2010年7月17日土曜日

愛されて1周年 大船渡・三陸町の恋し浜駅

(岩手日報 7月8日)

大船渡市の三陸鉄道恋し浜駅は20日で、旧小石浜駅から
名称変更して1年を迎える。
恋愛のパワースポットとして人気を集め、駅舎内に奉納された
「ホタテ絵馬」は約2千枚。
19日、1周年記念イベントを開催する予定、
地元の思いを乗せたブランドは順調に加速を続ける。

恋し浜駅は、昨年7月20日に改称。
駅のキャッチフレーズも、「藍の磯辺」から「愛の磯辺」に変更。
雑誌で恋愛のパワースポットとして紹介、
三鉄利用のツアーでも人気の場所。
駅舎内には、願掛けしたホタテガイが並ぶ。

「恋し浜」を商標登録したのは、
綾里漁協小石浜青年部(佐々木淳代表)。
鮮度、味、安全性が売りのホタテガイで名が知れ、駅名改称のほか、
先日は恋し浜を冠したバラも誕生。

同駅は、1985年に三鉄初の請願駅として設置。
小石浜部落会の佐々木靖男会長は、「ホタテや駅のおかげで
知名度が一気に高まり、駅ではカップルも見掛けるようになった。
さらなる地域活性化につなげたい」

19日の改称1周年記念イベントでは、バラ「恋し浜」とツバキを
子どもたちが恋し浜駅周辺に植樹。
盛、釜石、宮古の各駅では、小石浜青年部が午前10時~午後2時の
9本の列車発車に合わせ、恋し浜ホタテを計900枚、無料提供。

盛駅の金子盛継駅長は、「地域の協力に支えられ、PRができている。
列車に乗って、ホタテ絵馬に願いを込めてほしい」と利用を呼び掛ける。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100708_10

インタビュー・環境戦略を語る:カルビー・伊藤秀二社長

(毎日 7月5日)

「ポテトチップス」や「じゃがりこ」などで知られる
スナック菓子国内最大手、カルビー。
主原料のジャガイモから出る廃棄物の抑制をはじめ、
資源の有効利用に積極的に取り組んでいる。
同社の環境戦略を、伊藤秀二社長に聞いた。

--スナック菓子メーカーとして環境負荷の低減に
どう取り組んでいるか?

◆食品業界は、消費者に密接し、環境対応は重要なテーマ。
カルビーは、「未利用資源の有効利用」が創業の精神。
かっぱえびせんは、漁網にひっかかった小エビが捨てられていたのを
活用できないかと、あられに練りこんだのが始まり。
殻もむいて捨てず、殻ごと練り込むことで、カルシウムなど
栄養価も豊富に摂取できるように仕上げた。
資源をまるごと活用することを目指し、創業以来、努力。

--スナック菓子の主原料のジャガイモは、
どのように有効利用を図っているか?

◆国内で年間約270万トン(08年)とれるジャガイモのうち、
我が社ではポテトチップス用に30万トン弱を使っている。
製造過程で皮をむくが、ここにも栄養分は残っている。
再利用できないか知恵を絞り、皮を乾燥させ粉末にし、
キノコの菌床に加えることで成長を促す
「ドライミールポテト」を開発、商品化。
ジャガイモの残りかすを、家畜用飼料などとしても活用。

--「15年までにCO2排出量を06年度比で30%削減する」
目標を掲げている。

◆できる範囲で積み上げた数字というより、本気で取り組もうという
野心的な目標を設定。
高い目標を掲げないと、大胆な改革はできない。

当社の商品であるスナック類は、低単価で数量や種類が多く、
包装材もたくさん使う。
包装材には、食の安全を守る機能もあり、小さく軽くしていくにも
限界があるが、昨秋発売の「じゃがりこ」は、内容量はそのまま
カップの高さを1cm低くし、紙・アルミの使用量を従来品より8%削減。
シリアル商品を、箱入りから袋入りに簡素化するなど
商品企画の段階から環境に配慮。
外装を小さくできれば、輸送効率も上がる。

--今後の課題は?

◆廃棄物の再利用にとどまらず、廃棄物自体を出さない
品種改良も進めていく。
ジャガイモでは、収穫や輸送の際、どこかにぶつけると紫色になり、
時間がたつと原料として使えなくなってしまう。
クッションを付けるなど工夫もしているが、打撃に強く、味も良い
品種に改良できれば、無駄をなくせる。
我が社の研究所では、そういう地道な品種改良に力を入れている。
環境問題への取り組みは永遠に続く。
社会にも自然にも消費者にも、やさしい企業を目指し続ける。
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◇いとう・しゅうじ

法政大卒。79年カルビー入社。
関東事業部長、常務執行役員などを経て、09年6月から現職。
福島県出身。53歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/07/05/20100705ddm008020017000c.html

2010年7月16日金曜日

ゲノムコホート研究が来年度科学・技術重要施策に

(サイエンスポータル 2010年7月9日)

総合科学技術会議は、来年度の科学・技術重要施策を定めた
アクション・プランを公表。

新成長戦略の柱に決まっているグリーン・イノベーション、
ライフ・イノベーションを推進するための8つの重点方策が掲げられ、
「ゲノムコホート研究と医療情報の統合による予防法の開発」
盛り込まれた。

2020年を目標に、ゲノムコホート研究で得られる疫学情報と
電子化された医療情報の統合により、治癒困難な疾患に関する
原因因子の解明を目指す。
大人数を対象に、長期にわたる追跡調査を必要とする
大規模コホート研究は日本でこれまで例がない。

推進方針によると、ゲノムコホート研究は10万人の対象者を追跡調査し、
疾患・死因などの情報を集約。
併せて生体試料を収集、保管、管理するシステムをつくる。
これら生体試料の解析を行い、ゲノム情報を含む生体情報を収集、
データベース化する。
電子医療情報とゲノムコホート研究の成果である生体情報を統合し、
疾患原因因子の疫学的解明を行う。
東南アジアを中心とする国際連携によって、
コホート研究の母集団拡大も目指す、としている。

大規模コホート研究は、海外では珍しくなく、特に英国が力を入れている。
母親の胎内にいたときの状態が、成人になってから
いろいろな影響として現れることを明確にしたコホート研究が特に有名で、
これは1958年にスタートした大規模追跡調査。

DNAを調べ、遺伝的な要因も見ようというコホート研究は
最近、海外でも始まっている。
日本では、科学技術振興機構社会技術研究開発センターの
研究プロジェクト「脳科学と教育」(2001~09年度、研究総括・
小泉英明日立製作所役員待遇フェロー)の中で、幼児を対象にした
複数のコホート研究が実施。

それぞれ貴重な成果が得られたが、さらに確かな成果が期待される
大規模コホート研究への移行は見送られた経緯。
アクション・プランは、2020 年を見据えた政府全体の
科学・技術政策の行動計画。

8月末に各省が出した概算要求について、総合科学技術会議が
評価するという従来の予算編成のやり方を改め、
概算要求前に全体の戦略を示すことで、総合科学技術会議が
「司令塔」機能を発揮できるようにすることを狙っている。

「ゲノムコホート研究と医療情報の統合による予防法の開発」以外の
アクション・プランに盛り込まれた7つの重点方策は以下の通り。

◆グリーン・イノベーション関連

「太陽光発電による再生可能エネルギーへの転換の促進」
「バイオマスによる再生可能エネルギーへの転換の促進」
「次世代自動車の普及による交通運輸分野の低炭素化」
「情報通信技術の活用による低炭素化」
「豊かな緑環境・自然循環の形成」

◆ライフ・イノベーション関連

「早期診断・治療を可能とする技術、医薬品、機器の開発」
「高齢者・障がい者の生活支援技術の開発」


http://www.scienceportal.jp/news/daily/1007/1007091.html

中国への販売促進策探る 県戦略チームが初会合

(岩手日報 7月9日)

県は、中国戦略プロジェクトチーム第1回会議を開いた。
南部鉄器や農林水産物を中心とした県産品の中国での
販売促進や、本県への観光客や企業の誘致策などを検討。

関係課や日本貿易振興機構(ジェトロ)などから15人が出席。
座長で、県商工労働観光部の高橋信副部長は、
「上海万博への出展で、強力なネットワークを構築できた。
変化の激しい中国市場に対し、機敏に対応していきたい」

中国・上海万博で、6月末まで南部鉄瓶を出品した県、
上海市の茶販売業者・上海大可堂、プーアル市の
共同展示ブースでの売り上げ(5月末時点)を報告。

5月下旬、上海大可堂とプーアル市の訪問団が本県入りした際の
買い物も含め、約7千万円の販売・成約があった。

同プロジェクトチームは9月ごろをめどに、
2011年度の取り組み内容や中長期計画をまとめた
「中国プロジェクト実施方針」を策定。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100709_7

知りたい!:医療観光 「ニンゲンドックを世界語に」海外富裕層呼び込め

(毎日 7月5日)

高水準の医療を売りに、海外の富裕層を呼び込む
「医療観光」の動きが活発に。
経済的な波及効果も大きく、関係者の期待感が高まる一方、
通訳の質や患者とのトラブルを懸念する声も。

「代表的なコースは、1泊2日で健診を受けた後、
京都や箱根、横浜、富士山など中国人観光客の間で
『ゴールデンコース』と呼ばれる東京-大阪間の観光名所をたどる」
日本旅行の広報担当者。

大阪市の医療法人と提携し、がんの早期発見に有効とされる
PET(ポジトロン断層法)検診を組み入れたコースを提供。
予算は、4~5日で約100万円、今年6月までに約110人が参加。

虎の門病院は、JTBと提携し、中国人向けの健康診断ツアーの
受け入れを始めた。
料金は、日本人の2~3倍に設定。
通訳料は、ツアー客が別途負担。
当面の目標は月10人程度、長期的な収益源と見込む。

医療観光の市場規模は拡大を続け、タイやシンガポールが
欧米や中東の富裕層取り込みで先行する。
政府の新成長戦略は、外国人患者の受け入れ拡大を柱の一つに
位置付け、「医療滞在ビザ」の新設も盛り込まれた。

日本政策投資銀行は、20年時点の医療観光の国内潜在需要を
年間43万人、市場規模を約5500億円。

こうした数字は、地方にも魅力的だ。
福島県は今春、がん検診と県内名所観光を合わせたツアーを企画。
県の負担で、上海の経営者らを受け入れた。
医師不足が深刻な同県だが、県観光交流課は
「健診だけなら影響はない」

日本人間ドック学会の奈良昌治理事長は、人間ドックが戦後、
日本で始まった経緯を強調、「世界をリードする日本の予防医学を
世界に広めるチャンス。『ニンゲンドック』を世界語にしたい」と意気込む。

虎の門病院の荒瀬康司医師は、「説明がきちんと伝わるか」と
言葉の壁を不安視する。
年間延べ約2万人の外国人患者を受け入れている聖路加国際病院は、
「『観光中心、医療はおまけ』ではなく、医療に重きを置いてほしい」
(経営企画室・国際部)と、医療観光には距離を置く。

日本人を基準とした検査数値の妥当性や、健診後のフォローの
難しさの問題も指摘。

医療観光に詳しい真野俊樹・多摩大教授(医療経済学)は、
「余裕のある病院が主導してやるべきだ。
国が過剰に推進すると、ゆがみが生じる」と指摘。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/07/05/20100705dde001040067000c.html

2010年7月15日木曜日

遺伝子組み換え植物の研究、利用推進提言

(サイエンスポータル 2010年7月8日)

一部の花卉(かき)を除いて、国内では商業栽培が
全く行われていない遺伝子組み換え植物について、
研究、利用を積極的に進める必要があるという提言を、
日本学術会議がまとめ公表。

遺伝子組み換え技術の安全性の検証と野外試験地の整備、
植物科学に精通し、応用科学への橋渡し研究にも理解のある
若手研究者の育成などを求めている。

世界では現在、25カ国が遺伝子組み換え作物を商業栽培。
世界の遺伝子組み換え作物栽培面積の50%を占める米国は、
日本の国土の3.5倍にも及ぶ農地で、
遺伝子組み換え作物が作られている。

中国、インド、ブラジル、アルゼンチンなど、中進国も
多様な遺伝子組み換え植物の開発を推進し、
中国では既に遺伝子組み換えイネと遺伝子組み換えトウモロコシに
ついては、国内での栽培が承認。

日本で商業栽培される遺伝子組み換え植物は、
2008年に生産、販売の許可を受け、09年から販売が始まっている
「青いバラ」の例があるだけ。
遺伝子組み換え農作物の栽培ができない大きな理由は、
安全性に対する消費者の不安が根強いため。

学校教育の現場で、バイオテクノロジーは「生物II」で、
高校2~3年次に学習。
選択科目のため、普通科の高校生の12~17%しか学ばない。
「家庭科」や「社会科」では、遺伝子組み換え作物や生命倫理について、
それぞれ必修科目として学ぶ。

遺伝子組み換え技術に対する家庭科や社会科の教員の意識は、
否定的な傾向が強いという内閣府の調査報告―など、
教育による影響も提言は指摘。

遺伝子組み換え作物について、国内での商業栽培が
行われていない一方、国内で食品として商業利用可能と認定された
作物には、海外で開発されたダイズ、ワタ、トウモロコシ、ナタネ、
ジャガイモ、テンサイ、アルファルファの7作物116 品種。

国内のコーンスターチ業界は、世界的に非遺伝子組み換えトウモロコシ
の調達が困難になり、2008年遺伝子組み換えトウモロコシの使用に
踏み切り、今では国内で流通する多くの食品に
遺伝子組み換えトウモロコシを原料としたコーンスターチが使用。

国内消費量のほぼすべてを輸入しているナタネ(油)、
95%を輸入しているダイズも、国内流通量の60~70%は
遺伝子組み換え作物であると推定されるという実態も、
提言は明らかにしている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1007/1007081.html

日立、三菱電機、三菱重工が水力発電事業統合

(サイエンスポータル 2010年7月6日)

日立製作所、三菱電機、三菱重工業の3社が、
水力発電システム事業を統合、新会社を設立することで合意。

3社は、エンジニアリング・開発・設計機能を統合することで、
世界トップクラスの高速・大容量・高落差の揚水発電技術などで
競争力強化を図る。

来年10月1日の営業開始を目指し、出資比率は日立が50%、
三菱電機と三菱重工が残り50%。
大型水力発電所の建設計画が国内では減っていることから、
今後、大規模水力発電施設建設が進むと予想される
中国、中南米諸国、インドなどで欧州メーカーなどと競い合う。

高品質・高性能の部品や製品の輸出は盛んだが、
大きなシステム全体では欧米や韓国企業に後れを取っている。
こうした現状を変え、システム技術の海外展開を図る必要があるとの
声が官民挙げて高まりつつある。

特に電機メーカーに対して、「大半の製品を手掛けているため、
人、カネ、技術などのリソースが非効率に分散し、
設備投資、研究開発投資、販売投資が中途半端となり、
競争力をなくし、国内市場だけでシェアを分け合うガラパゴス化している」
など、事業内容を絞り込んだ業界再編を求める声も強まっている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1007/1007062.html

農業発展へ連携研究 久慈市と東京農大

(岩手日報 7月10日)

久慈市は、東京農大(大沢貫寿学長)と連携協力に関する
協定を結び、地域農業の発展や農商工連携の推進などについて
協力して研究する。

同市で栽培が盛んなホウレンソウや菌床シイタケ、
畜産物といった地場産品の生産技術向上などに成果が期待。
同大と協定を結ぶのは、県内で初めて。
調印式は、東京都で行われ、山内隆文市長と大沢学長が出席。

協力項目は、
▽地域農業の多面的な発展、
▽農商工連携の推進、
▽都市と農村交流の推進―など5分野。

久慈の地域資源や環境を研究活動に活用してもらうとともに、
同大が持つノウハウを活性化に生かす。

テーマは今後検討していく。
具体的な取り組みとして、特産の「雨よけホウレンソウ」の
連作障害対策や堆肥、産直施設活性化の研究などが考えられる。

同大は1999年から、同市山形町のバッタリー村で、
山村生活を体験する講座を開催。
2008年から3年間は、中山間地の経済や社会、文化機能に
関して研究する山村再生プロジェクトを展開、
同大から協定締結を呼び掛けた。

市ふるさと振興課の賀美吉之課長は、
「栽培技術の向上や地場産品の差別化などに
力を貸していただければ」と期待。
久慈市が大学と協定を結ぶのは、岩手大に続き2例目。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100710_13

2010年7月14日水曜日

論文から見た日本の研究業績低迷明らかに

(サイエンスポータル 2010年7月7日)

世界の主要学術誌に掲載された日本の学術論文数は、
この10年間横ばい状態、世界に占めるシェアも、
2000年9.45%から09年6.75%に下がっていることが、
国際情報企業「トムソン・ロイター」の報告書。

「グローバル・リサーチ・レポート日本」によると、
日本の停滞ぶりを示す数字は、論文が他の論文に
どれだけ引用されたかを示す平均被引用数にも現れている。

英国、フランス、オーストラリアといった国々が世界平均を
超えているのに対し、日本は依然、世界平均を下回ったまま。
中国も、まだ世界平均より下だが、論文数が
「この4-5年間で驚くべき伸びを示している」、
平均被引用数もまた「急激に上昇し始め、世界平均へと一気に
駆け上がっていくようなペースで、今後も上昇していくことが予想」と
高い評価を得ている。

05~09年、世界に占める論文数のシェアが
日本で一番高かったのは物理学、11.09%。
物理学も、前の5年間(00~04年)のシェアは13.86%とさらに高く、
他の多くの分野同様、この5年間で論文数、シェアともども
数字を落としている。

00~04年、世界の論文数シェアが国内で1位だった
材料科学(14.25%)も、05~09年10.29%までシェアが低下。

レポートは、「日本の研究パフォーマンスが見劣りするのはなぜか」
という問いかけをしているが、著者の一人でもある
研究担当ディレクター、ジョナサン・アダムス氏は、
日本の研究業績を低迷させている要因のひとつは、
国際的な研究協力の比率が低いこと。

日本の研究は、急速に発展している近隣諸国と協力して
技術革新の機会を追求するのではなく、
国内の活動によって支えられているように見受けられる」

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1007/1007071.html

科学技術8分野を重点化へ 太陽光発電やがん治療 来年度予算で行動計画

(2010年7月8日 共同通信社)

政府の総合科学技術会議(議長・菅直人首相)の有識者議員は、
6月に閣議決定した新成長戦略の実現に向け、
「太陽光発電の性能向上と低コスト化」、
「がんの早期診断・治療」など、環境と医療・生命科学にかかわる
8分野の研究に、来年度予算を重点配分すべきだとする
行動計画(アクション・プラン)をまとめた。

今後、各府省が来年度予算の概算要求を決める前に、
同会議が"司令塔"として、府省間の連携を促進。
事業の重複を避けて、予算の効率化を図る。

重点分野に選ばれたのは、環境では
▽太陽光発電、
▽木質バイオマス燃料利用技術の開発、
▽蓄電池・燃料電池の性能向上と低コスト化、
▽次世代送電網「スマートグリッド」など情報通信技術を活用した
社会の省エネ化、
▽地球観測技術を使ったインフラのグリーン化-の計5分野。

医療では、
▽がん研究、
▽10万人規模の遺伝情報データベース化と疫学調査、
▽介護支援技術の開発-の計3分野。

総合科学技術会議はこれまで、夏に科学技術の予算配分方針を決め、
秋に各府省の概算要求に盛り込まれた事業の優先度を決めてきた。

実際は、各府省が夏の概算要求で示した方針の追認となり、
会議が有効に機能していないと指摘、方針を示す時期を前倒しに。
来年度以降も計画を毎年見直し、対象も拡大する方針。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/7/8/122599/

法灯明るく 平泉の団体が菜種脱穀、中尊寺に奉納へ

(岩手日報 7月11日)

平泉町の中尊寺「不滅の法灯」に、菜種油を奉納しようと
活動する、平泉なのはな会(千葉正吾会長)は、
初収穫したセイヨウアブラナの脱穀を行い、
黒く良質な菜種の出来栄えに笑顔を広げた。

会員15人が、今月初めに収穫し同町長島の会員宅で
乾燥させていたアブラナを、ビニールシートに広げて脱穀。
棒で菜種をたたき落とし、昔ながらの唐箕(とうみ)でふるい、
黒く均整の取れた菜種を袋に詰めた。

長島小4年の岩渕啓人君と畠山駿君は、
「菜の花が育つと、こうやって種が取れるんだ」と声を弾ませた。

菜種は2、3週間乾燥させ、業者が油を搾る。
不滅の法灯を約4カ月ともす、約70キロの収量を見込む。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100711_6

2010年7月13日火曜日

スカンポ原料のバイオ燃料でCO2排出削減

(サイエンスポータル 2010年7月5日)

スカンポの名でも知られる多年草植物イタドリなどを
燃料に加工、ビニールハウスの暖房に利用する実証実験を、
近畿大学の研究チームが北海道下川町で行い、
CO2削減に効果があることを確かめた。

井田民男・近畿大学理工学部准教授らは、
飲料工場から大量に排出、廃棄される茶かすをはじめ、
ほぼすべての植物由来バイオマスから、石炭コークスの
代わりとなる固形燃料「バイオコークス」をつくる技術を開発。

北海道下川町に自生するイタドリなどの植物を
バイオコークスに加工、地元農家の協力を得て、
昨年末から今年春にかけて4カ月間、トマト栽培の暖房用燃料に
使用する実証実験を行った。

消費したバイオコークスは約10トン、
灯油、重油を使用した場合に比べると、CO2排出を約6トン削減。
近畿大学は、2008年、北海道恵庭市に
「近畿大学バイオコークス量産実証実験センター」を開設、
実証実験に使うバイオコークスの製造を開始した。

同年、豊田自動織機の東知多工場で、自動車エンジン部品を
製造するキュポラ炉で実証実験を行い、バイオコークスが
石炭コークスの11.4%を代替できることを確認。
ことし4月、ナニワ炉機研究所と共同で、1日あたり約1トンの
製造能力を持つ商用タイプ製造装置を開発。

今回の実証実験では、イタドリという地元に自生する
草本バイオマスだけでなく、木くずやジュースのしぼりかす、
もみガラなどから製造したバイオコークスも用い、
いずれもハウス栽培の暖房用燃料として使用可能であることを実証。

井田准教授は、「バイオコークスによる低炭素農業・CO2循環型農業が
今後、拡大していく可能性を示した」

北海道下川町は、バイオマスタウン構想を掲げ、
道内の環境モデル都市。
循環型森林経営を長年実践し、03年北海道初の
FSC(森林管理協議会=本部ドイツ)森林認証を取得。
同年、道内39市町村が参加して発足した
「森林吸収源を活用した地域経営に関する政策研究会」の
事務局も務めている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1007/1007051.html

住田と林業若い力で 高校で担い手 セミナー松田さんが魅力伝える

(東海新報 7月9日)

住田高校(佐藤信幸校長、生徒184人)で、
林業や木材産業への関心を高めてもらおうと、
「すみた森林(もり)の担い手セミナー」
(町産業振興課、町教委主催)が開かれた。

住田林業の次世代リーダーとして活躍する
松田昇さん(34)=㈲松田林業取締役=が講師を務め、
林業やふるさとへの思いを生徒たちに伝えた。

国が今後10年間をめどに、木材自給率50%を目指す
「森林・林業再生プラン」を打ち出すなど、同町の基幹産業でもある
林業は成長分野と位置づけられる一方、
若年層の就業が進まず従事者が減少傾向。

セミナーはこうした状況下、若い世代に林業への理解を
深めてもらい、担い手育成の一助にと初めて開催。
1~3年生の約50人が参加。

松田さんは、トレードマークの赤いつなぎ姿で講話。
国産材需要増が見込まれる現状を示したうえ、
面積の9割以上を山林が占めることから資源豊富で、
加工施設も集中しているなど、これからの林業における
住田の優位性を説いた。

高性能機械を導入した伐採から搬出まで、
素材生産の現場を動画で紹介。
人力が主だった過去の作業に比べ、省力化が大幅に
進んでいることを伝えた。

「人口減や少子高齢化で、町の将来に強い危機感がある中、
林業が雇用を創出することで、生き残りの道が生まれる」、
「後継者がいなければ、町も産業もなくなってしまう。
生き残るには、あなたたち若い世代の力が必要だ」

地域活動にも積極的に携わっており、17日に種山ケ原で
開催されるケセンロックフェスティバルについて紹介。
「東北の山奥の町に、一流アーティストが来てくれることには、
若者が故郷に誇りを持つきっかけになってほしい。
みなさんも、前向きに道を切り開いてほしい」

生徒たちは、若者の視点から見た林業の現場について
興味深く聞き、進路選択の参考ともしていた。
町では、今後も若い世代や森林所有者らを対象に、
セミナーを展開。

http://www.tohkaishimpo.com/

メタボ割合、東高西低 「生活習慣、産業と関連か」 静岡県分析

(2010年7月4日 毎日新聞社)

県は、08年度の特定健診から得られた結果を分析し、
生活習慣にかかわる健康度が、市町別に一目で分かる
地図を作成した。

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)や、高血圧症、
習慣的喫煙者の割合がいずれも県東部で高く、西部で低い、
県は「今後、市町別の健康対策に活用したい」

県内の40~74歳までの国民健康保険加入者約20万人の
健診データを分析。
各市町の傾向を、年齢構造を考慮して補正し、
県平均に対し、「低い」から「高い」まで4段階に分類。

メタボリックシンドロームは、県全体では男性39・5%、
女性15・5%が該当。

県平均よりも「高い」地域は、男女ともに下田市、南伊豆町、
御殿場市、富士市など東部に集中。
「低い」市町は、藤枝市、掛川市、森町など。

習慣的喫煙者は、県内で男性25・6%、女性5・2%、
下田市、熱海市、伊東市などで高く、浜松市などで低かった。

県は、こうした結果の背景を今後、分析。
県健康増進課は、「産業構造が生活習慣に
影響しているかもしれない。
背景も吟味しながら、各市町と一緒に対策に取り組みたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/7/5/122403/

2010年7月12日月曜日

子どもと図書館(7)読ませたい本 冊子で紹介

(読売 7月3日)

「その本、面白そう!」
兵庫県西宮市立夙川小学校の図書室で行われた
2年の国語の時間。

司書教諭の福原優子さんが、中国のむかし話の絵本など、
様々な本を次々と手にとって紹介すると、
児童33人の目はくぎ付けに。

終了後、真岩凛太郎君(7)が真っ先に手を伸ばしたのは、
ヘビの生態を学べる『ヘビのひみつ』(ポプラ社)。
エサの丸のみで、体の一部が丸く膨らんだ写真に強い興味を持った
様子で、「これ、すごいよ。早く借りたい」と目を輝かせた。

この日、紹介された本は計15冊。
いずれも同市が毎年作っている新刊案内
「読んでごらん おもしろいよ」の2010年版に掲載されている本。
新刊案内は、A5判16ページの小冊子、
前年に出版された本から、幼児・小中学生向けに選んだ
75冊の短い紹介文を載せている。

紹介する本を選ぶのは、市内の幼小中学校の司書教諭ら
25人の選定委員。
1年かけて150冊以上の本を読み込み、年に10回近く集まって議論。
ジャンルは、絵本や国内外の文学、自然科学、歴史など幅広いが、
「推薦する基準は、人気があるかではなく、読ませたいかどうか」、
委員の一人でもある福原さんは説明。

こうしてできた新刊案内は毎年7月、子どもたちに配布。
それに合わせて各学校の図書室に専用コーナーが設けられ、
休み時間は子どもたちでごった返す。

新刊案内作りに重要な役割を果たすのが、同市立中央図書館。
候補になる500冊以上の本は、同図書館で購入し、
これを委員が回し読みする。
同図書館司書で選定委員の小西博子さん(51)は、
「学校だけで、何百冊もの本はそろえられないし、
中央図書館の職員だけで良書を選ぶのも難しい。
協力関係は欠かせない」

推薦本は、同図書館にもそろえられる。
学校の図書室の「在庫」が切れると、子どもたちの足は
自然と図書館にも伸びる。

あまたある本の中から、子どもたちにとって良質なものを選ぶ
手助けは、大人の責任。
創刊1966年、最新版は通算45号という歴史のある
新刊紹介の取り組みは、国民読書年の今年、改めて注目、
全国から問い合わせが相次いでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100703-OYT8T00309.htm

善玉コレステロール増やし動脈硬化防止

(2010年7月2日 毎日新聞社)

コレステロール値に、悪玉(LDL)と善玉(HDL)があるのは
よく知られているが、意外に見落としやすいのが善玉の数値。
悪玉と善玉の比率(LH比)を知って、動脈硬化防止を心掛けたい。

東京都内の男性(58)は、健康診断の結果、
悪玉のLDLが1dl当たり125mg、善玉のHDLは同45mg。
脂質異常症と診断されるのは、LDL値が140以上、HDLが40未満、
特に異常はない。

超音波検査(エコー検査)で、心臓周辺の血管を調べたところ、
鎖骨下の動脈の血管に脂がたまり、
血管が狭くなっていることが分かった。

この男性のケースをどう考えればよいか?
武田病院健診センターの桝田出所長(京都大学医学部臨床教授)は、
「こういうケースは珍しくない」
「悪玉のLDLが、正常目安の120未満であっても、
HDLが低い場合は心筋梗塞を起こすリスクがけっこう高いので、
LDLとHDLの比率であるLH比(LDL÷HDL)を見ることが重要」

HDLは、血管に付着した悪玉コレステロールを運び去る働きをする。
HDLが低いと、血管に脂がたまりやすくなる。

小倉記念病院が06~07年、急性心筋梗塞や狭心症で運ばれた
患者約370人を調べたところ、LDLの平均値は正常範囲内の111mg。
LDLが100未満と低く、より正常と思われた患者141人を調べ、
約3割の人はHDLが40未満と低かった。

同様の報告はほかにも。
カレスサッポロ北光記念クリニックの佐久間一郎所長らの研究報告、
心筋梗塞になった北海道内の男性患者571人のうち、
313人(約55%)はLDLが120未満と正常範囲、
HDLは正常範囲とはいえ低めの40~50程度。

こうした研究結果から、桝田さんは、
「LDLとHDLの比率が2~2・5以上ある場合、
LDLが正常範囲でも、要注意と考え、
念のためにエコー検査で頸動脈の様子を調べた方がよい」

エコー検査をすれば、血管の中に脂が
どれくらいたまっているかが分かる。
佐久間さんのクリニックでは、健診を受けた人に
LH比を最初から見せている。
その比率が2~2・5以上の場合、生活指導や治療を勧めている。

佐久間さんは、「HDLが正常範囲でも、40台の人は要注意」、
HDLの数値の重要性を話す。

倉林正彦・群馬大学医学系研究科教授は、
「健康な人では、LDLを120以下まで下げ、LH比を2以下に。
糖尿病や高血圧、家族に脂質異常症のある人は、
LH比を1・5程度にするのがよい」

医療機関では、LH比の改善には肝臓でのコレステロールの合成を
抑えるスタチン系薬剤が使われる。
中性脂肪の高い人は、コレステロールの腸での吸収を抑える
薬剤を組み合わせることもあり、3~4カ月程度の服用で
改善するケースが多い。

薬以外でHDLを上げる方法として、喫煙をやめて、
運動するのが一番効果的。
東山武田病院では、患者の体力に応じた運動もアドバイス。
今井優・健康運動指導科長は、「1日30分程度歩く運動を
続けるだけでも、約2~4カ月でHDLが上がる」と運動の大切さを強調。
…………………………………………………………………………
◆LDLとHDLの判定目安(日本動脈硬化学会の診断基準)

    正常範囲   要注意   要治療
LDL 119以下 120~139 140以上
HDL  40以上  39~35   34以下
 (数値の単位は、1dl当たりのmg)

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/7/2/122351/

共通番号制度 社会保障の充実に不可欠だ

(2010年7月4日 読売新聞)

社会保障と税制に共通して使える番号が、国民のために必要--。
そうした認識に立って、菅首相をトップとする閣僚級の検討会が、
共通番号制度の素案をまとめた。

創設にあたっては、基礎年金番号を使う、住民基本台帳の番号を使う、
新しい番号を作る、の3案を選択肢として示している。

基礎年金番号は、基本的に成人にしか割り振られておらず、
住基番号も批判にさらされた経緯があるため、
政府は新番号を作る案を最有力と考えている。

新番号方式でも、住基ネットに基づいて番号を付ける。
発行するICカードは、既に実用化されている住基カードも活用。

住基ネットを無駄にせず、有効利用するのならば、
新番号方式も現実的な選択であろう。

政府は、年金や健康保険など各制度のデータは、
これまで通り別々に管理し、必要な時だけ共通番号を“鍵”にして
各データをつなぐことを想定。
個人情報保護を任務とする第三者機関を設置する構想も示した。

個人情報を守る仕組みを厳格に構築しつつ、
着実に導入を進めることが肝要。

菅首相は、共通番号制度の素案を、
年金改革の基本原則とセットで発表。
民主党が掲げている所得比例年金の創設には、
番号による正確な所得把握が欠かせないから。

首相は、消費税の導入に際しては所得の低い人に税金を還付する、
との考えを示したが、これも番号の導入が前提。

「子ども手当」も、番号があれば、家族の構成や収入総額を見極めて、
本当に手当が必要な家庭を集中的に支援できる。

複数の社会保障制度をまたいで、保険料や窓口負担を
総合的に減免するなど、きめ細かな低所得者対策も可能。

国民全員が、社会保険料などをこれまでいくら負担し、
医療などの公的サービスをどれだけ受けてきたか、
年金記録は間違っていないか、といった情報をいつでも確かめられる。
国民の側からも、社会保障制度の運営状況を常時監視できる。

今回の番号制度素案は、自公政権時にまとめられた、
社会保障カードに関する検討報告の内容とほぼ一致。
共通番号の必要性については、与野党の多くが認めている。
超党派で取り組むべきだ。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/7/5/122422/

血糖値下げる細胞に変化 糖尿病治療に期待

(2010年7月5日 共同通信社)

膵臓でインスリンを出し、血糖値を下げるベータ細胞を
取り除くと、反対に血糖値を上げる細胞が変化し、
膵臓の機能を回復させることを、
奈良先端科学技術大学院大とスイスのジュネーブ大
チームが、マウスを使って解明。

糖尿病患者では、インスリンが働かなくなったり欠乏したりし、
ベータ細胞を除去したマウスは、糖尿病と同じような症状。

チームの河野憲二奈良先端大教授は、
「細胞が変化し、機能が回復する仕組みが分かれば、
治療につながるかもしれない」

チームは、マウスの膵臓にある組織「ランゲルハンス島」で、
インスリンを出しているベータ細胞を除去。
15日後、正常なマウスの0・4%しかなかったベータ細胞が、
1カ月後には1・2%、10カ月後には17%にまで回復、
生存に必要だったインスリン投与も不要に。

ランゲルハンス島で、ベータ細胞とは逆に血糖値を上げる
グルカゴンを出す「アルファ細胞」を、発光するようにして
識別できるようにした上で、ベータ細胞を除去。
発光する細胞がベータ細胞に変化し、インスリンを分泌。
アルファ細胞も同時に除去すると、ベータ細胞は増えなかった。

英科学誌ネイチャーに掲載。
河野教授は、「正反対の機能を持つ細胞に直接変化したのは驚き。
生き延びるための適応の結果ではないか」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/7/5/122409/

2010年7月11日日曜日

子どもと図書館(6)本の魅力 市民が配達

(読売 7月2日)

石川県小松市立図書館。
市内の小学5年生、本田峻一君(10)が、祖母の運転する車で
自宅から約15分かけて来た。

「1年生のとき、学校に面白い本があって、
それから本を読むようになった」
館内では、本田君のように読書に熱中する子どもたちの姿が、
大人よりも多く目立つ。

小松市では、子どもの読書推進運動が、市全体で展開。
市立全35の小学校と中学校の図書館に、
貸し出しや本の取り寄せなどを担う学校司書を置いているのは
もちろんのこと、市民が主体となった活動も盛ん。
その代表例が、市民グループ「おはなし宅配便」。

活動の主体は、母親や元教師ら10人前後。
お薦めの児童書30~40冊を、小中学校に持って行き、
2週間限定で貸し出し。
授業時間を借りて、これらの推薦図書の読み聞かせなどを行い、
読書の魅力も伝えている。

「本の素晴らしさを、肌で感じてもらいたい」、
この活動を16年前に始めた代表の竹内のり子さん(50)。
児童からの感想には、「本の取り合いです」、
「どんな本が来るのか楽しみ」などとあり、評判は上々。

きっかけは、子育てサークル。
母親同士で絵本の良さを語り合ううちに、
読書教育の必要性を感じる。
当時、学校図書館の本と言えば、長年書架に眠ったままの
物も多かった。
子どもが一から、いい本を選ぶのも難しい。
「だったら、私たちが出向いて、本のすごさを伝えようと提案した」、
竹内さんは振り返る。

グループで所蔵するのは、4000冊近く。
メンバーで話し合って子どもに読ませたい本を選び、
市立図書館に購入してもらう。
1年を通して、市内のほとんどの小中学校を訪れる。
交通費などはすべて自前で、本の運搬には、
メンバーの自家用車を使う。

竹内さんは市内の書店をいくつか回り、ある変化に気づいた。
「以前は、本屋さんに児童向けの本があまり置かれていなかったが、
宅配便で紹介した本を、子どもが書店で注文するようになり、
店頭の児童書が充実してきた」

小松市は今年、優れた読書感想文を書いた小中学生を
表彰するなどして、読書習慣が身に着くようさらに後押し。
市立図書館の島田裕美子館長(58)は、
「市民の熱意もあり、子どもが読書に親しめる環境が
市全体で広がりつつある」と手応えを感じている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100702-OYT8T00239.htm

就寝前の携帯使用控えて 日大医など

(2010年7月2日 読売新聞)

就寝前に毎日携帯電話を使う中高生は、使わない生徒と比べ、
睡眠障害になるリスクが約1・4倍に高まることが、
日本大学医学部の大井田隆教授(公衆衛生学)らの
グループによる全国調査でわかり、
日本睡眠学会第35回定期学術集会で発表。

調査は、2008年10月から2009年3月にかけて、
全国から無作為に抽出した92校の中学生4万151人、
80校の高校生5万5529人が質問書に回答する形で実施。

就寝前、毎日携帯電話で通話やメールをする生徒は、
そうでない生徒と比べ、「入眠障害」や「中途覚醒」、「早朝覚醒」などの
睡眠障害を発症するリスクが約1・4倍高い。

日中に過度の眠気に陥るリスクも、毎日通話する生徒で1・17倍、
メールする生徒では1・5倍高かった。
睡眠の質が悪くなったり、睡眠時間が6時間未満に
減ったりするリスクも高かった。

1日の携帯電話使用時間(1か月平均)が2時間を超えたのは、
高校2年の男子で35%、女子で45・8%、
「就寝前に毎日携帯電話でメールをする」男子は18・9%、
女子は27・8%。
「毎日通話する」生徒も、高校3年男子で11・2%、
女子は12・5%。

同大医学部の宗沢岳史助手は、
「中学や高校の健康教育で、生徒たちに就寝前の携帯使用を
控えるよう指導してほしい」と警鐘。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/7/2/122365/

遺伝子で長寿予測可能に 100歳超を分析、米大学

(2010年7月2日 共同通信社)

100歳以上の長寿の人に共通する遺伝子の特徴を見つけたと、
米ボストン大などの研究グループが1日、
米科学誌サイエンス(電子版)に発表。

長寿は、生活スタイルや環境にも大きく影響されるが、
こうした遺伝子の特徴を調べると、100歳まで生きることが
できるかを予測できる。

研究グループは、「さらに詳しく研究し、どうして長寿の人は、
病気の発症が遅いのかが分かれば、予防や治療の研究にも
役立つのではないか」

100歳以上の白人1055人と無作為に選んだ1267人の
遺伝子を比較。
長寿に関連するとみられる多数の「一塩基多型」を特定。
一塩基多型は、個人により塩基配列がわずかに異なる場所。

このうち、150カ所を目印に、長寿かどうかを予測する
コンピューターモデルを開発、100歳以上の人を分析すると、
長寿という正解が出る精度は77%。

100歳まで生きるかどうかを、事前に精度良く予測できる。
一塩基多型の組み合わせによって、100歳以上の人は、
超長寿や病気へのなりやすさなどの特徴がある
19のグループに分類できた。

糖尿病や高血圧などになりやすいとされる遺伝子の数は、
100歳以上とそれ以外では、あまり差はないと判明。
「"長寿遺伝子"が多ければ、こうした寿命を縮める遺伝要因を
抑制する効果があるのではないか」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/7/2/122356/

岡田ジャパン「高地対策大成功!」陰の立役者は…

(読売 7月7日)

高地トレーニングの指導者として、
サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の日本代表に
同行した三重大教育学部の杉田正明准教授(44)。

「(初戦の)カメルーン戦の勝利が、一番うれしかった。
選手の体力が持ち、トレーニングの効果を肌で感じられた」と
興奮した様子で振り返った。

同大会は、標高1000m以上の会場が多く、
カメルーン戦は1400mのブルームフォンテーンで行われた。
杉田准教授は、体力科学が専門。
高地での試合に備え、日本サッカー協会はマラソン選手の
高地トレーニングの研究に携わった経験を買って、指導を求めた。

杉田准教授は、5月下旬の国内合宿から決勝トーナメント1回戦の
パラグアイ戦まで同行。
酸素の薄い高地での急激な体力消耗を防ぐため、
摂取酸素量を制限する「低酸素マスク」を、
国内外で十数回、選手に着用させるなどした。

杉田准教授は、「カメルーン戦の後で遠藤(保仁)選手らが、
『先生、全然疲れなかったよ』と言ってくれた」と振り返った。

日本サッカー協会から贈られた代表選手のサインが入った
ユニホームも披露。
「杉田先生へ 高地対策大成功!」などと書かれたユニホームを手に、
「一生の宝物です」と笑顔を見せた。

http://www.yomiuri.co.jp/wcup/2010/news/japan_2/news/20100707-OYT1T00036.htm