2008年8月30日土曜日

地熱力(下)「ポスト石油」へ開発競争

(読売 8月28日)

「途上国では、『エネルギーが欲しい』という熱い期待を感じます」と、
福岡市に本社を置く建設コンサルタント会社「西日本技術開発」で、
地熱部を率いる田籠功一部長(53)。

同社は、九州電力の子会社だが、世界の地熱発電関係者の間では
知らない者はいない存在。

日本最大の発電規模を持つ八丁原発電所(大分県九重町)の運営も
担当する同社の強みは、資源探査から発電所建設、管理までを、
総合的に担える技術力。

国内の地熱開発が停滞する中、「このままでは技術力が持ち腐れになる」と
世界に活路を求め、米国やニュージーランドの企業と、
途上国の国家プロジェクト受注競争にしのぎを削る。
活躍の場は、アジア、中南米に広がり、最近ではアフリカからの引き合いも。

地熱開発にかける熱意は、先進国も例外ではない。
発電量世界一の座を争うのは、国策で開発を推進する米国とフィリピン。
火山や地熱資源に恵まれていない豪州、欧州連合(EU)諸国も熱心。

豪州のクーパー盆地では、地下約4キロ・メートルまで掘削。
高温の岩盤に水を注入し、できた蒸気でタービンを回す次世代発電をめざす。
ドイツでも、高価格で電力を買い取る優遇制度が推進力となり、
昨年、わずか4年で二つの発電所が完成、世界を驚かせた。

「産油国も、石油の枯渇を見据えて地熱の可能性を真剣に模索している」。
九州大学の江原幸雄教授(60)の研究室では、
博士課程5人中4人が、アジアや中東からの留学生。

国立インドネシア大講師のヤヤン・ソフヤンさん(33)もその一人。
地熱開発の探査技術を学ぼうと、昨年来日。
インドネシアは、経済発展に伴うエネルギー需要の急増で、
2002年に原油輸入国に転じ、世界有数を誇る自国の地熱資源への関心が高い。
ソフヤンさんは、「大統領令で掲げられたのは、
発電量を05年から20年間で10倍以上にする国家目標。
地球温暖化の観点からも、二酸化炭素を出さない地熱発電はさらに注目」。

産油国・イランのエネルギー省から留学中のフセイン・ユセフィさん(37)も、
ポスト石油時代を見越す。
「現在、国内初となる出力5万キロ・ワットの地熱発電所を北西部に建設。
我が国は、石油が安く手に入るが、将来の様相は違うはず」。
世界では、日本とは別次元の資源戦略が進んでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/kankyo/20080828-OYT8T00279.htm

キャンパス探訪(7)地元生徒は「未来博士」

(読売 8月20日)

地域の人も対象に、オープンキャンパス(見学会)を開く大学院がある。

ビーカーからスポイト状のピペットで水を吸い取り、慎重な手つきで
メスシリンダーに移す中学生たち。
5~6人の班に一つずつ、シャーレに入った黒い液体が手渡されると、
生徒の好奇心に満ちた視線が一斉に注がれた。

北陸先端科学技術大学院大学のオープンキャンパスで、
一際目を引いたのは、地元の中高生らに模擬授業と実験実習を
経験させる「一日大学院」。
先端科学技術の一端にふれてもらい、理科への興味を広げてもらう狙いで、
今年は169人が集まった。

マテリアルサイエンス研究科の前之園信也准教授(38)が企画した
実習のテーマは、「謎の液体磁石」。
正体は、油の中に細かい磁石の粒子を分散させた液体「磁性流体」で、
NASA(米航空宇宙局)が宇宙服のつなぎ目をふさぐシール材として開発。

磁石を近づけると、液体が瞬時にウニのとげのような形に姿を変える。
圧巻は、強力な磁石を使った実験。
ふたをとったシャーレを逆さにしても、とがった液体は落下せず、
生徒が発する感嘆のため息が小さな実験室に広がった。

実験後、「未来博士」の修了証を受け取った市立辰口中学校1年の
田畑孝憲君(13)は、「固体の磁石しか知らなかったから、とてもおもしろかった。
高校進学の手がかりになった」。

同大は、地域との密着をオープンキャンパスの柱の一つに掲げている。
先端的な研究内容のパネル展示も、一般の人でも分かるように
かみ砕いて書かれている。
地元住民による郷土料理の販売ブースまであり、
さながら地域のお祭りといった雰囲気。

「大学院大学は学部がないから、知名度を上げて全国から優秀な学生を
集める必要がある。そのためにはまず、先進的な研究内容を公開し、
地域に愛される大学になることが不可欠」と片山卓也学長(69)。
この日の参加者約970人のうち、8割余りは地元住民が占めた。

一日大学院は、学生を受け入れ始めて間もない1993年に始めた。
今年は、カメラが人の顔を見つけて焦点を合わせる画像認識技術の実習、
赤外線を実体験するプログラムなど6講座が準備。

「職場体験や総合的な学習の時間でも協力してもらっており、
とてもありがたい。一日大学院で生徒たちが理科により興味を持ってくれれば」
と生徒を引率した辰口中の西田充宏教諭(43)。

「ピペットで水を測るだけでも『おもしろい』という生徒がいたのは、
理科の授業からいかに実験の機会が失われているかの証しだ」と
前之園准教授。
「理科離れと言われるが、一日大学院を受けた生徒が一人でも多く
科学の道へ進んでほしい」と期待。

「未来博士」の言葉には、将来、同大の研究を担う本物の博士が
生まれてほしいという願いも込められている。

◆大学院大学

学部を持たない大学院だけの大学。
学部教育に重点が置かれていた従来の大学を改革し、
先導性を持った教育・研究者を養成するため、
文部省(当時)の大学設置審議会が1974年に提言、
76年に学校教育法が改正。
82年開学の私立国際大学(新潟)が第1号で、
現在国立4、公立2、私立20の計26校。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080820-OYT8T00183.htm

2008年8月29日金曜日

地熱力(中)温泉地 発電計画に反発

(読売 8月27日)

群馬・草津町の草津温泉で、スローガン入りのうちわが翻った。
「地熱発電で草津温泉は枯れる」、「守ろう日本の温泉文化」。
町民約1100人が、湯が自然湧出する町のシンボル「湯畑」で、
地熱発電への反対集会を繰り広げた。

問題の発端は、全国一のキャベツ生産地として知られる
隣の嬬恋村が公表した調査報告書。

地熱発電を活用した「エコ村」構想を抱く熊川栄村長(61)の肝いりで、
草津温泉の主要源泉から約3・5キロ・メートルの場所を含む
村内の2地点を候補地とし、開発を目指す内容。

草津は、町民の9割以上が温泉観光で生きる町。
昔に比べ、湯量が減少傾向にある不安感もあって、
町民にとって地熱発電は「資源を奪う脅威」に映る。

町議会も計画を知るやいなや、東北や九州の地熱発電所を視察。
黒岩信忠議長(61)は、「温泉枯渇や地滑りなど、地熱発電の影響と思われる
事例が各地にあった。調査だけでもと認めてしまえば、取り返しがつかない」。

嬬恋村の計画策定にかかわった芦田譲・京大名誉教授(64)は、
「日本では、発電に使った蒸気も水に戻し、地下に還元している。
地熱発電の温泉への影響が、科学的に裏づけられた例はない」として、
冷静な対話を訴えたが、草津町の不信感は根強く、
両者は同じ場で一度も話し合うことはなかった。
調査計画も、国の補助金枠に漏れ、事実上凍結。

「なんとか温泉と地熱の対立構造を崩す突破口にしたい」。
産業技術総合研究所の村岡洋文・地熱資源研究グループ長(56)と
「地熱技術開発」は、既存の温泉に影響を与えず設置できる小型の
「温泉発電」システムを開発。実用化に向けた準備を進めている。

浴用より高温の温泉が出る場合、草津温泉のように成分を薄めずに
「いい湯加減」にする〈湯もみ〉が欠かせない。
温泉発電は、本来は捨てているこの熱を発電に利用。
沸点が低いアンモニアを入れた管を熱水の中に通し、
沸騰させてタービンを回す仕組み。

第1号機の設置候補地は、長野県小谷村。
静岡県や北海道など、複数の温泉地も導入に向け検討を始めた。
村岡さんの推定では、温泉発電が可能な温泉は全国に1591か所。
未利用の熱だけで、現在の地熱発電の発電量(約55万キロ・ワット)を
上回る72・3万キロ・ワットの発電ができる計算。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/kankyo/20080827-OYT8T00362.htm

岩手大、中国へ技術移転 県内企業進出に光

(岩手日報 8月27日)

岩手大は、同大工学部が開発した高強度鋳鉄製造技術を、
中国・大連市の鋳造メーカー大連四達鋳造有限公司に
「技術移転」する方向で、同社と大筋合意。

日本では、既に企業で取り入れられ、自動車用エンジン部品製造に
使われている技術だが、同社は建設用工作機械製造などに応用する。

中国との経済交流は、国情の違いもあって、
地方企業が中国企業とビジネス契約を結ぶのは難しく、
同大が懸け橋となり、県内企業のビジネスチャンスを広げる。

日本の大学が、中国の企業に技術移転するのは先駆的な試み。
技術移転を進めているのは、岩手大工学部の堀江皓客員教授が開発した
高強度、軽量化の鋳鉄製造技術。

岩手大は今年3月、大連理工大、大連四達鋳造有限公司と
技術移転に向けた協定書を締結。
8月上旬、堀江教授らが訪中した際、同社が製品化に向け技術を
買い受ける方向で合意。金額については調整中。

今回の技術移転が正式決定し、中国で実用化に成功すれば、
「岩手発」の技術に信用が高まり、本県の鋳物企業などが
中国進出する可能性も高まる。
堀江教授は、「協定締結後、第1号の大きな成果だ」。

岩手大は2003年、大学と大学、地域と地域が産学官連携を深め、
国境を越えたビジネスチャンスを創出する「UURRプロジェクト」を開始。
05年に、大連理工大と学術交流協定を締結。
今年3月の協定締結は、同理工大が橋渡し役。

岩手大の国際連携・技術移転室長の小野寺純治教授は、
「大学間の交流から企業を巻き込み、技術移転で海外企業の信頼を
得ることで、県内企業の中国展開、地域産業振興にもつながる。
双方にとってメリットは大きい」と意義を強調。

◆高強度鋳鉄製造技術

鋳鉄のうち、振動吸収や切削、熱伝導、耐摩耗などに優れている
片状黒鉛鋳鉄の高強度化、軽量化を図る技術。
岩手大の堀江皓教授が開発、このノウハウを今回、中国の企業に移転。

片状黒鉛鋳鉄は、国内で年間300万トン程度生産され、
自動車エンジンのシリンダーブロックやピストンリング、ブレーキディスク、
工作機械などに使われている。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080827_3

「親知らず」からiPS細胞作製 バンク構想に弾み

(朝日 2008年8月22日)

抜歯した「親知らず」から万能細胞(iPS細胞)をつくることに、
産業技術総合研究所の大串始・主幹研究員らのグループが成功。
歯科医院などで抜いた歯を使えば、iPS細胞づくりで
患者に余計な負担をかけずにすむ。
将来のiPS細胞バンクの構築などに役立ちそう。

10歳の女児が、歯の矯正治療の際に抜いた「親知らず」から、
歯や骨のもとになる間葉系細胞を取り出し、
京都大の山中伸弥教授がiPS細胞づくりで使った3種類の遺伝子を
導入したところ、iPS細胞ができた。
山中教授は、皮膚の細胞を使っていた。

iPS細胞は、さまざまな細胞や組織になる能力があり、
患者の細胞からつくれば、拒絶反応がない細胞移植が可能になると期待。
しかし、個別の患者ごとにつくるとなると、
現実には手間や費用がかかる。
多くの人のiPS細胞を、あらかじめ集めたiPS細胞バンクづくりが構想。

大串さんは、「細胞バンクの構築には、多くの細胞源が必要。
抜歯された歯は、もともと廃棄されるもので、
患者に新たな負担がない点でも有望。
今後は、大人の歯や乳歯でも試したい」

http://www.asahi.com/science/update/0822/TKY200808220042.html

キャンパス探訪(6)経営学 マックで身近に

(読売 8月19日)

ハンバーガー店の<経営>を、高校生に考えさせる取り組みがある。

昼食時の教室は、ハンバーガーのにおいでいっぱいになった。
専修大学経営学部が、オープンキャンパスで用意した公開講座
「高校生のための経営学実践講座」は、
「思わず入りたくなるハンバーガーショップ」を提案するのが課題。
事前に申し込んだ高校生約60人が10組に分かれ、
指導役の大学生とともに丸一日知恵を絞った。

司会者は、日本マクドナルドの社員。
昼食にハンバーガーが振る舞われ、最後の発表時には、感想を話す
生徒向けにフライドポテトのサービス券も用意されたが、あくまでおまけ。
大学側の企画の狙いは、「高校生にもっと経営学を知ってほしいから」。
講座の進め方は、事前に社員と大学で念入りに詰めている。

「経営学は、高校の授業で触れられることもほとんどなく、
高校生に身近ではない。
高校の先生も、進路指導で経済学部と経営学部を区別していない」。
企画の責任者、福原康司准教授(37)が、経営学を取り巻く事情を説明。

この講座が始まったのは2年前。
広石忠司学部長と、専修大の卒業生でもあるマクドナルド社の社員が
知り合ったのがきっかけで、大学側は「高校生にも、身近な会社を対象に
経営学を考えさせてみよう」と考えた。

しかし、オープンキャンパスと日程が別だった初回の参加者は10人足らず。
「特定企業が絡んだ授業に、生徒を派遣させるのはちょっと……」と
戸惑う高校も少なくなかった。
首都圏の高校に熱心に説明して回った結果が今回だけに、
1、2年目の責任者だった馬場杉夫教授(42)も
「ようやく認知されたという思いだ」。

オープンキャンパス参加者の高校生らが顔をのぞかせる中、
講座は午後から、チームごとの発表になった。
「カラオケが歌える個室があるといい」、
「食べ放題や、もっと小さなサイズのハンバーガーがあるといい」、
「高校生専用のカードを作ってはどうか」と
利用頻度の高い高校生ならではの提案が続いた。

最後に、福原准教授が、「ビジネスの基本はウィン・ウィン(互いに得をすること)。
提案の中でも、高校生だけでなく、マックの側もこれはいいと思える提案が大切」
とミニ講義。優秀なチームを、大学とマクドナルド社双方で選んで表彰。

千葉県立八千代高校から生徒を引率した吉野純一教諭(45)は、
高校生を話し合わせる技に感心した様子。
「何かを企画することに興味がある」と話していた高校2年の金子あんずさんは、
「経営学部がより身近になりました」。

高校生に、大学が学問の面白さを伝える取り組みは、
ひと昔前とは比較にならないほど重要。
オープンキャンパスにこそ、そんな企画がもっとあっていい。

◆高校の経済学習と経営学

現行の学習指導要領によると、高校の公民の科目「現代社会」には、
「現代の経済社会と経済活動の在り方」の項がある。
「政治・経済」では「現代の経済」の項で、
「経済社会の変容と現代経済の仕組み」や「国民経済と国際経済」を学ぶ。
それぞれ企業の働きや役割にも触れることになっているが、
経営学に直結するような項目はない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080819-OYT8T00228.htm

2008年8月28日木曜日

2016年の五輪でメダル量産へ…文科省が国家プロジェクト

(読売 8月26日)

文部科学省は、東京が開催都市に立候補している
2016年五輪でのメダル量産を目指し、国として強化を後押しする
新たな体制をスタートさせる方針を固めた。

「競技力向上ナショナルプロジェクト」という名目で、
開催地五輪での躍進へ向け、09年度の概算要求で約12億5000万円を計上。

プロジェクトでは、柔道やレスリングなどメダル獲得が有望な競技を対象に、
競技全体を統括する「ナショナルコーチ」制度を創設
ライバル選手の視察、ルール改正を巡る情報収集や分析などを専門に行い、
メダル獲得をサポートする。
16年五輪で主力となるジュニア世代をターゲットに、
重点的な育成
にも取り組む方針。

北京五輪は、国家主導の強化策で躍進する国々が目立った。
中国は、金メダル数が前回の32個から51個へ急増し、
米国を抜いて初の1位に。
外国人指導者を招へいするなどの強化策が実った。
12年にロンドン五輪を迎える英国も、金9個の10位から19個の4位に躍進。
強化費増加などの施策が効果を発揮。

これに対し、日本の金メダル9個は全体の8位。
今年1月にナショナルトレーニングセンターが完成して初の五輪となったが、
過去最多タイだったアテネ五輪の16個を大きく下回り、
日本オリンピック委員会(JOC)が目標に掲げた「二けた」に届かなかった。

不振の主な要因は、世代交代と対応の遅れ。
金9個のうち7個が、2大会連続の金メダル。
柔道は、一本を狙う日本のスタイルから、世界の潮流である
ポイント制への対応が遅れ、前回のメダル10個から7個に減少。
競技団体などから、国が本腰を入れて、
トップアスリートの強化に乗り出すよう求める声が上がっていた。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/news/topic/news/20080826-OYT1T00244.htm

地熱力(上)治療施設の全電力発電へ

(読売 8月26日)

地球内部の熱水を蒸気に変えてタービンを回す「地熱発電」。
火山国でありながら、国内での開発はここ10年、停滞気味だったが、
最近は風向きが変わってきた。
海外では、地球温暖化防止策としても熱い視線を浴びる。
貴重な純国産エネルギーの現状を追った。

桜島を望む鹿児島県指宿市の高台に立つ「メディポリス指宿」。
この地にかつてあったのは、旧年金福祉事業団が約200億円を投じた
保養施設「グリーンピア指宿」。
赤字経営で2002年に閉鎖後、鹿児島から成長した医薬品開発企業
「新日本科学」が約6億円で購入、06年に滞在型の健康医療施設として再生。

施設の目玉は、特殊な放射線をがん組織に集中させ、
高い治療効果を発揮している「粒子線治療センター」。
各自治体が誘致合戦を繰り広げる期待の新治療施設だが、
保険適用外のため、治療費が1人約300万円かかる。

「粒子線には、大量の電力が必要。
電気代を下げて、治療費を安くできないか?」。
永田良一・同社社長(50)の命を受けた田中清仁・施設企画室長(46)は、
「風力なども検討したが、台風が多く適地はない。
宿泊施設では、掘り当てた温泉水を床暖房や岩盤浴にも使い始め、
燃料代が年間4、5千万円も節約。
これを社長に報告すると、『地熱発電はいけるじゃないか』とGOサイン」

敷地の一角には今、地熱発電用の井戸を掘るやぐらが立つ。
「粒子線施設の全電力をまかなえそうだ」。
田中さんは、調査結果に確かな手応えを感じている。

日本は、世界有数の地熱資源大国。
全電力をまかなえるのに、なぜ活用しないのか」。
環境問題で発言が注目される米アースポリシー研究所の
レスター・ブラウン氏は、日本での講演でこんな疑問を投げかけた。

国内での地熱発電の新設は、00年以降ゼロ。
全国に18か所ある地熱発電所が発電できる総量は、電力全体の0・2%。
新設には様々な規制をクリアしなくてはならず、
完成まで通常15~25年かかって、開発コストに跳ね返るため。

中国やインドなどの旺盛な消費で、石油や天然ガスなどの需給構造は
不透明感を増すばかり。
経済産業省は、低温の熱水(100度程度)を利用する新型の
地熱発電導入を促進する支援策を打ち出した。
少しずつだが、潮目は変わりつつある。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/kankyo/20080826-OYT8T00359.htm

回腸パイエル板の復帰増強作用

(元気びと)

日本食品免疫学会2006年度大会 発表要旨 2006年10月24日(昭和女子大学)

トウモロコシ由来水溶性アラビノキシランの免疫調節作用とその機構の解析
○木本裕1,高田正保1,小川浩一1,山本幹男1 岡持晋治2,松本一朗2,阿部啓子2 (1日食化エ㈱研究所,2東大院・農)

【目的】 アラビノキシランは、アラビノース、および、キシロースを主構成糖とし、
β-1,4結合を主鎖に持つ水溶性の難消化性多糖で、
トウモロコシ種皮に含まれるヘミセルロースの主成分。

アラビノキシラン標品(Corn Husk Arabinoxylan:CHAX)は、
マウスヘの経口投与により、種々の免疫調節作用を持つことが確認、
35~60歳の健常なヒトを対象としたプラセボ対照二重盲験試験により、
被験者のQOL向上、免疫系への作用が示唆。

本研究では、CHAXの免疫調節作用機序の解明を目指し、
マウス脾臓、腸管パイエル板における遺伝子発現変化について、
マイクロアレイ解析による検討を行った。

【方法】5週齢のC3H/Hej系雌マウスを1週間予備飼育後、
6匹ずつ3群に分けた。
21日間の試験中、摂餌、飲水は自由、
試験群ⅠはCHAX摂取量が50mg/kg-wt、試験群Ⅱは150mg/kg-wt
となるように、毎日強制経口投与。
対照群には、水のみを同様に投与。

試験後、脾臓、腸管パイエル板を摘出し、一部はマイクロアレイ解析に供する
サンプルとして保存。
脾臓は、常法に従って浮遊細胞を調製し、
ConA刺激後のIL-2、IL-4、IL-12、IFN-γ産生量について測定。
十二指腸、空腸、回腸で観察された腸管パイエル板の数をカウント。
脾臓細胞におけるサイトカイン産生量を指標とし、
平均的な値を示した各群2個体を選択、脾臓、腸管パイエル板より
総RNAを抽出して、マイクロアレイ解析に供した。

【結果】 脾臓細胞でのサイトカイン産生量は、IL-2、IL-4、IFN-γにおいて、
CHAX摂取量依存的な産生量の増加が見られ、
IL-2とIL-4では有意差が認められた。
腸管パイエル板数も、対照群と比較して有意な増加。

CHAX摂取により発現変化が認められた転写産物数は、
脾臓では69個、腸管パイエル板では307個、
腸管パイエル板でリンパ球の増殖・分化を示唆する遺伝子群の
発現亢進が認められた。

以上から、CHAX摂取は免疫系を賦活化し、腸管パイエル板を
介するプロセスであることが示唆。

http://genkibito.com/aract/a007.html

消費者向け電子商取引22%増

(サイエンスポータル 2008年8月20日)

昨年の消費者向けの電子商取引市場規模は、5兆3千億円と
前年に比べ21.7%増加したことが、経済産業省の調査で明らか。
企業間の電子商取引も、162兆円と前年に比べ9.3%の増加。

消費者の販売促進行動支援や検索行動支援、コミュニケーション支援など
消費者を起点とするインターネット関連ビジネス市場も2兆円。

米国も、2007年の企業間電子商取引市場が、104兆円(前年比8.7%増)、
消費者向けが22.7兆円(同17.6%増)、日本同様、着実な拡大。

中国、韓国、台湾の消費者向けの電子商取引市場規模も、拡大傾向。
中国のインターネット利用者数は、2億1千万人(普及率16.0%)、
携帯電話利用者数は約4億人、携帯電話からの
インターネットアクセス経験者は5,040万人。
消費者向けの電子商取引市場規模は、82億人民元(約1,200億円)。

韓国は、インターネット利用率は75.5% 、
市場規模は10兆2千億ウォン(約1兆3千億円)。
台湾は、インターネット利用者1千万人(普及率、44.0%)、
消費者向けの電子商取引市場規模は1億800万台湾ドル(約3億8千万円)
と前年比30%台の伸び。

マレーシアの消費者向けの電子商取引市場規模は、非常に小さく、
本格的な市場を形成していないレベル。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0808/0808201.html

キャンパス探訪(5)業者の手法 学生に刺激

(読売 8月16日)

オープンキャンパスの業者委託が、在校生を刺激した。

初日、午前9時の気温が30度超。
中央大学には、最高の来場者数となる約7400人が詰めかけた。
その熱気の中で、法学部4年の飯島綾佳さん(22)が
「キャンパス、広いでしょ。勉強と遊びの両方を楽しめますよ」と
明るい声で大学自慢を始めた。

中大のオープンキャンパスは、前から学生が主役。
大学職員と一緒に計画を立て、サークル紹介までしている。
今年は、3日間で140人の学生が参加。
飯島さんは、2年続けて学生リーダーを務めるベテラン。

高校生が、「学生のガイドは親近感があり、わかりやすかった」。
飯島さんは、「こんなに大勢の来場者に感激」と笑顔でこたえる。
その表情に、昨年の屈託はなかった。

中大がオープンキャンパスの原型となる進学相談会を始めたのは、1984年。
広報担当の職員と学生数人だけで、切り盛りするこぢんまりした会。
担当職員も卒業生が多く、部屋は自然と学生のたまり場に。

そのうち、「自分たちで大学を紹介しよう」と話が盛り上がり、
高校生の申し込みを受けて学内を案内する「ツアーコンダクター」が始まった。
相談会も、キャンパス全体を使った大がかりな催しへと模様替え。

来場者の急増で、大学側は安全対策に頭を悩ませ、
昨年から誘導などをイベント業者に委託。
他大学では、企画から運営まで一括して請け負った実績を持つ業者だが、
中大では限定的な委託にとどめた。

しかし、学生スタッフには寝耳に水。
当日、受付係の学生と業者が、立つ場所を巡って険悪なやりとりをする場面も。
夜の反省会では、学生から「オープンキャンパスはだれのもの?」、
「何で私たちが企業に使われるの」と不満が噴き出した。

同時に、学生たちは思い知らされていた。
食堂でいつもの混乱がなかったのは、イベント業者が混雑状況や売店の場所を
的確に把握して放送したため。
特設案内所を、目立つ場所に置いたのも好評。
道に迷う来場者にいち早く声をかけていたのは、学生ではなく業者。

「主役は、来てくれる高校生。学べるところは学んで、協力していこうよ」。
飯島さんの一言で、ようやく学生たちに笑顔が戻った。

今年は、事前研修が3回開かれ、業者も同席。
席上、大学の広報担当者が「みんなで力を合わせなければ、うまくいかない」。
「『大学生になったらこんな人になりたい、ここで学生生活を過ごしたい』と
高校生に夢を持ってもらえる1日にしたい」と飯島さんは意欲を燃やす。
夏の大イベントは、学生の成長を促す場ともなっている。

◆進路選択まず「何を学ぶか」

全国高等学校進路指導協議会では、
〈1〉得意教科や将来の仕事などから志望校を検討
〈2〉情報を集めて比較
〈3〉入試制度を整理
〈4〉費用や保護者との話し合いなど、進学条件の整理
の4段階を踏まえた進学先選びを勧める。
オープンキャンパスは情報収集の機会だが、
同協議会の千葉吉裕事務局長は、「何を学びたいか、どんな夢を持っているか、
自分自身を把握していることが大切」と助言。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080816-OYT8T00197.htm

2008年8月27日水曜日

エコナビ:温暖化防止で注目、水素利用 どう作るの?

(毎日 8月25日)

地球温暖化防止で、日本を含め各国が注目しているのが水素利用
水素はどのようにして作るのか?

水素を燃やしてエネルギーを得ても、排出されるのは水だけ。
水を電気分解すれば、水素が得られる。
水は、地球上に無尽蔵にある。
水素は、無限で環境影響の少ないエネルギー源。

しかし、水素は大抵、酸素や炭素など他の元素と結合。
水素だけを取り出すには、エネルギーが必要。
工業界では、天然ガスと水を数百度で反応させる方法を用いるが、
化石燃料を消費するので二酸化炭素が発生。
そこで、風力や太陽光などによる電力を用いた水の電気分解、
光で化学反応を駆動させる化学物質(光触媒)の利用などが注目。

工藤昭彦・東京理科大教授(応用化学)は、
バナジン酸ビスマスなど2種類の光触媒を用いた。
太陽光を使った実験で、触媒が可視光に反応し、
約150ミリリットルの水から2時間で9ミリリットルの水素と
4・5ミリリットルの酸素を生成。
10~20年後には、太陽光利用で水から大量製造することが期待。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/08/25/20080825ddm016040012000c.html

甘い?辛い?いや「カルシウム味」 米で第6の味発見か

(朝日 2008年8月25日)

米ペンシルベニア州にあるモネル化学感覚センターのチームが、
カルシウムを味わうための遺伝子をマウスで確かめ、米化学会で発表。
「カルシウム味」が、第6の基本味である可能性も。

遺伝的に系統が異なる40種類のマウスに、
カルシウムを含む溶液を飲ませたところ、多くが飲むのを嫌うなか、
がぶ飲みする系統が見つかった。
遺伝子を比較した結果、カルシウムを味わうのに使う
二つの遺伝子が特定。

人間の舌は、甘み、塩味、酸味、苦み、うまみという五つの基本味を感知。
マウスの遺伝子に似たものは、人間にもあることから、
研究チームは「カルシウム味」が基本味の一つである可能性もある。

研究チームのマイケル・トルドフ博士は、
「カルシウム味は、苦みに酸味が少し加わったようなもの。
適切に表現する言葉はなく、『カルシウムっぽい』としかいいようがない」。

http://www.asahi.com/science/update/0825/TKY200808250043.html

キャンパス探訪(4)自信があるから素の姿

(読売 8月15日)

志望者やその保護者に、ありのままの姿を見せようとする大学がある。

「うちの大学は忙しい。実験や実習が多くて、夏休みは1、2週間しかないが、
その分将来への不安はない」
「おしゃれしてブランド品を持って、というような女子大のイメージは全くない」

埼玉県坂戸市で、女子栄養大学のオープンキャンパスが行われ、
オレンジ色のTシャツを着た学生2人がマイクを握った。
3年の高瀬麻梨香さん(20)と2年の秋山加奈さん(20)。
教室には、志望者の保護者ばかり約200人が集まった。

司会役の染谷忠彦常任理事(65)が、
「駄目なところを言っていいんだよ」と促すと、
2人とも「学費が高いところですね」と苦笑い。
保護者からは、「1週間の時間割は?」、「生活費はどうしているか」
といった質問が飛んだ。

保護者対象の説明会で、学生が大学生活について話す取り組みは
昨年から始まった。
キャンパスに来て、保護者は何を見て真実と感じるか。
学生にありのままに話させるのが一番いい。
業者が入る形態が増えているが、それは着飾った姿。
手作りでそのまま見せればいい」と染谷さん。
2人とは、話す中身について事前に打ち合わせもしなかった。

2007年の管理栄養士の国家試験合格者は、223人で全国トップ、
臨床検査技師も52人が合格。
養護教諭や家庭科教諭の採用試験対策を実施するなど、
様々な資格が取得できるカリキュラムを備え、学生の目的意識は高い。

入学定員約600人の小さな大学のオープンキャンパスに、
昨年度は8日間で計約5500人が訪れた。
今年は9日間に増やしたが、取得できる資格の説明や、
職員や教授、学生による個別相談が中心で、派手な催しはない。
料理と皿のコーディネートなど、体験セミナーはごくわずか。
予算は、学生へのアルバイト代、配布資料代など約500万円だけ。
7月26日には授業も行われ、教室が数百人の学生で埋め尽くされていた。

ありのままを見せると同時に、大学側が重視するのが保護者へのアドバイス
保護者説明会では、染谷常任理事が
「過保護になりすぎないで。
少子化時代の今は、学校の先生でなくて、最後は親の助言が重要。
過去の経験にプラスして今の大学がどうなっているかを知り、
子供に助言して下さい」と語りかけ、
オープンキャンパスを親子別々で見ることや、
普段の大学の様子を見学することを勧めた。

訪れた親子に好評だったのが、大学が独自に運営し、
健康管理を重視する食堂でのランチ。
もちろんメニューは普段と変わらない。
この日の人気メニューは、サバのから揚げサルサソース、
きんぴらごぼう、胚芽米ごはん。
素朴なオープンキャンパスの裏に、大学側の自信がうかがえた。

◆管理栄養士

大学・短大の学科や専攻など、厚生労働相指定の養成施設を卒業すると、
都道府県知事から免許が交付される栄養士に対し、
管理栄養士は国家試験に合格する必要。
病院の献立作りは栄養士も出来るが、保険診療での栄養食事指導は、
管理栄養士が行う。
養成施設は、中村学園大(福岡)、武庫川女子大(兵庫)など112校。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080815-OYT8T00201.htm

2008年8月26日火曜日

キャンパス探訪(3)獣医・畜産の現場公開

(読売 8月14日)

国立の単科大学が、全国から集まる志望者に畜産学の現実を見せる。

約47万頭の乳牛や肉牛が飼育される北海道の十勝平野。
帯広市に、全国唯一の畜産学部を持つ帯広畜産大学がある。
広大なキャンパスには、牧草地や農地が広がり、
牛や馬などの飼育動物のほか、モモンガやエゾリスも顔を出す。

オープンキャンパスで、人気が高いのが、獣医学課程の志望者が
同大家畜病院の診療の一端を見る「産業動物見学コース」。
同院には、道内の畜産農家から、病気になった牛や馬などの大型動物が
毎日のように送られ、診療を受けている。

「馬も、ストレスや食べ物で胃かいようになります」。
佐々木直樹准教授(41)は馬を使い、胃かいようを診断する内視鏡検査を実演。
鼻から直径8ミリ、長さ3メートルの内視鏡を入れ、モニターで胃の映像を映す。
「この馬の胃は健康ですね。
大学の5、6年生になると、内視鏡が使えるようになります」と説明すると、
約20人の参加者は感心したようにうなずいた。

佐々木教授は、「大学の獣医学教室は、ペットなど小動物向けが人気になり、
牛や馬を診療できる大学は少なくなった。
ここでは産業動物で、豊富な実践を通じた勉強ができる」

同大では、昨年度の入学者252人の約7割が、北海道以外の高校出身。
今年のオープンキャンパスも、受験予定者190人と家族ら160人が参加、
受験予定者のうち約100人が道外。
長沢秀行学長(53)は、「大学の環境や研究内容、北海道の生活などを、
家族を含めて知ってもらう絶好の機会」

講義棟では、獣医学や生命科学といった研究科目ごとに、
パネルや標本、実験器具などが展示。
食品科学のブースでは、学内の加工工場で作った
豚の腸詰めソーセージが振る舞われた。

島田謙一郎准教授(40)が、「1年生で必修の農畜産実習では、
豚の世話を1~2か月した後で解体し、ソーセージを作ります」、
舌鼓を打っていた女子高校生は、少し驚いた表情。
畜産大で学ぶ学生は、動物の貴重な生命から食品ができることを
実感してほしい」と島田准教授が強調。

親元を離れる新入生の多くは、獣医学や畜産、
食品や環境の研究への意欲が高い。
広大な自然を持つ北海道での生活や獣医、農業への漠然としたあこがれで
大学を選んでしまい、畜産業や獣医学の現場を見て、興味を失う入学者も。

学力だけで選ぶのではなく、帯広畜産大で何をやりたいかの目的意識を、
できるだけ明確に持って入学してほしい。
情報提供の努力は惜しまない」

遠方からの参加者も多いオープンキャンパスは、
学生の抱く理想と現実のミスマッチを防ぐ貴重な機会に。

◆大学の畜産研究

牛や馬など産業動物を扱う研究は、飼育や繁殖、治療など
動物に直接かかわるものだけでなく、飼料作物の栽培、
食品の加工や製造、流通、農業経営、環境など多岐に。
帯広畜産大は、獣医学(6年制)と畜産科学(4年制)の2課程。
他大学では、農学部や獣医学部が多いが、
酪農学園大学(北海道江別市)は、全国唯一の酪農学部を置く。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080814-OYT8T00198.htm

太陽光発電導入の家庭に証書、普及後押しで来月から実験

(読売 8月17日)

経済産業省は、太陽光発電システムの一般家庭への普及を
後押しするため、導入した家庭向けの「グリーン電力証書」の
発行実験を9月中にも始める。

証書は、環境問題に関心のある企業などに販売できるため、
導入費用の一部を補てんできる。
実験を踏まえ、2009年度には発行体制を整備したい。

グリーン電力証書は、太陽光や風力などの自然エネルギーを
利用して発電した電気が、通常の発電に比べてどの程度
二酸化炭素(CO2)を削減できたかを証明する文書。

風力発電やバイオマス発電では発行が進んでいるが、
家庭に多く設置されている太陽光発電では活用が遅れている。
家庭の太陽光発電は規模が小さく、1件当たりの証書発行にかかる
費用が割高になってしまうため。

実験では、住宅メーカーと太陽光発電機のメーカーが参加し、
メーカーが家庭からまとめてCO2削減分の価値を買い取って
証書を発行できるようにする。
家庭に発電量を測るメーターを取り付けて、
ネットを通じてデータを集約し、メーカーなどが新設する
証書発行会社が証書を発行。

グリーン電力証書代金は、1家庭あたり年2万~2万5000円程度と
なる見込みで、認証費用などを差し引いた金額が家庭に支払われる。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20080817-OYT1T00086.htm

5つの生活習慣で脳卒中のリスクが低下

(WebMD 8月12日)

健康的な5つの生活習慣の因子が、最も一般的な種類の
脳卒中のリスクを80%低下させるのに役立つことが明らかに。

『Circulation』で報告された研究では、
43,685例の男性と71,243例の女性の追跡調査を行った。
研究開始時の平均年齢は男性54歳、女性50歳。
研究開始時に、心臓血管疾患または癌であった被験者はいない。
被験者らは、1986 - 2002年の生活習慣と医学的状態を報告。

女性においては1,559例の脳卒中、男性においては994例の脳卒中が発生。
研究者らは、低リスクの生活習慣を次のように定義:
1)現在、喫煙していない。
2)適正体重を維持する。
体格指数(BMI)が25未満を意味。
BMIが25 - 29.9を体重超過、30以上を肥満。
3)毎日30分以上、強度が中から強の身体活動を行う。
4)「悪玉の」脂肪が少なく、野菜や果物、トリ肉や魚のような低脂肪蛋白質、
食物繊維、木の実、豆類を多く含む食事を含んだ最上の食事スコア
5)中程度のアルコール摂取。
女性の場合、1日に約1杯まで、男性の場合、1日に2杯までの飲酒。

5つの健康的な生活習慣のすべてを守った女性は、
健康的な習慣を全く守らなかった女性と比較し、
すべての脳卒中のリスクが79%低く、虚血性脳卒中が81%低い。
虚血性脳卒中は、最も一般的な脳卒中で、脳動脈が閉塞したときに発生。

5つの生活習慣因子のすべてを守る生活をしていた男性は、
5つの生活習慣因子をひとつも守らなかった男性と比較し、
すべての脳卒中のリスクが69%、虚血性脳卒中が80%低い。

ハーバード公衆衛生大学院のStephanie E. Chiuveは、
「虚血性脳卒中の半数以上、男性の52%および女性の54%は、
健康的な生活習慣を守ることによって予防できた」。
「すべての脳卒中に関して、女性の症例の47%および
男性の症例の35%は予防できた可能性があった」。

「この研究は、冠動脈性心疾患のリスクの最大80%の低下および
糖尿病のリスクの90%の低下との関連が認められている
健康的な生活習慣を守ることによって、
同じく半数以上の虚血性脳卒中を予防できる可能性を示す」

脳卒中は、米国における死因の第3位。
非致死的脳卒中は、「永続的な障害および経済的損失」の原因として最も多い。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=78655

野菜、果物で食道がんの危険半減 飲酒、喫煙習慣あっても効果

(毎日新聞社 2008年8月14日)

野菜と果物を多く食べる男性は、あまり食べない男性に比べ、
食道がんになる危険性がほぼ半減することが、
厚生労働省研究班(山地太樹・国立がんセンター予防研究部研究員)の
調査で分かった。がんに関する国際誌電子版に掲載。

研究班は95年と98年、8県の45-74歳の男性約3万9000人を対象に、
食事に関するアンケートを実施し、野菜と果物の1日あたりの摂取量を推計。
04年までに、116人が、食道がんのうち日本人の大半を占める
「扁平上皮がん」と診断。
国内の食道がんの患者は、男性が8割以上。

分析の結果、野菜と果物の合計摂取量が1日平均544グラムと
最も多いグループが食道がんになる危険性は、
最も少ない同170グラムのグループの52%。
摂取量が1日100グラム増えると、危険性は約10%減。

種類別では、キャベツや大根などのアブラナ科の野菜の摂取と、
危険性の低下に関連が認められた。

喫煙、飲酒習慣がある人でも、野菜と果物を多く食べると危険性が減った。
喫煙習慣があり、日本酒を1日2合以上飲む人では、
多く摂取する人の危険性が、少ない人より6割以上も低かった。

山地研究員は、「食道がんの予防には、禁煙、禁酒が第一だが、
野菜と果物の摂取にも予防効果が期待できる。
アブラナ科の野菜は、がんを抑制するとされる成分
『イソチオシアネート』を多く含むため、効果があるのでは」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78607

2008年8月25日月曜日

キャンパス探訪(2)1泊2日で体験授業

(読売 8月13日)

1泊2日で、観光学の一端に触れる取り組みがある。

夏休みに入ったばかりの観光地・神戸ハーバーランドを、
高校生4人が、神戸夙川学院大学の学生や教員と歩いていた。
同大のオープンキャンパスの参加者たち。
17人が4グループに分かれ、それぞれ神戸の街に繰り出した。

各グループには課題が与えられていた。
ハーバーランド組の4人は、「神戸は外国人旅行者にとって歩きやすいか」。
「お店の案内が日本語だけって、不親切だよね」。
参加者の一人、相馬寿美さん(18)が案内板を指さすと、
傍らにいた友好崇暢君(18)が、大学から貸し出されたカメラで写真を撮る。
「日本語のほかに、何か国語ぐらい表示してあればいいと思う?」。
すかさず指導役の大学生が質問を投げかけた。

同大は、観光文化学部だけの単科大学として2007年に開学。
1、2年次では、観光都市・神戸の街の魅力と課題を見極め、
観光学的視点から提言をする「調査研究」が必修科目。
オープンキャンパスで授業を疑似体験させるこの企画は、
開学前年の06年から、1泊2日で行われている。

大学に戻ると、高校生らは引率教員の研究室で議論を深め、
翌日の発表のための資料を作る。
夕食を挟んで、さらに作業を続け、ホテルに着くのは午後9時過ぎ。
翌日も午前11時からの発表会に備えて、
朝から打ち合わせをするハードなスケジュール。

発表会には、教授陣のほか、学外から観光関係者も見学に訪れる。
指導役の大学生も高校生も、少しでも良い発表をしようと、
模造紙にイラストを描き込むなど、発表の手法にも工夫を凝らす。
友好君は、「小中高とは、勉強の仕方が全然違う」

入試広報担当の植松幹雄課長(38)は、
「学生にとっても、日ごろの勉強の意味を再認識できるし、
指導する側に回ることで、より理解が深められる」

1泊2日型オープンキャンパスの今年の参加希望者は、約120人。
7~9月の週末に計4回開催。
7月19、20日の初回は島根県から、8月2、3日の2回目には
福岡県や愛知県からの参加者も。

この2年間で、説明会や学内見学を組み合わせた通常のオープンキャンパス
参加者の出願率が5割未満なのに対し、
1泊2日のオープンキャンパス参加者の出願率は7割超。
入学後も、勉学意欲がかなり高い。

観光系に焦点を絞り、いくつかの大学のオープンキャンパスに
参加しているという相馬さんは、「良いところばかりを強調したり、
遊びのような内容だったりの大学にはがっかりしていた。
入学後の勉強がイメージできてよかった」

バラ色のキャンパスライフだけを見せていても、高校生の心はつかめない。

◆観光系の学部

4年制大学では、立教大が観光学科を1998年に観光学部に
改組したのが第1号。
政府が2003年に、日本を訪れる外国人旅行者を倍増させる方針を
打ち出したこともあり、城西国際大(06年)、和歌山大(08年)など、
観光学部を設ける大学が増加。
現在、観光関連の学部や学科を持つのは37大学。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080813-OYT8T00236.htm

糖尿病体質示す遺伝子特定 日本の2グループ同時発表

(共同通信社 2008年8月18日)

成人が発症し、糖尿病患者の約95%を占める2型糖尿病の
なりやすさに強くかかわる遺伝子を、国立国際医療センターと
理化学研究所が中心となった2つのグループが、
日本人を対象にした別々の研究で突き止め、
米科学誌ネイチャージェネティクス電子版に同時発表。

特定した遺伝子は「KCNQ1」。
従来、心臓の筋肉の動きに重要であることが知られていた。
この遺伝子の塩基配列にわずかな違いがあると、
2型糖尿病を発症する危険性が1・3-1・4倍に高まる。

2型糖尿病に関連する遺伝子は、欧米人対象の解析で数種類
見つかっていたが、アジア人で特定されるのは初めて。
予防のための体質診断や、新しい治療法の開発につながると期待。

両グループは、患者と一般人で、遺伝子の塩基配列が1カ所だけ異なる
「1塩基多型(SNP)」があるかどうかを調べ、
発症との関連を統計学的に分析。

国際医療センターの春日雅人研究所長らは、日本人の患者と
一般人計約8800人分を解析。
この遺伝子に特定のSNPがあると、血糖を下げるインスリンの
膵臓からの分泌を低下させる可能性があることが分かった。

理研の前田士郎チームリーダーらも計約9300人分を調べ、
この遺伝子が日本人患者の約2割の発症にかかわっていると試算。

両グループは、中国人、韓国人、シンガポール人、フィンランド人、
デンマーク人でもそれぞれ数千人規模で調査。
人種によらず発症に強く関連することを確認。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78659

高齢者の疲労は病気に直結する

(WebMD 2008年8月14日)

高齢者が極度の疲労を訴えてきたら、深刻に受け止めるべきだ、
とコロンビア大学の研究者らが研究の結果、医師に求めた。

1989~1995年まで行われた研究に、2,130人が参加。
平均年齢は74歳、参加者の20%は80歳以上。大多数が女性。
参加者はすべて65歳以上、マンハッタン150丁目の北に位置する
「ターゲット地区」の住人。
コロンビア大学のHuai Chengらは、
「ターゲット地区は貧困・犯罪・失業率が高い」。

参加者のうち、33%がアフリカ系、47%がラテン系アメリカ人、20%が白人。
参加者らは、1989年の研究開始時に評価を受け、
1995年まで18ヵ月ごとに検査を繰り返した。

◆高齢者の疲労

1)元気が出なくて、ぼんやり座っていることがありますか?
肉体的衰えを先月感じましたか?
2)最近十分な元気がでませんか?
起床時に疲れたと感じたり、1日2時間以上昼寝をすることがありますか?

研究者らは身体的、精神的健康の特徴を評価。
どのくらい医療施設を利用したかも尋ねた。

◆結果

1)エネルギー不足(エネルギー欠乏症)は、男性より女性に多い。
女性の22%がエネルギー不足、男性は12%。

2)エネルギー不足の人は、エネルギー欠乏でない人より
研究期間中に死亡する率が高い。

3)既婚者より未婚者に、エネルギー不足の人が多く(13%対21%)、しかも高齢。
エネルギー不足は、休み休みでないと数ブロックも歩けない、
以前より日常生活動作を行う能力に支障があるなど、
体調の悪さ(参加者の報告による)と身体機能の低下に直結。
関節障害、鎮痛薬の服用、尿失禁、難聴、うつ、社会的隔離にも
つながる可能性が高かった。

4)エネルギー不足の人は、救急治療室、外来診療、訪問医療サービスを含め、
激しく疲れていない人よりも病院にかかる回数が多い。

Mathew Maurerは、疲労の訴え以上に患者の話をよく聞く必要がある。
「高齢の患者が疲れていると訴えると、ほとんどの医者は
『そうでしょう、高齢ですからね』と言う。
だるい感じは、老化で予測される現象のひとつだと医者は言うが、
疲労の原因はあるはずで、それを調べる必要がある。

我々の研究が臨床医の皆さんに託すメッセージは、
エネルギー不足は高齢者に多いけれども正常な状態ではない、ということ」。
エネルギー不足は、記憶障害や転倒といった「老人症候群」の1要素。
心臓疾患、腎・肺障害、うつ、関節炎、貧血とも関連。

Barry Gurlandは、年を取るとどうなるか探ることは重要。
「エネルギー欠乏症の原因を解明することによって、
老人の治療介入範囲が広がり、高齢者が生活の質を維持できるようになる」。
『Journal of Gerontology』に発表。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=78605

記憶力向上させる化合物を発見 ターメリックから合成

(共同通信社 2008年8月19日)

武蔵野大学薬学部の阿部和穂教授らは、
カレーの香辛料として使われているターメリックの含有成分から
合成した化合物「CNB-001」が、記憶力を向上させる効果があることを
マウスを使った実験で発見。

ターメリックに含まれるクルクミンという化合物には、
アルツハイマー病の原因物質と目されている
「アミロイドベータタンパク」の蓄積を防ぐ効果があることが知られているが、
阿部教授は米ソーク研究所のデビッド・シューベルト博士と共同で、
クルクミンと誘導化合物の脳に対する作用を研究。

クルクミンの化学構造を少し変えて、「CNB-001」を合成させることに成功。
「CNB-001」は、新しい認知症治療薬候補になると期待、
研究結果は米老年医学専門誌最新号に掲載。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78724

2008年8月24日日曜日

アルツハイマー病治療に光 記憶障害改善に成功 理研チーム

(毎日新聞社 2008年8月21日)

アルツハイマー病によって起きる記憶障害の仕組みを明らかにし、
改善させることに、理化学研究所などの研究チームが
マウスを使った動物実験で成功。
アルツハイマー病の新たな治療法の開発につながる可能性。
米科学誌プロス・ワンに発表。

アルツハイマー病では、神経細胞にベータアミロイドと呼ばれる
異常たんぱく質が蓄積。
研究チームは、このたんぱく質をたまりやすく遺伝子操作した
マウスの脳内を詳しく調べた。

その結果、記憶をつかさどる海馬で、刺激の伝達を抑制する
神経伝達物質「GABA」の働きが通常のマウスより約3倍も活発

このマウスに、GABAの働きを阻害する薬剤を注射したところ、
迷路を使った実験で記憶力が改善することが確認。

吉池裕二・理化学研究所研究員(神経生理学)は、
「脳が正常に働くには、抑制と興奮のバランスが保たれることが重要。
GABAによる異常な抑制を改善することが、記憶力を取り戻すことに
役立つ可能性が示された」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78882

キャンパス探訪(1)「美術離れ防げ」ライバル連携

(読売 8月12日)

美術離れへの危機感が、ライバルの手を結ばせた。
武蔵野美術大は、高校生やその保護者らを案内する
赤や黄色のTシャツ姿の学生であふれていた。
タワシやスポンジに絵の具を含ませ、来場者と一緒に
校舎の壁面いっぱいの紙に絵を描く学生たちも。

オープンキャンパスが開かれている同大の一室のスクリーンに、
「ムサビVSタマビ」、「ムサビ&タマビ」の文字が点滅。
スクリーンを背に、「多彩な才能が集まるムサビ」、「タマビは原石の魅力!」
と2人の男性が大学自慢をし合う。
武蔵野美術大企画広報課(現法人企画室)の千羽一郎さん(37)と、
多摩美術大企画課の米山建一さん(35)だ。

話題は、美術の魅力や大学の歴史からキャンパスの変人自慢にまで及んだ。
「全裸の男子学生が走り回るのを見た女子学生が、
静かに『春だね~』って……」、
「炎天下で突然、特設噴水を造った学生たちがいた。すぐに撤去されたけど」

オープンキャンパスの裏方による異色の「バトルトーク」。
帝国美術学校を母体とし、戦前にたもとを分かった両校が
初めて取り組んだ試みは、来場者約140人の笑顔に受け入れられた。
「偏差値教育の中で、美術は軽視されてきた。
深い思考を必要とする美術の重要性を訴えたい。
受験生の争奪戦に血道を上げている場合ではない」
甲田洋二・武蔵野美術大学長(69)が意義を強調。

武蔵野美術大のオープンキャンパスは2001年スタート。
最初は8月だったが、翌年には6月に移した。
夏休みは構内が整然としているが、美大の魅力は学生のエネルギー。
雑然としていても、制作で活気がある時期に日常を見せる方が意味がある。

オープンキャンパスの定番である学食の無料体験や、
最寄り駅とのバスによる無料送迎はない。
特別のサービスは、日常にはそぐわないから。
試行錯誤しながら、千羽さんには物足りなさが残った。
広報担当として、年間約100の高校を訪れる日々で、強い違和感。

偏差値で受験大学を絞り、最後に「絵がうまいから」と
美大を薦める進路指導の教師。
専門学校で美大受験の技術を磨いているのに、
「何を描きたいか」を語れない高校生。
「誤解されている。作品から何を伝えたいかを深く考え、
学ぶ場が美大ではないか」。
それを早い時期に伝えないと、美大ひいては美術離れを加速させてしまう。
その懸念が企画の出発点。

以前、1枚しかパンを焼けないトースターが雑誌などで話題に。
武蔵野美術大教員が開発した商品だった。
デザインの面白さだけではない。
2枚焼けない不便さよりも、焼き上がった1枚を「お先に」と譲り合うか
半分に切るか、少しのゆとりと思いやりを持ってほしいというメッセージが受けた。

大切なのは、小手先の技術ではない。
ふだん何気なく見過ごしている日常風景を体全体でつかみ、
表現する力を養うため、同大の一部学科では、入学後まもない時期に、
目隠しをして素足で構内を伝い歩きする授業がある。

千羽さんは、こうした授業などを通し、大学で培った物事への洞察力を
深めてもらいたいと考え、こんなエピソードを幅広く知らせることで、
高校生に美大を選ぶ本当の意味を伝えられないかと思うように。
その思いにいち早く反応したのが、広報担当としてつきあいのあった米山さん。
「美術には夢と未来がある。それをわかってもらおう」と快諾。

2人が向き合うテーブルの上には、女子美術大や名古屋造形大の
広報担当者から送られた花かごも。企画への共感は広がっている。

大学のオープンキャンパスが最盛期。
週末ともなると、全国各地で、工夫を凝らした受験生確保の“夏の陣”が展開。

原型は、入試傾向や大学の概要を説明する「進学相談会」。
1970年代に始まり、80年代には「オープンキャンパス」という名称で、
首都圏を中心に広がった。
現在では開催しない大学の方が珍しく、
受験生が大学選びの判断材料を探す場に。

学食体験、模擬授業、教員や上級生による進学・受験相談会のほか、
ケーキバイキングやオリジナル文具配布といった集客に工夫を凝らす大学も。
観光学部の学生に、近隣の観光案内をさせるなど、
大学生自身の学びに活用する大学も。

◆芸術系細分化で受験生分散

今年6月に約37万人が受けたベネッセコーポレーションの進研模試で、
芸術系の志望者総数は、前年並みの約5万5000人。
ここ数年横ばい状態。
工学部や生活科学部などにデザインやインテリアを学べる学科を
設ける大学が増えるなど、芸術系が細分化されており、
限られた受験生を取り合う状態に。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080812-OYT8T00235.htm

地球温暖化でアレルギーと喘息が増加

(WebMD 2008年8月14日)

地球温暖化が喘息患者とアレルギー患者の脅威となる。
『Journal of Allergy and Clinical Immunology』9月号に掲載された
レビューでは、次のような予測。

1)アレルギーの流行期の状況が悪化。
気候が温暖になるということは、春の開花が早まり、
ブタクサやヨモギといった秋のアレルゲンの飛散期が長くなる。
温暖化とは、植物や花粉が増えること。

2)喘息の主要条件。
大気汚染が進み、オゾンが増え、山火事が多くなると、
大気質が低下して喘息が悪化する。
アレルギーや喘息のある患者では、「病気が悪化するリスクが高まり、
症状を訴える日が増え、QOL(生活の質)が低下する」、
温暖化によりアレルギーや喘息の発症が増える可能性があると、
ノースカロライナ大学公衆衛生学部のKatherine Sheaらは述べている。

米環境保護庁の報告では、地球温暖化により生じる可能性のある
健康リスクの一覧に喘息が掲載。
Shea博士らは、日々の大気質報告と花粉数の調べ方や解釈の仕方を、
医師が患者に教えることを提言。
「気候変動課題を検討する中枢施設で、ヒトの健康を守るために活動する
支持者(champion)を、世界中から集める必要がある」

自転車の使用、徒歩での移動、公共輸送機関の使用、
地元で取れた青果物の摂取や肉食の制限が、
ヒトの健康だけでなく気候にも良いことを指摘。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=78606

脳細胞がロボット制御 英チーム、ラットで成功

(共同通信社 2008年8月14日)

培養したラットの脳細胞が出す電気信号で、
小型ロボットを障害物にぶつからないように動かす実験に成功したと、
英レディング大の研究チームが発表。

人間やコンピューターからの指示は一切なかった。
脳の発達や記憶の仕組みの解明に役立つほか、
生体の脳で機械を直接制御する技術として注目。

チームによると、ラットの胎児から脳細胞を採取して、
酵素でばらばらにし、約60の電極が付いた小さな容器に入れて培養。
脳細胞が成長して出すようになった電気信号を、
円筒形の二輪走行ロボットに無線で送り、ロボットを動かした。

ロボットには、超音波センサーを搭載。
障害物に近づくと、特別な刺激が脳細胞側に送られるようにした。
ロボットは、最初は障害物に衝突を繰り返したが、
そのうち"学習"して衝突を回避。

「培養した脳で、ロボットを動かした最初の例」。
さまざまな刺激を与えて、特定の動きをさせるよう訓練する。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78597