2010年4月10日土曜日

全国学力テスト(1)朝一番 45分集中学習

(読売 3月31日)

4年生の教室。
男子全員が立ち、壁に張られた漢字表を読み上げる。
続いて、女子も負けじと大声で読む。

国語が終わると、算数の1けたの掛け算、社会の都道府県名と続く。
福岡県糸島市立引津小学校の、朝の「集中タイム」。

1時間目の45分間を、15分ずつ3教科のモジュール学習とし、
全学年が行う。
朝一番に頭を目覚めさせ、集中力を高める。
朝の集中学習を導入した07年度以降、学力は大きく向上。
きっかけは、全国学力テスト(学テ)。

学テが復活した07年度の成績は、6年生の国語、算数とも、
全国平均点を大幅に下回った。
特に、基礎を見る「A問題」の成績が低く、教員にショックを与えた。

「基礎学力は伸ばせる。伸びを実感すれば、学習意欲も高まるはず」
と横山英明校長(当時)は考えたが、あいさつできない子や、
授業中に立ち歩く子、乱暴な子の生活指導に追われる毎日。

手がかりが、学テで子どもに生活習慣を尋ねる「質問紙調査」に。
同小児童は、就寝・起床時間とも平均より遅く、睡眠も短いなど、
夜更かしが学習意欲を低下させている傾向。
全国の結果では、早寝・早起きの方が成績が良い。
朝の集中学習で基礎を学ぶという方法は、こうして生まれた。

学テの成績を示し、保護者に生活の見直しを呼び掛けた。
火曜1時間目の前にある15分間の時間を使い、
百ます計算などを始めた。
成績と時間を記録し、全員に「賞カード」を与えた。
児童が、朝から集中し、自ら学ぶ意欲を見せ始めた。

翌08年度、集中学習を1時間目すべてに拡大。
その結果、08、09年度の学テでは全国平均並みになり、
算数Aは全国平均を上回った。

集中タイムの終了後、達成感に満ちた笑顔を見せる子どもたち。
「みんな、今日は大きく口が開いてたね」と
担任の駒谷栄子教諭(45)。
教師も児童も、自信を取り戻し始めた。

4月20日、4回目が実施される全国学力テスト。
政権交代で、今回から全員調査が抽出調査になるなど
見直しが進む。
過去3回の結果は、どう生かされているのか。
学力向上に効果を上げる取り組みを紹介。

◆全国学力テスト

2007年、43年ぶりに復活。
小6、中3の国語と算数・数学で、A問題(基礎)とB問題(応用)。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100331-OYT8T00550.htm

8020サポーター1000人養成へ 県が22年度研修会

(岩手日報 4月3日)

県は2010年度、「80歳で自分の歯が20本(8020)」を目指し、
親子の歯科保健を支援する「8020推進サポーター」を1千人養成。

保健活動の経験者らを対象に、歯科の基礎知識を学ぶ研修を実施。
ボランティアで、地域の子どもたちの虫歯予防に取り組んでもらう。

サポーター養成事業は、県が県歯科医師会(箱崎守男会長)に委託。
各市町村の母子保健推進員や食生活改善推進委員、
8020達成者ら、歯と健康に知識や経験のある人材を対象に
研修会を開き、受講者に認定証を交付。

サポーターは、学校や保育施設への出前講座、
歯科イベントなど親子がそろって学ぶ機会を設け、
▽親による仕上げ歯磨き習慣
▽歯間ブラシの活用
▽正しい食生活
▽歯科検診の受診―など
家庭での取り組みを後押し。

県は、10年度当初予算に関連事業費として2050万円を計上。
県歯科医師会は、研修カリキュラムの策定や参加者の募集などを行い、
夏ごろにも各地で養成を始める。

県の健康いわて21プラン(01~12年度)では、
20本以上の歯を持つ65歳以上の高齢者の割合を、
1999年の11・8%から20%以上に引き上げる目標を掲げ、
幼少期の虫歯予防を重点に据えている。

県歯科医師会によると、近年の子どもは軟らかい食事の影響で、
かんだり、のみ込む力が弱まっているほか、
核家族化や地域の人間関係の希薄化などにより、
虫歯予防の習慣づけが十分になされない傾向。

同会の前川秀憲常務理事は、
「保健の知識や経験のある人材は、各地にたくさんおり、
歯科の基礎を学んでもらうと大きな力に。
子どもの歯科保健を、地域全体の取り組みにしたい」と成果を期待。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100403_11

鉄道技術の海外売り込み目指し国際規格センター

(サイエンスポータル 2010年4月2日)

鉄道分野での日本の優れたシステムと技術を規格の形で、
世界に発信していくことを目指し、
財団法人鉄道総合技術研究所が、鉄道国際規格センターを発足。

センターのメンバーは、鉄道総合技術研究所員7人に、
外部からの出向者10人から成る。
これまでの国際電気標準会議・鉄道関係専門委員会に関する
国内審議団体としての活動に加え、国際標準化機構(ISO)の
鉄道技術に関する国際標準化活動も、一元的に行う。

日本の鉄道技術は、日立製作所が昨年、英国に車両納入に
成功したように、十分な国際競争力を持つ。
鉄道システムを、そっくり輸出することには後れを取っており、
JR東海が今年1月、同社の新幹線システムと
超電導リニアシステムを、米国に売り込む計画を発表するなど、
海外展開に向けての動きが活発化しつつある。

1日の日経新聞「日本鉄道技術、世界に売り込め」によると、
センター発足後、初の国際規格になりそうなのは、
都営地下鉄大江戸線に使われている技術。

リニアモータを採用した都営大江戸線は、
「床下が低い車両設計が可能となるため、トンネルが小さくて済み、
建設コストが低減できる」、
「8%の急こう配路線を走行可能」、
「カーブが急でも小回り走行が可能」といった長所を持つ。

鉄道総合技術研究所は、国鉄の分割・民営化の前年に発足、
1987年のJR各社の発足と同時に、国鉄が行っていた
研究開発を引き継いでいる。

http://scienceportal.jp/news/daily/1004/1004021.html

16年五輪招致:4都市報告会、東京は都市訪問復活を要望

(毎日 4月8日)

2016年夏季五輪招致を争った東京など、
4都市によるIOCへの報告会が、スイスのローザンヌで開かれ、
東京はIOC委員による招致都市訪問の将来的な復活を要望。

IOCは、02年ソルトレークシティー冬季五輪に絡んだ
招致スキャンダルを機に、腐敗の温床として都市訪問を禁止。

河野一郎・招致委員会事務総長は、
「その経緯を踏まえた上で、やはり直接見てもらった方が
分かりやすいと思う」

ムータワキル評価委員長らが出席したIOC側から、
「訪問を希望していない委員もいる」との返答。

16年五輪は、南米初開催を訴えたリオデジャネイロが、
都市インフラなどへの懸念をはね返し、招致に成功。
報告会は、リオを含めた各都市が、個別にIOCと面談する
形式で行われた。

JOCの水野正人副会長は、「まずは穏やかな報告会だった」と
約1時間半だった東京の面談を総括。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20100409k0000m050058000c.html

2010年4月9日金曜日

変わる校舎(8)大空間で出会う異分野

(読売 3月27日)

最高学府も、学習環境の整備に乗り出した。

北海道函館市郊外にある、公立はこだて未来大学
複雑系科学科4年の杉山和裕さん(23)がゼミの最中、
卒業論文の体裁に苦労していると、困った顔を見せた。

指導する美馬のゆり教授(49)は、「TeX(テフ=数式、表などを
清書するのに便利なソフトウエア)を入れたほうがいい」と助言、
方法を詳しく知らない杉山さんは戸惑う。

近くにいてやり取りを耳にした4年の男子学生が寄ってきて、
「インストールは難しくないよ」と杉山さんに声を掛けた。
具体的な方法を教わった杉山さんは、
「心強かったし、ありがたかった」と、安堵の表情。

同大では、授業やゼミで受講生以外の学生や教員が
首を突っ込むのは、珍しいことではない。
部屋の外で様子を見ていた学生が、「面白そうだ」と入ってくることも。
偶発的な出会いを誘うように、校舎が設計されている。

ゼミが行われていたのは、スタジオと呼ばれる天井高18mの
巨大な空間の一角。
5層のひな壇状で、各階に簡単な仕切りで囲われた
4年生用のスペースや机やイスなどがある。
ひな壇の下部は、ガラス越しに教員の研究室が入る。

5階から見下ろすと、数百人がパソコンに向かったり、
議論したりする様子が一望でき、壮観。
4年生の田中真依さん(22)は、「オープンな造りなので、
通りすがりに『今、どんな調子?』とか、気軽に話しかけやすい」
授業も、所々で行われる。

2000年、開学した同大は、システム情報科学部に2学科、
情報、デザイン、複雑系知能が主な研究領域。
情報アーキテクチャ学科の木村健一教授(52)は、
「既存の学問領域が狭まっている、という問題意識がある」
合同ゼミの開催で、「出会い」を演出。

スタジオは、こうした学びの共同性を象徴し、
美馬教授は、「一斉講義型も含め、様々な環境を提供して
多様な学びを保証することが大事」

東京大学駒場キャンパスに、07年開設された
「駒場アクティブラーニングスタジオ」(KALS)は、
自由にレイアウトを変えられるのが特徴。
米マサチューセッツ工科大学などを参考。

室内には、まが玉形の机が置かれ、横に並べると
講義形式に対応するが、三つを組み合わせれば円形になり、
グループ活動に向く。
前後左右にプロジェクターが設置、タブレット型パソコンも40台配備。
KALSのデザインを担当した東大情報学環の
山内祐平准教授(42)は、「通常の講義室では、
教員が空間に縛られるが、ここは教室が教員に合わせて変わる」

英語で書いた文章を批評し合う授業などで使われ、
コミュニケーション力や交渉力の養成に役立てたい。

目指す教育の理念を、まなびやに投影する試みは、
大学でも確実に進んでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100327-OYT8T00217.htm

「土ごと発酵」効果あり 紫波町、ブドウの品質向上

(岩手日報 4月5日)

紫波町は、農地に木質チップを敷いて耕す「土ごと発酵」の
実証試験を町内で実施し、ブドウの生育が
大幅に改善することを確認。

木質チップを土壌と一緒に発酵させ、土の団粒化を進めることで
土中のミネラルなどが果樹に吸収されやすく、果実の品質が向上。
町は今後、農家への普及を進める考えで、
間伐材や流木を農地に循環させる試みとして注目。

土ごと発酵は、同町遠山の第三セクター紫波フルーツパークで、
2008年秋からワイン用、生食用ブドウ畑計200アールで実施。
木質チップを厚さ10cmほど敷設し、データを収集。
同町が国交省との契約で受け入れているダムの流木を、
チップ化して使用。

昨年秋、収穫したワイン用ブドウの7~10月のデータは、
糖度や果粒径など4項目で、土ごと発酵をしない農地よりも
高品質な果実の数値が得られた。
果樹の節間が短く太くなり、葉が増えて樹勢が増した。

農地の表層を浅く耕し、有機物のチップと土壌を発酵させることで、
微生物が排出するアミノ酸やミネラルで、土壌の団粒化が進む。
ブドウ畑は粘土質の土壌が多いが、水や空気が通りやすく、
ブドウの生育に必要なミネラルなどが吸収されやすくなる。

農地で直接土をつくることで、大量の堆肥を運び入れるより
省力化が図られる。
樹勢が安定し、栽培作業の労力も軽減。

10年度、紫波フルーツパークの委託事業として、
ブドウのほか、地元生産者団体と連携しキュウリでも実験。
ワイン用ブドウ生産者2戸も、土ごと発酵に取り組み始め、
町はさらに農家への普及を目指す方針。

町農林課の中田久敏課長は、
「輸送経費がかかり、林地に放置されている間伐材を
活用できる可能性も。
地元で出た有機資源を地元で使い、循環を進めたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100405_13

満足できない試験結果 日本に柔軟対応求める インドネシア看護協会のアキル・ヤニ会長

(2010年4月2日 共同通信社)

日本との経済連携協定(EPA)に基づき、来日した
インドネシア人看護師候補者ら3人が、国家試験に合格。
EPA来日組で初の合格という快挙、
合格率はわずか約1%にすぎず、「狭き門」への批判は強い。

インドネシア看護協会のヤニ会長に、
「送り出す側」の声を聞いた。

-ついに合格者が出た。

「本当にうれしい。
しかし合格率が低すぎて、とても満足できない。
全員、インドネシアでは非常に優秀な看護師なのに、
言葉の壁で試験に落ちた

-どうすれば良いか?

「試験で、漢字に振り仮名を付けたり、試験も3回ではなく、
4回に増やすなどの配慮をしてほしい。
1回目の試験は、日本語学習などの研修期間が終わってから
わずか半年後。
日本が本当に外国人看護師を必要とするなら、
日本政府は、合格者を増やすよう柔軟に対応すべき

-インドネシアでの反応は?

試験が難し過ぎて、日本へ行こうという意欲が低下しかねない。
他国へ行く方がいいと考えてしまう。
他国では、英語で試験が受けられるので、日本より合格は簡単」

-インドネシア人看護師はどんな国で働いているのか?

「クウェートとオランダでは約700人、カタールで約200人。
アラブ首長国連邦やシンガポール、マレーシア、香港、
米国などでも働いている。
給与は、日本とほぼ同じで滞在延長も簡単」

-では、なぜ日本行きの希望者がいるのか?

日本だけ、インドネシアと国家間の看護師派遣プログラムを実施。
ほかの国は、民間同士の契約、通常、渡航前に多額の金銭を
業者らに支払わないといけない。
日本の場合、言語学習や渡航費などすべて日本側が
支払ってくれる点が魅力」

-言葉以外の問題は?

文化の違い。
インドネシア人は陽気でユーモア好きだが、日本では仕事中、
笑わずまじめにしていないといけないので、ストレスを感じる。
大半がイスラム教徒で、豚肉は食べられないし、
仕事中でも祈りの時間が必要。
双方が、互いの文化・宗教を理解することで解決できると思う

◆アキル・ヤニ氏

インドネシア・パレンバン出身。
2000年、インドネシア看護協会の会長に就任。
インドネシア大教授。55歳。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/2/118431/

ビタミン、新たな効果 骨粗しょう症予防にD、K/脳卒中に葉酸

(2010年4月2日 毎日新聞社)

今年は、日本でのビタミン発見からちょうど100年。

体内で十分な量を合成できず、欠乏すると健康障害を起こすことで
知られるが、最近は骨粗しょう症や生活習慣病の予防効果に注目。

バターやキクラゲ、魚類などに多く含まれるビタミンD
腸でのカルシウム吸収を助け、骨の形成に関与するため、
欠乏すれば骨軟化症などの石灰化障害を起こす。

京都女子大の田中清教授(臨床栄養学)は、
「1980年代以降、血液中のビタミンD濃度が測れるようになり、
欠乏に至らない軽度の不足で、骨が折れやすくなる
骨粗しょう症が起きることが分かってきた」

欧米の研究では、血液1ml当たりのビタミンD20ng未満が目安。
その濃度を確保するため、どれくらい摂取する必要か?
骨粗しょう症は高齢者に多く、田中教授は高齢者施設の入所者を
対象に、ビタミンDの摂取量と、血中の濃度を調べた。

その結果、5ug摂取しただけでは、血中のビタミンD濃度は
十分に上昇せず、サケ一切れに含まれるビタミンDに当たる
20ug摂取することで、1ml当たり19ngまで上昇。
田中教授は、「日本人を対象に大規模な介入調査を行い、
必要な量がどの程度なのか、科学的に明らかにする」

緑色野菜や海藻、納豆などに多く含まれ、肝臓で血液凝固因子を
活性化させるビタミンKが、骨に存在するたんぱく質の働きに関係。

ビタミンKの場合も、摂取量によっては骨で不足するケースが起こる。
小腸で吸収されたビタミンKは、肝臓を経て骨に送られる。
消化吸収力の低下した病気の人を対象にした田中教授の研究で、
肝臓で足りていたビタミンKが、骨では不足。
ビタミンKが、肝臓で使われてしまうことが理由。

田中教授は、「健康な成人なら、1日当たり250ug摂取、量的には十分。
高齢者や病気の人は、納豆などを積極的に食べたほうがよい」

ホウレンソウなどの緑黄色野菜に多く含まれる
ビタミンB群の一種の葉酸。
欠乏すると貧血を起こすほか、妊婦では胎児に二分脊椎症などの
障害が起きるとして、摂取が呼びかけられている。
女子栄養大の香川靖雄副学長(人体栄養学)は、
「脳卒中などのリスクを抑えるためには、今以上の摂取が必要」

香川副学長によると、海外の研究では、
葉酸の血液中濃度が増すと、脳卒中や心筋梗塞のリスクを示す
アミノ酸、ホモシステインの値が減る。
世界52カ国では、小麦などの穀類に葉酸を添加し、
葉酸摂取量を増やす政策をとっている。
98年、穀類の葉酸強化を導入した米国では、
99年以降脳卒中死亡率が低下。

厚生労働省が生活習慣病予防のための基礎的データとして
まとめた「日本人の食事摂取基準(2010年版)」は、
18歳以上の男女の葉酸の推奨量を
1日当たり240ug(妊婦は480ug)。

推奨量を一律に増やすことに、慎重な意見はあるが、
香川副学長は、同400ugに上げるべきだと主張。
女子栄養大では、地元の埼玉県坂戸市と共同で、
葉酸摂取量を増やすプロジェクトを06年から始め、
葉酸を添加した食パンなどを開発。

◇日本で発見から100年 海外より1年早く

ビタミンの発見には、日本人研究者が関係。
1910年、東京帝国大の農芸化学者、
鈴木梅太郎(1874~1943年)が、米ぬかから抽出した物質に、
かっけ予防効果があることを発見。

この物質を、「アベリ酸(後にオリザニン)」、
同年12月13日の東京化学会例会で発表。
これが、現在のビタミンB1。
論文も発表、日本語だったため国際的に認知されなかった。

11年、ポーランド人医師フンクが、同様の物質を米ぬかから抽出、
12年、生命(vital)に必要な化合物アミン(amine)という
意味から、ビタミン(vitamine)と名付けた。
その後、アミンと構造が異なるビタミンも見つかったため、
「vitamin」とつづりを変えた用語が定着。

社団法人ビタミン協会は、12月13日を「ビタミンの日」。
…………………………………………………………………
■ビタミンDを多く含む食品
キクラゲ(1グラム)         4.4
サケ(60グラム)         19.2
ウナギかば焼き(100グラム) 19.0
サンマ(60グラム)        11.4
ヒラメ(60グラム)         10.8
イサキ(60グラム)         9.0
タチウオ(60グラム)        8.4
カレイ(60グラム)         7.8
メカジキ(60グラム)        6.6
なまり節(30グラム)        6.3

■ビタミンKを多く含む食品
卵(50グラム)         7
納豆(50グラム)      300
ホウレンソウ(80グラム) 216
小松菜(80グラム)    168
ニラ(50グラム)       90
ブロッコリー(50グラム)  80
サニーレタス(10グラム)  16
キャベツ(50グラム)     39
カットワカメ(1グラム)    16
ノリ(0.5グラム)        2
※含有量の単位はマイクログラム
(日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン06年版」引用)

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/2/118442/

2010年4月8日木曜日

痛み「さする」と効果 無意識の動作で神経修復

(2010年3月31日 共同通信社)

打撲したり骨折したりした場合、痛む場所を「さする」という
動作には、傷ついた神経回路を修復する効果があるとの
研究結果を、群馬大大学院の柴崎貢志講師
(分子細胞生理学)らが31日までにまとめた。

柴崎講師は、「さする行為には、神経再生を促そうという
無意識な意味が込められているのではないか」

柴崎講師らは、神経細胞にあって熱を感じるセンサーの役割を
果たすタンパク質「TRPV2」に注目。
マウスやニワトリの細胞を使った実験で、TRPV2があると、
TRPV2をなくした細胞に比べ、刺激を伝える神経の「突起」という
部分が長く伸びた。

「さする」行為と同様の刺激を与えるため、TRPV2がある
人間の神経細胞を載せた膜を引っ張ると、
細胞が反応することを確認。
TRPV2が、物理的な刺激を受け止めるセンサーの役割を果たし、
人間でも突起が伸びて、神経が再生するのを促している。

将来、胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞などを使った
再生医療技術と組み合わせると、効果的な神経再生に役立つ
可能性があるのではないか。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/31/118306/

鉱山史の研究に貢献 池享教授(一橋大学)が報告書

(東海新報 4月5日)

文部科学省科学研究費補助事業による
「中近世移行期における鉱山開発と地域社会の変容に関する研究」
の報告書が、池享一橋大学大学院教授らによって発刊。

未解明な部分が多い中近世移行期(16~17世紀)における
鉱山史研究の基礎条件整備に大きく貢献、
これまであまり注目されてこなかった「土金(つちがね)」採取に
ついても、気仙産金の調査などをもとに、
さまざまな視点から課題提起。

報告書は、文科省による大学共同研究事業の一環、
平成18年度から3カ年事業で実施。
未解明な部分が多い中近世移行期において、
全国的に進められた鉱山開発が、地域社会とどのような
かかわりを持ち、地域社会のあり方にどのような影響を与えたのか、
追求することを課題。

調査メンバーは、代表の池教授はじめ、平川新東北大学教授、
柳原敏明東北大学准教授、七海雅人東北学院大学准教授ら7人。
気仙では、案内役として産金遺跡研究会(平山憲治代表)の
会員らが協力。

今回の調査では、東磐井や気仙地方を中心とする金山を
フィールドに設定、鉱山開発が地域社会にどのような影響を及ぼし、
歴史的展開を作り出したかを解明。
気仙に残る古文書や一関市東山町の鈴木家文書、
同市室根町の畠山文書などを繙いた。

御本判(仙台藩が金掘り従事者に発行した許可証)大肝入を
務めた鈴木家と、村肝入を務めた畠山家の両家文書の
目録作成と史料翻刻を行い、御本判制度の解明に迫った。

これまであまり注目されてこなかった「土金」に関して、
気仙地方などで情報収集した成果をまとめた。

土金とは、地層の土砂中に混じっている金粒で、
露天掘りや土坑堀りで採取。
報告書には、「その作業には、大量の土掘り・運搬や水路・
選鉱場造成のため、通常の砂金取りよりも
大規模な労働力編成が必要、これと名子などの
従属労働力の編成とは密接にかかわっていたと思われる」

報告書の中で、池教授は、「御本判制度とその運用については
未解明な点が多く存在する。
農業と一体となった小規模経営、労働編成についても、
『土金』採取も視野に入れた検討が必要。
採金から製鉄、林業、炭焼きなどへの生業の転換問題、
そこで重要性を増したと思われる山利用をめぐる問題、
人の移動などの問題解明に向けた展望が開けた」

調査に協力した産金遺跡研究会の平山代表は、
「本県の産金に関する調査研究を大学で取り組んだということは
今までになかった画期的なこと。
報告書の成果は、今後の研究や課題に取り組む指針になる」

報告書は、A4判の大きさで全559㌻。
産金遺跡研究会の会員、野村節三氏が
「岩手県気仙地方産金遺跡概要~産金遺跡研究会による調査・研究~」
と題して寄稿。

http://www.tohkaishimpo.com/

夢は健常者との懸け橋 自閉症の女性が大学卒業

(2010年4月2日 共同通信社)

自閉症者と定型発達者(健常者)の懸け橋になりたい-。
そんな夢を持つ重い自閉症の女性が、宮城学院女子大を卒業、
中学から10年間付き添った母親とともに学位記を手にした。

今後は、執筆や講演を通じて、
自閉症が広く理解されるよう活動、大学院進学にも挑戦。

仙台市の渡辺美穂さん(22)は、大学で心理学を専攻。
卒業論文では、自閉症の人の視覚について研究、
健常者とものの見え方の違いがあることをテーマに論じた。

自閉症は、他人との意思疎通が不得意などの特徴がある障害。
重い自閉症で、大学を卒業する人は少ない。

美穂さんは、発達障害の子を持つ親などを前に講演。
「あ...う...」。
マイクを通して、かすかに聞こえる声。

「一人一人に合う支援方法が見つかれば、
楽しい学校生活が送れます」。
傍らに寄り添う母親の久美子さん(52)が、一音一音うなずき、
確かめるように"通訳"した。

美穂さんは、言葉の発音がうまくできない障害も伴うため、
会話には久美子さんの協力が必要。

美穂さんが小学1年生のころ、音読の練習をするうちに、
久美子さんは美穂さん独特の発音を覚えた。
小学校では、特殊学級(当時)に入ったが、
紙に線を引く練習ばかり。
突然教室を飛び出す「野性児」だったという美穂さんは、
「勉強がしたかった」と振り返る。

美穂さんは、誰かが少しでも体に触れていると安心し、
作文も勉強もできたが、「当時は学校も信じなかった」(久美子さん)。
4年生のある日。
補助教員がふと体に触れてみると、
美穂さんが「プールが楽しかった」と書き始めた。

学校側は、健常児と同じように勉強を教え始め、
5年生から全科目で通常学級に通った。

公立中学には支援体制がなく、私立の宮城学院中学に入学。
補助教員がいなかったことなどから、久美子さんは以後、
同じキャンパスにある大学まで授業に付き添った。

久美子さんは、「本当は、学校などに支援者がいるのがベスト」
としながら、「本人の意思を尊重することが大切。
やりたいことをやらせてくれた周囲に感謝したい」

美穂さんは、「他人の気持ちを察するのが苦手なわたしたちは、
多くの誤解を生んでいる。
自閉症とは何かを、明るく伝えていきたい」。
久美子さんの言葉を通じて、美穂さんが力強く語った。

※自閉症

他人とのコミュニケーションが困難だったり、興味や活動範囲が
狭かったりするなどの特徴がある発達障害。
先天的な脳の機能障害に起因する、と考えられている。
個人差が大きく、健常者との間に明確な境界を設けることは難しい。
国連は、毎年4月2日を世界自閉症啓発デーとし、
日本では2~8日を発達障害啓発週間。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/2/118452/

運動せずに体質改善 新たな糖尿病薬に期待 ホルモンが脂質を燃やす

(2010年4月1日 共同通信社)

脂肪細胞が分泌するホルモン「アディポネクチン」が、
筋肉細胞で働いて糖や脂質の代謝を高めて体内での燃焼を進め、
運動したのと同様の作用を果たすことを、
東京大の門脇孝教授らがマウスの実験で解明、
1日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表。

糖尿病やメタボリック症候群の人は、アディポネクチンが
出にくくなることが知られている。
人でも、マウスと同じ作用があるとみられ、この仕組みを活性化する
薬が開発できれば、薬を飲んだだけで運動をしたのと同様の
体質改善効果が期待。

チームは、数年後の臨床応用を目指し、薬剤開発を進めている。
門脇教授は、「高齢やけが、足腰の病気などで思うように
運動できない人で、糖尿病などの生活習慣病の治療に役立つだろう」

チームは、筋肉細胞で起きている代謝の仕組みを分子レベルで解析。
細胞表面にある受容体に、アディポネクチンがくっつくと、
異なる二つの経路で細胞内に信号が伝わり、
糖などの代謝にかかわる細胞内器官のミトコンドリアの働きが
強まるのを発見。

細胞に、アディポネクチン受容体を持たない遺伝子操作マウスでは、
燃え残った脂質が筋肉にたまり、運動時の持久力も落ちた。
アディポネクチンの働きを補う薬剤を投与すると、
代謝が少し改善することも確かめた。

アディポネクチンそのものは、体に吸収されにくく、
人の飲み薬にするには改良が必要。

チームは、受容体に直接働いて、高い効果が期待できる
薬剤の開発を目指す。

※アディポネクチン

脂肪細胞から分泌されるタンパク質の一種、
糖代謝に関係するインスリンの働きを高めたり、
炎症を抑える作用があるとされる"善玉"ホルモン。
脂肪細胞が肥大すると、分泌されにくく、
ある種の糖尿病やメタボリック症候群の背景。
日本人の40%は、アディポネクチンの分泌量が低下しやすい
体質だとの報告。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/1/118338/

2010年4月7日水曜日

インドネシア人女性奮闘 看護師目指し、慶大も支援

(2010年3月30日 共同通信社)

「髪洗いますね」、「大丈夫ですか」。
済生会横浜市東部病院の集中治療室(ICU)。

日本での看護師資格の取得を目指すインドネシア人女性2人が、
患者と向き合いながら研修に励んでいる。
言葉や生活の違いに戸惑いながら奮闘する姿を、
慶応大も後押ししている。

ジェリアナ・パルデデさん(32)、インダ・アグスティナさん(29)。
母国では、「優秀な看護師」(東部病院関係者)で、
現地でそれぞれ別の大きな病院で勤務。
2人は、「日本語は難しいけど、仕事はインドネシアと同じ。
私たちは注射も上手なんです」と自信。

2008年、日本が看護師候補生らを受け入れている
日本・インドネシア経済連携協定(EPA)の制度で、
2人は昨年11月に来日。
語学研修の後、1月から病院で働き始めた。
「日本で最先端の医療を学びたい」と意欲を燃やしている。

夫と幼い2人の息子を母国に残すインダさんは、
「国家試験に合格したら、家族が来日し、日本で暮らすつもり」
独身のジェリアナさんも、「ずっと日本で働きたい」。

課題は、日本語の壁。
外国人の看護師候補生は、国家資格を3年以内に取得しないと、
帰国しなければならないと規定。
ジェリアナさんは、「漢字が難しい。専門用語は全然分からない」

勤務中も、カルテを読むため、辞書が手放せない。
2人は、2月の国家試験に初挑戦したが、及ばなかった。
「初めての試験は経験を積むため」と周囲に話している。

そんな2人を支援しようと、慶応大が立ち上がった。
看護医療学部の学生が、この病院で実習している縁がある。

慶応大の杉本なおみ看護医療学部教授
(異文化コミュニケーション学)は、「外国人研修生を受け入れてきた
ほかの病院で、準備不足でトラブルがあったと聞き、支援を決意した」

2人の配属前に、東部病院で全職員を対象にした研修会を開き、
イスラム教徒のインダさんへの配慮の仕方を指導。
病院が、祈りのスペースを確保。
インダさんは、「お祈りも食事も大丈夫」と喜ぶ。

インドネシア語を学ぶ慶大の学生との交流会も、定期的に実施。
ジェリアナさんは、「久しぶりにインドネシア語が話せてうれしい」
と目を輝かせた。
看護師資格の勉強を、慶大の看護医療学部の学生と
一緒にする機会も設ける。

済生会横浜市東部病院ICUの石井早苗看護師長補佐は、
「文化も言葉も違い、ストレスを感じていると思う」と気遣う。
「実践的な能力は高い。合格できるように助けたい」

※経済連携協定(EPA)

貿易拡大などを目的に、2国間や複数国間で結ぶ協定。
介護職や看護職の人材不足などを背景に、
外国人の受け入れを求める声が強まり、
日本はインドネシア、フィリピン両国と協定を結んで
介護福祉士、看護師候補者を受け入れた。
インドネシアからの看護師候補生は、2008年8月に第1陣の
約100人が、09年11月に第2陣の約170人が来日。
今年2月実施の10年度の看護師国家試験で合格したのは、
インドネシア人2人とフィリピン人1人だけ。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/30/118210/

スリムこそ美徳 インド、健康志向に目覚め

(2010年3月30日 共同通信社)

インドでは、おなかが突き出た"太鼓腹"が、
裕福の象徴としてもてはやされ、
「やせているのは、食事をとれない貧しい人々」と。

欧米文化の流入などで、スリムこそが健康によいとの認識が
富裕層を中心に、急速に拡大。
ニューデリーやムンバイなど、都市部にはフィットネスジムが
相次ぎ開業。

首都ニューデリーの高級ホテル内のジムでは、大きなおなかをした
貫禄あるビジネスマンや有閑マダムたちが汗を流す。
「近所に住む金持ちのインド人の利用が多い」と、ジム受付嬢。

首都の高級ホテル内のジムでは、
年会費が1人25万ルピー(約50万円)、ムンバイの中級ホテルや
ニューデリー住宅地のジムは3万~3万5千ルピー
(約6万~7万円)が相場。
太った体で運動している姿を、男性に見られたくないとの
「女心」に配慮し、女性専用の時間帯を設けているジムも。

ジムでは、食生活の改善も推奨。
スタッフは、インド人が間食に好む油で揚げたスナック類や
砂糖たっぷりの菓子を避けるよう指導し、
インドで一般的な午後9~10時と遅めの夕食時間を改め、
朝早く起きてしっかり朝食を取るよう勧めている。

インドでは、女性は伝統的に、民族衣装サリーから見え隠れする
女性の横腹が、「タプタプ」しているのが美しいとされてきた。

ニューデリー市内のジムに通う主婦メナクシさん(33)は、
太っているのが美徳、というのは昔の話。
油っぽいものは極力食べないようにして、黒パン、
果物をとるようにしている」
ジムでは、ほぼ毎日2、3時間汗を流し、
「3カ月で、8~9kgやせた」と笑顔を見せた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/30/118211/

「地域再生」を強調 大船渡商議所で通常総会

(東海新報 4月1日)

大船渡商工会議所(甘竹秀雄会頭)の通常議員総会が、
同商議所で行われた。
「地域再生」を掲げ、中小企業者らへの支援策強化や
商品券事業、ポートセールス支援強化などを盛り込んだ
平成22年度事業計画を確認。

委任状出席を含め、議員の9割を超える78人が出席。
甘竹会頭は、「なによりも地域経済の再生が重要で、
中小企業の活力強化が最大のテーマと考え、
今年度も関係機関と連携を密にして効果のある
事業実践に努めたい」とあいさつ。

重要視している分野として、
▽地域商品券事業の促進
▽観光事業の充実
▽港湾の活用
▽湾口防波堤の強化
▽情報の収集--
を挙げ、出席者に対して理解と協力を求めた。

22年度の事業計画のうち、建議要望・地域振興活動として
盛り込んだのは、安定的な大船渡港貨物増と
内航フィーダーへの取り組み、調整研究への支援など19項目。
商工業振興対策では、商店街再生支援事業や
客船『飛鳥Ⅱ』の1泊2日滞在に伴う商店街歓迎事業の
推進協力などを盛り込んだ。

労働対策では、就職が決まっていない新卒者を対象とした
長期間の職場体験なども計画。
今年は、任期満了に伴う商工会議所役員・議員選挙も予定。

これらの事業を推進するための予算総額は、
歳入歳出とも2億9439万円、本年度当初比417万円の減。
3年目を迎えた地域商品券事業の収支予算は、
本年度比で2814万円多い1億414万円。
本年度の発行枚数は、20万5000枚を見込。

http://www.tohkaishimpo.com/

高齢者への「運転中止」説得マニュアル…厚労省研究班

(2010年3月31日 読売新聞)

高齢者が認知症になったとき、自動車の運転を
やめさせるための家族向けマニュアルを、
厚生労働省の研究班が作成。

移動の代替手段や、運転以外の生きがいを
考えてあげることが大切。

道路交通法では、認知症と判断されれば、
運転免許の取り消しや停止の対象。
昨年6月から、75歳以上の高齢者が免許更新時、
認知機能の検査を受けることも義務づけ。
自らの判断で、免許を返納することもできる。

自動車の運転をやめることに抵抗を感じる高齢者も多い。
家族も、本人の行動を制限することに罪悪感があり、
説得に消極的な場合がある。
マニュアルには、参考となる実際の事例を掲載。

初期のアルツハイマー病と診断された70歳代前半の男性は、
運転中に行き先を忘れたり、車庫入れに失敗したりし、
医師から運転中止を勧められた。
自損事故も起こしたが、男性は「運転は生きがい。
運転できないなら、死んだ方がいい」、かたくなに運転中止を拒否。

家族が運転したり、地域の移動支援サービスを利用して
タクシーを使うようにさせたところ、次第に運転機会が減り、
本人も自分の意思で運転をやめた。

マニュアルでは、代わりの移動手段をさがすことや、
趣味の講座などで、運転以外に楽しみとなるものを
見つけることをアドバイス。

移動支援には、NPOなどが有償で行う送迎サービスや、
自治体が高齢者らのタクシー代の一部を補助するサービスなど。
地域によって内容が異なるため、
自治体の高齢者担当課で確認する必要。

運転中止がうまくいきそうもない場合は、家族が車に同乗し、
〈1〉センターラインを越える
〈2〉路側帯に乗り上げる
〈3〉車庫入れに失敗する
〈4〉ふだん通らない道に出ると、急に迷ってしまう
〈5〉ふだん通らない道に出ると、パニック状態になる
〈6〉車間距離が短くなる--
などの問題がないかメモにして、主治医や警察、
免許センターに相談することを勧めている。

患者が、運転中止を約束したことを忘れる場合も。
「あなたは、もの忘れが始まっていて、
安全に運転することが難しくなっています。
この場合、運転を続けることは危険であると、
法律でも定められています」などの文書を
主治医に書いてもらい、目につくところに張っておくのも効果的。

患者が運転したいと言い出したら、
「主治医の先生に言われて、運転はしないと約束したでしょう」と説得。

研究班の推計では、運転免許を保有する認知症患者の数は
約30万人に上る。

研究班の代表で、「国立長寿医療センター」長寿政策・在宅医療
研究部長の荒井由美子さんは、
「頭ごなしに運転をやめてと言っても、本人が納得しない場合が多い。
長年続けていた運転を中止することに、
温かい言葉をかけてねぎらい、車なしでも自立した生活ができる
環境を整えてあげてほしい」と呼びかける。

マニュアル:http://www.nils.go.jp/department/dgp/index-dgp-j.htm

◆運転を中止させるためのアドバイス(マニュアルから抜粋)

■週末の買い物など、家族が一緒に出かける工夫を。
 一人暮らし世帯では、隣人らに移動の援助を依頼。
 移動支援サービスなどの有無は、市区町村の窓口に尋ねる。

■「鍵隠し」、「車隠し」は最後の手段。
 本人の興奮や被害妄想を悪化させ、逆効果になることも。

■運転中止後は、デイサービス・デイケアの利用、
 趣味の活動を取り入れる。

■認知症の場合、自動車の代わりに電動車いすや自転車を
 利用することは、事故の危険が高く、すすめられない。
 なるべく公共交通機関などの利用。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/1/118379/

2010年4月6日火曜日

自殺「月初めに多い」…内閣府など分析

(2010年3月31日 読売新聞)

内閣府と厚生労働省は、2004年以降の自殺者の傾向や
地域別データの分析結果を公表。
月曜日に自殺者が多いことはこれまでも指摘、
月初めも多いことなどが判明。
警察庁と厚労省の統計を基に分析。

04~08年、日別の平均自殺者数は、
「3月1日」が138人で最も多く、最少だった
「12月30日」(55・2人)とは2・5倍の開き。

月初めは、総じて自殺者数が多く、
年末年始や土日祝日は少なかった。
曜日別では、月曜が92・8人で最多、土曜が70・7人で最少。
地域別では、 東京都は20-40代の被雇用者が多く、
秋田県では50代や70代以上の自営業者が多いなどの傾向。

東京自殺防止セン ター(03・5286・9090)などの相談窓口は、
NPO法人・自殺対策支援センターライフリンクのサイト
「ライフリンクDB」に掲載。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/31/118282/

脳波で「靴下脱ぎたい」 運動障害者向けに装置開発

(2010年3月30日 共同通信社)

産業技術総合研究所は、コミュニケーションが困難な
重度運動障害者向けに、頭皮の上から脳波を測定した結果を利用、
意思を伝える装置「ニューロコミュニケーター」を開発。

パソコン画面上に、まず「飲食する」、「移動する」、「体のケア」、
「気持ち」など日常生活にかかわる八つの選択肢を
イラストと文字で表示。
選択肢を点滅させ、脳波の変化が大きかった選択肢を、
本人が希望する行動とみなす。

選択は3段階に分け、「体のケア」の後に「服を脱ぐ」、
「靴下」の順に選ぶと、画面に表示される分身(アバター)が
「靴下を脱ぎたいです」と音声で周囲の人に伝える。

入浴やトイレなど日常生活の行動のほか、
「好き」、「怖い」といった感情表現など計512種類の意思表示。

脳波は、個人差があり体調によっても違い、
健康な人に実験してもらうと、正しい意思表示ができる確率は
現段階では60~90%程度。
実証実験を続け2~3年後の実用化を目指す。
10万円以下にしたい。

従来、脳波測定による意思表示は1文字ずつを選ぶ方法が主流、
全身が動かないなど、重度の運動障害がある患者には
負担が大きく、時間もかかっていた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/30/118188/

喫煙率は「東高西低」 都道府県、10ポイント以上の差も

(2010年3月29日 共同通信社)

喫煙率は、東が高く西は低い-。
国立がんセンターがん対策情報センターは、
都道府県別の成人喫煙率を公表。
最新の2007年の集計では、最も高い北海道(31・5%)と、
最も低い島根(21・0%)は10ポイント以上の差。

同センターの片野田耕太研究員は、
「(受動喫煙防止条例を制定した)神奈川のように、都道府県でも、
独自にたばこ対策に取り組む余地があるのでは」

厚生労働省の「国民生活基礎調査」のうち、
01年から3年に1回調査している喫煙状況で、
「毎日吸う」と「時々吸う」と答えた人数を集計、分析。

全国平均は、01年に30・5%、07年に25・6%、
年に1ポイント程度のペースで下がっていると推測。

07年の喫煙率が高いのは、北海道、青森、宮城の順、
低いのは島根、鹿児島、奈良の順。

男女別では、男性は青森、北海道、福島など北関東以北、
女性は北海道、東京、神奈川など政令市がある地域などで
高い傾向があった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/29/118123/

再生可能エネルギーの全量買取制度で基本的考え方提示

(サイエンスポータル 2010年3月25日)

経済産業省は、「再生可能エネルギーの全量買取に関する
プロジェクトチーム」第4回会合を開き、
全量買取制度設計の基本的考え方を示した。

「地球温暖化対策」、「エネルギーセキュリティーの向上」、
「環境関連産業の育成」という観点を最大限活かし、
低炭素社会の実現に大きく資する制度。

同時に、国民の負担額をなるべく抑えるため、コスト競争力の
高いエネルギーが多く導入、製造拠点の海外流失など
産業の空洞化も防止する制度設計を行う。

再生可能エネルギーの導入拡大策として、
技術革新や産業育成の効果が期待される太陽光発電について、
余剰電力の買取制度が昨年11月1日から始まっている。

経済産業省は、再生可能エネルギーの全量買取制度の在り方を
検討するため、大学教授5人を含む「再生可能エネルギーの
全量買取に関するプロジェクトチーム」を立ち上げ、
昨年11月以来、会合やヒヤリングを重ねてきた。

今回、買い取りの対象として、太陽光発電、風力発電、
水力発電、地熱発電、バイオマス発電が挙げられた。
先行して、余剰電力の買取制度がスタートしている
太陽光発電について、自家消費を前提に導入している
家庭(約50万軒)に、新たな配線工事の負担を負わせるなどの
理由から、現行制度を続ける選択もあり得る。

再生可能エネルギーの導入拡大策として、
「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法
(RPS法)」により、電力会社に新エネルギーから発電される電気を、
一定割合以上利用することを義務付け制度が、2003年スタート。

RPS制度と、検討されている買取制度による二重の規制を
避けるため、RPS制度の見直しの必要も指摘。
再生可能エネルギー導入の課題として、さまざまな規制にも触れ、
見直しが必要とする法律として、自然公園法、温泉法、
廃棄物処理法、河川法、工場立地法など。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1003/1003251.html

2010年4月5日月曜日

変わる校舎(7)里山再生 環境意識育つ

(読売 3月25日)

学校施設を教材に、環境を学ぶ。

放課後。
県立船橋芝山高校の生徒6人が、長靴を履き、校舎を出た。
向かったのは、敷地北端にあり、住宅地と斜面林に挟まれた
「芝山湿地」。
約600平方メートルに、600種を超える生物が生息するビオトープ

6人は、科学研究部の1、2年生。
この日のお目当ては、絶滅の恐れのある野生生物を記載した
県のレッドリストで、最重要保護生物に指定されている
ニホンアカガエルの卵。
部長の陸芳樹さん(17)らは、池の中にゼリー状の卵塊を見つけると、
網を使って採取。
計測器で大きさを測り、デジタルカメラで撮影。
生息状況を把握するため。

湿地はかつて荒れ地で、不法投棄が絶えなかった。
当時の理科教諭らが整備に乗り出したのは、1999年。
ヨシを刈り、小川を引き、木道を設けるなど手を加えるうち、
次第にかつての里山の生態がよみがえった。

「ビオトープで、素晴らしく世界が変わった」。
生物担当の佐野郷美教諭(55)は、感慨を込める。
生物の「再生」を学ぶ授業では、生徒全員が芝山湿地で
教材となるプラナリアを採取する。
問題を抱える生徒を、保健教諭が湿地に連れ出し、
自然の中で語らうことも。
「生徒の落ち着きや素直さは、ビオトープが影響しているのでは」

芝山湿地では、ヘイケボタルが復活。
毎年7月、「ホタル鑑賞の夕べ」は、生徒から
「家族や友達を呼びたい」という声が出るほどの人気。
昨夏、学校のそばにある高齢者施設に、
同部3年の戸谷博明さん(18)が芝山湿地の環境を凝縮した
水槽を持ち込み、2日間にわたる鑑賞会を成功。

近くの小学校では、ビオトープに芝山湿地にいるホタルの幼虫が
放される予定、地域ぐるみでホタルの里を目指す計画。
戸谷さんは入学当時、介護職志望だったが、
「大学でも、ホタルや絶滅危惧種に適した環境について学びたい」と、
生物科学系学科への進学を決めた。

高知県香南市の市立野市小学校の場合、
校舎そのものが環境を学ぶフィールド。
2005~08年度に改修を行い、360枚の太陽光発電パネルや
風力発電機を設置。
校内を巡るエコツアーで発電の仕組みを学んだり、校舎を覆うように
琉球アサガオなどを植えて「緑のカーテン」を作り、
二酸化炭素吸収量を計算したりした。

田中紀子校長(54)は、「子どもたちから、『校長室の電気がつけっぱなし』
とチェックが入ることも。エコが、普段の生活に根づいていくことが大事
休日に学校に来て、自主的に敷地内のゴミを拾って歩く児童も。
同小のように、環境を考慮した校舎は「エコスクール」と呼ばれ、
文部科学省によると、全国の公立幼稚園と小中高校で、
09年8月末現在で951校。
身近にある自然が、子どもたちに環境意識を植え付ける。

◆ビオトープ

ドイツ語の造語、「生物の生息・生育空間」の意味。
日本では、造成事業で整備した湿地や池などを指すことが多い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100325-OYT8T00249.htm

「施設介護重視を」4割 8割が公費上げ要検討 認知症、独居増加が影響 47市区長アンケート

(2010年3月26日 共同通信社)

4月で介護保険制度がスタートして10年を迎え、
47都道府県庁所在の市区長を対象にした共同通信アンケートで、
札幌、山形、長野、奈良、鹿児島など4割に当たる18市長が、
国が力を入れる在宅介護よりも、特別養護老人ホームなど
施設介護を当面重視するべきだ、と答えている。

介護費用を補うため、公費割合の引き上げの検討が必要とした
回答は8割近く。

施設介護は、在宅サービスに比べ、建築費などの整備費用が
膨らむため、自治体は慎重とされてきたが、
施設待機者や独居高齢者増加に伴うニーズに応えるには
やむを得ないとする自治体トップの考え。

アンケートは、2~3月にかけて実施。
46道府県庁所在の市長と、東京都新宿区長から回答。

当面の対策で、「特養など施設系サービスの充実を重視」を選んだ
18市長の多くは、独居高齢者や認知症高齢者が増え続けると、
「在宅介護が困難になる」といった理由。

施設に入れないケースが増え、「家族の介護負担の軽減が必要」
施設不足が顕著な傾向が、大都市などで続いている。

「訪問や通所など在宅系サービス重視」を選んだのは、
ほぼ半数の23市区長で、
「地域で自宅に住み続けることを希望する人が多い」という理由。
6市長は無回答。

制度を維持していく上で検討すべき課題(複数回答)は、
「現在50%の公費負担割合の引き上げなど」が最多の36市区長。
「保険料徴収対象年齢の拡大」が17市長、
「1割から2割など利用者負担の見直し」が16市長、
「軽度者など給付対象者の絞り込み」が10市長。

介護保険制度全体について、ほぼ全員が「評価」、「ある程度評価」。
「在宅介護を望む声に応えたい」、
「家族負担軽減には施設介護が必要」-。
在宅重視を掲げる介護保険制度の理念と現実の板挟みに、
悩む姿が浮かび上がる。

在宅重視では、「多くの人が住み慣れた地域や家庭での生活を希望」
(熊谷俊人・千葉市長)など数多く、
「保険料への影響を考えると、施設系サービスを大きく増やすことは困難」
(目片信・大津市長)。

施設重視で目立つのは、「単身高齢者や高齢者のみ世帯、
認知症高齢者世帯の増加で、在宅介護が困難な世帯が増加」
(市川昭男・山形市長)、
「施設入所の待機者が多く、家族の介護負担の軽減も必要」
(鷲沢正一・長野市長)という意見。

高齢者の負担軽減策として、「これ以上の負担を求めるのは限界。
国庫負担の引き上げなどの制度改正が必要」(穂積志・秋田市長)、
「公費負担の増額など低所得者への配慮を」(谷藤裕明・盛岡市長)、
「新たな財源確保を早急に検討すべき」(翁長雄志・那覇市長)。

介護職の給与引き上げのため、介護報酬を7%引き上げる
民主党の方針について、賛成は2割、7割が「どちらとも言えない」。
「介護職員の処遇は向上させるべきだが、報酬引き上げは
利用者負担も増やし、職員給与と別に検討してほしい」
(松浦正敬・松江市長)など慎重意見が多かった。

厚生労働省で、介護保険制度を担当する山井和則政務官は、
2012年度の次期制度改正に向けた「介護ビジョン」を、
参院選前の6月に策定する方針。

ビジョンでは、老人ホームなど施設サービスよりも、
自宅への訪問介護など在宅サービスの拡充を重視する考え。
「夜間も、ヘルパーらがきめ細かく訪問する
『24時間365日巡回型サービス』を構築する」

山井政務官は、介護保険の現状について、
「(家族の負担を減らす)『介護の社会化』という原点から
外れてきてしまっている。
サービスを選択する余地はないし、現場の職員も
さまざまな制約に縛られている」

「施設の増設を望む声が高まっているが、
在宅サービスを手厚くすれば、その声は減っていく。
費用も、在宅のほうが安く済む」

高齢化で増え続ける給付費の財源に関して、
「保険料やサービス利用時の負担は、どうしても増える」
「予算を使い切れていないサービスは、保険給付の対象から
外したり縮小する」、歳出抑制にも取り組む。

前政権で検討された要介護度が軽い人への
家事援助サービス削減について、
「予防的な意味があり必要」と、削らない方針を表明。
保険料の徴収年齢を、現在の「40歳以上」から
引き下げることについても、否定的な考えを示した。

※介護保険制度

介護の社会化を目的に、2000年度施行。
40歳以上が保険料を支払い、要介護認定を受けた
65歳以上が原則、介護サービスを利用。
利用者負担は、介護費用の原則10%、
介護費用から利用者負担を除いたものが給付費。
この50%を国、都道府県、市町村が負担、
残りの50%を保険料で賄う。

要介護認定者は、09年4月末で約468万人、
00年4月末の約218万人から2倍以上に増加。
自己負担を含めた総費用は、7兆円超。
3年ごとに制度改正が行われ、次は12年度に予定。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/26/118010/

メタボの子はメタボ、メタボの孫もメタボ?!

(日経ヘルス 3月24日)

食事による過剰なエネルギー摂取は、
肥満を引き起こす主な要因の一つ。

そんな食生活を続けていると、遺伝子の発現を介して
子や孫の健康にまで影響を与えることが、
マウスを使った研究で明らか。

正常なマウスに、3世代を通じて食事の条件
(「普通食」、普通食より20%ほどカロリーの高い「高カロリー食」)
を変えることで、3グループを編成。
3世代目のマウスの健康状態を、
生活習慣病に深く関わる数値を分析して比較。

(1)1世代目、2世代目、3世代目のすべてが高カロリー食、
(2)1世代目は正常食、2世代目と3世代目が高カロリー食、
(3)1世代目と2世代目は正常食、3世代目のみ高カロリー食の
3グループ。
1世代目、2世代目は、オス・メスとも同じ食事条件。

その結果、(1)の3世代とも、高カロリー食の3世代目のマウスは、
他の2グループの3世代目のマウスに比べ、
メタボリック・シンドロームを発症しやすく、重症化しやすい。

東北大学大学院農学研究科の都築毅准教授は、
「(1)と(2)を比べ、内臓脂肪の重量が同じように増えていても
その内容が違っており、3世代続けて高カロリー食を続けた(1)では、
内臓脂肪細胞の数が少なく、その分一つ一つが大きく肥大化。

脂肪細胞は、細胞分裂が活発に行われ、どんどん数が増えている
間は問題を起こさないが、(1)のマウスのように細胞分裂が止まって
肥大化すると、脂肪細胞からは遊離脂肪酸や炎症を引き起こす
サイトカインなどが放出、メタボリック・シンドロームを悪化」

「普段の食事の履歴が体に残り、子や孫の世代にも
影響を与えることが明らかにできた。
生涯を通じて、食育が重要であることの根拠に

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20100324/106412/

ジェフ千葉の専用球技場

(日経 2010-03-16)

サッカー・Jリーグが開幕。
今やJ1、J2合わせ、37のプロクラブが「地域密着」を掲げて
サッカーの街づくりに取り組む。

「リーグ有数の環境」とされるのが、千葉市のスポーツ公園に
拠点を移したジェフユナイテッド市原・千葉。

・2009年、フクダ電子アリーナの総入場者は約25万人。
 1試合平均約1万4700人、08年より微増。
・ホームタウンの一角を占めるサッカー・フットサルコート
 「フクダ電子スクエア」の月間利用者は約7000人。
・オフィシャルショップで扱うグッズは約600種類。
 人気ベスト3は、レプリカゲームシャツ、背番号タオルマフラー、
 アクリルユニホームストラップ。

昨秋に完成した新クラブハウス「ユナイテッドパーク」の自慢は、
2面のグラウンド。
冬場でも鮮やかな緑の天然芝を備え、
練習日には500席のスタンドが埋まる。

サポーターゾーンとして、ピッチを見下ろす2階バルコニーを開放。
子どもが見られるよう、柵の一部はガラス張り。
チームのマスコット、秋田犬の兄弟ジェフィとユニティの
すかし絵を探すのも一興。

選手食堂のガラスには、ホームスタジアム「フクダ電子アリーナ」を
デザインした全長5mのすかし絵がある。
サポーターならずとも見てみたいが、関係者以外は入れない。

練習見学ついでに、1階のオフィシャルショップをのぞいた。
建物の外観と同じ紺色の床と、チームカラーの黄色が踊る
多彩なグッズのコントラストが映える。
2畳程度だった姉崎(市原市)のクラブハウス時代を知る
サポーターにすれば、納得の品ぞろえ。
売り上げは、7割近く増えた。

フクダ電子アリーナ(約1万8500席)は、5年前に誕生。
臨場感あふれる試合を堪能でき、グッドデザイン賞に輝く
専用球技場は、グルメスタジアムでも。

市原市のインド・スリランカ料理店「サマナラ」のカレーは、
「大きなナンが美味」との評判。
ドライタマネギを隠し味に、鉄板でいためた牛肉やソーセージと
たっぷりのキャベツを一緒に包んだ米国仕込みの
「テキサス」のタコス、「喜作」のソーセージ盛り……。
1000円でお釣りがくる満腹メニュー。

場外北側の奥まった場所で、「福有神社」の札がかかった
チームのロゴ入りの黄色い鳥居を発見。
命名権を持つフクダ電子の特注品で、高さ2mの塩化ビニール製。
「み霊も入れておらず、あくまでシャレ」というが、
勝負事で吉相の東南を向き、供え物の酒や米、水、塩は
すべて千葉県産というこだわり。
J2に降格し、J1復帰を目指す今年は、願掛けが増えるかも。

◆取材を終えて

首都圏のあるチームのサポーターとして、
ゴール裏に陣取る筆者にとって、フクダ電子アリーナ(フクアリ)は
大好きなスタジアムの1つ。
開場の2時間前には到着し、年に一度のグルメも堪能。

スタジアムと練習場の近さは、特筆もの。
2月下旬、「ちばぎんカップ」の午前、1千人を超すサポーターが
練習を見守った後、通りをはさんだ会場のフクアリに移動する
光景はうらやましい限り。

プロ野球をしのごうかというJ人気は、遠い昔の話。
「チームが強ければ、客が入る」の単純な方程式も通用しない。
ユナイテッドパークの完成時、クラブの三木博計社長は、
「地域の公民館を目指す」、ソバ打ち教室や英会話教室、
書道に生け花教室、フクアリの試合当日の朝市といった
アイデアを披露。
現実味を帯びた話に発展していない。
J2降格で、それどころでないのかもしれないが、

素晴らしい環境を地域密着に活用しなければ、宝の持ち腐れ。
クラブの素顔が見えれば、もっと愛着をもたれるはず。
わが愛するチームの経営を棚に上げて忍びないのだが。

http://netplus.nikkei.co.jp/nikkei/news/expedition/expedition/exp100316.html

2010年4月4日日曜日

変わる校舎(6)小空間 学ぶ意欲刺激

(読売 3月24日)

小空間を使って、少人数教育を実践する。

「冬はつとめて。雪の降りたるは、いふべきにもあらず」
雪化粧した平屋の校舎に、「枕草子」を音読する
子どもたちの声が響く。
群馬県太田市にある小中高一貫の私立ぐんま国際アカデミー
(高校は来年開設)、1年生の1Aの児童17人が国語の授業。
1Aの人数は36人。
残りの半数は、玄関を隔てた隣の教室で、英語劇の練習中。

英語イマージョン(言葉漬け)教育を掲げ、国語、社会など
一部を除いて、英語で授業を行う同校は、少人数授業が多い。
小1では、国語、英語、音楽でクラスを二分、
1Aの場合、週30時間のうち18時間が、こうした少人数での授業。
時間割も1Aa、1Abと二つに分かれている。

いきなり英語漬けになる新入生の戸惑いは大きい。
クラスの分割について、井上春樹副校長は(65)は、
「教師の目が届きやすいし、子どもも質問しやすい」

2005年4月に開校した同校は、大小様々な教室が組み合わさった
先進的な校舎。
国語の授業が行われていた、「クラスベース(CB)」と呼ばれる小空間。
通常の教室の半分ほどの広さで、廊下との間に壁はない。
各クラスとも、授業で使うCBが決まっている。
校舎内には4、5人が入るのに適した、さらに小さな空間も。

計画段階で助言した千葉大学の柳沢要准教授(建築計画)は
こうした形態は、欧米では少なくない、
「クラスルームを解体すれば、教育が柔軟になる。
様々な教え方に接し、子どもも多様性を学んでいく」

統合により、2006年に開校した山口県下関市立豊北中学校は、
教室のそばに、少人数用授業の「ゼミ室」を持つ。
英語では、英語教室の向かいにあるゼミ室を活用、
2、3年は7割程度で、「スタンダード」、「チャレンジ」に分かれて授業。

2月末にあった「チャレンジ」の授業。
英単語のおさらいなど、基礎が中心。
ゼミ室で、山根秀秋教諭(27)が11人の生徒に大きな単語カードを見せ、
「enterってどういう意味やったっけ」と質問、
女子生徒2人から勢いよく手が挙がった。
生徒たちは、「この人数だと周りが気にならないし、授業が楽しい」と
雰囲気が明るい。

数学教室の前は、廊下が幅広に作られ、ホワイトボードやイスが並ぶ。
問題演習で、「解けない人は廊下に出て」と教師が呼びかけ、
解き方を丁寧に教えるなど、廊下も状況に応じて教室に。

1993年度、教員の追加配置で始まった少人数授業は現在、
多くの学校で行われている。
空き部屋を使うことが多いが、「狭かったり、教室から遠く移動に
手間がかかったりする」(関東地方の教育委員会)ケースも。

少人数教育を織り込み、高い機能を持つ校舎が、
子どもの個性を伸ばし、学ぶ意欲を向上させている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100324-OYT8T00302.htm

国立大評価を初の順位付け トップは奈良先端科技大 文科省、交付金に反映

(2010年3月25日 共同通信社)

2004年度に法人化された国立大学の研究や教育内容などを
評価して、各大学の10年度以降の運営費交付金に差をつける、
初めての評価反映の内訳が分かった。

最も評価が高いのは、奈良先端科学技術大学院大、
低かったのは弘前大。

国立大は、授業料などの自己収入や国からの運営費交付金で
経常経費を賄っている。

文科省は、全86大学への交付金計1兆2千億円のうち、
事務局の光熱費などに充当する「一般管理費」の1%分、
計16億円を評価反映分の原資。

評価反映は、業績などによって予算に差をつけることで
活性化につなげるのが狙い。
04年度からの6年間が本来の対象期間、
今回は04~07年度分を中間的に実施。

(1)教育水準、(2)研究水準、(3)教育研究達成度、
(4)業務運営達成度-の四つの項目について、
(1)、(2)は大学評価・学位授与機構、
(3)、(4)は国立大学法人評価委員会がそれぞれ判定。
評価結果を、文科省が「ウエイト」として数値化
(最高値91、最低値5・25)し、大学ごとに反映額を計算。

トップの奈良先端科学技術大学院大のウエイトは70、
滋賀医科大(63・75)、浜松医科大(60・64)、
東京工業大(60・18)、お茶の水女子大(59・93)。

下位は、弘前大(35・39)、和歌山大(35・50)、琉球大(36・40)。

反映額の最高は、予算規模が大きい東京大の2500万円。
評価が比較的高いのは、旧帝大など総合大学が多い一方、
教育大や地方の大学は低い評価が目立った。

※国立大運営費交付金

2004年、国立大が法人化されたことに伴い、
文部科学省から大学運営のために配分される補助金は、
使途自由な運営費交付金に統一。
10年度予算は、総額約1兆2千億円。
大学の主要財源だが、交付金総額は09年度まで
毎年1%の削減方針が維持。
配分額決定に、研究内容などへの評価反映が導入、
規模や地域性などにより大学間の格差拡大を懸念する声も。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/25/117975/

ラクトフェリンが内臓脂肪細胞の分解促進に関与

(日経ヘルス 3月25日)

生チーズといった乳製品や母乳に含まれる
多機能たんばく質のラクトフェリンに、内臓脂肪細胞の
脂肪分解促進効果があることがわかった。

ライオンの研究開発本部と京都府立医科大学などの
研究グループが発表。
同社は、ヒト試験などでラクトフェリンが内臓脂肪内臓を
減少させるという結果を発表。

実験では、生体内の反応をDNAレベルで解析する
ニュートリゲノミクス技術などを活用。
ラットの腸管膜から採取した成熟脂肪細胞を使って分析、
ラクトフェリンの添加量が多くなるほど、脂肪が分解後、
生成される成分のグリセロールも増加することを確認。

脂肪分解関連遺伝子を解析、脂肪の分解を促進する酵素、
リパーゼの働きを阻害するたんぱく、ペリリピンの遺伝子発現を、
ラクトフェリンが低下させている可能性。

「ポリフェノールなどにも、脂肪の分解促進の作用はあるが、
ラクトフェリンはそれを上回る有意性が確かめられた」、
ライオン研究開発本部の村越倫明主任研究員。

ラクトフェリンを使った商品には、「ラクトフェリン」、
植物由来のラブレ菌を配合した「ラクトフェリン+ラブレ」、
ラクトフェリンに関する発見に、
「サプリメントのほか、今後も多方面への展開を見込んでいる」

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20100325/106439/

完成を待つ羽田の未来を展望

(日経 2010-03-02)

羽田空港で、4つ目の新滑走路の建設が進んでいる。
埋め立てなど、土台の設置作業はほぼ完了、
長さ2500mの「D滑走路」が、海上にその姿を現しつつある。
できていく巨大施設の迫力を感じたい、と多くの人が見に訪れている。

・2007年7月の開設以来、新滑走路の展望台を訪れた人数は
 2月中旬まででのべ4万8000人。多い日は、1日に約300人。
・新滑走路などの拡張により、羽田の年間乗降客数は
 09年の約6166万人、22年度に8550万人に増える見通し。
・新滑走路が完成すると、年間の発着可能回数は
 現在の約1.3倍にあたる約40万7000回。

羽田空港の第1、第2旅客ターミナルから、車で約10分。
D滑走路は、空港用地の南端沖に建設。
見学するなら、一般の人も無料で入れる展望施設を利用。
3階建ての施設の屋上に上がるとすぐ、600mほど沖の海上に
無数に立ち並ぶ巨大な鉄柱が目に入った。

D滑走路の最大の特徴は、土台の一部が海面より14~15m
高いところにある「高床式」となっていること。
鉄柱は、高床の地面を支える。
職員が、「柱の数は1165本に及びます」、見学者から驚きの声。

この高床式の土台部分を、関係者は「桟橋」と呼ぶ。
新滑走路の場合、すべてを埋め立てると、
多摩川の水流を妨げて水害を招く可能性がある。
全長3120mの土台の約3分の1に、桟橋式を採用。
柱の上にパネル状の鉄骨構造物を載せ、さらに上に
コンクリートを敷くという構造は見もの。

D滑走路と従来の用地を結ぶ橋部分も確認。
滑走路は、展望台から奥に向かって伸びるため、
東側の先端が見えず、実は全体の長さがわかりにくい。

長さ約620mの橋は、眼前に横たわる形になるため、
巨大さを実感しやすく、迫力がある。
工事に関する展示をしている3階をのぞいた。
地盤沈下を抑えるため、軽量化したコンクリート材を手に取ると、
軽さに驚く。

床一面に描かれた1300分の1の大きさの空港全体図は、
航空写真を基に、新しい旅客ターミナルや駐機場など、
計画している拡張工事の全容が一目で分かる。

新滑走路の土台の東端が見えると聞いて、第2旅客ターミナルへ。
5階の展望デッキに上がって南方を見ると、
手前のビルの壁際から突き出るようにして、細長い地面が
海上に出来上がっていた。
機体が離陸するあたりになる。

滑走路は、10月に始動する予定。
新滑走路から、飛行機が飛び立つ様子が思い浮かんだ。

◆取材を終えて

展望台を訪れたのは、寒風吹きすさぶ2月中旬。
屋上の展望台で、寒さに震えながら説明を受けていると、
新滑走路の少し西の空からこちらに近づくように、
飛行機が高度を下げてきた。
飛んでいる旅客機を、これほど間近に見られる場所は、
そう多くないはず。

羽田空港では、北風が吹く「北風運用」の際、
南北に伸びる既存のA滑走路の南側から飛行機が着陸。
展望台から、その時の機体がよく見える。
「(展望台で)飛行機の写真を撮っている人もいる」
(東京空港整備事務所の小笠原政之先任建設管理官)、
撮影スポットでもある。

私自身は、特別に飛行機が好きというわけではないが、
巨大な機体が目の前に迫り胸が躍った。
大勢の人や貨物が、遠いところからやってきたと考えると楽しい。

日本航空の経営破綻、景気低迷の影響による旅客数の減少など、
航空業界には暗い話題が飛び交う。
「空の改革」は、日本経済が活力を取り戻すための
重要な要素の1つ。
新しい滑走路の建設は、改革のほんの一部、
着実に進む準備を見て、なんだか勇気づけられる気持ちがした。

http://netplus.nikkei.co.jp/nikkei/news/expedition/expedition/exp100302.html