2011年1月22日土曜日

国語力を鍛える(7)大学1年「日本語」必修

(読売 1月15日)

「仲人さんにお見合いの断り状を出す時は、
早めに丁寧に書きましょう」
約480人の学生で埋まった昭和女子大学の大教室。

岸田依子教授(中世文学)が切り出すと、雰囲気が少し変わった。
携帯メールに夢中だった者が、顔を上げてくすりと笑う。
毎週水曜日、1年生を対象に行う必修の「日本語基礎」。

45分間の授業を年間30回。
漢字や長文読解、敬語などを学ぶ。
この日のテーマは、「手紙の書き方」。
絵はがきのコピーなどを資料として配ったうえで、
学生の関心を引くために取り上げたのが、お見合いの例。

「今の若い人は、手紙を書く機会がほとんどない。
最低限必要なことを身につけてもらいたい」と岸田教授。

「日本語基礎」が始まったのは4年前。
論文に、「っていうか」、「マギャク」などの話し言葉や絵文字が頻出する、
受け答えも満足にできないといった実態に、
教員が悲鳴を上げたのがきっかけ。

「仲間内の言葉が、社会では通用しないのを知ってほしかった」、
授業をとりまとめる猪熊雄治教授(59)(日本近代文学)。
授業の狙いは、相手によって言葉や伝え方を選べる力の養成とした。

テキストは、就職試験に使われる能力・適性検査「SPI」などを
意識した実践的なものとし、テキストを作った教員12人が授業も受け持った。
授業時間は45分と通常の半分にし、学生の興味を引く流行歌も
教材に使うなどの工夫を重ねた。

元新聞記者や編集者らが文章の書き方を個別指導する
ライティングセンターを、開始と同時期に設置。
同大・短大12学科のうち9学科で、少人数の必修ゼミを始めるなど、
きめ細かな指導を充実させていった。

この結果、学生アンケートでは「敬語は新鮮」、「手紙を書いてみたい」など、
積極評価する声が年々増加。
ライティングセンター利用者も、2008年度の584人が、
昨年度は961人へと2倍近くになり、「手応えを感じる」と猪熊教授。

「授業の課題がきつい」と、ぼやく学生も少なくないが、
文化創造学科1年の勝千恵さん(18)は、
「敬語の使い方は、就職活動でも役立ちそう」

日本語基礎を受講した学年が就活に臨むのは、今回が初めて。
就職氷河期のサバイバルに授業がどう寄与するか、成果が注目。

◆ライティングセンター

論文やリポート作成を個別指導する場として、
大学が独自に設ける学習支援の施設。
アメリカでは、ほとんどの大学が設置、日本でも徐々に広がっている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110115-OYT8T00174.htm

ドライアイ、新しい型「BUT短縮型」 涙と違う原因、目の肌荒れ状態に

(2011年1月14日 毎日新聞社)

空気が乾燥する冬、目が充血しやすくなったり、
目に痛みを感じたりしている人は、ドライアイが原因かも。
最近、涙の量が少ないなどといった従来のドライアイの概念に
当てはまりにくい、新しいタイプの
「BUT(涙液層破壊時間)短縮型ドライアイ」が注目。

京都府立医科大付属病院を訪れたエステティシャンの女性は、
「2、3年前から、まぶしくて目を開けていられないときがある」、
横井則彦准教授(眼科学)に訴えた。

従来のドライアイは、涙の量が少ない「涙液減少型」か、
涙の表面の油分が不足して蒸発が早まる「蒸発亢進型」に大別。

この女性は、涙の量にも油分にも問題はなかったが、
まばたきをした瞬間から、角膜の表面の涙の層が安定せず、
すぐに乾いた部分(ドライスポット)が現れた。
横井准教授は、「BUT短縮型ドライアイ」と診断。

「黒目(角膜)の表面の水ぬれが悪く、涙をはじいてしまう。
いわば、目の肌荒れのような状態」

涙の量は十分あるため、ドライアイの診断基準にあるように、
目の表面にあまり傷ができず、ドライアイと診断されないことが多い。
角膜の表面には、「膜型ムチン」という分子が突起のように分布し、
涙の中にも含まれるムチンと協力して、角膜の細胞と水(涙)との
相性をよくする働き。

BUT短縮型ドライアイは、この膜型ムチンの働きが悪くなっている
考えられるが、詳しい原因はよく分かっていない。
横井准教授は、「約80人の患者を調べたが、はっきりした傾向はなかった。
ある日、突然発症したケースも多い」

BUT短縮型ドライアイは、目の細胞に原因があると考えられ、
涙の異常に起因する従来のドライアイの治療法では、
なかなか症状が改善しない。

参天製薬は10年12月、水分と同時にムチンの分泌を増やす
働きのある新しいタイプの点眼薬を発売。

臨床試験では、涙液層の破壊時間が延びることが確認、
治療薬として期待。

国内のドライアイ人口は、800万~2200万人と推定。
まばたきの回数が減るパソコンでの作業の多い人や、
コンタクトレンズ使用者に多い。
コンタクトレンズメーカーのボシュロム・ジャパンの調べでは、
コンタクトレンズ使用者では、半数がドライアイの自覚症状がある。

横井准教授らの実験では、ソフトコンタクトレンズの使用者は、
秋に相当する気温15度、相対湿度20%で目の乾燥感を持ち始め、
冬を想定した気温5度、相対湿度10%の環境下では、
乾燥感が増すことが分かった。

湿度の低下よりも、温度の低下の影響の方が大きく、
風があると、さらに乾燥感が強まることも明らかに。

「コンタクトレンズを装着するだけで、涙の分布は変わる。
レンズの表面の涙は、薄く安定しないため乾きやすく、
黒目に隣接する白目の部分がレンズとこすれて乾燥感を生む」

「コンタクトレンズ使用者は、乾燥やエアコンの風などの環境に
一層気を使う方がよい。
室内に洗濯物を干すだけでもかなり違う」とアドバイス。
親水性の高いレンズ消毒液を選ぶのもよい。

特に若い女性は、アイメークがドライアイの原因になることもあり要注意。
涙の表面を覆う油分は、まぶたの縁にある「マイボーム腺」の
出口から分泌される。
化粧品や汚れがここにたまると、涙の油分が減って蒸発しやすくなる。
二重まぶたにするための化粧品は、使い方によっては、
まばたきがスムーズにできなくなり、目が乾きやすくなることがある。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/14/130953/

自ら体験、小正月行事 大船渡ガイドの会

(岩手日報 1月13日)

大船渡市の市民ガイド「椿の里・大船渡ガイドの会」(小川広文会長)は、
働く婦人の家で郷土料理教室を開いた。
地元の小正月行事を、自ら体験しガイドに生かそうと初めて企画。

会員や市民ら20人が、みずき団子やツバキの花をかたどった
団子などを作り、市の施設に寄贈。
参加者は、大船渡市食生活改善推進協議会・郷土料理班
(佐々木紀子班長)の指導の下、みずき団子や伝統菓子の
かまもち、みたらし団子に加え、佐々木班長が考案した
ツバキの花の団子も作製。

佐々木班長らが、「花びらを5枚作って、花の芯を付けて」と
丁寧に指導し、出来上がった紅白2色の花をツバキの枝に飾り付けた。
みずき団子には、三陸らしくスルメイカやアワビの貝殻もつるされた。

ガイドの会は、昨年6月の結成以来、研修を重ねている。
小川会長は、「郷土の行事を実際に体験することで、
ガイドの伝え方も変わってくると思う。
これからも取り組みを広げていきたい」

完成したみずき団子とツバキの花は、市役所とリアスホールに寄贈。
同ホールでは、市立図書館入り口に設置。
同市三陸町越喜来の崎浜地区に伝わる小正月行事の鬼
「たらじがね」も登場し、訪れる人の目を引いていた。

三陸鉄道吉浜駅に、高さ約5mの大きなみずき団子が設置。
下通地区の住民有志らが、約千個の団子を飾り付けた。
同駅の待合室も兼ねる吉浜地区拠点センターのホールいっぱいに
広がった枝に、約20人が色鮮やかな団子を飾り付けた。
スルメイカなど海産物もつるし、豊漁も願った。

吉浜小5年の木川田壮太君、佐々木海登君、
2年の佐々木愛梨さんは、「きれいにできて良かった」と枝を見上げた。

小正月の風習で地域や三鉄を盛り上げようと、住民が5年前から実施。
下通地域公民館長の木川田準一さん(62)は、
「少しでも多くの人に見てほしい」と願う。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110113_11

2011年1月21日金曜日

遺伝子研究で競技力向上に 福島大は陸上練習で試み

(2011年1月17日 共同通信社)

陸上男子100mで世界記録を持つウサイン・ボルト選手を筆頭に、
ジャマイカにトップスプリンターが多いのはなぜか?

遺伝子研究の観点から、アスリートの能力に迫る報告が相次いでいる。
日本のトップ選手を育てるチームでは、
「スポーツ遺伝子」の特性を把握し、競技力向上に生かそうとする動き。

運動能力に関係するとみられる遺伝子は60~70あるとされ、
研究者はその中のACTN3遺伝子に注目。
この遺伝子には、瞬発系競技に必要な瞬間的に強い力を発揮する
速筋のタンパク質を作れるRR型とRX型、作れないXX型の3タイプ
判明し、一般のジャマイカ人やアフリカ系米国人の9割以上が
RR型かRX型に属する報告。
筋骨隆々の黒人は、速筋がつきやすい体質。

白人スプリンターにも、黒人と同様の結果が出たという研究も。
2008年北京五輪陸上男子400mリレー銅メダリストの
朝原宣治さんはRR型。

東京都健康長寿医療センター研究所の福典之研究員は、
「瞬発系競技でトップ選手になるためには、
RR型とRX型が鍵となる遺伝子」

福研究員が、日本人で五輪出場選手と一般人のエネルギー代謝を担う
ミトコンドリアDNAを調べた結果、五輪選手の中で特定の型に
持久系と瞬発系の競技者が集中したことが判明。

「遺伝子で、自分がどの競技向きなのか特性が分かれば、
日本人が欠けているものをトレーニングで補うことができるんじゃないか」

陸上女子400m日本記録保持者の千葉麻美選手(ナチュリル)らを
指導する福島大の川本和久教授は、
スポーツ遺伝子を生かしたトレーニングを試みている。

千葉のACTN3遺伝子は、短距離向きではないXX型だが、
エネルギー効率の特性を示すUCP1遺伝子では「省エネ型」。
現在、筋肉量を増やす練習をやめ、
スピードの持続力を磨く練習に取り組む。

最近、スポーツ遺伝子の簡易検査を行うスポーツスタイル社(船橋市)に、
子どもを持つ保護者からの申し込みが増えている。
スポーツ遺伝子の有無や特性だけが運動能力のすべてを
左右するわけではなく、研究途上の分野。

遺伝子検査は、「選手の選別に使われる」と危ぶむ声もある中で、
川本教授は、「遺伝子を通じて自分の特徴を知れば、
必要のない練習を削ることができる。
選手も、才能を伸ばす一つの手段と理解している」。
千葉選手は、来年のロンドン五輪で自らの特性を生かし、
800mで挑む計画を持っている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/17/131051/

試験前「間違えそうだ」と書くと…成績アップ!

(2011年1月15日 読売新聞)

試験の直前、不安な気持ちを書き留めるだけで、
重圧に負けず本来の実力が発揮できる--。
米シカゴ大学のチームが、こんな研究成果を
14日付の米科学誌サイエンスに発表。

今日から大学入試センター試験が始まるが、
受験生は試してみても良いかもしれない。

研究チームは、大学生87人を2グループに分け、
2回にわたり数学テストを実施。
2回目は、好成績の場合に報酬を約束するなど、
できるだけ緊張感を高めた。

2回目のテストの直前10分間、テストへの気持ちを作文に書くよう
指示されたグループは、1回目より成績が向上。
中でも「怖い」、「間違えそうだ」など、
不安な気持ちを書いた人の向上が目立った。

静かに着席してテストを待ったり、試験と無関係な日常の出来事を
書いたりするように指示されたグループは、1回目より成績が下がった。

高校の最上級生106人を対象に、
期末テストで同様の実験を行ったところ、ほぼ同じ結果。

研究チームは、「試験前の作文には、過去のつらい体験を文章にして
心の傷をいやす心理療法と似た効果がある」と推測。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/17/131055/

供養式に継承誓う 今泉御足軽御組後裔者会 陸前高田

(東海新報 1月18日)

陸前高田市気仙町の「仙台藩直参今泉御足軽御組後裔者会」
(菅野利夫会長)は16日、町内で先祖の供養式と総会を行った。
会員らは、先祖の冥福を祈るとともに、
代々の歴史を次世代に継承していこうと誓った。

供養式は、菩提寺の龍泉寺(江刺秀一住職)で執り行われ、
会員10人が出席。
一人ひとり九曜の紋が入った足軽の法被とはちまき姿で参列し、
先祖らに手を合わせた。

式後は、鉄砲町公民館で総会を開催。
菅野会長は、昨年の経過を振り返りながら、
「今期で会長職も任期満了となり、総会では新しい会長を決める。
よろしくお願いしたい」とあいさつ。

昨年の事業経過や会計報告に続き、協議では事業計画を
原案の通り承認。
平成23年度は、
▽文書類、武具類などの発掘、
▽他団体との交流、
▽祭りや行事への積極的参加――
を掲げ、各種活動に取り組んでいく。
役員改選では、伊藤理之副会長(東京都)を新会長に選任。

後半は、準会員で郷土史研究家の相模洋さんが、
「菊池家文書・旧組頭山田氏留之内から写取候」と題して講話。
会員間の交流を深め合う懇親会も行われた。

後裔者会は、同町鉄砲町などに住む今泉御足軽御組二十四家の
子孫たちで、昭和53年に結成。
先祖の霊を慰める供養式は毎年1月に行っている。

会長を除く新役員次の通り。
▽副会長=大谷裕一(気仙町)、
▽事務局=長沼正宏(同)、
▽会計=菊池達(同)、
▽監事=伊藤幸則(同)

http://www.tohkaishimpo.com/

2011年1月20日木曜日

国語力を鍛える(6)「書く力」磨き即戦力に

(読売 1月14日)

茨城県高萩市の県立高萩清松高校で行われた
1年生の「国語総合」の授業。
生徒は、これまでに取り組んだボランティア学習を
振り返りながら、その報告書をまとめていた。

「ボランティアをする側とされる側があるように、
文章にも書く側と読む側があります。
あやしい漢字は、辞書を使って調べるように」

揚石俊志講師(31)がそう言いながら、かごに入った辞書を
生徒に配って歩く。
ところが、辞書はクラスの半数分しかない。

「辞書を貸し借りすれば、他人の文章も目に入り、
そこにコミュニケーションが生まれる。
だから、全員分は用意しないんです」。揚石講師が説明。

総合学科高校としてスタートした同高は2008年度から、
実社会で活用できる国語力の育成に力を入れている。
柱に据えるのは、報告書の作成、手紙を書く、メモを取る、の三つの活動。
ボランティアは、学校設定科目「産業社会と人間」(産社)で
取り組んだ学習で、産社と国語科との連携を進めている。

総合学科運営部長の鈴木健司教諭(50)(国語科)は、
コミュニケーション力をつけさせるという狙いは、
国語も産社も同じで、連携した指導が有効。
漠然とした題材ではなく、自分が体験したことを文字にすることで、
生きた文章が書けるようになる」

駅前清掃などを報告書にまとめた渡辺唯奈さん(16)は、
「大変でもやりきった喜びと、感謝される喜びがあるので、
自らボランティアをやってください」と、後輩たちへのメッセージを記した。
「漢字も覚えてきたし、書く力もついてきた。
国語が得意になりました」

2年次以降も、介護実習の報告書の書き方を「国語表現」で指導するなど、
国語科と他教科の連携を進めている。
メモを取り、報告書にまとめ、仲間の文章にも目を通す。
こうした学習の繰り返しで、正確な報告書を書くには、
具体的なメモが不可欠なこと、よく伝わる文章を書くには
読み手の立場になることが大切なことが分かってきた。

「書くことが苦にならなくなったという生徒は、確実に増えてきており、
3年間の取り組みがつながってきた」と鈴木教諭。

卒業すれば、社会からは即戦力として期待される生徒たち。
その重圧をはねのけるため、国語力を磨くことが求められている。

◆総合学科高校

普通科と専門学科の両方の科目を学べる第3の学科として、
1994年度に導入。
幅広い選択科目の中から、生徒が自分の進路に合わせて学びたい
科目を選べるのが特徴。
高萩清松高の場合、2年次から人文科学、自然科学、機械テクノロジー、
情報ビジネス、福祉・生活科学の5系列に分かれる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110114-OYT8T00150.htm

夕方の遺伝子は昼夜で制御 体内時計の仕組み解明

(2011年1月14日 共同通信社)

ほぼ24時間周期でリズムを刻む生物の「体内時計」で、
夕方に働く特定の遺伝子は、昼と夜に働くDNA上の配列の
組み合わせによって制御されていることを、
理化学研究所の上田泰己プロジェクトリーダーらが明らかに。
13日付の米科学誌セル電子版に発表。

この遺伝子が働く時刻を人工的にずらすと、体内時計の動きが
弱くなってほとんど止まりかけたり、約4時間も周期が延びて
遅れたりすることも分かった。

体内時計の仕組みを理解する上で大きな前進だといい、
上田さんは、「一部の睡眠障害は、体内時計の異常によるもの。
今回の結果は、治療方法を開発するための指針になる」

体内時計は、ヒトを含め多くの生物に存在。
朝、昼、夜のどの時刻に遺伝子を働かせるか決めるDNAの配列と、
その配列につながって機能する約20の遺伝子による
複雑な"設計図"で動いているが、
なぜ特定の遺伝子が夕方に働くのかは不明。

上田さんらは、体内時計を持つマウスの細胞に、
ホタルの発光タンパク質を入れ、夕方の遺伝子が働くと
光るようにして観察。
昼と夜それぞれで遺伝子を働かせるDNA配列によって、
その中間の夕方に遺伝子が働くことを突き止めた。

体内時計を失った細胞でも、昼と夜のDNA配列を組み合わせて入れると、
夕方の遺伝子が働き、時計が再び動きだした。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/14/130940/

運動能力高めよう「やかつキッズ」が開講 陸前高田

(東海新報 1月16日)

県教育委員会と陸前高田市の県立高田松原野外活動センターが
主催する「やかつキッズ」は、同センター体育館で開講。
初日の第1期は、受講生が専門家からコーディネーショントレーニングを
学び、楽しみながら運動能力を高め合った。

この事業は、小学生の運動技能を高めながら体力向上を図り、
継続的にスポーツに取り組む機会にしようと企画。
第1期には、気仙各地の小学4~6年生22人が参加。

この日のテーマは、運動バランスを整えるための
コーディネーショントレーニング。
県体育協会の佐々木健次さん(全米アスレチックトレーナー)
講師を務め、体力はもちろん、判断力やコミュニケーション、
俊敏さといったスポーツに必要な能力を養う運動を紹介。

体育館内を走り回りながら、佐々木さんが吹く笛の音と同じ数だけ
手をたたき、指示の前に鳴った音と同じ数の人を集めるゲームは、
判断力を養うもの。

佐々木さんは、「スポーツでは、条件に対してすばやく判断する力が必要。
声をかけて自分から人を引き寄せるか、すぐに近くのグループに入るか、
判断するように」とアドバイス。

ボールを使った運動などが行われ、児童らは元気に体を動かしながら
スポーツに必要な体力や技術を学習。
学校や学年を超えた交流も図っていた。

やかつキッズは今後、29日に第2期(ニュースポーツ)、
2月12日に第3期(走の基本)、26日に第4期(球技)を実施。
時間は第2、4期が午後1時30分から、第3期が午前9時から。

参加料は各期300円、当日徴収。
運動ができる服装、タオル、着替え、運動シューズ(外履き、内履き)を用意。
定員は各期30人程度。
問い合わせ先は、同センター
(〒029・2204陸前高田市気仙町字砂盛151、℡54・5115、FAX54・5161)

http://www.tohkaishimpo.com/

2011年1月19日水曜日

国語力を鍛える(5)新聞コラム 読解力養う

(読売 1月13日)

大分県竹田市立都野中学校の朝は、20分間の自習から始まる。
教師のいない教室で、3年生が黙々と取り組んでいたのは、
「新聞コラムを読もう」と書かれたプリント。

地球温暖化問題について記した読売新聞1面コラム「編集手帳」を読み、
感想や反論を110字にまとめる。

「1、2年生は年間5000ページ以上を目標に、朝の読書をします。
3年からは、入試に必要な読み取る力をつけるため、
新聞コラムの学習をします」
担任の渡辺早苗教諭(47)。

渡辺教諭が、朝の自習に新聞コラムを取り入れたのは、
前任校にいた2002年度。
それまではプリント学習をしていたが、読解力の向上には
読書がより有効だと考えた。
「思うように力はつかず、焦りを感じた生徒から、
『読書でなく、プリント学習をさせてほしい』と訴えられてしまった」

朝読書で、年間2万5000ページを読む子もいたが、
分野を分析すると小説に偏っていた。
年度初めの調査では、説明的文章の読解が苦手と答える
生徒が8割に上っていた。

「日常の言語活動でも、子どもたちの語彙不足や、
適切な言葉の使い方が苦手なことに気づいていた。
正確に速く読み取る力を育成するのに、最適な題材を探し続けた結果、
毎日違った内容で、長さも適当な新聞コラムならば、
辞書を引いて語彙も増やせるし、感想も書きやすいと思った」と渡辺教諭。

プリントには、必ず教師がコメントを書いて生徒に返す。
生徒たちは、返されたプリントをファイルし、1、2年生にも
読んでもらえるよう廊下に置く。
単元の終わりに、自分の課題を見つけさせ、
調べたことを620字程度のコラムにまとめる授業も行った。

鷲司仁君(15)は、「何度も読み返さなくても、
内容を理解できるようになってきた。
書きたいことを、決められた文字数にうまくまとめて、
書く力もついてきている」と手応えを語る。

「『新聞コラムの自習が一番しんどかったけれども、
あの時の努力が、大学入試にも役立っています』。
卒業生から、そんな言葉をかけられることもある」と渡辺教諭。

読解力をつけさせたい一心で始めた取り組みは、
親子の会話を増やし、時事問題への関心を高めることにもつながっている。

◆都野中の「新聞コラムを読もう」

〈1〉まずコラムを読む、
〈2〉印象に残ったところに波線を引く、
〈3〉筆者が最も伝えたい主題に赤の2重線を引く、
〈4〉タイトル(題名)をつける、
〈5〉難解漢字の読みを書く、
〈6〉難読語句を辞書で調べる、
〈7〉感想や意見、反論を110字程度でつづる、
〈8〉語句の文法を答える

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110113-OYT8T00189.htm

「セックス嫌い・無関心」急増、男性でも17%

(2011年1月13日 読売新聞)

男女とも草食化が進んでいる?--
性交渉に対して嫌悪感を抱いたり、関心がなかったりする日本人が
急増していることが、厚生労働省研究班の調査でわかった。

調査は2010年9月、16~49歳の男女3000人を対象に、
手渡しによるアンケート形式で実施、1540人が回答。

性交渉に対して「関心がない」、「嫌悪している」と回答した人を合わせ、
男性では17・7%(08年調査10・4%)、女性では48・4%(同37・0%)。
特に女性では、ほぼ全年齢層で08年調査より10ポイント以上増加。
男性でも16~19歳、20~24歳で18・6ポイント、9・7ポイント増加。

1か月以上性交渉しない「セックスレス」の夫婦は、
08年調査より4・3ポイント増加、40・8%となり、
04年の調査以来初めて4割を超えた。
理由は、「出産後何となく」、「面倒くさい」、「仕事疲れ」が多く、
これまでと同様の傾向を示した。

調査した日本家族計画協会の北村邦夫常務理事は、
「セックスレスの理由に、『面倒くさい』とあるように、
人とのかかわりが厄介だと感じる人が増え、
人間関係が希薄になっているのでは」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/13/130898/

脳の回復、血中酸素の割合で予測

(2011年1月12日 読売新聞)

救急搬送された心肺停止患者の脳機能の回復見通しを、
脳の局所的な血中酸素の割合「酸素飽和度(rSO2)」から
予測する方法を、大阪府済生会千里病院千里救命救急センターの
伊藤賀敏・心血管内治療室長らが開発。

rSO2が25%以下だと、9割が24時間以内に死亡した一方、

26%以上の場合は4割が社会復帰し、
値が高い人ほど回復程度が良かった。

適切な治療法を素早く選択し、救命率を高めることに生かせる。
阪神大震災などの大規模災害時に搬送された患者の
治療優先順位を決める「トリアージ」にも活用できる可能性。

脳の神経細胞は、心停止で血流が長時間止まると死滅するが、
心拍再開後も細胞死が進み、脳死や植物状態に至るケースがある。

伊藤室長らは、心臓のバイパス手術などをする際、
麻酔科医が、前頭葉の大脳皮質を流れる血液中のrSO2を計測して
脳の状態を把握し、呼吸や血圧などの管理の目安にしていることに着目。
rSO2は、酸素を運搬するヘモグロビンの血中濃度から求められ、
近赤外光を額に10秒程度あてるだけで計測できる。

同センターへ一昨年4月から1年間に搬送された18歳以上の
82人について、来院から3分以内のrSO2を測定。
健康な人のrSO2は80~50%、82人のうち、25%以下だった52人は、
47人が24時間以内に死亡。
残りの5人も脳機能が回復せず、感染症などで亡くなった。

26~40%の9人は6人が死亡、1人が植物状態になったが、
2人は社会復帰できた。
41%以上では21人中、5人が死亡、5人が脳に重い後遺症が残った
状態で転院したものの、10人が社会復帰し、1人は軽い後遺症で済んだ。

4月から、大阪大、京都大、慶応大など国内の計10施設と共同研究を計画。
伊藤室長は、「rSO2の値を高く保つ治療をすれば、
社会復帰の可能性が高まるだろう。
数値の常時監視で、効果的な蘇生治療も行える」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/13/130919/

2011年1月18日火曜日

SOSで世界へ出動 スイスの救急搬送システム

(2011年1月12日 共同通信社)

医師が搭乗し、治療をしながら患者を運ぶ
救急医療用ヘリコプター「ドクターヘリ」。
日本では、各地の自治体などが救命率向上を目指して
導入を進めているが、アルプスを抱え山岳事故が多いスイスは、
ヘリや小型飛行機での救急体制が整っている。

昨年7月、日本人死傷者を出したアルプス観光列車脱線事故でも、
負傷者搬送でヘリが活躍。
民間のドクターヘリや飛行機の派遣会社は、
世界中からの救急要請にも対応。

▽現場まで15分

NPO法人「レガ(REGA)」は、スイスの最大都市チューリヒに本部を置く、
この分野の最大手。
国際空港の一角にあるコールセンターには、
繁忙時なら1日100~300件の救急要請が飛び込む。
6人が24時間、3交代で電話を受け、国内ならどこでも15分以内に
ヘリが到着できるよう、各地の基地に指示を出す。

オペレーター歴10年の女性は、「山岳遭難の場合、
現場の手掛かりをつかむのが難しい」
「短時間に、7人から遭難の救急要請が来たときには頭を抱えたわ」

▽やりがい

レガはヘリ17機のほか、小型ジェット機3機を所有。
政治的理由で着陸できない北朝鮮などを除き、スイス在住者による
世界中からの救急要請に応じている。
10年には、10年ぶりにイラクのバグダッドで患者を迎え、スイスに搬送。

民間航空会社を退職し、レガのパイロットになった
マーク・ベルティさん(32)は09年、20カ国に駆け付けた。
「給料は、航空会社の時と同じでも、
人の命を救うことにやりがいを感じる」と目を輝かせる。

最近もグリーンランドに飛び、肺の疾患で地元病院に運ばれた
1歳男児を、スイスの病院に緊急搬送。
「到着前に死亡する例が、年に2~3件はある。
遺体は運べないので、むなしい気持ちになる」

▽年間2600円

レガは1952年、公的機関の一部として発足。
60年、独立した基金での運営を始めたが、当初は財政難が続いた。
現在では、スイス人口の3割近くの200万人もの会員を抱え、経営は安定。
個人なら、年間30スイスフラン(約2600円)の会費を支払うだけで
救助を受けられる。
年間の総出動回数は、約1万4千回に上る。

患者の救命は、一瞬の判断に懸かっている。
電話を受けるオペレーター、現場に急行するパイロットと医師の連携が重要」
20年の経歴を持つフライトドクター、ウルス・クレマーさん(57)。

レガは、海外での大災害時にも、積極的に支援の手を差し伸べていく意向。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/12/130824/

薄毛の仕組み分かった!

(2011年1月12日 読売新聞)

体質的な薄毛は、毛髪の元になる細胞が足りないのではなく、
その細胞が次の段階に変化できないことが原因であることを、
米ペンシルベニア大学などの研究チームが突きとめた。

この細胞変化を促す薬が開発できれば、
薄毛の新たな治療法になる可能性がある。
米医学誌に発表。

毛が生える際、頭皮にある「幹細胞」が別の「前駆細胞」に変わり、
それが「毛母細胞」、「角化細胞」などに変化して毛髪を生む。

研究チームは、体質的に薄毛の男性型脱毛症患者54人(40-65歳)の
頭皮を採取し、細胞の種類と数を調べた。

薄毛部分と毛が生えた部分を比べたところ、
幹細胞の数はほとんど同じだった。
前駆細胞の数は、薄毛部分で10分の1に減っていた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/12/130810/

731部隊:遺構保存、中国・ハルビンで本格化 医学悪用、負の「世界遺産」目指す

(毎日 1月11日)

「史上最大規模の細菌兵器工場」とされる旧日本軍「731部隊」。
本部があった中国ハルビン市で、当時を伝える遺構の保存活動が
今年、本格化する。

活動するメンバーらは、医学や科学が悪用された「負の遺産」として、
アウシュビッツ強制収容所(ポーランド)や原爆ドーム(広島)と並ぶ
「世界遺産」への登録を目指している。

活動を率いるハルビン市社会科学院の金成民731研究所長が、
今年から6年かけて取り組む保護計画を明らかに。

計画によると、同市郊外の本部棟や衛兵所、
細菌を拡散させるためのネズミ飼育室、死体焼却炉、凍傷実験室など
7地区計37万7000平方メートル(東京ドーム約8個分)を
史跡として整備する。

旧日本軍戦犯の供述を刻んだ「証言碑」や、
日中交流を進める「平和友好の森」も設ける。

◆荒廃進み開発も

部隊は、第二次大戦の終戦直前、証拠隠滅のため主な施設を破壊。
残った施設も戦後、工場や学校として使われたり荒廃が進んだ。

81年、作家の森村誠一さんが、部隊の行為を告発した
ノンフィクション「悪魔の飽食」を出版。

それを機に、現地で保存の機運が高まり、中央政府は06年、
一帯を「重点保護区」に指定。

保護区内には、ショッピングセンターやマンションの建設計画が相次ぎ、
地中から見つかった毒ガスなどの遺棄兵器による健康被害も問題。

金所長によると、09~10年、保存の動きが進展した。
本部棟の一角にあった中学校や民家288戸が移転。
1500平方メートルの地下貯水池が見つかり、
他の地下施設とともに公開される見通し。

解剖室などの重要施設は既に失われ、毒ガス発生室や
細菌弾組み立て保管室は工場、市街地にある将校宿舎などは
今も店舗や住宅として使われている。

史跡として整備するには、今後数年かけてこれらの退去を促すほか、
景観を損なうビル6棟の撤去も必要。

◆人類への警告

金所長は、遺構の価値として、
(1)細菌戦争の発祥の地、
(2)人類に幸福をもたらす医学と科学が、目的に背いた野蛮な歴史の記録、
(3)旧日本軍の侵略と証拠隠滅の物証、
(4)人類に警告を発し、戦争を反省させる最も説得力のある例証--
など6項目。

「遺構はハルビンにあるが、全世界の所有物。
残酷な歴史が人類に残した特殊な資産。
保存は、ハルビン市民の責任であり、全世界の平和を愛する
人々の問題でもある」

日本政府への要望として、「保存に参加し、史跡として利用を進めるなら、
世界平和への大きな貢献になる」と、「責任」という言葉を慎重に避けた。

昨年11月、東京都内で開かれたシンポジウムでは、
初来日した犠牲者の遺族、李鳳琴さん(69)が、
「殺された父は普通の庶民だった。
軍国主義が滅び、日本が大きな変化を遂げた今、
日本政府にはきちんと謝罪してほしい」と訴えた。

「悪魔の飽食」を書いた森村さんも、
「(軍事力を背景に覇権主義を強める)今の中国は、
かつての日本に似ている。
我が国が行った戦争犯罪、人間性の喪失を隣国に繰り返させてはいけない」、
中国で保存活動を進める意義を強調。

◆医学界も取り組み

ヒトラー政権によるユダヤ人迫害が行われたドイツでは88年、
ベルリン医師会が医師の責任を認め、行為を謝罪する声明。

日本の研究グループ「15年戦争と日本の医学医療研究会」幹事長の
刈田啓史郎・元東北大教授(生理学)は、
「日本の医学界はまだ道半ば」
全国の医師らが09年、「戦争と医の倫理の検証を進める会」を設立。
今年4月9日、日本医学会総会に合わせ、国際シンポジウムを東京大で開く。

刈田さんは、「戦後65年以上たって、まだ総括ができていないのは残念だが、
医学教育の場で、731部隊の行為を教える例も出始め、
これからの若い医師に期待している」
==============
◇731部隊

中国東北部(旧満州)を支配した関東軍の細菌戦部隊
「防疫給水部」の別称。
1933年に前身が活動開始。
ハルビン郊外の本部に軍医ら約3000人が勤務、
南京などに4支部があった。

ペスト菌などの細菌兵器や毒ガスを開発、連行した中国人らに
人体実験を行い、犠牲者は3000人以上。
感染実験の後、凍傷や銃弾貫通実験を行うなど、
死亡するまで「効率的に」次々と実験を重ねるなど残酷で、
多くの研究者も参加。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/01/11/20110111ddm016040002000c.html

2011年1月17日月曜日

「我慢」の時には活発に セロトニン出す脳の細胞

(2011年1月12日 共同通信社)

欲しい物を得るために我慢している時には、
睡眠や精神活動に関係する脳内物質「セロトニン」を出す
神経細胞の働きが活発になっていることを、
沖縄科学技術研究基盤整備機構のグループがラットの実験で突き止め、
12日付の米科学誌(ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス)に発表。

複雑な心の動きを制御するメカニズムの解明につながる成果。
衝動的な行動を伴う精神疾患の診断や治療、
人間により近いロボットの開発などに応用が期待。

欲しい時に、すぐに出てくる少量の餌か、
しばらく待って出てくる大量の餌のどちらかをラットに選ばせる
過去の研究では、脳内のセロトニンの量が少ないラットは、
すぐに出てくる方をより好むことが示されている。

同機構のグループはこれを踏まえ、セロトニンを出す神経細胞が
集中するラットの中脳の部位に電極を固定。
餌を待っている時の神経活動を記録したところ、
神経細胞がセロトニンを出す頻度は通常の3倍程度にまでなった。

待ちきれずに餌を食べるのを諦める時は、
その直前に、セロトニンを出す頻度が待ち続ける場合の
半分以下になっていることも分かった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/12/130822/

研究者:大丈夫?ニッポンの科学技術 注目論文が減少 人件費圧縮、若手減・非常勤増

(毎日 1月7日)

研究者総数が増える一方、若手は逆に減り女性の比率も伸びず、
世界に注目される論文も減っている--。

政府の総合科学技術会議(議長=菅直人首相)は、
国立大や研究機関などの研究者の現状を分析した報告書。
経費削減から、若手研究者では非常勤が増えるなど、
「非正規雇用」化が進んでおり、厳しい研究現場の実態が浮かんだ。

国立大や研究を行う独立行政法人(研究独法)など
計123団体を対象に、09年度までの活動状況を調べた。

その結果、研究者総数は国立大が約6万人で08年度に比べ0・4%、
研究独法は約1万人で4年間に6%増えた一方、
37歳以下の若手教員数は国立大で4年間に8・7%減、
研究独法でも若手研究者は2・7%減。

研究独法では、任期制限のない常勤職が22%減、非常勤が52%増加。
国立大でも、同様に非常勤を増やして教員の人件費を圧縮する傾向。

女性研究者の比率は、国立大が12・6%、研究独法が11%、
現行の第3期科学技術基本計画(06~10年度)の
目標値25%に及ばなかった。

研究成果では、引用回数が上位10%に入る注目度の高い論文の
世界シェアが、国立大では01~03年の3・3%から05~07年に2・8%に減少。
特に、日本の得意分野とされる半導体や合金類などを扱う
材料科学は、6・2%から3・9%に急減、
計算機や環境科学など、次世代の注目分野でも伸び悩んでいる。

報告書は、「(新興国の発展で)国際競争が激化する中、
独創性や多様性に富んだ基礎研究の抜本的強化を図るべき」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/01/07/20110107ddm012040002000c.html

2011年1月16日日曜日

お口ポカン要注意 フィルター・加湿機能持つ鼻、病気や虫歯の恐れ

(2011年1月9日 毎日新聞社)

電車の中などで、口を開きっ放しにしている子どもを見かける。
人間は、一般的に鼻で呼吸する。
口呼吸が癖になると、細菌などを取り込みやすくなり、
病気にかかるリスクが増え、歯の成長にも影響。
インフルエンザや花粉が気になる季節に、
子どもの「お口ポカン」問題を考えてみた。

神戸市内の主婦(35)は、4歳になる長男が、生後半年ごろから
日常的に口を開いていることが気がかり。
「たまに閉じることもあるが、寝ている時も含めていつも開いている」、
歯がいつもむき出しになっているので、転倒した際に前歯が欠けたことも。
口を開ける癖がない長女(7)に比べ、虫歯になりやすく、すでに5本治療。
「口を閉じようね」と促しても、すぐに忘れて口を開けてしまう。
「健康にも悪そうなので、すぐに直したい。どうすればいいのか」と
医師を受診したことも。

「恒常的に口呼吸してるなら、早めに耳鼻咽喉科の診察を受けてほしい」。
千葉大大学院医学研究院の岡本美孝教授(耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学)。
口呼吸が長引けば、「のどの炎症や睡眠障害など、
さまざまな病気を招く恐れがある」

鼻の内部には、左右それぞれに複雑な形をした三つの突起があり、
表面の粘膜や繊毛で、ホコリや微生物などの異物を取り除く働きがある。
のどを痛めないように、外部の乾いた空気に湿り気を与え、
温めてから体内に取り込む加湿や加熱の機能もある。
鼻は、においを感じる機能だけでなく、体内に異物が入るのを防ぐ
フィルターの役目を果たしている。

岡本教授によると、子どもが口呼吸する原因として、
アレルギー性鼻炎などによる鼻づまりのほか、鼻の奥にある
「アデノイド」の肥大などが考えられる。
アデノイドは、微生物に対する免疫力を作るリンパ組織の一種、
通常は3~4歳をピークに一時的に大きくなるが、その後は小さくなる。
炎症などによって腫れてしまうと、鼻呼吸をしづらくなり、
いつの間にか口呼吸が習慣化する場合。

乳児用品メーカー「ピジョン」などが01~02年、
2~23歳までの約1000人を対象に普段、口が閉じているかどうかを
聞いたところ、「閉じる習慣がついている」と答えた保護者や本人は39%。
「いつも開いている」と答えた人は22%、
3歳以下では29%と最も多く、13歳以上でも15%。

口呼吸は、歯の成長にも影響を与える。
ひかり歯科医院の三谷寧院長(歯学博士)は、
「口を開けたままにしておくと、唇や舌の位置が定まらず、
歯並びも悪くなる恐れがある」

歯並びをよくするため、
(1)唇を結ぶ、
(2)上下の歯を軽く閉じている、
(3)舌は上あご部分に触れる位置に落ち着いている――
の三つの習慣を身につけることが重要。

三谷院長は、「歯やあごなど、顔面の成長が著しい3歳ぐらいまでに、
習慣付けてほしい」

口呼吸は、虫歯になるリスクも高い。
三谷院長は、「口を開いたままだと、口内が乾いて、
唾液の循環が悪くなり、歯を溶かす細菌が増えやすくなる」
歯を守るためにも、早めに鼻呼吸を定着させたい。

◇口笛、鼻歌で改善

茨城県日立保健所は、独自の「お口ポカン度チェック」で、
保護者に指導を行っている。
一つでも思い当たれば、口呼吸が習慣になっている可能性が。
口を閉じる癖をつけさせる遊びなども勧めている。
同保健所の担当者は、「口笛など遊びを通して、
鼻呼吸を習慣化させてほしい」
………………………………………………………………
◆「お口ポカン度チェック」

・テレビを見ている時などに口が開いていないか?
・のどがよく渇かないか?
・口から歯や舌が見えていないか?
・食事の際、くちゃくちゃ音をさせていないか?
・歯ぐきが赤く腫れていないか?

◆口を閉じる習慣を身につけるには

・口の中に空気を入れほおを膨らませる
・にらめっこ
・ハミング(鼻歌)
・口笛を練習する

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/11/130708/

インタビュー・環境戦略を語る:ニコン・苅谷道郎会長

(毎日 1月10日)

ニコンは、有害物質である鉛とヒ素を含まない光学ガラス
「エコガラス」の開発や、環境負荷の少ない部品を選んで調達する
「グリーン調達」などに取り組んでいる。
苅谷道郎会長に、環境戦略を聞いた。

--70年、公害対策委員会を設置するなど、
早くから環境問題に取り組んでいる。

◆カメラや顕微鏡の生産には、六価クロムや水銀などの化学物質を使う。
環境保全や有害物質削減は、化学物質を扱う企業として当然の責任。
71年、光学ガラスを生産する相模原工場を新設する際、
相模川の水源地帯を守ろうと、大規模な公害処理装置を取り付け、
窒素酸化物を排出しないようにした。
当時から、環境保全がニコンのため、地球のためになるとの意識が
非常に強かった。
その後も「エコガラス」の開発・生産や、環境に関する国際標準規格
「ISO14001」取得などに取り組んでいる。

--その他、どのような取り組みを進めているか?

◆毎年、省エネ、有害物質対策などテーマごとに目標を定め、
達成できたかどうかも社内外に公表。
09年度、新製品の消費電力効率を従来製品比で30%向上させることは
達成したが、国内物流のCO2排出量06年度比15%以上削減は
達成できなかった。

掲げた目標は、ニコンと社会とのお約束。
未達成の場合、失敗の原因を検証させ、新たな目標を設ける。
10年度は、国内生産会社で廃棄物05年度比23%削減などの
目標を掲げた。
毎年、目標を見直し改良を続けるのは手間がかかるが、
社員は、「今できることをきちんとやろう」と取り組んでいる。

--子供向けの啓発活動にも熱心。

◆持続的な環境保全には、子供のころからの意識付けも欠かせない。
09年度、財団法人「日本自然保護協会」と協力し、
富士山などの生物多様性をカルタ形式で遊びながら学べる
「いきものカルタ」や、群馬県みなかみ町の「赤谷の森」の
動植物の生態を紹介する「赤谷ノート」を発行。

どちらも全国の小中学校に配布し、「写真が豊富でわかりやすい」と好評。
国連環境計画などと共催で、
「国連子供環境ポスター原画コンテスト」も開催。

--今後は何に取り組むか?

◆ニコンは、液晶テレビ製造装置も生産、
ブラウン管テレビに比べ、液晶テレビの消費電力は4分の1程度との試算。
テレビメーカーなどの努力の結果だが、
我々の製品が消費電力削減に貢献できているのは社員の誇り。
今後も生産から廃棄まで、あらゆる場面で環境に貢献できるよう、
まじめに誠実に取り組んでいく。
==============
◇かりや・みちお

横浜国立大学大学院工学研究科修了。
1967年日本光学工業(現ニコン)入社。
専務、副社長を経て05年に社長。2010年6月から現職。
神奈川県出身。69歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/01/10/20110110ddm008020007000c.html