2009年8月1日土曜日

自民政権公約案の要旨

(2009年7月29日 読売新聞)

自民党政権公約案の要旨は、次の通り。

【地方分権】
▽国の出先機関の廃止、補助金・税配分の見直しなどの
「新地方分権一括法案」の成立
▽直轄事業負担金制度の抜本見直し
▽全国知事会などの「政権公約に対する要請」について実現に努力
▽「道州制基本法」を早期に制定
▽2017年までに道州制を導入

【国会改革】
▽次々回の総選挙から衆院議員定数を1割以上削減、
10年後に衆参議員定数の3割以上を削減
▽引退する議員の配偶者と3親等内の親族が同じ選挙区で
立候補する場合、次々回の総選挙から公認・推薦せず、
「世襲候補」を制限

【公務員改革】
▽「天下り」、「渡り」は全面的に禁止
▽65歳以上の天下りの常勤役員の禁止
▽国家公務員を2015年までに8万人以上削減

【子育て・教育】
▽今後4年間で3-5歳児への教育を無償化
▽低所得者の授業料無償化
▽就学援助制度の創設
▽新たな給付型奨学金の創設

【雇用】
▽若者の正規雇用援助
▽日雇い派遣の原則禁止
▽働きやすい環境を作るため労働派遣法の改正

【医療・年金】
▽診療報酬のプラス改定
▽今後3年間で介護施設充実
▽無年金・低年金対策の強化
▽在職老齢年金の見直し
▽年金制度の抜本改革について法律による超党派の協議機関を設立
▽日本年金機構の設立など年金記録問題の早期救済

【外交・安全保障】
▽日米同盟堅持が基本
▽集団的自衛権の政府見解の見直しを含め、
必要な安保関係の法律を再構築
▽北方領土問題や竹島問題に毅然と対応
▽拉致問題が解決しない限り、対北朝鮮支援を実施せず
▽自衛隊が素早く平和協力活動に参加するための法律を制定

【憲法改正】
▽憲法審査会を早急に動かし、憲法改正を実現

【税制】
▽今後10年以内に国と地方の基礎的財政収支
(プライマリーバランス)黒字化
▽消費税を含む税制を経済回復後に見直す準備を推進
▽消費税の社会保障・少子化対策への特化
▽社会保障番号・カードの導入

【教育】
▽基礎学力の向上
▽道徳教育や伝統文化教育を強化
▽「スポーツ基本法」制定、スポーツ庁の創設

【農林水産業】
▽食料自給率50%を目標に意欲ある農家の経営をサポートし、
所得を増大
▽国産木材の利用拡大
▽水産業への新たな就業支援

【環境】
▽「低炭素社会づくり推進基本法」制定
▽世界全体の温室効果ガス排出削減を主導

【経済政策】
▽経済成長戦略で10年以内に1人当たり国民所得を
世界トップに引き上げ
▽2010年後半に経済成長率2%を実現

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/29/105063/

メタボリックシンドローム、仕組みを解明 免疫細胞が炎症誘発 東大、マウス実験で

(2009年7月27日 毎日新聞社)

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の原因となる
内臓脂肪の炎症が起きる仕組みを、
永井良三・東京大大学院医学系研究科教授らが、
マウス実験で突き止めた。

免疫細胞の一つ、Tリンパ球が炎症の引き金に。
メタボリックシンドロームの治療薬開発につながる。
26日付の米専門誌「ネイチャーメディスン」(電子版)に掲載。

内臓脂肪が蓄積し、脂肪細胞が大きくなると、
白血球の仲間のマクロファージなど、免疫細胞が集まって
慢性的な炎症が起きる。
炎症により、インスリンの効きが悪くなることなどが
マウス実験で分かっており、動脈硬化や糖尿病などにつながる。
しかし、炎症の起きる仕組みはなぞ。

永井教授らは、高脂肪食を与えた肥満マウスと
通常の食事を与えたマウスを比較。
その結果、肥満マウスは病原菌を撃退する
「CD8陽性Tリンパ球」が、マクロファージより先に増えていた。

このリンパ球を減らしたり、存在しないマウスを作製して調べると、
高脂肪食を与えても、内臓脂肪組織に炎症が起きないことが判明。
一度炎症が起きたマウスから、このリンパ球を取り除くと、
内臓脂肪の炎症が抑えられ、
インスリンの効きが改善されることなども分かった。

真鍋一郎・東京大大学院医学系研究科特任准教授(循環器内科)は、
「このTリンパ球は免疫機能にとって重要で、
すべてを除去するのは難しい。
脂肪組織の肥満化によって、Tリンパ球を活性化させる物質を
見つけられれば、それを制御することで、
メタボリックシンドロームの治療薬開発につながる可能性がある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/27/104956/

オフィスでエクササイズ すき間時間にチョコチョコ継続

(日経 7月15日)

健康診断の結果を見て、暗い気持ちになったビジネスパーソンは
多いのではないか。
多忙な中、フィットネスクラブに定期的に通うのは難しいし、
食事制限を続けるのも大変。

総合情報サイト「オールアバウト」で、「男のボディケア」のテーマで
記事を書いている森俊憲さんに、オフィスでも手軽にできる
エクササイズを紹介。

運動は、継続してこそ効果を発揮。
高すぎる目標を掲げても、実際には長続きしない。
少しずつでも確実に実践し続けることが大切。

今回紹介するのは、いすに座ったまま短時間で手軽にできる
「オフィスエクササイズ」。
昼休みや会議の合間など、ちょっとしたすき間の時間を活用して、
効果的な運動ができる。代表的なメニューを3つ。

1)指先を鎖骨の近くに置いたまま肩を大きく回す
「ローテートショルダー」。
肩甲骨の周りを大きく動かし、ほぐすことで肩や首筋の緊張を解く。
目の疲れを和らげる効果も。

手順は、指先を鎖骨の近くに置き、そこを支点に指先を付けたまま
ゆっくりと肩を大きく回す。肩甲骨をしっかりと動かし、
ひじで大きな両輪を描く。前後それぞれ5回。
大きく深呼吸しながら行うと、より高い効果。
胸を張って、背筋を伸ばした状態を保つ。

次に「レッグエクステンション」。
たるんだおなかを引き締めるのに最適。
手軽にできるメタボリックシンドローム対策。

いすに浅めに座って背筋をピンと伸ばし、両手を腰に置いて
バランスを取りながら、ゆっくりと片足を伸ばす。
いすの座面と、平行になるぐらいまで足を浮かす。
足を曲げたり伸ばしたりを、左右の足ごとに5回。
浮かしていない足を床につけないと、より効果的。

足の曲げ伸ばしをするとき、背筋を必ず伸ばす。
できるだけふらつかないように頑張る。

最後に、「チェストアイソメトリックス」。
ターゲットは、胸の内側の筋肉と二の腕。
引き締まった胸を作り、二の腕にできがちな「たるみ」を解消。
メタボ対策、気分転換や集中力アップに。

胸の前で手のひらを合わせた状態で、強く押し合う。
手に力を込めたまま、ゆっくりと腕を前方に伸ばす。
ひじを伸ばしきったところで、5秒間静止。5回繰り返し。

常に力を入れたまま、両手でしっかりと押し合うのがポイント。
あせらず、じっくりと腕を伸ばす。

紹介したエクササイズは、体形を管理し、血圧・コレステロールの
調整機能を整え、生活習慣病の予防につながる。
目の疲れや肩こりも解消し、仕事へのやる気や生産性も高まる。

健康でなければ、能力をフルに発揮できない。
オフィスエクササイズを習慣にし、
仕事で十分な成果をあげられるように。

◆メタボリックシンドローム

内臓脂肪症候群とも言われ、心筋梗塞や動脈硬化と密接に
関係している病態。
内臓脂肪型の肥満(腹囲が男性85cm以上、女性が90cm以上)、
高血圧、高血糖、脂質異常のうち、2つ以上が重なった場合にメタボ。
解消には、食事などの生活習慣を改める必要。
特定健診・特定保健指導が、2008年4月から開始。
該当者とその予備軍を合わせ、1900万人に達する。

◆もり・としのり

大学卒業後、京セラや大手携帯電話会社で働き、
独自のフィットネストレーニングのノウハウを確立。
2007年、ボディクエストを設立、「代表取締役ボディデザイナー」就任。
トレーニングプログラムをインターネットで配信する
「オンラインフィットネス」事業。
日本トレーニング指導者協会員。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090715.html

県内NPO法人、認証件数が鈍化 自主財源確保が課題

(岩手日報 7月28日)

県内の特定非営利活動法人(NPO法人)数は、
2008年度320団体に上る。
福祉、環境などさまざまな領域で活動しているが、
08年度の認証件数は15件と、ピーク時の約4分の1に減少。
解散件数は7件と、過去最多。

寄付金や会費、独自事業など、自主財源で活動する団体はわずかで、
大半は自治体などの補助金などでやりくりしているのが実情。
特定非営利活動促進法施行から10年余が経過。
法人の在り方を問い直す時期に来ている。

県NPO・文化国際課によると、本県のNPO法人の認証件数は、
1999年度以降、ほぼ毎年度増加。
05年度の56件をピークに減少に転じ、08年度は15件と、
認証開始当初の水準となった。

解散件数は計19件。
02、04、05年度が各1件、06年度4件、07年度5件、
08年度7件と年々増加。

運営資金は、独自事業で工面したり、行政や民間団体の補助金や
委託金などで賄う方法があるが、補助金などに依存しているケースも多い。
補助金などに依存すると、交付基準などがネックとなって、
自主性の高い事業が難しくなる面。

二戸市のカシオペア連邦地域づくりサポーターズ(湯川秀俊代表)は、
県補助と自己資金を2分の1ずつ用意し、地域づくり団体に
助成金を出す事業を9年間続けてきた。
資金難で、自己資金を用意することが困難になり、
10年度事業の資金の目途は立っていない。
湯川代表は、「来年度以降も何らかの形で支援を続けたい」

「新しい公共の創造」をテーマに掲げる「いわてNPOセンター」(盛岡市)は、
08年度収入の9割弱を補助金や委託金などで占めた。
経営企画室の遠藤勝見マネージャーは、
「活動終了後に、お金が交付される事業もある。
ある程度の資金がないと受けられない」とやり繰りの難しさを口にする。

盛岡市で認知症専門の介護施設を運営する「第二のわが家」
(熊谷由紀子、小野寺アキ子両代表)は、
事業の目的が明確で、地域ニーズとも一致し、
初年度(04年度)から黒字が続く。
職員15人には、ボーナスも支給。

県NPO・文化国際課の岩間隆総括課長は、
「NPO法人は、立ち止まって足元を見つめる時期を迎えた。
独自財源の確保が大きな課題。
助成金獲得方法なども含め、総合的に支援していく」と支援策を模索。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090728_15

2009年7月31日金曜日

東大の研究グループがメタボ症候群の発症メカニズムを解明

(日経ヘルス 7月27日)

メタボリック症候群の発症過程では、肥大化した内臓脂肪の周囲に
一種の“炎症状態”が起こることが知られてきている。
東京大学の研究チームが、この炎症状態を詳細に顕微鏡で観察、
炎症前の段階に、CD8陽性Tリンパ球が働いていること、
Tリンパ球を抑え込むと、内臓脂肪の“炎症状態”が生じない
ことがわかったと発表。

東京大学大学院医学系研究科の永井良三教授らのチームで、
7月26日付の米科学誌ネイチャー・メディスン(電子版)に掲載。

メタボの過程では、脂質の取りすぎなどにより、
内臓脂肪の細胞一つ一つが、最大で直径3倍くらいになるまで肥大。
肥大すると、そこから出されるたんぱく質のサイトカインが信号となって、
全身の血管内に血栓ができやすくなったり、炎症が起こりやすくなる。
肥大した脂肪細胞の周囲にも、マクロファージが集まって
炎症が起きていると考えられている。

東京大学のチームでは、「実際に何が起きているかを、特殊な顕微鏡
(レーザー共焦点顕微鏡)を使って詳しく観察した」
(同研究チームの真鍋一郎・特任准教授)。
肥大化した脂肪細胞の周囲では、マクロファージがたくさん集まって、
炎症が起きていることが画像でも確かめられた。
「脂肪細胞に周囲に集まっている物質を網羅的に解析したところ、
マクロファージが集まるかなり以前、CD8陽性Tリンパ球が
増えていることがわかった」

CD8陽性Tリンパ球の働きを抑える実験
(Tリンパ球の抗体を投与し、Tリンパ球の働きを8割ほど減らす実験、
CD8陽性Tリンパ球を全く作れないマウスを使った実験)をしたところ、
いずれの場合もマクロファージの増加が大幅に抑制され、
脂肪組織の炎症が抑えられた。
同時に、全身の糖代謝やインスリンの効きも良くなり、
糖尿病の病態が改善。

「CD8陽性Tリンパ球が、メタボリックシンドロームを引き起こす
脂肪組織の炎症に必須であることがわかった」

CD8陽性Tリンパ球は、通常、細菌やウイルスのような
異物が入ったとき、感染してしまった細胞を攻撃して殺すために
絶対に必要な細胞。
脂肪細胞の炎症を抑える目的であっても、
完全に働かなくするわけにはいかない。

「今回の研究を治療に生かす場合、CD8陽性Tリンパ球の
ある働きだけを抑えるような方法が考えられる」(真鍋准教授)。
「何をきっかけに、CD8陽性Tリンパ球が増えるのか、
今後はその物質を特定する必要がある」(永井教授)。
それができれば、メタボになっても糖尿病や動脈硬化の発症を
抑えるような薬を開発できる可能性がある。

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20090727/103644/

乙女心を射止めた腕時計のヒミツ

(日経 2009-07-25)

低迷が続く国内腕時計市場。
世界的な景気後退が追い打ちをかけるが、そんな逆風下、
20~30歳代の“女子”向け腕時計で、ヒット作が相次いでいる。
人気の秘密は、手ごろな価格とセンスのいいデザイン。

東京・渋谷のファッションビル「シブヤ109」を発信地とする
「マルキュー系」などのカジュアル系ファッションブランドと同じく、
ちょっぴりすました「等身大」の演出が乙女心をくすぐる。

セイコーウオッチが、5月に発売した女性向け腕時計「ワイアード エフ」。
女性誌の表紙をひんぱんに飾る人気モデル、梨花さん(36)が
プロデュースした新機種(1万5750~2万6250円)は、
発売前から予約が殺到、発売とほぼ同時に売り切れ。
発売の際、いつもの新機種と同程度の本数しか用意しなかった。
営業担当者いわく、「すごい爆発力。販売予測が甘過ぎた」

「梨花ちゃんのデザインは、ドレッシーかつ、かわいくて
とっても使いやすそう!」、「梨花さんの時計かわいい!!
欲しいです(*^o^*)」――。
「ワイアード エフ」の携帯サイトには、梨花モデルを試した
20~30歳代女性たちの感想が並ぶ。

デザインは、至って質素。
日本人の肌色に合うといわれる黒や薄茶をベースに、
縦に長い楕円形のケースやサテン調のベルトなど、落ち着いた雰囲気。

実は当初のデザイン案は、文字盤も大ぶりで、
赤やピンクで彩った派手なものだった。
しかし、梨花さんの「(若い女性が求めているものは)
こういう派手なものじゃなくて、全く違うんですよね」
との一言で大きく方針転換。
梨花さんが描いたイメージ画などを基に、打ち合わせを重ね、
シンプルなデザインに落ち着いた。

担当した商品企画2部の河村直美さん(32)は、ヒットの背景を、
「梨花さんの考え方や服装、アクセサリーが若い女性の支持を集めた」

梨花さんのブログの閲覧件数は、1日約80万件に上る。
飾り気なく語られる、ちょっとおしゃれな日々の生活の様子に、
人気が集まる。
ブログにも腕時計にも、共通しているのは「常に自然体で語る、
等身大な梨花さんへの共感」(河村さん)。

梨花モデルを、「かわいい」と評した26歳の女性会社員に聞いた。
時計自体のデザインが優れていたのか、それとも梨花さんのデザイン
だからかわいく見えたのか?
答えは後者。
「梨花モデルと知らなければ、『かわいい』とは思わなかった。
梨花の時計だったからこそ、『かわいい』と共感できた」

オリエント時計が昨年末に発売した、「iO(イオ) シューティングスター」
シリーズ(1万3650~2万4150円)。
10歳代後半から20歳代前半の女性をターゲットに、
流れ星をモチーフにポップなデザインを採用。
旧シリーズの5割増しの初回生産量を準備したにもかかわらず、
予想を上回る売れ行きで欠品となったモデルも。

企画コンセプトは、「私の好きなもの」。
商品企画には、20歳代から30歳代前半の同社の女性社員7人。
「この時計を着ける子ってこんな性格だよね」、
「きっとこんな服を着て、こういうお店に買い物に行くるはず」。
腕時計のターゲット像を、具体的なイメージに掘り下げていく。

その上で「こんな形はどう?」、「流れ星ってかわいいよね」。
自分が理想とするイメージを重ね合わせ、内容をその場で
イラストにしてデザインを決めた。
「おしゃべり」の中で固めていったコンセプトが、
ほぼ同世代のハートを射止めた。

彼女たちの購買意欲を刺激したのが、腕時計としては
手の届きやすい1万~2万円の価格設定。
高級化が進んでいた腕時計のイメージからすれば、
ちょっとしたお得感がうれしい。
腕時計にステータスを求める男性とは違う。

これまでも、同じような価格帯の若い女性向けの腕時計が
なかったわけではない。
まるで抑えた価格を補うかのように、あえて派手な色を使ったり、
ラメを施したりと、意匠と価格のバランスに欠けるものが少なくなかった。
働く20~30歳代の元気はつらつ「女子」にはチープに映ったのか、
支持を集めるには至らなかった。

リクルートの20~30歳代女性向け無料情報誌「L25」の
山本朋恵編集長は、最近の若い女性の消費傾向を
「アラカルト消費」と表現。

気に入った品々をブランドなどは気にせず、一つひとつ単品で購入し、
自分の思いのままにコーディネートする。
購入を決める際のメルクマールとなるのが、
「流行を追いつつも、自らの個性を表現できる」(山本氏)こと。

欧米ブランドの超高級品か、安価な実用品か――。
梨花モデルや「私たちの好きなもの」とのコンセプト商品は、
その間の溝を埋め、「等身大の自分らしさをテーマにした
『アラカルト消費』にあった価値観を提供した」(同)。

「いかにモノに、個性や物語を持たせるか」から、
「顧客の個性をいかに最大限にいかせるか」へ。
商品企画の基点が大きく変わってきたようだ。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/syohi/syo090724.html

緑化をしのぐヒートアイランド対策

(日経 2009-07-24)

都市のヒートアイランド対策に威力を発揮しそうな、
新タイプの「日よけ」が注目。
京都大学大学院の酒井敏教授が考案した「フラクタル日よけ」。

葉っぱが茂る樹木を模した構造で、木陰のような涼しさを感じられる。
一見ローテクだが、その設計にはヒートアイランド研究の常識を
ひっくり返すような発想が入っている。

日本科学未来館の玄関前、「シェルピンスキーの森」と名付けた
日よけが設置。
8月末までの予定で、気温などのデータをとって、
冷却効果を確かめる実験。

酒井教授らが企画・設計、製作は積水化学工業の関連会社、
積水インテグレーテッドリサーチが担当。

屋根部分は樹脂製で、三角形のとんがり帽子を集めたような形。
構造には、「フラクタル」の一種である「シェルピンスキー四面体」を採用。
フラクタルは、数学者のマンデルブローが導入した幾何学の概念。
全体と部分の形が相似形をなし、海岸線や樹木の枝分かれの構造など、
自然界に広く存在する。

シェルピンスキー四面体は、1つの四面体から同じ形で、
一回り小さい四面体を次々にくりぬいていって作った構造。
酒井教授によると、この構造は自然の樹木の葉の分布の仕方に近い。
日差しは防ぐ一方、風通しが良い。

なぜ、葉に似せた構造を作る必要があるのか?
酒井教授は、「葉の一つひとつが十分に小さいから」
太陽に照らされると、地上の大きな物体は熱くなりやすく、
小さな物体は熱くなりにくい。

炎天下で、自動車の車体は高温になる。
同じ場所に置いたミニカーは、金属製でもそれほど熱くならない。
小さい物体は、大気に熱を逃がしやすい。
同様に、植物の葉のように小さな物体は熱くなりにくい。

樹木の多い郊外では、太陽の光は小さい葉に当たる。
都会では、道路や建物が太陽の光を吸収する。
これらは、数メートル以上の大きな面でできている。
これが、都市と郊外の表面温度の違いに大きく関係。

都市部の気温が、郊外よりも高くなる現象は、
ヒートアイランド現象と呼ばれる。
意外なことに、昼間の気温は都市部も郊外もそれほど変わらない。
それでも都会で熱く感じるのは、大きな面積を持つ道路や建物の
表面温度が高く、そこからの赤外線を受けるため。
都市を冷やすためには、小さな物体が配置された日よけで
街を覆えばいい。

樹木は、小さな葉をあるパターンで分散配置。
酒井教授が複数の種類の樹木で、そのパターンを分析したところ、
フラクタル分布といえるもの。
フラクタルの一種であるシェルピンスキー四面体の形で、
樹木を模倣するアイデアが生まれた。

現在、ヒートアイランド対策として屋上緑化などが推奨。
樹木の蒸散作用による気化熱で、温度を下げることが期待。
メンテナンスに手間がかかり、維持するのに大量の水を必要。

フラクタル日よけは、樹木に近い遮熱効果を持つうえ、
メンテナンスも容易で、なにより水を必要としない。
「屋上緑化の代わりや、壁面への設置で効果が期待できる」(酒井教授)。
緑化にこだわらない新しいヒートアイランド対策として、
性能の検証などが期待。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec090722.html

岩手の海から新産業を 沿岸地域連携組織が発足

(岩手日報 7月29日)

県沿岸の海洋資源を生かし、産業振興を図る
「いわて海洋研究コンソーシアム」が発足。

沿岸に集積する海洋研究機関の「知能」を結集。
石油・天然ガスや風力、海洋深層水、海洋バイオテクノロジーに
つながる深海生物など、本県沿岸の海洋資源を生かす
「海洋版シリコンバレー」の実現を目指す。
国などの大型プロジェクト誘致を進め、
本県主軸のものづくり産業に次ぐ産業として育成。

設立会議は宮古市役所で行われ、
代表に、東大海洋研究所国際沿岸海洋研究センター長の
道田豊教授を選任。

県内外の有識者らで組織する、いわて海洋資源活用研究会によると、
海洋資源は久慈で石油・天然ガス、風力エネルギーが有望視され、
宮古では海洋深層水の実用化が始まっている。
釜石や大船渡では、日本海溝(深度7千メートル)の深海生物、
海洋微生物の存在が想定。

コンソーシアムは、資源を活用し、海洋研究のネットワーク形成や
海洋環境研究、海洋バイオ研究、海洋資源・エネルギー活用を
4本柱に据え事業展開。

具体的には、中国大連市の大連水産学院との技術交流や
海洋微生物資源を生かした創薬などを、企業と共同研究。
海洋資源・エネルギーの活用に向け、調査研究を進め、
国などの大型プロジェクト誘致を目指す。

県商工労働観光部の広田淳部長は、
「国内有数の海洋研究ポテンシャルを最大限活用し、
自動車や半導体のものづくり産業に続く、
新たな産業群の育成につなげたい」と期待。

◆いわて海洋研究コンソーシアムとは

東大海洋研究所国際沿岸海洋研究センター(大槌町)、
北里大海洋生命科学部(大船渡市三陸町)、
同大海洋バイオテクノロジー釜石研究所、
水産総合研究センター宮古栽培漁業センター、
県水産技術センター(釜石市)、
県、宮古、大船渡、久慈、陸前高田、釜石の5市、
財団法人さんりく基金、釜石・大槌地域産業育成センター、
5市の商工団体の計24組織で構成。
沿岸部の海洋資源を生かした、産業活性化を目的とした連合体を目指す。

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e200907/e0907291.html

2009年7月30日木曜日

監督たちに学ぶマネジメント(2) 事実に基づきビジョン共有

(日経 7月25日)

マネジメントでは、リーダーが明確なビジョンを、
メンバーに提示できるかが重要な意味を持つ。
チームのあるべき姿を選手たちに明示し、「名門復活」を果たしたのが、
早稲田大学ラグビー部の清宮克幸前監督。

最近でこそ、大学ラグビー界をリードしている早大ラグビー部だが、
1990年代は低迷を続けていた。
状況を打破するべく、清宮氏が監督に就任したのが2001年春。
彼が就任して、真っ先に行ったことが明確なビジョンの提示。

「早稲田ラグビー」といえば、早大や日本代表の監督を歴任した
故・大西鉄之祐氏が提唱した「展開・接近・連続」をコンセプト。
体の大きい相手との密集戦での消耗を避けるため、
素早くボールを展開、相手の体形が崩れたところで接近、
全員でフォロー(連続)する。
この一連のプレーの流れで、トライを狙うという考え方。

清宮氏は、そうした伝統を無批判に受け入れる気質にメスを入れた。
まず、徹底的にファクト(事実)を分析。
ビデオで過去の試合を何度も分析し、攻めのパターンや局面ごとの
ミスの内容を明らかにした。
パスのタイミングや相手にタックルに入る角度など、
勝利の要素を明らかにするため、ミスや攻撃の精度を数値化。

勝つためには何をすべきか、という視点から、
勝利への方程式「ビクトリーチェーン」をまとめた。
この方程式を、「アルティメットクラッシュ(徹底的にたたきのめす)」
という明確なビジョンに落とし込み、
すべての部員に変革意識を芽生えさせた。
その後の早大ラグビー部の復活ぶりは言うまでもない。

ファクト分析を背景にした大胆な戦略転換と、それに基づく明確な
ビジョンの提示によって、選手たちを奮い立たせた清宮氏の手法は、
変革期を迎えている企業にとって大いに参考になる。
特に、ビジョンの提示の重要性は大きい。

米IBMの最高経営責任者(CEO)として、同社を危機の渕から救った
ルイス・ガースナー氏も、ビジョンの提示を重視した経営者の1人。
ガースナー氏は、「顧客志向への転換」を掲げ、大幅なコスト削減に
取り組むと同時に、ソフトやサービス事業を強化。
IBMが今あるのは、ビジョンのおかげ。

メンバーに明確なビジョンを提示するとともに、
行動規範の確立とコミットメントの醸成も、
チーム作りの初期段階で行わなければならない。
いくら良い戦略を実行しようとしても、行動規範やコミットメントを抜きに
安定した実績は残せない。

行動規範とは、心構えや基本動作などを包括的に含む概念。
コミットメントとは、「目標達成に向けた責任意識」

基本動作は、2つにわけられる。
1つは、「あいさつを必ずする」といった人間教育的な部分。
もう1つは、「キャッチボールは必ず相手の胸に寸分違わず投げる」、
「ボール球にはむやみに手を出さない」などの基本技術的な部分。

行動規範とコミットメントは、組織に規律と緊張感をもたらし、
戦うチームの土台となる。
野球でよく言われる「球際の強さ」という表現は、
このような地力が象徴的に表れている部分。

プロ野球、楽天イーグルス監督の野村克也氏は、低迷したチームを
立て直す「再生屋」として大きな実績。
実は、野村氏が選手の指導で最も重視しているのが、行動規範の確立。

野村氏は、ミーティングで選手たちに人間論やプロフェッショナルとしての
心構え、野球の基本理論を説いていく。
話したことを、ノートに取るように選手たちに指導。

ここで見逃してはならないのは、なぜこういったことを
話さなければならないのか、といった背景や理由も一緒に説いている点。
これによって、価値観の押しつけではなく、聞いている選手たちも
自分で考え、判断できるようになる。

野村氏の地道な活動が、自由奔放な気風を善しとした
阪神タイガースの風土改革に貢献したことは明らか。
野村氏が監督時のタイガースは、低迷状態を脱することはできなかった。
後を継いだ星野仙一氏が、鉄拳制裁も辞さないマネジメントスタイルで、
選手のコミットメントを引き出し、チームをリーグ優勝に導いた。
野村時代にまいた改革の種が、星野時代に花開いた。

優れた業績をあげている企業をみると、
組織全体の規律を保ちながら、現場を担う従業員が自律的に改善策を
提案・実行するという組織風土がみられる。

(アリックスパートナーズ ディレクター 古谷公)

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090723.html

監督たちに学ぶマネジメント(1) WBC連覇に5つの要素

(日経 7月19日)

野球世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、
日本代表が連覇を果たし、日本中をわかせた。
金メダルの期待を背負って臨んだ北京五輪では、
日本代表は目を背けたくなるような惨敗を喫した。
対照的な結果の背景には、一体何があったのだろうか?

マネジメントのプロとして、企業の再生や変革を支援してきた
筆者の目には、WBCでの日本代表(サムライジャパン)は
理にかなった運営がなされているように映った。

特筆すべき点は、
(1)明確なビジョンの提示、
(2)行動規範の確立とコミットメント(目標達成に向けた責任意識)の醸成、
(3)戦略実行サイクルの運営、
(4)モチベーションアップ(士気向上)、
(5)実力主義の導入と柔軟な人材登用——の5つ。

これらは、集団で1つの目的を達成するには欠かせない要素。
チームスポーツだけでなく、企業経営にもあてはまる。

まず、明確なビジョンの提示。
原辰徳監督が就任する際、重視したのがチームのネーミング。
それまでの日本代表は、「長嶋ジャパン」、「王ジャパン」など
監督の個人名を冠していた。
原監督は、日本らしさを表現するのにこだわり、「サムライジャパン」とした。

これによって、「胸と胸を付き合わせて正々堂々と勝負する」という
日本チームのあり方が具現化し、プライドの高い一流選手を
束ねられるようになった。
監督個人の魅力やリーダーシップではなく、
目指す姿が求心力となる「ビジョン経営」になった。

次に、行動規範の確立とコミットメントの醸成。
原監督が強調していた、「日本力(にっぽんぢから)イコール侍らしさ」とは、
覚悟と潔さ、気力、粘りを意味する。
これらは日本選手のあり方、つまり行動規範となった。
特に、劇的な勝利を収めた決勝の韓国戦では、
「日本力を発揮して勝つことができた」と原監督は強調。

優勝を目指すことを宿命として選ばれた選手たちのコミットメントは
十分に高く、まったく問題はなかった。
苦しいとき、サムライジャパンらしさを保つため、
行動規範は大きな支えになったと思われる。

WBCでサムライジャパンが連覇を達成できた要素の1つが、
戦略実行サイクルの運営。

「プラン・ドゥー・チェック・アクション(計画・実行・検証・修正、PDCA)」
のマネジメントサイクルは、「言うはやすく行うは難し」の典型。
サムライジャパンを率いた原監督は、見事なまでにPDCAを徹底。

サムライジャパンの基本戦略は、持ち前の投手力を生かして
失点を最小限に抑え、数少ない得点チャンスをものにする「守りの野球」。
試合を重ねるごとに、データに基づきながらPDCAを回し、
基本戦略に磨きをかけていった。

この成果は、決勝戦での勝利の立役者である岩隈久志投手の
投球内容に表れている。
韓国打線が低めに弱い点を突き、投球数の76%が真ん中より低め。
こうした点は、精神論を重視しすぎて失敗した北京五輪からの
最も大きな変化といえる。

次に挙げられる要素が、モチベーションアップ。
原監督は、「技術と気持ちの部分で心配することはまったくない」と述べ、
選手たちを大人の集団として扱う「権限委譲型」のマネジメントを採った。
その象徴が、松坂大輔投手を投手陣のリーダーに指名したこと。

松坂投手は、練習中に話しかけたり、食事に誘ったりするなど、
若手との対話に腐心した。
緊張感の高い国際大会で、彼らが重圧に負けずに全力を尽くし、
伸び伸びとしたプレーができるようにするため、
チームとしての一体感を醸成するのに貢献。

最後の要素が、実力主義の導入と柔軟な人材登用。
チーム編成では、選手の選考への関心が高まったが、
マネジメント的な視点から、コーチ陣の組閣にも着目したい。
特に、作戦面で能力の高い人材をコーチにしたことが目を引く。

原監督は、チームの精神的支柱となり、モチベーションアップに
徹することができた。
作戦面を担当するのは、「コーチ+中心選手」という最適な役割分担。
選手起用でも、本業は先発であるダルビッシュ有投手を抑えで使うなど、
固定観念にとらわれることがなかった。

(アリックスパートナーズ ディレクター 古谷公)

1986年早大理工卒。ブリヂストンと外資系コンサルティング会社を経て、
2008年に企業再生専門のコンサルティング会社である
アリックスパートナーズに入社、ディレクターに。
自動車メーカーや消費財メーカーの営業・マーケティング力強化で実績。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090717_2.html

炭水化物:量で時差ぼけ改善も 減らすと体内時計進む 産業技術総合研究所が発見

(毎日 7月25日)

マウスに、炭水化物を極端に減らし脂肪分を増やした餌を
食べさせると、体内時計が4~8時間程度進むことを、
産業技術総合研究所の大石勝隆・生物時計研究グループ長らが見つけた。

将来は、食事の工夫で時差ぼけを改善したり、
眠りの時刻がずれて夜更かし・朝寝坊になる睡眠障害などの
治療につながる。
米科学誌「動脈硬化、血栓症、血管生物学」電子版に24日、論文が掲載。

炭水化物を極端に減らした食事をとると、
エネルギーを脂肪から作り出すため、
体内の脂肪分解が進むことが知られている。

以前から、脂肪分解と体内時計の関係を調べてきた研究チームは
今回、「炭水化物0・73%、脂肪94・8%」という
特殊な餌(ケトン体食)を作り、マウスに14日間、食べさせた。

その後、体内時計遺伝子の一つで、
24時間弱の周期で働きが変わる遺伝子「ピリオド2」の働きを調べた。

働きが最も強まる時刻が、通常の餌を食べたマウスより
4~8時間早まり、変化の周期も15~20分短くなった。
血液中で血栓を溶かしにくくする成分「PAI-1」の濃度が、
通常の3~4倍に。

大石グループ長は、「体内時計を調節するメニューが
開発できるかもしれないが、血栓による病気の可能性への注意が必要」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/07/25/20090725ddm012040042000c.html

アレルギー体質の遺伝子発見

(サイエンスポータル 2009年7月24日)

アレルギー体質になりやすいかどうかを決めている遺伝子を、
理化学研究所の研究チームが、マウスを使った実験で発見。

理研免疫・アレルギー科学総合研究センターの
久保允人・シグナル・ネットワーク研究チーム・チームリーダー、
米セント・ジュード小児研究病院のマーク・ビックス准教授らが
突き止めたのは、Minaという転写因子の遺伝子

アレルギーになりにくい系統のマウスのT細胞には、
この遺伝子が多く存在し、アレルギー発症に重要な役割を果たしている
インターロイキン4の産生を抑えていた。

アレルギー体質のマウスのT細胞にはMinaが少なく、
インターロイキン4の産生が抑制されないため、
アレルギーを起こしやすいことが分かった。

ヒトでも同じ遺伝子がアレルギーになりやすいか、
そうでないかの違いを生み出しているのではないか、
と研究者たちは見ている。

http://scienceportal.jp/news/daily/0907/0907241.html

2009年7月29日水曜日

「もりおか絵地図」2009年度版作成 矢巾の業者

(岩手日報 7月23日)

矢巾町の企画広告代理業エス・ピー・プランニングセンター
(谷村和郎代表)は、2009年度版「城下町もりおか絵地図」を作製。

小学3年生の社会科教材として親しまれ、
盛岡市や矢巾町内の51校に3177人分を寄贈。
絵地図の発行は、33年目で毎年改訂を重ねている。
本年度版は1万部を発行。

北は同市玉山区を新たに加え、石川啄木記念館なども描いた。
南はJR矢幅駅周辺まで掲載地域を広げ、
岩手医大矢巾キャンパスも記している。

裏面には、江戸後期の鳥観図も掲載し旧町名を記した。
盛岡の歴史年表、原敬、石川啄木らの偉人も、
イラストや写真を入れて紹介。

谷村代表は、「子どもたちが古里や歴史に関心を深めてほしい。
36社に、スポンサーとして協力してもらいできあがった」

同絵地図はA1判。A4判に折り畳んで携帯できる。
盛岡市のさわや書店(本店、フェザン店、上盛岡店)で
1部300円で販売。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090723_8

ラグビーW杯:「市場開拓」追い風に 26人中16票賛成

(毎日 7月28日)

国際ラグビー機構(IRB)の理事会で、19年大会のW杯開催地として
日本がアジアで初めて選ばれた。
11年大会招致では決選投票の末、ニュージーランドに敗れたが、
これまで南半球、北半球の伝統国で交互に開催されてきた
W杯の歴史に、新たな一歩を踏み出す。

IRB幹部らで構成するW杯の運営組織
「ラグビー・ワールドカップ・リミテッド(RWCL)」が、
15年にイングランド、19年に日本を推薦。
このセット案について、26人の理事が投票し、16票の賛成。

IRB創設メンバーの欧州、南半球の8カ国・地域が各2票を持ち、
日本の関係者は伝統国重視の保守的な風潮を懸念、
国際的な市場開拓を求める動きが、日本への支持につながった。
IRBにとって、アジアでの開催で競技の世界的普及をアピールでき、
7人制ラグビーの五輪競技入りにも好材料に。

◇「歴史的な日」…森会長

日本のW杯19年開催決定の報を受け、森喜朗会長は
「ラグビーを世界に広げたい、という日本の努力が賛同を得た。
世界のラグビーが新たな一歩を踏み出した歴史的な日」

ダブリンに赴いていた同協会の真下昇専務理事(招致委員長)が、
電話で森会長に報告。
森会長が「ご苦労様」とねぎらうと、
真下専務理事は「IRBにとっても夜明けでしょう」と興奮気味。

選手を代表して出席したトップリーグのキャプテン会議代表の
大畑大介(神戸製鋼)は、「一ラグビーファンとして素直にうれしい。
最高の瞬間です」と喜ぶ一方、
「ホスト国として日本代表がどれだけできるか」と引き締まった表情も。
和田文男・同協会副会長は、積極的な人材登用など
協会の体制強化を進める考えを示した。

◇日本の会場予定地◇

【国内】日産スタジアム、長居スタジアム、国立競技場、秩父宮ラグビー場、
ユアテックスタジアム仙台、レベルファイブスタジアム(福岡)、
豊田スタジアム、札幌ドーム、ホームズスタジアム神戸

【国外】香港スタジアム、シンガポール・スポーツ・ハブ(11年完成予定)
※メーン会場は日産スタジアムの見込み

◇解説…資金計画に難題

IRBの国際化路線を背景に、日本は悲願のW杯開催を勝ち取った。
欧州、南半球の伝統国だけで行われてきたW杯が、
初めてアジアで開催される意義は大きい。

だが、巨額の財政負担を強いられる現実は決して楽観できず、
日本ラグビー界は多大なリスクも背負うことに。

W杯の収益で、4年間の活動費をまかなうIRBは、
15年大会は8000万ポンド(約128億円)、
19年大会は9600万ポンド(約153億6000万円)の拠出を義務づけ。
IRBのラパセ会長は、企業の試算を基に、
「開催国の経済効果は21億ポンド(約3360億円)を超える」と説明、
ラグビー人気が低迷する日本において、現実味のある数字とは思えない。

世界同時不況を経験した企業側は、スポーツ界への投資に慎重。
03年度トップリーグ創設時から支援したマイクロソフト社でさえ、
昨季限りでリーグとの協賛契約を打ち切った。
11年ニュージーランド大会は、赤字見通しでスポンサー探しに
苦慮しているといわれ、国内外のラグビー界を取り巻く環境は明るくない。

日本協会は、
▽10年後に競技人口を20万人(現在は約12万人)に増やす
▽大会拠出金を支払っても、800万~830万ポンド(約13億2800万円)
の利益を生む--とアピール。

具体的な普及策や資金計画はまだ見えてこない。
開催まで10年。
W杯を財産とするためにも、足元を見つめた準備が求められる。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/rugby/news/20090729k0000m050140000c.html

ラグビーW杯:19年、日本で開催決定

(毎日 2009年7月28日)

ラグビーの2015年、19年のワールドカップ(W杯)開催地を
決める、国際ラグビー機構(IRB)の理事会が、ダブリンで開かれ、
投票の結果、日本の19年開催が決定。
87年から、4年に1回開催しているW杯だが、
欧州、南半球の伝統国・地域以外では初開催。
15年開催は、イングランドに決まった。

W杯開催地には、日本、イングランド(15年のみ立候補)のほか、
南アフリカ、イタリアと過去最多の4カ国・地域が名乗り。
IRBからW杯の運営を委託される
「ラグビー・ワールドカップ・リミテッド(RWCL)」は6月30日、
15年は伝統国で安定した収入が見込めるイングランド、
19年はアジア初開催で国際化の象徴となる日本をセットで推薦。
この推薦案を26人の理事が投票、賛成16、反対10で可決。

日本は、ニュージーランドに敗れた11年大会と同様、
今回も政府の財政保証を得られず、財政面では不安も残るが、
国際市場の開拓を目指すIRBは、アジアでの初開催に期待。
日本協会によると、開催期間は19年9月6日~10月20日。
会場は、日産スタジアムなど国内9カ所と
香港、シンガポールでの一部開催を予定。

現地で会見した日本招致委員会の真下昇委員長は、
「招致に携わった日本、アジアの関係者の皆さんと共に
喜びを分かち合いたい。アジアの市場拡大に尽力し、
大会の成功に向けて努力したい」

http://mainichi.jp/select/today/news/20090729k0000m050134000c.html?link_id=RTH05

医療・健康・介護分野の研究に大きな期待

(サイエンスポータル 2009年7月24日)

国民が求める先端的研究として期待が大きいのは、
「医療・健康・介護」分野であることが、
内閣府の意見募集結果で明らかに。

意見募集は、今年度補正予算で発足することになった
「最先端研究開発支援プログラム」の研究課題選定資料にするため、
内閣府がホームページで募った。
6月21日~7月21日に、606人から911件の意見が寄せられた。

プログラムは、まだ国民の多くに知られているとは言えず、
意見を寄せたのは科学技術に関心が高い人々に限られ、
“科学リテラシー”が比較的高い層の科学技術に対する
期待傾向をうかがうデータとして相応の意味はありそう。

606人の回答者の内訳を見ると、
30代、40代が最も多く、全体の約半数(50.3%)。
50代19.5%、20代12.4%。10代はわずか1.5%と60代、70代よりも少ない。
若者に期待する人たちには、物足りなさを感じる反応ではないか。

性別でも、男性が78%、女性は22%。
研究分野における女性の活躍を期待する人たちには、
こちらの数字も不満。

職業別の内訳を紹介すると、会社員36.1%、研究者17.3%、
主婦9.7%、学生8.4%の順。
公務員は3.8%と、会社役員4.6%、自営業4.0%のさらに下、
人口比からいうとこんなものなのだろうか。
主婦が女性回答者の45%を占め、これも妥当な数値なのだろうか。

肝心の意見募集の結果。
最も期待を集めた「医療・健康・介護」(全体の約35%)の中で、
一番期待が高いのは、「がん治療の確立や普及」。
これは、がんが日本人の死因の1位で、うなずける結果。

「再生医療の実用化」。
これは、iPS(人工多能性幹)細胞で、再生医療に対する関心と期待が
急激に高まったことの反映。

「痴呆症やアルツハイマーの治療の確立と普及」、
「うつ病等精神疾患の治療の確立と普及」、
「パーキンソン症候群の治療の確立と普及」となっている。

日本人の死因の2、3位を占める「心疾患」、「脳血管疾患」より、
これらの具体的疾患が上位に来ていることは、注目。
実際に、自分自身あるいは周辺に実際に困っている、悩んでいる人が多い
現実の反映とすると、公費を投入する優先度に影響を与えて
しかるべきとも考えられる。

「医療・健康・介護」に次いで期待を集めたのは「環境・エネルギー」(約29%)、
「交通・通信」(約11%)、「食・食品」(約7%)、「安全・安心」(約6%)の順。
「資源対策や地球温暖化対策のための太陽光やバイオ技術を
利用した新エネルギー等への転換」が、
「環境・エネルギー」の中の半数以上を占めている。

「食品の安全性を高める技術の向上」は、回答全体の2%以下。
食品の安全に関する技術ほど、取り上げられることが少ない
「交通事故防止や交通事故死をゼロにするための自動車開発や
インフラ整備」の方が、3%近い回答。

「最先端研究開発支援プログラム」は、
「新たな知を創造する基礎研究から、出口を見据えた研究開発まで、
さまざまな分野、ステージを対象とした先端的研究課題のうち、
3~5年間で世界をリードし、世界のトップを目指す研究課題」
30程度を選び、1件当たり30~150億円の研究開発費を投じる。

一般からの意見募集結果は、申請された中から、
中心研究者と課題の選定作業を担う
「最先端研究開発支援ワーキングチーム」に、参考資料として配布。

http://scienceportal.jp/news/review/0907/0907241.html

2009年7月28日火曜日

母国の文化を岩手で再発見 盛岡で留学生ら意見交換

(岩手日報 7月23日)

本県在住の外国人留学生らによる公開討論会
「いわて、これが素晴らしい!」(県留学生交流推進協議会主催)は、
岩手大で開かれた。

日本人学生や留学生ら約50人が参加。
ボランティアで留学生支援を行っている、
岩手大教育学部4年の相川和慶さんがコーディネーターを務め、
県内の大学や高専で学ぶ4人の留学生が意見交換。

岩手での生活を、中国出身の陳浩(チンコウ)さん(県立大4年)は、
「多くの人とかかわり、多面的に物事を考えるようになった」、
モンゴル出身のムンフジャラガル・バトトールさん(岩手大3年)は、
「母国の文化をより深く知ることができた」

インドネシア出身のガマ・トリガゲマさん(一関高専4年)は、
留学当初を「日本人学生と話すきっかけをつくるため、
日本のマンガやアニメなどを自分で勉強した」と振り返り、
「中国製の物が多いことに驚いた」という
中国出身の朴哲(ピァオズゥ)さん(富士大3年)は、
「将来は貿易関係の仕事に就きたい」と目標。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090723_10

原油異変、クルマに乗らない米国人

(日経 2009-07-22)

6月末まで、景気回復の期待から反発局面が続いた
ニューヨーク原油先物相場が急落。
米国は、ドライブシーズンの真っただ中。
同国の石油需要の半分を占めるガソリンの出荷が、
最大需要期を迎えたにもかかわらず、さえない。
軽油・暖房油の在庫も、約25年ぶりの記録的な水準にまで積み上がった。
こうした弱材料が改めて意識されるようになり、
相場の下げ圧力の一因。

指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は、
6月30日に年初来高値の1バレル73.38ドルまで上昇、
7月に下げ足を強め、一時58ドル台まで下げた。
高値からの下落率は2割強と大きい。

最大のきっかけは、米国の雇用統計の悪化や株価の急落。
米エネルギー省(DOE)が毎週発表する石油統計での
ガソリン在庫の増加が拍車をかけた。
この傾向は続き、10日時点のガソリン在庫は2億1500万バレルと
5週連続で増えている。

米国では、石油需要の約5割をガソリンが占め、
約2割の日本などと比べて格段に多い。
毎年5月下旬から9月上旬までがドライブシーズンで、
この期間のガソリン需要の動向が原油相場を大きく左右。

原油相場は、米国のガソリン需要の回復を期待して
上昇していた面も大きい。
需要がピークの7月10日時点でも、ガソリン出荷量はさえなかった。
過去4週間平均で、前年同期比0.6%増と前年をわずかに上回った程度。
ガソリン店頭価格は、過去最高値だった前年同時期に比べ
4割ほど安いが、「100年に1度」と言われる不況下で
消費者の財布のヒモは固い。

軽油など「留出油」と呼ぶ製品在庫も、約25年ぶりの
記録的な水準まで増加。
景気回復への期待感がやや後退したことで、
こうした弱材料が改めて意識され、原油相場にも下げ圧力に。

米国のガソリンシーズンも後半戦に突入したが、
市場では「需要の大幅な伸びは期待できない」との見方が支配的。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの
芥田知至・調査部主任研究員は、
「WTI原油も、最大で50ドル近辺まで下げる可能性がある」

例年8月から9月にかけて発生しやすいハリケーンによる被害や、
製油所の事故が突発的に起これば、相場は押し上げられるが、
実需面での強材料は極めて乏しい。

仏銀行大手、BNPパリバでシニアオイルアナリストを務める
ハリー・チリンギリアン氏は、「相場の調整局面は9~10月ごろまで続く」
株価の動きなどに左右される面はあるものの、
当面は軟調な値動きとなりそうだ。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/shikyou/shi090717.html

川島隆太、都甲潔教授らに井上春成賞

(サイエンスポータル 2009年7月16日)

日本の科学技術、経済、福祉の向上に貢献した研究者と企業に
贈られる、井上春成賞の贈呈式が、経団連会館で行われ、
川島隆太・東北大学加齢医学研究所教授、
湯浅新治・産業技術総合研究所スピントロニクスグループ長、
都甲潔・九州大学大学院教授と、それぞれの共同研究開発企業に
賞が贈られた。

川島教授と「くもん学習療法センター」の授賞理由は、
「高齢者への学習介入による認知症の改善・予防の実践」。

湯浅グループ長とキヤノンアネルバ社は、
「酸化マグネシウム系トンネル磁気抵抗素子およびその量産技術」、

都甲教授とインテリジェントセンサーテクノロジー社は、
「生体を模倣した味認識装置(味覚センサー)」の
研究開発・製品化業績が、それぞれ授賞理由。

http://scienceportal.jp/news/daily/0907/0907161.html

スポーツ21世紀:新しい波/311 Back Softball/4

(毎日 7月25日)

青、白、赤の3色に染められた金属バット。
北京五輪で、ソフトボール日本代表が使用したモデル。
「金メダルを獲得して『売れた』というのは、このバットぐらい。
それも1万本にも達しない程度」

日本ソフトボール協会と契約を結ぶ、
ミズノの久保田憲史マーケティング部長は、
さほど「金メダル効果」を意識してはいない様子。

次の12年ロンドン五輪で、ソフトボールは実施競技から外れる。
ミズノは、北京後も日本代表のエースとして活躍した
上野由岐子(ルネサステクノロジ)、元日本代表の宇津木妙子監督と、
立て続けにアドバイザリースタッフ契約を結んだ。
日本協会との契約も4年間更新し、支援を継続。
国際連盟や海外の有力選手とも契約。

その背景には、底堅い競技の地盤がある。
ソフトボール用品の国内シェアの4割を占めるミズノ。
市場規模は約750億円に上り、野球とともに同社の優良事業部門に
位置付けられる。
「ソフトボールとは長い付き合いがある。契約更新に迷いはなかった」と
久保田部長。

日本協会との契約は86年からで、もう20年以上も支援し続けている。
トップ選手だけでなく、中学や高校の女子の部活動、
男子も少年や社会人で競技者が多く、生涯スポーツとしても根強い人気。
それがソフトボールの強みだ。

別の動きもある。
北京後、「ペヤング」のチーム名で、
群馬県のまるか食品がチームを発足。

同社も、金メダル効果を狙ってチームを作ったわけではない。
甲府市で4日に行われた全日本総合選手権の関東予選には、
社員ら100人が応援に駆けつけた。
丸橋嘉一社長は、「このように、みんなが一緒になって応援でき、
社員の一体感を醸成できるのが魅力」

企業スポーツとしての価値を、ソフトボールに求めている。
五輪競技に復帰できれば、それに越したことはない。
関係者や競技者は、何も「五輪頼み」だけではない。
現在の地盤をどう維持し、発展させていくかも大きな課題。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

2009年7月27日月曜日

出番少ない通訳案内士 認知度の低さが原因か

(岩手日報 7月23日)

県内の観光地で、岩手の歴史や文化を外国人観光客に
説明する、「地域限定通訳案内士」が導入3年目を迎えた。
県内を訪れる外国人観光客は増加し、需要は増しているはずだが、
活躍の機会は少ないまま。

認知度の低さが原因とみられ、案内士たちは、
「より多くの人たちに知ってもらい、活用してほしい」と呼び掛け。

地域限定通訳案内士制度は、2007年度から導入。
08年度までに語学のほか、岩手の地理や歴史などの試験を
パスした計31人が資格。

県観光協会によると、本県の外国人観光客入り込み数は、
08年度こそ円高の影響で、延べ約9万9千人に減少、
01年から右肩上がりで伸び、07年度は延べ約13万人。

増加する外国人の受け入れ態勢整備として、
案内士を取り入れた経緯があり、県観光課の藤田徹総括課長は、
「通訳だけでなく、地域の歴史や文化に精通した地域ガイドの
役割も果たす、地域限定通訳案内士の役割は重要」

しかし、案内士の利用実績は伸びていない。
県内の地域限定通訳案内士約10人が所属する

岩手ひらいずみ通訳・ガイドの会(平泉町)の村井好子副会長によると、
同会の年間の通訳案内士申込件数は
07年度が15件、08年度は20件。
料金は案内士1人の場合、2時間で1万円。
学会などで訪れた個人客の利用が多い。

地域限定通訳案内士を導入しているのは、本県と北海道、栃木、
静岡、長崎、沖縄の6道県、利用実績の低さは共通課題。

中国語の地域限定通訳案内士の資格を持つ村井副会長は、
「団体旅行の場合は、ツアーに同行するガイドが案内することが多い。
地域限定通訳案内士の存在や役割をもっとPRする必要がある」

今後、同会は個人客のほか団体客の利用促進のため、
旅行会社などに呼び掛ける。
リピーターや口コミでの利用拡大のため、案内士の質の向上も目指す。

村井副会長は、「パンフレット通りの案内ではなく、
地元の強みを生かしたガイドが地域限定通訳案内士の持ち味。
仕事の内容や役割を知ってもらい、活動の場を増やしていきたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090723_15

糖尿病の一種、原因にピロリ菌…東北大教授ら発表

(読売 7月19日)

胃潰瘍などを引き起こすヘリコバクター・ピロリ菌が、
糖尿病の一種「B型インスリン抵抗症」の原因になることを、
東北大創生応用医学研究センターの片桐秀樹教授らが突き止めた。

患者からピロリ菌を除菌したところ、糖尿病が完治した。
診療例は、英医学誌「ランセット」7月18日号に掲載。

B型インスリン抵抗症は、患者の免疫機能がインスリンの働きを
妨げる糖尿病。
数千人から数万人に1人が発症する比較的珍しいタイプで、
通常の糖尿病治療はほとんど効果がない。

片桐教授らは、B型インスリン抵抗症の患者が、血小板減少症に
かかっていたため、調べたところ、ピロリ菌感染が判明。

昨年3月、血小板減少症に対する治療として、
抗生物質による除菌を実施すると、糖尿病も治癒、
現在まで再発せず完治した。

片桐教授は、「ピロリ菌が、患者の免疫に何らかの悪影響を
与えることで、糖尿病の一因になったよう。
除菌は、根治療法として期待できる」

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090719-OYT1T00123.htm

トヨタ「レクサスHS250h」開発者に聞く 環境性能と上質感追求

(日経 2009-07-23)

トヨタ自動車は、高級ブランド「レクサス」で、
初のハイブリッド仕様専用車となる「HS250h」を発売。
最廉価車種は395万円と、レクサスブランドで最も安い値段。
レクサスの顧客層拡大を担う。
レクサスセンター製品企画の古場博之主査に、開発の狙いを聞いた。

——レクサスブランドでの「HS」の位置づけは?

コンセプトは、レクサスのエントリーカー。
日本の道路事情を意識して、車幅を『IS』の1795ミリメートルから
さらに短くした。
ハイブリッド専用車として環境性能を上げて、顧客の幅を広げる狙い」

「価格も、ISと同等にする目標で取り組んだ。
レクサスとして求められる性能を確保するため、
図面を何度も書き直して、部品一つから原価を積み上げた」

——対象顧客は?

「レクサスの顧客は50〜60歳代がメーンだが、HSは40歳代が中心。
環境意識の高い30歳代も視野に」

「北米では、月間2400台の販売を計画。
道路事情に合わせ、足回りなどの細かい設定を変えた。
米国でも、クルマの先進性や環境性能を評価する若年世代や
富裕層を取り込んでいきたい」

——想定する競合車は何か?

「新車開発は通常、競合を設定するが、
HSは『このクルマ』といった明確な対象がない。
HSは、プレミアムセダンの“新種”だといえる。
他車をベンチマークにする代わりに自前で、
1600強の評価項目を設け、一つずつ解決。
ハイブリッドは制御が複雑なので、おのずと項目が多くなった」

「サイズに限れば、同じ2500cc級で独BMW325や
メルセデス・ベンツのC250あたりが比較対照に」

——ハイブリッド車(HV)では「プリウス」が爆発的に売れている。

「HVは、燃費の絶対値のほかに、ベースとなる
ガソリンエンジンとの違いをみてほしい。
プリウスの燃費性能は、1800cc級で最高水準となる
ガソリンエンジン車の約2倍。
HSも、2500cc級の『マークX』などに比べ、燃費性能は約2倍。
HSは環境力に加え、より上質さを求める顧客に訴求できる」

——フロントの印象が従来のレクサス車から変わった。
デザインで意識した点は?

「レクサスのHVでは、2003年のモーターショーモデルから
取り入れているグリルデザインを採用
『プリウス』がHVの象徴になっているのと同様、
HSもハイブリッド専用車として一目で分かる姿にしたかった。
青色で縁取ったレクサスマークやクリアレンズなどの
外観や内装でも、専用車ならではのデザインにした」

——燃費向上を支援するナビゲーションシステムを搭載した。

「乗り方次第だが、システムによって10〜20%の燃費改善
期待できるのではないか。
ごく短期間の燃費を意識しすぎて、交通渋滞を招いても困るので、
月間平均でランキングをつくることに。
顧客の評価を踏まえて、他のクルマにも載せるかどうか検討したい」

▼レクサス「HS250h」の主要諸元
▽全長4700ミリメートル
▽全幅1785ミリメートル
▽全高1505ミリメートル
▽ホイールベース2700ミリメートル
▽車両重量1640キログラム
▽定員5人
▽エンジン直列4気筒DOHC
▽エンジン排気量2362cc
▽モーター交流同期電動機
▽駆動用主電池=ニッケル水素電池
▽10.15モード燃費23キロメートル/リットル
▽価格395万(標準グレード)

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/_mono/_mo090722_3.html

重い失政のつけ 「争点を探る-09衆院選」 負担の在り方含め議論を 社会保障

(2009年7月24日 共同通信社)

安心社会実現選挙だ。
社会保障と少子化に充てるため、消費税率引き上げを含めた
税制抜本改革をお願いする」

麻生太郎首相は、増え続ける社会保障費を賄うため、
将来の消費税率引き上げ実現に強い意欲を示した。
「選挙にマイナスになることでも、申し上げるのが政治の責任だ」

▽強まる逆風

舛添要一厚生労働相も、民主党の社会保障政策を、
「有権者の人気取り、八方美人だ」と批判。
内閣、政党両支持率の低迷に悩む自民党は、"責任政党"として
財源論争に活路を求めようとしている。

衆院選トレンド調査で、投票で重視する政策課題は、
「年金や医療など社会保障」が40・9%でトップ。
説得力ある社会保障政策を提示できるか否かが、選挙戦の鍵を握る。

「郵政民営化は是か非か」の一本やりで、前回衆院選で大勝した
小泉政権は2006年、経済財政運営の指針「骨太の方針」で、
社会保障費の伸びを毎年度2200億円抑制することを決め、
財政再建路線を加速。

だが、「地域医療崩壊」との批判の高まりを受け、
麻生首相は方針転換し、抑制路線を棚上げした。
政府の社会保障国民会議は、社会保障機能強化の必要性を訴え、
安定財源確保に向けた税制改正論議を求めた。
これを受け政府、与党は、負担増に向けた環境整備に乗り出していた。

かつてない自民党への逆風は、年金記録問題の発覚や
それに伴う公的年金制度に対する不信感の高まり、
75歳以上が対象の後期高齢者医療制度への根強い反発、
解消されない待機児童など、社会保障分野での"失政のつけ"が
積もり積もった結果。

▽思考停止

長妻昭政調会長代理らが先頭に立って、
「宙に浮いた」年金記録5千万件や厚生年金記録改ざんなどを
明らかにしてきた民主党。

鳩山由紀夫代表は、訴えたい政策を問われ、
公的年金を一元化する年金制度改革と、
月額2万6千円の「子ども手当」を創設する少子化対策を真っ先に挙げた。

民主党は、前回衆院選で消費税率をアップして
年金目的税化する方針を打ち出しながら、
政権奪取を最優先に据えた小沢一郎前代表時代に、
消費税論議を封印。

財源面では、大部分を「歳出見直しで工面する」ことに頼り、
党内からも「負担増については思考停止。
骨太の議論ができていない」(中堅議員)との声も。

高齢化の進行が避けられない以上、聞き心地の良い政策だけでは
早晩行き詰まるのは明らか。
あるべき負担と給付の水準について語ることなしに、
日本社会の未来像を語ることはできない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/24/104848/

2009年7月26日日曜日

殺陣:ひと汗いかが 日本殺陣道協会

(2009年7月21日 毎日新聞社)

背後から忍び寄って来るならず者。
「何やつ」。刀を抜いて、キン、キンキン。
崩れ落ちる相手を背にし、くっと血を振った刀をカチリと納める……。

子どものころ、男子たちのチャンバラを指をくわえて見てたっけ。
俳優志望でなくても学べる殺陣講座があると聞き、
東放エンターテイメントスクール大阪校内にある
「日本殺陣道協会」を訪ねた。

子どもからお年寄りまでいる受講生で、多いのは30代の女性会社員。
人気の秘密は?

木刀を握るのも初めての記者。
殺陣を始めて3カ月の高校1年、島津清芳さん(15)を相手役に、
体験レッスンを受けた。

裸足になり、まず正座。
木刀は右脇に、手を伸ばした所につばがくるように置く。
すると、「それでいい?」と師範の永原享さん(56)。
考えていると、記者の後ろに回り、親指が重なっている所を足でぐいっ。
痛い!
「指を重ねたら、こうして踏まれて殺される」
相手に先手を取られない、侍の心得が身に染みる。

教室の正面と練習生同士で礼をして、ストレッチ。
終わると木刀を握る。
殺陣道協会は、基本型として35手を教えるが、
中でも基本は、刀を正面に構える「正眼」。
剣先を相手ののど元に向けると、相手は刀が一点に見え、
攻撃に出にくい。

よく時代劇で見かけるのは、顔の右横に持ち手をもってくる「八双」。
切り方も、真上から下に切り落とす「真っ向切り」、
斜めに切る「袈裟切り」とさまざま。
が、どの型も不自然な記者。
「歩幅をとってない。刀が体と一体になってない」と永原さん。
両足をやや開き、刀が腕と一直線上になるように意識すると、ましに。

簡単な立ち回りにも挑戦したが、
血振りして納刀すると、何とも言えぬ壮快感だ。

後日、平日夜の講座をのぞいてみた。
この日は中学生、女性会社員、定年退職した男性ら10人が参加。
殺陣の魅力は、「切った瞬間の心地よさが最高!」と、
大阪府寝屋川市の会社員、古川真生さん(30)。

ストレス発散、運動など理由はさまざまだが、
時代劇好きは共通しているよう。

立ち回りは、圧巻。
「真っ向、(頭上で刃先を横に傾ける)『やなぎ』で受けて、
振り向いて袈裟切り」。
即興でつけた振りをすぐにのみ込み、舞うように切り合う。
鋭い眼光、凜と響くかけ声……。
ぴりぴりとした緊張感の中でも、動きは軽やかだ。

永原さんは、「型が体に染み込まないと、自然にできません」。
一流剣士への道は険しいが、一度味わった壮快感は病みつきに。

◇上級者は「求道コース」

「日本殺陣道協会」の講座は、
▽基本動作を学ぶ「通道コース」(10回2万円)
▽上級者向けの「求道コース」(10回2万5000円)
▽小学生以下の「殺陣道キッズ」(10回1万円)
の3コース。
1回1000円で体験レッスンも可能。
京都市、神戸市、堺市などでも講座が開かれている。

上級者は、地方などでのイベントに出演できる。
9月、米ニューヨークのカーネギーホールでイベント出演。
問い合わせは、日本殺陣道協会(06・6533・0039)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/21/104680/

防衛省・自衛隊の自殺83人 「精神疾患」原因トップに

(2009年7月21日 共同通信社)

防衛省・自衛隊の2008年度の自殺者が
自衛官76人、事務官ら7人の計83人に。
同省は、初めて「精神疾患」を原因とする自殺者数を公表、
最も多い25人。

防衛省はこれまで、自殺の原因を「病苦」、「借財」、「家庭」、「職務」に
分類し、精神疾患による自殺は、「その他・不明」に含めて
公表していなかった。

精神疾患による自殺は増加傾向にあり、04年度に初めて20人を超え、
05年度は全体の3割以上の32人に達し、
06-08年度も25人以上で推移。

08年度の自殺者の内訳は陸自51人、海自16人、空自9人、
事務官ら7人。

原因別では、精神疾患が25人で最も多く、職務22人、
借財15人、家庭6人などの順。

防衛省・自衛隊の自殺者は、04-06年度は3年連続で100人超、
07年度は89人に減少。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/21/104653/

予防、メカブが有効:鳥インフルエンザ 理研ビタミンと富山大大学院

(2009年7月22日 毎日新聞社)

理研ビタミンは、メカブの成分に、鳥インフルエンザの
感染予防作用があることを動物実験で確認。
富山大大学院との共同研究。

感染予防作用が確認されたのは、
メカブの粘り成分の一つ「フコイダン」。
マウスに、弱毒性の鳥インフルエンザウイルスを注入し、
感染1週間前から1週間後までの2週間、フコイダンを毎日投与、
肺や気道でのウイルス増殖が、大幅に抑制された。

理研ビタミンは、「わかめスープ」や「ふえるわかめちゃん」で
知られる食品メーカー。
フコイダンの研究は01年ごろから始め、
インフルエンザやヘルペスなどに対する抗ウイルス作用を論文で発表。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/22/104705/

寒さに強い「ごまえもん」 岩手大など新種開発

(岩手日報 7月17日)

岩手大農学部滝沢農場(滝沢村)は、
農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市)と共同開発した
黒ゴマ新品種「ごまえもん」の発表会を開いた。

抗酸化機能があるリグナンを多量に含み、
寒冷地栽培に適するのが特長。
99・9%を輸入に頼るゴマの希少な国産品として、産地形成が期待。

生産者、研究者ら約20人が参加。
同機構作物研究所の大潟直樹特命研究員が、
ごまえもんの特長について、「病気に強いため栽培しやすく、
寒冷地でも収量が多い」

一関市大東農業技術センターの勝部忠志農業技術員、
内舘勝則川井村長が、ゴマ生産の取り組みを発表。
ごまえもんを使ったせんべいや団子の試食を行い、
参加者からは「香ばしい」と好評。

岩手大滝沢農場は、県内でごく小規模にしか行われていない
ゴマを特産作物にしようと、同研究所と共同研究。
本県在来種の「岩手黒」と「関東11号」を交配、育成し、
4月に新品種登録を出願。

免疫機能を正常な状態に保つとされるリグナンの一種セサミンを、
種子1グラムに約10ミリグラム含有。
市販の輸入物の5倍に当たり、健康食として注目。

同研究所は、2002年にゴマ新品種「ごまぞう」を開発
寒さに弱いのが難点で、粒が褐色のため用途も限られていた。
ごまえもんは、草丈が低いため倒れにくく、耐寒性に優れている。

今後は、本県や茨城県で試験栽培を行う予定。
岩手大滝沢農場の星野次汪教授は、「リグナンが豊富なため、
苦味はあるが、知恵次第で食材に活用できる。
地域活性化の起爆剤になれば」と期待。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090717_4

国内第3の拠点を再確認 県自動車関連産業振興本部

(岩手日報 7月18日)

県自動車関連産業振興本部(本部長・宮舘寿喜副知事)は、
県庁で会議を開いた。
厳しい経済情勢にあっても、トヨタが国内第3の生産拠点に
位置付ける東北、その中核を担う岩手の位置付けを再確認。
景気回復期に向けた準備を進める方針で一致。

宮舘副知事が、「厳しさは続いているが、
最近はハイブリッド車(HV)やコンパクト車など、環境対応車が
徐々に市場に出て、下げ止まり傾向に。
いずれ県内経済をけん引する産業と考え、準備する必要がある」

県内の自動車産業は、世界のコンパクト車のマザー工場を目指す
トヨタ車開発・製造の関東自動車工業(神奈川県)の
岩手工場(金ケ崎町)が軸。

同社は、同工場内に東北全体の開発拠点・開発センター東北を開設、
県と北上市は、同市に高度3次元ものづくり技術者育成拠点・
いわてデジタルエンジニア育成センターを開所。

同本部は、景気回復期を見据え、人材育成と開発拠点化を進め、
地場企業の技術力アップ、部品の現地調達率向上、
北米輸出を視野に入れた釜石港の道路インフラ整備を
着実に進める方針。

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e200907/e0907182.html