2010年2月27日土曜日

研究設備を開放へ 10年度から県工業技術センター

(岩手日報 2月23日)

盛岡市の県工業技術センター(酒井俊巳理事長)は、
2010年度から、酸化亜鉛(ZnO)研究開発プロジェクトに
特化した試験研究設備「ZnOオープンラボ」を、
半導体関連の企業に広く開放する方針を固めた。

同方針は、人工水晶を使った高性能電子部品製造販売大手の
東京電波が、4月から盛岡市の子会社に、
開発拠点を全面移転する決め手。
保有する技術資源を開放することで、研究開発型企業の
技術力向上と本県への誘致促進が期待。

オープンラボは、03年開設。
同センターの3室に、1台当たり最高で約5千万円する
東北唯一の半導体関連装置や評価装置などを21台備え、
同センターとの共同研究参画企業に無償で貸し出されている。
10年度から、酸化亜鉛関連の共同研究参画企業以外にも、
利用対象を拡大する方針。
県内企業のほか、県外企業にも有償で活用してもらう考え。

同センター電子情報技術部の遠藤治之主任専門研究員は、
「オープンラボの利用は3、4年前から酸化亜鉛関連以外の
企業からも需要があった」

09年度で7年目の酸化亜鉛プロジェクトは、
センサーや発光ダイオード(LED)など6テーマで、
研究開発に取り組んでいるが、研究開発から事業化の段階に入り、
酸化亜鉛以外にも有効利用できる余地が出ている。

東京の本社開発部門を、4月から盛岡市の子会社に移転する
東京電波の小野隆夫専務は、
「品質評価などでセンターの装置を活用したい」、
同センターの研究開発環境も移転の決め手になったことを強調。

本県は、足腰の強い産業を構築するため、
研究開発型企業の集積を進め、酒井理事長は、
「研究開発型企業を育てることが、設備、研究者がいる
公設試験研究機関の役割になっていく」と、
同センターの技術資源の有効活用を積極的に進める考え。

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e201002/e1002231.html

ゼロ・エネルギー・ビルの実現へ

(日経 2010-02-22)

民生・業務部門のエネルギーが、依然として増加傾向で推移。
業務部門は、産業分類でいう第3次産業にあたる部門での
エネルギー消費。
この部門の就業人口比率は、1990年には60%、
比率は年々増加、2005年には67%へと7ポイントも上昇。
この間のエネルギー消費量は約30%も増加。

就業構造の変化が、民生業務部門のエネルギー消費を
大きく増加させた。
この業務部門には、事務所ビルから百貨店・スーパーなどの
小売業や学校、飲食店、病院、ホテル、娯楽場など、
多種多様な用途が含まれている。
これらをひとくくりにし、エネルギー消費のあり方を論ずることは
きわめて乱暴。

日本には驚くことに、この部門のエネルギー消費を
経年的にとらえた統計書が存在していない。
京都議定書からいち早く離脱した米国でさえ、
2度の石油危機直後から、詳細なエネルギー実態調査が実施。
わが国に、1日も早くこの様なデータベースの整備が望まれる。

今回は、業務部門の中で約2割の比率を占める事務所ビルを
主なターゲットにした、「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」
の報告書が公表。

国際エネルギー機関(IEA)が、洞爺湖サミットにおいて、
ZEB普及への取り組み加速を勧告、わが国でも昨年4月、
新公共建築物での30年までのZEB化に向けた開発などを加速。
この動きを、一般のビルに拡充することを目的に、
経済産業省資源エネルギー庁に筆者も委員として参加する
機会を得た「ZEBの実現と展開に関する研究会」が設置、
11月に報告書がまとまった。

ZEBの定義は、建築物における1次エネルギー消費量をほぼゼロ。
建築物・設備の省エネ性の向上、エネルギーを、
複数建物間で利用するような面的な利用、ビルやその敷地内に
太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーを積極的に活用、
ビルの年間の1次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ、
おおむねゼロとなる建築物。

この様な動きは、英国では、08年に財務大臣が
「19年までにすべての新築非住宅建築物をゼロカーボン化する」
との野心的な目標。
米国でも、エネルギー自立安全保障法(07年)で、
30年までに米国で新築されるすべての業務用ビルを、
40年までに米国の既存の業務用ビルの50%を、
50年までに米国のすべてのビルをZEBとするための
技術・慣行・政策を開発普及する。

報告書中に示されたわが国におけるZEBの可能性であるが、
30年頃までの技術進歩の見通しなどをもと、
中・低層のオフィスビルについて概算すれば、
ZEBの実現は技術的に可能。
完全にZEBとなるのは、3階建て以下のビルであるが、
10階建て程度でも、現状のエネルギー消費量の8割削減が可能。

エネルギーの面的利用(複数ビル間での相互活用)、
太陽光パネルの建材化(壁面利用)などを加味すれば、
ZEBのポテンシャルはさらに大きいもの。
ZEB化について、新築公共建築物に限定、
30年までにすべての新築建築物全体で実現、
さらに既築の省エネ改修の大幅な増加を見込めば、
30年に1次エネルギー消費量は概ね半減すると推計。

ZEBの実現と展開に向け、マーケットの変革を促進させるには
規制、支援・誘導、社会への情報発信・啓発を
バランスよく進めることが必要。
制度面、技術面、ワークスタイル面の3つのイノベーションを
加速することも必要。
報告書では、ZEBの目標達成を、わが国の産業の競争力強化の
チャンスととらえるべきだ。

この様なビルの造り方が、やがてデファクトスタンダードになる時代は
もう目前に迫っている。
地球温暖化はもとより、資源エネルギーの有効利用が必須の時代、
従来にはない発想と行動が求められていることだけは間違いない。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan100219.html

病の子どもと家族を支援 走って募金、キンバリさん 「南風」

(2010年2月22日 共同通信社)

冬晴れの空気がすがすがしい日曜日。
東京・代々木公園で、北京五輪入賞の英国人マラソンランナー、
マーラ・ヤマウチさん(36)の指導を受け、約20人がストレッチ。
東京マラソンを、小児がんの子どもと、その家族を支援する
募金のために走る「チャリティーラン」の仲間たち。
米国人女性キンバリ・フォーサイスさん(45)の姿も。

呼び掛けたのは、キンバリさんが理事長を務めるNPO法人
「タイラー基金」(東京)。
タイラーは、小児白血病のため、1歳11カ月で亡くなった息子の名前。

東京で働く父を訪ね、1990年に来日、英国人のマークさんと結婚。
2003年、2人目のタイラーちゃんが生まれた。
「長女と比べると、何かおかしい」
生後約1カ月で白血病と判明、国立成育医療センターに入院。
キンバリさんの骨髄を移植、05年6月、タイラーちゃんは逝った。

「どこかに行きたい。全部忘れたい。体をチェンジしたい」
長女を連れ、ハワイで休暇を取ったが毎日、泣いてばかり。
立ち直りのきっかけをくれたのは、
「エネルギーをいいことに使おうよ」というマークさんの言葉。

タイラーちゃんの入院中、同じ病気の子どもを持つ夫婦3組が離婚。
「日本には良い医療があるが、子どもや家族を力づける支援がない」
ことを痛感した。

06年、NPO設立。
イベントを通じて募金を集め、07年春にはセンターで、
病気の告知段階から臨床心理士が家族に寄り添う
カウンセリングを始めた。
昨年4月、患者のきょうだいを預かったり家族がくつろいだりできる
宿泊施設も設置。

「先生に聞きにくいことも相談できた」と感謝するのは、
2歳の娘が小児がんで入院していた都内の30代女性。
「治療は大変だけど、病院のつらいイメージと違い、
親子で楽しく過ごせました」と無事退院した娘を抱いた。

センターの熊谷昌明医長も、「診療で一番のストレスは、
患者とのいさかい。
心理士は、医療者と患者をつなぐ役割を果たしている」と評価。

「マラソンなんて大嫌い」と、10キロに初挑戦のキンバリさん。
「でも、タイラーのために走りますよ」と笑顔でいっぱい。

※チャリティーラン

海外で盛んな募金活動。
ランナーは参加費の一部を寄付したり、走ることで
家族や友人らから寄付金を集める。
タイラー基金が実施するのは、今回の東京マラソンで3回目。
登録人数と集めた寄付金は、2008年が74人と約1200万円、
昨年が67人と約800万円。
問い合わせ、http://www.tylershineon.org/

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/22/116366/

2010年2月26日金曜日

東洋アルミニウムの今須社長「先手の開発でアジア市場を開拓」

(日経 2月22日)

国内市場の伸び悩みや中国勢の台頭で、
厳しい経営を迫られている日本のアルミニウムはくメーカー。
どのような成長戦略を描くのか?
日用品向けのアルミはくで、国内の3分の1のシェアを持つ最大手、
東洋アルミニウムの今須聖雄社長に、市場動向と同社の戦略を聞いた。

——中国勢の台頭をどう見るか?

「中国メーカーの脅威をひしひしと感じている。
アルミのはくには、家庭用アルミホイルなどの日用品向けと、
コンデンサーなどに使う電子部品向け。
日用品向けのアルミでは、中国製品にコストでは勝てない。
家庭用の容器を手掛ける当社のグループ会社でさえ、
当社製のアルミを使ったら赤字になるため、中国製を使っている」

——品質ではどうか?

品質レベルでも、中国勢は日本に追いついてきている。
ある飲料容器に使うアルミで、メーカーが求めるのは、
長さ6万mで継ぎ目のないロール。
これだけの長さを継ぎ目なしで巻き取るのは、相当な技術が必要。
この製品は、今ではほぼすべて中国製。
中国勢の品質がかなりの水準に達している証拠」

——なぜ安く品質のよいものを作れるのか?

機械が、品質を保証しているようなもの。
昔は、アルミの技術と言えば、アルミの板に圧力をかけて延ばす
圧延機のロールを、いかに精密に研磨するか。
今では、研磨は人の手から機械による制御に変わった。
熟練した技術の蓄積は必要ない」

中国では、最新鋭のドイツ製の圧延機を導入。
当社の1番新しい圧延機でも、約30年前に導入、
丁寧に整備しながら使っている」

——価格や品質でなければ、何で勝負するのか?

「当社の競争力は、他社の先を行く開発に尽きる。
中国勢など、他社がいずれはまねして同等の製品を
作るかもしれないが、そのころには次の製品を開発。
我々の強みは、長年にわたって開発投資を続けてきたこと。
既にある製品をまねるだけなら開発費はいらず、
だからこそ安く作れるという面も」

——具体的な開発案件は?

「アルミのペーストでは、光の屈折率を利用し見る角度によって
見える色が違う塗料などの開発に力を入れている。
アルミのはくでは、中身が付着しないヨーグルトのふたがある。
撥水性を持たせたふたで、大学の教授などにも相談して
3年がかりで開発。
ふたを開けても、ふたに中身が付かず、こそぎ取る必要がない。
これは先月、森永乳業の新製品として発売」

——良いものは、すぐ競合他社が追随して安く作るようになる。

常に他社の先を行くしかない。
顧客がほしいと思うもの、困っているものをいち早く察知し、
他社に先んじて製品化。
顧客のニーズを何度も確かめながら進め、
ニーズがなくなったらすぐやめる。
当社では営業開発部と、中核技術の開発を担う
『コアテクノロジーセンター』が連携しながら、
機動的に顧客のニーズの把握と技術開発を行っている」

——国内では、市場の伸び悩みが予想。

「『国内向け』、『輸出』と区別するのではなく、
アジア全体を1つの市場と見ている。
成長を維持していくには、当社にとっても市場の広さを変える必要。
中国だけでなく、インドまでを含めて1つの市場ととらえて販売を拡大」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100219_2.html

北上・更木産桑茶入り菓子 盛岡の清月堂が開発

(岩手日報 2月23日)

盛岡市の和洋菓子店「清月堂」(清川昭孝社長)は、
健康効果に注目が集まる桑茶入りのお菓子を開発。

桑産地の再生を目指す、北上市更木地区産の桑茶を使用。
桑の葉の緑を鮮やかに出せるように、試作を重ねた。
「健康に配慮する人に手にとってもらいたい」と期待。

いわて農商工連携ファンドに採択された、
「桑食文化発祥地更木のブランド構築事業」の一環。
盛岡市の販売代理店マルベリーいわて(菅原章雄代表)が、
北上市の更木ふるさと興社の桑茶を清月堂に紹介。

桑茶入りお菓子は、清川社長(80)と長男浩司さん(47)が、
2月初めから試作を重ねた。
和菓子の「明がらす」と「しおがま」、
洋菓子の「カステラ」に桑茶を配合して焼き上げた。

清川社長は、以前から桑茶を愛飲して健康効果に着目。
「かつて和菓子は、法事や祝儀の引き菓子として需要があった。
健康効果を前面に出してPRしたい」と意欲的。
浩司さんも、「桑の色と香りが引き立つ3種類を選んだ。
カステラは、甘みとお茶の香りを生かした」と自信を示す。

今後、ブランド構築事業として、更木産桑茶を使用して
プリンやヨーグルト、そば・うどんの商品展開を目指す。
菅原代表は、「放置されている桑畑はたくさんある。
健康効果にお墨付きを得ている桑食を提供していきたい」

清月堂の明がらすとしおがまは、1個115円(税込み)、
カステラは1個126円(同)。
同店(019・622・6754)、ネット販売(http://warabi.ocnk.net/

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100223_8

「要介護でも自宅で」7割 独り暮らし高齢者調査

(2010年2月16日 共同通信社)

独り暮らしの高齢者に、要介護度が重くなっても
現在の住まいで暮らしたいか尋ねたところ、
7割が「住み続けたい」と答えていることが、
「特養ホームを良くする市民の会」(東京)の実態調査。

「要介護度が進んでも自宅に住みたい」69%で最多。
「分からない」(19%)、「自宅に住みたくない」(11%)の順。

症状が重くなった場合、世話をしてもらいたい相手は、
「子ども、親族」が48%と最も多く、ヘルパーが35%。

緊急時の対応では、「いつでも連絡先がある」人は76%。
家族のほか、自治体の「緊急通報システム」などを利用。
57%が「自分の財産を管理する人を決めている」と回答、
口頭で子どもや親族に依頼するケースが8割。

同会は、「離れて暮らしていても、何かあった時は
子どもに任せたいと考えているが、要介護度が進んだ時、
自分がどんな状態になるのか想像できていない人もいる

調査は2008年9月~09年1月、全国のデイサービス施設を
利用している独り暮らしの高齢者など、1592人を対象に実施、
1019人から回答。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/16/116047/

2010年2月25日木曜日

気仙の食材を首都圏発信 大船渡振興局と都内すし店

(岩手日報 2月23日)

東京都のすし店「酢飯屋」(岡田大介代表)と、
大船渡地方振興局(高橋克雅局長)は、
27日東京都の築地川公園デイキャンプ場で、
「三陸気仙の食材商談会」を開催。

酢飯屋が、定期的に開くバーベキュー会で、
気仙地方の食材のみ使用。生産者も参加してPR。
首都圏では、気仙産のこだわり食材にほれ込む料理人が
増えてきているといい、浸透が期待。

同振興局が展開する、気仙産食材の販路拡大プロジェクトの一環。
首都圏近郊の飲食店関係者、一般消費者ら約50人が来場予定。

気仙地方から、大船渡市の小石浜地区で「恋し浜ホタテ」を生産する
恋し浜青年部、陸前高田市のきのこのSATO販売、酔仙酒造、
八木澤商店の生産者が参加。

食材のこだわりや特徴をPR。
振興局からも、高橋局長ら4人が出向く。
メニューは、「恋し浜ホタテと極厚キクラゲの刺し盛り」、
「三陸森のしいたけのバター焼」、「冷燻海鮮ハム」、
「三陸まるごと鍋」、「さんりくロール」など10品。
恋し浜ホタテは、青年部のメンバーが炭火焼きで提供。

酢飯屋の岡田代表が昨年12月、恋し浜ホタテの生産現場を視察、
青年部と意気投合したのがきっかけ。
岡田代表は、肉厚で甘みのあるホタテを気に入り、
3月1~3日には同店で「恋し浜ホタテの会」も開く。

炭火焼きを行う予定の青年部の佐々木淳代表は、
「実際に、沖でホタテを見てもらった人とのイベントでうれしい。
岩手の食材の良さをアピールしたい」と意気込む。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100223_9

筋肉痛 知って付き合う

(2010年2月19日 毎日新聞社)

普段運動していない人が、運動後に悩まされるのが筋肉痛。
対処法を含め、筋肉痛に対する誤解も多い。
筋肉痛に関する最近の知見と、上手な付き合い方を専門家に聞いた。

筋肉痛とは、筋肉のどのような変化で起こるのか?
大阪市大大学院の橋本祐介講師(スポーツ整形外科)は、
「筋肉痛には、運動中には痛むが、運動を中止するとなくなる
現発性筋肉痛と、運動後数時間から1~2日後に痛みが生じて
1週間程度で消える遅発性筋肉痛がある」
私たちが、運動後で苦しむ筋肉痛は後者。

遅発性筋肉痛は、持ち上げたダンベルをゆっくり下げるときの上腕部や、
階段を下るときの太ももの筋肉のように、
縮めた筋肉が伸ばされる(伸張性収縮)運動をした時に起こる。

豪エディス・コーワン大の野坂和則教授(運動生理学)によると、
伸張性収縮運動で、筋肉の周りの結合組織に小さな傷がつき、
炎症を起こす。
傷自体は痛みを感じるものではないが、炎症によって、
痛みを感じる神経が過敏になるため、体を動かして
筋肉が圧迫されたりすると痛みが起こる。
運動から炎症反応が起こるまでの時間差が遅発性につながっている。

「筋肉痛は、年をとるほど後から来る」と言われる。
野坂教授が、日本の大学生12人(18~25歳)、
中年12人(40~55歳)、高齢者10人(65~75歳)の3グループに、
ダンベルの上げ下げ運動後に起こる腕の筋肉痛を調べたところ、
年齢による時間の差は確認できなかった。
痛みのピークは、年齢差よりも個人差が大きかった。

野坂教授自身が86年、26歳時に実際にさまざまな運動をして、
後の筋肉痛を調べたところ、マラソンでは運動中から痛みがあったが、
腕立て伏せでは、運動中や直後は痛みがほとんどなかった。

野坂教授は、「筋肉痛が起こる時間は、運動の種類によっても異なる。
年を取ると、直後に痛くなるような運動をする機会が
減るのではないか

運動後に起こる筋肉痛について、かつては「乳酸蓄積が原因」
高校の保健体育の教科書にも掲載された知識だが、
現在の生理学では疲労の原因ではない。

乳酸が疲労原因と考えられたのは、運動によって
血中の乳酸濃度が高まっていたから。
東京大の八田秀雄准教授(運動生理・生化学)は、
「乳酸は老廃物ではなく、有効なエネルギー源」

エネルギーは、細胞内のミトコンドリアで糖や脂肪から合成。
急激な運動をすると、糖分解が活発化してミトコンドリアに送られ、
ミトコンドリアでの処理には限界があるため、一時的に余ってしまう。
それが乳酸だ。

八田准教授は、「乳酸が疲労物質なら、運動後もずっと残っている。
実際は、運動から1時間もすれば元のレベルに。
疲労物質ではない何よりの証拠。
疲労は、もっと複合的な要素で起こる現象

遅発性筋肉痛を軽減するには、どうすればいいのか?
準備運動や整理運動に予防効果があるという意見もあるが、
野坂教授は、「けがの予防などにはなるが、筋肉痛が軽減されたという
科学的な結果は報告されていない」
運動後に筋肉を冷やすアイシングについても、
「靱帯損傷などの最悪の事態に備えて、
『冷やさないよりもいい』とは言えるが、筋肉痛に効くというデータはない」

野坂教授の実験では、運動の1日前に、電子レンジで使われる
極超短波を20分間筋肉に当て、40度以上に温めておくと、
筋肉痛が抑えられた。
野坂教授は、「運動前日、熱いふろに入るのも有効かもしれない

野坂教授の実験では、2週間前に同じ運動をしておけば、
筋肉痛の程度が8割減り、4週間前だと4割減る。
筋肉痛予防には、事前に少しでも運動しておくことが有効。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/19/116249/

働く人の58%が抱える、ストレスに負けない

(2010年2月16日 毎日新聞社)

たまるたまる、ストレスが。
会社では原稿の締め切りに追われ、上司の雷が落ちる。
満員電車は息苦しく、都会では夜空を見上げても星もない。
ああ、ストレスに負けない心を鍛えたい。

厚生労働省が、5年に1回実施している労働者健康状況調査(07年)
によると、ストレスを抱える人は58%。

横浜労災病院の勤労者メンタルヘルスセンターには、
新型マシンが並ぶ。
背もたれに体を預け、目を閉じる。
カプセルの中で、赤い光が不規則に点滅する。
額に装着したセンサーが緊張状態を読み取り、リラックス時に出る
脳波「α波」を誘導。

マシンは、ストレス予防や治療に使われ、1000円で登録、
さらに1000円で利用。
川のせせらぎが聞こえ、耳元で女性の声がする。
「あなたは今、雲の上にいるような心地よさです」
10人に8人は眠ってしまう、というこのマシン。

「ストレス1日決算主義」を提唱するセンター長の山本晴義医師。
「仕事と睡眠だけでなく、食事はしっかり、休む時間も大事。
サラリーマンは、平日は労働だけで、ストレスが翌週に
持ち越されている。
運動習慣のない人も多い。
酒飲んで胃腸の運動はしているなんて、駄目」

山本医師、やけに明るい。
「元気でないと、患者さんと接するのに、うんとエネルギーを使う」
靴底を返し、「これ、鉄の靴。左右で2・7kg、1日7000歩。
スポーツクラブに、303回通った年も」。
診療前は、ボクシングのパンチングボールに2、3発浴びせ、
気合を入れる。

もう一つのストレス解消は、「チェ・ジウ療法」。
山本医師は、韓国ドラマ「冬のソナタ」で人気女優、
チェ・ジウさんの大ファン、写真をパソコン脇に飾っている。
カルテの電子化で肩こりがひどくなったためで、
「写真の方を向くと、何だか肩が軽くなる」

現代は、デジタル思考になっている。
白か黒かで、結果をとらえようとする。
2時の約束まで、あと3分。
デジタルで、1時57分と表示されると焦るが、
アナログなら、そろそろだなとゆとりが持てる。
1秒を争う競争社会や能力主義は、結果がすべてだから失敗を恐れ、
自分を追い詰めてしまう。
数字に振り回されなければ、ストレスは減らせる

バンクーバー冬季五輪。
メダルの重圧がかかる中、練習の成果を最大限発揮できるかが
勝敗を決する。

注目は、女子フィギュアスケートの浅田真央選手。
今季、スランプで低迷、土壇場でトリプルアクセルを成功、
五輪の切符をつかみ取った。
4大陸選手権も制し、復調を印象付けた。

「あの試合、フリーを滑る前から、いけると分かった。
体の内側を流れる気が充実し、すごくいい顔をしていた。
うまくやらなきゃと気合を入れるのでなく、
雑念の入る余地のないほど集中していた。
勝つには、追い詰められた時、
ストレスをエネルギーに変える能力が必要

30年以上、スポーツやビジネス界で精神面の指導を重ねてきた
メンタルトレーナーの西田文郎さん。
「最幸の法則」などの著書があり、北京五輪で金メダルに輝いた
女子ソフトボール日本代表をはじめ、
多くのプロ野球選手やサッカー選手を支えてきた。

人間にとって、ストレスは大敵と思われがち。
「ストレスがすべて悪いわけではない。受け止め方次第」
人間の脳には、「感情脳」と呼ばれる扁桃核があり、
マイナスのストレスがあると「苦」や「不快」、
プラスに振れると「楽」や「快」を感じる。

これを意図的にコントロールすることが重要。
振り幅が大きいほど達成感があり、すがすがしい気持ちに。
これが、ストレス消去法」

西田さんが注目するのが、浅田選手が五輪を前に語った
「わくわくしている」という言葉。
「わくわくの状態こそ、『快』に傾きやすく、ストレスがすごい力になる」
ストレスをうまく操れれば、金メダルも夢ではなさそう。

一流選手のストレス対処法は、一般生活や仕事にも通じる。
嫌な上司の小言は、すぐ忘れること。
日本人は反省が正しいと思っているけれど、反省してはいけない。
マイナスの記憶を反復すると、ますます落ち込んで不調に」

だが、切り替えは難しい。
西田さんは、高校野球の名場面を紹介。
04年、夏の甲子園で初優勝した北海道の駒大苫小牧高校。
ナインは試合中、要所でマウンドに集まり、
人さし指を空高く突き上げていた。
このポーズは、逆境を好転させるため、西田さんが指導。

「ピンチで不安や焦りが生じると、勝ちにいく集中力が欠けてしまう。
みんなでこの動作をすることで一致団結し、士気を高められる。
日本一という目標を確認でき、わくわくしてくる」

日常生活でも応用できる。
落ち込んだ時、指をパチンと鳴らし、「なし」と言ってみる。
西田さんは、「プラスの動作を決めておくことで、
脳に条件付けができ、逆境を乗り越えられる」

裏技も教えてくれた。
「顔を見るのも嫌な監督が大きなストレスだった選手に、
何が好物か尋ねてみた。
それを監督の頭の上にイメージし、接してみるよう指導」
思い切って、上司の頭に好物のすしをのせてみる。
コハダがいいか、ウニにしようか……。

なぜ、現代はこれほどまでにストレス社会になってしまったのか。
豊かになったからこそ、日本がなくしたものがある。
一番大切な、先祖や家族、友達や恩師、すべてに感謝する心。
何事にもありがたいと思えば、感情脳が『快』になり、
落ち着いた気持ちでストレス要因を消去できる。
感謝することで、エネルギーが強まり、人間は力を発揮する」

ウニのすしと、「ありがとう」の気持ちがあれば、
少しはストレスに強くなれるかもしれない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/16/116085/

2010年2月24日水曜日

NZへ「輸出」初の大会 岩手生まれのバイクレース

(岩手日報 2月22日)

八幡平市を起点に開催され、昨年33回を数えた
オフロードバイクのレース「出光イーハトーブトライアル」
コンセプトやルールを受け継ぐ、
「第1回ニュージーランド(NZ)・イーハトーブ・アドベンチャー
トライアル」が、NZ南島のネルソン市郊外で開かれた。

関係者は、岩手で培われたモータースポーツ文化の「輸出」を喜び、
日本とNZの交流の輪の広がりに期待。

NZの大会には、日本から出光イーハトーブトライアルの
大会会長の万沢安央さん(62)、実行団員4人がライダーとして、
2人がアシスタントとして参加。

NZと日本の約30人が、全長45キロコースでタスマン湾を見渡せる
広大な絶景を楽しみながら、コースに設けられた30カ所の岩場などの
セクションで腕を競った。

NZ大会開催のきっかけは、万沢会長と親交があった
スティーブン・オリバーさん(50)ら、トライアルのNZ王者を
多く輩出する一家の6人を、第30回記念大会に招待。

セクションをほぼ1カ所に集めたトライアル大会が多い中、
出光イーハトーブトライアルは、岩手の雄大な景色を見ながら
2日間で、八幡平市から普代村を往復、
途中に設けられた各セクションで操作技術を競う。

スティーブンさんらは、「今のトライアルは、難しいことに
真剣に挑戦しすぎ、楽しさや笑いを忘れている。
どろんこになり、楽しむような大会がいい」と、
旅しながら景色を楽しむトライアルの素晴らしさと、
合理的な独自の採点方法に共感し、NZでの開催を計画。

第32回大会に、開催ノウハウを知るため2人の息子が参加。
バイク操作で止まってもいい大会が多い中、
出光イーハトーブトライアルはスムーズに競技を進めるため、
ノーストップルールを適用するなど、独自の採点方法を採用。

万沢さんは、「岩手が生み、育てたモータースポーツの文化を
輸出できるのは素晴らしいこと。今後、縁をさらに深めたい」、
スティーブンさんは、「安央さんと私が懸けた橋を、
今後は多くのライダーに渡ってもらいたい」と期待。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100222_6

仕事に役立つロジカルシンキング(6)問題の構造追求~「なぜ」を5回繰り返す

(日経 2月9日)

問題の構造化について。
解決策を導くには、なぜその問題が生じたのかを掘り下げ、
問題の構造をつかんでおくことが重要。

「ロジックツリー」の手法を使うと、具体的な問題点が
数多くあがってくる。
多すぎると、かえってどこに手を打てばよいのか、
わからなくなってしまうことが。
洗い出した問題点同士の関係をとらえ、どこに手を打つべきかを
決めなければならない。

問題点同士の関係を把握するには、原因と結果の関係、
つまり因果関係を考えるのが有効。
場当たり的な対処ではなく、根本的な原因に対する解決策を
考える姿勢が求められる。

「クレームが多い」という問題があったとする。
「なぜクレームが多くなったのか」と原因を探っていく。
製品不良が原因だとすれば、製造工程の見なおしをすればよいし、
顧客への対応の仕方がまずかったのであれば、
接客方法を改善するなど、問題の本質に迫った解決策に
近づくことができる。

原因を探るとき、「なぜ」と一回だけ問いかければ
済むわけではない。
原因をできるだけ掘り下げる必要。

「顧客対応の仕方が悪い」が原因だったとする。
背景をさらに追求していくと、「営業担当者が十分な製品知識を
持っていない」という事実に突き当たる。
さらに理由を探っていくと、「製品知識を習得する場がない」といった、
より本質的な原因に迫れる。

「なぜを5回繰り返せ」という言葉を耳に。
このフレーズの意味は、原因を掘り下げていくと、
やがて問題の本質が浮かび上がってくるということ。

因果関係を探り続けていくと、問題点同士の関係が見えてくる。
関係を図で示すことを、「問題の構造化」。
問題の構造化によって、どこに手を打てばよいかがわかりやすくなる。

「残業が多い」という状況に対し、構造化ができれば、
根本にある「計画をたてることができない」にたどりつき、
そこに手を打てばよいと判断。

目についた悪い状況を掘り下げ、問題の構造を追い求めていくと、
問題への根本的な解決策を幅広い視点で考えられる。

因果関係を探りながら、問題の本質を追求するとき、
注意すべきポイント。
丁寧かつ具体的に因果関係をとらえる。

「残業が多い」、原因をいきなり「業務効率が悪い」と考えたとしたら。
「誰の効率」を改善すればよいかわかりませんし、
「どんな業務」を改善すればよいかも見えない。

具体性に欠けるとらえ方では、解決策に結びつかない。
それが本当に原因なのかすら確認できない。

重要なのは、一度で正解をあてるのではなく、
様々な原因の可能性を検討しながら、
何が今回の問題に影響しているのかを確認していく。

ビジネスシーンで起きる問題のほとんどは、
一つの原因によって引き起こされるわけではない。
様々な原因が、どのように影響しているのかを構造化。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz100209.html

2010年2月23日火曜日

中国の日系企業で活躍する若い頭脳

(日経 2010-02-16)

北京大、清華大、西安交通大・・・。
中国には、レベルの高い大学が数多い。
武漢大、ハルビン工業大、中山大、四川大など、
名前を挙げればきりがない。
中国は世界のなかでも、経済に勢いのある国のひとつ。
学生のハングリーさは、生活が豊かになった
日本の大学生の比ではない。

優秀かつエネルギーのかたまりのような中国の大学生が、
卒業後、現地の日系企業で活躍し始めている。

仲介役になっているのは、南富士産業(静岡県三島市)という
屋根・外壁工事会社。

中国の北京、西安、武漢など6都市で、大学生を企業の経営幹部に
育てる「グローバル・マネジメント・カレッジ(GMC)」という
私塾を開いている。

学生は在学中、GMCで学ぶほか、南富士産業が契約した
現地の企業に派遣され、コスト削減策などの立案、実行にかかわり、
企画力や判断力、リーダーシップを身につける。
理論より実践中心で、学生を「即戦力」の経営幹部に養成。

南富士産業は、大学とGMCを卒業した学生を、
中国の日系企業などに送り込み、その企業から「育成料」の
意味合いもある人材紹介料を受け取るという仕組み。

杉山定久・南富士産業社長と中国のかかわりは、35年に及ぶ。
中国の大学や図書館に、本を寄贈する地道な交流を土台に、
現地の大学や教授とのパイプをいくつもつくってきた。
GMCは、そうした積み重ねの上、
5年前から築いてきた新しいビジネスモデル。

GMCの学生には、北京大、清華大、西安交通大、武漢大など、
そうそうたる大学の在学生がひしめく。
卒業後、累計で約150人が、中国の日系企業に入った。

南富士産業の中国ビジネス室によれば、就職先は電子部品、
自動車部品、機械など、ほとんどが製造業。

彼らは日系の製造業で、どのような貢献をしているのか?
資材の調達コストの削減はその代表例。
調達先を別の企業に切り替えるなどで、
日本円で1億円ほどのコスト削減を短期間で達成している例が多い。

GMCを出た学生は、難関大学を突破した人材なだけに、
分析力や論理的に考える力を備えている。
GMCでの研修中、ある学生は、植物の茎から企業が作った
建材についての分析。
(1)加工のしやすさなど、建設現場での扱いやすさ、
(2)工事価格の削減効果、
(3)原料の茎を買う農家にどれだけ利益をもたらすか−−
などを克明に調べあげた。

分析力や論理的に考える力をもって、資材コストにメスを入れる。
(1)同じ原材料や部品を生産しているメーカーは、
ほかにどんなところがあるか、
(2)品質、納期や価格はどうなっているか−−
などと筋道立てて考え、合理的な選択をすれば、
短期間でのコスト削減も十分可能に。

多様な方法のなかから、最も理にかない、最大の効果を上げる
道を見抜く力と、それを実行する力があれば、
大学を出たての若者でも十分、経営の一翼を担える。

GMCを出て、企業に入った若手は、資材コスト削減のほかにも、
工場経営の再建にかかわるなど、重責を担っている。
中国人の消費の傾向が肌で分かり、現地の法制度に詳しい
学生もいることから、中国の市場調査や資金回収、
労務管理なども活躍の舞台。

南富士産業にも、GMCの卒業生がこれまでに約30人入社、
中国と日本で活動。

2人は、資源開発ビジネスを南富士産業の新規事業として立ち上げた。
中国企業と組み、河北省や安徽省の鉱山から掘りだした鉱石から、
化粧品や建材の原料になる雲母を取りだし、日本などに出荷。

中国に進出した日本企業から、販売促進用などの
ホームページの作成で協力するITビジネスも伸び、
その担い手はGMC卒業生が中心。

的確な分析をするための知識、物事を合理的に考える頭脳、
しがらみにとらわれず理にかなった行動をとる実行力−−。

それらを備えたレベルの高い人材が、
企業の成長と競争力を左右することが、GMCからよく分かる。
安い労働力めあてに、中国に進出する日本企業が多かったが、
高度な「頭脳」をいかに活用するかという段階へ、変わりつつある。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon100215.html

豊田合成、岩手工場拡張へ 関自増産に連動

(岩手日報 2月19日)

トヨタグループの自動車部品メーカー大手・豊田合成(愛知県)は、
金ケ崎町の関東自動車工業岩手工場の敷地内にある

豊田合成岩手工場の拡張を、年内にも計画。

岩手工場は、窓やドア部品、ハンドル関連部品の組み立て生産工場。
供給先の関自岩手工場が、2車種の追加生産に入ったことに連動、
増産態勢に入る。
宮城県で来年、操業を予定するセントラル自動車への
部品供給も検討、東北の拠点となっている岩手の機能拡充を図る。

豊田合成総務広報室によると、同社岩手工場は2003年、
関自岩手工場敷地内のサテライトショップに入居。
1600平方メートルのスペースで、窓枠やドア枠などのゴム部品を生産、
関自岩手工場に供給。

06年、奥州市水沢区に岩手水沢工場(約1500平方メートル)を構え、
ハンドル関連部品を生産供給、効率化を図るため、
09年5月に岩手工場に集約。

今回、関自岩手工場が1月からイスト、ラクティスの2車種の
追加生産に入ったことから、豊田合成も連動して
同社岩手工場を強化する方針。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100219_3

わさび辛みに老化防ぐ効果 中部大、線虫の実験で

(2010年2月17日 共同通信社)

わさびの辛みの成分が、人の老化や疾病を防ぐ
一定の効果があることを解明、
中部大・三輪錠司教授(応用生物学)の研究チームが17日、
米科学誌プロスワン電子版に発表。

三輪教授は、辛み成分「アリルイソチオシアネート(AITC)」には、
老化や疾病などを引き起こす「酸化ストレス」を防ぐ
体内酵素を活性化させる効果があると分析。

研究チームの実験で、土壌に生息する体長約1mmの線虫に
酸化ストレスを加えると、6時間後、AITCを与えた線虫は
6割弱の生存率に対し、与えなかった線虫は2割弱の生存率。

三輪教授は、「古くから、わさびは体によいと伝えられてきたが、
科学的に証明できた」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/17/116127/

2010年2月22日月曜日

社会技術研究開発は理系文系融合でまず壁に?

(サイエンスポータル 2010年2月22日)

当サイトでは、橋渡し研究が非常に難しい現実を何度か紹介。
専門領域が違うと、言葉が通じないし、交流、対話そのものが
そもそもほとんどない。
日本の学界が抱える縦割りの弊害を、浮き彫りにする発言が目立った。

シンポジウム「脳科学が取り持つ理系と文系の融合-
科学技術の未来へのキーワード」には、
「領域架橋型シンポジウムシリーズ」という頭書きが付いている。

主催者は、科学技術振興機構社会技術研究開発センターの
「脳科学と社会」研究開発領域
(領域総括・小泉英明・日立製作所役員待遇フェロー)。
3月で、2001年度から続いていた研究開発期間が終わり、
これが最後のシンポジウムになる予定。

「脳科学と社会」の柱となる研究開発プログラムは、
「脳科学と教育」
プロジェクトの一つ、「言語の発達・脳の成長・言語教育に関する
統合的研究」(研究代表者・萩原裕子・首都大学東京大学院教授)は、
言語習得のメカニズムを脳機能計測により明らかにし、
日本人の英語学習への科学的基盤を提供することを狙った。

英語教育に関して、09~11年度の3年間で、小学5、6年生に
英語の授業が取り入れられることが決まっており、
既に一部は実施。
これは、中央教育審議会の審議を経て決まったものだが、
実質的な議論をしたのは外国語専門部会で、
萩原氏も専門部会委員の一人。

氏によると、専門部会の5年間の議論は生物学的、脳に関する
科学的データが何一つない中で行われた。

萩原氏らが、「脳科学と教育」プログラムの中で行ったことは、
脳波形などを供えた「移動脳機能計測車」を1年に1回、
研究対象となった小学校に運び込み、6~11歳までの小学生約450人に
言語テストや脳波などの計測を続けるというもの。

06~09年まで3年間の追跡研究で分かったことは、
英語を覚えるときの脳部位の反応の変化は、
日本語を覚えるときに見られたものと変わりない、ということ。

英語も日本語も、脳の反応が同じということは、
英語教育を早く始めても、母語である日本語の習得に
悪い影響があるとは言えない、ということを意味。

今回の研究は、単語レベルの理解がどうかを、
脳波の計測結果などから調べただけ。
これだけで明確に言えることは限られ、英語を教えるのは
早ければ早いほどよいとも言い切れない。
言語が習得できたかどうかは、文法の理解がどうかなど、
さまざまなデータを見て判断しなければならない。

小学1年から始めた方がよいか、3年、5年からの方がよい、
などということも、今回の研究成果だけからは分からない。

これだけの研究成果を得るだけでも大変な苦労があったことを、
萩原氏は明らかに。
教育委員会や校長の対応がさまざまで、意欲的な教育主事の
協力がなかったら、研究ができたかどうかも定かではなかった。

興味深い発言は、言語テストの問題をつくるだけで、
なかなか意見が一致しなかった。
研究グループ内のコミュニケーションが難しかったということ。

萩原氏の専門は言語学で、意見が合わなかった
言語教育学の研究者とは非常に近い学問領域、
としか一般の人間には見えない。
ところが、これらの専門分野ですら「近いほど遠い関係」にあり、
意見がかみ合わず、そもそも日ごろ交流がほとんどない。

前例がないほど多数の双生児を対象に、遺伝と環境の影響を
追跡研究した安藤寿康・慶應義塾大学文学部教授の発言も興味深い。
同じ文系の研究者と話が通じなく、理系研究者と理解し合えたケースも、
とプラス面を述べる一方、文系と理系の融合の難しさを、
「エビデンスより思想の方が重要。
エビデンスだけではものは言えない、という文系の研究者は多く、
理系研究者との文化の違いはなかなか埋められない。
二つをバランスよく育むことができるような
教育制度を、つくっていくことも大事ではないか

今年度で研究開発期間が終わるプロジェクト「脳科学と社会」は、
脳科学の研究成果を社会に還元するという狙い。
「脳」に焦点をあて、社会のさまざまな局面で起きる事象を解く、
という意欲的なプロジェクトとして、費用と期間が十分だったのか。
プロジェクトの狙いが高望みすぎはしなかったか。

最終評価が出たときに明らかになるだろうが、
「先端技術・自然科学と人文学・社会科学を架橋・融合した
Trans-disciplinary(環学的)な視点から取り組む」という
プロジェクトの目標に掲げられた研究手法そのものが、
日本の学界の縦割り構造では非常に難しかったのではないか。

http://scienceportal.jp/news/review/1002/1002221.html

「気仙」名称確認から1200年 今秋、誕生イベント

(岩手日報 2月17日)

大船渡市と陸前高田市、住田町は今秋、
「気仙誕生1200年祭」を開く。
今年は、気仙郡という文字が確認される
最古の文献の記録から1200年。
節目の年に、2市1町の住民らが気仙郡の軌跡を振り返るとともに、
将来像を探る機会にする考え。

気仙郡という名称が確認された文献は、
平安時代に書かれた歴史書「日本後紀」。
810(弘仁元)年10月27日の記録に登場、
これ以前に成立していたことが分かる。

大船渡市役所で今月開かれた「気仙は一つ・3首長会議」で、
この史実を手掛かりに、1200年祭を今秋開催することで合意。
内容については、今後担当者レベルで協議。

気仙地方には、数多くの金山跡が残っており、
平泉の藤原氏に金を供給。
甘竹勝郎大船渡市長は、「平泉の世界遺産登録などに関連して
話し合う中で、記念行事をやろうということになった」と、
気仙の産金が一つのテーマとなる可能性を示す。

考古、歴史学の研究成果や伝統芸能などにからめた
イベントの開催が検討、会場は2市1町にまたがる予定。

陸前高田市気仙町には、江戸時代に大肝入として、
気仙郡を統括した吉田家の住宅(県有形文化財)が残っている。

中里長門陸前高田市長は、「取り組みを通じて、
気仙地域の住民がどれだけ誇りを持つことができるかが鍵」、
多田欣一住田町長は、「会議で合意した気仙地域を含む
三陸海岸のジオパーク(地質遺産)研究推進とからめて
進めても良いのではないか」と知恵を絞る。

県内の各郡は、坂上田村麻呂(758~811年)らの軍勢が北進し、
朝廷の統治下に組み込まれる過程で設置。
気仙郡は当初、現在の宮城県気仙沼市などを含んでいたが、
その後岩手、宮城両県に分割。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100217_12

仕事に役立つロジカルシンキング(5)問題把握の2手法、大枠整理・ツリーで一覧

(日経 2月3日)

取り組むべき問題がわかった後、問題の具体的な中身を
明らかにしなければならない。
手法には、「フレームワーク思考」と「ロジックツリー」がある。

状況を幅広くつかめなければ、問題の中身がはっきりと見えない。
そこで役立つのが、フレームワーク思考。

マクロ環境を分析する際、政治(Politics)、経済(Economics)、
社会(Society)、技術(Technology)の4つの視点で分析する
フレームワーク。
4つの視点の頭文字をとって、「PEST」。

事業環境を分析するフレームワークには、「3C」。
市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)。

マーケティングでは、製品(Products)、価格(Price)、
流通チャネル(Place)、プロモーション(Promotion)の「4P」。

フレームワークをもとに情報を整理していければ、
大きな部分での見落としをなくし、バランスよく状況を把握。

情報を整理しただけでは、分析とは呼べない。
整理した結果、どのような状況にあるのか、
どこに目をつけて分析を深めていくべきなのかを考える姿勢が必要。

ロジックツリーとは、「もれなく、重複することなく(MECE)」を
意識しながら、上位概念を下位概念にツリー状に分解。
問題分析や解決策の洗い出しといった場面で利用。

ある飲食店の月商(売り上げ)を因数分解し、
ロジックツリーで表したもの。
月商は、客単価とその月に来店した客数に分解。
客単価は、注文をした回数と注文1回あたりの単価に分けられる。
来店客数は、新規とリピートの合計。

ロジックツリーがあれば、それぞれの要素の中で、
特にどこが悪いのかをもれなく特定。
ライバルの飲食店と各要素を比較すれば、
自店の弱い部分をつかむことが可能。
1年前の自店の数値と比べれば、
どこが落ち込んでいるのかをつかむ糸口に。

ロジックツリーを活用していけば、売り上げが思わしくないという
問題を、モレなくダブりなくとらえながら、より具体的にできる。
問題を幅広く洗い出した上で、論点を絞り込んでいくことが
問題の構造をとらえ、問題の本質に迫るカギ。

ロジックツリーを用いると、洗い出した要素同士の関係を一覧。
全体像がわかるので、細部に拘泥せずにすむ。
ロジックツリーを使って、飲食店の月商低下を分析すれば、
商圏人数に問題があると考えるのは早計。
その前に、新規来店客数に問題があるのか、
客単価より客数が悪いのかを分析。

問題を効果的に解決するには、
本質をはっきりとさせるための分析が欠かせない。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz100202.html

2010年2月21日日曜日

自殺者3年ぶり500人台 県内09年、雇用情勢悪化響く

(岩手日報 2月16日)

県警は、昨年の県内での自殺者数(暫定値)を発表。
自殺者数は、前年を23人上回る513人、3年ぶりに500人台。

「経済・生活問題」、「勤務問題」を原因・動機とする自殺者が
2割を超え、依然として雇用情勢の悪化が暗い影。

513人のうち、男性は360人(前年比18人増)、女性153人(同5人増)。
成年が503人で、全体の9割以上を占め、
未成年も9人(1人年齢不詳)。

年代別では、70歳代以上が116人で最多。
50歳代は、前年比19人増の115人。
60歳代は同17人増の92人、40歳代は同26人減の61人、
30歳代が同32人増の71人。

原因・動機別(複数の場合あり)では、「健康問題」193人、
「経済・生活問題」111人、「勤務問題」40人。
理由が特定できない「不詳」は、215人。

県内での自殺者数は、2003年の574人をピークに減少傾向、
08年から再び増加に転じている。

本県の傾向として、中高年の自殺者が多い。
県障がい保健福祉課によると、失業や生活苦、病気など
さまざまな要因が重なって、自殺に追い込まれるケースが多い。

県は、関係機関と連携を深め、予防対策を強化。
昨年7月、県精神保健福祉センター内に、
県自殺予防情報センターを設置。
相談支援や遺族のケア、研修会開催などに取り組んでいる。

同課の山田昭人主任主査は、
「自殺予防のため、官民一体となって取り組みたい。
各相談窓口の連携を深めて対応したい」
県警の発表は、県内で発生した自殺者数で、県人以外を含む。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100216_4

高額医療機器多い日本

(サイエンスポータル 2010年2月15日)

日経新聞(15日)に、「高額医療機器日本の保有突出」という記事。
1台数億円するコンピュータ断層撮影装置(CT)や
磁気共鳴画像装置(MRI)が、外国に比較すると突出して多い現実を、
厚生労働省と経済協力開発機構(OECD)の資料を基に明らかに。

記事は、「医療費が膨張する一因との指摘もある」と、
「CTやMRIがない医療機関は、患者にそっぽを向かれる」という
病院関係者の声とともに、「地域の拠点病院に集約して、
効率化を図るべきだ」という南和友・日本大学医学部教授のコメントも紹介。

中村祐輔・東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長は、
次のように指摘。
「医薬品や医療機器は、1兆数千億円の輸入超過…。
医療費が増えても、それが日本企業の開発・製造した
薬などによるものであれば、税金という形で国に還元。
今のままだと…製薬企業からの税収が見込めない、
おまけに医薬品、医療機器は輸入しないといけない。
プラスマイナスを考えれば、医療分野はやはり重要だと国が認識すべき

突出して多い高額の医療機器導入が、日本の産業発展と税収に
つながるならまだしもだが、そうはなっていない。

この問題について、米国での臨床医経験が長く、
感染症コンサルタントとして活動している青木眞氏が、興味深い指摘。
「日本は、米国より人口が少ないのに、CTは2倍か3倍持っている。
米国の医師は、『日本では開業医さえMRIを持っている』と
言うとびっくりする。
英国でも、疾患構造がこのぐらいの数なら、MRIが必要なのは月に
何回だから、この人口には何台あればいい、と計算してからMRIを買う」

問われているのは、国全体として現在の医療にかかわる
公的資金の投入(研究開発費の配分も含めた)が合理的か否か、
ということだろうか。

http://scienceportal.jp/news/review/1002/1002151.html

コンビニ交付に浮かび上がるIT戦略の空白

(日経 2010-02-04)

地方自治体が発行する住民票の写しなどの証明書を、
店舗で交付するサービスを、コンビニエンスストア最大手の
セブン-イレブン・ジャパンが始めた。

首都圏の3自治体を皮切りに、対象を順次増やしていく。
電子行政の最先端の取り組みだが、サービスのあり方から、
政府のIT戦略の空白ぶりが浮かび上がる。

「今回のサービスを通じ、電子行政の基本として
住民基本台帳カードが広がることを期待する」
渋谷区のセブンイレブン店舗で開かれた記念式典。
総務省の佐村知子官房審議官は、こうあいさつ。

始まったのは、住民票の写しと印鑑登録証明書を、
店内の複合機(多機能複写機)で打ち出すサービス。
顧客は、IC内蔵の住基カードをかざして本人認証し、証明書を申請。
複合機は、自治体側から受信したデータを普通紙に
偽造防止処理などを施して印刷する仕組み。

渋谷区、三鷹市、市川市の3自治体の証明書が、
セブンイレブン7店舗で受け取れるように。
5月、全国12600店舗で交付できるようになり、
対象自治体も2010年度には30程度まで増える見込み。

「当市は、労働力人口の6割が市外で働いている。
市民が勤務先近くのコンビニで証明書を取得できれば、非常に便利
市川市の大久保博市長は、コンビニ交付に名乗りを上げた理由。

市川市では、「06年度にウェブ上で行った市民アンケートで、
コンビニでの証明書の交付サービスへの要望が圧倒的に強かった」
これを受け、市はコンビニ各社と情報交換を繰り返してきた。

「民間として、初めて行政サービスを取り扱えるのは光栄」
(セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長)。
同社も、地方税の収納代行、店舗での市町村施設の予約など、
自治体関連の業務を手がけてきたが、
顧客アンケートで最も要望が強いのが証明書交付。

証明書を印刷するのは、09年10月に導入を始めた最新の複合機。
2年前、仕様を詰め、ICカードのデータ読み取り装置を
装備することを決めていた。
コンビニ側も、店舗で住基カードを受け入れる態勢を周到に準備。

サービス開始の直接のきっかけは、総務省が07年度に主宰した
「電子自治体の推進に関する懇談会」。
自治体のIT担当者らに加え、コンビニ各社がオブザーバー参加。
証明書のコンビニ交付は、08年にまとめた報告書に盛り込まれた。

新サービスで、自治体には証明書の交付窓口の混雑緩和や
専用の自動交付機を置く負担を低減する利点。
コンビニ側は、手数料収入を得られ、集客の新たな目玉と位置付け。

自治体、コンビニとも既存の通信インフラなどを転用するため、
大きな追加投資は不要、「利用者を含む全員にメリットがある」
とサービス開始を歓迎。
一方、「電子行政の理想像に比べれば、まだまだ過渡期のサービス」

総務省の08年の報告書に列挙されたIT利用の具体策のうち、
現時点で実現したのは、証明書のコンビニ交付だけ。
自宅のパソコンでの証明書取得など他の施策は、
文書の正しさを電子的に証明する電子署名が
一般に普及していることを前提にし、実現のめどが立たない。

IT業界には、一般市民が電子署名しやすくする手法として、
電子署名機能を持つICカードを配布する構想。
セブンイレブンでの証明書交付で使われる住基カードは候補の1つ。
現時点では、住基カードには署名機能はないうえ、
普及率は3%程度。

02年に稼働した住民基本台帳ネットワークシステム自体が、
安全性などが疑問視、国立市など参加しない自治体が残る。
国民IDの付与などで、電子行政を推進するには、
一定の政治判断が欠かせない状況。

09年12月、日本経団連が開いた電子行政に関するシンポジウム。
「(内閣府が所管する)IT戦略本部をどう運営するか、
総務省、経済産業省と10年1月に議論を始める」。
内閣府の津村啓介政務官は、IT担当を兼ねる
菅直人副総理・国家戦略相の指示。

00年、IT戦略本部は、国民IDなど国全体のIT政策を描く司令塔。
IT業界は、鳩山由紀夫政権の発足以降、
同本部が開店休業の状態にあると批判、
津村政務官の発言はそれを意識。

菅副総理が、財務相兼務に横滑りしたのに伴い、
IT担当は川端達夫文部科学相に変更。
それが影響したのか、「鳩山政権はまとまったIT戦略を
打ち出しているとは言い難い」状況が続く。

証明書のコンビニ交付のように、地方と民間の創意で
電子行政が前進するのは歓迎すべき。
政府のIT戦略の空白のため、動きに勢いがつかないようでは報われない。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt100203.html