を増やしたり、
食事にゆったりしたリズムを作って消化を助けるという役割も担っている。
すべて整えられたものを与えられているだけでは、小さな子供と同じ。
強く生き抜こうという意志が感じられない。

食べることは、生きていくうえでもっとも基本的なことのひとつ。
競技力というのは、生活力があってこそ養える。
アスリートは、自分の可能性を切り拓いていく強い意志を持っている。
体を作ってくれる食べ物への能動的なひと手間なんて、
きっと簡単なことのはずだ。

海老久美子・管理栄養士、博士(栄養学)、国立スポーツ科学センター

http://mainichi.jp/life/health/chie/news/20071210ddf035050007000c.html

北米全体で成長中のリサーチパークにも欠点?

(nature Asia-Pacific)

大学リサーチパークは、
特に米国とカナダで科学的活動のモデルとして、人気が高まっている。
目的志向の環境が企業と学界との連携を育んでいるが、
これは雇用の創生、知的財産の創出、企業および学界における
仕事に向けた研究者の育成を目的としたもの。
このコンセプトは、成功しているように見える。

米国Association of University Research Parks(AURP)の調査で、
リサーチパークは、企業および地域経済の活性化に寄与している
http://www.aurp.net/)。
リサーチパークは、北米全体で計12万5千人ほどの研究開発に従事する
科学者を擁しており、約5分の1が医薬品および診断部門で活動。
ビジネスも活気づき、過去5年間のうち、59のリサーチパークで750社設立。

しかし、良い知らせばかりではない。
AURPは、リサーチパークが依然重要な課題に直面、
特に商品化技術、参加企業の多様化、利潤性における課題である。
実際、当初の750社のうち、その後13%が脱落。

リサーチパークが大学に及ぼす影響は、さらに懸念される。
カナダのトロント大学商学部教授のRichard Florida氏は、
大学は、製品や地域の成長のための新しいアイデアを繰り出す
エンジンに過ぎない、という考え方を助長している点で、
リサーチパークを非難している。

リサーチパークに欠かせない産学連携の類は、
他のプロジェクトを犠牲にして、応用科学のプロジェクト数を増加させ、
大学研究に影響を及ぼしうる。

大学は、知識の創生、才能の育成への役割がはるかに重要である、と。
参加する科学者は、リサーチパーク興隆の
好影響ならびに悪影響について認識すべきである。
大学は、関係するリサーチパークがどんなに大規模化しても、
確実に基礎研究を最優先事項とすることに注意を払う必要がある。

Nature Vol. 450, P. 451, 14 November 2007

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=63

7月開催海フェスタ 気仙ならではの魅力発信へ

(東海新報 1月1日)

平成20年(2008年)の年が明けた。
気仙三市町、釜石市、大槌町の計五市町が会場となり、
「海フェスタいわて~海の祭典2008三陸~」が
7月19日(土)から9日間開催。

沿岸各市町が産業、生活の基盤としている海・川への関心を喚起し、
地震・津波などに対する地域防災意識の高揚と海洋環境への理解を深め、
港湾利用を図りながら、三陸沿岸地域振興の起爆剤としての役割が期待。

地方港湾での開催という前例のないケースでもあり、
各地域で親しまれてきたイベントを活用して、沿岸らしさをPRしたい。
港湾利用、環境、観光充実など、気仙地域が抱える課題解決の方向性が
見出せるか、祭典成功に向けた取り組みの波及効果も注目。
開催期間は、7月19日~27日(日)。

「海フェスタ」は、前身である「海の祭典」から数え、昭和61年から開催。
海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願う『海の日』の意義を再確認し、
海に対する関心を喚起することを目的に、主要港湾都市で毎年開催。
海フェスタとしては、6回目の開催。
県内沿岸五市町が会場となり、宮古市、久慈市が協力する形。
基本理念は、
▽港湾や海・川への関心の喚起、利用促進
▽地震、津波など防災意識の高揚
▽海洋環境への理解
▽海洋スポーツや海・川とのふれあい体験による青少年の健全育成
▽三陸沿岸地域の特色を全国に発信

注目は、中心会場である大船渡市が地方港であること。
岩手県開催は初で、東北では7年ぶり。
これまで東京や横浜など、大都市や県庁所在地での開催が多かった。
5市町の人口約13万人に、宮古市、久慈市を合わせても30万人未満。
富山県で開催した際、射水市や富山市など港湾所在各市が会場となり、
富山市だけで人口は、40万人超。
大船渡市の人口の10倍の規模。

富山県での開催内容は、大船渡市関係者がモデルケースとして参考。
全体事業費は1億円超、62事業を企画。
国や航海訓練所に所属する大型船や帆船、客船の寄港も10隻超、
来場者数は35万人を記録。
海フェスタ実行委員会(会長・甘竹勝郎大船渡市長)総会の場で、
実施事業の骨子が固まった。
5市町での事業数は、約60事業、動員も30万人規模。
事業構成は、記念式典や展示会、地震・津波等防災などのセミナー、
船舶の一般公開、マリン・ビーチスポーツ、海洋環境保全、
港・海・川のフェスティバルなど。
記念式典といった主要行事のほとんどは、大船渡市内での開催。

甘竹会長は、「これまである事業を期間中に集約させる形で開催。
当地区らしく、お金をかけずに成功させたい」。
事業費は、富山県開催よりも抑え、
夏場に行われた海・川にちなんだイベントを集約させて、
地方の魅力をアピール。
象徴的なのが、大船渡市の夏の恒例イベントで、東北最大級の海の祭典として
約20万人を動員する「三陸・大船渡夏まつり」。
毎年8月上旬に開催しているが、今年は海フェスタの協賛事業として、
期間中の7月下旬に催される。
陸前高田市でも、チャオチャオ道中踊りの期間内開催を予定。
市民の手で伝統を積み重ねた事業を、海フェスタを機会に見つめ直し、
広く沿岸らしさを発信したい。
住民の防災意識の高揚と地域防災力の向上を図るため、
高い確率で発生が予想される宮城県沖地震の最新情報を提供するなど、
防災に関するシンポジウムを大船渡市、陸前高田市、大槌町で開催予定。
大船渡市立博物館では、津波の歴史文献、写真展が開かれる。

2008年1月8日火曜日

15歳の応用力はなぜ低下しているのか

(サイエンスポータル 2007年12月5日)

15歳を対象に実施した経済協力開発機構(OECD)の
国際的な学力調査(PISA)結果から、
日本の高校生の学力、特に応用力低下があらためて問題に。
調査結果は、新聞各紙朝刊でも多く報じられた。
しかし、どれほどの国民がこの結果に衝撃を受けているだろう。

科学の『心』は論理的思考能力だが、日本ではその弱点が露呈
数学でも、方程式の解き方といった技術を教えることにとどまっていないか。
科学をいかに発展させるか、新しい分野を開拓しようという
マインドの西欧の教育とは違いが。
日本社会で起きている様々な問題も、論理的思考力の欠如が原因で
起きているように見える」
ノーベル物理学賞受賞者、江崎玲於奈・横浜薬科大学長の談話。

有馬朗人氏(元文部科学相、元理化学研究所理事長、元東京大学総長)も、
日本の教育、研究開発に投じる金の少なさを指摘し、
科学技術軽視の日本社会の仕組みや国民意識に警鐘。

政治家にも高級官僚にも大企業の役員にも、
理系出身者が非常に少ないといった例を並べ、
文系出身が圧倒的に優位な日本の社会構造をやり玉に。
こうした現実に手を付けず、さらに教育、科学技術にかける費用も抑えて、
どうして理数系の勉強や研究が大事だと子どもたちや若者に言えるか、と。

今回の調査結果で、学力以前の科学に対する関心、意欲の問題。
「科学について学ぶことに興味がある」という生徒は半数にとどまり、
「30歳で、科学に関連した職についていることを期待」という生徒は、8%
OECD加盟国平均の25%と比べると、相当な差。

日本は、文系出身者が優遇される国だから理数系に力を入れてもしようがない、
高校1年生の大半が、そこまで気を回して自分の将来を考えるだろうか?

科学的リテラシーや数学的リテラシー、
つまり江崎氏がいう論理的思考の重要性といったものに、
両親をはじめ身近な大人の大半があまりに無関心
そう見切ってしまっている子どもや若者が、
科学に対するプラスイメージを持てなくなっている、ということはないのか。

http://scienceportal.jp/news/review/0712/0712051.html

非常勤教授の急増は米国の学界の将来にとって有益か

(nature ASia-Pacific)


米国における終身雇用は様変わりした。
1975年以来、米国の大学・学部のポストの数は倍増したが、
終身ポストおよび終身コースにあるポストの割合は低下。


米国大学教授連合 (AAUP) が行った米国教育省データの解析によれば、
フルタイムとパートタイムを含めた一時的なポストである
「非常勤 (adjunct)」教授は、かつて大学では少数派であったが、
現在では大半を占めている。
1975年に、非常勤教授は米国の学部の43%を占めていたが、
2005年には教授ポストのうちのほぼ70%

AAUP の女性広報官Gwendolyn Bradley 氏は、
短期契約に基づくパートタイム労働力へのこのようなシフトにより、
米国の高等教育の質が低下し、
学問的な職業の選択から人々が遠のくことになりうる、と。

非常勤スタッフは、終身スタッフおよび終身コースにいるスタッフより
給料がずっと少なく、通常給付金を受けられず、
また事務所スペースや事務的な支援にもありつけない場合が。

「質の高い高等教育の維持に関わる転換点に。
それは、パートタイムスタッフの適格性の問題ではなく、
彼らが支援を受けられないため」。
公立大学向けの州予算の減少が、状況をさらに悪化。

しかし、この動向は見過ごされている訳ではない。
17万人の学部メンバーを代表する米国教員連盟
(American Federation of Teachers)は11の州にて、
この不均衡を是正するための法案を起草。

学部課程の75%を終身職員および終身コースにある職員に担当させること、
フルタイム教員の給料に比例した給料を支払うこと(給付金も含め)、
非常勤スタッフにフルタイムのポストへの道を開くこと。
既にこれらを認識している大学もある。

アナーバーのミシガン大学は、非常勤スタッフの給料と給付金を増額。
ニュージャージー州のラトガース大学は、この夏の労働争議を受けて
終身コースのスタッフを100名雇用すると公約。


しかし、教育の質、魅力ある仕事の選択肢として、競争力を維持するために、
米国の大学にはより広範な制度全体に及ぶ変革が必要。

Nature Vol. 450, P. 755, 28 November 2007


http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=65

太陽観測衛星:米サイエンス誌が「ひので」を特集

(毎日 12月7日)

7日発行の米科学誌「サイエンス」が、
昨年9月に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」の最新成果を特集。
日本や欧州、米国の研究者による論文9本がまとめて掲載。
太陽風の吹き出し口を初めてとらえたり、太陽表面と上空の大気(コロナ)の
極端な温度差の理由に迫るなどの成果を報告。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の坂尾太郎准教授(太陽物理学)らの論文は、
太陽風の吹き出し口を初めて発見。

太陽から大量に放射されている、超音速の電離した
陽子・電子(プラズマ)の流れが太陽風。
地球の磁場に影響を与えたり、人工衛星通信の信号を乱すほか、
オーロラの原因にもなっているが、
太陽のどの部分から放出されているかは分かっていなかった。

坂尾准教授らは、「ひので」のX線望遠鏡で、
黒点など磁場の強い場所の上空に明るく輝く「活動領域」を観測。
領域の端から放射状に上空に伸びた磁力線に沿って、
X線を放射する100万度のプラズマが秒速140キロ前後で常に流出。
太陽風として宇宙空間に放出される粒子の質量は、毎秒約100万トン。
観測したプラズマの量はその4分の1に達する。

今後も、複数の専門誌が「ひので」特集号を予定。
ひので科学プロジェクト長の常田佐久・国立天文台教授は、
「ひのでの成果が、太陽物理学の教科書を
何カ所も書き換えることは間違いない」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20071207k0000m040176000c.html

2008年1月7日月曜日

血漿シグナル伝達タンパク質に基づくアルツハイマー病臨床診断の分類と予測

(nature medicine 11月号Vol.13 No.11 / P. 1359 - 1362)

最も頻度の高い骨疾患である骨粗鬆症において、
機能が障害される骨リモデリングは、基質を産生する骨芽細胞による
骨形成と破骨細胞による骨吸収の2つの側面からなる。

食欲抑制ホルモンのレプチンが、視床下部を介して骨形成を
阻害することが明らかになったことから、
視床下部でエネルギー代謝に関わる他の分子も
骨量を調節する可能性が示唆。

ニューロメジンU(NMU)は、食欲抑制性の神経ペプチドの1つで、
レプチンとは独立に作用するが、その作用機序はよくわかっていない。
今回、Nmu欠損マウス(Nmu­⁄­)の骨量が骨形成の促進により増加すること、
これは雌のマウスに比べて雄のマウスでより顕著であることを示す。

生理学的および細胞生物学的解析から、
NMUは直接骨細胞に作用するのではなく、中枢神経系で作用して、
骨リモデリングを制御する。
レプチンあるいは交感神経系による骨形成の阻害は、
Nmu­⁄­マウスでは消失しており、これはレプチンによる骨形成抑制作用を
仲介する分子時計遺伝子の骨における発現が変化している。

さらに、野生型マウスにNMU受容体の天然アゴニストを投与すると、
骨量が減少した。
NMUは、レプチン依存性骨量調節の初めて同定された
重要なメディエーターであると考えられる。

NMU作用の阻害薬と活性化薬が存在することから、
これらの結果は骨粗鬆症などの低骨量を示す疾患の治療に
影響をもたらす可能性がある。

[原文]Classification and prediction of clinical Alzheimer's diagnosis based on plasma signaling proteins

Sandip Ray1,16, Markus Britschgi2,16, Charles Herbert1, Yoshiko Takeda-Uchimura2, Adam Boxer3, Kaj Blennow4, Leah F Friedman5, Douglas R Galasko6, Marek Jutel7, Anna Karydas3, Jeffrey A Kaye8, Jerzy Leszek9, Bruce L Miller3, Lennart Minthon10, Joseph F Quinn8, Gil D Rabinovici3, William H Robinson11, Marwan N Sabbagh12, Yuen T So2, D Larry Sparks12, Massimo Tabaton13, Jared Tinklenberg5, Jerome A Yesavage5, Robert Tibshirani14 & Tony Wyss-Coray2,15

1 Satoris, Inc., 2686 Middlefield Road, Suite E, Redwood City, California 94063, USA.
2 Department of Neurology and Neurological Sciences, Stanford University School of Medicine,300 Pasteur Drive, Stanford, California 94305-5235, USA.
3 Department of Neurology, Memory and Aging Center, 350 Parnassus Avenue, Suite 706, San Francisco, California 94117, USA.
4 Institute of Clinical Neuroscience, Department of Experimental Neuroscience, Sahlgrenska University Hospital, University of Goteborg, Bla straket 15, 431 80 Molndal, Sweden.
5 Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, Stanford University School of Medicine, 300 Pasteur Drive, Stanford, California 94305-5550, USA.
6 Department of Neurosciences, University of California, San Diego, 9500 Gilman Drive #9127, La Jolla, California 92093-9127, USA.
7 Department of Internal Medicine and Allergology, Wroclaw Medical University, Traugutta 57, 50-417 Wroclaw, Poland.
8 Layton Aging & Alzheimer's Disease Center, Oregon Health Sciences University, 3181 Southwest Sam Jackson Park Road, CR131, Portland, Oregon 97201-3098, USA.
9 Department of Psychiatry, Wroclaw Medical University, Pasteura 10, 51-622 Wroclaw, Poland.
10 Clinical Memory Research Unit, Department of Clinical Sciences Malmo, Lund University, Universitetssjukhuset MAS, Ingang 56 plan 7, SE-205 02 Malmo, Sweden.
11 Division of Immunology and Rheumatology, Stanford University School of Medicine, 300 Pasteur Drive, Stanford, California 94305-5166, USA.
12 Sun Health Research Institute, 10515 West Santa Fe Drive, Sun City, Arizona 85351, USA.
13 Department of Neurosciences, Ophthalmology, and Genetics, University of Genoa, Via A. De Toni 5, 16132 Genoa, Italy.
14 Department of Health Research and Policy, Stanford University School of Medicine, Stanford, 300 Pasteur Drive, California 94305-5405, USA.
15 Geriatric Research, Education and Clinical Center, Veterans Affairs Palo Alto Health Care System, 3801 Miranda Avenue, Palo Alto, California 94304, USA.
16 These authors contributed equally to this work.

A molecular test for Alzheimer's disease could lead to better treatment and therapies. We found 18 signaling proteins in blood plasma that can be used to classify blinded samples from Alzheimer's and control subjects with close to 90% accuracy and to identify patients who had mild cognitive impairment that progressed to Alzheimer's disease 2-6 years later. Biological analysis of the 18 proteins points to systemic dysregulation of hematopoiesis, immune responses, apoptosis and neuronal support in presymptomatic Alzheimer's disease.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200711/nature_medicine/09.html

休み明け、快適始動のコツ

(毎日 2008年1月4日)

年末年始の休みが終わり、仕事や学校が始まる時期を迎えた。
体調を整え、快適に新年をスタートさせるコツを、
池谷医院(あきる野市)の池谷敏郎医師(内科・循環器科)と、
精神科医で作家の奥田弘美さんに聞いた。

年末年始はアルコール、糖分、油、炭水化物をとる機会が多く、
内臓脂肪がたまりがち。
池谷医師が勧めるのは、「朝だけダイエット」。
朝食を野菜ジュースと果物のみにし、昼食と夕食は普通に食べる方法。
数日間でも摂取カロリーを少なくすると、
短期間にたまった内臓脂肪はすぐに落ちる。
運動も大切で、ウオーキングが最適
だが、「家事を一生懸命やるだけでも運動になる」。

久々に人込みに出ると、風邪のウイルスにさらされる心配。
予防には、マスクがよい。
のどの湿度を上げて、ウイルスを増殖しにくくする。
うがいと手洗いも大切。
うがいは、上を向いて舌を出すようにして、
のどの奧で15秒ほどがらがらし、3回ほど繰り返すとよい。

冬は寒さで血圧が上昇し、血管にもストレスがかかるため、
脳卒中を招きやすい。
脳卒中の患者は約140万人、年に約13万人が脳卒中で死亡。
体がなまった休み明けは要注意。

脳卒中には、くも膜下出血と脳出血、脳梗塞などがあり、
発症には血圧の上昇が大きくかかわる。
この時期に大切なのは、寒暖の差をなくして血圧の急上昇を防ぐこと
風呂に入るときは脱衣所を暖めておいたり、家から外に出るときには
セーターを着込んだりする。
急に激しい運動をすることも避ける方が良い。

魚を積極的に食べるとよい。
暴飲暴食や運動不足で血中の中性脂肪が増え、
善玉コレステロールが減ると、脳卒中の原因となる動脈硬化を生じる。
魚に多く含まれているドコサヘキサエン酸(DHA)
エイコサペンタエン酸(EPA)は、脂肪のバランスを整え、予防に効果的。

奥田さんは、「ストレスのもとは、体や心に起こる変化。
年末年始は帰省して人と会ったり、気づかないうちに心も疲れている。
心の健康を保つには、人間関係や仕事、プライベート、健康、
お金のバランスが大事」。

まず実行したいのが、早起き。
休み最後の2日間は、夜更かしをした後でも、通常の出勤時間に起きる。
2日間はアルコールを控え、肉、魚、豆腐などのたんぱく質と野菜を摂る。
「思考パターンを作るのは、脳内の神経伝達物質。
心を前向きにするには、睡眠と食事を整えるのが基本」。

心に新年の景気づけをするのも効果的。
例えば、財布や文具など普段使うものを新しくする。
1年の目標を決めると、エネルギーが出てくる。
ストイックな目標より、「旅行に行く」、「英会話を習う」など、楽しい項目。

「休みの最後の日までフルに活動して仕事に向かう場合、
仕事の初日は、『ならしの日』と割り切って」と奥田さん。
▽間に合うことは翌週に回す
▽残業をせず定時に帰る
▽新年会は慎むなど、張り切りすぎないように意識する。
……………………………………………………………………………
■奥田弘美さんが勧める心の健康回復法
・バランスのとれた食事
・散歩など軽い運動
・1人の時間の確保
・早寝早起き
・ゆっくり入浴
・マッサージなどのリラクセーション
・日用品を新調する
・楽しい目標をたてる

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65317

乳酸菌:アレルギーの抑制力解明 東大など、症状緩和に可能性

(毎日 1月4日)

腸内に存在する乳酸菌の一種が、アレルギーの原因となる
免疫細胞を細胞死(アポトーシス)に導くことを
東京大などのグループがマウスの実験で突き止めた。

乳酸菌は、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を
抑えることが報告されているが、メカニズムの一端が明らかに。

体内では、免疫細胞である「Th1」と「Th2」の均衡が保たれているが、
バランスが崩れてTh2が増えると、「IgE」という抗体が過剰に作られ、
アレルギー反応が起きる。
アレルギーの人は、Th2が過剰な傾向。

一方、アレルギー症状のある子どもは、乳酸菌のビフィズス菌や
ラクトバチルス菌が腸内に少ないという報告。

東大の八村敏志准教授らのグループが、
培養したマウスのTh2細胞にラクトバチルス菌を加えたところ、
何も加えない場合に比べて、Th2が1割程度多く細胞死を起こす。
マウスにこの菌を食べさせる実験でも、同様の結果を確認。

八村准教授は、「乳酸菌はTh1を増やす働きが知られていたが、
Th2の細胞死を促してアレルギーを抑える仕組みもある。
乳酸菌摂取が症状緩和につながる可能性がある」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080104dde041040035000c.html

2008年1月6日日曜日

TLR4はTGF-βシグナル伝達と肝繊維症を促進する

(nature medicine 11月号Vol.13 No11 / P. 1324 - 1332)

肝臓の損傷は、腸関門の不全と細菌産物への
肝臓の暴露度の上昇をともなう。

本論文では、肝臓の繊維化には腸内細菌叢と機能を持つ
Toll様受容体4(TLR4)が必要であるが、TLR2は必要でない。

Tlr4キメラマウスとin vivoでのリポ多糖類(LPS)投与により、
肝臓の筋繊維芽細胞の主要な前駆細胞である非活性型肝臓星細胞(HSC)が、
TLR4リガンドが繊維化を促進する際の主要な標的である。

非活性型HSCでは、TLR4の活性化はケモカインの分泌を増加し、
クッパー細胞の走化性を誘導するだけでなく、
トランスフォーミング増殖因子(TGF)-β偽受容体Bambiの発現を低減し、
HSCをTGF-β誘導性シグナル感受性にし、
クッパー細胞による制限のない活性化をもたらす。

LPSが誘導するBambi発現抑制とTGF-βに対する感作は、
Myd88-NF-κB依存性経路を介して起こる。
したがって、Myd88欠損マウスでは肝繊維症が減少する。

TLR4-Myd88-NF-κB軸によるTGF-βシグナル伝達の修飾は、
炎症惹起シグナルと繊維化惹起シグナルをつなぐ新規のメカニズム。

[原文]TLR4 enhances TGF-β signaling and hepatic fibrosis

Ekihiro Seki1,2, Samuele De Minicis1,2, Christoph H Osterreicher1,2, Johannes Kluwe1, Yosuke Osawa1, David A Brenner2 & Robert F Schwabe1
1 Department of Medicine, Columbia University, College of Physicians and Surgeons, New York, New York 10032, USA.
2 Department of Medicine, University of California, San Diego, School of Medicine, La Jolla, California 92093, USA.

Hepatic injury is associated with a defective intestinal barrier and increased hepatic exposure to bacterial products. Here we report that the intestinal bacterial microflora and a functional Toll-like receptor 4 (TLR4), but not TLR2, are required for hepatic fibrogenesis. Using Tlr4-chimeric mice and in vivo lipopolysaccharide (LPS) challenge, we demonstrate that quiescent hepatic stellate cells (HSCs), the main precursors for myofibroblasts in the liver, are the predominant target through which TLR4 ligands promote fibrogenesis. In quiescent HSCs, TLR4 activation not only upregulates chemokine secretion and induces chemotaxis of Kupffer cells, but also downregulates the transforming growth factor (TGF)-β pseudoreceptor Bambi to sensitize HSCs toTGF-β -induced signals and allow for unrestricted activation by Kupffer cells. LPS-induced Bambi downregulation and sensitization to TGF-β is mediated by a Myd88-NF-κB-dependent pathway. Accordingly, Myd88-deficient mice have decreased hepatic fibrosis. Thus, modulation of TGF-β signaling by a Myd88-NF-κB axis provides a novel link between proinflammatory and profibrogenic signals.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200711/nature_medicine/05.html?Mg=e480715361192da2cde850f7d290ace7&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag

「血管年齢」を知ることが、患者に脂質目標値を達成させ、医学的アドバイスに順守させるのに有用

(Medscape 11月28日)


患者に、自分の循環器系リスクを教えるという簡単な手法が、
患者に医学的アドバイスを順守させ、脂質目標値を達成させるのに
有効であることが最新研究[1]で示された。

循環器系疾患(CVD)発現のリスクが高く、症状がまだ出ていない患者には、
「血管年齢」という分りやすい概念が心に響く。

Dr Steven A Grover(マギル大学)は、
「我々は、マギル循環器系健康向上プログラムを長年取り組んできた。
患者自身のリスクの内容と、減量・運動・脂質降下薬服薬によって、
どれほど変化するのかを患者本人に示してきた。
なんらかの治療を、特に血圧やコレステロールといった症状の出ない
病態に対して始める必要がある。
この手法は、治療の進捗状況を患者に説明するのに有用」。

Grover博士らは、3053例を対象にした
「不均一な患者群のコンプライアンスと知識向上のための循環器系健康評価
(Cardiovascular Health Evaluation to Improve Compliance and Knowledge Among Uninformed Patients: CHECK-UP)」の結果を発表。

3000例以上の患者のうち、12カ月後でも試験に残っていた者は2687例。
循環器系疾患を発現する確率を、コンピューターで出力。
CVDを有している被験者の確率は、循環器系余命モデルを用いて算出。
CVDを有していない被験者の確率は、フラミンガムのリスク推測値を用いて
今後8年間でCVD発現のリスク割合、循環器系余命として表現。

2つ目の手法は、患者のリスクを、冠動脈疾患および脳卒中リスクを勘案して
算出した患者の余命と、同年齢・同性の平均余命との差を、
患者の年齢から引いて算出する「血管年齢」で表現。
被験者を、従来型の治療群と、患者のリスク像を記した
コンピューター出力紙を見せる群とに分けた。
12カ月間は、脂質と血圧を測定し、3カ月毎に担当医師の下に来させた。

12カ月後の患者の低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールと
総コレステロール/高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール比の低下の幅は、
両群間で差はなかったが、試験開始時の脂質濃度で調整すると、
試験期間を通じてリスク像を見せられていた患者群の方が有意に大きい。

常日ごろから自分のリスク像の変化を見せられていた患者は、
脂質目標値に達する傾向も強い。
このことは、試験開始時の脂質像がもっとも悪かった層で特に顕著。

血管年齢は、脂質目標値の達成の最も強い予測因子の一つであり、
フラミンガムリスクよりも強力。
最も強く作用したのは、年齢差
血管年齢が実年齢からどのくらい離れているか、だ。
年齢差が大きいほど、リスク像への影響が大きかった。
フラミンガムリスクが高・中・低の場合を調べても、影響は小さかった。
実際に患者のモチベーションになったのは、血管年齢の一行だけ」

CHECK-UP試験に関連する2つの解説記事が、
循環器系リスクについてのコミュニケーションに伴う微妙な問題について考察。

Dr Rod Jacksonと Sue Wells(オークランド大学、ニュージーランド)[2]は、
リスク因子ではなく、リスクを管理するという考え方が
医師にあまり理解されていない。

「医師のほとんどは、高血圧と高脂血症の診断と治療のやり方を
教わっているが、リスクに基づいた手法では、診断しない。
また、治療法のほとんどは個々のリスク因子を標的にしたもので、
血圧や血中脂質濃度の測定・治療を中心にしないというのは難しい。」

しかし、大きな障害は時間。
CHECK-UP試験で、定期的に循環器系リスクを計算し、
患者に伝える時間は、多忙な医師には捻出できない。
リスク計算と患者の診療記録とを結びつけるコンピューターシステムの
ようなものがあれば、その作業を手早く済ませられる。

ニュージーランドでは、PREDICTというコンピューターシステムが
すでに45,000例の患者を対象にこれを実現。

Grover博士らの血管年齢の考え方は、
「予測された循環器系リスクを、患者と医師にとって意味のあるものに
移し替える基準として正しいことが証明される」


2つ目の解説記事[3]では、Dr Charles B Eaton(ブラウン大学)が、
CHECK-UP試験は定期的な外来診療の意義を間接的に検証。
2つの試験群での試験主要評価項目の差が、
著者らが報告した値よりも大きくならなかったのは、
非介入群の患者でも医師と定期的に会うことで
治療目標の達成が促進されることが理由。


しかしEaton博士は、「循環器系リスクが高い患者のうち、
1年後の脂質目標に達した者が45%から66%しかいなかった。
大きな治療のギャップがまだ存在している」

Grover博士は、今回の試験は正しい方向性に向けた一歩に過ぎない。
一番重要なのは、患者も取り込んだ新しいやり方を発見すること。
「臨床試験ではよく効く薬でも、実生活の中では同じように作用しない。
長期治療の状況では、患者自身が専門家に。
無症状の病態について、患者はどういう行動なら脂質のコントロールができ、
どういう行動なら脂質をコントロールできなくなるかを知っている。
患者を引き込むことができれば、
知識はとても強力な道具になりうることを利用できる」

血管年齢の考え方は、医師をも深く共鳴させるとGrover博士は考えている。
過去10年、カナダ循環器学会の展示場で血管年齢測定を行っている。
「医療専門家が、自分の数値がどのように変化したかを確認しに
再度やって来る。それには驚いた。彼らは、測定が目的で列を作るのだ」


1. Grover SA, Lowensteyn I, Joseph L, et al.
Patient knowledge of coronary risk profile improves the effectiveness of dyslipidemia therapy: the CHECK-UP study: A randomized controlled trial.
Arch Intern Med. 2007;167:2296-2303.

2. Eaton CB.
Using cardiovascular age equivalent to close the treatment gap for dyslipidemia.
Arch Intern Med. 2007;167:2288.

3. Jackson R, Wells S.
Prediction is difficult, particularly about the future.
Arch Intern Med. 2007;167:2286-2287.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=63553

地域医療崩壊に揺れた07年 行き過ぎた改革のダメージ色濃く

(じほう 2007年12月28日)

2007年は、病院勤務医を中心とした医師の偏在・不足に、
史上最大の下げ幅となった06年度診療報酬マイナス改定のダメージが加わり、
各地で地域医療崩壊が叫ばれる年となった。

政府・与党も、08年度政府予算編成、診療報酬改定論議を通じて
医師不足対策を最優先するなど、
“行き過ぎた改革”による危機回避に舵を切った格好。
次期診療報酬改定では本体部分が0.38%のプラスとなったが、
改定財源は限られ、医療再生につながるのか楽観視はできない。

今年1月の中央社会保険医療協議会総会は、
06年度診療報酬改定から1年もたたずに、
「7対1入院基本料に対する建議」を柳澤伯夫厚生労働相(当時)に提出。
一部の大病院が新卒看護師を大量に確保するなど、
「地域医療に深刻な影響を与えることが懸念」が理由。

医師、看護師の不足も絡み、経営環境の悪化は医療機関の倒産に。
1-6月だけで31件と、前年実績を半年で上回るペースで伸び、
状況を看過できないと地域医療の確保に向けた施策を打ち出した。

政府が5月に示した6項目の「緊急医師確保対策」を受け、
8月には厚生労働、文部科学、総務の3省による地域医療に関する
関係省庁連絡会議が、北海道、岩手など5道県6病院を対象に
緊急に医師を派遣するシステムの第1弾を決定。

病院勤務医の労働環境改善、女性医師が働きやすい環境整備、
医師不足地域での大学医学部定員枠の拡大-といった対策を固めた。
医師不足対策は、08年度の厚労省予算案の筆頭に掲げられ、
大幅増となる約161億円を確保。

次期診療報酬改定は、本体部分を8年ぶりに304億円、
0.38%引き上げるプラス改定。
医療現場からは、「この水準では医療崩壊を防げない」という声が。
11年度までに、社会保障費の国庫負担を1兆1000億円削減する
歳出改革路線に対し、新たな財源確保が不可避との声。

12月には自民党・社会保障制度調査会長の鈴木俊一氏が、
年2200億円を削減する方針に、「来年以降はもう無理」と限界感。
来年1月には、「社会保障に関する国民会議」(仮称)の初会合も予定。
有識者のほか、福田康夫首相や舛添要一厚労相らも加わり、
社会保障の内容や給付と負担のバランス、
消費税を含む財源確保などについて議論。

現行の「中福祉・低負担」から、「中福祉・中負担」への政策転換は図れるか?
来年に控える衆院選が判断する最初の機会に。
自民・民主両党が、国民にどのような選択肢を示すのか、
医療の将来を占う意味でも注目。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65264