2010年4月8日木曜日

運動せずに体質改善 新たな糖尿病薬に期待 ホルモンが脂質を燃やす

(2010年4月1日 共同通信社)

脂肪細胞が分泌するホルモン「アディポネクチン」が、
筋肉細胞で働いて糖や脂質の代謝を高めて体内での燃焼を進め、
運動したのと同様の作用を果たすことを、
東京大の門脇孝教授らがマウスの実験で解明、
1日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表。

糖尿病やメタボリック症候群の人は、アディポネクチンが
出にくくなることが知られている。
人でも、マウスと同じ作用があるとみられ、この仕組みを活性化する
薬が開発できれば、薬を飲んだだけで運動をしたのと同様の
体質改善効果が期待。

チームは、数年後の臨床応用を目指し、薬剤開発を進めている。
門脇教授は、「高齢やけが、足腰の病気などで思うように
運動できない人で、糖尿病などの生活習慣病の治療に役立つだろう」

チームは、筋肉細胞で起きている代謝の仕組みを分子レベルで解析。
細胞表面にある受容体に、アディポネクチンがくっつくと、
異なる二つの経路で細胞内に信号が伝わり、
糖などの代謝にかかわる細胞内器官のミトコンドリアの働きが
強まるのを発見。

細胞に、アディポネクチン受容体を持たない遺伝子操作マウスでは、
燃え残った脂質が筋肉にたまり、運動時の持久力も落ちた。
アディポネクチンの働きを補う薬剤を投与すると、
代謝が少し改善することも確かめた。

アディポネクチンそのものは、体に吸収されにくく、
人の飲み薬にするには改良が必要。

チームは、受容体に直接働いて、高い効果が期待できる
薬剤の開発を目指す。

※アディポネクチン

脂肪細胞から分泌されるタンパク質の一種、
糖代謝に関係するインスリンの働きを高めたり、
炎症を抑える作用があるとされる"善玉"ホルモン。
脂肪細胞が肥大すると、分泌されにくく、
ある種の糖尿病やメタボリック症候群の背景。
日本人の40%は、アディポネクチンの分泌量が低下しやすい
体質だとの報告。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/1/118338/

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