2009年5月23日土曜日

岩手大通じ大連で開発 盛岡進出の「ゴーイング」

(岩手日報 5月18日)

盛岡市に岩手研究所を構え、岩手大と共同研究している
ソフトウエア開発のゴーイング・ドットコム(東京、本峠孝佳社長)は、
中国大連市の大連理工大ソフトウエア学院と
世界統一規格の財務、会計データ形式「XBRL」の共同開発に乗りだす。

共同開発は、大連と産学交流を進めている岩手大が懸け橋となって
実現した「日中産学官連携」の一環。21日、大連理工大で契約締結。

同社は2001年創業。
07年、岩手大工学部敷地内の市産学官連携研究センター内に
岩手研究所を開設し、「XBRL」などをテーマに岩手大と共同研究。

「XBRL」は、企業の会計や財務諸表などを効率的に処理するデータ形式。
会計や財務諸表などのデータ形式は世界各国で異なっているが、
「XBRL」が世界の統一規格に収れんされ、
主要国の大手企業が研究開発に乗りだしている。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090518_2

97歳の「出張授業」 人とのつながりを意識 「老いが変わる」「超高齢」を生きる

(2009年5月19日 共同通信社)

「命ってなに」、「時間って何だと思う」
聖路加国際病院理事長、97歳の日野原重明さん
矢継ぎ早に子どもたちに問いかける。

東京都杉並区の四宮小学校で開かれた「いのちの授業」。
聴診器で心臓の鼓動を聞かせる。
心臓の大きさは、拳と同じだと教える。
周りを見ながら手を挙げる子どもたちに、「自分がそう思ったら、
勇気を持って発言することが大事」と声を掛け、歌や冗談で和ませる。

「命は、自分が使える時間を持っているということ。
子どもは、自分のために時間を使っているけど、
大人は人のためにも時間を使うんだよ」

日野原さんは、ここ数年、年30、40回のペースで出張授業を続けている。
若い時は、研究や名誉のことを考えていたという日野原さんには、
1970年、赤軍派がハイジャックした「よど号」に乗り合わせた
「生きるか死ぬか」の体験がある。
「(それを機に)自分の力をどこかに返さなければと思うように。
若い人といると、エネルギーをもらって気力も出る」

85歳以上は、学者の間で「超高齢者」と定義。
東京都健康長寿医療センター(旧・東京都老人総合研究所)の
増井幸恵研究員は、超高齢者の特性を「自分へのこだわりを捨て、
大きな枠組みで、人とのつながりや生命の流れを意識するようになる。
若い世代を、いとおしく思う気持ちも生まれてくる」
調査の結果、体の状態にかかわらず「幸福感」が強い。

85歳以上の人口は、2035年に現在の3倍近い約1000万人に増える見通し。
100歳以上の半数は認知症との見方もあり、
長寿を手放しで喜べない側面も。

高齢者の心理に詳しい権藤恭之大阪大准教授は、超高齢者について
「人生の残り時間を意識し、物事を前向きに考える気持ちが増す」
「活動的な高齢者がもてはやされる中、自分の老いを受け入れられない
60、70代にメッセージを送ってくれる」

年を取ると身体的能力は落ちても、経験に基づく判断力は衰えず、
「むしろ知恵や英知は高まる。老化も遅れてきており、
長く社会で活躍できる」(柴田博桜美林大大学院教授)

日本福祉大の近藤克則教授が注目するのは、他者へのかかわり方。
調査によれば、「高齢者の健康には、誰かに支援されるだけでなく、
自分も誰かを支援するのが最も好ましい」
「高齢者が、地域とかかわる仕組みをどう作るかが社会の大きなテーマ」

この見方に沿った活動が、各地で始まっている。
愛知県北名古屋市では、高齢者が地元の子どもに、
地域の文化を伝えるため、石臼など昔の道具の使い方を教えている。
最高齢は96歳の竹内正子さん。
「子どもと一緒だとうれしいし、感謝の気持ちで一杯に。
年とともに、かわいさが増してくる」

各地で活動する「新老人の会」の兵庫県支部は、
小中学生に戦争体験を伝えている。
メンバーの綱哲男(82)さんは、「『沖縄のような小さな島で戦争をしないで、
となぜ言わなかったのですか』と問われ、はっとさせられた。
大人が子どもを守らなければ。そこに私たちの出番がある」

「超高齢者が増えていけば、大きな経済成長が望めない
今の日本にふさわしい新しい生き方をもたらすのではないか」
都長寿医療センターの増井研究員は期待。

世界に例のないスピードで進んだ日本の高齢化。
国民の5人に1人が65歳以上という「前例のない高齢社会」
活躍する高齢者。支える人々。老いの今を追った。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/5/19/98758/

コニカミノルタ松崎社長「太陽電池など新規事業も検討、300億円以上固定費削減」

(日経 5月15日)

コニカミノルタホールディングスの松崎正年社長は、
今後の経営方針などを説明。
構造改革で300億円以上の固定費を削減、
主力事業の収益回復につなげる一方、成長確保のため
環境エネルギー分野で新事業を検討。
主なやり取りは以下の通り。

——景気悪化で業績が急激に悪化した。

「一時的な景気後退ではなく、世界が大きく変わろうとしているとの認識。
当社は、市場においてチャレンジャー。
仕事のやり方やビジネスモデルを進化させれば、上位にあがれるチャンス。
まずは構造改革を優先する

——2009年度に見込む改革の効果は?

「08年度中に、約100億円を引き当てた構造改革の効果で、
製造費や販売費など300億円以上の固定費削減を見込む。
在庫回転日数は40日に短縮、300億円以上のフリーキャッシュフロー
(純現金収支)を創出することが目標」

——設備投資や研究開発費は?

「設備投資は、減価償却の範囲内に抑えメリハリをつける。
右肩上がりだった研究開発費も圧縮する。
一律に減らすのではなく、研究テーマの取捨選択を厳しくする。
技術畑の社長として、技術の目利きには自信がある」

——不採算事業はどう見直すのか?

プリンターでは、コンパクトで低価格なA4カラー複合機に集中、
レンズユニット事業でも標準モジュールに注力。
需要が低迷していた印刷用フィルムの生産は終了」

——主力の事務機事業をどう立て直す?

「オフィス向けの複合機は、08年度が新製品の端境期。
09年度は、コスト削減や省エネルギー、セキュリティーの向上につながる
新製品を出して、欧州で首位グループを堅持。
成長領域のデジタル印刷では、当社が得意とする低速機に加え、
中・高速機も本格展開する。
自ら印刷サービス業を展開することも視野に」

——光学部品を手がけるオプト事業は成長のけん引役だったが、
最終製品の需要減により急ブレーキがかかった。

液晶テレビ向けの偏光板保護フィルム(TACフィルム)では、
新機能を盛り込んだ次世代製品を投入する。
建設を凍結している新工場については、09年度上期の早いうちに判断。
ブルーレイ・ディスク(BD)録再機などに使う光ピックアップレンズは、
海外生産を強化してコスト削減を進める」

——次の成長に向けた戦略は?

「『環境・エネルギー』、『健康・安全安心』の両分野で新規事業を育成。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)と提携し、有機エレクトロ・ルミネッセンス
(EL)照明を、10年度に事業化する計画を進め、
(現行方式より大量生産に向く)『有機薄膜太陽電池』の事業化も検討。
優れた光測定技術も、事業に生かし切れておらず、
医療診断や産業分野で可能性を探る」

——中期目標は?

「景気の先行きが見通せないため、3カ年の中期計画で数値目標を
公表するのを取りやめた。
09年度は、構造改革で業績の底割れを食い止め、
必ず目標を達成しないといけない。
10年度には増収増益に転じ、08年度以上の水準に戻す」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090514_3.html

2009年5月22日金曜日

検証 橋下改革(8)「就職力」実習で上げる

(読売 5月19日)

社会に出るため、学力以外にも教えるべきことがある。

4月下旬。初芝立命館高校の図書室で、
1年生約30人がプリントに向かった。
質問は、「10年後の自分の仕事」
北宏志教諭が、「書けた人は」と問いかけたが、手を挙げたのは2人だけ。

「意外と書けないよね」と助け舟を出したのは、
情報・人材サービス会社「リクルート」の笠正太郎さん(30)。
高校生の進路サポートを手がける立場から、
「書けないことに気づくのが大事。それが次へのステップ」と励ました。

授業は、大阪府が今年度から始めた「キャリア(職業)教育」の第1段階。
生徒らは、106の職種と94の学問分野への適性を測る
リクルートの自己診断テストを受け、働いている人の話を直接聞く
ワークショップや就業体験に参加。
1年間かけて、社会への〈入り口〉となる仕事の実像を学ぶ。

府がこうした事業を始めるヒントにしたのは、
作家・村上龍さんの著書「13歳のハローワーク」
興味や関心の先に、どのような仕事があるのかを知ってもらい、
進路選択に生かしてもらう考え。

初年度は、府立・私立計10高校が参加。
初芝立命館高校の薮内美佐・進路部長は、
「偏差値で大学を選び、進学後に後悔する生徒を減らしたい」と力説。
府立西成高校も、「安易に就職先を選ばないよう、
様々な仕事に触れさせたい」と成果を期待。

就職を支援するための検討も始まる。
「いらっしゃいませ」。
服飾メーカー「ワールド」(本社・神戸市)が、大阪・キタの阪神百貨店内に
展開する店舗で、太田有美さん(20)が笑顔で買い物客を出迎えた。
上田安子服飾専門学校の3年生。
ワールドの社員になることを目指し、
先輩社員の背中を見ながら実習に励む。

在籍する同校ストアマネージメント学科は、ワールド系列の店舗で
3年間実習を積めば、同社の正社員として採用される制度を取り入れた。
太田さんは、理学療法士の資格を取得できる大学を目指していたが、
この制度を知り服飾の道に進んだ。
「興味があっても、先が見えなければ、思い切れなかったかもしれない」

府は、こうした就職に直結する取り組みに着目。
他の専門学校や企業に呼びかけ、
若者の支援モデルとして他業者に広げていく考え。

橋下徹府知事がキャリア教育に力を入れるのは、
「学力偏重」という批判への“反論”でもある。

背景には、府内の高校生の厳しい現状がある。
中退率は、5年連続で全国1位。
高校卒業後、進路未定者の割合(6・8%)も、全国平均を上回る。

「英数国理社がすべてではない」
橋下知事の持論を具現化するため、〈就職力〉向上の取り組みが進む。

◆13歳のハローワーク

2003年に出版、ベストセラーになった作品。
子ども向けに514種類の仕事を紹介。
「花や植物が好き」、「音楽が好き」など興味や関心に応じて
職業を探すことができる。
インターネット上には、内容を拡充した公式ホームページもある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090519-OYT8T00286.htm

農業現場でエコ進む 廃プラ、廃農薬を回収

(東海新報 5月17日)

農業用廃プラスチックなどの適正処理に取り組んでいる
大船渡地方農業振興協議会(会長・甘竹勝郎市長)は、
気仙全体で平成20年度は29・3トンの廃プラスチックを回収。
過去9年間で、廃プラスチック245・4トン、廃農薬も4年間で20・1トン回収、
再生処理や資源化に努めている。

同協議会は、気仙三市町、大船渡市農協など16機関・団体で構成、
地域農業の振興と併せて、農業用廃プラスチックや廃農薬を
適正処理するため回収活動を行っている。

20年度の廃プラスチックの回収実績は、大船渡市が4・5トン(82戸)、
陸前高田市18・1トン(66戸)、住田町が6・7トン(63戸)。
三市町の合計は29・3トンで、前年度より1・3トン多い。

内訳は、ポリエチレン類が23・1トン、塩化ビニールが6・2トン。
回収している塩化ビニールの種類は、ビニールハウス、
トンネル用ビニール(農ビマークあり)、畦シート、塩ビパイプ。
ポリエチレン類は、ハウスビニール(農ビマークなし)、マルチフィルム、
農ポリ、シルバーシート、ラブシート、ブルーシート、キュウリネット、肥料袋、
セルトレイ、育苗箱、農薬容器(洗浄したもの)、かん水・散水チューブ、
遮光幕、プラスチックコンテナ、黒ポット。
牧草をこん包するサイレージラップフィルムも、回収の対象。

廃プラスチックの回収が始まった平成12年度から20年度までの
回収量は、245・4トン。
ポリエチレン類は、太平洋セメント大船渡工場で燃料化、
塩化ビニールは宮城県の日の丸合成樹脂工業株式会社で再生処理。

廃農薬の回収は、平成15年度から実施、回収量が減少してきた
18年度からは隔年で回収。
4回実施した回収量は、三市町合わせて20・1トン(624戸)。

回収しているのは、使用残の農薬や現在の基準に合わなくなった農薬、
栽培を辞めて使わなくなった農薬で、
福島県の株式会社クレハ環境で処理。
協議会では、廃プラスチックの分別についてリーフレットを作成、
ハウスビニールの金属製ハドメを外して出すなどの協力も呼びかけ。

取り組みの結果、回収活動が定着し農家の意識も高まっている。
廃プラスチックの回収費用(一キロ当たり)は、
大船渡市農協、市町、農家が各三分の一ずつ負担。
回収費用などの負担割合についても検討課題。

廃プラスチックの回収は、本年度も11月に実施、
廃農薬についても回収実施年であることから10月に行う。

http://www.tohkaishimpo.com/

ソニー発ベンチャーの挫折

(日経 2009-05-12)

ソニーから誕生したベンチャー企業で、
次世代パネルの電界放出型ディスプレー(FED)量産に挑戦してきた
エフ・イー・テクノロジーズ(FET、長谷川正平社長)が、
金融危機で資金を調達できず、3月に事業化を断念。

液晶やプラズマと比べ、高画質で低消費電力のパネルを開発した
技術は高く評価され、FETの挫折はモノ作りベンチャー受難の時代を予感。

FETが注目を集めたのは、ソニー社内に埋もれたままになりかねなかった
FEDを開発チームごと切り出し、ベンチャーとして事業化に
再チャレンジする機会を得た。

「カーブアウト」と呼ぶ事業再生戦略の採用を支持したのが、
中鉢良治社長(当時、現副会長)。
ソニー創業者の井深大、盛田昭夫氏の、あきらめない起業家精神の
薫陶を受けた世代の中鉢氏ならではの経営判断。

ソニーは、2005年に中期経営方針で、次世代パネルとしては
超薄型の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)の開発に注力、
製造コスト削減に課題を抱えるFEDは一敗地に。

中鉢氏は、FEDの映像表現力を高く評価。
06年、兼務していたディスプレイ開発本部長賞を開発チームに与え、
「社内に居場所がなくなったFEDを、宝の持ち腐れにするのはもったいない」
と気にかけていた。

カーブアウトを活用したベンチャー設立を、ソニーに働きかけていたのが、
先端技術投資ファンドのテックゲートインベストメント(TGI、土居勝利社長)。
土居氏は、ソニーでワークステーション開発などに携わったOB。
ソニーが組む相手として安心感もあり、提案を聞いた中鉢氏は、
候補としてFEDが頭に浮かんだ。

土居氏は、「カーブアウトの候補として想定していたのは別の技術だったが、
パネル開発のような大型案件を持ち込まれて驚いた。
FED開発チームに、日の目をみるチャンスを与えたいとの
中鉢氏の思いを感じた」

2006年設立したFETは、低価格の液晶やプラズマと同じ土俵で戦わず、
高品質な映像表現が求められる
放送・医療分野の業務用ディスプレーで勝負。
展示会で試作品を公開すると、池上通信機や映像画像機器の
アストロデザインなどが採用を決め、
ニッチ(すき間)市場を攻める戦略は順調なスタート。

昨年夏、FETはプラズマ生産を中止した
パイオニア鹿児島工場の買収を表明。
量産計画を前倒しし、09年から月1万枚(26型換算)規模で生産を開始、
2年後に年商250億円を目指し、株式公開も視野に入れた。
ここまでが絶頂期で、「モノ作りベンチャー期待の星」と、
その名が注目を集めた直後に、奈落の底に突き落とされる。

100億円超とみられる工場買収資金の出資をあてにしていた
企業などから、「お断り」の連絡が相次いだ。
米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻、その後の信用収縮で
機関投資家などが新規融資を一斉にストップした時期と重なり、
資金調達は暗礁に。

黒字化するまでの“懐妊期間”が長いモノ作りベンチャーは、
頼みの綱の資金支援のパイプが細れば命取り。
自力生産を断念したFETは、会社清算の手続きに入っている。
経営陣は、FED技術だけは何とか残したいと譲渡先を探し、
中国などアジア勢の手に渡れば、日本の独創技術がまた海外に流出。

ソニーは、FETの第2位の株主だが、経営に口出しせず、
特許や製造設備を有償提供、技術者の出向など支援を惜しまなかった。
米国式経営の統計的管理手法、シックスシグマの活動を見直すなど、
社員のインセンティブを重視し、「ソニーらしさ」の復活に力を入れてきた
中鉢氏が2月末、社長職を退き副会長に棚上げされた

ソニーのトップ刷新人事が、FET挫折とほぼ時を同じくして起きたのは
偶然とは言え、因縁めいている。

深刻な不況の長期化は必至で、大企業は経営資源の選択と集中を
これまで以上に進め、非中核に追いやられた事業や技術を
社内にたくさん抱え込むことに。

カーブアウトは、大企業の埋もれた有望技術を活かす
モノ作り再生戦略として、経団連などが普及に力を入れ始めた
矢先だっただけに、「期待の星」FETの挫折は、
後に続こうとした大企業内の起業家予備軍の
チャレンジ精神を萎えさせないか心配。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon090424.html

2009年5月21日木曜日

ローズマリーに脂肪抑制の効果 研究チームが解明

(岩手日報 5月11日)

岩手大工学部応用化学生命工学科の佐藤拓己准教授、
岩手医大消化器・肝臓内科の滝川康裕准教授、
化学系専門商社の長瀬産業(大阪市)の研究チームは、
ハーブの一種のローズマリーに含まれる化合物「カルノシン酸」に、
内臓脂肪を抑制する働きがあることを解明。

肥満や糖尿病、脂質異常症などを防ぐ機能性食品の開発に
つながる研究として注目。

佐藤准教授らは細胞レベルの実験で、カルノシン酸が、
さまざまな病気の要因となる活性酸素を除去する「グルタチオン」の生成を
促進し、グルタチオンが脂肪細胞の分化を抑制する仕組みを突き止めた。

岩手医大で遺伝的に肥満のマウスを使い、動物実験を実施。
カルノシン酸を混ぜた餌を6週間与えたところ、
通常の餌を食べていたマウスより体重の増加が抑えられた。
脂肪蓄積も、通常の餌を食べたマウスの約6割に抑制。

論文を、欧州の生物科学分野の速報誌に掲載。
現在、カルノシン酸に関する技術について特許出願の手続きを行っている。
今後は米国などへ特許申請。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090511_1

起業へ一念発起 その時どうする

(日経 5月13日)

このビジネスモデルなら、家族を養えるぐらいの収入は得られる。
そう考えて、独立開業を検討しているビジネスパーソンがいるかも。
いざ、実行するとなると、様々な問題に直面する。
会社を円満に辞めるための手順や、
スムーズに起業するうえでの注意点を整理。

◆ホップ:公表時期計り円満退社

「起業を準備していることは、会社にはずっと黙っていた」
化学物質管理に関するコンサルティング会社、
テクノヒル社長の鈴木一行さん(53)。

鈴木さんは、3年前に化学商社大手の長瀬産業を退職し、
今の会社を立ち上げた。
円満退社できた秘訣は、「信用を失わないようにしたこと」

独立開業を決意したからといって、すぐに公言すると、
「いずれここから去っていく奴」と周囲に嫌われる。
社内の悪評は、取引先にも伝わる。
起業後の経営にも、悪影響を及ぼしかねない。

鈴木さんが退職を切り出したのは、
ベトナムの子会社の社長就任を打診されたとき。
会社にとって、きりの良いタイミングに打ち明ける配慮が、
円満退社には欠かせない。
「古巣からは仕事は来ませんけどね」と苦笑。

「立つ鳥跡を濁さず」という姿勢も必要。
退職通知を出した直後、有給休暇を消化したり、担当していた仕事を
後任に引き継がなかったりすれば、人間性を疑われる。

勤めていた会社と同業種で起業するなら、競業禁止規定に抵触しないか、
ノウハウを流用しても大丈夫かを確認することも不可欠。
最悪の場合、会社に訴えられることもあるので注意。

◆ステップ:創業には支援施設活用

円満に退社できたら、会社設立の手続きを進める。
必要な書類をそろえるのは一苦労。

2008年、携帯電話向けサイトのプロデュースを手掛ける
アウターリーフを設立した山本正憲社長(35)は、
ノウハウ本を参考に自分で手続きを進めたが、
「どの書類をいつ、どこへ提出しなければいけないのか、分からなかった」

司法書士や行政書士の助けを借りて手間を省くのが一般的だが、
通常の手続き費用(約30万円)に加え、手数料が約15万円かかる。
良心的な資格者に巡り合えるとは限らない。

頼りになるのが、国や地方自治体が運営する創業支援施設。
テクノヒルの鈴木さんは、大阪市が運営する「大阪産業創造館」を利用。
創業に関するセミナーを開き、電話やメールで専門家に相談できる。
実際に会って詳しく話を聞くことも可能。
費用も、無料または数千円と安い。

創業支援施設には、多くの起業家が集まる。
会社を立ち上げたばかりのころは、不安を抱えがち。
山本さんも、「先輩起業家の助言が大きな助けに」

ビジネスが、計画通りに運ぶことは極めてまれ。
うまくいかないと、原因が分からずに落ち込んでしまいがち。
自分では気が付かないことも、他人から見ればすぐに分かる場合が多い。
創業支援施設で、人脈をつくっておくことは起業の支えに。

◆ジャンプ:書類作成、専門家を味方に

会社を立ち上げるには、「設立登記」という手続きが必要。
「設立登記申請書」を、法務局の出先機関である登記所に提出し、
受理されれば会社が誕生する。

設立登記申請書には、様々な書類を添付しなければならない。
最も重要なのが、会社の基本事項を定めた「定款」

定款には、以下の項目を記すのが一般的。
(1)社名や屋号、
(2)商品名を示す商標、
(3)事業目的、
(4)本店(本社)所在地、
(5)資本金の額と現物出資の対象物(土地や建物、知的財産権など)、
(6)株式の一株当たりの金額、
(7)役員の人数と任期、
(8)決算とする月。
定款は、登記所に出す前に公証役場で法的な文書としての認証を受ける。

設立登記後も、提出しなければならない書類は多い。
本社を置く市区町村には、法人設立届出書や定款の写しなど、
管轄の税務署には、法人設立届出書や税金の計算方法に関する書類など。

従業員を雇えば、労働基準監督署に報告、
ハローワークで雇用保険、社会保険事務所では、
年金や健康保険などの手続き。
税理士や司法書士など、頼りになる専門家を見つけておくことが肝心。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090513.html

検証 橋下改革(7)補講・合宿で進学強化

(読売 5月16日)

東大、京大合格者300人。そんなスーパー進学校が誕生するかも。

大阪市淀川区の府立北野高校。
手塚治虫、梶井基次郎ら数々の才人を輩出した創立136年の名門は、
府内屈指の進学校としても知られる。

4月の昼休み。3年生の教室で、生徒6人が前回の数学演習で出された
問題の解答を、黒板に書き始めた。
通常より長い65分の授業時間を、少しでも無駄にしないよう、
チャイムと同時に教諭が解説を始められるようにする。

始業時間は午前8時10分。
土曜も大半の生徒が登校し、補講を受ける。
3年生の場合、夏休みは20日しかなく、残りは授業に。

2008年度、京都大学と大阪大学に計111人(現役74人)が合格。
男子生徒は、「授業をしっかりやれば、第一志望に受かるはず

府教委は、同校など10校を進学指導特色校に指定し、
学区制を見直した上で、定員の半数は学区を越えて
成績優秀者を集める計画を打ち出した。

発案したのは、北野高OBでもある橋下徹知事。
「東大、京大に300人送り込む日本一の公立を」と号令をかけ、
受験重視のカリキュラムを導入する考え。

「私学は、中・高一貫で鍛えている。
進学を目指す生徒の思いに応えるには、私学を上回る取り組みが必要」
同高の八尾隆校長も力を込める。

受験対策に本腰を入れ始めたのは、一部の進学校だけではない。
4月3日。大阪府岸和田市の府立久米田高校の新3年生12人が
真剣な表情で黒板を見つめていた。
大阪教育大学内に借りた教室の窓の外は、やがて真っ暗に。

「鬼勉」
進学を希望する生徒を対象にした2泊3日の勉強合宿。
初日、2日目と勉強時間は10時間を超えたが、
夜中も自習する生徒がいた。
ある生徒は、「みんなが勉強しているので励みになる」

合宿は、昨夏に続いて2度目。
今春、合宿参加者が、同校としては8年ぶりに
国立大の一般入試で現役合格を果たした。
吉川測雄校長は、「生徒の自己実現のためには、受験対策も大切な要素」

5月から、土曜に受験対策講習を始めた。
夏休みには、3度目の勉強合宿も計画。

土曜補講を後押しするのが、府教委が昨秋創設した特殊勤務手当。
以前は、教員が無償で行うしかなかったが、
現在は「6時間以上の土曜勤務で日額2900円」などの基準で支給。
教員らは、「金額はわずかだが、現場の努力に報いようという姿勢を感じる」

こうした取り組みに、「府立高校の予備校化」との反発も強い。
ある校長は、「難関大志望者が優遇されるだけ」と批判。
教育評論家の尾木直樹・法政大学教授は、
「部活や行事で、生徒を伸ばす公立の利点が失われる」と警鐘。

府立高校での受験指導は、公教育のあり方を巡る論議も巻き起こしている。

◆学区制

公立高校普通科の学区は、2001年度の地方教育行政法の改正により、
撤廃が可能に。
私立人気が高まる中、学生を公立に呼び戻そうと、
全国で学区再編の動きが活発化。
03年春、撤廃した東京都では、都立日比谷高校の東大現役合格者が急増。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090516-OYT8T00234.htm

2009年5月20日水曜日

追加経済対策に活路 国体主会場誘致で盛岡市

(岩手日報 5月13日)

2016年の岩手国体主会場誘致を目指す盛岡市が、
国の追加経済対策に熱い視線を注いでいる。

今回盛り込まれた約1兆4000億円の
「地域活性化・公共投資臨時交付金」を活用できれば、
実質的に県の負担ゼロで、県営運動公園陸上競技場を
第一種陸上競技場に整備できる可能性がある。

市は県に、今月下旬に予定されている主会場地決定を延期し、
同交付金の活用を前向きに検討するよう求めている。

同交付金は、国の経済危機対策で地方の支援策として盛り込まれた。
規模は約1兆4000億円、国庫補助事業などの地方負担分の
90%程度に活用できる。

同市は、同競技場整備の場合、国体に伴う都市公園整備で
国の50%補助がある上、残りの県負担分の90%に
同交付金を充当すれば、総事業費の95%を国費で賄ると試算。
残りの5%も、高い交付税措置がある「補正予算債」の活用を訴える。

交付額が予想より少なくても、市が拠出を表明している約20億円を
合わせれば、実質的に県の負担なしで第一種競技場への格上げが可能。

100億円を超える施設整備費が、主会場地誘致のネックとなっている
同市にとっては、まさに起死回生の策。

本県への配分額や同競技場整備が該当事業に当たるかなど、
同交付金には依然不透明要素も多い。
同競技場を第一種に格上げしても、面積などの問題で
開閉会式開催は難しいと考える県は、今月下旬に主会場地を決定する構え。

県国体推進課の八重樫典彦総括課長は、
「国の制度が決まっていないので、何とも言えない。
金額だけでなく、さまざまな要素を含めて北上と比較検討」

谷藤裕明市長は、「取り組み方によって、100%国補助になる可能性もあり、
拙速は大きな禍根を残しかねない。十分な検討が必要だ」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090513_14

ラグビーW杯招致プレゼン、日本はアジア初開催の意義訴え

(読売 5月13日)

ラグビーの2015年、19年ワールドカップ(W杯)招致を目指す
各協会によるプレゼンテーションが、国際ラグビーボード(IRB)
本部のあるダブリンで開かれ、日本は
「世界のラグビーにとって非常に大きな一歩になる」と、
アジア初開催の意義を訴えた。
開催地は、7月28日のIRB理事会で決まる。

15年大会は日本、イングランド、イタリア、南アフリカの4協会が、
19年大会にはイングランドを除く3協会が立候補。
プレゼンテーションは非公開で、
日本はジョン・カーワン日本代表ヘッドコーチ、招致委員会の
森喜朗会長(日本協会会長)ら4人が説明役を務めた。

日本は、日産スタジアムなど国内9会場のほか、
香港、シンガポールを会場とする計画を提示。
アジア初開催が五輪復帰へつながると訴えたほか、
アジアのラグビーを発展させるために、
1400万ポンド(約20億円)を投資する計画も示した。

IRBは、巨額の保証金を開催国に求め、
南アフリカとイタリアは政府による財政保証が強み。
イングランドは、9万人収容のウェンブリー競技場のほか、
複数の大規模サッカー場を会場とすることで
入場券収入のアップを盛り込んだ。

日本は政府保証がないが、
森会長は「経済界があらゆる投資をするはず。
(他国の)政府保証はむしろ小さい」と、財界による支援を強調。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20090513-OYT1T00919.htm

五輪招致(下)マドリード 全国民が熱烈支持

(読売 5月14日)

クライマックスは、荘厳なスペイン王宮。
国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会のマドリード訪問最終日。
昼食会に招かれたムータワキル評価委員長は、
フアン・カルロス1世国王夫妻に握手で迎えられ、笑顔をふりまいた。
全市民、全国民の熱烈な支持。
それが、マドリード最大のセールスポイント。

「IOCが行った世論調査では、
マドリード市民の五輪開催支持率は85%。全国で86%」
昼食会の前日、マドリード五輪招致委は発表。
評価委の訪問中に、IOCの世論調査結果を公表した都市は他にない。
自信の表れを示す、異例の公表。

訪問中も、「全世代支持」を前面に出した。
初日の招致委の発表には、1992年バルセロナ五輪女子ホッケー
金メダリスト、メルセデス・コーエン最高責任者の12歳の次女を起用。
ホッケー選手で、「母が招致した五輪出場が夢」と訴え、
強い印象を与えた。

サパテロ首相も登場。
記者会見で財政保証を明言、「スペイン国民は、市民も、
政府も党派を超えて、全面的に五輪に協力できる」

現地調査を終えたムータワキル評価委員長から、
「国王、政府、子ども、選手、すべての人々の力強い支持を感じた」
狙い通りの言葉を引き出した。

国民の支持、施設、交通面で申し分ないマドリードにも、大きな壁。
2016年の開催都市が、12年ロンドン五輪の次回になること。
評価委は、「五輪に大陸巡回の規則はない」とするが、
実際、戦後は1948年ロンドン、52年ヘルシンキ両五輪以来、
同一大陸での連続開催はない。

東京の招致関係者は、「シカゴよりマドリードが怖い」と語る。
スペインは、サマランチ前IOC会長のおひざ元。
長男のサマランチ・ジュニアIOC委員は、
「父は21年もIOC会長を務め、メンバーとの結びつきは強い」
と不敵な笑みを浮かべる。

1次投票でリオデジャネイロ(ブラジル)が落選すれば、
移民の多いスペインに南米票が流れるとの観測も。
マドリードの熱い情熱で、常識の壁を崩せるか。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/syouchi/sy20090514_01.htm

2009年5月19日火曜日

大船渡港20年度国際コンテナ航路 貨物量前年比35%減

(東海新報 5月14日)

大船渡港と韓国・釜山港を結ぶ外貿コンテナ航路の20年度実績で、
実入り状態の貨物量が前年同期比で約3分の2にとどまった。

燃料費高騰による影響で、週一便ペースだった寄港数がほぼ半減、
中国食品への農薬混入、世界的な経済不況などが追い打ちをかけた。

20年度の実績は、荷物が入った状態で1045TEU
(1TEU=20フィートコンテナ1個)。
前年同期比で560TEU少なく、65・1%。
荷物が入っていない空コンテナを含めた全体の貨物取扱量は
1832TEU、同じく736TEU少なく、71・3%。

昨年4月、20年度の取扱実績目標を3000TEUと公表。
開設初年度だった19年度はほぼ週一便で訪れていたが、
20年度は1カ月に2便ペースと半減。
2月から週一便に戻ったものの、寄港便数は26回、19年度を19回減。

減便の背景には、前半は世界的な原油高による燃料費の高騰、
中国食品への農薬混入事件などによる貿易量の減少。
後半は、「リーマンショック」に端を発した世界同時不況の影響、
円高による輸出減少が響き、年度内を通じて伸び悩んだ。

減少が顕著だったのは、大船渡港の特徴でもある冷凍水産物。
19年度は実入り貨物全体の42・7%、20年度は27・2%にまで落ち込んだ。
サンマやサバなど、大船渡ではまとまった水揚げがあったが、
世界的な経済不況の中で生かすことができなかった。

3月分は、全体の貨物量が423TEUと、年度内の中では突出して多い。
21年度、4月は250TEU超、前年度比で1・5倍超える好調。

市側では、「世界的な情勢では底打ちの感はあるが、
日本全体の各地域に波及してくるのはまだ時間がかかる」
全体量での今年度目標は、「3年目で4700TEU」を意識しながら、
20年度に達成できなかった3000TEUへの到達に重点。

中長期的には、3月に同市と企業立地調定を結んだ阿部長商店に、
外貿コンテナ定期航路を利用する計画があり、
年間1000TEUを超える取扱量を見込むなど、明るい見通し。

コンテナ関連で、市が年間2億円余りの事業費を盛り込み、
議会などの場で厳しい批判が出、今年度の貨物増加が強く求められる。
甘竹勝郎市長は、「経済情勢は回復基調とは言えないが、
3、4月の実績を見ると底は打ったかな、という感。
3年目は勝負の年。
国の補正予算などにも期待をし、経済がさらに上向くことを願っている」

http://www.tohkaishimpo.com/

検証 橋下改革(6)塾と連携 地域で伸ばす

(読売 5月14日)

学習する機会を増やそうと、塾や家庭教師派遣会社との連携を進めている。

「『サタスタ』の先生は、大学生のお兄さんです」
大阪府門真市立北巣本小学校の図書室に集まった児童11人に、
市教委の職員が若い大学生2人を紹介。

「サタスタ」とは、昨年の全国学力テストで府平均を下回った門真市が、
市独自事業として、土曜学習「サタデースタディー」の略。
つまずきやすい小学4、5年と中学2年に、
毎週土曜日の2時間、無料で学習指導を行う。

大学生2人は、家庭教師を派遣する「トライグループ」(大阪)に
登録する大阪大学の1年生。

市教委生涯学習課の高橋勝保主査(60)によると、
指導役となる教員OBなどの人材を地域内に求めても
なかなか見つからないため、今年度は協力を申し出てくれた「トライ」から、
小中22校のほとんどに講師の派遣を受ける。

算数のプリント問題を配った大学生2人は、児童が質問すると隣に行き、
「1リットルと1000ミリ・リットルは同じ量やねん」などと優しく教えた。
橋下徹知事の方針で、府教委は放課後学習に協力してくれる
地元や大手の学習塾23社を、市町村教委に紹介。
これをきっかけに、様々な形で塾との連携が始まった。

池田市立池田中学校では、希望者が英語検定対策を学ぶ
「ETC(英検トライコース)」を始めた。
中学卒業程度の英語力が必要な3級取得を、6月の試験で目指す。
海外生活の経験を持つ家庭教師が授業を担当し、
無料もあって、想定の倍以上の96人が参加を希望。

横山泰介校長(59)は、「学力の高い生徒のニーズに応えられる
取り組みもしたかった。ノウハウを学び、来年は独自で続けられたら」

府教委によると、昨年度は5市の計13小中で塾講師らの派遣事業が
試行として行われ、塾は無償で協力。
今年度は、講師1人1回1500円といった報酬設定が多いが、
それでも通常よりかなり安い。

塾側はなぜ協力するのか?
門真など4市に多くの講師を派遣するトライグループの
森山真有専務(36)は「社会貢献、口コミの宣伝効果、
担当者の研修効果が期待できる」

「点を取るだけの勉強になるのでは」という懸念も一部にはある。
「教師がいるのに」といった反発も、教員の間で根強い。

杉並区立和田中学校の校長時代、塾との連携で注目された
藤原和博・府教委特別顧問(53)は、「大学生などの地域ボランティア、
地元の教育資源である教員OB、地元の塾講師というプロが加われば、
地域で子どもを伸ばせる」
「いろんな試行錯誤をやって、『大阪流』になれば」と期待。

◆塾との連携

昨年度は和泉、豊中など5市の小中13校に、トライ、サピックス、
第一ゼミナールが無償で連携。
地元塾からの派遣はなかった。
当初、放課後学習への派遣を想定していたが、教委や地域のボランティアが
直接契約し、放課後学習以外に活用するケースが増えている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090514-OYT8T00293.htm

お酒に弱いのに飲酒・喫煙…食道がんリスク190倍に

(読売 5月14日)

顔がすぐに赤くなるお酒に弱い体質の人が、飲酒と喫煙をすると、
食道がんになるリスクが、飲酒も喫煙もしない人に比べ、
最大190倍も高くなることが、
東京大学の中村祐輔教授と松田浩一助教の研究でわかった。

同じ体質の人でも、飲酒・喫煙をしないと、リスクは7倍程度に下がった。
体質を理解して生活習慣に気を配ることで、
予防したり、早期発見したりできると期待。

食道がんの患者1070人と健常者2832人で、
約55万か所の遺伝情報の違いを比較。
発がん性が指摘されているアセトアルデヒドをアルコールから作る酵素と、
アセトアルデヒドを分解する酵素の二つが、
食道がんのリスクに関連していることを突き止めた。

アセトアルデヒドは、お酒で気分が悪くなる原因物質で、
たばこの煙にも含まれる。
顔が赤くなるのは、アセトアルデヒドの分解能力が弱いためで、
日本人の4割がこのタイプ。
アセトアルデヒドを作る働きが弱いと、気分が悪くなる前に、
ついつい余分に飲んでアセトアルデヒドが増える。

飲酒・喫煙の影響についても調べたところ、
お酒に弱く二つの酵素の働きが弱い人が、1日缶ビール1本以上の
飲酒と喫煙をすると、相乗効果が働き、
お酒に強く飲酒・喫煙をしない人に比べ、
食道がんのリスクが190倍も高くなっていた。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090514-OYT1T00612.htm

五輪招致(中)リオデジャネイロ 交通・治安に難、情熱頼み

(読売 5月13日)

カーニバルで有名なリオデジャネイロは、
サンパウロと並ぶブラジルの経済、文化の中心で、人口約800万人。
コパカバーナ、イパネマなど、世界的に有名な海岸を持つ美しい都市。
五輪招致は、2004年、12年に続く3度目の挑戦。

短所は、交通と治安。
交通面では、空港や道路など社会基盤の整備が遅れ、
他の都市と比べ、競技会場が分散。
海岸や湖、山が多いため、車の流れが分断、移動に時間がかかる。

治安面では、犯罪の多さが気がかり。
犯罪の種類も、軽犯罪だけでなく、拳銃を使った強盗事件など、
凶悪なものが多い。
麻薬密売組織の抗争に治安当局が介入しての銃撃戦が
昼夜を問わず起き、市民が巻き添えになることも。

丘に小さな家が密集する低所得者居住区は、「ファベーラ」と呼ばれ、
犯罪の温床で、その人口は全国で650万人。

交通問題の解決策について、地下鉄建設のような
大規模インフラ整備は資金不足でできず、パエス市長は、
「シカゴや東京のようには金がないが、アイデアで勝負する」と
五輪関係車両専用レーン案や一般車両の乗り入れ制限案を
持ち出すが、効果は未知数。
治安問題も、根深い土壌があり、一朝一夕には解決しそうにない。

他の都市と比較して課題ばかり目立つ状況だが、
リオ招致委は、「パッション(情熱)」というかけ声を持ち出し、
その課題を逆手に取る作戦。
ヌズマン招致委会長は、「南米初の開催は、リオだけでなく、
すべての発展途上国に五輪のドアを開けるもの。
五輪を利用して、貧困に苦しむ人々を救い、社会の構造を変えたい。
世界中の子どもたちが希望を持てるよう、
スポーツには若い人たちに対し強い責任がある」

これに対する国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会の
態度はクールだ。
リオ視察の総括記者会見で、ムータワキル委員長は、
「我々は技術面の調査に来た。報告書に載せるのは調査した部分」

評価委の態度だけで、「リオの情熱が無視された」と判断するのも早計。
報告書に載るのは技術面だが、最終的に投票するのはIOC委員。
報告書は、投票の参考にされ、投票行動に強制力を持たない。
南米初開催の可能性に共感する委員の票を
呼び込む可能性は、否定できない。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/syouchi/sy20090513_01.htm

2009年5月18日月曜日

黄砂・酸性雨対策、日本が協力 日中首脳会談で合意へ

(朝日 2009年4月29日)

麻生首相と中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相による首脳会談で、
日本が中国の環境汚染や廃棄物対策に協力する
「日中環境・省エネルギー総合協力プラン」で合意。
両国が重点的に取り組む4分野、計15項目を列挙。
日本も大きな影響を受ける黄砂、酸性雨への対策や、
膨大な二酸化炭素を排出する石炭火力発電所の設備改善など。

深刻な環境問題を抱える中国に対し、日本が得意としている
環境・省エネ分野での協力を進め、両国の「戦略的互恵関係」を
支える柱にする狙い。

中国の参加がカギとなる13年以降の地球温暖化対策の
国際枠組み(ポスト京都)づくりに向け、
中国側の意識を高めるきっかけに。

石炭分野では、地球温暖化対策や施設の安全性向上を目指し、
石炭火力発電所の設備改造や人材育成で協力。
今年度中に約1万人の中国人研修生を受け入れ、現地指導も行う。

水の分野では、農村地域での排水処理モデル事業への協力を進め、
湖沼などの水質を浄化する日中共同プロジェクトを立ち上げる。
水質汚濁の原因となる窒素やリンの削減に向け、
日中の共同研究も進める。
水質汚濁が深刻な渤海湾の浄化対策にも協力。

大気汚染対策では、光化学オキシダントや黄砂、酸性雨に関する
研究・技術協力を推進。
廃棄物に関しても、3Rと呼ばれるリデュース(排出抑制)、
リサイクル(再生利用)、リユース(再使用)のための技術支援。

対策が遅れがちな地方を支援するため、
次回で4回目となる日中省エネルギー環境総合フォーラムを
中国の地方都市で開き、日本の優れた省エネ技術などを紹介する
「技術集」の中国語版を配布。

環境対策に、日本政府が力を入れてきた姿勢を示すため、
麻生首相は、熱エネルギーの有効利用や粉じん飛散対策を
日本が技術指導した北京市郊外の「首都鋼鉄」を視察。

http://www.asahi.com/eco/TKY200904270315.html

舌の体操によって睡眠時無呼吸が軽減される可能性あり

(2009年5月14日 WebMD)

舌および顔面の体操を毎日30分間行うことによって、
閉塞性睡眠時無呼吸の重症度が軽減される可能性があると、
ブラジルの研究は示している。

研究には、中等度の閉塞性睡眠時無呼吸の成人31例。
言語療法士が16例の患者に、舌および顔面の体操を
毎日30分間行うよう指導した。

体操には、舌を歯ブラシでブラッシングすること、
舌の先端を軟口蓋につけて舌を後ろの方にすべらせること、
母音を速くまたは連続的に発音すること、

物を食べる時、舌を特定の位置に保つことが含まれた。
残り15例の患者は、舌または顔面の体操を習わなかった。

単に、1日に30分間、座って鼻で深呼吸をする練習をするよう指導。
3カ月後、舌/顔面体操群の患者は閉塞性睡眠時無呼吸の
重症度が39%低下した。
体操を習う前よりも、いびきが少なくなった、よく眠れるようになった、
日中の眠気が少なくなったと報告。

BMIは変化していなかったにもかかわらず、
研究開始時よりも首まわりが細くなった。
比較対照群では、そのような改善は認められなかった。

どの体操が最も重要かは、より大規模の研究が必要だが、
気道の周囲の筋肉を強化することによって、
睡眠中に虚脱する可能性が低くなる。

ブラジルのサンパウロ大学医学部睡眠研究所の
Katia Guimaraes博士。
『American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine』
5月15日号に掲載。

論説によると、患者が行った体操の一部は
他のものよりも有用であった可能性。
「上気道リモデリングのメカニズムである可能性がある、
舌の強化を目標にすることは、理にかなっている」

http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/5/14/98231/?pageFrom=m3.com

日本近代医学の父・北里柴三郎記念展開幕 リアスホール

(東海新報 5月17日)

日本近代医学の父と呼ばれ、大船渡市に海洋生命科学部
(三陸キャンパス)を構える北里大学の創立者、北里柴三郎博士の偉業を
紹介する記念展が、市民文化会館・リアスホール展示ギャラリーで開幕。

博士の研究業績や大学の歩みなどを示した写真パネル、資料、
顕微鏡など、合わせて約百点を展示、日本の医学研究の足跡を紹介。

記念展は、学校法人北里研究所(柴忠義理事長)の法人統合と、
大船渡市との連携協力に関する協定締結一周年を記念、同研究所が主催。
市、市教委、学校法人女子美術大、北里大同窓会、東海新報社などが後援。

オープニングセレモニーには、同研究所や市関係者ら約30人が出席。
柴理事長が、「北里先生の原点、北里大学の理念を広く知ってもらい、
新型インフルエンザ問題で注目されている細菌医学にも理解を深めてほしい」

北里博士は、現在の熊本県阿蘇郡生まれ。
東京大学医学部を卒業後、ドイツに留学、
明治22年(1889)、破傷風菌の純培養に成功。
同29年(1896)、ペスト菌を発見するなど、
明治・大正期に日本の予防医学の礎を築いた。

記念展では、博士の生い立ちや業績などを説明するパネルや写真、
研究資料の書簡、顕微鏡や実験器機など約100点を展示。

ヒーリングアートとして、同法人所蔵の絵画や女子美術大生の協力による
作品(ロールスクリーン)20点も紹介。
昭和47年(1972)、水産学部としてスタートし、海洋生命科学部と名称変更した
三陸キャンパスに焦点を当てたコーナーも設けられ、
北里大学と大船渡市との関係も紹介。

初日は、北里柴三郎記念室の森孝之医学博士が、
『北里柴三郎の偉業』の演題で記念講演も行い、
博士の業績と人物像にスポットを当てた。
記念展は、24日まで。

http://www.tohkaishimpo.com/

五輪招致(上)シカゴ 招致の「顔」、超豪華

(読売 5月12日)

シカゴ市内の高級ホテルで、招致委員会の幹部が弧を描くように
座席を埋め、IOC評価委のメンバーと向かい合っている。
現地調査初日の冒頭、招致委は1本のビデオを流した。
「大統領として、それだけでなくシカゴの人間としても、みなさんを歓迎します」
画面の中で、地元出身のオバマ米大統領が熱っぽく語りかけていた。

評価委の調査対象は、実施計画や財政状況など、開催能力面のみ。
シカゴは、スポーツ大国でもある米国の都市として、
東京など他の3都市には比肩できない知名度の、
招致の「顔」に事欠かない点を、随所で巧みに織り交ぜた。

4月5日、バスケットボールや体操などが行われる会場の視察。
評価委が観客席に姿を見せると、NBAのシカゴ・ブルズで
黄金時代を築いたマイケル・ジョーダンさんが、
大型スクリーンに映し出され、歓迎のメッセージを送った。

「白い妖精」と呼ばれた体操女子金メダリストのナディア・コマネチさんが、
ジュニア選手による実演を指揮し、評価委に笑顔を振りまいた。

招致委は、「参加選手の9割が、選手村から15分以内で
競技場に移動できる」とコンパクトな会場配置をアピール。
コマネチさんの口添えは間違いなく、説得力の補強に。
「体操選手は試合本番まで1日に2度、調整練習をする。
選手村の中に練習会場があり、移動の負担を考えても、安全面でも、
シカゴの計画は素晴らしい」

シカゴは候補都市で唯一、大会収支が赤字に陥った場合の
財政保証を、政府から得ていない。

招致委はメディアから問われるたび、
「シカゴ市が5億ドル(約500億円)、イリノイ州が2億5000万ドルの
予備費を計上し、これで十分な保証になる。
我々は既存の施設を多く利用する計画で、予備費は必要にならない」
(デイリー市長)と強調。
裏を返せば、懸案は解消する必要はないと、開き直ったようなもの。

今後、五輪開催の意義などを訴える過程で、招致活動の「顔」の存在も、
よりクローズアップされていく。
シカゴは弱点を吹き飛ばすため、どんな「顔」を用意するのだろう。

招致関係者の間では、「オバマ大統領は、開催都市を決める
10月のIOC総会へ足を運び、最後の一押しをしてくれるはずだ」
との見通しが飛び交っている。


2016年夏季五輪招致に立候補している4都市の開催能力を評価する、
国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会(ムータワキル委員長)が、
4月上旬からシカゴ、東京、リオデジャネイロ、マドリードの順に行って来た
現地調査を先週終え、結果の分析に着手。
各都市は、評価委に何をアピールしたのか?
東京と比較した長所と短所は、どこにあるのか?
ライバルたちの現状を検証する。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/syouchi/sy20090512_01.htm

有機ELなど研究、山形大が世界最高峰の研究拠点創設へ

(読売 5月13日)

山形大は、有機ELなど有機エレクトロニクス(電子工学)の
研究拠点を創設。
「地方大学の生き残りをかけた大きな挑戦」として、
ノーベル賞受賞者の参画などで世界最高峰の研究拠点を目指す。

10億~20億円を投じ、延べ面積6000平方メートル程度の研究施設を、
山形県米沢市の同大工学部内に今秋着工。
研究費や報酬などに年間3億~5億円が必要と見込んでおり、
科学技術振興機構などに支援を求める。

同大は、有機EL研究で世界トップ級の城戸淳二教授を筆頭に、
照明などへの応用を中心に研究を進めてきた。

この研究拠点では、ノーベル化学賞受賞者のアラン・ヒーガー氏が
アドバイザーに就き、城戸教授ら世界の第一線で活躍する研究者で
チームを結成し、「有機太陽電池」や「有機トランジスター」など
新分野の研究を進める。

将来的には、環境にも配慮した発電する建材、
心電図のデータを測れる包帯といった医療装置などの活用策を探る。

◆有機EL

電圧をかけると発光する有機物を使った技術。
消費電力が小さく、紙のように薄型化が可能で、
携帯電話やテレビなどに使われる。
電子ペーパーなど幅広い用途が期待。
有機物の劣化に伴う寿命の短さなどが課題。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090513-OYT1T00714.htm

2009年5月17日日曜日

Jアジア枠 躍動と課題と

(朝日 2009年5月12日)

今季からJリーグが導入したアジア枠。
従来の外国籍選手枠3人に加えて、アジア連盟(AFC)加盟国・地域の
選手が1人出場できる制度で、J1では18チーム中11チームが活用。
オーストラリアの1人を除くと、残りは全員が韓国人選手。
李根鎬(イ・グノ)が活躍する磐田など、恩恵を受けるクラブも多い。
日本人選手育成への影響を懸念する声や、
リーグがもくろむアジアでのマーケット拡大という課題も残る。

◆チーム躍進の力

リーグ開幕後の4月に移籍した磐田の李根鎬(イ・グノ)は、
これまで6試合で計6得点。
一時は最下位に低迷していたチームを、9位まで押し上げる原動力。
「いい獲得だった」と吉野社長。
アジア枠のおかげで、外国人枠に一つ空きがあり、
今後の補強にも余裕が生まれた。

李正秀(イ・ジョンス)を獲得した京都は、外国人枠の4人全員が
11試合中9試合でベンチ入り。
高間テクニカルディレクターは「うまく制度がはまった。韓国人選手は、
ブラジル人らに比べて言葉を覚えるのが早い。DFはその点も重要」

ガ大阪のチョ・ジェジンと朴東赫(パク・ドンヒョク)は、
クラブにとって初の韓国人選手。
ブラジル人以外の外国人選手がいなかった鹿島も、
鈴木強化部長が「アジア枠というより、競争に加わってほしい
一人の若手という感覚で獲得した」という朴柱昊(パク・チュホ)が加入。
山形の金秉析(キム・ビョンスク)も、台風の目となったチームを支える。

大宮の朴原載(パク・ウォンジェ)、横浜マの金根煥(キム・クンファン)、
新潟のチョ・ヨンチョル、神戸の金南一(キム・ナミル)ら、
各年代で代表を経験した選手が活躍。

アジア枠導入前から、多くの選手がJリーグで結果を出している
安心感に加え、代理人らとのつながりもあり、
必然的にクラブの選択は、韓国人選手に偏っている。

現在は、アジア枠選手のいない大分も
「開幕時点では考えていなかったが、現実味を帯びてきた」(原強化部長)、
最下位と苦しむチームの活性化に、制度活用も視野に。

名古屋の久米GMは、「アジア枠を使うくらいなら、若手を使う」と、
消極的な態度。
浦和の信藤チームダイレクターも、「制度があるから使うという考えはない。
今はチームの土台を作る時。必要があれば使う」

◆日本人の出番減る

「まるで、韓国代表をトレーニングしているようなリーグになっている」
岡田監督が冗談交じりにもらした。
「そういう中で、日本の選手は勝たないといけない」と付け加えたが、
アジア枠の導入当初から、出場機会を奪われる日本人選手への影響を
懸念する声はあった。

ガ大阪の山本強化部長は、「強化の面でプラスではない。
選手は、厳しいゲームの中でプレーして育つ」
神戸の安達社長は、「外国人枠を含め、もっと拡大してもいい」という立場。
生き残った選手なら、世界でも通用する。
J1で争いに負けた選手も、J2で鍛えればいい。
そうすればJ2の魅力も増す」

◆放映権販売、開拓道半ば

アジア枠導入の目的の一つに、アジア全体の底上げがある。
注目が高くなっているアジア・チャンピオンズリーグは、
Jクラブが2連覇中だが、日本だけが抜きんでても強化は行き詰まる。
期待されたオーストラリアからの新たな移籍はなく、今のところ広がりはない。

大きな狙いは、アジアへの市場拡大。
「Jリーグの放映権がアジア各国に売れれば、大きな収入源。
景気が停滞する中、国内だけでは限界もある」とリーグ側。
欧州リーグが、新たなマーケットとしてアジアに進出してくるのを、
黙って見ているわけにはいかない危機感も。

ガ大阪が、韓国に放映権の購入を持ちかけるなどしている程度で、
開拓はまだこれからの状況。

http://www.asahi.com/sports/fb/OSK200905120011.html

老人施設の良質サービス探る 盛岡で東北大会

(岩手日報 5月13日)

東北ブロック老人福祉施設大会(東北ブロック老人福祉施設協議会、
県社会福祉協議会・高齢者福祉協議会主催)は、
2日間の日程で盛岡市内のホテルで始まった。
約250人が出席、質の高いサービス提供や労働環境改善に向けて
課題を共有し、解決の方向性を探っている。

渡辺均・大会実行委員長は、「老老介護、認認介護など
高齢者を取り巻く環境は厳しく、行き場のない人も多い。
介護施設の整備を訴えていかなくてはならない

同施設協議会の高橋治会長は、介護報酬の3%引き上げに触れ、
「全従業者を対象に一律、恒久的にアップするよう運動していく。
政策改善と制度見直しに力を尽くそう」

千葉茂樹県保健福祉部長が、達増知事の来賓祝辞を代読。
新型インフルエンザについて、
「情報に留意し、適切に対応していただきたい」と呼び掛けた。

全国老人福祉施設協議会の中田清会長代行が、
「老人福祉施設を取り巻く状況と協議会のこれから」と題して基調報告。
13日は、藤原朋子厚生労働省大臣官房企画官が講演する。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090513_9

森林浴:免疫力アップ効果 科学的裏付け

(2009年5月15日 毎日新聞社)

森林浴の効果を科学的に明らかにし、病気の予防や健康増進に
役立てようという取り組みが進んでいる。
新緑の季節に、専門家と森を歩き、その効果を探った。

東京都の奥多摩町。
都の4割の森が集中し、スギやヒノキ、ミズナラが広がる。
昨年、秩父多摩甲斐国立公園の一部の2482ヘクタールが、
森林浴効果が科学的に認められた「森林セラピー基地」に認定。
それを記念したイベントが、現地で開かれた。

町民に加え、東京や埼玉など都市部の住民約50人が参加。
森の中で音楽会を楽しみ、ストレッチで体をほぐした。
奥多摩湖畔の森を、町認定の森林ガイドの案内で散策。
新緑はまぶしく、木漏れ日が降り注ぐ。
参加者は、癒やしのひとときを過ごした。

参加した男性は、「東京にこれほど豊かな自然があることに驚いた。
リラックスできる」
ガイドの土屋一昭さん(31)は、「自分も都心で働いていたとき、
精神的に落ち込んだ時期があった。1週間、奥多摩の森に通ったら
元気になった。森林の魅力を多くの人に伝えたい」

森林セラピーとは、「科学的証拠に裏付けられた森林浴効果」を意味。
NPO「森林セラピーソサエティ」が公募し、
専門家が森林浴効果を現地調査。
認定されたセラピー基地やセラピーロードは、全国で38カ所。
調査にかかわる宮崎良文・千葉大教授(生理人類学)は、
「測定機器の進歩で、野外調査ができるようになり、
森林浴効果の科学的データが急速に蓄積されてきた」

調査では、公募した男性を2群に分け、森林と都市部でのストレスや
緊張度合いを示す数値を測定し比較。
指標となるのが、唾液中ストレスホルモン「コルチゾール」や血圧、心拍数。

35カ所で約420人を対象にした実験では、
森林で15分いすに座って景色を眺めた群では、
都市部の駅前などで座った群に比べ、
コルチゾール濃度は12・4%低下。
リラックスしていることを示す副交感神経系の活動は55%高くなった。

森林浴のこうした効果は、視覚(森林の景色)、嗅覚(木の香り)、
聴覚(葉ずれの音や小川のせせらぎ音)、触覚(樹木や葉、地面の感触)、
味覚(わき水の味など)の五感が刺激されることで起こる。

森林の中で独特の香りを感じるのは、
植物から発散される物質「フィトンチッド」の効果。
日本医科大の李卿・講師(森林医学、環境免疫学)が、
男女延べ37人に行った実験では、森林浴によってストレスが軽減し、
免疫細胞の一つ「NK細胞」の働きが高まる。
李講師は、「フィトンチッドが体内に吸入されたり、
嗅覚神経から脳に作用し、自律神経のバランスを調節することで、
免疫系に働くと考えられる」

宮崎教授は、「森林浴は、免疫力を高めて病気を予防したり、
健康増進につながる。
森林の香りが好きな人もいれば、風景を楽しむ人もいる。
新緑が芽吹く季節を好む人もいれば、紅葉が好きな人もいる。
自分の興味のある自然環境と同調することで、
より効果的な森林浴ができる」

より詳しく知りたい人は、森林の癒やし効果の国内外の研究結果や
森林セラピー基地構想についてまとめた
「森林医学2」(朝倉書店、4725円)が参考。
………………………………………………………………………………………………………
◆森林セラピー基地のある自治体

北海道鶴居村、秋田県鹿角市、宮城県登米市、山形県小国町、
新潟県津南町、妙高市、長野県上松町、木島平村、飯山市、信濃町、
佐久市、小谷村、山ノ内町、群馬県上野村、東京都奥多摩町、
神奈川県厚木市、山梨市、津市、富山市、滋賀県高島市、
和歌山県高野町、岡山県新庄村、島根県飯南町、山口市、
高知県津野町、檮原町、福岡県黒木町、うきは市、篠栗町、
宮崎県日之影町、綾町、日南市、鹿児島県霧島市、沖縄県国頭村

◆森林セラピーロードのある自治体

岩手県岩泉町、長野県南箕輪村、東京都檜原村、静岡県河津町

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/5/15/98271/

国際化(4)急成長・中国と「連携の時」

(読売 5月10日)

電気抵抗がゼロになる超伝導現象。
東京工業大の細野秀雄教授は、鉄は超伝導になりにくいという
常識を覆し、鉄が主成分なのに絶対温度26度(零下247度)で
超伝導になる物質を開発。

論文を昨年2月に発表し、世界的な研究ブームの火付け役になった
細野さんは、研究室でインターネットをのぞくのが憂うつだった。
毎日のように、新しい鉄系の物質の合成と超伝導温度の
記録更新の報告があった。

昨年6月には、成果報告の数が17件にのぼった日も。
多くは、中国のグループによるもの。
超伝導になる温度が高いほど、利用しやすくなる。

現在、鉄系で最高の超伝導温度は、
中国・浙江大が達成した絶対温度56度。
中国科学院は、新タイプの鉄系物質を発見。
競争相手の米国の大学でも、中国人の教授や学生が研究の中核を担う。

中国が、科学技術分野で存在感を増している。
研究者数は日本の1・7倍、研究開発費も、購買力平価換算で
日本の6割まで増えた。
研究の質も向上が著しく、アジアで初めて自国民のゲノム(全遺伝情報)を
解読したのも中国。

米プリンストン大の有名教授が好条件の引き留めをけって、
清華大医学院副院長に就任するなど、
海外で活躍する人材が、中国に戻るケースも増えている。

日本の科学技術論文。
1991~95年の共著者の相手国で中国は6位だったが、
2001~05年になると米国に次ぐ2位、材料科学分野では1位。

清華大の招聘教授を15年務める
紺野大介・創業支援推進機構理事長によると、
中国のトップ研究者は、日本を超える水準に達している。
「援助する、優秀な人材を集めるという感覚はもう通用しない。
科学を一緒に切り開く気持ちで連携することが大切」

昨年12月、「中国の科学技術力について」をまとめた
林幸秀・宇宙航空研究開発機構副理事長も、
「中国は、10年で日本に追いつき、20年で米国を追い越す。
脅威論を振りかざすのは不毛」

林さんには、内閣府政策統括官時代に苦い思い出がある。
国際熱核融合実験炉の誘致を欧州と争ったが、
最終的に全体の40%の資金を負担することになった
アジアが一つにまとまらず、欧州に敗れた。

日本の産官学のリーダーたちは、日米欧は対等と思い張り合ってきたが、
もはや単独では限界。
林さんは、「日本と中国が核になり、東アジアが一体となって
科学技術を進める必要がある
今後10年が、中国との結びつきを深めるチャンスとみる。

http://www.yomiuri.co.jp/science/tomorrow/tr20090510.htm