2009年5月20日水曜日

五輪招致(下)マドリード 全国民が熱烈支持

(読売 5月14日)

クライマックスは、荘厳なスペイン王宮。
国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会のマドリード訪問最終日。
昼食会に招かれたムータワキル評価委員長は、
フアン・カルロス1世国王夫妻に握手で迎えられ、笑顔をふりまいた。
全市民、全国民の熱烈な支持。
それが、マドリード最大のセールスポイント。

「IOCが行った世論調査では、
マドリード市民の五輪開催支持率は85%。全国で86%」
昼食会の前日、マドリード五輪招致委は発表。
評価委の訪問中に、IOCの世論調査結果を公表した都市は他にない。
自信の表れを示す、異例の公表。

訪問中も、「全世代支持」を前面に出した。
初日の招致委の発表には、1992年バルセロナ五輪女子ホッケー
金メダリスト、メルセデス・コーエン最高責任者の12歳の次女を起用。
ホッケー選手で、「母が招致した五輪出場が夢」と訴え、
強い印象を与えた。

サパテロ首相も登場。
記者会見で財政保証を明言、「スペイン国民は、市民も、
政府も党派を超えて、全面的に五輪に協力できる」

現地調査を終えたムータワキル評価委員長から、
「国王、政府、子ども、選手、すべての人々の力強い支持を感じた」
狙い通りの言葉を引き出した。

国民の支持、施設、交通面で申し分ないマドリードにも、大きな壁。
2016年の開催都市が、12年ロンドン五輪の次回になること。
評価委は、「五輪に大陸巡回の規則はない」とするが、
実際、戦後は1948年ロンドン、52年ヘルシンキ両五輪以来、
同一大陸での連続開催はない。

東京の招致関係者は、「シカゴよりマドリードが怖い」と語る。
スペインは、サマランチ前IOC会長のおひざ元。
長男のサマランチ・ジュニアIOC委員は、
「父は21年もIOC会長を務め、メンバーとの結びつきは強い」
と不敵な笑みを浮かべる。

1次投票でリオデジャネイロ(ブラジル)が落選すれば、
移民の多いスペインに南米票が流れるとの観測も。
マドリードの熱い情熱で、常識の壁を崩せるか。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/syouchi/sy20090514_01.htm

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