2009年4月18日土曜日

電気通せば玉虫の輝き、不思議プラスチックを筑波大が開発

(読売 4月8日)

わずかな電圧をかけることで、タマムシのように色が変化する
プラスチックを、筑波大の研究グループが世界で初めて開発。
新しい照明や画像装置などの利用が期待。
成果は、ドイツの専門誌に発表。

昆虫のタマムシやカナブンは、羽などの表面に、
一種の液晶が作る微細な構造を持ち、光が特殊な反射をするため、
本来の色とは違った色に見える。
CDが虹色に見えるのも同様の理由で、「構造色」と呼ばれる。

電気を通す性質があるプラスチックの一種「導電性ポリマー」を
液晶に溶かして通電し、液晶の微細構造がコピーされた
膜状のポリマーを作製。

膜に光を当てると、タマムシのような複雑な色の反射光が出現、
電圧をかけると、色が様々に変化。
色の変化に必要な電圧は、1ボルト以下。
将来は、どんな色でも表現できる電子ペーパーや照明などに応用できそう。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090408-OYT1T01156.htm

ケニアのノーベル賞受賞者、アフリカ民衆に「蜂起」訴え

(CNN 4月7日)

2004年ノーベル平和賞を受賞したケニアの女性環境保護活動家
ワンガリ・マータイ氏(69)が、世界不況を引き起こした
支配層の貪欲さを批判、アフリカでも同じことが起きていると警告。

マータイ氏は、ケニアの元環境副大臣。
持続可能な開発と民主化、平和への貢献が認められ、
2004年ノーベル平和賞を受賞。
著書「The Challenge for Africa」は、間もなく米国で出版。

マータイ氏は、世界金融を揺るがしたのと同じ問題が、
アフリカを腐敗と飢えに追い込んでいると指摘。
「どんな社会であれ、規制がなく統制もなければ必ず、自らの欲のために
経済を操ろうと目論む、欲深い自己中心的な人たちの意のままに」

水不足や食糧難に見舞われているアフリカが、
世界不況と地球温暖化で一層深刻な影響を受けることを、
マータイ氏は懸念。

「アフリカで、人民を省みない指導者がいるとすれば、
人民がそれを許しているからだ」
責任ある指導者を求めるのなら、アフリカの人々が立ち上がり、
そのような指導者を要求しなければならない、と力を込めた。

「支配層のエリートたちは、貧しい者のことを考えようとしない。
貧困者を、自分たちの有利なように利用するばかりか、
金があっても、貧しい人たちの生活を変えるために使おうとはしない」

アフリカの政治指導者を批判する本を出版できるようになったのは、
過去数十年で大きな進展があったことを物語るもの。
「わたしがこのような本を書いても投獄されないのは、
変化が起きているということ。
残念ながら、大多数の人々にとって、変化のスピードは十分ではない」

http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200904070032.html

太陽光発電に熱い注目 県内業界「今が商機」

(岩手日報 4月11日)

国や県の住宅用太陽光発電システムに対する補助制度開始を受け、
県内で販売・施工会社や住宅建築業界によるビジネスが活況。
かつてない商機ととらえ、公的支援に上乗せする形で、
独自の補助制度を設ける会社も。
余剰電力を、電力会社が高値で買い取る新制度も追い風となり、
環境意識の高まりを背景に太陽光が熱い注目。

住宅用太陽光発電システムなどの販売・施工を取り扱う
盛岡市の創造電力(高木幸代表取締役)は、国補助に合わせて
独自の補助(最大出力1キロワット当たり3万円)を始めた。
昨年1年間で14件だった県内の受注は、今年3月までで96件に。

販売を担当する池脇淋顕支社長は、
「補助と売電価格のアップで設置費用の償却期間が短くなり、
関心が高まった」

住宅建築会社シリウス(佐藤幸夫社長)も、同様の補助制度を持つ。
年間約200棟を手掛ける新築住宅の顧客に、太陽光発電設置を勧め、
2、3月で既築を含め9件の申し込み。

尾形孝常務は、「光熱費の節約だけでなく、二酸化炭素排出削減に
役立ちたいという意識も感じる」

住宅用太陽光発電システムは、設置費用が1キロワット当たり70万円前後。
家庭用は、3―4キロワットの設備が平均的で、
導入には200万~250万円前後。
国の補助金は、4キロワットで28万円。

補助事業を行う太陽光発電普及拡大センター(千葉市)によると、
本県の申請受理件数は3月末現在で、332件に上る。

経済産業省は、一般家庭の太陽光発電の余剰電力を
電力会社が現状より約2倍の価格で買い取る新制度の検討を発表。
2010年度からの実施を目指し、普及の弾みとなりそう。
業者によって販売価格、施工費用に差があるなどの課題も。

本県で国、県補助金の窓口となる特定非営利活動法人(NPO法人)
環境パートナーシップいわての佐々木明宏さんは、
「3月末に、申請が急増した。関心は非常に高い」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090411_13

「グランドスラム」への扉(5)盛田正明氏 リーダー像、指揮者に学ぶ

(日経 3月12日)

盛田氏は1963年、トランジスタを生産する厚木工場(厚木市)に異動。
厚木工場では、副長でナンバー3の立場。
半導体技術の知識は、部下である若い技術者にもかなわない。
必要な決断はしなければならなかった。
「これは大変だ」と悩んでいたある休日のこと。
日比谷公会堂にNHK交響楽団の演奏を聴きに行って、はっと気が付いた。

オーケストラの指揮者は、
楽器を演奏できなくても全体の演奏をまとめている。
「あれだ」と思った。
その後は、技術者と細かい技術の内容で議論することをやめた。

その代わり、市場や世の中の状況を分析し、どうすれば競争に勝てるのか
方向性を決める能力では負けないように心がけた。
それ以降は、知らない分野に異動しても、
リーダーとして何をすればいいか、悩むことはなかった。

私の性格は、悪く言えば優柔不断だが、よく言えば柔軟性がある。
新しい場所や雰囲気にもなじめる。
直前まで嫌だなと思っていても、すぐ慣れて前の仕事のことはすっかり忘れ、
新しい仕事に集中できる。
この性格で乗り切ることができた。

リーダーの仕事は、部下をやる気にさせること。
その点で、井深大さんは技術者の才能を引き出す天才。
東京通信工業時代はまだ中小企業で、
大手のように優秀な人材が集まらない。
それでも、みんなを張り切らせて夢中にさせた。
いつも不可能ぎりぎりの目標を設定し、それを達成させてきた。

成功すると、井深さんは「ようやった」と褒めてくれる。
成功体験を積みながら、次の目標に向かって走り出していた。
あれがソニーの強さであり成長力だった。

厚木工場で4年が過ぎたころ、井深氏に呼ばれ、
技術企画部長になるように言われた。
井深さんに、「何をやればいいんですか」と聞くと、「自分で考えろ」と言う。
部屋も部下もすべて一から手配し、1人で考えさせられた。

1970年代初めに発売したUマチック方式の家庭用
ビデオテープレコーダー(VTR)の販売が伸び悩んでいた。
ビデオテープを初めてカセットにした画期的な商品だったが、
当時はまだ家庭でビデオを見るなんて誰も想像していなかった時代で、
製品も大きく価格も高かった。

サイズを大幅に小さくしたベータ式ビデオテープレコーダーの
開発が進んでいた。
技術企画部では、ベータ方式の製品をどのように市場に
投入すればよいかが検討課題に。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/hiroku/hir090311.html

2009年4月17日金曜日

緑化は善か(下)苗の流通 実態つかめず

(読売 4月9日)

木材価格の低迷で、スギやヒノキなどの植林が激減しているが、
広葉樹の苗木生産だけは今も減らない。
ブナの天然林で知られる白神山地などが、
伐採計画で注目されるようになった1990年代から、
人工林を元の山に戻そうという機運が高まった」

遠くから持ち込まれて植樹されたブナが十分に育っていない異変を、
長野県中南部で見つけた、県林業総合センターの小山泰弘研究員。
長野県では、市町村などが、「自然再生」を目指した造林事業や
治山事業で、広葉樹の苗を1年当たり約100ヘクタールに植林。
本数に換算すると、毎年20万~30万本になる計算。

樹木を遠隔地から持ち込んで植えると、生育環境が適さないだけでなく、
その地域にもともとあった樹木と交配して遺伝情報が混ざり、
在来樹木の成長が妨げられる恐れがあることが、
最近の遺伝子研究でわかってきた。

「外交弱勢」という現象だが、広葉樹による緑化活動は、
これらの点への配慮が十分とはいえない。

広葉樹の苗の生産は、国内全体でも堅調。
全容を把握している組織はないが、日本緑化センターによると、
緑化に使う広葉樹の苗の供給可能量は、2008年度で
前年度比2・3%増の6213万本。

その移動に関しては何の規制もなく、どこでとれた種子を元にしたのか
わからないまま、大量の苗が各地に出回っている。

長野県は、北海道に次ぐ広葉樹の苗木生産県。
生産量は100万本近いが、70万~80万本は他県に出荷。
小山さんは、「どこにどう流れているか、実態がつかめない。
良かれと思って進めてきた緑化事業が、最悪の事態を招くかもしれない」

苗木生産の業界団体である日本植木協会は、
植物をその育った地域に供給する体制の確立に向け、
いち早く研究を進めてきた。

もともと生息していない地域への動植物の移動を規制する
外来生物法の施行(05年)を受けた。

食品を対象に普及が進む「トレーサビリティー・システム」
同様の仕組みを、樹木でも作るアイデアがある。

地元で育つ広葉樹から種子を採取して育てた苗は、
「郷土種」とも呼ばれる。
その地域内だけで流通させればよいのだが、この流通システムを
全国に広げるには、植えようとしている苗が郷土種かどうかを追跡する必要。

技術的な可能性とは別に、日本植木協会の
國忠征美・地域性植物適用委員会副委員長は、現状がはらむ問題点。
「緑化事業を発注する国や自治体は、単年度主義のため、
何年か先にどれくらい苗が必要になるかを予測しにくい。
植える場所を育った地域に限定すると、単価は通常の1・5~2倍に。
これらの点がクリアされないと、郷土種の普及は難しい」

国レベルでは、国土交通省、農林水産省、環境省が自ら所管する
緑化事業で、地域の植物を極力使うとする運用指針ができたばかり。
地方自治体でも、神奈川県や佐賀県などが郷土種の生産を始めて、
この問題の認知度は低く、広がりに欠ける。

関係者が注目するのは、静岡県の富士山静岡空港。
航空法に抵触する立ち木問題で開港が遅れているが、
空港建設のため造成した斜面など計32ヘクタールに、
空港周辺の森で採取した種子から育てた苗を計32万本植栽。

樹種はシイ、ヤマザクラ、アラカシなど計72種。
現在の盛り土斜面工事は、牧草などの種子を機械で吹き付ける手法が
主流だが、空港の建設計画策定の際、富士常葉大学の
山田辰美教授(生態学)が、郷土種による「空港の森」を提言し、実現。

「郷土種による緑化といえども、ミティゲーションには違いないが、
そこの植物の遺伝子を保存・再生できるし、環境教育にも役立っている」
将来に禍根を残すまいとする緑化活動は、始まったばかり。

◆ミティゲーション

開発などの人間活動によって起きる環境への影響を、緩和・補償すること。
湿地帯の急減に対処するため、1970年代に米国で生まれた考え方。
〈1〉開発をしないことで影響を避ける「回避」、
〈2〉開発規模や程度を制限して影響を小さくする「最小化」、
〈3〉影響を受ける環境を修復する「修正・修復」――など。

日本では、開発地の近くに人工林や人工干潟などを造成する
「代償」を指すことが多いが、ミティゲーションの中でも検討順位が低い
最後の手段とされている。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/ryokuka/ryokuka090409_01.htm

植物でもミトコンドリアが体内時計に関与

(サイエンスポータル 2009年4月8日)

植物が、1日24時間の周期を維持する体内時計システムに、
ミトコンドリアが大きな役割を果たしていることを
理化学研究所の研究チームが確認。

これまで哺乳類や細菌類では分かっていたが、
植物でもミトコンドリアがかかわっていることを突き止めたのは、初めて。
有用な植物生産にも役立つ成果と、研究チームは言っている。

理化学研究所植物科学研究センター・メタボローム基盤研究グループの
斉藤和季グループディレクター、福島敦史・特別研究員、草野都・研究員、
生産機能研究グループの榊原均グループディレクター、
中道範人・基礎科学特別研究員、水野猛・名古屋大学大学院
生命農学研究科教授らが用いた手法は、
植物代謝物を一斉分析するという研究法。

植物として、遺伝子配列が解明されているモデル植物の
シロイヌナズナを使った。
体内時計システムに関与していると考えられる3つの遺伝子を
欠損させたシロイヌナズナの代謝物を調べた結果、
ミトコンドリアに特有な代謝物が劇的に増加していることが分かった。

光や時間の条件に関係がなく見られた現象で、
体内時計関連の遺伝子がつくり出すタンパクが、
ミトコンドリアの代謝にかかわる維持機能に関与。

体内時計システムは、さまざまな生物に組み込まれており、
高等植物でも光合成や植物の生長・発達などに関与し、
重要な役割を担っている。

今回関与がはっきりしたミトコンドリアは、代謝にかかわる
重要な細胞内小器官で、細胞死(アポトーシス)やカルシウム濃度の
調節の、ATP合成というエネルギー産生機能も持っている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0904/0904081.html

翻訳能力高める支援サイト公開

(サイエンスポータル 2009年4月9日)

翻訳作業を支援し、利用者が情報を共有することで、
どんどん使いやすくなる総合的翻訳者支援・翻訳情報発信サイト
「みんなの翻訳」を、情報通信研究機構・言語翻訳グループと
東京大学図書館情報学研究室が開発、公開。
高品質辞書の部分を三省堂が協力。

創造的な作品に柔軟な著作権を定義するライセンスシステムを提供する
NPO法人「クリエイティブ・コモンズ」の考え方に基づいて運用。
利用者が翻訳情報を共有することで、爆発的に増えている
オンライン個人翻訳者の翻訳、NPO、NGOによる翻訳の効率を改善し、
機械翻訳など言語処理技術の発展にも役立つ、と期待。

現在は、日本語と英語(英日、日英)だけだが、
今後、対象言語を中国語、フランス語などに順次増やしていく予定。
「サイトが提供する翻訳支援環境を利用することにより、
翻訳者は翻訳時間を最大で3割程度削減することができる。

翻訳された文書を共有することにより、
この翻訳支援環境は一層充実するようになっているため、
たくさんの翻訳者がこのサイトを使って翻訳をすれば、
より一層簡単に翻訳ができるようになる」

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0904/0904092.html

「グランドスラムへの扉」(4)盛田正明氏 仙台時代、テニスと出会う

(日経 3月11日)

テープレコーダーのヘッドに使うフェライト(磁気素材)を開発するため、
盛田氏は東北大学に研究生として派遣。

当時の仙台は、研究所の周りも火葬場や墓地しかなかった。
研究所の周囲も何もない場所だったが、テニスコートが2面あり、
若い助教授が休み時間にテニスをしていた。
私もできそうだと思いラケットを買って始めたのが、テニスとの出会い。

若くて体力が余っていたので、日曜日にはテニスクラブに通い、
朝から晩まで夢中で球を追いかけた。
我流で、誰かに教えてもらった訳ではない。
小さいころは体が弱かったが、10代の成長期に戦争で厳しい訓練を
経験したおかげで体力がついていた。

3年の研究生活が終わり、東京に帰れると思っていたら、
井深大さんから「仙台に工場をつくれ」と指示。
多賀城町(現多賀城市)の畑に囲まれた土地に、
総勢27人の小さな町工場をつくった。

仙台工場では、テープレコーダー用フェライトを生産。
現在は、磁気記録メディアの大型工場に。
東北大の岡村俊彦教授の下でフェライトの研究を手伝っていた
高崎晃昇さんに、井深さんや兄(昭夫氏)がお願いし、
工場長になってもらった。
私は技術担当だったが、会社員としては新人同然だったので、
高崎さんには教えて頂くことが多く、大変お世話になった。

振り返れば、仙台工場時代が1番楽しかった。
夜は泥棒が入る恐れがあったので、週3回は工場に泊まった。
誰かがけがをすると、バイクに乗せて病院に運ぶなど何でもやった。
仕事と私生活の区別がなく、いつ会社がつぶれるか分からないという
不安もあったが、組織や人間関係の煩わしさもなかった。

井深さんは、ソニー設立の目的として
「技術者が技能を発揮し、自由闊達で愉快な理想の工場を建設する」
ことを掲げていた。
私も、仙台で理想の工場を目指して仕事に取り組んだ。

2年ほど東京に戻って、テレビ放送用テープの開発に携わり、
再び仙台に戻って今度は放送用テープの工場を新設。
30代を仙台で過ごし、結婚して子供も生まれた。

1968年、厚木工場(神奈川県厚木市)でトランジスタの製造を担当。
この異動は大きな転機だった。
仙台工場では、技術では自分がトップだという自負があった。
トランジスタの知識はまったくない。
未知の分野に放り込まれてしまった。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/hiroku/hir090310.html

2009年4月16日木曜日

コードなくても充電 ハイブリッドバス都営路線に登場

(サイエンスポータル 2009年4月7日)

コードを使わなくても、簡単に充電できるハイブリッドバスが、
晴海埠頭~東京駅丸の内南口間の都営バス路線に登場。

実証走行試験のため、土日を除く27日まで、
1日2往復という限定運行だが、都市内路線での営業走行は初めて。

このハイブリッドバスは、国土交通省が2002年度から産官学連携で
開発・実用化を進めている次世代低公害車の一つで、
車両の製作は日野自動車が担当。

ディーゼルエンジンと、リチウムイオンバッテリーで動くモータを備えている。
路面に設置した給電装置(コンクリート内に埋め込まれている)から
電磁誘導により、車内の2次コイルを経て、
リチウムイオンバッテリーに急速充電できる。

コードを必要としないので、停車中に簡単に充電できるのが最大の特徴。
電気だけで走行した場合、1回の充電で約15キロ走行できる。
この間、CO2の排出はない。

2016年夏季オリンピック開催立候補都市訪問として
走行試験期間中に来日が予定されている
国際オリンピック委員会メンバーにも、紹介。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0904/0904071.html

卵の力を見直そう、良質なたんぱく質で低カロリー、ダイエット効果も

(日経ヘルス 4月8日)

今、米国や英国を中心に卵の良さが再認識。
卵には、筋肉や骨の維持に欠かせない9種類の必須アミノ酸が含まれる。
卵が、「良質なたんぱく質を含む食品」といわれるゆえん。
エネルギーの産生に必要なビタミンB群も多い。
卵は吸収が良いので、効率良くエネルギーに変換。

米国での研究によれば、胃腸で吸収されて体の組織に変わる率が
卵白は100%、牛乳は91%、牛肉は80%、大豆は74%。
卵は、1個当たり約75kcalと低カロリーで、腹持ちがいいため、
朝食に卵2個を加えた食事で、体重や腹囲が減ったとも報告。

いいことずくめの卵だが、気がかりはコレステロール。
コレステロールが多い食品は、動脈硬化や心臓病につながる可能性が。
卵の摂取は、血中コレステロール濃度にほとんど影響しないことも、
複数の研究を分析してわかってきた。

家族に血中コレステロール濃度が高めの人がいる場合、
週に2~3個にとどめておく方が無難だが、そうでなければ、
食べる個数を気にする必要はない。
「バランスのいい健康的な食生活に、卵は欠かせない」

(Nutr. Today; 44, 43-48, 2009 / Nutrition Bulletin; 34, 66-70,2009)

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20090408/103325/

「グランドスラム」への扉(3)盛田正明氏 技術とビジネス、違い痛感

(日経 3月10日)

東京工業大学の学生だった正明氏は、東京通信工業(現ソニー)を
設立した井深氏や兄(昭夫氏)の薦めで、磁気材料を勉強。

井深さんは、日本で誰も手掛けていなかったテープレコーダーを
開発しようとしていた。
東工大の星野教授の下で磁気素材を学んだ私は、
卒業後は実家の酒屋を手伝おうかと考えたが、
せっかく勉強したことを生かすため、設立5年目のソニーに入社。
実家は、二男の和昭が継ぐことに。

入社すると井深さんに呼ばれ、京都で映画の技術を学ぶか、
東北大学で磁気材料を勉強するか、どちらかをやってくれないかと。
井深さんは、映画の技術にも興味を持っていた。
隣にいた兄が、「京都に行くと遊んでしまう。仙台に行け」と言うので、
東北大の科学計測研究所に研究生として行くことに。
磁気の研究で、世界的に有名な岡村俊彦先生の下で働いた。

1951年、24歳の時、盛田氏はソニー1年目を東北大研究員としてスタート。
井深さんは、新入社員に給料を払いながらよく勉強させたなと思う。
ソニーは創業間もない中小企業で、社員も数十人。
当時は、父(盛田久左衛門氏)らから資金援助も受け、
人手も資金も足りなかったはず。
それでも私を派遣したのは、将来を考えていたからだろう。

東北大は、磁気の最先端技術を研究。
東工大時代はあまり勉強しなかったが、東北大では週に3日徹夜するなど
本気で取り組んだ。

蘭フィリップスの報告書に目を通していると、フェライトを使うと
当時の電話線の30倍以上の情報量を伝送できると。
日本電電公社(現NTT)の依頼を受け、東京・三鷹にある研究所で
1、2カ月実験し、欧州に負けない水準のフェライト開発に成功。

特許も取得できたので、嬉しくなって井深さんに
「これは商売になる」と薦めた。
井深さんは、「おまえは考えが甘い」とあっさり否定。
電電公社は、日立製作所や東芝のような大手と取引しているため、
ソニーのような中小企業は入り込めないと言われた。
井深さんの言う通りで、下請けの小さな仕事は受注できたが、
大きな商売にはならなかった。

「どれだけいい技術があっても、ビジネスになるとは限らない」ということを
学んだ強烈な経験だった。
井深さんも、苦い経験をしたことがあったのだろう。
「ソニーは、コンシューマー(消費者)向けに特化しなければいけない」と強調。
一般消費者は、商品が良ければ買ってくれる。
しがらみのない市場でなければ、ソニーのような小さな会社は成功できない、
というのが井深さんの考え。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/hiroku/hir090309.html

気仙両市の税金格差を探る

(東海新報 4月12日)

気仙両市の水道料金について、場合によっては陸前高田市内で、
大船渡市内の30倍も徴収されるケースが。
「3市町で、公共料金や各種税金に違いがあるのか」との答えを
探ろうと、3市町のホームページを閲覧。

その結果、固定資産税、国民健康保険税、学校給食費、保育料など、
多少料金や税額に違いがあった。
果たして、その“格差”は?

きっかけは、気仙両市でアパート経営をしている大船渡市民によるもの。
アパートが多く建てられ、空き室が目立ち、空いた部屋の水道の
休止届を市に提出したところ、
大船渡市では料金が軽減、陸前高田市では軽減されなかった。

大船渡市では、13ミリの水道管使用で基本料金(10トンまで1207円)と
下水道基本料金(同1470円)が無料、
メーター使用料の115円の徴収だけで済む。

陸前高田市では、休止届を出してもメーター使用料157円、
基本料金(5トンまで1365円)と下水道基本料金(10トンまで1890円)の
計3412円を徴収。
「気仙両市で30倍もの差がある」と指摘。

この問題について、同様のケースで高額料金が徴収されているのは、
県内13市の中で陸前高田市だけ。
中里長門市長は、「条例通り執行しているが、見直しの必要がある」
同市水道事業所は、「地理的な条件や人口密度によって、
水道建設費に違いがあり、自治体ごとに料金が違っている」
現在は、早期に料金改正ができるよう事務手続きを進めている。

住田町でも、陸前高田市と同様、仮に休止届が提出されても
料金が軽減される料金体系にはなっていない。
13ミリの水道管使用の基本料金とメーター使用料の合計630円と
下水道基本料金の1785円を合わせた、2415円が徴収。
使用料などは、各市町で条例を定めることによって独自に設定できる。

各種税金はどうか?
気仙3市町の地方税(市町)について比べた(非課税を除く)。

個人の「市町民税」だが、3市町とも税額の計算は所得に応じて負担する
所得割のほか、均等割は市町民税3000円と県民税2000円で同額。
「法人市町民税」は、法人税割額の税率が住田町12・3%、
大船渡市と陸前高田市14・7%。
均等割額の税率年額は、資本金1000万円以下で従業員50人以下の
法人だと、大船渡市と住田町は5万円、陸前高田市は6万円。
均等割額は、9段階に区分され、陸前高田市は20%ほど高い。

「固定資産税」は、課税標準額と税率を乗じたものが税額となるが、
大船渡市と陸前高田市の税率は1・5%、住田町は1・4%、
「軽自動車税」や「たばこ税」などは同額。

「国民健康保険」は、加入者が病気やケガなどをした時の
医療費に充てられるもの。
税額は、医療費に使われる医療分、後期高齢者支援金分、
介護保険の費用としての介護分の合計で、平等割(一世帯当たり)、
均等割(世帯加入者数)、所得割(世帯の所得に応じて計算)、
資産割(世帯の資産に応じて計算)がある。

21年度から、陸前高田市と住田町で値上げされた学校給食費。
両市町の給食はセンター方式をとり、小中学校の給食は一括して
給食センターが調理、運搬。

陸前高田市では、最近の食材価格の高騰に対応するため、
小学校で年額3000円値上げし、4万7000円、
中学校で2390円値上げし、5万4900円。
日数は4、5日減らして176日。

住田町は、小中学校とも6000円値上げし、小学校が5万円、
中学校が5万6000円。
日数は、前年度より8日増やして180日。

大船渡市は、三陸町内の小中学校はセンター方式で、それ以外は自校、
または共同調理場方式となり、料金と日数に多少の違いがある。
平均は、小学校が4万6714円で184・1日。
中学校は5万1625円で182・6日。

原則世帯全員の課税額の合計で算定される保育料(月額)。
3歳児の最高額は、大船渡市で所得税が5万5000円以上の
家庭は3万3600円、陸前高田市で所得税が7万1000円以上の
家庭は3万3000円、住田町で所得税が4万円以上の家庭は3万円。

税金に関しては、地方税法上適切な税額設定となっているものの、
種類によっては人口規模などによって多少の差異があり、
各種料金についても違いがあった。

本格的な地方分権社会の到来に伴い、近年は市町村が各地域の課題を
自らの考えと力で解決し、質の高い住民サービスを提供していくことが
求められているが、大きな課題となっているのが「少子高齢化」。

今後、税金を負担する人が減り、逆に保健や医療、福祉といった
行政サービスの受け手が増え、市町村の財政運営は非常に難しい。
年々収入が減り、支出は増える状態が続く見通しだけに、
暮らしやすいまちづくりに向けて、住民はこれまで以上に
税金(予算)の使われ方に関心を持つことが必要。

http://www.tohkaishimpo.com/

2009年4月15日水曜日

運動した後、筋肉痛になる?カフェインを摂りなさい

(2009年4月7日 WebMD)

カフェインによって、運動による筋肉痛が軽減される。
コーヒーが、文字通り健康を増進する一杯になる可能性がある。

イリノイ大学の研究者らは、多量のカフェインを摂取する若年男性だけでなく、
そうではない若年男性においても、カフェインの摂取に関連して
疼痛が軽減することを見出した。

大学生に相当する年齢の健康な男性25例と、
運動する必要のある試験への参加の契約を結んだ。
一部の男性は、普段からカフェインを摂取、
1日にコーヒー4杯に相当する量を飲んでいたが、
他の男性は誰もそれほど多くを飲む習慣がなかった。

最大酸素消費量を測定するため、エクササイズバイクを用いた
最初の運動試験を受けた。
高強度の30分間の運動試験を2回受けた。
試験日の前にはカフェイン、アルコール、運動を控えるように指示。

1回の試験では、高強度の運動を行う1時間前に、
男性にプラセボ錠を服用。
もう1回の試験では、運動の前に男性にカフェインの錠剤
(コーヒー2.5 - 3杯に含まれるカフェインと同じ量)を服用。

酸素消費、心拍数、作業量に関するデータを収集、
男性が大腿四頭筋の筋肉痛をどのくらい感じているか定期的に質問。

カフェイン投与後は、プラセボ錠を投与後と比較し、
大腿四頭筋の筋肉痛が有意に軽減。
カフェイン摂取の習慣がある男性も、摂取の習慣がない男性も、
運動試験の前にカフェインを摂取することによって、疼痛が軽減した。

『International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism』
4月号に掲載。

◆カフェインは、どのようにして筋肉痛を軽減?

「脂肪代謝の促進に役立つ」が動機となり、
カフェイン含有する物質を摂取することが運動選手にとって一般的に。
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の運動学と地域医療の教授である
Robert Motl博士は、カフェインが疼痛処理に関係する脳、脊髄のシステムに
作用することを見出し、カフェインが疼痛を軽減できるのではないかと推測。

「予想外の知見は、普段カフェインを摂取することがない人々と、
日常的に摂取している人々に、カフェイン摂取後の運動中の疼痛が、
同じ量だけ軽減したこと」

さらに研究を進めることによって、疼痛軽減が運動選手の成績の改善を
もたらすことができたかどうかが明らかに。
「もし運動し痛みを感じると、疼痛は運動を止めるように教える
嫌悪刺激であるため、運動を止めてしまいがち。
少量のカフェインを摂取させ、感じられる疼痛を軽減できれば、
その運動を続けさせるのに役立つかもしれない」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/7/95007/

細胞の老化、がんを抑制 二段構えの防御解明

(2009年4月7日 共同通信社)

網膜芽細胞腫などにかかわるがん抑制遺伝子の一種Rbが
働かなくなっても、それを引き金に細胞の老化を促すスイッチが入り、
がん化を進みにくくする仕組みがあることを、
京都大の高橋智聡研究員らが突き止め、
米科学誌キャンサーセル電子版に発表。

生体に備わった二段構えの防御機構。
高橋研究員は、「Rbと老化という両方の防御機構が働かなくなると、
進行がんが起きるのでは。
がんの進行を遅らせる新たな治療法のヒントになるかもしれない」

チームは、遺伝子操作したマウスで実験。
Rbが全く働かなくなると、細胞の成熟を促すタンパク質「N-Ras」が
活性化して緩やかな老化が起き、がん化につながる
異常な細胞の増殖を抑えることが分かった。

Rbと老化遺伝子の両方を抑えたマウスでは、
悪性のがんが大幅に増加。
人の進行がんの多くでRbが働かない現象がみられるが、
老化遺伝子などにも異常が起きている可能性が示された。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/7/94961/

女性のBMI、日本だけ「減少」 やせ願望?専門家、悪影響を指摘

(2009年4月7日 毎日新聞社)

日本人女性の肥満度を示す体格指数(BMI)が、
10代後半~20代にかけ減少に転じ、他国では見られない特有の傾向。
菅原歩美・筑波大研究員(内分泌代謝科)らのチームの研究。
米疫学誌の5月号に発表。

菅原さんは、「やせていることのイメージは良いが、
実際は健康や出産への悪影響が指摘」

BMIは、6歳ごろから増加。
日本の国民健康・栄養調査と、同様の調査を持つ米国、韓国のデータを
調べたところ、米国男女と韓国、日本の男性は、
10歳以降はBMIが増え続け、韓国女性は18歳ごろ増加が止まり、
20代は横ばい。
日本女性は、15歳ごろ増加が止まり、20代は年齢とともに減少。

58年以降の日本女性のBMIを解析した結果、
50-59年生まれの女性が10代後半から20代前半だった70年ごろ、
一斉にBMIが減り始めた。

若い女性のやせは、摂食障害やうつ傾向、骨密度の低下を起こしやすく、
出産時に低出生体重児になる確率が高い。
曽根博仁・同大教授は、「やせることを勧める風潮が強いが、
若い女性のやせは深刻。
70年ごろを境にやせ願望が強まった背景を探りたい」
……………………………………………………………………………
◇BMI(体格指数)

国際的に肥満度を示す指標として使われ、
体重(キロ)÷身長(メートル)の2乗で算出。
日本肥満学会は、18.5未満をやせ、22を標準、25以上を肥満。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/7/94985/

「グランドスラム」への扉(2)盛田正明氏 一生戦争続くものと覚悟

(日経 3月5日)

盛田正明氏は1927年5月、名古屋市に生まれ。
実家は、江戸初期から300年以上続く老舗酒屋「盛田」。
ソニーを創業した兄、昭夫氏は第15代当主。

子供のころは体が弱かった。
小学生のとき、1カ月皆勤したことがなかったほどだ。
学校より、家で遊んでいる方が楽しかった。
進学した旧制愛知県立第一中学校は、スパルタ教育で有名。
生徒は全員、何か運動部に入らなければいけなかったが、
しごかれる厳しい部にはとても入れない。

比較的おとなしいバレー部に入ることに。
2年生になるとレギュラーに選ばれ、背が高かったので
前衛のセンターでトスを上げる役。
相手や味方の動きを見ながら、総合的に戦略を組み立てる力が求められた。
4年生の時、全国優勝も果たし、バレーは大学に入学してからも続けた。

勉強はあまり好きでなかったが、物理や数学は面白ろかった。
飛行機が好きで、将来はパイロットになりたい。

1937年、日中戦争がぼっ発。
日本は太平洋戦争に向かって突き進んでいた。
当時は、今とはまったく世界が違った。
4歳の時、満州事変、小学校2年生の時、支那事変(日中戦争)、
中学に入ると大東亜戦争(太平洋戦争)が始まった。
自分の一生は、ずっと戦争が続くものだと思っていた。

中学4年(16歳)の時、米英のスポーツは禁止になり、
「勤労動員」で武器工場に行かされ、勉強や部活どころではなくなった。
軍人が学校に来て、大声で「出征志願者は手を挙げろ」と演説するなど
異様な雰囲気に包まれていた。

どうせ戦争に行くなら、大好きな飛行機に乗りたいと思い、
16歳の時に甲種飛行予科練習生(海軍の航空学校)に応募し、
特攻隊の訓練生になった。
母親は猛反対したが、「国を守るため戦わなければ」。
長男の昭夫は、海軍の技術将校だったが、
次男の和昭は海軍予備学生、三男の私は特攻隊訓練生。
両親は、下の2人の命はあきらめていたと思う。

訓練中の18歳のとき、終戦を迎えた。
「盛田」の酒蔵がある愛知県小鈴谷村(現常滑市)に帰って、
これからどうしようかと考えていた。
昭夫の大阪大学理学部時代の先生が教えていた
東工大専門部を受験して編入することができた。
東京・荏原の親せきの家に兄と下宿、そこから東工大へ通うことに。

兄は終戦の翌年、海軍技術将校時代に知り合った
井深大さんら30人ほどで会社を立ち上げていた。
東京通信工業(現ソニー)だ。
私は学生だったが、何か面白そうなことをしているなあと思っていた。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/hiroku/hir090304.html

カキPRへサービス展開 大船渡町漁家ら研究グループ設立

(東海新報 4月12日)

地元産カキのPRと付加価値向上を図ろうと、
大船渡市大船渡町の漁家らが研究グループを立ち上げた。

食べ放題の焼きガキ販売サービス展開を視野に入れ、
漁家所得の向上や気仙産水産物の知名度アップが期待。

カキ養殖漁家らで構成するこのグループは、
「大船渡湾水産物流通研究グループ」(新沼敬司会長、会員4人)。
設立総会が開かれ、グループ規約や今年度の事業計画、
収支予算などを決めた。

設立の目的は、水産物の新たな販路開拓、付加価値向上などにより、
流通チャネルを多様化することで、
前浜資源の有効活用と消費拡大を図っていく。
事業計画では、主としてカキの低価格時期に付加価値を付けて
高価格で販売し、地場産品のPRに努めていくこと。

地元産カキは、例年1月以降、剥き身の築地市場価格が
他産地との競合により低迷したままシーズンを終え、
現状打開のため、カキに付加価値を付け、
高価格で安定した漁家収入を得る方法を模索していく。

具体的には、焼き台を設置した建物内で、時間内食べ放題の焼きガキを
消費者に販売する「カキ小屋」事業を、県や市、地元漁協の協力を
得ながら展開していく考え。

こうしたサービスは中国・九州地方で広まっていたが、
ここ数年で宮城県の松島や本県の山田町などでも開始。
山田町では、地元観光協会などが主体となって事業を展開、
45分食べ放題2000円の価格で、人気を博している。

碁石海岸観光まつり(5月4、5日)に、焼きガキ食べ放題ブースを設置。
試験的にサービスを提供し、来場者の反応などを確かめていく。

新沼会長は、「我々生産者は、消費者にカキをより手軽に
食べてもらえるよう育てている。
旬の良質なカキを幅広く、安く提供する機会を設けることで、
地元の水産物を全国にPRしていきたい」

http://www.tohkaishimpo.com/

2009年4月14日火曜日

安易なフルマラソンに警鐘 松村邦洋さん蘇生の医師

(2009年4月8日 共同通信社)

ジョギング人気が高まる中、十分な準備をせずにフルマラソンに
挑戦するランナーが増えている。
東京マラソンでは、タレント松村邦洋さん(41)が急性心筋梗塞を起こし、
心肺停止状態に陥った。

松村さんの蘇生にかかわった埼玉医大総合医療センターの
大貫学医師(48)は、「ろくに練習もせず、たまたま抽選に当たり参加した人も。
ジョギングの延長と安易に考えず、フルマラソンには命の危険があることを
意識してほしい」と警鐘。

東京マラソンが開かれた3月22日、テレビ番組の企画で出場した松村さんは、
15キロ地点の手前で立ち止まり後方に転倒。
意識を失い、口から泡を吹いた状態。

ドクターランナーとしてたまたま近くを走っていた大貫医師らは、
心肺停止を確認。
駆け付けた救急救命士が自動体外式除細動器(AED)を使い、
2回目の電気ショックで心拍を再開。

「1分以内に蘇生術を施せたから助かった。
医療スタッフが少ない小規模な大会だったら、助からなかった」

当日、約50人のドクターランナーと連携して伴走し、
様子がおかしい100人以上のランナーに声を掛けた。
「胸が苦しいと訴えた人も数人いた。段階的な練習や健康診断など、
必要な準備をしていない人が多かったのではないか」

松村さんは、フルマラソンの完走経験があり、
昨年の東京マラソンは35キロ付近でリタイア。
「仕事の合間に週に4、5日、皇居周辺を走っていたので、
過信して速いペースで飛ばしてしまった。
心臓が弱っていたと、後で医師から聞かされた」

松村さんが出演する番組を企画した東京メトロポリタンテレビジョン
(東京MXテレビ)は、「企画に無理があったとは考えていないが検証したい」

▽東京マラソン

2007年に始まった、国内最大規模の市民参加型シティマラソン。
国内外の一流ランナーも参加し、東京都心を走る。
今年は、フルマラソンと10キロの部で計約26万人が申し込み、
抽選の結果、約3万5000人が走った。
フルマラソンには約3万人が参加、完走率は約97%。
20人が救急搬送。
運営には、約1万3000人のボランティアが協力、
約500人の医療スタッフも配置。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/8/95020/

笑いの「出前」1千回達成 病院や企業へ、福岡の団体

(2009年4月8日 共同通信社)

笑いを心身の健康やストレス解消に役立てようと、
病院や企業、福祉施設などに出向いて
マジックや大道芸を披露する福岡市の特定非営利活動法人(NPO法人)
「博多笑い塾」による笑いの出前講座が、1000回目を迎えた。
1000回目は、福岡市早良区の旅館で開催。

中学と高校の同窓生が古希を祝う会で、一芸を演じる
「笑招人(しょうしょうにん)」が大広間でこま回しや皿回し、
漫才を繰り広げ、会場は終始和やかな雰囲気に包まれた。

笑い塾は1999年、日本笑い学会(会長・井上宏関西大名誉教授)の
福岡支部として誕生。
出前講座は、1年目は1件だったが口コミで広がり、
現在は九州・沖縄を中心に月に15件ほど開催。
サラリーマンや看護師ら約50人が順次、出演。

笑い塾理事長の小野義行さん(50)は、
「閉塞感が漂う現代社会で、笑いは求められている。
笑いでストレスを発散して元気になったら、今度は周囲を笑わせ、
笑いの連鎖を作り出したい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/8/95030/

熱いお茶の摂取は食道癌リスクの上昇と関連

(2009年4月9日 Medscape)

熱いお茶の摂取が食道癌リスクの上昇と強く関連することを示す
イラン北部の地域集団に基づく症例対照研究の結果が
『British Medical Journal』オンライン早版に掲載。

「熱い飲み物の摂取と食道癌リスクとの関連は、
いくつかの研究で世界各地から報告」と、
テヘラン医科大学シャリアティ病院(イラン)のFarhad Islamiら。

「ゴレスタン州で一般に飲まれている飲料はお茶と水だけで、
平均摂取量はほぼ同じ。
食道癌発生率が低い近隣地方の住民に比べ、
ゴレスタン州の住民はより多量かつより高温のお茶を飲んでいた」

目的は、食道扁平上皮癌(SCC)の発生率が高いイラン北部ゴレスタン州に
おけるお茶の摂取習慣の特徴と食道SCCリスクとの関連を評価すること。

お茶の摂取パターンと通常飲むお茶の温度は、
コホート研究に登録された健常被験者でも評価。
食道SCC患者300名のお茶の摂取について、症例対照研究のマッチングした
近隣対照被験者571名およびコホート研究の参加者48,582名と比較。
主要評価項目は、熱いお茶の摂取に伴う食道SCCのオッズ比(OR)。

紅茶を飲む習慣があると回答したのは、コホート参加者の98%、
平均1日摂取量は1L以上。
お茶の温度は、参加者の39.0%が60°C未満、38.9%が60-64°C、
22.0%が65°C以上であると回答。
回答されたお茶の温度は、実際の温度測定値と中程度の一致。

症例対照研究では、ほのかに温かいまたは温かいお茶に比べ、
熱いお茶(OR 2.07)、非常に熱いお茶(OR 8.16)を飲んでいる場合に
食道癌のリスクが高かった。
お茶を注いでから2-3分後に飲んでいる場合(OR 2.49)、
注いでから2分以内に飲んでいる場合(OR 5.41)も、
注いでから4分以上経過後に飲んでいる場合に比べてリスクが有意に高い。

飲むお茶の温度に関する質問の回答は、
お茶を注いでから飲むまでの時間間隔と強く一致。
「熱いお茶を飲むというゴレスタン州で一般的な習慣は、
食道癌リスクの上昇と強く関連」

本研究の限界として、お茶を飲んだ量と温度に関する
情報バイアスがある可能性、妥当性を検証する試験(validation study)が
健常者で行われたこと、選択バイアスがある可能性、欠測データが
いくつかあることが挙げられる。

「ゴレスタン州住民の大部分が熱いお茶を飲んでいるため、
本集団における食道癌症例のかなりの割合が
この習慣で説明できる可能性がある。
ゴレスタン州および同様の習慣が一般的にみられる他の高リスク集団で、
食道癌発生率を下げるためには、熱いお茶を飲むことの危険性を
人々に知らせることが有効かもしれない」

王立ブリスベン病院クイーンズランド医学研究所(オーストラリア)の
David Whiteman博士は、お茶を飲む前に5分間冷ますことを推奨。
「熱が腫瘍の発生を促進する機序については、さらに調査する必要、
今回の知見より新たな弾みが得られるかもしれない。
お茶を警戒する理由とはならず、お茶を飲む習慣に対する
人々の熱意がそがれるべきではない。

お茶を作ってからカップに注ぐまでの間、5-10分間の間隔をおくという
アドバイスに従うべき。
お茶の風味を十分に引き出し、熱傷の危険性を下げることができる」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/9/95102/

「グランドスラム」への扉(1)盛田正明氏 トップ選手育成へファンド

(日経 3月4日)

日本男子で、16年ぶりの世界ツアー優勝を飾ったテニスの錦織圭選手。
成長を支えたのは、ソニー元副社長で日本テニス協会会長の盛田正明氏。
私財を投じて基金を設立し、世界レベルのトップ選手育成に情熱。

70歳でソニーグループを引退し、経営者としての夢がなくなった。
死ぬまで追いかけられる次の夢は何だろうか?
まずは自分が熱中できること。

思い浮かんだのは、テニス。長年テニスが趣味。
仕事で知り合った世界中の友人や兄の昭夫(ソニー創業者、故人)と
テニスをしてきた。仕事で疲れても、テニスをすると頭がスッキリした。

スポーツマーケティング最大手、米IMGの創業者である
マーク・マコーマックさん(故人)も、テニス友達の1人。
英ウィンブルドン選手権や全米オープンに招待してくれ、毎年観戦に。

決勝戦でプレーしているのは、外国人選手ばかり。
日本人がいないことが寂しかった。
自分が選手になることはできない。
子供の夢を、自分の夢として追いかけることができるのではないか?

そう考えて、2000年にジュニア選手を育成する
「盛田正明テニス・ファンド」を設立。
テニス選手を育てるにあたって、ソニーでたたき込まれた
「人がやらないことをやる」という目標を設定。

井深大さん(ソニー創業者、故人)は、「人がやらないことをやれ」。
テープレコーダーやトランジスタラジオなど、世の中にない製品を
作るのがモットーで、私もそういう考えが身についている。

井深さんは、すごい目標を設定する。
カセットテープの大きさを半分にしろと言われた。
「とてもできない」と答えると、「できない理由を言ってみろ」と反論。
達成できそうな目標は、過去の経験を生かせる。

普通の努力ではとても無理な目標を達成するには、
ゼロから考える創造性が求められる。
奨学金制度はたくさんあるが、人がやったことがない
「グランドスラムで優勝できる選手を育てる」という目標を設定。

決して不可能な目標ではない。
これまで13人のジュニア選手を米国留学させ、
その中から錦織選手が出てきた。
2月、世界ランクが50位台まで上がった。
最初はトッププロになれるのか、誰も分からなかった。
人の成長というものは様々な条件や環境が関係し、とても複雑なもの。

ソニーグループの技術者、経営者時代を通じてテニスに親しみ、
今は日本テニス協会の会長を務めている。
いつもそのときに与えられた状況を楽しみながら、
夢を追いかけてきた私の半生を振り返ってみたい。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/hiroku/hir090303.html

「朝ごはん」簡単レシピ集 普及用に2万部作成振興局農林部

(東海新報 4月12日)

大船渡地方振興局農林部(阿部忠一部長)は、県産食材を使った
「かんたん!おいしい!朝ごはん」のレシピ集を作成。

気仙地区の全小・中学校などに配布し、
各家庭の食卓メニューに活用してもらう。
大きさは、両面カラー1枚(縦20㌢×横37㌢)を巻3つ、直角2つ折した
コンパクトサイズで、携帯にも便利。

地産地消と食育を目的に、朝ごはんコンクールの入賞料理を普及するため、
料理の写真と作り方を紹介。

最優秀賞「ヤーコンと鮭 卵でふんわり」(陸前高田市、及田玉子さん)、
優秀賞「根菜と青豆のそぼろ煮」(同市、金野綾子さん)、
「オムレツinネバネバ」(大船渡市、今野秀さん)、
特別賞「ボリュームたっぷり!ふわサクたまご」(同市、新沼咲紀さん)、
「干し小女子のポン酢ごはん」(一関市、遠藤久仁恵さん)、
優良賞「野菜あんかけ納豆ごはん」(大船渡市、菊池絵美さん)、
「秋刀魚とわかめの混ぜご飯」(同市、村上真紀子さん)、
「うめとしらすのオムライス」(同市、猪股瑞穂さん)、
「野菜たっぷりカラフルオムレツ」(陸前高田市、及川未来さん)、
「鮭のごちそう包み蒸し」(一関市、菊池光弘さん)の10点。

レシピ集は2万部作り、近く44の小・中学校と、
コンクールに多数応募した大船渡東高校に配布、
合庁や市町の窓口にも置いて自由に活用してもらう。

コンテストは、子どもたちに朝ごはんをたべてもらおうと初めて実施し、
応募84点の中から調理実習などの審査で、独創的な10点が入賞。
農林部では、「要望に応えて、次はワンプレートで作る晩ご飯コンテストを
実施したい」と企画中。

http://www.tohkaishimpo.com/

2009年4月13日月曜日

子ども癒やす臨床道化師 伊地震被災地に笑い広がる 「ルポ」

(2009年4月9日 共同通信社)

「ボクの髪をとかしてよ」
丸刈りのピエロが子供たちに頭を突き出す。
大きなくしを持った子どもが戸惑い、周りに笑いが広がった。

イタリア中部地震の被災地ラクイラ近郊の避難所では、
笑いで子どもたちを癒やす「臨床道化師治療」を行う白衣のピエロが登場、
家や親族らを失った子どもたちのトラウマ(心的外傷)対策に一役買っていた。

青いテントが約200張り並び、被災者約1000人が身を寄せる避難所。
ここを訪れた6人のピエロは「臨床道化師」になるため、
600時間の講習を受けたプロの医療関係者。
普段は、ローマ市内の病院に勤務する。

「トリックトラック」というあだ名の丸刈りの男性(27)は、
「子どもが本来持っていた夢見る力を思い出させたい」
病院外で働くのは初めてだが、
「最後であってほしいね」と少しさびしげに笑った。

臨床道化師治療は近年、保健当局から有効なトラウマ対策として
認められ、アフリカなどの紛争地にも派遣された例がある。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/9/95097/

米モビシモ・コムのタルカCEO「クラウドで世界の旅行情報共有」

(日経 4月3日)

クラウドコンピューティングは、ITを活用するベンチャー企業を中心に
需要が高まっている。
「Web2.0」で広まったネット上での情報共有がしやすい。

世界8カ国を対象に、旅行サイトを展開する米モビシモ・コムの
ビートリス・タルカ最高経営責任者(CEO)に、ネットビジネスへの影響を聞いた。

——ネット上の旅行会社は数多くあるが。

「旅行サイトといえば、『エクスペディア』や『トラベロシティ』、
日本では『楽天トラベル』など大手が存在。
彼らのサイトの多くは、ネット上でのチケット販売が目的。
我々のビジネスモデルは、自らチケットを売るのではなく、
航空会社や格安チケットサイトなど世界の192ものサイトから情報を集め、
利用者が検索できるようにしている」

「創業は2003年で、モビシモという社名は移動を表す『モバイル』と、
イタリア語で1番を意味する『イシモ』の造語。
旅行に関する1番の情報データベースを目指している。
英語のサイトから始め、現在はフランス語やスペイン語など
8カ国向けのサイトがあり、世界で約500万人が利用」

——クラウド技術の広がりはどんな影響をもたらしたといえるか?

「ネット上の様々な旅行サイトが情報をオープンにしてくれたおかげで、
我々は検索ロボットを走らせれば、大量の情報を収集できる。
航空会社など最初、『勝手に情報をとっていく』と否定的だったが、
途中から友好的になり、広告も出してくれる。
大手のネット代理店のように、チケット販売の手数料を払わなくてよく、
顧客を自社のサイトに直接連れてきてくれることに気付いた」

「利用者も、仲間と簡単に情報を共有できる。
旅行者同士が情報交換できるSNSの『モビ・フレンズ』を設けた。
写真や旅行記などを共有できる『モビ・シェア』というサイトも加えた。
旅行情報に関するネット上の仲間づくりを、
『トラベル2.0』とか『トラベル3.0』と呼んでいる

——収入はどんな形で得ているのか?

基本は広告モデル。
一般的なバナー広告に加え、検索結果から各社のサイトに
案内した場合に料金をもらう形も。
チケットが売れた場合の手数料の分配。
自らチケットを仕入れて売るわけではないのでリスクがなく、
スタート当初から十分、利益を出せる構造に。
我々の成長性に目をつけ、ベンチャーキャピタルの英インデックスなども出資」

——近く、日本にも進出を狙っているとか。

「進出といっても、拠点を置くわけではなく、サンフランシスコ本社から
各国向けにすべての情報を提供。
これが、クラウドの素晴らしいところ。
8カ国といっても、言葉が読めれば誰でも使え、
実際には世界中からアクセスがある」

「日本からも毎月80万件の閲覧があり、新たに日本人スタッフを採用し、
日本語サイトを設けることに。
日本の航空会社や旅行サイトとも協業の話を進めている。
今まで欧米が中心だったが、日本向けサイトができれば、
インドに次ぐアジアで2番目のサイトに」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090402.html

部活動は「休養日徹底を」 県教委が提言

(岩手日報 4月3日)

県教委の多忙化解消検討ワーキンググループ
(リーダー・佐藤博・教育企画室企画課長)は、
「『教職員の負担軽減に向けて』の提言」をまとめた。
市町村教委や学校などに配布し、現場で役立ててもらいたい考え。

提言は、教職員が児童生徒と向き合う時間をこれまで以上に確保し、
働きやすい職場をつくり出すための解決策との位置付け。
部活動と、研究指定の在り方に焦点を当てた。

部活動については、
▽休養日の徹底、
▽外部指導者の活用、
▽保護者との共通理解促進―など九項目。

教職員の多忙化について国の実態調査は、
残業や持ち帰りの仕事が解消されていないことを指摘。

佐藤課長は、「提言をもとに、各職場で話し合う場をつくってほしい。
保護者や地域の方々にも、教職員を取り巻く状況を理解してもらいたい」

http://www.iwate-np.co.jp/school/school/200904/s200904031.html

リンゴ改良に新技術 岩手大・吉川教授ら

(岩手日報 4月3日)

岩手大農学部の吉川信幸教授を中心とした研究チームは、
植物ウイルスを利用したリンゴの早期開花技術を確立。
従来、種をまいて開花まで6~12年かかっていた年限を、
1・5~3カ月に大幅短縮。
長い年月を要してきた品種改良の効率化につながる有効な新技術。
果樹産業の発展、活性化に向けて実用化への期待。

吉川教授らは、リンゴが潜在的に感染している
「リンゴ小球形潜在ウイルス」に注目。
病気を起こさず、人や動物がその果物を食べても全く影響がない。

新技術は、実験植物シロイヌナズナの開花を指示する「FT遺伝子」
ウイルスにつなぎ、リンゴの発芽直後の種子(子葉)に感染。
感染させた実生苗の40%以上の個体が、1・5~3カ月後に開花、
花粉は高い発芽力を持っていた。

果樹生産は、気温の影響を受けやすい。
地球温暖化が進む中、リンゴの栽培適地が徐々に北上するという
研究結果も発表、温度や病気、虫などに強い品種の開発が課題。

吉川教授は、「品種改良を早めるために有効な技術。
世界的にも前例はなく、リンゴのほかにナシやモモにも使える可能性がある」

同研究は、農林水産省の
「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」の援助により実施。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090403_4

2009年4月12日日曜日

見過ごせぬオバマ大統領の「覚書」

(日経 2009-03-27)

オバマ米大統領が、受精卵に由来する万能細胞「胚性幹細胞(ES細胞)」の
研究に対する連邦政府助成を全面解禁する大統領令に署名。
その陰に隠れて見過ごされがちだが極めて重要なのが、
同時に署名した「サイエンティフィック・インテグリティ」に関する覚書。
今後の米政策全般を、大きく左右する可能性がある。

「インテグリティ」とは、「完全無欠の」の意味。
「サイエンティフィック・インテグリティ」は、「科学的一貫性」。
「正確で客観的な科学的助言に基づき、政府が意思決定すること」が重要。

ES細胞への連邦政府助成の解禁は日本でも注目。
京都大学の山中伸弥教授らが、世界で初めて皮膚細胞から作製した
新型万能細胞(iPS細胞)の研究にも、大きな影響を及ぼす。
米国内では、むしろ大統領覚書への関心が高い。
覚書がなぜ、それほどの重みを持つのだろうか?

ES細胞研究について、ブッシュ前大統領は2001年、
連邦政府の助成を厳しく制限すると発表。

「1つ1つの受精卵は、固有の遺伝的情報を持ち、1人の人間に育つ
潜在力を秘めている」
研究の科学的な意義には一定の理解を示しながら、
倫理的な理由から政府助成は認められない。

ブッシュ氏は、カトリックの教えに従い、生命尊重を信条に。
人工中絶にも断固反対で、受精卵を壊してES細胞を作ることへの抵抗も。

ES細胞研究によって、再生医療などが進めば多くの人の命を救え、
苦しみを和らげられる可能性。
人工授精で余り、破棄される予定の受精卵なら研究に使っても問題ない、
というコンセンサスもできつつあった。

しかし、大統領の生命観、倫理観は変わらなかった。
一連の出来事を、「科学研究の葬儀」と表現する人も。
科学が、大統領の思想の前に屈したと感じた科学者が多かった。

オバマ大統領は、「科学者がごまかしや弾圧を受けずに
仕事をできるようにし、我々に不都合な内容にこそ耳を傾けねばならない」
ES細胞だけではない。
あらゆる政策に、この考えを徹底させようとしている。

地球温暖化問題でもそうだ。
ブッシュ氏は、チェイニー前副大統領とともに、石油関連業界と関係が深い。
油田開発、石油消費を前提とする経済発展を否定できなかった。
温暖化が、人間活動に伴うCO2排出に起因するという考え方も拒否。

米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ハンセン博士ら、
温暖化問題に詳しい優れた研究者が何人もいる。
ブッシュ政権は、温暖化進行の報告書の公表を可能な限り見送った。
自由にモノが言えない雰囲気がまん延。
米国の京都議定書への復帰や温暖化ガス排出削減に関する法案を
通そうとする議員らが公聴会を開き、科学者らに発言の機会を与えたが、
空気は変わらなかった。
ブッシュ氏は、「科学的に未解明な点が多い」、
「温暖化問題は技術で解決できる」などの主張を繰り返した。

オバマ大統領は、それを一気にひっくり返した。
科学的な分析を重視して温暖化ガスの影響を認め、排出増を止めるべきと、
20年には1990年の排出水準に戻し、50年には80%減らす目標。
達成へ向け、高効率な太陽電池の開発などのためにエネルギー省だけで
12億ドルの研究開発費を投じる。

「サイエンティフィック・インテグリティ」を徹底させるため、
オバマ大統領は主要省庁すべてに科学技術顧問を置くことを命じた。
政治思想やイデオロギーではなく、「科学・技術に関する知識、信頼性、
経験に基づき選出する」

翻って日本はどうだろうか?
政策決定における科学的議論の重みが、米国とは比較にならないほど軽い。
審議会は数多いが、「専門家の意見を聞き置く」程度で、
報告書案は担当省庁の事務方がまとめあげてしまう。

首相が議長を務める総合科学技術会議が、最新の科学的な知見やデータを
もとに政策の選択肢を示す役割を担ってよい。
温暖化ガス排出削減の中期目標は、どのような技術を使い、
研究開発を進めるかという議論と表裏一体のはず。
総合科学技術会議が積極関与しないのは、むしろ不自然。

あらゆる分野の最高水準の研究者を集めた
日本学術会議に助言を求めてもよい。
学術会議は、生命倫理や地球環境問題などでいくつも提言、
実際の政策議論には生かせていない。
オバマ方式をそっくりまねる必要はないが、
科学を政策作りにどう位置づけていくかは、科学技術立国を標榜する
日本にとって重要な課題。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec090326.html

医療機器、成長のための条件

(日経 2009-03-31)

製造業の落ち込みは、海外よりも国内のほうが大きいことが明らかに。
受注金額が、前年同期比16%(84%減)という不振にあえぐ
工作機械業界でも、「世界中どこでも需要は減っているが、
特にひどいのが国内」(牧野フライス製作所)との声。

2008年10-12月期、国内総生産(GDP)が前年同期より
12.1%(年率換算)減った主な要因は、
自動車・電機を中心とした輸出の不振。
不況が終われば、自動車と電機の輸出も上向くはずだが、
元通りの水準には戻らないかもしれない。

自動車や電機の代わりになるような、新たな産業の柱が欲しい。
長期的な需要が見込める分野で、今後、ものづくり技術を転用することで
強化できる分野の1つと考えられるのが「医療」

現状では、「病院の中に医療機器はたくさんあるが、8割は海外製」
国産の機器は、X線CT装置、超音波画像診断装置や内視鏡などの
検査用機器がほとんどで、ペースメーカーのような治療用機器は
ほぼすべて輸入品。

厚生労働省の薬事工業生産動態統計年報でみても、
07年における医療機器の国内市場(=生産額+輸入額−輸出額)は
2兆1314億円、輸入金額は1兆220億円と約半分。

国内メーカーが技術で劣っているわけではない。
三菱重工業は08年、がん治療向けの放射線治療装置「MHI-TM2000」
を発売、医療分野へ本格参入。
重機械メーカーとしての技術の粋を集め、放射線の照準を患部に
合わせるまでの時間を大幅に短縮、患者が装置に入ってから
治療を終了するまで、従来は1時間かかっていたものを15分に。
照射ヘッドの首ふり機構、60枚の遮へい板を細かく制御して
X線ビームの断面形状を調整する装置などの新機軸を搭載。

治療用機器で、国内メーカーのシェアが低い理由の1つは、
薬事法による製造販売承認を取得するまでにかかる時間の長さ。

背景には、医療機器で事故が起こった場合の責任問題。
医療機器に限らず、機械装置にはどうしても一定のリスクが生じてしまう。

日本は、「社会的に許容できるレベルのリスクは受け入れる」という
文化に乏しく、実質的に100%安全でなければ許されない。
製造業の製品安全などで普及が始まった「リスクマネジメント」
考え方を導入し、リスクがどこにどの程度の確率で存在するかを
明らかにした上で、社会的に許容できるかどうかを考える、
といった枠組みが必要。

医療分野は、「安心」に密接に関連している分野。
20世紀の製造業は、「もの」を大量につくって供給することが役割、
今後は「もの」を含めて、「安全・安心」を供給する役割を担うべき。
先進国を中心として「もの」への欲求は弱まり、
その代わり安全・安心へのニーズが強まっている。

「食の安全」で注目される農業分野でも、
ものづくりの技術を生かせる可能性が大きい。
作物を計画的に生産する、「植物工場」の試みが始まっている。
植物を、「DNAという設計成長プログラムが入ったバイオコンピューター」と考え、
入力と出力の関係を明らかにしたうえで、入力をコントロールすれば
計画通りの生産が可能に。
これは、「ものづくり」そのもの。

海外に依存しているものの生産を国内に取り戻し、
内需を満たすことで産業として確立する。
蓄積した技術を生かして、「安全・安心」を伴ったものを海外へ輸出する。
このような戦略を実行に移すべきときに来ている。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon090330.html

南部美人の純米酒 サッカーW杯公式日本酒に

(岩手日報 4月5日)

二戸市福岡の酒造販売会社南部美人(久慈浩社長)の純米酒が、
国際サッカー連盟(FIFA)主催の2010年ワールドカップ(W杯)
南アフリカ大会の「公式日本酒」に決まり、
世界規模の販売に向けた準備が進められている。

公認ラベル、オリジナルの瓶などを使った第一弾を、年内にも販売する予定。
世界最大級のスポーツイベントを通じ、岩手が誇る文化の発信が期待。

同社の純米酒は、米の味を生かした豊かな風味とコクが特長。
750ミリリットル入りと375ミリリットル入りの二種類を販売予定で、
ラベルや瓶などについて検討。
販売額は、750ミリリットル入りで1本1000~2000円。

近年の世界での和食や日本酒の人気の高まりを受け、
FIFAのライセンス管理などを手掛けるグローバルブランズジャパン
(東京、青木マーシア社長)が昨春、日本酒業界に打診。
昨年末、南部美人を含む国内13銘柄と契約を交わした。

グローバルブランズジャパンによると、同社指定の日本酒卸会社を通じ、
国内をはじめ世界の飲食店などで販売できるよう交渉中。
FIFAの公式商品には、応援グッズやタオルなど。
南アフリカ大会に向け、公式日本酒への関心も高まりそう。

南部美人の久慈浩介専務は、「世界から日本酒が認められた証しで、
魅力を広めるチャンス。
サッカーは、世界中の若い世代に人気があり、
日本酒が親しまれるきっかけになれば」と期待。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090405_9

スポーツ21世紀:新しい波/298 市民マラソン熱/6

(毎日 4月4日)

国内唯一の夏の本格マラソンで、トップ選手、市民ランナーが
ともに走る北海道マラソン(札幌市)は、第23回を迎える今年、
大きく様変わりする。

これまでフルマラソン4時間以内が目安だった出場資格を、
同5時間まで緩和。
5000人だった規模も8000人と拡大させ、
北海道大構内や道庁赤れんが庁舎などを巡るコースに変更。

大会概要は今年1月、高橋はるみ道知事が新年会見で明らかに。
将来的には時間制限を撤廃し、数万人規模にすることも視野に入れ、
「(制限7時間の)東京マラソンに対応するような、
北海道マラソンになればいい」と将来像を語った。

札幌市のランナーのチーム「ナイアガラ・マラソンクラブ」
(宮岡達也会長、約100人)は07年、高橋知事に北海道マラソンの
時間延長を陳情。
この年から、市民に対する理解を深める意味も込めて、
制限時間7時間の大会を独自に開いてきた。

宮岡会長は、「北海道マラソンが、将来的には東京とは違う個性を持つ
大会として、市民に愛されて発展すれば」と歓迎。

大会関係者が最も心配するのは、暑さだ。
テレビ放映の事情もあり、今年も午後0時10分スタート。
ここ数年は、30度前後まで気温が上がり、32度を記録した07年は
完走率52%と異例の過酷さ。
時間延長は、ランナーにとって敷居が低くなる半面、
熱中症などの危険性も高くなる。

当初9月開催だった北海道マラソンは、トップ選手強化の考えから、
時期が繰り上げられた経緯がある。
五輪、世界選手権が夏開催である以上、その役割は重みを増している。

道道民活動文化振興課の橋本裕二主幹は、
「今年は新しい規模で、医療体制も万全にして実施したい。
そこで浮かんだ問題点から、今後の方向性が決まっていく」
高橋知事も、大会時期変更の可能性を示唆する。

昨春まで北大に勤務し、日本陸連科学委員も務める
石井好二郎・同志社大スポーツ健康科学部教授は、
「現在の開催時刻で参加者を増やすと、熱中症対策で大変なことになる」
と大会関係者に指摘。

「ホノルル・マラソンのように、早朝スタートにする方法もある。
交通規制の時間は延びるが、地域にとっての経済的、社会的なメリットを
示せれば、市民理解も広がり、陸連や警察を動かすこともできるはず

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/