2011年1月22日土曜日

ドライアイ、新しい型「BUT短縮型」 涙と違う原因、目の肌荒れ状態に

(2011年1月14日 毎日新聞社)

空気が乾燥する冬、目が充血しやすくなったり、
目に痛みを感じたりしている人は、ドライアイが原因かも。
最近、涙の量が少ないなどといった従来のドライアイの概念に
当てはまりにくい、新しいタイプの
「BUT(涙液層破壊時間)短縮型ドライアイ」が注目。

京都府立医科大付属病院を訪れたエステティシャンの女性は、
「2、3年前から、まぶしくて目を開けていられないときがある」、
横井則彦准教授(眼科学)に訴えた。

従来のドライアイは、涙の量が少ない「涙液減少型」か、
涙の表面の油分が不足して蒸発が早まる「蒸発亢進型」に大別。

この女性は、涙の量にも油分にも問題はなかったが、
まばたきをした瞬間から、角膜の表面の涙の層が安定せず、
すぐに乾いた部分(ドライスポット)が現れた。
横井准教授は、「BUT短縮型ドライアイ」と診断。

「黒目(角膜)の表面の水ぬれが悪く、涙をはじいてしまう。
いわば、目の肌荒れのような状態」

涙の量は十分あるため、ドライアイの診断基準にあるように、
目の表面にあまり傷ができず、ドライアイと診断されないことが多い。
角膜の表面には、「膜型ムチン」という分子が突起のように分布し、
涙の中にも含まれるムチンと協力して、角膜の細胞と水(涙)との
相性をよくする働き。

BUT短縮型ドライアイは、この膜型ムチンの働きが悪くなっている
考えられるが、詳しい原因はよく分かっていない。
横井准教授は、「約80人の患者を調べたが、はっきりした傾向はなかった。
ある日、突然発症したケースも多い」

BUT短縮型ドライアイは、目の細胞に原因があると考えられ、
涙の異常に起因する従来のドライアイの治療法では、
なかなか症状が改善しない。

参天製薬は10年12月、水分と同時にムチンの分泌を増やす
働きのある新しいタイプの点眼薬を発売。

臨床試験では、涙液層の破壊時間が延びることが確認、
治療薬として期待。

国内のドライアイ人口は、800万~2200万人と推定。
まばたきの回数が減るパソコンでの作業の多い人や、
コンタクトレンズ使用者に多い。
コンタクトレンズメーカーのボシュロム・ジャパンの調べでは、
コンタクトレンズ使用者では、半数がドライアイの自覚症状がある。

横井准教授らの実験では、ソフトコンタクトレンズの使用者は、
秋に相当する気温15度、相対湿度20%で目の乾燥感を持ち始め、
冬を想定した気温5度、相対湿度10%の環境下では、
乾燥感が増すことが分かった。

湿度の低下よりも、温度の低下の影響の方が大きく、
風があると、さらに乾燥感が強まることも明らかに。

「コンタクトレンズを装着するだけで、涙の分布は変わる。
レンズの表面の涙は、薄く安定しないため乾きやすく、
黒目に隣接する白目の部分がレンズとこすれて乾燥感を生む」

「コンタクトレンズ使用者は、乾燥やエアコンの風などの環境に
一層気を使う方がよい。
室内に洗濯物を干すだけでもかなり違う」とアドバイス。
親水性の高いレンズ消毒液を選ぶのもよい。

特に若い女性は、アイメークがドライアイの原因になることもあり要注意。
涙の表面を覆う油分は、まぶたの縁にある「マイボーム腺」の
出口から分泌される。
化粧品や汚れがここにたまると、涙の油分が減って蒸発しやすくなる。
二重まぶたにするための化粧品は、使い方によっては、
まばたきがスムーズにできなくなり、目が乾きやすくなることがある。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/14/130953/

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