2008年5月17日土曜日

南部鉄器ブーム逆輸入 パリのカフェが使用・販売

(岩手日報 5月14日)

欧州で評価された南部鉄器が、文化の「逆輸入」の形で
日本でも再評価され始めている。
東京都内では、フランス・パリに本店があるカフェや紅茶専門店などが、
パリと同じように南部鉄器を使用・販売。来店者にも、
おしゃれさや国産の道具という安心感で人気上昇中。

南部鉄器は、欧州向けを中心に輸出が好調だが、
かつての浮世絵のように、海外人気がきっかけで国内でも再び注目されそう。

2005年に日本に進出し、都内でケーキなどを扱う3店舗を展開する
パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」(本店・パリ)。
店内では、紅茶を南部鉄器のティーポットで出している。
同社は、01年にパリで開業時から、日本らしく、しかもおしゃれだとの理由で
南部鉄器を使用。日本の出店時にも、同じスタイルにこだわった。

営業企画ディレクターの前野哲也さんは、
「鉄器で出すと、驚いて問い合わせるお客さんが多い。とても好評」。

日本で13店を展開するフランス流紅茶専門店
マリアージュ フレール」(本店・パリ)は、ティーポットや茶たくなどを置く。
同社本部広報は、「1986年に盛岡の南部鉄器の職人さんに
ティーポット製作をお願いして以来、欧州で広く紹介。
日本でも文化を大切に、気軽にお茶を楽しんでほしい」。

南部鉄器は、欧州を中心に輸出が好調。
日本貿易振興機構(ジェトロ)盛岡貿易センターがまとめた
本県輸出実績によると、05年に3億円台を突破。

近年は、鋳物ブームに触れた欧州の店舗が日本に進出する際、
南部鉄器を使ったり、日本のバイヤーが欧州で注目し、
国内の雑貨店で紹介する例が増えている。

輸出に力を入れる及源鋳造(奥州市)の及川久仁子常務は、
「デザイン開発の努力もあり、欧州での評価が、
日本にフィードバックされ始めた。
おしゃれな点だけでなく、安心の視点でも日本、欧州両地域で
受け入れられ始めている」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080514_17

住田の未来徹底討論 住民、識者が座談会

(岩手日報 5月14日)

住田町で、住民と有識者がともに地域づくりを考える座談会(全5回)
が始まった。シンクタンクの東北開発研究センター(仙台市)が、
本年度同町で展開する「コミュニティ自立支援プロジェクト」の一環。
住民自ら地域の魅力を創造し、発信する力を掘り起こす。

プロジェクトは、東北6県と新潟県内の市町村を対象に公募が行われ、
応募した8自治体の中から同町が選ばれた。

内容は、「座談会」、「地域づくり塾」、「町職員の能力向上研修」の3本柱。
有識者4人による自立サポートメンバー(委員長・山田晴義宮城大副学長)
が派遣されている。
座談会は五葉、下有住の両地区で始まった。
五葉地区公民館で開かれた座談会で、山田委員長は
「地域力を結集できるような方策を探りたい」、

住民約30人と地域の長所や課題などを話し合った。
両地区での座談会は月1回、9月まで開かれる。

地域づくり塾は、次世代のリーダー育成が狙い。
全町から20-30人を公募し、7月から全5回の講座を開く。
職員を対象とした研修は4月30日に始まり、コミュニティー支援の在り方や
住民と行政の協働について考えている。

座談会に参加した五葉地域づくり委員会の川村勝人会長は、
「地域活性化のために何かをしたいという思いは持ち続けてきたが、
実現はなかなか難しい。発想を変えることで、さまざまなことに取り組みたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080514_11

理系白書’08:第1部 イノベーションを考える/2 既存技術×新発想…

(毎日 5月11日)

イノベーションを起こすのに、新規の技術開発は必要条件とは限らない。
既存技術の組み合わせでも、新しい発想があれば可能。
富士フイルムが、86年に世界で初めて売り出したレンズ付きフィルム
「写ルンです」がよい例。

「写ルンです」は、絞りやシャッター速度、焦点が固定してあり、
シャッターを押すだけで簡単に写真が撮れる。
1000円台の価格と手軽さが受け、累計15億個を売り上げる大ヒット商品。
デジタルカメラやカメラ付き携帯電話の普及した今でも、年7000万個が売れる。
新しい発想は、「フィルムに最低限必要な部品を取り付ける」。

開発開始は、同社の創立50周年だった84年。
主力のカラーフィルムの売り上げが頭打ちという背景。
発案した持田光義氏は写真工学科卒で、フィルム部門が長い。
持田氏の下に部署を超えて人材が集められ、商品開発、生産管理や
販売戦略の検討が素早く進められた。

社内に不安がなかったわけではない。
カメラの設計部署にいた亀山信行・富士フイルムデザインセンター長は
「正直言って、これで売れたらカメラの立つ瀬がないと、
発売当初は思っていた」と振り返る。

使われた技術は、単焦点のプラスチックレンズ、蹴飛ばし式と呼ばれる
簡単なシャッター、単純なフィルム巻き上げ方式など。どれも同社の既存技術。
「あくまでフィルム」という考え方は、販売戦略にまで徹底。
フィルムと同じデザインのパッケージで、
フィルムと同じように店頭に並べられた。

爆発的に売れ、「一家に一台」というカメラの概念を打ち破った。
「カメラの設計屋は、カメラの部品の中からどれを省けるかと考えるから、
1000円台のカメラなど考えも及ばない。
フィルムの専門家だからできた」と亀山さん。

92年から「写ルンです」のチームに加わり、夜間撮影などの新機能を
開発したり、リサイクル製造を実現させるなど、後発他社との競争をリード。

独創的な新商品開発の経緯を調べた
文部科学省科学技術政策研究所の石井正道客員研究員は、
「技術者が、自分の専門と専門外の知識を融合させて生み出している。
自発的に他分野に飛び込んで学習する能力のある人材と、
長期間自由に試行錯誤が行える環境をそろえることで、
画期的なイノベーションが生まれる確率を増やすことができる」。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/05/11/20080511ddm016010143000c.html

2008年5月16日金曜日

沿岸観光振興へ結束 宮古で移動県庁始まる

(岩手日報 5月13日)

達増知事が、沿岸地域に滞在し住民と意見交換などをする
「移動県庁」は、宮古市で始まった。
関係部局長、地方振興局長らが出席した沿岸圏域庁議で、
官民一体となった「沿岸広域観光推進戦略会議」を
6月に設置することを決めた。
平泉文化の世界遺産登録を見据え、沿岸部の観光振興を推進。

移動県庁は、県政の重要課題の県北・沿岸振興を図ることが
目的で、初めての開催。
沿岸圏域庁議は、宮古地方振興局で開かれ、県の関係部長と
宮古、釜石、大船渡の地方振興局長らが出席。

平泉の世界遺産登録を見据え、観光客を受け入れる交通手段への
支援など振興策を決めた。

達増知事は、庁議後の記者懇談会で
県北・沿岸圏域は、大きな可能性を持つフロンティア。
世界を相手に、海産物などの交易を行った進取の気性に富んだ地域」。
「県民所得や雇用、医療などで格差があるが、
これらの解消へ向け全身全霊で取り組む」。

達増知事は、大槌町の地域づくり団体とも懇談。
釜石市では、海洋関係研究機関と意見交換。
14日は、大船渡市や住田町を訪問。
29、30日は、二戸市や久慈市など県北地域で実施する予定。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080513_13

米のバイオ燃料化始動 県が実証試験

(岩手日報 5月13日)

県は2008年度、新エネルギー政策の一環として、
米のバイオエネルギー化に本腰を入れる。
多収米「岩南29号」の田植えを、奥州市胆沢区小山の実証田で行った。

県が多収米を一般圃場で実証試験するのは初めて。
海外からの家畜飼料が高騰する中、飼料米への活用のほか、
休耕田対策としても期待。

岩南29号は、県オリジナルの多収米品種。
今年、品種登録の申請を予定。
収量は、一般の主食用米の約1・5倍の10アール当たり800キロ。
実証試験は10年度まで続け、施肥や耐冷性、じかまきの適性なども調べる。

稲わらからバイオエタノールに転換するための技術開発を、
岩手生物工学研究センター(北上市)などと連携して推進。
実証試験は金ケ崎町でも行う予定。
3カ年計画で、本年度は約1400万円を予算措置。

県は本年度から、「いわてバイオエネルギー利活用構想」を策定。
20年度を目標に、地域循環を基本とする
バイオエネルギーの地産地消を目指す。

多収米の作付けは、豚や鶏用の飼料増産のほか、生産調整などによる
休耕田の活用策としての機能も持つ。
利用されていない県内の水田は、昨年で約1600ヘクタール。

同区の農業佐藤功さん(63)は、「生産者は、やはり米が作りたい。
食べるだけでなく多目的に活用する態勢づくりが必要」。

バイオエタノール生産の実用化には、採算に見合う技術開発などが
必要で時間を要するが、県農業振興課の徳山順一総括課長は
「試験により技術を確立して、低コストでの多収を目指す。
地域の中でエネルギー循環のモデルをつくりたい」。

◆多収米
収量を多くするため、品種改良された米。
ひとめぼれなど一般の主食用米の平均収量は、
10アール当たり540キロ程度、
本県オリジナルの岩南29号は、同800キロ。
稲わらの収量も多い。食味は劣るが、食用米としても可能。
岩南29号は、1994年に交配。
耐冷性があり、いもち病に強いほか倒れにくい。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080513_2

iPS細胞:蓄積バンク計画を表明 山中京大教授

(毎日 5月12日)

体のさまざまな組織の細胞に育つ能力がある
人工多能性幹細胞(iPS細胞)の国際シンポジウムが、
国立京都国際会館で始まった。

iPS細胞を開発した山中伸弥・京都大教授は、
同細胞や、それをさまざまな臓器細胞に分化させた細胞を蓄積する
「バンク」を作る計画を明らかにした。

例えば、脊髄損傷は、発症約10日後の移植が最も効果があると
動物実験で分かっているが、iPS細胞を患者自身の細胞から作るのには
最低1年以上かかるため、バンクは治療面で利点がある。

科学技術振興機構が主催。
ノーベル医学生理学賞受賞者のマーチン・エバンス英カーディフ大教授ら
各国の著名な研究者が最新の研究報告や、国際協調について討論。

山中教授は、iPS細胞は「病気の原因解明や将来は細胞移植治療に使える」、
「多能性は強制的なものなので、腫瘍になりやすいなどの心配がある」。

シンポでは他に、各国の研究者からパーキンソン病や糖尿病などの
治療を目指す研究が報告。
エバンス教授は、山中教授について「魔法のスープのような作り方を、
特定の遺伝子によって可能にし、研究できるようにしたのは大きい」と評価。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080512k0000m040077000c.html

2008年5月15日木曜日

古民家でクラシック吉浜の小松さん宅ホームコンサート満喫

(東海新報 5月14日)

女性三人のグループで、童謡やクラシックなど多彩な楽曲を披露する
「BELLA MEMORIA(ベラ・メモリア)」のホームコンサートが、
大船渡市三陸町の小松錦司さん宅で開かれた。

小松さん宅は、明治時代に建てられ築110年以上。
広々とした古民家の居間に、クラシックを主体としたピアノや
声楽の美しい音色が響き、約60人の聴衆がコンサートを満喫。

このグループは、武蔵野音大器楽科卒の紺野英子さんがピアノ、
山形大特設音楽科卒の小笠原薫さんがソプラノ、
ケーブルテレビアナウンサーの菅野真実恵さんがナレーターを担当。

紺野さん、小笠原さんは大船渡市内で教室を開くほか、
多彩なステージ活動も展開。
「さらに良い音楽を奏でていきたい。クラシックなどをより身近に感じてほしい」
とグループを結成し、活発に活動。
ホームコンサートは、小松さんが「お世話になった方々への感謝の気持ち。
コンサート会場に提供することで恩返しになれば」と提案。
同グループと意気投合し、昨年の『海の日』に初開催。
2回目となる今回は、小松さん宅のオープンガーデンと合わせて開催。
周辺には、クマガイソウをはじめさまざまな花が咲き誇り、
来場者はオープンガーデンも楽しんだ。

紺野さんと小笠原さんが出演し、紺野さんのピアノ演奏からスタート。
選曲テーマは、『母の日』と花の季節に合わせ、「愛」「花」「母」。
同グループは、日本の歌曲や童謡、懐かしの名曲、ピアノクラシックなどを
得意としており、テーマに沿った心温まる多数の楽曲を披露。

子どもを含めた来場者は、古民家内に流れる美しい調べを堪能し、
心癒されながら一曲ごとに大きな拍手を送っていた。
ティータイムでは、抹茶シフォンケーキなどを囲んで和やかな会話も。

理系白書’08:第1部 イノベーションを考える/1 夢支えた経営判断

(毎日 5月4日)

世界各国が「イノベーション」でしのぎを削っている。
単なる技術革新ではなく、社会や人々の生活を一変させるほどの
新しい価値の源泉のこと。
「理系白書’08」第1部は、日本発の事例に基づいて、
イノベーションを起こすのに必要な要件や環境を探る。

「世界の空を変える」とまでいわれる航空機が、年内にもデビュー。
米ボーイング社の「787」。
従来の同型機より2割軽く、燃費が2割向上。
210~250席の中型機でありながら大型機並みの
航続距離1万5200キロを誇る。

低燃費の理由は、アルミに代わり、鉄の数分の1の重さで
10倍の強度を持つ炭素繊維複合材を機体の半分に採用。
アクリル系炭素繊維で世界最大手の東レが開発。

「2012年ごろからは自動車にも用途が広がり、
炭素繊維市場は飛躍的な拡大期を迎えるだろう」。
東レの投資家向け事業説明会で、複合材料事業本部長を務める
上浦正義専務は力を込めた。
15年には、3000億円の売り上げを目指す。

アクリル系炭素繊維は日本のお家芸といえ、東レ、東邦テナックス、
三菱レイヨンの上位3社で世界シェアの7割を占める。
しかし、大きな飛躍を遂げるまでには40年に及ぶ助走期間が必要。

アクリル繊維で炭素繊維を作る手法は、大阪工業技術試験所
(現産業技術総合研究所)の進藤昭男博士が1961年に開発。
宇宙開発や軍事用などに使われていたレーヨン系の炭素繊維に比べ、
製造効率が高いことが利点。

価格は、鉄の10倍以上。
用途は、釣りざおやゴルフクラブなど趣味性の高いスポーツ用品に限られた。
広範な用途が定まらない中、東レは量産に乗り出した。
軽くて強い新材料は将来、航空機に使われるようになるとの経営判断。

79年の入社以来炭素繊維の研究開発にかかわってきた
吉永稔・東レ生産本部参事は、
「当時の技術者は、『(炭素繊維の色の)黒い飛行機を飛ばそう』
と夢見ていた」と振り返る。

同社は80年代になって、ボーイング社から翼など機体の主要部に使う
材料として、強度や温度特性などの目標値を示された。
ゴルフクラブやテニスラケットで炭素繊維ブームが起き、
欧米のメーカーが参入。
小さな市場で供給過多となり、赤字を出すなど苦しい時期。

目標は、耐熱性と耐衝撃性を両方高める内容。
一般的に材料を柔らかくすれば衝撃には強くなるが、熱には弱くなる。
当時、両立は不可能とされていたが、吉永さんらは
均質で欠陥のない炭素繊維を焼成する手法を開発して強度を高めた。
繊維と繊維の間に挟む樹脂にエネルギーを吸収する層を設ける
アイデアを編み出し、この難問を2年弱で解決。

90年代に入り、ボーイング777の尾翼に採用。
約10年かけて信頼性を積み上げ、787での大規模な採用を勝ち取った。
「赤字でも『健全な赤字』と言われ、
経営陣の方針はぶれなかったことが大きい。
方向性さえ示してくれたら、技術者はかなりの部分はやってのける」。

一橋大イノベーション研究センターの青島矢一准教授は、
「初期段階での先行投資が、技術力を高めることにつながった。
経営者が、自社の持つ技術の特性や強みを理解したことも大きな要素。
イノベーションと言っても、初期の技術は不確定なもので、
短期的な経済効率だけで判断してはいけないという好例だろう」。

◇多様な人々集う場所作りが重要--産総研が教訓に

アクリル系炭素繊維を生んだ産業技術総合研究所では、
この技術開発史から今後のイノベーションに向けた教訓を得ようとしている。
進藤博士の発見後に大阪工業技術試験所に着任した
中村治審議役は、当時の関係者からの聞き取り調査を進めている。

中村さん自身、「企業の人が研究所をいつもぶらぶら歩いていて、
研究者としゃべっていた」のを思い出す。
進藤さんの発見後、よりよい方法を求めてさまざまな材料で
実験したのもそうした企業で、それが今の発展につながった。

「外国人も含め、いろんな専門の人、違う発想を持った人が
日常的に顔と顔を突き合わせる場をどう作っていくかが大事」。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/05/04/20080504ddm016010006000c.html

寝息毎分21回 冬眠中クマ、寝たまま調査

(朝日 2008年05月09日)

石川県白山自然保護センター(白山市上野町)は、
冬眠中のツキノワグマの心拍数や呼吸数などの調査に成功。
自然の山中で冬眠しているクマのデータ採取は、全国的にも珍しい。

全地球測位システム(GPS)付きの首輪が外れなかったことなど、
偶然が重なった結果で、「幸運にも貴重なデータが得られた」。

同センターでは、00年度からツキノワグマの行動域や活動量などの
調査を始め、06年、ドラム缶式のオリで捕獲したメスのクマ(当時10歳)に
初めてGPSの発信機を首に付けて追跡調査。

ところが、首輪が自動で外れるための時限落下装置が機能せず、
予定の1年が過ぎても首輪は外れなかった。
発信機の電波が微弱ながら残っていたので、
クマのおよその冬眠位置を把握し、今年3月上旬に周囲を探したところ、
雪に埋まった冬眠穴の一部を見つけた。

吹き矢でクマに麻酔をかけて、血液などを採取し、GPSも回収。
心拍数は1分間に45回、呼吸数は同21回。

上馬康生・同センター主任研究員は、
「たまたま首輪が外れず、発信機の電波が残っており、穴も発見できた。
偶然が重なった結果」。

GPSで得られた時期ごとの位置情報や活動量から、
クマの行動様式を分析し、山中や里山での接触被害対策などに役立てる方針。
今回調べたクマには新たなGPS付きの首輪を付けており、
今後も調査を続ける。

◆クマの生態に詳しい北海道大学の坪田敏男教授の話

冬眠中のクマの生理メカニズムは研究が進んでいない。
麻酔を使用した上でのデータであることと、
採取が一度きりだったのは残念だが、今後の研究のとっかかりに。

http://www.asahi.com/science/update/0508/OSK200805080004.html

2008年5月14日水曜日

抗体応答:IgAは腸の調停者

(Nature Reviews Immunology 8 ( 1 ), Feb 2008)

腸内微生物相は多様な微生物からなるが、
それが1種類にまで減らされ、抗体レパートリーも腸内の微生物の
夾膜多糖に対する単一のモノクローナルIgA抗体のみという、
新規ノトバイオート・マウスを使って、
J Gordonらは、腸内の抗体が寛容のメディエーターとしての
役割をもつことを実証。

IgA抗体応答は、宿主と腸内細菌との間の関係を非炎症的なものにし、
さらにそれを維持するのに重要な役割。
無菌マウスに正常な腸内細菌叢を定着させると、
細菌特異的なIgA抗体応答が出現するが、
宿主や細菌叢の生物学的性質への応答の影響は解明されていない。

Petersonらは、この影響を調べるためのノトバイオート・マウスモデルを作製
モデル共生生物としては、Bacteroides thetaiotaomicronが選ばれた。

これは、絶対嫌気性のグラム陰性細菌で、
ヒト遠位腸内の生態系の重要なメンバーだが、
無菌C57BL/6J成体マウスの腸内にも効率よく定着。

Rag1(recombination activating gene-1)遺伝子欠失(Rag1−/−)マウス
(成熟BおよびT細胞をもたない)、あるいは背部皮膚下に
B. thetaiotaomicronでプライミングしたIgA産生ハイブリドーマ細胞を
注射したRag1−/−にB. thetaiotaomicronを導入。

腸内腔でのIgA抗体レベルとマウスのB. thetaiotaomicronエピトープの
レベル間には、相反的な関係がみられた。
ハイブリドーマ細胞から分泌されたIgAをもつ感染マウスでは、
IgAをもたないマウスよりもエピトープ発現レベルが低かった。

IgAがない場合、B. thetaiotaomicronは自然免疫による
ずっと強い活性酸素応答を誘発し、宿主応答により生じる
酸化性産物の代謝にかかわる遺伝子の発現を誘導することで適応。

しかし、IgAが存在すると、腸内の炎症誘発性シグナル伝達が低下
(STAT3やインターフェロン調節因子8などの発現低下などによる)、
細菌のエピトープ発現も低下。

これらの結果は、B. thetaiotaomicronと宿主の間の関係を休止状態に
保っているのは、IgA抗体応答であることを示唆。
また、共生生物とその宿主の両方がかかわる一連の適応が
共進化した恒常性につながるというモデルとも一致。

http://www.natureasia.com/japan/immunology/highlights/article.php?i=64801

働き盛りほど運動不足

(サイエンスポータル 2008年5月1日)

20~50歳代にかけての働き盛りほど、
男女ともに運動に対する関心が低いことが、
厚生労働省「平成18年国民健康・栄養調査結果」から浮き彫りに。

日常生活で体を動かすことを、
「実行していない、実行しようとも考えていない」、
「実行していないが、実行しようと考えている」と答え、
要するに体を動かしていない人が男性の20~50歳代、
女性の20~40歳代でいずれも4割以上。

男性の60歳代、女性の50歳代になると、
体を動かしていない人は約26%、31%に減り、
高齢層の方がむしろ運動について関心が高い。

女性に関しては、60歳代になると50歳代よりさらに活動的になり、
体を動かしていない人の比率は約21%まで下がる。

運動不足が大きな要因の一つといわれる生活習慣病について、
糖尿病の疑いが強いか、実際に治療を受けている人は約740万人、
糖尿病の可能性が否定できない人は約1,050万人。

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)について、
強く疑われる人の比率が、40~74歳で男性24.4%、女性12.1%、
予備群と考えられる人の比率が、男性27.1%、女性8.2%、
40~74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人は、
メタボリックシンドロームが強く疑われるか、予備群と考えられる。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0805/0805011.html

子育て世帯支える1枚 釜石市が応援カード事業

(岩手日報 5月8日)

釜石市は6月から、妊婦や子どもがいる世帯を対象とする
子育て応援カード事業を始める。
事業に協賛する市内の店舗が、割り引きや特典などの
独自サービスを提供。
少子化と人口減が著しいスピードで進む中、
子育て世帯の経済的負担を少しでも減らし、
地域全体で子育てを応援し、商業の活性化にもつなげたい考え。

カードの名前は、市のイメージキャラクター「かまリン」にちなみ、
「かまリンカード」と名付けた。
交付対象は、母子手帳の交付を受けた妊婦のいる世帯と、
18歳以下の子どもを育てている世帯。

協賛店は、市が交付する協賛店ステッカーを店頭に掲示。
対象者は買い物をした際、カードを提示すると、
その店独自のサービスを受けられる。
サービスの内容は協賛店によるが、
▽小売価格の割り引き、
▽各店舗のオリジナルカードのポイント増-など。

市は、協賛店の募集を始めており、当初は50店ほどの参加。
対象世帯へのカード交付は、19日から申請を受け付け。

取り組みの背景にあるのが、急速に進む少子化と人口減少。
同市の2007年の出生数は、258人と過去最低。
1959年の1785人をピークに減り続けている。
人口も08年3月末時点で、4万1806人。
ピークの9万2123人(62年)に比べ、半分以下。

野田武則市長は、「これが少子化対策のスタート。
みんなで子育てを応援する機運を盛り上げたい」。

カードについての問い合わせは、
市総務企画部少子化対策・男女共同参画推進室(0193・22・6002)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080508_10

2008年5月13日火曜日

DNA鑑定より安く早く、「抗体」利用の個人特定技術開発

(CNN 5月3日)

米アイダホ国立研究所の研究者が、DNA鑑定よりも安価でより素早く
個人を特定できる、「抗体」を利用した技術を開発。
血液や唾液など、体液に含まれる抗体で個人の識別が可能なため、
より広い分野で活用できると期待。

化学工学者のビッキー・トンプソンさんは、
抗体はDNAと同様に、個人を識別できる指標になる。
抗体は、たんぱく質が主成分で、ウイルスに対抗したり、
体内環境の維持に重要な働き。

血液や唾液などの体液に含まれており、犯罪現場や2001年の
米同時多発テロ現場といった、多くの人々が犠牲となった場所での
個人識別が、より簡単になる。

同研究所では、この技術の利用をジョージア州の企業に認可。
2009年秋までに、警官や軍隊、病院などで抗体を使って
簡単に個人を識別できるキットの開発を目指す。

より簡単に持ち運べるキットが完成すれば、
犯罪現場で警官が個人を特定することなどが可能。
DNA鑑定は現在、1件あたり500(約5万2500円)―3000ドル
費用がかかるが、抗体を利用したキットは、より安くできる見込み。

難点としては、現在はまだ、抗体のデータベースが多くないこと。
これまで、抗体が個人識別の指標として使えると考えられず、
今後はデータベースの整備が必要。
専門家は、「多くの可能性を秘めた方法だ」として、
より簡単に、素早く個人識別できる点を評価。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200805030028.html

傷ついた脊髄、自分の細胞で治る? 神経堤幹細胞、秘密を解明

(毎日新聞社 2008年5月4日)

体のさまざまな組織にあり、神経や筋肉などになる多能性を持つ
「神経堤幹細胞」が、採取した組織によって存在する割合が違い、
異なる性質を持つことを、岡野栄之・慶応大教授らが
マウスの実験で突き止めた。

この細胞はヒトにもあり、将来、患者由来の細胞を使った
脊髄損傷などの治療に役立つ可能性がある。

神経堤は将来、脳や脊髄になる部分と皮膚になる部分の
境界に存在する細胞の集団。
脊椎動物の発生初期だけに現れ、成長すると消えてしまう。

同大大学院博士課程の名越慈人医師と岡野教授らは、
神経堤から分化した細胞が蛍光で光る遺伝子組み換えマウスを使い、
骨髄と皮膚、脊髄から伸びた神経の一部「後根神経節」の3カ所から
神経堤由来の細胞を採取。

この中から、未分化状態の幹細胞をより分け、増殖能力を確認。
神経や筋肉の細胞に分化する多能性があることも実際に確かめた。
組織中に神経堤幹細胞が存在する割合は、
後根神経節が細胞1000個に1個に対し、骨髄では1000万個に1個。
分化能力も、元の組織によって違うことが分かった。

一方、神経堤幹細胞が血流にのって移動し、生まれる直前に
骨髄に入る過程をマウスの胎児で追跡。
骨髄の中に神経を生み出す幹細胞が存在する理由を、初めて明らかに。
後根神経節は、脊髄の隣にある。

岡野教授は、「将来的には、脊髄損傷の患者本人から採取した
神経堤幹細胞を治療に使える可能性もある」。
すでにヒトの皮膚や後根神経節から神経堤幹細胞を採取し、
培養する研究を始めている。
米科学誌「セル・ステムセル」4月号で発表。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=72302

「大動脈」確かな効果 釜石・仙人峠道路開通1年

(岩手日報 5月9日)

釜石市と遠野市を結ぶ国道283号仙人峠道路(18・4キロ)は、
2007年3月の開通から1年余りが経過。
07年に釜石市を訪れた観光客は、7年ぶりに100万人を突破、
近隣の観光地も数字を伸ばした。物流の安定にも貢献。

長年の悲願だった「大動脈」は、停滞感のあった地域経済に
確かな効果をもたらしている。
一方、内陸との往来が容易になり、消費者流出の動きも。
道路効果を一過性に終わらせない取り組みが求められる。

07年の釜石市への観光客入り込み数は、
前年比18%増の110万5000人。
100万人の大台は2000年以来。
しかし、宿泊客は5000人減。
交流人口は増えたが、ほとんどが日帰り客という実態。

07年は、近代製鉄発祥150周年などの節目が重なり、
例年にない多彩なイベントが展開。
今年はその「反動」を懸念する声も。

市観光交流課の金子健一課長は、
「団塊世代や高齢者など、ターゲットを絞った戦略を展開したい。
例えば市の観光船はバリアフリーが進んでいるのに、
あまり知られていない。PRし売り込みたい」。

近隣の観光地は、住田町の滝観洞インターチェンジが開通した
08年3月後半だけで、1200人が来場。
「現在も旅行会社から問い合わせがひっきりなしだ」(住田観光開発)。

物流は、飛躍的にスムーズになった。
07年の釜石港からの自動車積出台数は、
約1万5600台(前年比13%増)。
関東自動車工業岩手工場(金ケ崎町)の完成自動車を運ぶ
トヨタ輸送釜石営業所の台隆明副所長は、
「毎年必ずある冬の通行止めが、一度もなかった。負担は激減」。

一方、便利になった道路は消費者の地元離れを促す側面も。
市商店街振興組合協議会の小田島圭司会長は、
「人が盛岡や花巻などに流れている。
昔からその傾向があったが、より強まった」。

野田武則釜石市長は、「地元への経済効果はまだまだ。
地域の資源を一つ一つアピールし直し、他地域と競えるように取り組みたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080509_16

2008年5月12日月曜日

たんぱく質:鉄分アップでコメ収穫6倍 東大院教授、運搬促進たんぱく質特定

(毎日 5月6日)

植物が成長に必須の鉄分を吸収し、必要な部位に運ぶ際に働くたんぱく質を、
東京大大学院の西澤直子教授(新機能植物開発学)らがイネで特定。
オオムギなど他のイネ科植物にもあり、働きを高めることで収量増が期待。

西澤教授らは、このたんぱく質をIDEF2と名付けた。
植物では、鉄分の取り込みに関する複数の遺伝子が働いている。
IDEF2は、これらの遺伝子と結合し、働き始めるように
スイッチを入れる元締役として機能。

IDEF2の働きを抑えたイネは、鉄分がうまく利用できなくなる一方、
働きを高めると、収量は同じ条件で栽培した普通のイネの4~6倍。

鉄分は、葉緑素を作るのに不可欠で、不足すると光合成が不十分。
アルカリ性土壌では、鉄分はほとんど水に溶けないため、
植物に吸収されにくく、成長が抑制。
こうした土壌は、世界の陸地の約3割を占める。

西澤教授は、「IDEF2の働きを詳しく調べ、植物が鉄分を利用する
仕組みの全容を解明したい。
食糧の増産や鉄分の豊富な栄養価の高い穀物作りにつながる」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080506ddm002040029000c.html

盛岡誘致へ8市町村合意 16年の国体主会場

(岩手日報 5月9日)

2016年に本県開催が予定される国体の主会場選定に向け、
県の国体準備委員会(会長・達増知事)は具体的な作業に入る。

盛岡広域8市町村は、盛岡市へ誘致することに合意。
観光や商工、競技団体なども含めた組織を設立し、
官民挙げて誘致に乗り出す。

主会場は、県営運動公園(盛岡市)と北上総合運動公園(北上市)が
有力視され、北上市も誘致には前向き。
09年度末までに決定する方針。

盛岡市、八幡平市、雫石町、葛巻町、岩手町、滝沢村、紫波町、矢巾町の
首長は、「盛岡広域市町村長懇談会設立会議」で、
国体主会場の誘致について協議。

盛岡市、雫石町、滝沢村、矢巾町、紫波町は当初、県が構想する
新運動公園誘致に名乗りを上げていたが、財政難から既存施設を活用する
方針が示され、県営運動公園のある盛岡市への誘致でまとまった。

谷藤裕明盛岡市長は、「県営運動公園を全面改修する際、
JリーグやラグビーのW杯が開催できるような規模の施設となればいい」。
川村光朗矢巾町長は、「県の方針がある以上、盛岡広域圏として
一枚岩で盛岡への誘致を目指したい」。

一方、1999年の岩手インターハイの主会場だった北上市も誘致に前向き。
伊藤彬市長は、「まだ詳しい対応を決めていないが、
(北上総合運動公園やテニスコート)はいい施設なので、ぜひ活用してほしい」。

県の準備委は、今月末に総会を開き、これまでの準備経過を確認。
8月をめどに説明会を予定、主会場や競技別の開催希望を把握。

県営運動公園、北上総合運動公園とも主会場として
開閉会式や陸上競技を開催するには改修が必要。
県営運動公園の改修について、県は「国体主会場の選定を見極め判断したい」、
整備費17億円の08年度予算計上を見送った。

施設を所管する法貴敬県教育長は、
「県営運動公園の改修はまだ検討課題。
将来的な位置付けや費用の問題もあり、白紙の状態」。

国体主会場問題とは 県営運動公園は、現状の施設状況や規模だと、
2010年日本陸連の公認更新時に、地区予選レベルの第3種競技場へ格下げ。
国体開催には第1種公認が必要、大規模改修が不可欠。
北上総合運動公園は、第1種公認は更新済みだが、収容人数が2万2千人で
国体の開閉会式の基準には約8千人の収容増が必要。
同市は、仮設スタンドでの対応を想定。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080509_3

海フェスタ 5千台駐車へ“大作戦”シャトルバス試験運行

(東海新報 5月9日)

7月19日から9日間にわたり気仙三市町、釜石市、大槌町で
開催される全国規模の海の祭典「海フェスタ」に向け、
中心会場となる大船渡市では、大型船が寄港する茶屋前岸壁周辺で、
5千台の駐車場スペース確保に乗り出す。
公共用地をフル活用し、シャトルバスの社会実験も計画。
駐車場への誘導やトイレをはじめ衛生関係などへの対応も進めている。

海フェスタでは、21年ぶりに大型帆船『日本丸』が来港。
前回来港時には、20万人近い動員があり、茶屋前岸壁周辺は渋滞。
19日から5日間寄港、23日には客船『飛鳥2』と“共演”
連日多くの見物客が予想。

期間中は、いずれかの大型船舶が茶屋前、野々田両ふ頭に接岸。
24日から3日間は、例年数十万人の動員を誇り、
市民道中踊りや花火大会を予定している「三陸・大船渡夏まつり」も開催。

期間中、大船渡市内だけでも開催事業は約50に上る。
海フェスタ大船渡市実行委では、交通安全、渋滞対策などへの調整。
交通渋滞を緩和するため、約5千台の駐車場確保を図る。
イベントに合わせたこれほど大規模な駐車場確保は、過去に例がない。

予定しているのは、商工会議所脇の北部工業用地、浄化センター、
堀川グラウンド、盛川河川敷などの公用地を予定。
これらで4千台以上を確保、残りは民間事業所などに協力を要請。

駐車場は広範囲に及び、シャトルバス運行も社会実験として行う。
国土交通省から市と県が認証を受けた「みなと振興交付金」を生かし、
ふ頭周辺のにぎわい創出を図り、自家用車に頼らない交通手段確保に力を入れる。
盛駅から各駐車場を経由し、商工会議所、サン・アンドレス公園などを
巡回するルートを検討。

渋滞対策として、一般車両が商議所付近を目指す場合、
北側は大船渡警察署から木工団地を経由するルート、
南側は加茂神社から国道を右折して県道に入るルートに限り、円滑な通行。

交通指導員らは、各イベント近辺の交通要所に配置され、
各駐車場での誘導員確保も必要。
主会場、駐車場には仮設トイレ約50基を設け、多くのごみ排出も予想、
収集・清掃作業の徹底も求められる。

市海フェスタ開催推進室では、「市職員だけでは対応できず、
アルバイトらも動員して何百人規模の動員体制が数日続く」。
「駐車場スペースが空かないような、にぎわいを生む企画を進めなければ」と、
イベント内容の充実にも意欲。

http://www.tohkaishimpo.com/

2008年5月11日日曜日

スポーツ21世紀:新しい波/266 バレー協会・個人登録制度/1

(毎日 4月26日)

会場は険悪な雰囲気に包まれた。
大阪市中学校体育連盟バレーボール部会の総会。
昨年導入した新しい個人登録制度について説明する

日本バレーボール協会(JVA)の伊藤晃執行役員らに対し、
監督らは、「スポンサー確保が難しいため、
金を取りやすいところから浅く広く取ろうという制度だ」、
「金がないからといって、生徒に負担を強いるのか」と批判、不満をぶつけた。

JVAの登録料収入は、
チーム単位で徴収した06年度の約1億6000万円から、
個人単位で徴収した07年度は約2億8000万円に急増。

これは、「増収狙い」との批判を裏付けるように見える。
しかし、「JVAの総収入は35億円以上(07年度予算)。
登録料収入はそのうち約7%に過ぎない」と反論。

98年6月7日のスポーツ面(大阪本社)に、
「バレー協会 2億8000万円赤字」との記事が掲載。
<Vリーグなどの入場者が伸びず、競技会収入が予算を
大きく割ったのが主な要因。
99年度から30年ぶりにチームの登録料を2倍に値上げし、
個人登録料を新たに導入するなど、抜本的な財政再建に努める方針>

JVAは当時、すでに個人登録制度導入を考えていて、
その狙いが財政再建にあることが分かる。
スポンサー収入や競技会収入などは、景気やバレー人気により変動。
伊藤氏は、「不確定要素に左右されない収入を確保し、
都道府県協会などの運営を安定させるのが狙い。
個人登録費として徴収したもののうち40%は、その原資にまわす」。

JVAの元関係者は、「別の狙いもある」。
個人登録制度の利点は、競技人口を実数で把握できること。
日本では、部活動や家庭婦人のバレーが盛んなこともあり、
各年齢層に普及している。
「競技人口を実数で示せれば、スポンサー獲得がより容易になり、
JVAの経済基盤を安定させるだろう」

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

朝の食事、やっぱり太りにくかった 大学調査で裏づけ

(朝日 2008年05月05日)

1日3度の食事でも、朝型の食生活の方が夜型より太りにくい。
こんな説を、神奈川県立保健福祉大学の中村丁次教授らが、
食事時間とエネルギー消費量の関係を調べて裏づけ。

調査では、たばこを吸わない女子大生18人に、
同じ食事(各約500キロカロリー)を午前7時、午後1時、午後7時にとる
「朝型」と、午後1時、午後7時、午前1時にとる「夜型」の2種類の
食生活を1日ずつ交互に体験。

中村教授らが注目したのは、食べ物をかんだり飲み込んだり、
胃や腸で消化吸収されたりする際に消費されるエネルギー(DIT)。
糖や脂肪が体内で燃焼する時、呼気中の酸素や二酸化炭素の
消費や排出の量が多くなる。

この仕組みを利用した呼気分析でDITの値を算出。
食事前から3時間の累積値で比べた。

時間別でみると、午前7時の食事での値が最も高く、
逆に低かったのは午前1時。
午後1時と午後7時の値は、「朝型」「夜型」も変わらなかった。
3食分の合計でみると、「朝型食生活」では体重1キロ当たり
平均0.905キロカロリー(体重50キロ換算=45.25キロカロリー)、
「夜型食生活」の0.595キロカロリー(同=29.75キロカロリー)を上回った。

「きちんと6時間おきに食事をとっても、深夜に食べると
1日のエネルギー消費量が低くなり、結局、太りやすい体になる」。

中村教授は、「朝のDITがなぜ高くなるかは不明だが、
内臓の働きを調整する自律神経が関係していると考えている」。

http://www.asahi.com/health/news/TKY200805050143.html

気仙福祉ボランティア・1万人の会設立へ

(東海新報 5月9日)

優しさと温かさに溢れる気仙人の気質を、福祉面でも発揮してもらおうと、
「気仙福祉ボランティア・1万人の会」の設立準備。
行政主導ではなく、民間の立場での結成を目指す。
会員登録(会費無料)だけで、“堅苦しさのない会”の意向。
子どもから大人まで、日ごろから気軽なボランティア活動を行い、
「善意の輪と優しさに満ちた気仙地域を創ろう」と提唱。

提唱しているのは、県立福祉の里センターと同センターが開設する
高齢者大学院福祉学部、大洋会。
この三団体で設立委員会を組織し、事務局は同センターが担当。

資料などによると、「気仙地域の人々は、優しさや温かさに溢れているが、
それを表現できない一面。引っ込み思案の面や
行動をおこす時の照れくささもあるのでは」、
「普段の生活の中で、気付いたことから気軽にボランティア活動を行い、
優しさと温もりのある気仙に」との願い。

趣意書に記されている活動例では、
▽視覚障がい者が道路横断する際に気軽に声をかけて一緒に横断、
▽車イス利用者が階段や段差などで困っている際に手助け、
▽道路などに飛んできたゴミを拾う――などを紹介。

対象は、気仙地区内の子どもから大人まで、
「気付いたことから気軽に始めよう」をメーンにした活動を通じ、
ボランティア活動を習慣づけしてもらいたい意向。
「困っている人にすぐ手を差し延べる素晴らしい地域」を目指す。
「ボランティアはやりたいが…」という意欲や意識はあるものの、
実行に移せないでいる地区民へのきっかけづくりも趣旨の一つ。

会員は登録制で、会員用のオリジナルバッジを作成中。
運営面や運動方針などの企画立案を行う幹部と事務局を設けるが、
「総会などの物々しいものは行わない」。
唯一の禁止事項は、「政治、宗教などの活動は一切行わない」と明記。
会としては、キャップ・ハンディ体験やガイド・ヘルパー養成の研修会を開く。

同センターなどでは、さまざまな準備を進め、
同大学院福祉学部メンバーで各種の打ち合わせを行っている。
趣旨に賛同する団体や住民の加盟、参加を呼びかけ。
問い合わせは、同センター(電話27-0294)へ。

http://www.tohkaishimpo.com/