2011年5月14日土曜日

バイオ燃料を本格生産へ いわて生協

(岩手日報 5月14日)

いわて生協(滝沢村、飯塚明彦理事長)は、
2011年度からバイオディーゼル燃料の使用や精製に本格的に取り組む。

原料の廃食油の回収を家庭にも拡大し、
本年度は7万Lの精製を目指す。
東日本大震災では、ガソリンや軽油不足となったが、
同燃料が威力を発揮。
CO2排出削減だけでなく、ガソリンなど化石燃料不足への対応、
福祉施設などへの精製委託による経済効果も期待できそうだ。

いわて生協は、地球温暖化対策として06年、同燃料の使用を開始。
09年から、店舗の総菜部門の廃食油を原料に、
自前施設での精製に切り替えた。

本年度は、500mL入りペットボトルで組合員からの回収を開始し、
4月30日までに116Lを回収。
空いたペットボトルは、太平洋セメントや新日鉄釜石で燃料利用する。

震災直後、ガソリンや軽油などの燃料が不足。
同生協は、県内の精製施設のほか、全国の生協から提供された
同燃料によって、被災地におにぎりなどの支援物資を配送し、
炊き出しや移動販売にも大きな力を発揮した。

本年度は、家庭から8万Lを回収。
盛岡市や遠野市、陸前高田市などの5福祉施設にも委託し、
7万Lを精製する計画。
いわて生協での使用量は3万Lと、前年度より倍増。
30台の車両用燃料として使う予定。

燃費は軽油と同じだが、CO2排出量はゼロとみなされるため、
本年度は約80トンのCO2を削減。
各施設は、精製した燃料を独自に販売することで、収入増も期待。

いわて生協環境事業推進室の岡村治室長は、
「廃棄物が資源に活用できる。
回収システムを軌道に乗せたい」と意気込む。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110514_9

ハイブリッド人工神経が傷治す…マウス実験成功

(2011年5月10日 読売新聞)

様々な組織の細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)と、
高分子化合物製のチューブとを組み合わせた
「ハイブリッド(複合)型人工神経」で、マウスの脚の神経線維を
再生させることに、大阪市立大の中村博亮教授と
奈良県立医科大の筏義人教授らが成功。

けがや病気で傷ついた手足の神経の新たな治療法として期待。

手術用縫合糸の材料になる高分子化合物を加工、
表面は頑丈で内側はスポンジ状の2層構造のチューブ(直径2mm)を作製。
スポンジ層に、マウスのiPS細胞から作った神経系細胞を染み込ませた。

後ろ脚の神経が5mm欠損したマウスに、この人工神経を移植したところ、
3か月後には生活にほとんど影響がないまでに、
歩行能力が改善した。

スポンジ層に神経系細胞を染み込ませなかった場合、
回復しにくく、何も移植しないと脚がまひしたまま。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/10/136330/

[人口動態] 日本のこどもの割合は13.2%、諸外国の中で最低水準

(2011年5月9日 WIC REPORT(厚生政策情報センター))

総務省は5月2日、「我が国のこどもの数-『こどもの日』にちなんで-」を公表。
これは、各種統計資料から日本のこどもの数(15歳未満人口)について
推計したもの。

本推計によると、平成23年4月1日現在のこどもの数は、
前年比9万人減の1693万人、昭和57年から30年連続の減少、
過去最低となった。

総人口に占めるこどもの割合は、前年比0.1ポイント低下の13.2%、
昭和50年から37年連続して低下。

こどもの割合を諸外国と比較、
上位は、ナイジェリア44.3%、エチオピア42.8%、パキスタン41.6%と、
4割を超えているのに対し、日本は13.2%で、最も低い水準。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/9/136289/

全仮設住宅群に診療所 医師、看護師ら千人応援 地域医療「空白」埋める

(2011年5月9日 共同通信社)

厚生労働省は、東日本大震災で甚大な被害を受けた
岩手、宮城、福島の3県に建設する仮設住宅群すべてに原則、
仮設の診療所を整備する方針。

診療に当たる医師や看護師らも、被災地だけでは足りないことから、
日本医師会などに中・長期の派遣を要請。
常時、千人程度の応援を送り込む。

震災で、被災地の地域医療は大きな被害を受けた。
もともと医療過疎地だっただけに、再建には数年以上かかるとみられ、
仮設診療所での医療支援で、「空白を埋める」(厚労省幹部)のが狙い。

避難生活の長期化で、避難所では体調を崩す高齢者が増加、
深夜に肺炎などで救急搬送される例も少なくない。
仮設診療所では、風邪から高血圧症の治療など、
地域の診療所で受けられるような初期医療を提供、
感染症予防にも当たる計画。

阪神大震災の際、十数カ所で仮設診療所が設けられたが、
地域医療が徐々に回復したため、
医療支援は医師や保健師の巡回が中心。

厚労省では、近くに病院や診療所があるケース以外は、
仮設住宅群に診療所を設置。
近所に診療所があっても、大規模な仮設住宅群には診療所を設け、
すべての入居者が診療を受けられるようにする。

厚労省は、第1次補正予算で、被災地への仮設診療所約30カ所の
建設費として約10億円を計上、
避難所周辺への設置が中心で、仮設住宅への本格的な整備は
第2次補正予算からになる見通し。

被災3県には、日本医師会の災害医療チーム(JMAT)や
日本赤十字社の応援医師、看護師、保健師ら約1100人が展開。
厚労省では、「今後数年は、現在の応援人員ぐらいは必要」

※仮設診療所

大規模災害により、地域の医療機関が被災した際、
医師や看護師らが常駐、住民に初期医療を提供する施設。
プレハブ造りが主流だが、組み立て式のものもある。
阪神大震災時にも、仮設住宅に併設。
東日本大震災で厚生労働省が計画しているのは、
エックス線などの検査室なども備えた本格的なもので、
1カ所につき3千万~4千万円程度の費用が必要。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/9/136246/

2011年5月13日金曜日

ジャンパー膝予防へ冊子 埼玉・熊谷のスポーツ医らが執筆 「安心してバレーを」

(2011年5月3日 毎日新聞社)

バレーボール選手に多い故障の一つで、ジャンプのしすぎによる
膝の痛み「ジャンパー膝」の予防と治療に関する冊子を、
県バレーボール協会医科学委員会がまとめた。

競技やトレーニング時だけでなく、日常生活での注意点などにも触れ、
12カ条にわたって分かりやすく解説。
同委員会は、「ジャンパー膝への知識を深め、
安心してバレーを楽しんでほしい」

3月末に発刊された
バレーボール ジャンパー膝の予防・治療ガイドライン」。

執筆の中心となったのは、藤間病院(熊谷市)などを運営する
医療法人「藤和会」理事長の医師で、同委員会の萎沢利行委員長。

東京慈恵会医科大時代は、セッターとして活躍。
整形外科・スポーツ医学が専門で、07年に同委員会設立と同時に
委員長に就任。

1982年、同病院で勤務以降、ジャンプ膝を訴えて
県北地域の小学生から大学生まで数多く訪れることに驚き、
2年前に協会に所属する7~60歳以上の2453人にアンケートを実施。
男性の3人に1人、女性の4人に1人がジャンパー膝で
苦しんだ経験のあることが分かった。

冊子は予防編6カ条、故障後のケア編6カ条から構成。
予防編では、競技中の体の使い方やストレッチの方法だけでなく、
心身の働きを高める睡眠や食事の取り方、疲労回復の方法など、
日ごろの生活での留意点まで紹介。

ケア編では、体を動かしながら治す運動療法や再発予防の
トレーニング方法などを、かみくだいて説明。
カラー写真をふんだんに取り入れ、見やすさにも気を配った。

萎沢委員長は、「ジャンパー膝は、慢性化しやすく悩んでいる人は多い。
この冊子で痛みを抑え、長くバレーを続けることに役立ててほしい」との願い。

A5判、49ページで500円(税込み)。
申し込み・問い合わせは、藤間病院(電話048・522・0600)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/6/136123/

医療の疑問にやさしく答える 患者力トレーニング 美しく長く… 福岡・患者塾

(2011年5月3日 毎日新聞社)

キャンディーズのスーちゃんが、55歳の若さでこの世を去った。
「普通の女の子になりたくて」、キャンディーズが解散したのが昭和53年。
視聴率という数字だけで評価される世界に絶望して、
放送の仕事をやめ、僕が医学部に再入学したのも昭和53年。

スーちゃんは女優として復帰。
僕も、数字以外で評価される道がきっとあると考え直し、
ホームドクターとしてテレビに出るように。
スーちゃんには、ファンとして特別な思いがある。
女優として、もっともっとがんばってほしかった。
くやしいと言う思いが、時間の経過と共に募って行く。

ちゃんと検診を受けていれば、おそらくこんなことには
ならなかったのではないか。
きっと仕事が忙しかったりさまざま事情で、
乳がんを早期に発見することができなかったのでしょう。
その事情を知る術は、僕たちにはない。

この患者塾でも、乳がん検診を受けてほしい、と何度も訴えて来た。
30歳~64歳の女性のがん死亡原因の第一位は、乳がん。
僕の知人の女性で、若くして世を去った人の多くは乳がん。
そんな話をすると、かなりの女性が乳がん検診を受けてくれる。

継続して受け続けてくれる人は多くない。
「あんな痛い検査はもういい」、
「要精密検査と言われ、精密検査を受けるが、
経過観察のままで数年がたち、中途半端な状態に耐えれない」という理由。

それぞれの理由は十分に理解できる。
安全のためには、手間暇やお金や多少の痛みと言う代償がどうしても必要。

近くPEMと言う新しい乳がん検査の器械が、日本でも使えるようになる。
マンモグラフィー程は痛くなく、5mm以下のしこりでも見つかり、
しこりを触れない乳がんも発見可能。

それぞれの女性にそれぞれの思いがあるが、
多少の心と体の痛みと、費用と時間という代償を払ってでも、
美しく長く生きる道の方を選んでほしい。
…………………………………………………………………………………
◇相談室

Q・ずっと咳が続いている

咳がずっと続いている。
近くの先生にみてもらったら、「がんの可能性もないし結核でもない。
おそらく咳喘息だ」と、アドエアと言う喘息の吸入薬を処方。
それでもほとんど改善しない。
何か変な病気ではないかと心配。福岡市中央区、38歳、女性

A・アレルギー性咽喉頭炎の可能性も

かぜが治った後2週間くらい咳がつづく場合、咳喘息を疑う。
喘鳴ではなく、咳が主な症状の喘息で、気管支拡張剤で改善。
咳喘息は、昼間より床に入ってからの方が症状が激しいのも特徴。

この人の場合、夜昼問わず咳が出て、かぜが引き金と言う訳でもない。
肺の感染症や腫瘍、喘息の可能性が低く、
心臓や食道の病気などの可能性もなければ、
一番考えられるのは「アレルギー性咽喉頭炎」

喘息の薬が効かないことを、今かかっている先生に伝え、もう一度相談して。
アレルギーの薬を新たに処方するか、耳鼻咽喉科の先生を紹介してくれる。

Q・白内障と緑内障。手術の順番は

糖尿病で網膜症のチェックのため、眼科に通っているが、
白内障と緑内障の両方があると言われた。
手術が必要と言われているが、順番はどちらが先がいいのか?
かかりつけの先生は、「白内障かな?」と。北九州市小倉南区、72歳、男性

A・両方同時に手術することも

白内障も緑内障も、加齢とともに進行するため、
両方を併せ持つことは珍しくない。
白内障は、水晶体が濁るために見えにくくなる病気。
緑内障は、眼圧が上がるために、視神経を圧迫して
視野が狭くなるなどの症状が出る。

緑内障が軽く、手術がまだ必要でない場合、
白内障の手術を優先する。
緑内障が手術が必要な状態だったり、白内障の術後に
眼圧が上がる可能性のある場合などは、
両方同時に手術することがある。

この人の場合、糖尿病もあり、内科医と眼科医で緊密な連絡をとって、
熟練した眼科医に手術してもらう必要がある。
納得行くまで相談して。
……………………………………………………………………………
回答まとめ・小野村健太郎さん

質問は事務局へ
〒807-0111 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内
電話093・222・1234 FAX093・222・1235

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/6/136118/

2011年5月12日木曜日

タイから福島に医療チーム 避難所で感染症予防活動へ

(2011年5月6日 共同通信社)

東日本大震災で被災した福島県に派遣される
タイの災害医療支援チームの結成式が、
バンコクの日本大使公邸で行われた。

医師と看護師の2人で構成するチーム2組が、
福島県立医科大と協力し避難所を巡回、
子どもの感染症予防の活動を行う。

外国からの医療チームの派遣は、
イスラエル、ヨルダンに続いて3カ国目。

第1陣として、7日に出発するナリット医師は、
「友人である日本人を支援できるのは光栄で、
できる限り役に立ちたい」

小島誠二駐タイ大使は、「困難な状況に立ち向かい、
日本を助けてくれることに感謝する。
避難所の子どもたちに明るい光が届けられることになるだろう」

今後、避難所で子どもの感染症のリスクが高まると見込まれ、
日本政府側が海外の医療チームの派遣を要請、タイ政府が受け入れた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/6/136159/

こころの体温計 「心の健康診断」、神奈川・平塚市の自殺防止サイトで細分化

(2011年5月3日 毎日新聞社)

平塚市は、自殺防止対策で昨春導入したインターネットによる
メンタルヘルスチェック機能「こころの体温計」
https://fishbowlindex.jp/hiratsuka/)に、
先月から新たに「赤ちゃんママモード」と「家族モード」を加え、
「心の健康診断」を細分化した。

赤ちゃんママモードは、慣れない授乳などで、
睡眠不足が重なり、心身のバランスを崩しやすい出産後の女性が対象。

「明るく楽しい気分で過ごせた」、
「日常生活の中で興味のあることがたくさんあった」など5項目について、
「半分以上」、「ほんのたまに」などの6段階の中から、
自分に当てはまる状況をチェックすると、
「少しお疲れ気味ですね」など、四つの判定が出る仕組み。

赤ちゃんを抱く女性の表情が朗らかだったり、
涙を流すなどしているイラストとともに表示される。

家族モードは、家族や職場など「本人」の近くにいる人たちが
チェックする仕組み。
周囲の人たちがアドバイスなどを考えることができる。

昨年4月から、同市が始めた「本人モード」は、
1年間で5万8305件の利用があった。
同市くらし安全課は、「心の健康は目に見えないので、
知らないうちに悪化していることもある。
今回は、『産後うつ』などをチェックできる分野を増やしたので、
気楽に利用してほしい」と呼びかけている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/6/136120/

2011年5月11日水曜日

政府の復興構想会議が視察 五百旗頭議長、「サポートしていきたい」

(東海新報 5月8日)

政府の「東日本大震災復興構想会議」の
五百旗頭真議長(防衛大学校長)らメンバーが7日、
大船渡、陸前高田の両市を現地視察。

地元の両市長は、津波浸水地域に対する公的資金による補償や
国の一時買い上げなどを要望。
被災状況を聞き、惨状を目の当たりにした五百旗頭議長は、
「今の時代は、人智を尽くせばできることがいろいろある。
素晴らしい街を立派に再建することが、日本社会に求められている。
復興会議としても、しっかりサポートしていきたい」、
何を緊急にやるかを詰め、6月中に第1次提言を行い、
復興に向けた指針策定のための全体像を答申する。

視察は、委員の河田惠昭(関西大学社会安全学部長・教授)、
高成田亨(仙台大学教授)、中鉢良治(ソニー㈱代表執行役副会長)を
含む4氏が訪れた。

県庁で達増知事と会談後、大船渡市役所に到着し、
戸田公明市長と意見交換。
戸田市長は、浸水地域の市民の所有地を公的資金で補償を求め、
漁業者への国家支援と持続可能な漁業、
被災企業や個人事業者への支援、
第2次補正予算のスピード成立の4項目を要望。

五百旗頭議長は、戸田市長が提言した持続可能な漁業について
詳しく訪ね、河田委員が崩壊した大船渡湾口防波堤について、
「湾口防波堤を無くすより、大きく整備拡充するのがいいのでは」と言及。
同市長は、「今後も何度となくやってくる中小の津波に、
湾口防波堤と防潮堤で十分対応できる。
大きな津波に対しては、浸水地域に人が住むのをやめるようにしたい」

河田委員によると、大船渡湾口防波堤は世界で初めての湾口防波堤で、
今回の大津波でも下部は残っている。
戸田市長は、「人が死なない、家が流されないまちづくりが一番大切
一行は、大船渡中の避難所から津波浸水地域を視察。

陸前高田市災害対策本部では、戸羽太市長と意見交換し、
高田松原周辺を視察。
同市長は、三陸縦貫道の早期全線整備はじめ、
津波浸水区域の国による一時買い上げ、住宅ローン支払い中に
新築する場合の二重ローン対策、自営業者(商店主など)への
失業補償について要望。

復興構想会議は、被災地域の復興に向けた指針策定のための
復興構想について、内閣総理大臣の諮問に基づき、
審議を行うために先月設置。
有識者15人で構成、達増知事もメンバー。

各メンバーは今月2日から福島、宮城、岩手を順次視察。
五百旗頭議長が、「これほどの凄まじさとは。
特に陸前高田市の場合は、この世の姿とは思えない惨状。
古い時代には高台に逃げるというほかなかったが、
今の時代には高台移転や堅牢な建物を建てるなど、
人智を尽くせばできることがいろいろある。
素晴らしい町を立派に再建するということが、日本社会に求められている。
復興会議としても、立て直そうと言う意思を持つ人々を
しっかりサポートしていきたい」

3県を視察した感想では、
置かれた状況が、どこも違うことが最も衝撃的。
相談しながら、何を緊急にやるかを詰めていきたい」、
復興を考える上で、「地元の人たちがどういうことを考えているかが
一番大事な土台だと思っており、その意味で三つの県を訪ねて、
すさまじい悲惨さと共に多様性を見ることができたことは非常に貴重な土台。
6月に全体像を示し、第1次提言を行う」

答申の中の第1次提言は6月中に行うが、
「特に急がなければならないと判断した場合には、
5月中に緊急提言を行うこともある」

http://www.tohkaishimpo.com/

施設不足、避難は長期化 介護でも緊急支援態勢を 「被災地の介護」

(2011年5月2日 共同通信社)

東日本大震災は、介護の現場における災害時の課題をあぶりだした。
岩手、宮城、福島の被災3県では、
多くの介護施設が運営できない状態に陥り、介護職員も被災。
長引く避難生活で、健康を損なう高齢者も多く、対策が求められている。

被災後、介護を必要とする高齢者が増えていることを受け、
厚生労働省は各事業者に対し、施設の入所定員を超えた
受け入れを容認し、避難所や旅館などの避難先でも
介護サービスを受けられるようにした。

4月28日時点で、3県から約1800人が県外の施設などへ避難。
福島第1原発事故に伴い、30km圏内の施設入所者など、
計約1500人も退避。

全国から3県への介護職員派遣は、被災1週間後に始まり、
述べ約800人が被災地で活動。
石巻市の担当者は、被災直後を振り返り、
「災害派遣医療チーム(DMAT)のように、介護の分野でも
専門職がすぐ駆けつけてくれたら」と、迅速な支援態勢の確立を提案。

家族の被災により、介護の手を失った要介護者、自宅を失い
「住んでいた地域に戻れるのか」と訴える高齢者...。
「先が見えない不安も日に日に高まっている」と、
担当者の心配は募る一方。

厚労省が、2012年度の介護保険制度改正で導入を目指すのが、
要介護者が住み慣れた自宅や地域で暮らすための
「地域包括ケアシステム」。
介護、医療などのサービスが一体的に受けられ、
緊急時には30分以内にヘルパーらが駆け付ける態勢を指す。

今回、被災地では介護の担い手である多くの介護職員や家族が
犠牲となった上、交通網が寸断され、
深刻な燃料不足から医療品や人手が行き渡らない状況が続いた。
同システム導入は、途切れない在宅支援が前提であり、
災害時の対策も検討が必要だ。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/2/136095/

2011年5月10日火曜日

気仙沿岸水産加工場、今秋本格稼働へ準備 水産加工場、サンマなど見据え

(東海新報 5月7日)

東日本大震災による大津波で、甚大な被害を受けた
気仙沿岸の水産加工場は、サンマをはじめ秋漁に合わせた
本格稼働に向けて準備を進めている。

大船渡市の誘致企業・阿部長商店大船渡食品では6日、
新卒採用5人を迎える入社式を開催、早期再開を誓った。
倉庫内にあった水産物の埋設作業も進んでいるが、
今後はライフライン復旧や修繕費用の助成など、
行政側の支援充実が急がれている。

阿部長商店大船渡食品の工場は、大船渡町欠ノ下地内にあり、
敷地面積は約4・5㌶。
施設は鉄骨4階建て、建築面積は約1万4300平方㍍。
市道野々田川口橋線に沿う形で、冷蔵庫棟が整備され、
盛川沿いに加工場棟を置く構造。

昨年8月から一部稼働し、11月には竣工式を盛大に開催。
サンマやイカ、イサダなどを扱い、2階部分に整備した加工棟も
今年1月から動き始めた矢先、東日本大震災による大津波の被害。

冷凍庫、冷蔵庫を中心とした1階部分は甚大な被害を受けたが、
2階の機械設備には大きな損壊はなかった。
同社では、早期稼働に向けた準備を進め、
現時点では7月中の一部操業、秋漁が始まる8月中旬以降の
本格稼働再開を目指している。

再開に向け、まず求められたのは、倉庫内に入っていた水産品の処理。
日数が経過して悪臭も鼻を突く中、厳しい作業を強いられた。
大船渡食品では、従業員に加え、気仙出身の今春入社予定者5人も
自主的に参加。
献身的な姿勢を受け、「会社の一員として早く迎え入れよう」と、
本来6月に開催する予定だった入社式を前倒し、開催。

工場2階で行われ、幹部職員のほか、大船渡食品で勤務する
従業員約50人が参加。
阿部泰浩社長は、「地域に残ることを選択した皆さんは、大事な宝。
従業員一丸となってがんばりましょう」とあいさつ。
阿部泰兒会長も、早期復興に向けて激励の言葉を寄せた。

一人ひとりに、阿部社長から辞令が交付、
新入社員を代表して鈴木早希子さんが、
「今回の経験を乗り越えていくことで、
復興への絆を深めていくことが大事」と決意。
その後は作業に入り、倉庫から出した水産品の処分にあたった。

「夏場の一部操業、秋漁本格化」を目指す動きは、
他の水産加工場でも見られる。
カツオ漁に合わせ、6月の営業再開を目指す大船渡魚市場では、
夏にはサバ、秋には全国でも上位の実績を誇るサンマの水揚げを控える。

サンマは、県外船籍の漁船も多く、受け入れ機能が整えば、
まとまった水揚げが期待。
経営者から、「来シーズンを待っていては、流通から忘れ去られる」と、
早期再開を急ぐ声が聞かれる。

工場が集積していた地域の多くは浸水域にあり、
まずは電気や水といったライフライン復旧が最優先。
これまでの設備資金返済に、新たな復旧費用分が重なる
「二重債務」の負担は大きいとして、
公的機関に支援を求める動きも広がっている。

気仙沿岸の加工業者で構成する大船渡湾冷凍水産物協同組合の
佐藤泰造理事長は、「だんだん具体的な動きは出ているが、
売り上げを管理していたコンピューターの復旧など課題は多い。
再開に向けた事業主のやる気をつなぎ続けるのが、我々の役割」

http://www.tohkaishimpo.com/

被災地を福祉モデル地区に 在宅医療・介護充実図る 老人施設は高台建設へ

(2011年5月2日 共同通信社)

政府は、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた
岩手、宮城、福島の3県沿岸部を、「医療・福祉モデル地区」として
優先整備する方向で検討に入った。

老人福祉施設や病院などを中核に、地域の在宅医療・介護の充実を図る。
高齢者比率の高い被災地の復興の新たな街づくりには、
医療・福祉機能の充実が不可欠と判断。

宮城、岩手両県の沿岸部では、津波により老人福祉施設53施設が
壊滅的被害を受け、使用不能となっている。
これらの施設では、入所者だけでも438人が死亡・行方不明。
新たな施設は高台に建設したり、多層構造とするなど防災面にも十分配慮。

政府は、「社会保障と税の一体改革」で5月中にまとめる
社会保障改革案に盛り込み、復興構想会議で議論される
被災地の新たな街づくり案に反映させる方針。

3県の沿岸部は、もともと医療過疎が進み、
在宅医療・介護も整っていなかった。
震災で、避難所などに避難した高齢者が十分なケアを受けられない
例も顕在化し始めている。

モデル地区では、震災前から実現に向け議論が進んでいた
「地域包括ケアシステム」を本格的に導入。
医療機関や介護施設が連携し、高齢者が自宅などで
必要な医療や介護を受けられる仕組みで、
少人数の利用者に短期の宿泊などを提供する
「小規模多機能型居宅介護サービス」と組み合わせることで、
より利用者ニーズに応える形を取る。

24時間の訪問介護・看護サービスの実施で、
災害時にも高齢者や在宅患者らを自宅でケアできる態勢を整える。

被災地域の事情や条件もそれぞれ異なるため、
高齢者の少ない地区では、医療・福祉施設に代わり、
文化・教育施設を中核にすることも検討。

*地域包括ケアシステム

地域住民に健康づくりなどの保健、在宅ケアを含む医療、
退院後の介護といった各サービスを連携させ、提供する仕組み。
日本は、西欧諸国に比べ、在宅型の医療や介護の提供が
遅れていることから、政府は2012年度の介護保険法改正に
合わせ、導入を検討。
地域の病院と診療所、介護施設などが診療情報を共有することで、
希望に添った生活支援を図れるほか、
24時間の訪問介護・看護の実施で、緊急時には30分で
ヘルパーらが駆けつけられる態勢を整える。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/2/136090/

2011年5月9日月曜日

助け合い広がる連休 全国の一般ボランティア 気仙でも通常の2倍ほどの活動者増える

(東海新報 5月5日)

東日本大震災により、大きなダメージを受けた気仙沿岸には、
大型連休とともに、全国各地からボランティア活動に足を運ぶ
人の数が増えている。

その数は、これまでの土、日、祝日に比べ2倍程度。
被災地域では、地元住民とボランティアが手を携えて汗を流す、
例年の連休には見られない光景が広がっている。

県社会福祉協議会による県内各地の災害ボランティアセンター(VC)
活動状況まとめによると、県内には発生当日から5月3日までに、
5万1782人のボランティアが訪れている。

大船渡市災害VCには、集計を始めた3月12日~5月3日までに4621人、
陸前高田市災害VCには3月23日~5月3日までに4597人が入っている。

両市では、大型連休以前の平日はおおむね50~70人ほど、
土、日、祝日は100~200人ほどのボランティアが入っていたが、
連休スタートの4月29日から増加傾向、
被害の大きい陸前高田は300人台。
後方支援の拠点となっている遠野からの訪問も多い。

4日も、およそ300人が作業を展開。
活動時間として定められた午前9時~午後3時の間、
家屋内外の片付け作業など、ニーズに応じた各種作業を繰り広げた。

同市気仙町の長部地区では、津波により壊滅的被害を受けた
水産加工場群から流出したとみられる魚などの片付けが行われた。

同地区では、現段階で本格的ながれき撤去作業に至ってはいない。
沿岸から距離のある住宅地にまで流れている魚が、
気温の上昇とともに腐敗し、悪臭は地域住民を困らせ、
市からもボランティア作業の要請が出ている。

友人2人と先月30日から陸前高田で活動しているという、
東京都の会社員・平山直樹さん(28)は、
「使命感というわけではないが、ゴールデンウイーク中に
何かできれば、と考えて来た。
陸前高田は初めて。映画のセットのような印象を受けた」

平山さんら約80人のグループは、500㌔の片付けを目標に作業。
火ばしやスコップを手に、地面やがれきの間に散乱したサンマやサケ、
袋詰めのイクラなどを丁寧に拾い集めた。
平山さんも、「においはすごいが、この地で一生懸命に水産業を
営んできた人たちを思うと、そんなことは言っていられない」と体を動かした。

魚などの除去作業は、重機によるがれき撤去が本格化するまで、
継続実施される見込み。
地元住民は、「困ってはいるが、自分たちの身の回りで手いっぱい。
ボランティアさんの協力には頭が下がる思い」と感謝。

週末にかけ、活動者増は続くものとみられる。
各災害VCは、いずれもグループ単位での活動を原則とし、
個人よりも団体、事前連絡のあったものを優先的に受け入れ。
希望者には、出発地の市町村社協、都道府県社協の
ボランティア活動保険(天災タイプ)加入、宿泊(車中泊、テント泊除く)、
食事、交通手段の事前確保などを求める。

大型連休に伴い、被災地へ向かう道路は交通量が増え、
陸前高田市へ向かう国道340号と343号は、日中の渋滞状態が顕著。
緩和に向け、県警などでは不要不急の一般車両通行自粛などを呼びかけ。

http://www.tohkaishimpo.com/

***
私の大学時代の友人も、ボランティアで来てくれました。
瓦礫の片づけ、側溝の掃除、盛川河川敷の清掃、
支援物資の仕分け、炊き出し作業など、
5日間も滞在して活動して頂きました。
本当にありがとうございました。
このような支援を多く頂き、励ましを頂き、
復興へと邁進していきたいと思います。

2011年5月8日日曜日

福島県立医大、医師を“玉突き”派遣 移動短く診察長く へき地医療支援システム

(2011年3月3日 毎日新聞社)

県立医大(福島市)から2病院を通して、
医師を“玉突き”で医療過疎地の診療所に派遣する
「へき地医療支援システム」が注目。


都市部の大学病院から、直接診療所に派遣する仕組みが一般的、
県立医大方式は、医師の移動時間が短くて済み、
診療にじっくり取り組める利点。

文部科学省の医学部定員に関する検討会で、
菊地臣一学長が、全国的にも先進的な「福島モデル」として概要を発表。

システムは、04年度に開始。
(1)県立医大の助手15人を、県立会津総合病院に週1回派遣、
(2)会津総合は、助手受け入れで診療時間が空く医師を、
県立宮下と県立南会津の両病院に派遣、
(3)同じく余裕ができた宮下から柳津町と金山町の国保診療所に、
南会津から只見町国保朝日診療所に医師を派遣。

柳津町で毎週月曜、金山町で毎週火~金曜、只見町で隔週木曜--
に内科医と整形外科医の応援が受けられるようになった。

玉突きの元となる助手は、臨床研修が終わったばかりで、
県立医大で研究しながら診療に当たる。
県が、1人当たり年間800万~1000万円の人件費を負担。
安くはないが、立場が不安定になりがちな臨床研修終了直後の助手を
好待遇で迎えることで医師確保ができる。

県立医大は助手枠を90人に増やし、別事業では地域の拠点病院に
定期的に派遣するなど、地域医療再生に取り組んでいる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/3/3/133223/

日米豪が人道支援で連携 3月から太平洋諸国巡回

(2011年3月3日 共同通信社)

米海軍で、東太平洋を管轄する第3艦隊のウィルソン准将は、
米軍を中心に日本やオーストラリア、フランスなどが参加して、
アジア太平洋地域で人道支援活動を行う
「パシフィック・パートナーシップ2011」の概要を発表。

米軽巡洋艦「クリーブランド」などが3月21日から8月上旬にかけ、
トンガ王国やパプアニューギニア、ミクロネシア連邦などを回り、
地域医療や学校建設などを支援、文化交流も実施。
海上自衛隊からは昨年に続き、艦船と医官らが参加。

ウィルソン准将は、「米軍は、人道支援と災害支援に重点を置いている」と、
同パートナーシップの意義を強調。
災害に迅速に対応するため、「米軍の各地への展開は不可欠」、
関係国と海上航行の安全確保のため、緊密に協力している。

同パートナーシップは、米国が2007年から主催、
海自は毎年医官らを派遣。
昨年、当時の鳩山由紀夫首相の「友愛ボート」構想の一環として、
海自輸送艦が初参加した。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/3/3/133239/

小学校英語(3)市民が授業支援の会

(読売 3月4日)

6年生の教室をのぞくと、3人の先生が英語活動を指導。
1月下旬、大阪府南東部にある大阪狭山市の市立西小学校。
担任の池田明稔教諭(27)と外国語指導助手(ALT)、
NPO法人「大阪狭山小学校英語活動支援の会」の宮園美香さん(44)。

「I get up at 6:30.」、「I eat lunch at 12:30.」。
ALTの発音を手本に、担任の指示で子どもたちが声を合わせる。
宮園さんは教室を回り、戸惑う子どもがいると、
席まで行って一緒に発音していた。

同会は、英語教育の担い手を地域に求めようと、
市の呼びかけで昨年5月に発足。
同市や近隣に住む元中学・高校英語教師や英会話塾講師など、
英語指導経験のある市民32人が参加。
同会で研修を受けた30歳代~60歳代の23人が、
昨年9月から市立小学校の5、6年生の英語活動で、
指導の補助役として教壇に立っている。

同市教育委員会学校教育グループの中田智己課長(51)は、
「児童の成長を見守りながら、継続して関わってもらうことが重要、
研修も含めて任せられるNPOの協力は効果的。
教員とALTとの橋渡し役もお願いできる

自宅で、子ども向け英会話教室を開いている宮園さんは、
経験を公教育の現場で生かしたい、と同会に参加。
「最初は不安もあったが、会の教職経験者から
アドバイスをもらったりして、すぐに慣れた。
先生たちの役に立てるのはうれしい」

池田教諭は、「ALTとうまくやりとりできない時、
宮園さんに間に入ってもらえるし、個別指導も任せられるので助かっている」

学校へ派遣されるメンバーには、市の助成金などから
1時間1000円が支給。
教育の市民協働を掲げる市だからこそ、実現できたのかもしれない。
地域挙げて、国際人を育てることができれば」と、
同会副理事長の石井重光さん(68)は期待。

地域人材の活用について、小学校英語活動に詳しい
渡辺寛治・文京学院大学外国語学部教授(64)は、
「必要な訓練を受けていなかったり、
単発的に授業を補助していたりするケースもある」と、問題点を指摘。
「学校任せにするのでなく、教育委員会が採用や研修などで
中心的役割を担うことが望ましい」

◆メモ


文部科学省作成の新学習指導要領解説では、
「地域の実態に応じて、外国語に堪能な地域の人々の協力を得る」ことが、
指導体制の充実策として挙げられている。
同省の2009年度調査によると、英語活動で補助人材を使った
授業のうち、地域人材を活用したのは、年間授業時間の16%。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110304-OYT8T00191.htm