2008年8月16日土曜日

厳戒の北京五輪 開かれた中国へ弾みを

(日経 8月9日)

北京五輪が異例の厳戒態勢の下、幕を開けた。
中国は21世紀の大国として、国際社会に認知される歴史的節目にしたい。

だが、五輪開催決定時に約束した人権状況の改善は進んでいない。
五輪が、平和で民主的な「開かれた中国」への転機になるのか?

五輪には、史上最多の204カ国・地域が参加。
8日の開会式は、壮大な催しが続いた。
中国の数千年の歴史を、絵巻のように再現する華麗で幻想的な演出。

「ついに、我々は奥運(五輪)にたどり着いた」。
中国の隔週誌「世界知識」最新号は、こう題する特集記事で、
五輪開催は清朝の時代からの悲願だったことを紹介。

1908年、雑誌「天津青年」が五輪に関し、
中国はいつ(1)選手を派遣できるか、(2)金メダルを取れるか、
(3)五輪を開催できるか、の三つの問いを提起。
100年後、共産党政権が第三の夢をかなえた。

改革・開放30周年の今年、中国は国内総生産(GDP)で
ドイツを抜いて米国、日本に次ぐ世界3位に。
「世界の工場」、「世界の市場」として台頭。
福田康夫首相、ブッシュ米大統領、プーチン・ロシア首相、
サルコジ仏大統領ら80人を超す首脳が開会式に出席。

北京は、史上最大規模の首脳外交の舞台に。
胡錦濤国家主席が、世界中の元首や首脳を次々に出迎える光景は、
中国に皇帝がいた時代の「朝貢外交」をも想起。

中国はアヘン戦争以来、西欧列強や日本の侵略を受けた屈辱の歴史。
五輪を、「中華民族の偉大な復興」を象徴する世紀の祭典にしたい、
との思いも中国国内には強い。

前回アテネ大会で、中国の金メダルは32個と、米国の36個に迫った。
中国が初の世界一になる可能性も。
だが、メダルの数で威信を示そうとするのは、五輪精神とは相いれない。

「一つの世界、一つの夢」が北京五輪の合言葉。
中国が、世界と調和していく新たな夢を実現するには、
3月のチベット騒乱で露呈した人権問題の改善、
報道の自由や民主化の加速、環境保全などが大事。
新疆ウイグル自治区で起きたテロ事件取材中の日本人記者らが、
武装警察から暴行を受けたのは極めて遺憾。

8日の北京は曇りがちで、開会式会場「鳥の巣」もかすんで見えた。
平和の祭典の成功を祈るとともに、中国の透明性向上に期待。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080808AS1K0800A08082008.html

理科、英語より日本語教育が先

(サイエンスポータル 2008年8月13日)

日本学術会議言語・文学委員会の報告
「日本語の将来に向けて -自己を発見し、他者を理解するための言葉-」は、
理科離れ対策が大きな関心を集める中で、言語、文学研究者たちの中に、
日本語の将来と国語教育に大きな危機感が存在。

日本語をめぐる現状について、「言語運用能力の低下」を指摘。
「子どもから大人まで、意思疎通の不全が大きな社会問題に。

昨今の小・中学校で問題化しているインターネットや携帯電話での
『言葉によるいじめ』は、母語である日本語を柔軟に駆使して
人間関係を構築することができないでいる子どもの問題を浮き彫り。

住環境の変化によって、子どもが集団で遊ぶ機会がなくなったことも原因。
他者とのかかわりで自己を発見するという、
世界認識に不可欠な作業を十分に行わないまま、
子どもは小学校で集団生活を行うことに。

他者とのかかわりという現実感を通して、言葉を獲得してこなかった
彼らにとって、そこで生じる行き違いや不快感を双方向の『言葉』の実践で
解決することはしばしば困難で、
『言葉』はややもすれば単に一方的な暴力の手段となってしまう

こうした現状の中での英語の早期教育に対し、
「これからの世代は、どのようなコミュニケーション能力を身につけるべきか、
英語といかに接し、いかに活用すべきなのか、
その結果として日本語がいかに変質し、役割を変えていくことになるのか」など、
日本の将来像についての議論が全く行われないまま、
公立小学校で英語教育が先行導入されようとしていることに大きな疑問。

これまで行われてきた「ディベイト教育」についても、
「具体的論点に関しての是非を争うためのスキルの養成という側面が
重視され過ぎるきらいがあったことは否めない」と指摘、
グローバル化が進む現代に求められるのは、
「文化的背景の異なった相手が何を感じ、何を考えるかを理解しようとする
共感的態度」であり、
「討論が成立し、有益な意見交換の場となるために、
不可欠な前提としての対話」が重要であることを強調。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0808/0808131.html

ポストドクター数5.8%増

(サイエンスポータル 2008年8月11日)

恒常的ポストにつけず、一定期間採用の形で研究活動を続ける
ポストドクター(博士課程修了者)の数が、2006年度に前年の5.8%増。

企業を含む1,211 機関を対象、1,041 機関から回答。回収率は86.0%。
2006年度のポストドクターの延べ人数は16,394 人、
2004年から3年連続で増加。

このうち15%は、2005年度に博士課程を修了した新規博士課程修了者。
受け入れ先は、大学が66%と最も多く、独立行政法人が31%。

独立行政法人は、2004年から毎年、減少しているのに対し、
大学は57%、62%、66%と増加。

ポストドクターを雇う財源は、「競争的資金・その他の外部資金」46%、
「運営費交付金・その他の財源」(内部資金)31%、
この割合は2004年度からあまり変わらない。

雇用関係がなく、研究活動に従事しているポストドクターも6.4%(1,042人)。
ポストドクターの社会保険加入(事業者負担)状況を見ると、
2004年度以降、加入者の割合は55%、58%、61%と年々増加、
2006年度に大学では加入者は48%(独立行政法人では86%)。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0808/0808111.html

LNG需要調査へ 県、北上貨物駅も推進

(岩手日報 8月9日)

県工業クラブ(長岡秀征会長)と県商工労働観光部長との意見交換会は、
盛岡市内で約40人が出席。
北上市のJR貨物駅構想について、県は関係機関、企業と連携して
JR貨物に働き掛ける方針を説明。

クリーンエネルギーの液化天然ガス(LNG)のパイプライン整備
本年度、需要調査を進める考えを示した。

北上市のJR貨物駅設置構想は、
名古屋南貨物駅―盛岡ターミナル貨物駅を1日2往復している
トヨタ専用列車の効率化が狙い。

名古屋から運ばれた部品は、盛岡から約70キロ南下して
関東自動車工業岩手工場(金ケ崎町)にトラック陸送しているため、
効率が悪い。

同工場がある金ケ崎町の北部に隣接する北上市に、
貨物駅が整備されれば無駄を省けるため、県工業クラブ会員から
「北上地区の工業集積が進む中、一刻も早くやらなければならない」

北上の貨物駅は、海外展開を見据えた物流戦略上、
大きな意義を持つだけに、廣田淳・県商工労働観光部長は、
「地元自治体やトヨタ、関自などと十分な連携をとり、
JR貨物に働き掛けていきたい」と積極姿勢を示した。

LNGのパイプライン整備は、工業集積が進む北上川流域地域が対象。
LNGは、重要な産業インフラの一つに位置付け、
本年度、企業の需要動向などを調べる予定。

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e200808/e0808092.html

2008年8月15日金曜日

選手寿命延び、30代活躍 練習環境や医療施設も充実

(共同通信社 2008年8月11日)

選手の競技寿命が延び、
北京五輪の日本選手は30代以上が約5分の1。

バレーボール男子を、4大会ぶりの五輪に導いた
38歳の荻野正二主将(サントリー)は、
「体力で負けたとしても、引き出しの多さ、精神面で負けない。
自分は、まだ20代のつもり」とプライドをにじませた。

36歳で、4度目の五輪となる陸上男子短距離の朝原宣治(大阪ガス)は、
「おっさんにはきつい」とレース後に軽口をたたくが、存在感は衰えない。

5度目の五輪で、3連覇と「ママでも金」に挑む
柔道女子の谷亮子(トヨタ自動車)は32歳で優勝すれば、
日本柔道で初の30代金メダリスト。

ベテランが競技力を維持できる背景には、練習環境の充実がある。
国立スポーツ科学センターには、医科学や心理学、栄養学の
専門スタッフが常駐。
スポーツ界悲願の強化拠点、ナショナルトレーニングセンターも完成。

ホッケー女子で、37歳の加藤明美主将(HANNO)は、
「けがの治療やリハビリ技術が、10年前と比べものにならない」。

一流選手には協賛企業が付き、最新の練習方法や体の手入れに
投資できる環境もある。
1992年バルセロナ五輪で14歳の岩崎恭子が金メダルを獲得した
日本の競泳は、かつて10代でピークを迎える選手が多かったが、
最近は社会人で活躍する選手も増えた。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78506

共通キャンパス設立へ 県内5大学

(岩手日報 8月13日)

岩手大、県立大、岩手医大、富士大、盛岡大の県内5大学は、
2011年度をめどに、全13学部が連携した「イーハトーブキャンパス」設立

地域の中核を担う人材育成が目的で、他大学との単位互換などを通じて、
幅広い教養を身に付けることができる仕組みを整える。
学生のほか、県民にも門戸を開放。

単位互換を促進する遠隔講義システムの構築や岩手学講座の共同開講、
生涯学習の場提供など、「地域に開かれたキャンパス」を目指す。

5大学によるイーハトーブキャンパスは、
盛岡市のいわて県民情報交流センター(アイーナ)を共通キャンパス、
学生らが幅広い教育分野を自由に学べる環境を整備。

同キャンパスの目的は、
▽教職員の教育力、受講生の地域還元力向上、
▽教育研究環境の基盤整備、
▽知の拠点形成、
▽高校への教育を通じた大学進学率向上、
▽地域の活性化

具体的な取り組みとして、
▽各大学、高校へ授業配信できる遠隔講義(テレビ会議)システムの構築
▽教職員の能力開発研修の共同実施
▽岩手学講座の開設
▽平泉や宮沢賢治など地域文化研究の推進
▽生涯学習の場の提供―など20事業を計画。

単位互換の対象科目については検討。
14年度からは、同キャンパスで計8科目16単位程度を
4年間で取得した場合、卒業証書を授与することも検討。
地域リーダーを目指す学生、県民の励みとする。

5大学はこれまで、2000年に「いわて5大学学長会議」を設立、
一部科目での単位互換や図書館の相互利用、高大連携事業などを進めてきた。
共同事業は、連携強化が目的で、組織統合は計画していない。

5大学は事業推進に当たり、文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」に申請。
3カ年事業で、採択されれば毎年約1億円ずつ助成。

岩手大の斎藤徳美理事・副学長は、
「5大学が連携した教育研究機能の強化は、『岩手づくり』に重要。
目指す方向が共有されたことの意義は大きい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080813_2

大船渡市・陸前高田市合併協設置、議会提案の方向へ

(東海新報 8月13日)

陸前高田市からの合併協議会設置を議会に付議するかどうか、
大船渡市は、市内の経済、産業団体、議会の代表らとの懇談会。
出席者全員が、「付議すべき」、「合併すべき」と回答、
甘竹勝郎市長も前向きな姿勢を示し、両市議会に対して
両市の合併協設置提案が行われる公算が強まった。

複数の出席者からは、反対の声が多い陸前高田側への配慮や、
気仙三市町での合併を望む声も寄せられた。
甘竹市長は、陸前高田市の中里長門市長に対し、
合併協設置を議会に付議するか、90日以内に回答。

懇談会は、回答を前に各種団体関係者から広く意見を聞くもの。
商議所、農協、漁協、ロータリー、ライオンズクラブ関係者ら20人が集まり、
市側は甘竹市長と紀室輝雄副市長らが出席。

出席者が意見を述べ、全員が「付議すべき」、「合併協を設置すべき」と回答、
議会での採決を望む方向で一致。
「議会で大いに議論すべき」、「高田市民有志の行動は画期的、付議すべき」、
「合併協の設置へ真剣な議論を」など。

陸前高田、住田町の両商工会と合併に関する意見交換を開いている
大船渡商議所役員からは、合併新法期限内の合併を強調する発言。
「大船渡市と三陸町の合併によって、多額の公共投資があり、
経済界として非常にプラス」、
「今が最高のチャンス」などと、市当局や議会に積極的な推進を求めた。

両市の合併にとどまらず、「気仙は一つ」として住田町を含めた
三市町合併を望む意見も多かった。
三陸町の三漁協組合長は、陸前高田市民に反対の声が多いことを指摘、
「拙速に行わず、議論が必要」

甘竹市長が、中里市長に「付議する」と回答した場合、
両市議会では60日以内に合併協設置の採決。
大船渡市議会の佐藤丈夫議長は、『気仙は一つ』の方向で意見調整が進み、
「付議された場合は賛成し、陸前高田市との話し合いに臨みたい」。

甘竹市長は、「20人とも賛成で、私の気持ちも固まりつつある。
付議すべきの意見が多く、感謝をいたすところ。
財政面でも合併はチャンスと思っており、皆さんの意見は大変心強い」、
中里市長に対して「付議する」と回答する公算が強まった。
回答は、庁内で事務手続きを調整した上で行う方向。

出席者
甘竹秀雄(大船渡商議所会頭)、齊藤俊明(同副会頭)、宮澤信平(同)、
中井昭樹(同)、出羽司孝(同青年部会長)、藤原榮喜(市農協組合長)、
志田安雄(市漁協組合長)、佐々木昭夫(綾里漁協組合長)、
中嶋久吉(越喜来漁協組合長)、庄司尚男(吉浜漁協組合長)、
新沼信男(市観光物産協会事務局長)、出羽伸弘(盛青年商工会長)、
金昌治(大船渡ロータリークラブ副会長)、
前原汪子(大船渡西ロータリークラブ会長)、
今野善信(大船渡五葉ライオンズクラブ会長)、
渕上栄子(国際ソロプチミスト大船渡トレジャラー)、
熊谷和夫(大船渡大通り商店街振興組合理事長)、水野公正(盛町商店会長)、
鈴木啓二(大船渡南町一番丁商店会理事長)、佐藤丈夫(市議会議長)

http://www.tohkaishimpo.com/

微生物使い土壌活性化 成長促進、労力軽減効果も

(東海新報 8月13日)

農業を取り巻く環境は、営農者の高齢化や後継者不足、
農地の荒廃など多くの課題を抱えている。
資材高騰の煽りで肥料価格も大きく値上がりし、農家経営を圧迫。

こうした中、健康な土づくりによる成長促進と作業労力の軽減化などに
つながる微生物有機肥料が注目。

この画期的な肥料は、有機物が完全発酵した土壌微生物活性剤の
「バイオソイル」と「サンデーグリーン」(ティーエフケイ(株))。

有機物を三次発酵させた土づくりをする土壌微生物保全剤で、
環境保全型農業への転換を導く土中再発酵のない完熟肥料。

いずれも土が団粒構造になるため、保水性、保肥性、保温性が高まり、
土の入れ替えが不要。
臭いもなく、有益微生物の働きで病原菌や根腐れを抑制し、
土もやわらかくなる。

東北で唯一の取り扱い代理店、大船渡市の(株)知恩(村上道義代表)は、
「作物の生育速度や収穫量アップに効果がある」。
バイオソイル施用区と対照区でナスの実証栽培を行っている
陸前高田市米崎町の農業・吉田税さん(74)は、
「施用区では、成長も収量も二倍。実がやわらかく、色つやもいい。
虫もつかず追肥もほとんど不要で、肥料と労力の節減に。
農家のコストダウンを図る意味で、栽培形態の確立を図りたい」。
近年の世界的な資源価格高騰を受け、肥料コスト上昇が農家経営を直撃。
微生物有機肥料は、従来の高度化成肥料に比べ高値感はあるものの、
村上代表は、「肥料価格高騰の折、価格が安定している微生物肥料は
収量面や農作業の省力化などメリットも多い」。

農業従事者の高齢化や産地間競争の激化、食の安心安全に対する
関心の高まりなど、農業を取り巻く環境が厳しさを増している中、
環境と人にやさしい微生物を使った土壌活性剤の効果が注目。

2008年8月14日木曜日

目からの刺激で脳が発達 理研がマウス実験で解明

(共同通信社 2008年8月8日)

胎児期に脳を形作る遺伝子が、幼児期には視覚刺激によって
脳を発達させる働きがあることを、
理化学研究所のヘンシュ貴雄チームリーダーらがマウスの実験で突き止め、
米科学誌「セル」に発表。

視覚が発達する仕組みの解明や、発達が阻害されて生じる弱視などの
治療に向けた手掛かりに。

研究チームは、脳の神経回路が活発に作り替えられる「臨界期」になると、
この遺伝子が作るタンパク質が脳の視覚にかかわる「視覚野」に
現れることに着目。
マウスを暗いところで飼育すると、脳にこのタンパク質が検出されず、
臨界期にもならないが、このマウスの視覚野にタンパク質を注入すると、
神経回路の作り替えが進む。

このタンパク質は、目の網膜で作られることも判明。
タンパク質に標識を付けて網膜に注入し、視覚刺激を与えると、
視神経を通じてタンパク質が視覚野まで運ばれた。

ヘンシュ氏は、「脳内時計が生後一定の時間を刻むと、
臨界期になると考えられてきたが、視覚刺激で起こると分かったことは重要」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78407

臓器移植:現状と課題/上 生体ドナー保護強化 国際学会、イスタンブール宣言

(毎日新聞社 2008年8月8日)

「20世紀の医学的奇跡だ」。
国際移植学会は、全会一致で採択したイスタンブール宣言で、
助からなかった命を救う臓器移植の意義をそう表現した。

同時に、途上国を中心に臓器売買が行われたり、
健康な人から臓器が提供される生体臓器移植の人道的な課題を
重大な問題と警告。
移植を取り巻く世界と日本の現状を報告。

イスタンブールで開かれた国際移植学会には、
日本を含む78カ国から移植の専門家158人が参加。
議長を務めた米ハーバード大のフランシス・デルモニコフ教授は、
「宣言が採択されるまで、席を立たないでほしい」。

議論が集中したのは、生体からのドナー(臓器提供者)の扱い。
宣言案には当初、生体ドナーを「hero(英雄)」と見なすべき、と記されていた。
しかし、会議に参加した小林英司・自治医科大教授は、
「日本では生体ドナーは、決してヒーローではない。
heroic(高潔な)と修正してほしい」。

日本の生体移植では、主に家族や兄弟姉妹から提供され、
「英雄」というにはそぐわないほか、途上国で行われる臓器売買への批判も。
各国は小林教授の提案に賛同し、文言が修正。

全米臓器配分ネットワークによると、臓器移植の最初の成功例は
米国で1954年に実施された腎臓移植。
日本では、97年の臓器移植法施行後、臓器の移植手術が
計1万8196件行われ、脳死移植は365件。

移植待機患者はどこの国でも多いが、
生体移植(腎臓、肝臓)への依存度は、フランスが1割未満、
米国が約4割なのに対し、日本は腎臓で8割以上、肝臓では99%超。
国際移植学会が生体移植を問題視するのは、
健康な人の体にメスを入れるから。

移植を受けるため、海外に行く「移植ツーリズム」が後を絶たず、
その先には臓器売買も。
移植医の間で、生体ドナーを保護する取り組みを強化しないと、
社会から移植への信頼が失われるとの懸念が強まり、
迎えたのが今回の国際学会。

危機感の表れを象徴するように、議論中に席を立つ人はなく、
全会一致の宣言採択で閉幕。

宣言では、生体ドナーを保護するため、ドナーの意思を反映した
選定方法や休業補償など、総合的な保障制度作りが盛り込まれた。
生体ドナーを、「もう一人の患者」と位置づけ、
各国が臓器提供の自給自足へ努力することを原則。

フランスが、04年の生命倫理法改正で、
生体ドナーの術前の検診と術後の後遺症の有無、重症度などを
記録する制度を導入したのを受け、
生体移植のリスクを明らかにするため、今後、国際的に統一した基準で
生体ドナーのデータベース化を協議。

小林教授は、「国によって、死や臓器提供に対する認識の違いがあるが、
立場が異なる中、誰もが納得するものができあがった。
非常に重要な宣言で、日本も必ず守ることが求められている」

ぬで島次郎・東京財団研究員は、
「健康な体にメスを入れる生体移植は、医療倫理の根本に抵触する行為。
欧米では、生体移植は本来やるべきでないという意識が強い。
今回の宣言も、死後の提供を臓器移植の本道と位置づけ。
日本では、生体ドナーの健康状況の追跡がほとんど行われてこなかった。
臓器移植法を改正し、生体移植の続き柄制限や実施後の記録制度を
導入する必要がある」。

◇中国、フィリピンで禁止の動き

インドやパキスタン、中国などでは、事実上の臓器売買による
移植が行われてきた。
中国は昨年、臓器売買を条例で禁じ、外国人への移植を禁止。
日本人など外国人への腎臓売買が横行してきたフィリピンでも、
今年、政府が外国人への腎臓移植を全面的に禁止。
………………………………………………………………
◆イスタンブール宣言の骨子

▽臓器移植は、20世紀の医学的奇跡の一つ。
ドナー(臓器提供者)の人身売買や、貧困者から臓器を買うために
海外に赴く富裕国の患者により、臓器移植の功績が汚されてきた。

▽ドナーとレシピエント(移植を受ける患者)の安全と、
非倫理行為に関する基準と禁止を確保する透明性の高い監視システム。

▽死体からの臓器移植を始めたり、拡大する努力は、
生体ドナーの負担を最小化するのに不可欠。

▽レシピエントに有効な治療でも、生体ドナーに危害を加えるのは
正当化されない。

▽国際組織などと協力し、臓器不足に対する包括事業を実施すべき。

▽国際基準(国際移植学会がこれまで出した勧告)に沿って、
死体や生体からの臓器摘出と移植医療を法制化し、実施すべき。

▽臓器は、国内で公平に配分されるべき。

▽各国は、臓器提供の自給自足を達成する努力をすべき。

▽臓器取引と移植ツーリズムは、公平、正義、人間の尊厳を
踏みにじるため禁止すべき。

▽死体からの臓器提供を増やすため、政府は保健医療施設などと
協力して適切な行動をとるべき。

▽生体ドナーによる提供は、高潔で栄誉あるものとみなされるべき。

▽生体ドナーへのインフォームド・コンセントでは、
心理的な影響を考慮すべき。医療と心理の両面で、短期的、長期的にケア。

▽臓器提供で生じた実費は、臓器に対する補償ではなく、
レシピエントの治療費の一部。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78405

女児だけの野球大会 新潟で16日開催

(日経 8月12日)

全国でも数少ない女子児童だけがグラウンドに立つ野球大会が
今月16日、新潟市で開かれる。

普段は、男子に交じって白球を追い掛ける女の子に、
主役になってもらおうと学童野球チームのコーチらが企画。
女子児童の野球大会は東京都で開かれているが、全国的には珍しい。

発起人の小学生野球チーム「笹山ライオンズ」の女性コーチ、
頓所理加さん(33)は、
「大好きな野球を、女子でももっと楽しめる環境をつくりたい」。

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1G0403D%2012082008&g=MH&d=20080812

東京・日本橋、ボートでGO 元五輪監督が「授業」計画

(朝日 2008年8月8日)

東京のど真ん中・日本橋でボートをこがないか?
オリンピックの元監督が、子どもたちへの「特別授業」を企画。
終戦直後の少年時代、焼け野原の中でこいだ思い出を
話したのがきっかけで、往年のボート選手たちが集まった。

計画の発端は、ボート競技で東京五輪コーチやモントリオール五輪監督を
歴任した荒川鉄太郎さん(77)の中学時代の思い出話。
昨秋、ボート仲間の鈴木誠さん(71)に、
「戦後の焼け野原の中、ボートをこぎ始めた中学生の頃は隅田川もきれい。
日本橋川でもこいだよ」。

鈴木さんが面白がり、2人で「他の国では都会でもボートを楽しんでいる。
東京の『ど真ん中』でこがないか」。

荒川さんは、学生時代に五輪の日本代表を競ったが、夢は果たせなかった。
卒業後は、企業の研究者として働き、後輩たちの指導に力を入れてきた。
呼びかけに賛同した仲間や教え子は30人を超え、
「子どもにボートの楽しさを教える会にしよう」という案が出て、
日本橋川周辺の下見やボートの手配を始めた。

その熱意に、地元の「名橋『日本橋』保存会」が協力を約束し、
9月のハゼ釣り大会に、地元の小学生向けのボート体験会。
8月末に、こぎ方を教える特別授業も開く。
永森昭紀事務局長は、「保存会が、川の浄化に取り組んできて、
今ではフナもハゼもいる。水鳥も増えた。
ボートに乗り、子どもたちに水面を見てほしい」。

7月中旬、約30人で安全確認を兼ねて漫漕をした。
4人こぎボート4艇で、小名木川から隅田川を経て、日本橋までを往復。
「よーい、ロー(こぎ始め)」。
オールを1人1本持ち、息を合わせてすいすい進む。
「最後に隅田川でレースをしたのはいつだっけ」、
「昔はこういう感じで練習してたな」、
渋滞する首都高速道路を見上げる。

正午に日本橋をくぐると、橋の上の通行人はボートに驚いてのぞき込み、
手を振る人もいた。水面には小魚が泳ぐのが見えた。

荒川さんは、「中学生の頃、腹が減って練習はつらかったが、
ぐっと水をこぐ感じが気に入った。仲間と一緒にこぐ楽しみも知った。
ボートが楽しいスポーツだと知ってもらいたいんです

http://www.asahi.com/sports/spo/TKY200808020147.html

人のあくび、飼い犬にも伝染 日本人研究者が発表

(朝日 2008年8月10日)

人のあくびが犬に伝染することが、実験で確かめられた。
あくびの伝染は、人やチンパンジーの間で報告、人と犬では初めて。
ロンドン大学の千住淳研究員(心理学)らが、
英科学誌バイオロジー・レターズに発表。
「飼い犬は、人に共感する能力を備えているのかも」。

実験は、飼い主の家など、犬が落ち着ける場所で行った。
飼い主以外の人が5分間犬と一緒にいて、
目があったら声を出してあくびをした。

その結果、29匹のうち21匹が1回以上のあくびをした。
あくびと同じような口の動きだけでは、1匹もあくびをしなかった。
人から犬へのあくび伝染のメカニズムについては研究が必要。

動物は、思いがけない相手と遭遇したときにあくびをすることがある。
「その可能性も否定しきれない」としつつも、
「つられあくびが犬と人のコミュニケーションに役立っている可能性がある」

http://www.asahi.com/science/update/0809/TKY200808090289.html

2008年8月13日水曜日

錠剤が運動のかわりになるかもしれない

(WebMD 7月31日)

運動による持久力向上の効果のある錠剤を作ることが
可能かもしれないと、科学者らが『Cell』で報告。

2つの化合物について、マウスでの実験が行われた。
GW1516は、運動したマウスの持久力を高めたが、
ほとんど運動しなかったマウスには効果がない。
AICARは、全く運動しなかったマウスの持久力を改善。

これらの化合物は、ヒトでの試験が行われておらず、市販されていない。
しかし研究者らは、運動選手の血液と尿に含まれるGW1516とAICARの
痕跡のスクリーニングのための薬剤試験に取りかかっている。

2004年に、Salk生物学研究所、Howard Hughes医学研究所の
Ronald M. Evans教授をはじめとする研究者らが、
PPAR-δという蛋白の活性を増強するようマウスの遺伝子を
改変することで、マウスの持久力が向上したと報告。

Evans博士のチームは、遺伝子操作を行わずに
同じ結果を得ることに取り組んだ。

PPAR-δを増強するGW1516を、マウスの口に1カ月間毎日注入。
1カ月後、マウスは実験開始時よりも68%長い時間、70%長い距離を
走ることができたが、それは薬剤の投与期間中、毎日、
マウスが歯車を回す運動をした場合に限られた。
GW1516は、運動しなかったマウスには何の効果もない。

次に、AMPKに注目。
運動しないマウスに、AMPKを増強するAICARを1カ月間、毎日注射。
1カ月後、マウスはAICAR投与開始前よりも23%長い時間、44%長い距離を
走ることができた。運動しなくても、持久力が改善。

AMPK、PPAR-δを、「トレーニングを増強するため、さらには運動せずに
持久力を高めるための、経口投与で有効な薬剤の標的にすることが可能」

マウスの実験は、すべて骨格筋に関するものであり、
薬剤の安全性、心臓血管の健康を改善することや
数種類の癌になりにくくすることのような、
運動による他の多くの利点を模倣する能力については検討していない。

Cell
http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6WSN-4T3W1NW-1&_user=10&_coverDate=07%2F31%2F2008&_alid=775060739&_rdoc=1&_fmt=high&_orig=search&_cdi=7051&_sort=d&_docanchor=&view=c&_ct=73&_acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=0e95fc95ce6a5c0ce7757ecc7cf5839b

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=78103

ビタミンC投与でがん半減 マウス実験で、米研究所

(共同通信社 2008年8月5日)

ビタミンCをマウスに大量投与することで、がん細胞の増殖を
半分に抑えることができたとの実験結果を、
米国立衛生研究所(NIH)の研究チームが米科学アカデミー紀要に発表。

約30年前に、ビタミンCががんに有効だと注目されたが、
その後の実験で否定。
今回は、効果が否定された経口投与ではなく、体内に直接注入。
「副作用もなく、人間への適用も可能」。

43種類のがん細胞と5種類の通常細胞に、
ビタミンC(アスコルビン酸)の溶液を加えると、
通常細胞に変化はなかったが、
がん細胞のうち33種類では細胞の半分以上が死滅。

腹腔内に子宮がん、膵臓がん、脳腫瘍の細胞を植え付けたマウスに、
体重1キロ当たり4グラムという大量のアスコルビン酸を毎日投与すると、
12-30日後に、投与しなかった場合に比べ、
がんの重さが41-53%に抑えられた。
副作用もみられなかった。
アスコルビン酸から発生した過酸化水素ががん細胞に作用。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78087

介護士、看護師目指し来日 インドネシアから205人 初の本格受け入れ

(共同通信社 2008年8月7日)

日本とインドネシアとの経済連携協定(EPA)に基づき、
インドネシア人の介護福祉士と看護師の候補者が来日。
第1陣は介護職101人、看護職104人の計205人で、6割強が女性。
介護・医療分野での本格的な外国人労働力受け入れは初めて。

両分野では人手不足が深刻で、外国人への門戸開放に期待する声があるが、
言葉や宗教、文化の違いを超えて定着が図れるか、
日本側の環境整備が急務となりそう。
国内の介護職らの労働条件低下を懸念する受け入れ慎重論も。

205人は、成田空港着の2便と中部国際空港着の1便に分乗し到着。
東京や神奈川、大阪などの6施設で半年間、日本語や生活習慣の
研修を受けた後、来年1~2月から、34都府県の老人ホームや病院など
98施設で、日本人職員と同水準の給与で働く。

日本語能力を認められた3人が、8月下旬に来日。
9月から東京、神奈川の2施設で就労。

介護職は来日から4年以内、看護職は3年以内に
日本の国家資格取得を目指す。
滞日中の受験機会は介護職が1回、看護職は最大3回。
合格すれば働き続けられるが、不合格の場合は帰国。

インドネシアには介護福祉士の資格はないが、候補者は全員が
同国内の看護師資格を持ち、うち看護師候補者は2年以上の実務経験。

EPAによる受け入れ枠は、2年間で介護職600人、看護職400人。
応募が低調で、想定を大幅に下回った。

▽外国人労働者の就労

日本は、外国人の単純労働者を受け入れない基本政策。
就労目的で在留を認めるのは、エンジニアら高度専門技術者、
料理人やダンサーのように特殊能力を生かした職種に就く約18万人。
「外国人研修・技能実習制度」に基づき、主に中小企業が受け入れている
技能実習生が約7万人など。

厚生労働省は、介護福祉士、看護師の候補者来日を、
国際的な人材交流の一環。人手不足解消の目的ではない」として、
貿易交渉に伴う「特例」と位置付け。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78231

日本に根付く?南国生まれの新バイオ燃料

(読売 8月1日)

中南米生まれの「ジャトロファ」という木が、
新参のバイオ燃料として世界から注目。
聞き慣れない名だが、日本人との付き合いは案外古い。
国内でも栽培する人が現れた。将来性はどうなのか?

「地元でできた油で、漁船を動かせれば」と夢見るのは、
石油などに代わる燃料の開発に取り組む特定非営利活動法人
「なでしこふぁみりー」(東京)理事長の薗部みどりさん(58)。

漁船のディーゼルエンジンに使おうと、
漁業が盛んな東京・伊豆諸島の八丈島に昨年、地元の人らと
ジャトロファの苗約800本を空き地などに植えた。

台風と寒波に見舞われながら一部が花を咲かせ、秋には実もできそう。
これまでに全国約30か所に種を送り、試験栽培の輪を広げている。

水道工事会社経営の傍らバイオ燃料事業に取り組む
東京都日野市の加藤信雄さん(59)は、
「減反などで、各地に広がった休耕地を利用できる」。

どの地域でよく育つのかを見ようと、今春から熊本、香川、栃木県の
知人に種を送り、プランターなどで栽培。

ジャトロファは、東南アジアやアフリカなどに育つ高さ3メートル以上の
落葉樹で、和名はナンヨウアブラギリ。
梅の実ほどの大きさの実を付け、中の黒褐色の種を搾ると、
3~4キロ当たり約1リットルの油が取れる。

実に毒があり、食用にならないため、需要が増えても、
トウモロコシなどのように穀物価格の上昇につながらない。
荒れ地や乾燥地でも育つので、森林を破壊してまで植えなくていい。

燃料不足に苦しんだ旧日本軍も、目を付けていたらしい。
インドネシアの英字紙「ジャカルタ・ポスト」は2年前、
バイオ燃料に関する記事で、旧日本軍が戦車や飛行機に使おうと、
同国で栽培を奨励していたと紹介。
八丈島では、「零戦用に、近縁のトウゴマを栽培しようとしていた」。

バイオ燃料に詳しい東京大大学院の芋生憲司准教授(生物機械工学)は、
国内での栽培は、「冬の寒さが厳しくない所なら十分可能」、
大々的な事業展開は「人件費が高い国内では難しい」。
「エネルギーの地産地消や地域活性化策として、
小規模にならやっていけるのでは」。

農林水産省も、「食糧生産と競合せず、農地が活用できる」、
資源の少ない日本を少しは助けてくれそうだ。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20080801-OYT1T00350.htm

スポーツ21世紀:新しい波/277 ロッテ集客作戦/下

(毎日 8月2日)

地域密着型の球団運営で、優等生とされるロッテだが、
本腰を入れて「地域」を意識し始めたのは、
04年の球界再編騒動で、プロ野球の行方に危機感を持ったから。

千葉に移転した92年、130万5000人
(水増し発表が常態化していた当時の数)の観客動員を記録したが、
その後は頭打ち。

バレンタイン監督が復帰した04年に、球団最高の159万6000人(同)を
マークしても不安はぬぐえなかった。

原因を分析し、出た結論は「足元を取り込むことをしていなかった」。
企画広報担当の羽地朝博ディレクターは、そう振り返る。

球場周辺から着手。
05年に、千葉マリンスタジアム最寄りのJR海浜幕張駅に協力を求め、
構内のチケット販売ブースの拡大などを実施。
同時に京成バスとも協力し、千葉市内の路線で選手の声による
車内放送を始めた。

現在は、渡辺俊介投手やバレンタイン監督らが車内でマナーを呼びかけ。
球場では試合後、その日のヒーローが球場正面のステージに登場し、
ファンと勝利の喜びを分かち合うイベントを開く。
歌を披露する選手もおり、今では球場の名物に。

観客動員は、実数発表が始まった05年に133万4014人、
06年に134万9656人、07年155万8430人と順調な伸び。
今季の100万人到達は、最下位に低迷した時期もありながら、
昨季より1試合遅いだけの47試合目。
フロントは、「地元への定着が進んだ結果」。

今後は、「野球ファン以外」の集客も目指し、知恵を絞る。
Jリーグのジェフ千葉とは、お互いの試合で
選手の応援メッセージを流してファン層拡大を図る。
5月には、千葉のラーメン情報サイトと協力し、
球場内でオリジナルの「ビクトリーラーメン」を販売。
多くのラーメン好きが来場。

「野球だけでなく、楽しい場所としてのマリンスタジアムを発信していきたい」
危機感から始めた努力が、ロッテの強みとして実りつつある。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

2008年8月12日火曜日

食育推進計画進まず 県内わずか8市町村

(岩手日報 8月5日)

県内35市町村のうち、「食育推進計画」を作成したのは8市町村
全国に先駆けて食育に取り組んできた本県だが、
計画を作る予定のない市町村は15。

職員数の少ない小規模町村から、「手が回らない」との声。
食育を進めることは、法で自治体の責務、県は計画づくりを求めている。

計画を作った市町村は、一関、八幡平、滝沢、紫波、矢巾、金ケ崎、山田、
一戸の8市町村。県は2006年2月に作成。
盛岡、宮古、遠野、釜石、軽米、大船渡、花巻、岩泉の8市町が、
本年度内の作成を計画。
大槌、洋野の2町が10年度までの作成を目指す。

北上市、岩手町など15市町村で作る予定がない。
「食育の窓口が一本化されていない」(普代村)、
「計画がなくても、各課が連携して取り組んでいる」(岩手町)。
主に人手の少ない小規模町村で作成が遅れている。

県内で注目されるのが、紫波町の取り組み。
地域力による食育の推進を掲げ、町民の声を聞くワークショップのほか、
庁内、生産者、消費者、栄養士、民間非営利団体(NPO)などから、
食にかかわりの深いメンバーを計画策定委員に選び、現場の意見を反映。

国の「食育推進計画づくりのすすめ」でも紹介。
町農林課の藤尾智子食育推進主幹は、
「将来の方向性を定め、そこに向かって計画的に取り組める」と
計画作成の意義を語る。

県環境生活企画室の小川肇食の安全安心・消費生活担当課長は、
食育は、人づくりやまちづくりにもつながる。
地域の特性を生かした計画を作ってほしい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080805_12

難病患者皮膚から万能細胞 ALS、運動神経も作製 米大学、原因解明へ前進

(共同通信社 2008年8月1日)

運動神経が侵され、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の高齢な患者の皮膚から、
新型万能細胞の「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作製することに、
米ハーバード大などのチームが成功、米科学誌サイエンスに発表。
できたiPS細胞を、試験管内で運動神経に成長させることにも成功。

難病患者由来のiPS細胞から、
治療や研究に必要な細胞を作製できたのは初めて。
ALSの原因解明や治療研究の進展につながるほか、
細胞に治療を施して患者に戻すなど、
将来の再生医療の実現にも期待を抱かせる成果。

チームは、女性の遺伝性ALS患者(82)の皮膚細胞に、
京都大の山中伸弥教授が開発したのと同じ
4つの遺伝子を導入する方法で、iPS細胞を作製。
薬品を加えて培養するなどして、運動神経細胞と「グリア細胞」と呼ばれる
脳の細胞に成長させることに成功。

だが、ALSで起きる異常を再現させることまではできていない。
高齢の患者で成功したことから、iPS細胞は、患者の年齢にほぼ関係なく
作製できる可能性が高くなった。

ALS患者の運動神経細胞を採取して研究するのは困難だが、
今回の方法を使えば、必要なだけ試験管内で増やせるため、
ALSの研究は大きく進む。

ALSの9割以上は遺伝性ではないが、チームは今回の手法は、
そうした遺伝性ではないALSの研究にも役立つ。
日本国内には、約7000人のALS患者がいる。

【解説】
難病のALS患者の皮膚からのiPS細胞づくりと、
そこからの神経細胞の作製は可能と予測されていたが、
ある研究者は「やはりインパクトは大きい」。
iPS細胞を開発した山中伸弥・京大教授はじめ世界中の研究者が、
さまざまな病気の患者の細胞からのiPS細胞作製にしのぎを削っている。

ALSは、運動神経が変性する難病。
患者由来のiPS細胞から運動神経を得られれば、患者に負担をかけず、
研究に十分な量を確保できる。
治療薬の効果を試す際にも、従来のように動物細胞ではなく、
患者の運動神経を使えるなど、新たな可能性をもたらす。

今回のiPS細胞が、すぐにALS患者の再生医療に使えるわけではない。
作製に、がん化の恐れが否定できない遺伝子やウイルスを使っているため、
当面は、病気のメカニズムなどの研究が徹底的に行われる。

山中教授が、人の皮膚からのiPS細胞作製を報告した昨年11月から
1年もたたないことは、世界の研究競争の激しさを物語る。
京大は、今年6月に倫理委員会が同様の研究計画を承認したばかり。
「日本が先陣を切れなかったのは残念」と話す研究者もいる。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=77951

北京の大気、観戦者もご注意 汚染物質で心臓発作増も

(朝日 2008年8月3日)

北京五輪では、選手だけでなく観戦者も大気汚染に注意して。
米国の研究チームがそう呼びかけている。
微粒子を吸い込むと、血液が固まりやすくなって、
心臓発作や脳卒中、エコノミークラス症候群のリスクが高まる。

米ノースウエスタン大医学部のチームは、
大気中の微粒子(直径100分の1ミリ以下)を吸い込んで
肺で炎症が起きると、血液が固まりやすくなることを動物実験で確かめ、
昨年10月の米医学誌に発表。

これまでの研究でも、ディーゼル車や石炭を燃やす工場から出る
微粒子が増加すると、心臓発作や脳卒中が増える。
五輪開幕を直前に控えた北京の大気汚染が問題になっているため、
観戦者に注意を呼びかけている。

血が固まりやすい状態で帰りの飛行機に乗ると、
足の静脈にできた血栓が肺の血管を詰まらせる
エコノミークラス症候群になる恐れも。

ゴクハン・マトゥル准教授は、「北京に2~3週間いると、血液は粘り気を増す。
12時間かけて、米国へ飛行機で帰るリスクは高い」。

高血圧や高コレステロール血症の人は要注意。
▽40歳以上なら毎日、血液を薄めるアスピリンを飲む、
▽道路が混雑する時間帯は室内にとどまる
▽帰りの機中では体を動かす、などとアドバイス。

http://www.asahi.com/science/update/0728/TKY200807280388.html

2008年8月11日月曜日

風力電力、家庭にも 小型機普及へ力、一関の平野組

(岩手日報 8月6日)

原油高騰で新エネルギーが注目される中、
一関市の総合建設業平野組(須田光宏社長)は、
次世代型風力発電機の普及、販売に乗り出した。

発電機は、小型風力発電機開発・製造ゼファー社(東京都渋谷区)が
開発した「エアドルフィン」。

小型発電機は、総重量17・5キロと超軽量で、
さまざまな風向きに対応できる。

平野組は、「事業所や工場だけでなく、
一般家庭で風力を取り込む生活を広めたい」と意欲的。
エアドルフィンは、東大大学院、東レ、横河電機、経済産業省、
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がメンバーとなっている
産学官の共同開発計画で誕生。
出力1ワット当たりの重さは17・5グラム。
大型風力発電機と比べると約20%、超軽量の設計が特徴。
ローター(羽根)の直径は180センチ、さまざまな場所へ設置。
後部には、魚の尾ひれをヒントに開発したスイング・ラダーが付いている。
ラダーが風向きの急激な変化に対応し、2・5メートルの微風から
50メートルの暴風までの連続運転が可能。
平均風速3メートルでは月間20キロワット、
6メートルで150キロワット発電をする。
一般家庭の1カ月の電力消費量は、350-500キロワットほど。
平均風速6メートルでの発電量は、約30-40%になる。

平野組ビル屋上に設置した1台は、7月12-21日の10日間、
平均風速0・6メートルで発電量5239ワットを記録。
平野組は、東北地区総代理店となり自社ビル屋上のほか、
仙台市の公務員宿舎、大槌町の東京大国際沿岸海洋研究センターに
各1台を納入した。
価格は、定格出力400ワットが50万-80万円、
同1キロワットが140万-250万円。
平野組営業本部営業部第二課の小幡良作主任は、
「二酸化炭素削減に努力している事業所や工場の有効な手段となるほか、
一般家庭での風力発電導入に適している」。
問い合わせは、平野組担当者の電子メール(ryousaku@hiranogumi.co.jp)。

C型肝炎ウイルスRNAの組成依存的RIG-I認識によって誘導される自然免疫

(nature 2008年7月24日号Vol.454 No7203 / P.523-527)

C型肝炎ウイルスRNAの組成依存的RIG-I認識によって誘導される自然免疫

自然免疫防御は、ウイルス感染の制御に必須、
病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれるウイルス高分子モチーフの
宿主による認識を介して引き起こされる。

C型肝炎ウイルス(HCV)は、肝臓で複製するRNAウイルスで、
全世界で2億人が感染。
感染は、細胞のRIG-Iヘリカーゼによって引き起こされる
肝臓の免疫防御によって調節。

RIG-Iが、PAMP RNAに結合することでシグナル伝達が起こり、
インターフェロン調節因子3が活性化され、感染を抑えるインターフェロンα/β、
抗ウイルス/インターフェロン刺激遺伝子(ISG)の発現が誘導。

今回、HCVゲノムの3′非翻訳領域とその複製中間産物の
ポリウリジンモチーフをRIG-IのPAMP基質として同定し、
RNAウイルスのゲノムに存在するこのモチーフ、類似のホモポリウリジン、
ホモポリリボアデニンモチーフが、ヒトおよびマウスの細胞における
RIG-I認識と免疫誘導の主な特徴。

PAMP RNAの5′末端3リン酸は、RIG-I結合に必要であるが十分ではない。
この結合は、リボヌクレオチドのホモポリマーであること、
直鎖状の構造であること、長さに主に依存する。

HCV PAMP RNAは、in vivoでRIG-I依存的なシグナル伝達を刺激して
肝臓の自然免疫を誘導し、in vitroではインターフェロンとISG発現を
引き起こしてHCV感染を抑制。

これらの結果は、HCVゲノム、他のRNAウイルス内の
特定なホモポリマーRNAモチーフを、RIG-IのPAMP基質として同定、
新たな概念をもたらし、PAMP-RIG-I相互作用の免疫賦活的な特性を、
ワクチン用の免疫アジュバントや免疫療法的手法に使えることを証明。

[原文]
Innate immunity induced by composition-dependent RIG-I recognition of hepatitis C virus RNA

Takeshi Saito1, David M. Owen1,2, Fuguo Jiang3, Joseph Marcotrigiano3 & Michael Gale Jr. 1
1.Department of Immunology, University of Washington School of Medicine, Seattle, Washington 98195-7650, USA 2.Department of Microbiology, UT Southwestern Medical Center, Dallas, Texas 75235-9048, USA 3.Department of Chemistry and Chemical Biology, Rutgers University, Piscataway, New Jersey 08854, USA

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200807/nature/7203/02.html?Mg=a8d8655bd2f80db16a882c8e6bb1108e&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag

震災復興を支援 ジャッキー・チェンさん

(岩手日報 8月9日)

アクションスターが復興を後押し。
映画俳優のジャッキー・チェンさんは、映画グッズを
岩手・宮城内陸地震のチャリティーオークションに出品、
益金約100万円を近く被災地に寄付。

映画「ドラゴン・キングダム」の宣伝を担当する
スターキャスト・ジャパンなどによると、チェンさんは7月上旬、
中国・四川大地震のチャリティーを目的とした同映画試写会で来日。

会場で、「日本でも大地震があったと聞く。力になりたい」として、
撮影で使ったひょうたんと、特製スタジアムジャンパーにサイン。
オークションで得た全額を被災地に寄付すると表明。

オークションは、インターネット上でこのほど行われ、
総額100万1999円で落札。
寄付金は、月内にも日本赤十字社に託される。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080809_15

2008年8月10日日曜日

大船渡3団体が要望 気仙3市町合併議論

(岩手日報 8月6日)

大船渡、陸前高田、住田の気仙地方3市町の合併議論について、
大船渡市内の青年3団体は、大船渡市議会の佐藤丈夫議長に、
議会として主導的な役割を果たすことを求める要望書を提出。

大船渡商工会議所青年部(出羽司孝会長)、
大船渡青年会議所(遠藤博幸理事長)、
盛青年商工会(出羽伸弘会長)の3団体の代表者が、議長室を訪問。

要望書は、「合併新法を見据えて3市町による本格的な協議を行うべき」
▽住民への情報提供や意見交換の場の設置、
▽2市による合併協議会設置と、
3市町による協議会への発展に向けた議論
の2点を求めた。

大船渡商工会議所青年部の出羽会長は、
「(現在議論が進んでいる)2市による協議会設置はもちろん賛成だが、
住田を加えた3市町による合併が望ましい。
最終的に判断するのは議会であり、真剣な議論をお願いしたい」

佐藤議長は、「将来的には、3市町で合併すべきが大半の議員の意見。
議会も努力するが、市民の側も合併の雰囲気を盛り上げてほしい」

気仙合併をめぐっては、陸前高田市民有志の署名による直接請求を受け、
中里長門陸前高田市長が、甘竹勝郎大船渡市長に合併協設置を
議会に諮るかどうか照会している最中。
甘竹市長が議会提案を決めれば、中里市長も応じなければならず、
甘竹市長の判断が注目。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080806_12

心臓に良い日本の食事は魚が重要

(WebMD 7月28日)

日本人のパラドックスと言えるかもしれない。
日本の男性は、生涯を通じたコレステロール値、血圧、2型糖尿病発生率が
米国の男性と同程度であり、喫煙率が(米国の男性より)はるかに高い。

日本在住の男性における心疾患が、米国在住の男性の1/2以下、
日本人男性ではアテローム性動脈硬化
(動脈を詰まらせるプラークで、心臓発作や脳卒中につながる)が
少ない傾向があるのはなぜか?
その答えは、海に見つかる可能性が新規研究から示唆。

この研究では、日本在住の男性の方が魚を多く食べるため、
血中ω-3脂肪酸濃度は米国在住の白人男性、日本人男性の2倍。
日本在住の男性は、アテローム性動脈硬化の重症度も低い。

マグロ、サバ、サケなど脂肪が多い魚に主に見られるω-3脂肪酸は、
動脈におけるプラーク形成を予防するという仮説の裏付け。

ω-3脂肪酸の摂取源には、魚油(ドコサヘキサエン酸(DHA)、
エイコサペンタエン酸(EPA)が含まれる)のほか、植物起源のものも。
体内でω-3脂肪酸に変換されるα-リノレン酸(ALA)は、
植物起源のω-3脂肪酸。

これまでの研究では、一般に魚油が使用。
ALAを含む植物起源のものにも同じ有効性があると思われるものの、
これについてはあまり知られていない。
研究者のAkira Sekikawaは、「日本では、魚の摂取量が非常に多いことは、
アテローム性動脈硬化、冠動脈性心疾患の発生率が大幅に低い。
この研究では、ω-3脂肪酸が日本の男性を保護していることを
証明していないが、ω-3脂肪酸濃度が上昇するとともに動脈厚が減少する

日本人の食事は第二次大戦の終戦以降、ますます西欧化されてきたが、
日本の魚消費量取は依然として世界最高の水準。
ω-3脂肪酸研究者のWilliam Harrisは、
日本人は毎日、魚を平均3オンス(約85g)食べるが、
米国人は米国心臓協会(American Heart Association)が薦める
週2皿を、何とか食べることも難しい。

日本における1g/日という平均ω-3脂肪酸摂取量は、
米国人が摂取する量の約8倍。
「ω-3脂肪酸を、もっと食事に取り入れる必要があることは明らか」

魚油サプリメントは、ω-3脂肪酸を摂取するひとつの方法。
心疾患のある人を対象とした研究では、ω-3脂肪酸補給の有効性が示される。
米国心臓協会では、心疾患のある人は毎日、EPAとDHAを合わせて
1g摂取するように推奨。
ω-3脂肪酸の良い摂取源には、アマニ油・菜種油、大豆、豆腐、クルミなど。
ω-3脂肪酸は、カプセルとして市販されることも多いが、
胃の調子を悪くする可能性があるので、食物と一緒に摂取すべき。

Harris博士は、食品の多くが、葉酸などのビタミンで強化されているのと同様、
ω-3脂肪酸で強化されるだろう。
「米国人に油の多い魚を好きにならせるか、米国の食品にω-3脂肪酸を入れる
別の方法を見つけるか、そのどちらか」

Sekikawa博士らによる研究では、日本在住の日本人男性281名、
米国在住の日本人男性281名、米国在住の白人男性306名を対象。
全員40代で、ω-3脂肪酸などの脂肪酸の血清中濃度を測定。
アテローム性動脈硬化について、2つの検査を実施。
1つは、脳に血液を送る大頸動脈(major neck artery)の動脈壁厚の測定、
もう1つは心臓につながる動脈におけるプラークの測定。

総脂肪酸濃度は3群とも同程度、
日本在住の日本人男性の血中ω-3脂肪酸濃度は、米国在住の日本人男性、
白人男性よりそれぞれ45%および80%高かった。
アテローム性動脈硬化に関する2検査から、
日本在住の日本人男性の方が動脈におけるプラーク形成が少ない。

アテローム性動脈硬化のレベルは、
日系米国人および白人米国人の両者とも同程度。
『Journal of the American College of Cardiology』8月5日号に掲載。

Sekikawa博士は、「日本在住の日本人における冠動脈性心疾患による
死亡率が大幅に低いことは、遺伝的因子による可能性が非常に低い

Harris博士は、40年ほど前に実施されたグリーンランドの
イヌイットエスキモーに関する研究から、「ω-3仮説」が生まれた。
果物、野菜、複合糖質が少なく、脂肪やコレステロールの多い食事を
摂取していても、エスキモーは心疾患の発生率が非常に低い。

その理由は大量の魚、クジラ、アザラシの摂取により、
食事中のω-3脂肪酸が非常に高濃度であるため。

しかし、最近の諸研究によれば、アラスカエスキモーでは、
魚の消費量が多いにもかかわらず、心疾患発生率が米国の白人より高い。
「アラスカにおける問題の一因は、ω-3脂肪酸の不足ではなく、
彼らの食事が西欧化され、ショートニングなどの飽和脂肪を大量に摂取したこと」

長鎖ω-3脂肪酸の心保護効果(cardioprotective punch)は、
脂肪、特に飽和脂肪の多い食事にはかなわない可能性」が示唆。
米国心臓協会(American Heart Association)の元会長である
心臓専門医Robert Eckelは、非常に高用量のω-3脂肪酸を投与した
心臓発作患者の研究は総じて期待外れ。

「以前より、魚を多く食べる人たちは心疾患になりにくい。
この研究はそのことを裏付けているものの、さらに研究が必要」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=77973

クローズアップ2008:北京五輪・開会式 威信かけ中華色全面

(毎日 8月9日)

「中華民族100年の夢」とうたわれた北京五輪が8日、開幕。
開会式では、中国が誇る悠久の歴史や現在の発展ぶりが
華やかに表現され、開催国の国威発揚の舞台は興奮に包まれた。
しかし、一党独裁体制下で経済成長を続けてきた中国では、
格差の拡大やナショナリズムの高揚、少数民族政策の行き詰まり。
五輪を機に、世界の視線がさらに厳しく集まるなか、
中国は「真の大国」に脱皮できるかどうか。

「三 3」「二 2」「一 1」--。
「鳥の巣」と呼ばれる開会式会場の国家体育場。
カウントダウンで、漢数字とアラビア数字の人文字が浮かび上がった。
一糸乱れぬマスゲーム。
中国と西洋で生まれた文字を同時に並べる演出。

開会式のショー部分は2部から成り、
「燦爛とした文明」と「輝かしい時代」に分けられた。
世界四大文明の一つとして、悠久の歴史を誇示するとともに、
「『改革・開放』後の現代中国の姿を示す」
(張和平・北京五輪組織委員会開閉会式作業部長)構成。

数千年にわたり、世界に文化を発信し続けた「過去」と、
高度経済成長を背景に世界と一体化する「現在」。
共に「開かれた中国」を演出する共通の狙い。
紙、活字、羅針盤、火薬と、中国が生んだ世界的発明を映像も駆使して披露。
2種類の数字の人文字も、中国と世界を結ぶメッセージが込められた。

中国の五輪誘致は、1908年、天津のキリスト教青年会(YMCA)の
年度報告に記された「中国はいつ五輪を開催できるようになるのか」
との提起がきっかけ。
「100年の夢」がかなった夜、生命のゆりかごを象徴する「鳥の巣」から
打ち上げられた花火は一瞬、不死鳥「鳳凰」の姿に。
自らを世界の中央に位置付ける「中華」色の濃い演出。

チベット暴動と、対応を批判したサルコジ仏大統領をはじめ、
日米など主要国の首脳が貴賓席にずらりと顔をそろえた開会式。
それは、中国の体制に不信感を抱きながらも、
中国の存在を無視できない現状を物語る。

中国国内では、経済成長の自信を背景に、ナショナリズムが急速に台頭。
五輪開催の経験は、ナショナリズムに伴う排他性を加速させる恐れ。

胡錦濤国家主席は開会式に先立ち8日午後、
80カ国以上の首脳を北京・人民大会堂に招いた歓迎レセプションで、
「北京五輪は中国だけでなく、世界にとってもチャンス」。
世界とどう協調していくのかは、まさに中国自身が抱える課題。

何振梁・国際オリンピック委員会(IOC)元副会長は、
「中国は、国力をつける中で『五輪100年の夢』を実現。
五輪開催が中国に何をもたらすか。
その姿は時間がたたないと見えてこないだろう」。

中国は共産党一党独裁の下、民主化をためらいつつ、
資本主義の体現ともいえる「商業五輪」を史上最大規模で実現。
その矛盾こそ、中国が抱え続ける問題。

北京五輪のスポンサーには、海外の巨大企業がこぞって名乗りを上げた。
人口13億の巨大市場で、販路拡大を狙ってのこと。
公式スポンサー12社からの収入は、8億6600万ドルで五輪史上最高。
一方、経済至上主義が中国国民の間に浸透し、
「五輪バブル」は国内の格差を広げた。

胡主席は、「五輪の政治化は、オリンピック精神と世界の人々の願いに背く」
しかし、中国にとって五輪開催への道のりは、国際政治そのもの。

民主化を求める学生らを武力弾圧した天安門事件(89年)で、
国際的に孤立する中、五輪招致の話を具体化。
進展しない民主化や少数民族政策などへの批判が要因で、
招致に失敗してもあきらめず、再度の立候補で五輪招致を勝ち取った。

スーダン・ダルフール紛争への「中国の対応」に抗議して、
米国の映画監督、スピルバーグ氏が開会式芸術顧問を辞退。
開会式の演出は、中国の映画監督、張芸謀(チャンイーモウ)氏が担った。
「初恋のきた道」、「単騎、千里を走る。」などの作品で
世界的にも著名な張氏は、中国の全56民族の民族衣装姿での行進を演出。
「中華民族」は、人口の92%を占める漢族だけでなく、
チベットやウイグルなど少数民族も一員と示す狙い。

チベット暴動や、直前の新疆ウイグル自治区での警官16人殺害事件など、
少数民族政策がほころびを見せる中で迎えた北京五輪。
民主的権利への締め付けが続く一方、
四川大地震の救援・復興で盛り上がった愛国心は、五輪でさらに高揚。
矛盾も深まる中、建国59年の中国は五輪を機に次のステップへ。

http://mainichi.jp/enta/sports/08olympic/archive/news/2008/08/20080809ddm003030098000c.html