2008年8月28日木曜日

キャンパス探訪(5)業者の手法 学生に刺激

(読売 8月16日)

オープンキャンパスの業者委託が、在校生を刺激した。

初日、午前9時の気温が30度超。
中央大学には、最高の来場者数となる約7400人が詰めかけた。
その熱気の中で、法学部4年の飯島綾佳さん(22)が
「キャンパス、広いでしょ。勉強と遊びの両方を楽しめますよ」と
明るい声で大学自慢を始めた。

中大のオープンキャンパスは、前から学生が主役。
大学職員と一緒に計画を立て、サークル紹介までしている。
今年は、3日間で140人の学生が参加。
飯島さんは、2年続けて学生リーダーを務めるベテラン。

高校生が、「学生のガイドは親近感があり、わかりやすかった」。
飯島さんは、「こんなに大勢の来場者に感激」と笑顔でこたえる。
その表情に、昨年の屈託はなかった。

中大がオープンキャンパスの原型となる進学相談会を始めたのは、1984年。
広報担当の職員と学生数人だけで、切り盛りするこぢんまりした会。
担当職員も卒業生が多く、部屋は自然と学生のたまり場に。

そのうち、「自分たちで大学を紹介しよう」と話が盛り上がり、
高校生の申し込みを受けて学内を案内する「ツアーコンダクター」が始まった。
相談会も、キャンパス全体を使った大がかりな催しへと模様替え。

来場者の急増で、大学側は安全対策に頭を悩ませ、
昨年から誘導などをイベント業者に委託。
他大学では、企画から運営まで一括して請け負った実績を持つ業者だが、
中大では限定的な委託にとどめた。

しかし、学生スタッフには寝耳に水。
当日、受付係の学生と業者が、立つ場所を巡って険悪なやりとりをする場面も。
夜の反省会では、学生から「オープンキャンパスはだれのもの?」、
「何で私たちが企業に使われるの」と不満が噴き出した。

同時に、学生たちは思い知らされていた。
食堂でいつもの混乱がなかったのは、イベント業者が混雑状況や売店の場所を
的確に把握して放送したため。
特設案内所を、目立つ場所に置いたのも好評。
道に迷う来場者にいち早く声をかけていたのは、学生ではなく業者。

「主役は、来てくれる高校生。学べるところは学んで、協力していこうよ」。
飯島さんの一言で、ようやく学生たちに笑顔が戻った。

今年は、事前研修が3回開かれ、業者も同席。
席上、大学の広報担当者が「みんなで力を合わせなければ、うまくいかない」。
「『大学生になったらこんな人になりたい、ここで学生生活を過ごしたい』と
高校生に夢を持ってもらえる1日にしたい」と飯島さんは意欲を燃やす。
夏の大イベントは、学生の成長を促す場ともなっている。

◆進路選択まず「何を学ぶか」

全国高等学校進路指導協議会では、
〈1〉得意教科や将来の仕事などから志望校を検討
〈2〉情報を集めて比較
〈3〉入試制度を整理
〈4〉費用や保護者との話し合いなど、進学条件の整理
の4段階を踏まえた進学先選びを勧める。
オープンキャンパスは情報収集の機会だが、
同協議会の千葉吉裕事務局長は、「何を学びたいか、どんな夢を持っているか、
自分自身を把握していることが大切」と助言。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080816-OYT8T00197.htm

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