2011年5月10日火曜日

被災地を福祉モデル地区に 在宅医療・介護充実図る 老人施設は高台建設へ

(2011年5月2日 共同通信社)

政府は、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた
岩手、宮城、福島の3県沿岸部を、「医療・福祉モデル地区」として
優先整備する方向で検討に入った。

老人福祉施設や病院などを中核に、地域の在宅医療・介護の充実を図る。
高齢者比率の高い被災地の復興の新たな街づくりには、
医療・福祉機能の充実が不可欠と判断。

宮城、岩手両県の沿岸部では、津波により老人福祉施設53施設が
壊滅的被害を受け、使用不能となっている。
これらの施設では、入所者だけでも438人が死亡・行方不明。
新たな施設は高台に建設したり、多層構造とするなど防災面にも十分配慮。

政府は、「社会保障と税の一体改革」で5月中にまとめる
社会保障改革案に盛り込み、復興構想会議で議論される
被災地の新たな街づくり案に反映させる方針。

3県の沿岸部は、もともと医療過疎が進み、
在宅医療・介護も整っていなかった。
震災で、避難所などに避難した高齢者が十分なケアを受けられない
例も顕在化し始めている。

モデル地区では、震災前から実現に向け議論が進んでいた
「地域包括ケアシステム」を本格的に導入。
医療機関や介護施設が連携し、高齢者が自宅などで
必要な医療や介護を受けられる仕組みで、
少人数の利用者に短期の宿泊などを提供する
「小規模多機能型居宅介護サービス」と組み合わせることで、
より利用者ニーズに応える形を取る。

24時間の訪問介護・看護サービスの実施で、
災害時にも高齢者や在宅患者らを自宅でケアできる態勢を整える。

被災地域の事情や条件もそれぞれ異なるため、
高齢者の少ない地区では、医療・福祉施設に代わり、
文化・教育施設を中核にすることも検討。

*地域包括ケアシステム

地域住民に健康づくりなどの保健、在宅ケアを含む医療、
退院後の介護といった各サービスを連携させ、提供する仕組み。
日本は、西欧諸国に比べ、在宅型の医療や介護の提供が
遅れていることから、政府は2012年度の介護保険法改正に
合わせ、導入を検討。
地域の病院と診療所、介護施設などが診療情報を共有することで、
希望に添った生活支援を図れるほか、
24時間の訪問介護・看護の実施で、緊急時には30分で
ヘルパーらが駆けつけられる態勢を整える。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/2/136090/

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