2009年9月26日土曜日

社会人基礎力(5)働く醍醐味 ゲームで

(読売 9月15日)

小中学生でも楽しみながら社会人基礎力を養える「ゲーム」がある。

「ゾウ王国」の中学生4人が、机に集まって「作戦」を練っている。
「どうしよう。紙はいっぱいあるけど、切る道具がない」、
「隣の国はハサミもカッターも持ってるよ」
1人が駆け出し、隣の「チーター国」と交渉。
「すみませーん。紙とハサミを交換しませんか?」

中高一貫校の新潟県立柏崎翔洋中等教育学校で、
2年生の2学級80人が「トレーディングゲーム」を行った。
4、5人ずつの「国」に分かれ、経済成長を競うゲーム。

各国は配られた道具を使い、指定された大きさの
円や三角形などを紙に描く。
切り取ると「製品」になり、「製品取引所」で換金できる。
時間内に、最も収益を上げた国が勝ち。
生徒は得意分野を生かし、他国との交渉役や製品を作る役、
全体の指示役などを分担する。

ポイントは、各国に配られる道具が不平等なこと。
紙は多いがハサミや定規がない資源国や、
逆に道具はあっても紙が乏しい技術国。
そんな国同士の交渉と駆け引きが醍醐味に。

トレーディングゲームは、教育プログラム会社
「ウィル・シード」が開発。
船橋力社長(39)は、「社会人が何をしなければならないのか、
自然にわかる仕組み」
2002~06年度、経済産業省の起業家教育促進事業に選ばれ、
これまで全国の小中高校889校で実施。

ゲームの狙いは、
〈1〉自分で考えて行動する「主体性」、
〈2〉コミュニケーションを通じた「他者との関係性」、
〈3〉チームで役割分担する「社会性」、
〈4〉自由な発想による「創造性」

ハサミがない国はどうするか?
他国から買うか借りるか、交換するか?
同盟を結んで共有することもできる。
船橋社長は、「アイデアは無限だが、あくまで子どもたちに考えさせる

技術国の一つで指示役をした田中麻梨奈さん(13)は、
「仕事って、みんなで協力しないと全然進まないことがわかった。
すごく面白い」と目を輝かせた。

ゲーム中は、様々な「ハプニング」が用意。
「大地震発生!作製途中の製品はすべて没収します」、
「直角三角形が増えたので価格を下げます」

ゲームを進行する「国連」役で社会人ボランティアの
春川英広さん(32)が告げるたび、
教室は「えーっ」、「うそー」と大騒ぎ。
65分間の制限時間はあっという間に終わる。

柏崎市内でギフトショップを経営する春川さんは、ゲーム終了後、
「大人でも、仕事を楽しめる人と楽しめない人がいる。
でも仕事は、やり方次第で楽しくなるものなんです」と生徒たちに語った。

2年2組担任の佐藤美穂子教諭(29)は、
「普段の授業でおとなしい子も一生懸命だったり、
いつもと違う生徒の顔が見られて勉強になった」

◆起業家教育促進事業

小中高校生に将来、自分の会社や店を持つことができることを
意識させるため、経済産業省が創造力、決断力、交渉力などを
育てる体験プログラムを募集。
起業家に求められる能力は、会社員の資質とも多く共通するため、
社会人基礎力の育成にもつながる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090915-OYT8T00262.htm

トムソン・ロイターのノーベル賞有力候補に小川誠二氏

(サイエンスポータル 2009年9月25日)

情報企業「トムソン・ロイター」は、10月5日からの
ノーベル賞授賞発表前に、医学生理学、化学、物理学、
経済学賞の受賞有力候補者25人を発表、
日本からは小川誠二氏が医学生理学賞の有力候補者。

トムソン・ロイターは、同社が持つ学術文献引用データベースに
基づき、学術論文の被引用数が多い研究者を
ノーベル賞受賞の可能性も高いとみなして、毎年発表。

小川氏は、磁気共鳴機能画像法(fMRI)の基本原理を
発見した功績で知られる。
ことし医学生理学賞受賞の可能性があるとして、
同社は3つの研究業績に計6人の研究者を挙げているが、
「磁気共鳴機能画像法の基本原理発見」は、小川氏一人だけ。

同社(旧トムソンサイエンティフィック社)は、
2002年から昨年まで、日本人8人を含む92人を医学生理学、
化学、物理学、経済学賞の受賞有力候補者に挙げ、
このうち11人がノーベル賞を受賞。

小川誠二氏は、東京大学工学部を卒業後、
米スタンフォード大学で博士号取得、ベル研究所など
米国での研究生活が長い。
米医学アカデミー会員。
2003年に日本国際賞を受賞。

http://scienceportal.jp/news/daily/0909/0909251.html

東京五輪:招致の底流/下 リオ浮上に危機感

(毎日 9月19日)

2日に公表されたIOCの16年夏季五輪立候補都市に対する
評価報告書で、リオデジャネイロ(ブラジル)が
「very high quality(非常に質が高い)」と評価され、
東京の招致関係者が色めきたった。
「IOC上層部の政治力が働いたとしたら、まずいね」

リオは、昨年6月のIOC1次選考の段階では、
東京、マドリード、シカゴを含めた4都市で総合評価が最も低かった。
特に治安、インフラ(社会基盤)、宿泊施設が懸念材料と判断。
リオの評価の背景について、「ロゲ会長が自身の功績として、
南米大陸初の五輪を開きたいという意向があるのではないか」

南米とアフリカでは、五輪開催がない。
同じ五輪未開催の共感から、アフリカ票がリオに回る可能性も。
アフリカの「五輪空白地」に対する共感の例として、
08年夏季五輪招致でアフリカを訪問した
山本次生・大阪招致委員会国際競技部長(当時)は、
「中国で1回ぐらいやらせてあげたい。そうは思わないか」

IOC委員106人の地域別内訳は、欧州47、アジア22、
アメリカ18人、アフリカ15、オセアニア4。
リオは、アメリカ大陸の票をシカゴと分け合うが、
フランスのサルコジ大統領が支持を表明するなど、
大票田の欧州票もある程度集めそうな勢い。
立候補都市がなく、勝負の分岐点とされるアフリカ票が流れれば、
他都市にとって脅威。

JOC幹部も、今月に入って、リオのおひざ元である中南米を行脚し
切り崩しを図ったが、福田富昭副会長は、
「ブラジルが上に来ている感じだ」と危機感。

リオの懸念材料が解消されているわけではない。
東京は、アジア初の五輪となった64年大会当時のような
絶対的なアピール度がない半面、財政基盤や計画自体への
信頼感は、IOC委員の間で依然として高い。

原田宗彦・早大スポーツ科学学術院教授は、
「2回目となる東京五輪は、世界にとってどんな意味があるのか、
という視点が大切だ」

世界に戦後の復興をアピールした東京五輪から52年。
次は、世界に何をもたらすことができるかが、問われている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2009/09/19/20090919ddm035050015000c.html

2009年9月25日金曜日

自殺予防週間に合わせ防止活動に力を入れる保健師、平谷国子さん

(2009年9月17日 共同通信社)

「本当に優しくて、まじめに働いていた」父親が
自ら命を絶ったのは、7年前。
自身は保健師として、岩手県の久慈地域で
住民の健康相談などに忙しい日々。

ショックのあまり、「わたしもいつ、どうなってしまうか
不安で眠れなくなった」
つらい思いを誰にも言えず、
「なぜ助けられなかったのか」と自分を責めた。
少しずつ父の死と向き合えるようになった4年前、
職場で自殺予防の担当に。

「父の死を防げなかった自分が、住民の自殺を防げるのか」
悩んだ末に遺族としての思いを、地元の町の広報誌に掲載。
住民が集まる場に足を運んでは、
孤立しがちな高齢者らのケアに力を注いできた。

全国でも自殺率が高い久慈地域全体の対策にもかかわり、
遺族の支援活動や、警察・自治体などとの
ネットワークづくりに参加。
近年では一定の効果があり、「予防のモデルケース」として注目。
「自殺対策は、地域づくりそのものだと、実感」

年間の自殺者数は、1998年から11年連続で3万人を突破。
予防への機運は高まっているが、実務の現場では、
「具体的に何をすればいいのか迷う」との声も。
最近は、予防策がテーマの学会や研修会に招かれ、
遺族・保健師としての経験を率直に語っている。

「遺族に対して、身構えることは何もない。
ただ寄り添って話しを聞いてもらえたら十分。
それが、自殺への偏見を少しでもなくすことにつながる」
岩手県出身。37歳。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/9/17/107867/

鳩山首相25%削減世界に約束

(サイエンスポータル 2009年9月23日)

鳩山由紀夫首相は、国連総会で演説、
2020年までに1990年比で25%の温室効果ガスを削減する、
という日本の中期目標を明らかにし、
国際協調の下で気候変動に取り組む意思を明確に。

首相は、この目標が衆院選のマニフェストで掲げた
政権公約であるとし、国内排出量取引制度や、
再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入、
地球温暖化対策税の検討など、あらゆる政策を総動員して
実現を目指す、と決意。

すべての主要国の参加による公平で実効性のある
国際枠組みの構築と意欲的な目標の合意が、
日本の約束の前提であることも強調。
途上国支援について、詳しく考え方を述べているのが目を引く。

4つの原則として、
(1)先進国の新規で追加的な官民の資金による貢献、
(2)途上国の排出削減について測定、報告、検証を可能とする
国際的な認識を得るためのルールづくり、
(3)途上国への資金支援についてのワンストップの情報提供や
マッチングを促進する国際システムづくり、
(4)低炭素技術の移転を促進するために知的所有権の保護と
両立する枠組みづくり-を挙げた。

http://scienceportal.jp/news/daily/0909/0909231.html

東京五輪:招致の底流/中 先の見えぬロビー活動

(毎日 9月18日)

「オリンピックの発信力が大きくなり、
立候補都市の競争が激しくなった。
票集めの技術がないと、勝つのは難しい」

IOC元副会長の金雲龍氏(韓国)は、東京など4都市が
激しく争う16年夏季五輪招致に関してこう語った。

東京は、昨年6月のIOC1次選考でトップ通過。
今月2日に公表された評価報告書では、IOC調査で55・5%という
都市別支持率の低さや、五輪スタジアム周辺の交通事情などが
問題点として指摘。

東京の招致関係者は、「すべて解決済みの問題で、
致命的な指摘はなかった」と依然として計画に自信を持つ。
財政基盤も、他都市に比べて安定。

緻密な計画や財源の裏付けがあっても、
106人のIOC委員を口説くロビー活動をしない限り、
票に結びつかないと金氏は指摘。

説得材料は、必ずしも「開催意義」や「理念」だけではない。
98年冬季五輪招致では、元JOC会長の堤義明氏が、
IOCのサマランチ会長(当時)に、スイス・ローザンヌに建設する
五輪博物館の資金を確保するため、寄付の取りまとめを約束。
日本からの寄付総額は、2400万ドルとも言われる。
サマランチ氏の意向は、長野が勝利を収めた大きな要因。

02年ソルトレークシティー冬季五輪招致にかかわる
IOC委員の買収スキャンダルで、IOC委員と立候補都市の
接触が制約され、利益供与も禁じられた。
サマランチ会長が退き、堤氏も証券取引法違反で有罪判決を受け、
表舞台から姿を消した。

東京都の石原慎太郎知事は、「インタレスト(興味)が百人百様。
誰が束ねているとかじゃない。ものすごく見えにくい戦い」と
IOC委員へのロビー活動の難しさを口にした。

行政主導のロビー活動は五里霧中。
しだいに意外な国際人脈を持つJOC関係者に、期待が集まる。

赤木恭平・全日本ボウリング協会会長もその一人で、
北朝鮮や南米コロンビアなど幅広い人脈がある。
赤木会長は、「北朝鮮は、国際大会のメダル有望競技として
ボウリングのジュニアの強化に励んでおり、
日本からもプロボウラーが平壌に行って教えている」と
スポーツ交流で培った関係に自信を見せる。

JOCの竹田恒和会長らは、今月に入っても
2国間パートナーシップ協定を結ぶキューバなどを訪問。
1票ずつ積み重ねる地道な作業が、
10月2日のIOC総会直前まで続く。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2009/09/18/20090918ddm035050014000c.html

2009年9月24日木曜日

特集 地域医療を考える がん征圧へ早期発見 健診は年1回、積極的に

(2009年9月17日 毎日新聞社)

9月は、がん征圧月間。
がん患者は、右肩上がりで年々増えている。
がん征圧には、健診による早期発見が大切。

受診率は20~25%にすぎず、大腸がんの場合、
「精密検査の必要あり」の半数しか、精密検査を受けていない。
県総合保健協会中央健診センター(高知市)の
平井学・副センター長(49)は、
「健診で自分の健康を知ってください」と受診を呼び掛け。

--どのような種類の検査があるか?

◆医師による診察や触診、問診のほか、
検査機器(超音波機器、放射線機器など)を用いたもの、
生体試料(尿、血液、たん、便など)。

--がん健診の種類について。

◆健診では、比較的発生頻度が高く、早期に発見した場合、
治療効果や延命効果の高いものが中心。
市町村の一部ないし全額補助で行われているのは、
肺、胃、乳腺、子宮頸部、大腸、前立腺の六つの部位。
肺は胸部X線撮影、胃はX線透視撮影(または内視鏡検査)、
乳腺は触診とX線撮影「マンモグラフィー」、子宮は細胞診、
大腸は便潜血反応、前立腺はPSA(血液検査)--を行う。

--受診者数と受診率は?

◆受診者は昨年度の場合、肺がんの14万9209人が最も多く、
胃がん、大腸がんがそれぞれ6万人台。
受診率は20~25%に過ぎず、高知県の場合はさらに低い。
市町村の財政事情などで温度差が。
国は、今後5年間で50%に引き上げることを目標。

それ以上に問題なのは、1次検査で「精密検査の必要あり」と
診断された人の多くが精密検査を受けていない。
受診者の意識が高い乳腺の場合、90%以上の人が受けるが、
大腸の場合は55%。
大腸がん検診の精密検査である内視鏡検査の結果、
4・5%の人に大腸がんが見つかる。
精密検査を受けていない人に、がんの人が含まれている。
精密検査を100%実施することが、
1次検査の受診率以上に重要。

--精密検査を受けない理由は?

◆山間部など地域によっては、近くに精密検査ができる
医療機関がない場合。
専門医自体の数が少ないことも。
「もう1回、1次検査を受けさせて」という人がいるなど、
怖いという心理的な問題も大きい。

--精密検査を100%にするために、どんな策を講じるか?

◆精密検査を受けた人のうち、どれぐらいの人に
がんが見つかったかという具体的なデータを示し、
電話やはがきで受診を促すことが重要。
市町村レベルでは、保健師が受診したかどうか
個別に追跡し確認することも行う。

大腸の場合、半数の人でポリープが見つかる。
将来がん化しやすいため、見つかったら切除して
不安の芽を摘むことが大切。

--検査はどれくらいの頻度で受ければよいか?

部位によって、がんの進行は異なり、1年に1回が目安。
前立腺や乳腺・子宮は、国の基準では2年に1回。
大腸や前立腺は、年齢が高い人に多く、50歳からの検査を勧める。
がんを患った家族がいる場合、いつもと体調が違う時は、
医師と相談して積極的に検査を受けるべき。

--検査の費用について。

◆胃(間接撮影)=4513円、子宮頸=3024円、
乳腺(視・触診)1330円、乳房マンモグラフィー一方向2100円、
同二方向3150円、大腸(2日法)1614円、
前立腺(PSA検査)2310円--。

市町村で一部または全額補助が受けられるので、
詳しくは各市町村に聞いてください。

--六つの部位以外のがん健診について。

腎や肝臓、胆のう、すい臓については、腹部超音波検査。
がん検診として検査が行われていない臓器のがんでも、
診察時に甲状腺皮膚、頚部リンパ節腫脹(転移性がん、血液疾患)
などの所見から悪性が疑われれば精密検査をお勧め。
咽頭、食道、ぼうこう、脳内腫瘍などは、
自覚症状の問診情報から疑われる場合。
診察や問診は、本来特定のがん発見を目的としたものではなく、
気になる人は症状の現れた時期とともに健診時に相談して。

--最後に健康診断の大切さをアドバイスを。

◆自分の健康に関心を持ち、自分の健康状態を知るための
手段として健診を受けてもらいたい。
自分の健康のためにできることは、人任せにしてはいけない。
自分の健康は自分で守る。
そういった目的意識で健診を受けていただくと、
健診結果も活用できる。

健診で見つかるがんの大半は、早期がん。
逆に症状が出てしまってからでは、進行している例がほとんど。
早期がんは、発生臓器にとどまり転移のないもので、
治療によりほぼ100%治すことができる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/9/17/107881/

大学教員:研究時間、6年前より2割減 07年度

(毎日 9月14日)

大学の教員が研究にあてる時間が、07年度は、
6年前に比べて約2割減ったことが、文部科学省の調査。

「成果の社会還元」が教育、研究に次ぐ第3の使命とされた
教育基本法改正などの影響で、講演や審議会出席などの
社会貢献や、学生の指導に割く時間が増えたため。

調査は、研究開発に投入された人的資源を調べるため、
5~10年ごとに実施。
08年11~12月、国内の大学の教員、博士課程在籍者ら
計1万1749人に、平均的な1日の勤務内容や年間休日数、
論文発表数などを尋ね、7050人から回答を得た。

その結果、大学教員では前回調査の01年度には
勤務時間の46.5%を自分の研究にあてていたが、
今回は36.2%に減っていた。

教育や社会貢献にかける時間は2~3割増えた。
博士課程在籍者でも、自分の研究にあてる時間の割合が、
前回の70.9%から65.9%に減った。

文部科学省の佐藤明生・調査調整課長は、
「教育や社会貢献も重要な仕事。
研究時間が減少したからといって、論文発表数などの成果が
著しく下がったというわけではなく、一概に可否は言えない」

http://mainichi.jp/life/today/news/20090915k0000m040086000c.html

東京五輪:招致の底流/上 民主と自民に温度差

(毎日 9月17日)

東京、シカゴ、リオデジャネイロ、マドリードが立候補している
16年夏季五輪の開催地が来月2日、
デンマークで行われる国際オリンピック委員会(IOC)総会で決まる。
52年ぶりの五輪開催を目指す東京は、
何をどう訴え、どう受け止められてきたのか?
さまざまな思惑が交錯する「本命なき招致レース」の底流を探った。

「五輪に反対しているわけじゃないが、鳩山さんが行って負けたら、
責任を取らされることになる」
民主党衆院議員の一人は新政権発足を控えた9日、
鳩山由紀夫首相のIOC総会出席について慎重な姿勢を示した。

五輪開催地を決めるIOC総会の招致演説は、
国家元首や国際的著名人が登場するケースが目立つ。
ソチ(ロシア)が評価報告書で優勢だった平昌(韓国)に
逆転勝利を収めた14年冬季五輪招致は、
プーチン大統領(当時)の演説が決め手に。

石原慎太郎都知事は、鳩山首相の出席を要請しているが、
実現するかどうか決まっていない。

東京都議会の民主は以前から、建設費931億円を計上している
新設の五輪スタジアムが過大投資になる恐れがあると主張。
民主都議の一人は、「既存の国立競技場を改修して使用すべき。
そもそもオリンピックは(知事3期目の)石原さんと自民の公約。
自民がメーンでやればいい」と距離を置く。

オリンピック評論家の伊藤公さんは、
「民主は、招致に積極賛成ではない。
麻生内閣の時に国の財政保証をしたし、IOCの印象はよくない」

自民党は、スポーツ振興を「国家戦略の一環」と位置づけ、
マニフェストでも「2016年東京オリンピック・パラリンピックを
国を挙げて招致する」とうたった。

76年モントリオール五輪クレー射撃代表の麻生太郎前首相ら
自民の支援を受け、五輪招致を起爆剤に
スポーツ関連予算の充実を目指してきた

JOCの市原則之専務理事は、
「(国立競技場を使用した)64年大会と比べ、
五輪の大会規模が3倍になっている。
説明すれば、分かってくれる」と語るが、残された時間は少ない。

今年3月、五輪招致支持の国会決議は、
民主を含む超党派で行われた。
日本体育協会会長の森喜朗・元首相(自民)は、
「どういう政権になっても、スポーツは大事。
(鳩山さん)本人もスポーツが嫌いなわけじゃない」と
五輪招致への理解を訴える。

鳩山首相が東京五輪に関して、
今後どんなメッセージを発信するのか?
その影響は大きい。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2009/09/17/20090917ddm035050014000c.html

2009年9月23日水曜日

社会人基礎力(4)早めに訓練 高校も動く

(毎日 9月12日)

高校でも、社会人基礎力育成の取り組みが始まっている。

札幌市内の二つの市立高校の生徒が、市内にある
人材サービス会社「キャリアバンク」の本社で、
課題解決のプロセスを学習。
同市教育委員会が、昨年度から全日制の市立高全7校を
対象に実施している「課題探求プログラム」の一つで、
体験学習を通じて社会人基礎力を育成するのが目的。

この日の企画・運営は、同社と、同社にインターンシップ生を
送り込む小樽商科大学が担当。
札幌清田高校、札幌平岸高校の2年生計7人のほか、
同大生10人も参加。

与えられた課題は、「札幌駅前と大通駅周辺の
商業施設はどう違うのか」
高校生たちは、リーダー役の大学生と4、5人ずつのグループに
分かれ、客層や子ども向けサービスの違いについて、
仮説設定から商業施設に出向いての野外調査、
検証結果発表までを行った。

同大の岡部善平・准教授(41)によると、
高校生にとって、大学生との共同作業は、すぐ先の将来を
イメージしやすく、進路決定や職業観の育成にも役立つ。

参加した札幌清田高2年の秦史帆さん(16)は、
「意見を述べ合い、検証していく作業が面白かった。
大学生が仕事をどう考え、就職活動をしているかも聞けて、良かった」

同市教委の課題探求プログラムには、
模擬裁判や博物館でのイベント企画など、高校生向けに
計21コースがあり、今年度は高校2年生を中心に約730人が参加。

同市教委学校教育部の宮田佳幸・指導主事(44)は、
「就職が目の前にある大学よりも、高校段階から
体験学習を積み上げていく方が、
社会人基礎力を養う効果を期待できる

群馬県立太田東高校では、2006年度から、
社会人基礎力の12要素すべての育成に、
1年生から3年生までの全学年で取り組んでいる。

チームで働く力の育成では、1年生は6、7人のグループごとに
環境や国際協力など独自のテーマを設定し、
協力して解決策を導き出す。
考え抜く力では、2年生で、希望の進路を実現させるために
今行動すべきことは何かを考え、発表したりする。

普通科や環境緑地科など4科を設置する
長野県臼田高校では、対人関係の基礎を磨くため、
今年度から1年生を対象にソーシャルスキル教育に取り組んでいる。
相手の考えを聞き、自分の気持ちを伝えることに始まり、
感情をコントロールし、相手を思いやった言動を学ぶまでのプログラム。

ソーシャルスキル教育に詳しい法政大学の
渡辺弥生教授(49)(発達心理学)は、「ソーシャルスキルは、
社会人基礎力の根幹。早い段階から訓練するほど効果的」と、
生徒の基礎力向上に向けた高校の創意工夫に期待。

◆ソーシャルスキル教育

円滑な対人関係を築き、社会にうまく適応するために必要な技能、
コツ、態度を身につける教育。
渡辺弥生教授によると、教育現場での実践では、
相手を傷つけずに気持ちを伝えるスキルや、
自分の気持ちをコントロールするスキルなどを、
児童・生徒に「伝える」、「見せる」、「させてみる」といった
一連のアプローチで教える。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090912-OYT8T00226.htm

東芝が北上で森づくり 県、市と協定締結

(岩手日報 9月12日)

県と北上市、東芝(佐々木則夫社長)は、
「企業の森づくり活動」の協定を結んだ。
東芝が経費を負担し、同社の半導体製造子会社の
岩手東芝エレクトロニクス(北上市)の社員がボランティアで、
同市和賀町の市有地にブナやミズナラなど広葉樹の植樹、
下草刈りを行う。
県が仲介し協定を結ぶのは2例目。

協定書の締結式は県庁で行われ、関係者9人が出席。
達増知事、伊藤彬北上市長、並木正夫副社長が協定書にサイン。

達増知事は、「東芝が率先して参加することは、
企業の森づくり活動に大きな励みになる。
県としても、より一層、活動を推進していきたい」

並木副社長は、「東芝グループの半導体事業の一翼を担う
岩手東芝エレクトロニクスが、こういった活動に参加できるのは
大変喜ばしい」

活動は、岩手東芝エレクトロニクスの社員が、
北上市和賀町の市有地4・5ヘクタールに、
ブナやミズナラなどを計9千本植え、下草刈りなどを行う。
協定期間は、2014年3月末まで。
今年は10月17日に植栽活動を行う。

県と東芝は同日、県内全域を対象に、
協同で森林整備を進める包括協定も結んだ。
これまで、県が仲介して企業の森づくり活動の協定を結んだのは、
雫石町と同町の盛岡セイコー工業の1件。
活動は、同社が資金提供し、同町七ツ森森林公園内の
杉林約1・4ヘクタールの間伐を行うほか、
社員の野外活動などの場としても使用。

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e200909/e0909121.html

インタビュー・環境戦略を語る:Jパワー(電源開発)・北村雅良社長

(毎日 9月14日)

全国7カ所に、総出力約840万キロワットの設備を保有、
石炭火力発電でシェアトップのJパワー(電源開発)。
地球温暖化対策の関心が高まる中、CO2を多く排出する
石炭火力を主力とする事業展開に未来はあるのか?
北村雅良社長に聞いた。

--「脱石炭」が叫ばれる中、なぜ石炭にこだわるのか?

◆石炭は扱いにくいし、使いにくい燃料。
逆説的に言うと、それだからやりがいがある。
石油やガスに比べて安価だが、普通に燃やせば
NOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)が出てしまう。
我々は、技術の進歩によって、石油火力や天然ガス火力並みに
きれいにすることができる。

集じん装置は、究極まで進歩させ、公害はもう心配ない。
今は、熱効率を徹底的に高める努力をし、
この点についてはJパワーの技術が世界一。

--横浜市で稼働した新型の発電所は、
世界最高水準の発電効率と注目。

◆大都市の真ん中で石炭を燃やすという発想に、
海外の方は目を丸くしている。
あらゆる排ガス処理装置を付けた世界最高峰の
発電プラントだからできた。

もし米国、中国、インドで、横浜と同じ発電所を採用したと
仮定すると、計算上は年間13億トンという
日本1国分のCO2が減る。
運転、保守能力も含めた石炭火力の高い技術を
海外に広げていきたい。

--温暖化防止に企業としてどう貢献していくか?

◆石炭は、石油やガスのように取り合いにならないので、
物価的、物量的に安定した資源。
大陸には、まだ石炭が山のようにあり、
欧米も石炭なしにはやっていけない。

今やるべきことは、そういう国々に
最高のクリーンコールテクノロジーを広げていくこと。
石炭を主力とすることで、社員の間にも
「逆風だ、肩身が狭い」などと言う声があるが、冗談じゃない。
社員には、「Jパワーのクリーンテクノロジーが地球を救う」、
「自信を持ってもっと磨け」と言っている。

--温室効果ガスの90年比25%削減を目指す
民主党政権が発足しますが、注文は?

◆日本1国で90年比25%削減しても、
地球全体で1%も減ったことにならない。
リーダーシップを取るには、地球全体で1割、2割削減することに
貢献しなくてはいけない。
思い切った削減目標を打ち出しただけで、
「温暖化問題のリーダーは日本だ」なんて言ってはくれない。

民主党が責任政党になるなら、日本のクリーンコール技術の
研究開発にこそ、予算を充当すべき。
それを世界に広めることで、日本1国が25%を削減することの
何倍もの効果を世界にもたらすことができる。
==============
◇きたむら・まさよし

東大卒、72年特殊法人・電源開発(現Jパワー)入社。
民営化準備室長、新事業開発室長、企画部長などを経て
09年6月から社長。長野県出身。62歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/09/14/20090914ddm008020027000c.html

2009年9月22日火曜日

スマートグリッド:電力網にIT活用、需給スマートに

(毎日 9月14日)

太陽光発電の電力買い取り制度が11月に始まるなど、
再生可能エネルギーの導入拡大を機に、
「スマートグリッド(賢い=効率的な=電力網)」と呼ばれる
新技術が注目。

米国は2月、環境対策を景気浮揚につなげる
「グリーンニューディール政策」の柱として、
スマートグリッド関連に110億ドル(約1兆円)の支出を決定。
日本の民主党も政権公約で、研究開発や普及の促進を掲げる。
何が「賢い」のか、家庭との関係は何かを調べた。

◆発電量を計測

「太陽光に否定的だった1年前と、業界の空気が一変。
再生可能エネルギーの導入に積極的な米オバマ政権誕生が転機
太陽光発電の拡大に備えて、電力10社は8月、320地点に
日射量計と気温計を設ける共同事業を始めた。
計測器の時刻をそろえ、全国一斉に1秒刻みで光量の変化を記録。

国の計画では、太陽光発電の導入は20年に、05年の約20倍の
2800万キロワット、30年に約40倍の5300万キロワットが目標。

発電量は、曇りや小雨で晴天の2~3割に落ちる。
国内全原発53基の合計を超す巨大な電源が、
天気次第で刻々と発電量を変える。
電力需給が調整不能となり、電圧や周波数の激変で
大停電を招く恐れも。

天候の変化は局地的で、1キロ離れれば晴れていることも。
1地点の発電量の増減は、広い地域でみれば平準化されるかも。
「かも、では安定供給の責任を果たせない」と
岡本浩・東京電力系統技術グループマネジャー。
計測器設置は、膨大なデータで不確かさを消す、世界初の挑戦。

これまでの電力の供給は、発電所から工場や家庭に
送電するという一方向。
これから、太陽光発電などが家庭や工場に設置される社会が訪れる。
電気の逆流を防ぐ出力抑制装置や変動の「調整池」となる
蓄電設備が不可欠で、経済産業省は計画通り太陽光発電を
入れるには、30年までに最大6・7兆円の対策費が必要と試算。

計測データが充実すれば、電力配分が調整できるほか、
配電網の工夫で費用削減も可能に。「スマート化」の一例。
スマートグリッドの意味は使う側によってまちまちで、
共通点は「ITを使えばスマート」という程度。

電気電子技術の規格を決める国際電気標準会議も、
昨年10月、定義の検討を始めたばかり。

◆遠隔操作も

米国では景気対策に加え、電気が不足すると、
電力会社が遠隔操作で各家庭の家電をオフにしたり、
エアコンの設定温度を変える需要調整技術として関心が集まる。

日本で家庭に最も身近なのは、関西電力が導入を始めた
「スマートメーター」。
従来の機械式メーターと同じ大きさだが、電気使用量データの
送信装置などIT機器が盛り込まれ、検針や不払いによる
供給停止が遠隔操作でできる。
「客から暴行を受けたりするのを回避できる」と同社。

通信機能を使えば、停電エリアがすぐ分かるため、
停電の早期復旧に役立つ。
電気使用量が30分刻みで分かるため、日別・時間帯別の電気代や
「CO2排出量で樹木何本分」といった情報を伝え、
省エネ意識を高めるサービスも検討中。
99年に研究に着手、昨年から試験導入を開始。
今年7月末までに約9万台を設置。
九州電力も今年度、約4万戸に導入。

CO2削減の「スマートシティー」構想に取り組む
アムステルダムでは、メーターを活用して各世帯が
削減目標を立てる計画だが、プライバシーの問題で
全戸導入が延期された。
新技術を応用すれば、独居高齢者の安否確認に生かせるが、
防犯上の課題もはらむ。

日本では、「使いたい時に使える」という消費者の需要に応え、
発電所増設が続いてきた。
現在、高度成長期に造られた電力設備の更新時期を迎えつつある。
電力中央研究所の栗原郁夫システム技術研究所長は、
「今こそ、新技術導入の好機。
電話と同様に、『ただいま込んでいます。クーラーの温度は
しばらく後でお下げください』と知らせてもいい。
安定供給しつつ、社会のコストを減らす方法が生み出せる」

http://mainichi.jp/select/science/news/20090914ddm016040018000c.html

社会人基礎力(3)患者の心考える医師に

(毎日 9月10日)

社会人になるには、マニュアルに頼らず、
自分の頭で考え抜く力も必要。

会議室の一角に、夫婦役の高齢者2人と医学部の男子学生(25)が
向き合って座る。そのやり取りを、ビデオカメラが撮影。
「ご主人は免疫が弱って、帯状疱疹が出ている可能性があります」

学生の診断に対し、患者の妻役の女性が尋ねた。
「免疫が弱ってるっていうと……」、
「もしかすると、悪性腫瘍ということもありえます」
「がんですか」
予期せぬ宣告に、夫婦役の2人は言葉を失った――。

岐阜大学病院で、医学部5年生8人が、ボランティアの市民十数人と、
模擬診察による実習を行っていた。
実際に診察はしない。
重い病気を伝える際、患者がパニックにならないように
説明するなど、コミュニケーション技術の訓練。

模擬診察した学生は、「帯状疱疹とは何かの説明が足りなかった」
と反省。
担当の藤崎和彦教授(49)は、「『驚かれたと思います』とか
『心配ですよね』と患者に寄り添う言葉がほしかった」と助言。

実習では、患者の年齢や症状に応じ、100例以上のシナリオを
掲載した教科書を使う。
患者の訴えや疑われる病名は記されているが、台本のように
セリフまでは書かれておらず、学生は自分の言葉で
病状を説明しなければならない。

日本の医師国家試験には実技がなく、
コミュニケーション教育の歴史は浅い。
藤崎教授は、「シナリオで意思疎通の形を学びながら、
自分なりに『医療の心』を考えてほしい」と期待。

経済産業省が提唱する社会人基礎力の「三つの能力」の一つに、
「考え抜く力」がある。この力は、
〈1〉現状分析に基づく「課題発見力」、
〈2〉課題解決に向けた「計画力」、
〈3〉新たな方向性を生み出す「創造力」の3要素で構成。

今年度から同省のモデル大学となった岐阜大学は、
医学部を中心に社会人基礎力の育成に取り組む。
「医学書の知識は、どんどん古くなる。
これからの医師や看護師は、自分の頭で考えて問題を解決できる
人材が求められている」と
鈴木康之・同大医学教育開発研究センター長(53)。

模擬診察の実習でも、学生は患者と5段階の
「LEARN」を考え抜く。
患者の話を傾聴する(listen)、わかりやすく説明する(explain)、
相互に認め合う(acknowledge)、最適の治療法を勧める
(recommend)、今後協力していくため交渉する(negotiate)――。

模擬患者の1人、小野茂登子さん(75)は、夫をがんで亡くす前、
治療法を医師と十分相談できなかったことが心残りで、
ボランティアに参加。
「患者は、医師の説明に疑問を持っても、言葉が出てこない。
若い医学生の方々には、そこを理解してほしい」

考える力を持つ医師を育成する取り組みに、患者の期待がかかる。

◆模擬診察

医師や医学部生が模擬患者に対して行う問診形式のトレーニング。
1回10分程度行い、終了後、教員や他の学生、
模擬患者が評価を述べる。
模擬患者はシナリオを自分で選び、練習して臨むが、
医師役となる者はその場でシナリオを知らされる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090910-OYT8T00184.htm

2009年9月21日月曜日

社会人基礎力(2)「チームで働く力」養う

(毎日 9月9日)

社会人に不可欠な「チームで働く力」は、
大学のうちから養うことができる。

「このままじゃ意見がまとまらない。リーダー交代が必要だ」
企業から与えられた課題をチームで議論し、提案をまとめる
京都産業大学の社会人基礎力プログラム。

大手種苗会社「タキイ種苗」(京都市)の課題に取り組む
チームのリーダー、経済学部3年森川宙さん(20)の発案に、
他のメンバーは沈黙。

タキイ種苗が、4月に提示したテーマは、
「将来の日本農業に、種苗メーカーが果たせる役割は何か?」
専門的かつ壮大なテーマだが、
「難しいテーマに挑戦したい」と、文系・理系学部から
2、3年生6人が集まった。

議論は迷走した。
「食の安全・安心を守るべきだ」、
「海外市場を開拓したら?」、
「食料自給率の低さが問題だ」
チームは、6月の中間報告で方向性を定められないまま発表し、
メンバーは焦っていた。

昨年も、同プログラムを受けた森川さんは、
経験と冷静な分析力で信頼は厚かったが、
優しい性格ゆえに意見を集約できない責任を重く受け止めていた。
「わかった。それなら交代してもらおう」

チームは6月、経営学部3年の青山祐太さん(21)を新リーダーとし、
最終報告会に向けて議論を立て直した。
同大教育プロジェクトスタッフの中尾憲司さん(36)も、
「私が助け舟を出すと、勉強にならない」と学生たちの判断を見守った。

「チームで働く力」は、経済産業省が示す
社会人基礎力12要素のうち、6要素を占める大事な能力。
〈1〉意見を述べる「発信力」、
〈2〉他人の意見を聴く「傾聴力」、
〈3〉意見の違いを理解する「柔軟性」など。

中川正明・同大キャリア教育研究開発センターディレクター(62)は、
2、3年生24人が受講する同大の課題解決型プログラムについて、
「違う学部の学生同士が、それぞれの専門を生かして協力。
3年生はチームを引っ張り、2年生はリーダーに従う立場を学ぶ」

毎週の授業では、主に議論が行われ、学生たちは、
企業で一般的に導入されている「PDCAサイクル」を用いて、
社会人基礎力の到達度を自己評価。
昨年度からは、企業経営者らに少人数グループで、
インタビューし発表する学習を1年生対象に実施。

青山さんらは、最終報告会に向け、
何とか提案の方向性を絞りつつある。
多くの市民に農業に親しんでもらえるよう、
貸し農園事業を支援し、種を提供できないだろうか――。

「実現は難しいと言われるかもしれないが、
自分たちなりに提案の根拠をしっかり示したい」
タキイ種苗の本田学・人事課長(42)は、
「我々が思いつかない発想を期待したい」

優秀な人材も、孤立しては才能を生かせない。
「チームで働く力」の大切さを学ぶ意義が見直されている。

◆PDCAサイクル

企業や組織の管理手法の一つ。
業務を遂行する際、PLAN(計画)、DO(実行)、CHECK(検証)、
ACTION(改善)を循環的に継続することで、
業務の改善や効率化をはかる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090909-OYT8T00196.htm

スポーツ21世紀:新しい波/317 ハンドボールの挑戦/上

(毎日 9月12日)

奈良県生駒市にある高校の体育館、
平日の午後7時過ぎ、20~30代の男たちが集まってきた。
10月開幕のハンドボールの新リーグ「チャレンジ・ディビジョン」
に参加する八光自動車(大阪)の選手たち。
外車を扱う販売店で、勤務を終えた後だった。

福島剛志監督は、「試合数が少ない僕たちにとっては、
格好の武者修行の場」と新リーグを歓迎。
八光自動車は約20年前、池田淳八社長が経験者だったため結成。
従業員180人のうち、選手12人の多くは週末が多忙な店舗で働く。
ほぼ毎週末、試合が組まれる日本リーグに加盟するのは不可能。

これまで試合は、全日本実業団選手権やジャパンオープン、
国体などのトーナメント戦主体。
これでは試合数が少なく、本格的な強化は難しい。

76年設立の日本リーグは、チームの減少に頭を抱える。
ピークだった98~99年、2部を合わせて男女計30チームが参加。
その後チームの減少が止まらず、翌シーズンから女子2部が廃止。
男子2部も、05~06年で打ち切られた。
今季は男子8チーム、女子6チーム。

新リーグ構想は今年1月、ホンダの日本リーグ撤退表明を
きっかけに検討が始まった。
日本リーグ機構の茂木均事務局長は、
「強化、育成のためにも(トップとは別の)リーグ戦が必要」

企業チームだけでは数が足りず、大学や国体強化のための
クラブチームにも声をかけたところ、
10件以上からの問い合わせがあるほどの反応。

新リーグは、今季は男子のみ計11チームの開催、
来年2月まで月1度のペースでリーグ戦を繰り広げる。
会場は、チームの体育館などを借り、リーグに対する負担金も、
日本リーグの年間約500万円(男子)とはけた違いの2万円。
川上憲太・日本ハンドボール協会専務理事は、
「新リーグで勝てば、日本リーグに昇格するということはないが、
日本リーグでやれるチームを育てる場にしたい」

北京五輪アジア予選の「中東の笛」や、宮崎大輔選手の活躍で
注目を集めた日本のハンドボール界。
国内のトップチームに目を向けると、不況などの影響で
強化や育成に視野が開けないのが現状。
低迷を打開しようと新たな試みを模索する動きを追った。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

ノボノルディスクファーマのシュスター氏「糖尿病薬、日本市場を開拓」

(日経 9月14日)

糖尿病を巡る新薬開発競争が激しい。
予備軍と患者を合わせて2000万人以上いるとされる、
日本の治療薬市場は、潜在需要が高く商機を見逃せない。
糖尿病薬大手で、デンマーク系製薬会社
ノボノルディスクファーマ(クラウス・アイラセン社長)も、
市場開拓へ新製品投入を加速。
同社マーケティング本部のビル・シュスター本部長に、
成長戦略などについて聞いた。

——足元の業績をどうみるか?

「ノボノルディスクのグローバルでは、好業績をあげている。
2009年上半期(1~6月)は北米と、日米欧・オセアニア以外の
地域が伸びて、連結売上高は255億デンマーククローネ
(約4500億円)と、前年同期比17%増えた。
成長のけん引役といえるのが、
インスリン注射剤などの糖尿病治療薬。
インスリン注射剤は31%伸びている」

「グローバル全体では、成長率が高い糖尿病市場とはいえ、
業績が伸び悩んでいる地域も。
日本・オセアニア地域での糖尿病分野の売り上げは、
デンマーククローネベースで19%増えたが、
各国通貨ベースに換算すると1%の減収。
競合他社との競争激化などを背景に、伸び悩んだのが実情」

——日本では製薬各社の競争が激しい。市場をどうみているか?

「日本は、潜在的な需要は高い。
糖尿病が強く疑われる人は900万人はいるが、
治療している患者はそのうち50%強。
効果的な新薬発売で需要を掘り起こせば、
シェアを拡大するチャンスは大きい。
日本人は、欧米人に比べてインスリン分泌量が少ない。
インスリンを分泌する膵臓内の細胞に負担をかけない
治療の重要性は高い。
我が社の主力製品で、糖尿病患者の血糖値を下げる
インスリン注射剤の需要も高いと期待」

——競争激化への対策は?

「医師への効果的かつ効率的な訪問を実現するため、
医薬情報担当者(MR)の増員や人材教育、販売促進への
積極的な資金投入など、あらゆる手立てを検討。
営業面での具体的な施策は明かせないが、対策は打ってきた」

——潜在需要の開拓に向け、効果的な新製品の実用化も欠かせない。

「患者が自分にインスリンを注射するのに、
必要な力を抑えられるペン型注入器『ノボペン4』を6月に発売、
足元でも製品群は増えている。
今後は、血糖値の低下作用が持続する成分と、
効き目が早い成分を混合したインスリン注射剤を相次ぎ発売できる。
血糖値の上がり方は患者ごとに異なり、
混合インスリン注射剤の品ぞろえが充実すれば、
患者の治療の選択肢が広がるだろう」

「革新的な治療薬の投入に向けた準備も進めている。
血糖値が高い場合のみインスリン分泌を促し、
高い血糖改善効果があり低血糖リスクを抑えられる注射剤
『リラグルチド』について承認を申請中。
次世代型のインスリン注射剤2種類についても開発を進めている。
注射するインスリンを従来品に比べ、生体内での作用動態に近づけ、
安全性を高めたのが特長。
現在、患者に投与して効き目を確かめる
第2相臨床試験(治験)を実施中。
今後は、複数国で同時に治験を進める『国際共同治験』に参加、
日本での開発を加速する方針」

——現在、進行中の開発品で当面の成長路線は固まったか?

「(来年にも)発売が見込まれる混合インスリン注射剤は
主力製品とは位置付けていないが、
品ぞろえ充実で、既存の混合インスリン注射剤で取りこぼしていた
患者を取り込める。
『リラグルチド』や、次世代型のインスリン注射剤を実用化できれば、
当面の成長基盤は整うだろう」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090911.html

H2B:解説 HTV打ち上げ…シャトル後継、責任重大

(毎日 9月11日)

国際宇宙ステーション(ISS)への無人補給機「HTV」1号機を
積んだ、大型ロケット「H2B」1号機の打ち上げ成功で、
日本はISSへの物資補給という国際的な約束を果たす
最初の関門を突破。

二つの新型機は、「過去20年にわたる日本の宇宙技術の結晶」
といえ、将来的には日本独自の有人宇宙船開発につながる成果。
米スペースシャトル退役後、HTVは物資輸送の主力となる。

シャトルと同じ1.2メートル四方のドッキングハッチ(開口部)を
確保し、大型機材を運ぶため、
JAXAは新しいドッキング方法を採用。

秒速7.7キロで飛ぶISSを追いかけ、速度を合わせて、
見かけ上ISSの直近に静止する「ランデブー飛行」。

97年打ち上げの技術試験衛星「おりひめ」、「ひこぼし」で
取り組み、磨き上げてきた。
H2Bも、長年蓄積した技術を活用。
定評あるH2Aのエンジンを使い、HTVを収めた
衛星フェアリングの分離機構も、H2以来の信頼性の高い装置。

JAXAの中村富久・H2Bプロジェクトマネジャーは、
「86年のH1打ち上げ以来の技術の集大成だ」と胸を張る。

打ち上げを見守ったNASAのウィリアム・ゲスティンマイヤー
宇宙運用局長は、「日本のシステムは、今後のISS計画で
中核的役割を担う。
今日の成功は、ISSの新しい時代の幕開けになるだろう」

18日に予定されているISSとのドッキングに成功し、
日本に課せられた物資輸送の任務を果たした時、
期待は信頼となる。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090911k0000e040046000c.html

2009年9月20日日曜日

社会人基礎力(1)脱「指示待ち」実社会で学ぶ

(毎日 9月8日)

指示待ち人間にならないよう、学生の主体性を鍛える大学。

広島経済大学の会議室。
2人の学生が1枚の企画書を見せると、
社会人の男性が厳しい口調で次々と尋ねた。
「当日必要な備品は?」、「誰が用意するの?」、
「お客さんはどうやって誘導する?」、「誰をどこに配置するんだ?」

同大の学生プロジェクト「FLP」が企画した
Jリーグ・サンフレッチェ広島2選手のトークショー。
10日後、市内の大型商業施設で開くため、
サンフレッチェ企画部長代理の森脇豊一郎さん(36)
打ち合わせに訪れていた。

FLPのリーダー、3年生の世羅芳樹さん(21)と
副リーダーの2年生河津宏祐さん(20)は、
質問に即答できず、言葉に詰まった。

「何かあったら、お客さんに迷惑がかかるんだぞ。
ちゃんとした『運営マニュアル』を作ってくれ」
「わかりました」。世羅さんらは表情を引き締めた。

FLPの活動は、実践的な人間力を養う同大の教育プログラムの
一つで、メンバーは1~4年生22人。
地元企業と連携したプロジェクト型学習として、
サンフレッチェの若いファンの拡大と観客動員数増加を目指し、
様々なイベントを行っている。

「イベントは、準備のスケジュールが一番大事。
何をいつまでにやるのかを考えてほしい」と森脇さん。
世羅さんは、「どこかに『自分たちは学生』という甘えがあった。
社会人の責任の重さというものを再認識した」と反省。

社会で働くために、皆が備えておくべき能力――。
経済産業省は、「社会人基礎力」と名付け、
2007年度から全国の大学でモデル事業。
広島経済大は、昨年度からモデル大学となり、
FLPの活動もその一環。

同省産業人材政策室は、社会人基礎力が求められる理由、
〈1〉ビジネスの競争激化で、若手社員に高い能力が求められている
〈2〉若者に、クラブ・部活動などの不参加が増え、
コミュニケーションが希薄化しつつある
――などと分析。
「特に企業側からの要請が大きい」(内野泰明・同室長補佐)。

社会人基礎力は、「三つの能力・12の要素」に分類。
能力の一つが、指示待ち人間にならず「前に踏み出す力」。
物事に進んで取り組む「主体性」、他人を巻き込む「働きかけ力」、
目標を設定し、着実に目指す「実行力」の3要素で構成。

広島経済大では、FLPのほか、インドネシアでの開発支援など
19のプロジェクトが進行中だが、
これらは前に踏み出す力の養成が目的。

森脇さんの指導を受けたFLPのメンバーは早速、
必要な備品をリストアップ。
商業施設の担当者と相談を重ね、
ステージやマイクなどは借りることに。
当初、紙1枚だった企画書を書き直し、要員の配置や進行表、
地震・火災時の対応まで盛り込んだ12ページの
詳細な運営マニュアルを作り上げた。

トークショー本番。
人気者の槙野智章、森脇良太両選手に会えるとあって、
事前に予想した300人を上回る400人以上が来場。
事故もなく、大盛況のうちに終わった。

選手に握手してもらい、満面の笑みで帰って行く子どもたち。
世羅さんは、「至らない点も多かったが、これだけの人が来てくれて
達成感を感じた」と感慨深そう。

◆対人関係の能力重視

社会人基礎力は、社会に出た時に適応できる力を身につける
という意味で、「キャリア教育」や「学士力」とも一部重なるが、
目的が違っている。

キャリア教育は、主に小学生から高校生を対象とし、
将来の進路を自分で決められるよう勤労観を育てる。
文部科学省は、コミュニケーション能力や課題解決能力の習得も
含めているが、一般的には地域での職場体験や進路学習を指す。

学士力は、中央教育審議会が
「大学生が卒業までに身につけるべき力」として2007年に示した。
学生の質の低下を防ぐのが最大の目的、
コミュニケーション能力や情報活用力などの技能、
異文化や社会についての知識など、
4分野13項目の習得を求めている。

社会人基礎力は、実社会で必要なコミュニケーション能力に重点。
今まで高校や大学が、あまり意識して教えてこなかった
「他人に働きかける力」、「周囲との関係を理解する力」、
「ストレスに対応する力」など、3能力12要素を掲げている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090908-OYT8T00244.htm

「謝る技術」で失地回復 責任逃れはNG

(日経 9月8日)

取引先とのやりとりで生じるミス。
上司や取引先の担当者がカンカンに怒っている中、
真っ先に求められるのが、フォローと謝罪。

一歩間違えば信用を大きく損なう一方で、
方法によっては挽回して次のチャンスにつながることも。
仕事につきものの失敗をどう補うべきか?その方法を探った。

「トラブル時、重視するのは質よりスピード」と断言するのは、
機械関連の中小メーカーの男性社長。
中国の顧客に納めた製品に不具合が生じた際、
迅速な対応で解決に導いた。

クレームがあった翌日、現地の担当者だけではなく、
自らも顧客を訪問。
現場を調査した結果、特殊な環境下で製品を使用していたことが
原因と判明。即座に無償交換を決定、1日で交渉が妥結した。

予測していなかった状況での使用が原因だったものの、
無償交換に踏み切ったのは、
「解決を先送りすると、後々もっと大きな損失を被りかねない」

ある程度の段階で見切りをつけ、手を結んでしまうことで、
被害を最小限に食い止められる。
この顧客からは、トラブル後も受注が舞い込んでいる。

経営者が簡単に非を認めると、相手がさらに主張を強めるケースも。
「ここまではできる、というラインを明確にすることも大切」

決裁権がある経営者が現場に乗り込むことは、
その場で対応策を決められるため、迅速な問題解決に。
権限がない従業員だと、「上司への報告で時間がとられかねない」

大きな権限を持たない現場の担当者レベルではどう対処すべきか?
大手機械メーカーに勤務している50代の男性管理職は、
営業担当だった時代に納期遅れが発生、謝罪するために
顧客を訪問した苦い経験。
一言目に強調したのは、「業務を管理できていなかった私の責任です」
本来であれば、生産ライン側の問題だったが、
「他部署のせいにしていると、顧客からの信頼を失う」

顧客からみれば、どの部署がミスをしたかは関係ない。
担当者を会社の代表とみなすため、
他部署に責任をなすりつける姿を見ると、
「この担当者と話をしても駄目だ」と思う。
「自分が全責任を負っているという姿勢を見せることが重要」と、
この男性は力説。

若手従業員も、取引先と接する機会は多い。
責任を負いきれないようなミスを犯した場合、
直属の上司を伴って謝罪する必要。

専門商社の営業担当として働く20代の男性が、
仕事で失敗した際、心がけているのは、
「嫌な状況の時だからこそ、積極的に動く」というビジネスの基本。

新規開店する顧客の店舗のカギを紛失した時、まず社内で報告。
経緯を端的に説明した上で謝罪。
その後、上司と一緒に取引先を訪問。
顧客の怒りは収まらず、「担当を外れろ」と迫られた。
その帰り道で男性は、「雑用をしてでも信頼を取り戻します」と
上司に宣言した。

カギの交換など最低限の対応に加え、荷物の搬入の立ち会いや
オフィス用品の発注の書類作成なども手伝った。
細かい雑用をこなす姿勢をみて、顧客の態度は徐々に軟化。
開店後も付き合いが続き、今も発注が寄せられている。

人材採用支援会社に勤める20代の女性営業職も、
「謝罪を行動に表す」ことで危機を切り抜けた経験。
深夜にミスが発覚、翌日の就業時間前に取引先を訪問。
出社してきた担当者にわびたところ、
たまたまその日に雪が降っていたこともあり、むしろ同情された。

若手は、自分だけでは責任を果たせない。
行動で誠意を示すことが、何よりの謝罪につながるという好例。

◆謝罪する際の3つのポイント

ミスは、未然に防ぐのが望ましいが、
気をつけていても起きてしまうことがある。
謝罪の際、特に気をつけるべき点を、
総合情報サイト「オールアバウト」で、
ビジネスマナーガイドを担当する美月あきこさんに聞いた。

美月さんは、重要な点を3つ。
1つ目は、とにかく相手の話を聞くこと。
怒っている相手は、感情的になっているだけに、
理屈を並べても怒りが増す可能性が高い。
まずは相手の話を遮らず、聞き役に徹することが必要。

2点目は、心を込めて謝罪する。
同じ謝罪の言葉を繰り返すだけでは、本当に反省しているかを
伝えづらい。
「早速上司と相談してご連絡します」、
「お話ごもっともでございます」などと謝罪の言葉にも
いくつかのパターンを織り交ぜると、気持ちは伝わりやすい。

3つ目は、謝罪の言葉プラスアルファ。
問題解決への代替案を、できる範囲で提示すること。
「その場を収めようと、無理に話を大きくしないように
気をつける必要がある」
実現しなかった際、余計に怒りを買う可能性がある。

失敗は誰でもするうえ、自分だけが起こしたものとは限らない。
そのような場合、「逃げたい気持ちを抑え、どれだけ真摯に
相手と向き合えるかが、その後の信頼関係を左右する

◆そのほかの重要点

・悪い報告ほど「早く」、「的確に」
・口頭だけではなく、経緯を説明したリポートなどを添えて説明
・謝罪と交渉を一緒にせず、主張するところは主張する
・直接関係のない話でも、「調べる」、「詳しい人を探す」姿勢を見せる
・未然に防ぐ努力をし、「失敗は誰にでもある」と自分に言い聞かせる

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090908.html

パナソニックの西口史郎役員「薄型テレビにエコポイント効果」

(日経 9月9日)

薄型テレビの販売が上向いている。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、
7月の国内出荷台数は、前年同月比41%増の118万4000台。
過去1年間で最も高い伸び率。
政府のエコポイント制度の効果もあり、
単価の高い大型テレビの動きもよい。
足元の市場動向を、パナソニックの西口史郎役員
(デジタルAVCマーケティング本部長)に聞いた。

——直近の状況は?

エコポイントが追い風に。
46型以上は、ポイント数が特に多く、大型も販売が増えている。
国内では、2011年7月に地上デジタル放送への全面移行を控え、
買い替え需要も発生。
従来は、リビングのみといった買われ方が多かったが、
2台目、3台目のテレビも一緒に買い替えるという
まとめ買いの需要も出てきた」

——年率30%とも言われる価格下落については?

「2~3月、新製品への切り替えを進め、単価上昇効果があった。
今春の製品はプラズマ、液晶とも省エネを一段と進め、
画質への評価も高い。
インターネット接続機能も評判がよい。
これまでのところ、価格下落は想定の範囲内で、
4~6月期に関して言えば、下落のペースが鈍化したような印象」

——単価上昇の狙いもあり、各社が録画機能付き薄型テレビの
品ぞろえを増やしている。

「当社も、7月にハードディスク駆動装置(HDD)を内蔵した
中・大画面の製品を発売、
9月15日に17型と20型の製品も追加。
これらの製品で新規需要を開拓し、単価上昇にもつなげたい。
ブラウン管テレビの時代、業界として『テレビデオ』の割合が15%程度。
薄型テレビでも同様の展開は可能と、
来年には国内販売台数の20%程度を録画機能付きとしたい」

——中国の需要拡大により、薄型テレビのコストの大半を占める
パネルの価格が上昇している。

「パネルの価格上昇は、メーカーの減産と需要拡大が重なったため。
当社は、プラズマは以前からそうだが、
液晶についても内製化を進め、価格、安定供給の両面で効果。
10~12月期、パネルを外部調達に頼っているメーカーの中には
苦しくなるところが出てくるかもしれない」

——今後、薄型テレビ販売にとってのリスクは?

当面は、どうやって旺盛な需要に供給面で応えていくかがテーマ。
当社も、需要が盛り上がる年末商戦には、
万全の体制で臨みたいと考えている。
(昨年のように)需要がガクンと減るような事態はない」

——エコポイントは、現時点では来年3月末までの予定。
通常は1~3月期は販売が落ち込むが、今期に関しては
駆け込み需要が発生するとの見方が。

「年末以降についても、準備を進める必要。
世界的に1~3月期は販売が落ち込むので、
国内で増えたとしても供給面では対応できる。
本当に駆け込み需要があるとすれば、
春夏向けの新製品を前倒しで導入する必要がある。
発売時期については検討を進めている」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090908.html

ラスカー賞:山中伸弥・京都大教授に授与…iPS細胞作成

(毎日 9月14日)

米アルバート・アンド・メアリー・ラスカー財団は、
今年のラスカー賞を、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を
世界で初めて作成した山中伸弥・京都大教授(47)ら

6人に授与すると発表。
日本人の受賞は6人目。

同賞は1946年に始まり、京大によると
過去の受賞者約340人のうち、76人がノーベル賞を受賞、
「ノーベル賞の登竜門」と言われている。

山中教授は06年、マウスの皮膚細胞に四つの遺伝子を
導入することで、さまざまな組織に分化する能力を持った
iPS細胞を作成することに成功、
その後人間の細胞でもiPS細胞を作成。

分化した細胞を受精卵に近い状態に戻す「初期化」のプロセスを
切り開いた英ケンブリッジ大のジョン・ガードン博士(76)とともに、
ラスカー賞の「基礎医学研究賞」受賞が決まった。

山中教授は記者会見し、「ガードン先生は、この分野の“研究の父”。
同時受賞は本当にうれしい」

http://mainichi.jp/select/science/news/20090915k0000m040088000c.html