2008年6月7日土曜日

地域運営校3年で20倍 本県指定は8校

(岩手日報 6月2日)

保護者や地域住民の代表が学校運営協議会を構成し、
学校の運営に直接参加する
「コミュニティースクール(地域運営学校)」の指定を、
教育委員会から受けた公立の小中高校や幼稚園などは
2007年度末で343校となり、
制度が創設された04年度の17校から3年で約20倍に。
本年度以降、さらに210校が指定を受ける予定。

不登校やいじめなどの問題に、
学校だけでは対応できなくなっており、
保護者や地域の参加が求められている。
指定は増えているが、全国的にはばらつきが大きく、
文科省は「開かれた学校運営が広まるよう、
各教委に理解を深めてもらえる努力をしたい」。
指定を受けた学校のうち、小学校は243校で全体の約7割を占め、
中学校が約2割の76校。高校はわずか3校、幼稚園は17園、
特別支援学校は4校。

コミュニティースクールがあるのは29都府県。
三重、高知の2県と横浜市など63市区町村の教委が指定。
最多は、110校の京都市教委。市立校の約3分の1。
次いで島根県出雲市教委の49校、岡山市教委の35校、
東京都世田谷区教委の22校。

コミュニティースクールに指定された学校では、
▽人事異動に伴う教員公募の採用面接に協議会の代表者が参加
▽教員志望の学生やボランティアによる授業支援
▽学校と地域の橋渡し役となる「学校教育コーディネーター」の配置、
さまざまな取り組みが実現。

学校運営に積極的にかかわる人材の確保が難しいことや、
いじめや不登校などの問題に対する認識が校長と食い違うと
協議会の提案が取り上げられにくいなど、
運営上の課題も報告。

本県のコミュニティースクール指定校は、
岩泉町の岩泉小、小本小、岩泉中、小本中、宮古市の茂市小、
蟇目小、刈屋小、和井内小の8校。
宮古市の4小学校は、2008年度推進事業の調査研究校。

◆学校運営協議会
保護者や住民の意見を反映させながら、地域ぐるみで支える
学校づくりを進めることを目的に、2004年9月から導入。
協議会は、授業の編成など校長が作成する学校運営の基本方針を
承認したり、教員人事について教育委員会に意見を述べたりする権限。
各教委が定めた手続きや要件を基に、
指定を受けた学校は「コミュニティースクール」、「地域運営学校」。
対象は公立の幼稚園、小中高校、中等教育学校、特別支援学校で、
協議会の委員選出方法も公募や推薦、任命など地域によりさまざま。

特集:きょう世界環境デー(その2止) 生物多様性も危機に

(毎日 6月5日)

地球上の生物は、開発や気候変動の影響で、毎年4万種が絶滅。
絶滅を防ぐため、さまざまな取り組みが進められているが、
効果は上がっているといえない。
生物多様性の保全も、国際的な問題。

生物多様性は、生物の遺伝子、種のほか生態系も含み、
地球上の生物の多様さと、自然の営みの豊かさを指す概念。
単に動植物の種類の多さだけでなく、数十億年の長い歳月をかけて、
地球上に形成された生物の長い歴史と相互のつながりをも意味。

我々の生活は、生物多様性を利用することによって支えられている。
食糧のほか、産業などに必要な原料の提供を受けている。
生物の多様性が失われることは、私たちの生存そのものが脅かされる。

だが、生物多様性への脅威は増すばかり。
野生生物の大量捕獲と耕作地の拡大が始まったこの数百年で、
人間は種の絶滅をそれまでの1000倍に加速。
07年版IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストには、
1万6306種が「絶滅危惧種」。

森林は、豊かな生物多様性を持つ熱帯雨林を中心に、
日本の国土の約3分の1にあたる年間1400万ヘクタールが減少。
海では、20世紀末の数十年間で世界のサンゴ礁の約2割が失われ、
さらに2割が劣化。
水産資源の4分の1の魚種は、乱獲により著しく枯渇。

地球温暖化による影響も、今後加速すると予想。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書は、
地球の平均気温が1・5~2・5度を超えた場合、
これまでに評価対象となった動物種の約2~3割は
絶滅のリスクが高まる可能性が高い。
サンゴ礁については、約1~3度の海面温度の上昇で、
白化や広範囲な死滅が頻発すると推測。

このような現状に歯止めをかけるため、
「生物多様性条約」が92年、ブラジルで開かれた地球環境サミットで
気候変動枠組み条約とともに採択。
両条約は「兄弟のような関係」にあり、02年にオランダであった
第6回生物多様性条約締約国会議(COP6)で
「2010年までに達成すべきこととして、
生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」との目標。

しかし、多様性の損失速度は止まっていない。
神戸市で開かれた主要8カ国(G8)環境相会合では、
2010年目標への各国の取り組みを強めることを確認。
次の条約締約国会議(COP10)は、日本の名古屋市。
主な議題として、目標達成の検証と新たな目標の設定や、
生物資源をめぐる先進国と途上国間の格差是正など。

国内では、多様な生き物を守り、自然と共生する社会の実現を目指す
「生物多様性基本法」が成立。
開発計画の立案段階から環境影響評価(アセスメント)を実施する
「戦略的環境アセスメント」や、影響が科学的に不確かな場合でも
予防的な対策を求める「予防原則」の規定。

同法は、国土や自然資源の利用を「生物多様性に及ぼす影響が
回避され、最小となる」方法に限ることを原則に掲げた。

◇危機の「ホットスポット」34地域 保全、貧困対策にも

環境NGO「コンサベーション・インターナショナル」(CI)は、
最も生物多様性が豊かでありながら、同時に危機に直面している
世界の34カ所を「生物多様性ホットスポット」として選定、
その保全に取り組んでいる。

CIジャパンの日比保史代表に、
生物多様性保全の重要性と日本の果たす役割について聞いた。

生物多様性が、主要8カ国(G8)首脳会議で取り上げられるなど、
その重要性が高まっているのは、多様な生き物がつくる豊かで
健康な生態系が、経済や産業を根底から支えている。

生物多様性は、さまざまなサービスや財を我々に提供する。
例えば、多くの動植物が生息する熱帯林。
ここから難病の特効薬がいくつも発見された。
エコツーリズムで人に憩いを与え、二酸化炭素(CO2)の吸収源。

ホットスポットは、地球の表面積のうち2・3%の広さの地域に過ぎないが、
ここに最も絶滅が危惧されている哺乳類、鳥類、両生類の75%が生息。
そのほとんどが途上国に位置。

途上国では、人々が生きるために生物資源に直接依存。
焼き畑や、まきを得るために木を切るなどの森林破壊によって、
結果として二酸化炭素排出が増える。
生物多様性の破壊は、途上国の貧困問題と表裏一体の問題。
ホットスポットを保全することは、
生物多様性と貧困問題の両方の解決の有力な戦略。

日本で生物多様性というと、国内の自然保護に目が向けられがち。
日本列島全体もホットスポットであり、その保全はもちろん重要。
だが、日本は農産物や工業製品の原材料の多くを海外に依存、
それが海外の生態系に与える影響をもっと考えるべき。

北海道洞爺湖サミットを経て、2010年のCOP10へと
生物多様性にとって重要な時期。
地球全体の生物多様性に、これだけ便益を受けている国として
何をやるべきか、市民も行政もグローバルな視点が求められている。
==============
◆生物多様性条約締約国会議の歩み
1992年 地球環境サミットで、条約採択
  93年 条約発効。日本も署名・批准
  94年 バハマで第1回条約締約国会議(COP1)開催
2000年 遺伝子組み換え生物の輸出入規制、カルタヘナ議定書を採択
  02年 COP6で、生物多様性の損失速度を2010年までに減少目標
  08年 ドイツ・ボンでCOP9
  10年 名古屋市でCOP10が開催予定

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/06/05/20080605ddm010040204000c.html

特集:きょう世界環境デー(その1) 正念場、温暖化対策

(毎日 6月5日)

1972年6月5日。
スウェーデン・ストックホルムで、国連は初めて環境をテーマにした
大規模な会議「国連人間環境会議」を開催。
それから30年以上がたった現在、
地球規模の環境問題は人類にとってますます重みを増している。
「地球温暖化」と「生物多様性」について、現状と課題をまとめた。

◇各国合意へ努力

二酸化炭素(CO2)など、温室効果ガスの排出削減を定めた
京都議定書の締結から10年余。
地球温暖化の加速ぶりが報告される中、
人類はこれからどう立ち向かうのか?

利害対立を超えて、各国が対策の共同作業に合意すべく、
今年から来年にかけての2年間は正念場。

昨年は、地球温暖化問題が進展する重要な節目の1年。
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、第4次報告書を発表。
「温暖化は、人間活動が招いた可能性はかなり高い」と結論づけ、
熱波や洪水などの被害の増大を予告、対策次第で軽減できると強調し、
「今後20~30年間の努力がカギだ」。

温暖化への警鐘を理由に、昨年のノーベル平和賞は
IPCCとゴア米元副大統領が受賞。
潘基文(バンギムン)国連事務総長も、地域紛争など平和や貧困問題の
背景に温暖化があるとして、「人類が直面する最大の課題だ」。

温暖化防止バリ会議では、京都議定書で定めのない2013年以降の
温室効果ガス削減の新たな国際枠組みづくりを、
09年末までに行うとする「バリ・ロードマップ」の合意が成立。

産業革命以後、化石燃料を使い続けてきた先進国は、
特に温暖化の「主犯格」として、対策を率先することが求められる。
サミットでは、89年の仏アルシュで地球温暖化が主題となり、
90年ヒューストンで「気候変動に関する枠組み条約を2年間でつくる」。
条約は92年に実現化し、97年の京都議定書を生んだ。

しかし、米国は議定書を離脱。
条約が定める先進国の途上国支援は進んでおらず、
議定書に基づく削減の第1約束期間(08~12年)も始まったばかり。

05年英グレンイーグルズ・サミットでは、
温暖化対策で利害対立する先進国と途上国の対話の場を作り、
07年独ハイリゲンダム・サミットでは、
50年までに世界の総排出量を少なくとも半減する長期目標を
「真剣に検討する」ことで合意。

今年7月の北海道洞爺湖サミットは、
来年末までの枠組みづくりに拍車をかける提案や
合意形成の努力が求められている。

◇温室ガス70%減も可能--環境研試算

温室効果ガスの世界の排出量を、2050年までに半減させるには、
先進国は60~80%の大幅削減が不可避。
国立環境研究所などの研究チームは、
経済や生活を損なうことなく「70%削減は可能」と分析。
「ドラえもん型(シナリオA)」と「サツキとメイ型(シナリオB)」の
二つの未来像を示している。

将来のエネルギー需要などをシナリオ別に推計し、
必要な対策を逆算する「バックキャスティング」という方法で、
実現可能性や費用を算定。

「ドラえもん型」は、経済発展や技術志向が強い未来像。
人口は大都市に集中し、技術の進歩は早く、規制緩和で
人やモノが国境を越えて行き来する、活発で回転の速い社会。
温室効果ガスの排出量は増えるが、
▽生産設備の大幅な省エネルギー化、
▽高断熱・オール電化住宅の普及、
▽電力貯蔵による夜間電力の有効利用、
▽火力発電所・工場から出る二酸化炭素の地下貯留技術の開発
などで、1990年比で2050年に70%減は可能と試算。

「となりのトトロ」の主人公から名付けられた「サツキとメイ型」は、
地域重視や自然志向が強まると想定。
地方への人口回帰が進み、農林水産業が復権、労働時間は短縮し、
スローでゆったりした社会。
物質的豊かさからの脱却で製品需要が鈍るほか、
歩いて暮らせるコンパクトな街づくりが進み、ガス排出量は減る。
暖房器具や自動車へのバイオマス(家畜のふんや木くず、生ごみなど
有機性資源)活用、太陽熱温水器の普及促進で、
こちらも70%減は可能。

実現のためには、ドラえもん型では年間1・1兆~2兆円、
サツキとメイ型でも8000億~1・9兆円の追加費用がかかると試算。
「産業構造の転換やインフラ設備投資を進めてゆけば、
低炭素社会は不可能ではない。
可能性を現実のものにするには、政府の強い指導力が必要」。

◇省エネ技術、日本がサミットをリードする好機

--日本経団連・自然保護協議会、大久保尚武会長

日本経団連の大久保尚武・自然保護協議会会長は、
「温室効果ガスの削減と生物多様性の維持が車の両輪になる」。
「北海道洞爺湖サミットは、高い省エネ技術を持つ日本が
リーダーシップをとる絶好の機会」、
日本が環境問題で指導力を発揮するよう促した。

経団連は、92年に自然保護基金と基金の運営協議会
(自然保護協議会の前身)を設立。
会員企業などから支援金を募り、アジア太平洋地域などで
植林や生物保護活動をしている非政府組織(NGO)に対し、
07年度末までに計約800件、24億円を支援。

大久保会長は、「生物のすむ環境自体を保全することが一番大事」。
温室効果ガスの削減問題では、
「主要排出国すべてが参加することがカギであり、
ガス排出を抑える技術開発をどう進めるかをサミットで議論してほしい」。

経団連は、97年に環境自主行動計画を策定し、
産業ごとに温室効果ガス排出量削減などの取り組み。
「国民生活の中で、ガス排出をどう抑えるかも世界的な課題」、
環境教育が重要になる。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/06/05/20080605ddm010040202000c.html

2008年6月6日金曜日

細胞の運命決めるスイッチ 理研が遺伝子発見

(共同通信社 2008年5月30日)

受精卵が成長して神経や皮膚などがつくられる際に、
もとになる細胞の運命を決めるスイッチの役目を果たしている遺伝子を、
理化学研究所発生・再生科学総合研究センターが発見、
米科学誌セルに発表。

人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)を用いた
再生医療に応用できる成果。
笹井芳樹グループディレクターは、
「万能細胞から狙った組織を効率良くつくるのに役立ちそうだ」。

アフリカツメガエルを使って、約2万種類の遺伝子を解析。
受精卵が細胞分裂すると最初にでき、神経や皮膚に成長する
外胚葉と呼ばれる部分で、XFDLという遺伝子が働くのを発見。
XFDLが働かないと外胚葉ができず、正常に発育しなかった。

笹井ディレクターは、「マウスや人にも似た遺伝子がある。
うまく制御すれば、ES細胞から99%の効率で神経細胞を
つくることが可能かもしれない」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=73985

今夏から「平泉授業」 県内小、中、高校

(岩手日報 5月28日)

達増知事と県教委は今夏以降、「平泉の文化遺産」をテーマに
県内の小、中、高校で「平泉授業」を展開。
世界遺産登録を目指す「平泉」は、国際記念物遺跡会議(イコモス)から
「登録延期」勧告を受け、文化庁や県などは7月の本審査での
「逆転登録」に全力を挙げている。

勧告内容や登録可否にかかわらず、平泉の価値は不変との認識のもと、
岩手の将来を担う子どもたちに平泉の意義を説く。

平泉授業は、県内の児童・生徒たちが平泉文化を理解し、
馬や鉄、金などを通じて自分たちの地域が、
どのように平泉とかかわりがあるかを知ってもらう契機とするのが目的。
いわば「地元学の子ども版」。

2008年度は達増知事が計4回、県教委の文化財担当者が計16回を予定。
早ければ7月からスタート。
県教委は現在、公立、私立を含む県内の小、中、高校全732校を対象に
意向調査を進めており、応募多数の場合は抽選で実施校を決める。

県教委は、07年度に「平泉文化」を題材にしたガイドブックを作製、
県内の小学4、5年生に配布。
08年度は、平泉授業を見据え増刷分の経費として
252万円を08年度当初予算に計上。

平泉の文化遺産は、イコモスから「登録延期」勧告を受け、
外務省や文化庁が県や県教委、平泉など地元市町と連携して
7月の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会での
「逆転登録」に向け、全力を挙げている。

達増知事は、「縄文時代から息づいてきた『人と人、人と自然との共生』
という風土は、平泉で花開いた。
平泉を理解することは、岩手を理解することにつながる。
世界遺産登録の可否にかかわらず、平泉の意義を広く子どもたちに伝えたい」。

県教委生涯学習文化課の南敏幸特命課長(平泉世界遺産)は、
「授業を通じて、岩手の子どもたちが平泉の歴史を調べたり、
現地を訪れて自主研修を行うきっかけづくりをしたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080528_3

「福学連携」でパン製造 花巻の授産施設と岩手大

(岩手日報 5月28日)

花巻市湯口の知的障害者通所授産施設
こぶし苑(増子義久園長)は来年4月から、岩手大と連携し、
雑穀を原料とするパンの製造販売を始める。
同大の福祉施設との「福学連携」は初の試み。

施設利用者の障害特性に基づいた役割分担モデルなどを研究。
障害者の就労支援や、地域経済への参画に効果が期待。
こぶし苑の経営主体・社会福祉法人花巻ふれあいの里福祉会
(三田望理事長)と岩手大で共同研究契約を締結。
こぶし苑の利用者は36人。
1月には雑穀かりんとうを発売し、雑穀パンについても構想を温めてきた。

研究を担当する同大教育学部の名古屋恒彦教授は、
作業工程の分析や改善策を検証。
販売には、一般企業と同様のマーケティング手法を導入するなど、
利用者の工賃向上に向けた実践的内容も含まれる。

研究期間は2010年2月までを予定。
名古屋教授は、「地域の経済活動の中に、施設利用者が主役となる
仕事を位置づけたい」。

商品開発には、雑穀を研究している西沢直行元岩手大農学部教授が協力。
今年中に工房や機械を敷地内に設置。
販売はインターネットなどを考えている。

研究は、花巻市の企業競争力強化支援事業にも採択され、
研究費11万円の半額が補助の対象。
増子園長は、「ソフト面で岩手大の力を借り、
利用者の工賃向上と能力開発につなげていきたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080528_7

16年夏季五輪:東京1次通過 大都市に有利な傾向 実質「招致」これから

(毎日 6月5日)

16年夏季五輪の開催権を争う都市は東京、シカゴ(米国)、
マドリード(スペイン)、リオデジャネイロ(ブラジル)の4都市。
「第1次選考」方式は、99年に決まり、
08年夏季五輪の開催都市を決める時から採用。

98~99年に、立候補都市がIOC委員への投票依頼を目的として、
過剰な便宜供与を行うなどのスキャンダルが発覚。
その後、IOCの浄化を目指した改革の一環として、
一定の開催能力を持つと評価された都市だけに
正式な立候補を認める方式が導入。
08年五輪(北京に決定)では10都市から5都市、
12年五輪(ロンドンに決定)では9都市から5都市と、
1次選考段階で、ほぼ半数に絞られている。

1次選考では、都市機能の充実ぶりなどが重視、大都市に有利な傾向。
これからが実質的な「招致争い」になるが、
東京にとっては同じアジアのドーハが外れたことで、
同大陸内での争いが避けられたのはメリット。

立候補を正式承認された都市は、来年10月のIOC総会での投票に向け、
IOC委員への便宜供与などを伴わない範囲で、
世界的なPR活動が許される。
一方で、IOC内に設けられる評価委員会(委員約15人)以外の委員は
立候補都市の訪問が原則禁止、
開催の理念や計画の内容、評価委が来年実施する現地調査の
報告書による評価も、支持の行方を左右。

存在感を積極的にアピールする一方で、
「なぜ、どんな五輪を開きたいか」も示さねばならない。
立候補都市が負うべき課題は多い。

◇日本オリンピック委員会・竹田恒和会長

実際に(通過が)確認できて、ほっとしている。
これで正式にスタートラインに立てた。

◇東京オリンピック招致委員会・河野一郎事務総長

これからが勝負。我々の計画には、いい点がたくさんあると
思っているが、評価を読んで修正したい。
==============
◆16年五輪招致を表明した7都市と主な実施計画◆
◇東京
日本の首都、人口約865万人(23区内)。臨海部など二つの会場群。
31会場のうちメーンスタジアムなど10会場を新設。
半径8キロ以内に大半の会場。ホテルは都心部に約7万5000室。
都民の60%が招致を支持。64年に夏季五輪を開催。
国内で夏季1回、冬季2回の五輪を開催

◇シカゴ
米国第3の都市、人口約280万人。
国内選考でロサンゼルス、サンフランシスコを破った。
ミシガン湖岸を中心に四つの会場群。ホテルは市街地に10万室。
市民の76%が招致を支持。
五輪の開催歴はなく、国内で夏季4回、冬季4回開催

◇マドリード
スペインの首都、人口約313万人。
市街地から半径12キロ以内の二つの会場群に大半の会場。
ホテルは市内に約6万5000室。市民の87%が招致を支持。
12年五輪も招致したが落選。五輪の開催歴はなく、国内で夏季1回を開催

◇リオデジャネイロ
ブラジル第2の港湾都市、人口約610万人。
34会場は四つの会場群に分かれ、半数以上の18会場は既存。
ホテルは市内に約5万室。市民の78%が招致を支持。
南米初の五輪開催を目指す。国内で14年にサッカー・ワールドカップを開催

◇ドーハ
カタールの首都、人口は約37万人。夏は猛暑のため、10月開催を計画。
市内の半径10キロ以内の3つの会場群に大半の会場。
ホテルは市内に約1万8000室で、大幅な新設を計画。
市民の86%が招致を支持。アラブ圏初の五輪開催を目指した。

◇プラハ
チェコの首都、人口約120万人。市内の3つの会場群に大半の会場。
五輪の規格を満たした競技施設は少なく、多くの新設や改修を計画。
ホテルは市内に約2万7000室。市民の50%が招致を支持。
国内で五輪の開催歴はない

◇バクー
アゼルバイジャンの首都、人口約112万人。
市中心部から10キロ以内に大半の会場。
五輪規格を満たす競技施設が少なく、多くの新設や改修を計画。
ホテルは市内に約1万1000室。市民の92%が招致を支持。
国内で五輪の開催歴はない

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2008/06/05/20080605ddm035050066000c.html

2008年6月5日木曜日

森と海、循環関係訴え 一関でシンポジウム

(岩手日報 6月1日)

「森は海の恋人運動」20周年記念シンポジウム
(国際日本文化研究センター主催)が開催。
参加者は、自然の循環や地球環境問題、森と海のつながりに理解を深めた。
約400人が出席。
石田秀輝東北大大学院環境科学研究科教授、加藤忠哉三重大名誉教授、
篠上雄彦新日本製鉄環境部環境リレーションズグループマネジャー、
谷口正次国連大ゼロエミッションフォーラム産業界代表理事が、パネル討議。

4人は、地球全体の自然の循環を視野に入れた考え方に
変革する重要性を指摘。
谷口理事は、「先進国のために、発展途上国の自然を破壊しながら
レアメタル(希少金属)を搾取。都市中心の価値観を変えていくべき」。

石田教授は、「自然は元来、単独で完ぺきな循環をしている。
自然の原理を生かしたライフスタイルを確立しなければならない」。

森は海の恋人植樹祭を始めた「牡蠣の森を慕う会」の
畠山重篤代表が基調講演。
漁師から見た温暖化解決策として、鉄分を植物プランクトンの吸収しやすい
形で海に供給する広葉樹の重要性を指摘。
「植物プランクトンの光合成は、森林と同じ働きをし、
川が注ぐ汽水域にはもう1つの森林があるといえる。
豊富な海藻から、バイオエタノールが採れるという考えもある」。

同植樹祭は、川の上流部に魚介類の栄養につながる広葉樹を
植えることで、豊かな海をはぐくむ取り組み。
今年は1日、同市室根町の矢越山ひこばえの森で行われる。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080601_7

浅草寺本堂、チタン屋根に変身 50年ぶり瓦ふきかえ

(朝日 2008年05月30日)

浅草寺(清水谷孝尚貫首)は、本堂の観音堂の耐震強度を増すため、
屋根瓦を50年ぶりにふき替える。
約7万2千枚といわれる土瓦を、チタン製の瓦にする。
工事は来年2月の節分後から。10年12月までには終える予定。
本堂は、工事塀で囲むが、参拝はできる。

浅草寺は、05年11月の耐震強度偽装事件発覚を受けて
本堂などの強度を調べた。
「わずかだか今の基準では足りない」と診断され、
本堂の一部を鉄筋を入れた壁にするなどして耐震強度を上げた。

これで基準は満たしたが、「多くの人が訪れる場所だけに、
災害に強いものを」とチタン製の瓦を採用。
軽量で強度が高いので、本堂の重心の位置をより低くできる。
本堂の外壁も塗り替えるため、費用は十数億円かかる見込み。
今秋ごろから募金を始める予定。

1649(慶安2)年に再建された本堂は1945(昭和20)年、
東京大空襲で焼失したが、58(昭和33)年10月に再建。
今年10月15日から約1カ月間、50周年の記念開帳が行われる。

本堂の手前にある宝蔵門はすでに昨年、チタン瓦にした。
施工した金属屋根メーカーのカナメ(宇都宮市)によると、
チタン瓦は耐久力があり、酸化にも強く、通常の重さの約10分の1。
寺社にも少しずつ広がっており、
東京では法善寺(北区)や福蔵院(中野区)などが採用。

http://www.asahi.com/culture/update/0530/TKY200805300090.html

ゼブラフィッシュの繊毛のタンパク輸送メカニズムを解明

(nature Asia-Pacific)

大阪バイオサイエンス研究所発生生物学部門 大森義裕研究員

繊毛は、脊椎動物のほとんどの細胞の表面にある
千分の数mmほどの毛で、細胞の外の情報をキャッチする
アンテナとして働くと考えられている。

感覚器や腎臓などの細胞で重要な働きをし、
耳の有毛細胞では音、鼻の嗅細胞ではにおい分子、網膜の視細胞では光、
腎臓の尿管細胞では尿の流量と、細胞のタイプによって
物理的な刺激や化学的な刺激に反応する。

心臓のような臓器の左右非対称性の形成にも、繊毛が関わる。
網膜色素変性症、多指症、腎臓障害、肥満などが起こる、
ヒトのbardet-biedl症候群は、この繊毛の異常と関係。

大阪バイオサイエンス研究所の大森義裕研究員は、
ハーバード大学医学部などとの共同研究で、
熱帯魚の一種であるゼブラフィッシュを使い、
繊毛の形成・機能に必要なタンパクの輸送の仕組みを解析、
elipsaという遺伝子が重要な鍵を握ることを発見。

ゼブラフィッシュは多産で発生が速いため、
マウスに比べて遺伝子解析がスピーディーに行えるというメリット。
大森研究員が2007年まで留学していたハーバード大学医学部では、
十数年前からゼブラフィッシュの遺伝子変異を網羅的に解析する
プロジェクトが始まっており、何千個単位の変異体が発見。

その中に突然変異で背中が曲がり、腎臓が膨れて、
ヒトの多膿疱性腎症と似た状態になるゼブラフィッシュがおり、
大森研究員らは、この変異体では網膜の視細胞が
繊毛の損傷が原因で死滅することを突き止めた。

ゼブラフィッシュだけでなく、ヒトやマウスでも、繊毛の異常が
腎臓や目の障害に関係するという報告が相次ぐ。
大森研究員らが、繊毛の異常を引き起こす遺伝子の特定に
挑んでいたとき、タイミングよく、植物や酵母のように細胞に
繊毛がない生物と鞭毛虫や線虫、ヒトなど細胞に繊毛を持つ生物の
ゲノムの比較から、繊毛に関係すると考えられる遺伝子が
リストアップされたこともあり、研究が加速、elipsaの特定に成功。

elipsaは、ヒト、魚、ハエ、線虫、鞭毛虫などに共通する、
昔から保存されてきた遺伝子。
ゼブラフィッシュで、elipsaが突然変異を起こすと、
耳、目、脊髄、腎臓で繊毛がなくなり、細胞体に根元が残っていることを報告。

大森研究員らは、elipsaは繊毛の形成とも関係すると推測。
elipsaがコードするタンパクが、どんなタンパクと結合するかを調べ、
IFT(intraflageller transport:鞭毛内輸送複合体)や
細胞内小胞輸送の制御因子であるRabのエフェクターRabaptin5に結合し、
複合体を形成することがわかった。

elipsaタンパクは、繊毛の形成や機能に必要なタンパク分子の運び屋。
「繊毛を建物とすると、IFT がエレベーターで、
elipsaタンパクはエレベーターに乗る人(=繊毛に必要なタンパク)を
エレベーターまで案内し、自分もエレベーターに乗って、
降りるべき階まで付いていく。そして用事が済むと降りてくる」。

蛍光標識されたelipsaタンパクが、動く様子は動画で見ることができる。
elipsaタンパクは、エレベータに乗る人と乗らない人を選別しているが、
大森研究員はこの選別を手助けしているのはRabでは。
elipsaやRabの変異によって起こるヒトの病気はまだ報告されていないが、
「elipsaだけでなく、IFTを含めて、この複合体のどこが壊れても
病気になるのではないか」。

繊毛の機能の解析から、ヒトの病気との関連が明らかになり、
治療に結びつくことが期待。

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=100

アフリカ開発会議で支援を訴える国際非政府組織(NGO)「ワールド・ビジョン」のスーザン・ムバヤさん

(共同通信社 2008年5月28日)

「ワールド・ビジョン」のスーザン・ムバヤさん

貧困地域の支援のため訪れたジンバブエのマリマリ地区は、
病気がまん延していた。
病院まで40キロ、誰も医療を受けられない。
苦しむ子供と知り合い約束した。「医者を連れて戻ってくる」。

約2週間後、あらゆる分野の医師を19人も連れて来たが、
その子は2日前に息を引き取っていた。

ジンバブエで生まれ、大学を出て土地改革コンサルタントとなったが、
キリスト教系団体の支援活動に加わり、そうした人々の実際の姿を見て、
「政治の誤りが何をもたらすか理解した。人生が変わった」。

現在は、「ワールド・ビジョン」でアフリカ政策の提言や啓発を担当。
横浜でのアフリカ開発会議(TICAD)出席のため来日。

「世界で死亡する子供の大半は、アフリカ人。
出産時に死ぬ母親の多さも、就学率も最悪。
アフリカにとり経済成長は重要だが、貧富の格差が拡大し、
教育や医療に還元されていない」。
社会構造を変えていくような援助を追求する。

日本に何ができるのか?
「日本が打ち出している『人間の安全保障』(安心して暮らせる社会)は重要。
日本は、他の主要国(G8)に、これまでのサミットで約束した
資金援助などの公約の具体化を求めてほしい。
拠出国、額、時期が決まれば、アフリカ大陸に非常に重大な意味をもたらす」

決めたことは実行すべきだと強調。
「TICADに来たのは、口約束ではない公約を得るため。
実現すれば、北海道洞爺湖サミットに大きな影響を与えるだろう」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=73802

16年夏季五輪、東京が正式候補都市に IOC理事会で絞り込み

(日経 6月5日)

国際オリンピック委員会(IOC)は、アテネで開いた理事会で
2016年夏季五輪候補地の絞り込みを行い、
東京都を開催候補の1つとして残すことを決めた。
最終的な開催都市は、09年にコペンハーゲンで開くIOC総会。

東京都は、充実した交通インフラや1964年の東京五輪で使用された
会場が再利用できることなどの利点を強調。
ほぼすべての競技会場が都心に位置する「コンパクトな配置」をうたい文句。

世界7都市が招致の意向を表明していたが、
東京のほかシカゴ(米国)、リオデジャネイロ(ブラジル)、
マドリード(スペイン)の4都市が正式な候補都市として選ばれた。
今後、招致合戦が本格化。
落選は、プラハ(チェコ)、バクー(アゼルバイジャン)、ドーハ(カタール)。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080604AT1G0405A04062008.html

2008年6月4日水曜日

第1部 イノベーションを考える/4止 事業化へ、「種」見極め

(毎日 5月25日)

よい技術や新しいアイデアが、必ずしも大きな市場を生み出すとは限らない。
どうすれば「イノベーションの種」を見極め、大きく育てられるのか?
そのヒントになる試みが、「ベンチャーの都」とも言われる京都で続いている。

京都市が、97年につくった「ベンチャー企業目利き委員会」という制度。
同市の産業振興ビジョンに基づき、
堀場雅夫・堀場製作所最高顧問、永守重信・日本電産社長ら
地元財界のメンバーが集う。

応募されたビジネスプランを審査し、
事業化の可能性が高いアイデアにお墨付きを与える。
Aランクに認定されれば、低利融資や研究開発スペースの賃貸などの支援。
延べ360社あまりから応募があり、63社をA認定。

06年には、この中の1社が初めて東証マザーズ市場に上場。
6畳間ほどの密閉された部屋の脇で、
空気を循環させるポンプの音が静かに響く。
京都市のベンチャー企業、「五和工業」が独自技術で開発したドライルーム。
同社は06年、A認定を受けた。

携帯電話の電源に使われているリチウムイオン電池の製造には
湿気が大敵で、相対湿度1%以下という環境が必要。
小笠原稔社長(61)は、「うちのドライルームは、従来より低コストで、
日々の管理も楽なのが特長」。

小笠原さんが企業の技術者から転身し、会社を起こしたのは01年。
自身が特許を持っていた除湿装置を、プラスチック成型機用に
売り込もうとしたが、「既存の企業による販路が出来上がっていたところに
攻め込んだため、単体では売れなかった」。

低湿度の空気を作るシステムとしてもう一度、ビジネスプランを練り直し、
目利き委員会に挑戦。
「成功した先駆者から見て、自分の考えがどう評価されるか。
漠然としていたアイデアを形にするきっかけにもなり、
審査の過程そのものが貴重だった」。

イノベーションを起こすような人が、世に出るのを妨げているのは、
評価する仕組みがないことだろう」。
目利き委員会の創設を市に提言した堀場さんは、
委員会の狙いを説明する。
学生時代にベンチャーを起こし、関西を代表する企業に育てた。
堀場さん自身、その過程で地元の企業に助けられた。

「トヨタの売り上げを倍にすることはできないが、
ベンチャーなら2倍、3倍にできる。
1万社あれば、トヨタがもう1社増えたのと同じ。
ベンチャーがなくなれば、国は滅びる。
成功例を増やし、若い人に挑戦する気持ちを持ってもらいたい」。
83歳の草分けはそう期待する。

http://mainichi.jp/select/science/rikei/news/20080525ddm016010041000c.html

産学連携には実学 盛岡で国際ソフトウエアシンポ

(岩手日報 5月29日)

県立大開学10周年を記念し、盛岡で開幕した国際ソフトウエアシンポジウムは、
パネルディスカッションを通じて、産学連携のための「実学」をアピール。
シンポジウムに出席したソフトウエア工学分野の世界的権威、
デイビッド・パーナス教授(アイルランド・リムリック大)は、
ものづくりの「過程」の重要性を強調、次世代の担い手に向学心を求めた。

パネルディスカッションは、県立大の藤田ハミド教授がコーディネーターを務め、
国内外の研究者6人が「世界から見た岩手や日本の産学連携」を
テーマに意見を交わした。
各国の企業との演習や企業による奨学金制度などの事例を紹介。

大学で学ぶ理論は、厳密的には企業との間で活用されていない」(藤田教授)
という県立大の現状に触れ、大学があらゆる分野で企業と連携を拡充する
「実学」に理解を深めた。

パネルディスカッションに先立ち、パーナス教授が、
「製品の役割だけを考え、どうやってつくるのかを考えないのは古い考え方」とし、
ものづくりの「過程」の重要性を指摘。
「今、研究者は新しいアイデアを出しているが、
アイデアよりもつくり方に注目しなければならない。
論文もそうだが、数より中身だ」。

県立大について、「システムが固まっている古い大学に比べ、
新しい大学は進化が早く、望ましい」と評価。

次世代の学生や技術者に対し、「『なぜ』と質問してほしい。
若い人たちは言われたまま実行していく。
満足しなかったら、変化しなければならない」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080529_6

法隆寺金堂の天蓋に再建前の古材 聖徳太子を追慕か

(朝日 2008年05月30日)

世界最古の木造建築、法隆寺の国宝・金堂内にある
装飾の天蓋(国重要文化財)に、606年ごろ伐採された木材が
使われていたことが、奈良文化財研究所の調査でわかった。

法隆寺は、聖徳太子(574~622)が607年に創建、
670年に焼失し、7世紀後半から8世紀初めごろ再建。
本尊を安置する中枢部の金堂で、創建時期の古材が
半世紀以上経た後に使われていた。

法隆寺再建をめぐっては謎の部分が多く、
建立過程を知る上で貴重な資料となりそう。
同研究所の光谷拓実・客員研究員(年輪年代学)が調査。

天蓋は、カーテンを模した木製の荘厳具で、仏像の頭上にかざす。
金堂内の「中の間」「西の間」「東の間」に3基あり、
それぞれ幅約2.4メートル、奥行き約2.1メートル、高さ0.8メートル以上。
聖徳太子をモデルに造られたとされる釈迦三尊像(623年)がある
「中の間」と、阿弥陀如来像(1232年)がある「西の間」の天蓋を修理した際、
06年12月と翌年1月に年輪年代法で測定。

「東の間」の天蓋は、鎌倉時代作のため除外。
「中の間」天蓋の部材のうち、最も新しい年輪年は654年、
「西の間」天蓋は663年。
元は同じとみられる木材が両方に使われていることから、
天蓋2基の制作は663年から数年後と判断。

「中の間」天蓋の部材のうち、天井板の部分に使われていた木材1枚が
606年前後の伐採とわかった。

光谷客員研究員は、「聖徳太子を追慕する思いの表れとして、
古材を用いたとも考えられる」。

〈法隆寺再建・非再建論争〉

670年に法隆寺が焼けたと記す日本書紀をもとに、
創建法隆寺(若草伽藍)の焼失後に、現在の伽藍が
北西約200メートルに再建されたと考えるのが再建論。

これに対し、金堂の建築様式の古さなどから、現在の伽藍は
7世紀初頭の創建時のままとするのが非再建論。
1939年に若草伽藍の金堂と塔の跡が見つかり、再建論が主流となった。

発病機構:ストレスと病気はmTORC1を介して結びつく

(Nature Reviews Molecular Cell Biology 9 ( 5 ), May 2008)

結節性硬化症複合体(TSC)遺伝子であるTSC1、TSC2の欠失は、
mTORC1(mammalian target of rapamycin complex-1)
その下流のシグナル伝達系成分の構成的な活性化につながり、
インスリン抵抗性、腫瘍発生および神経学的異常が引き起こされる。

Hotamisligilらは、2つの重要な保存されている経路である
mTORC1経路、小胞体(ER)ストレス経路の間に、
以前には知られていなかったつながりがあるのを明らかにし、
小胞体とmTOR経路の間に連絡があって、
栄養恒常性、インスリン作用と生存の制御をしていることを実証。

以前の研究で、肥満は小胞体ストレスの原因となり、
インスリン抵抗性の発症を促進することが明らか。
彼らは、TSC遺伝子の喪失に関連して起こるインスリンシグナル伝達の
遮断も、小胞体ストレスの結果なのかどうかを調べた。

Tsc1−/−およびTsc2−/−マウス胎児繊維芽細胞(MEF)は、
小胞体ストレスのマーカーが増加し、PERKリン酸化の増大、
UPR(unfolded protein response)にかかわる遺伝子の発現上昇、
インスリン受容体(IR)シグナル伝達の重要な負の調節因子である
JNKの活性化がみられた。

TSCノックアウトMEFで、TSC機能を回復してやると、
こうした影響は解消された。
このような知見は、TSC変異マウスモデルを使ったin vivo実験と
TSC患者由来の組織でも確認。

mTORシグナル伝達を、シクロヘキシミドあるいはラパマイシン処理により
阻害すると、タンパク質の本来の構造を安定化するように働く
化学シャペロンである4-フェニル酪酸(PBA)を投与した場合と同様に、
UPRマーカーの発現増大は抑制。

この知見は、TSC変異細胞でのUPR活性化の原因が
タンパク質翻訳の増加であることを示している。

mTORC1経路の脱調節した活性化は、
負のフィードバックループの引き金となり、IRシグナル伝達を遮断。
この阻害は、TSC変異細胞で最もはっきりしている。
PBA処理は、IRシグナル伝達阻害を回復させることが、
インスリン刺激によりリン酸化されたIRS1(IR-substarate-1)、IRS2、
およびリン酸化AKT/PKBレベルの測定により確かめられた。

PBA処理により、小胞体ストレスに長時間曝された細胞でみられる
IRS1とIRS2の分解が軽減することもわかった。
これらの結果は、小胞体ストレスがIRシグナル伝達阻害調節における
重要な発症因子であることを裏付け。

TSC変異細胞での小胞体ストレス増加は、
機能的にはどういう意味をもつのだろうか?
TSC変異細胞では、グルコース欠乏による細胞死が起こるが、
これはPBA処理により軽減された。
ツニカマイシンあるいはタプシガーギン処理によって、
小胞体ストレスを引き起こすと、TSC欠失細胞ではin vitroでもin vivoでも
ラパマイシン処理によるアポトーシスが増大。

TSC欠失は、mTOR活性の上昇を引き起こし、
これが小胞体ストレスを増大させた結果、IR阻害が引き起こされる。
この条件下では、小胞体ストレスによって
細胞がアポトーシスを起こしやすくなる。

小胞体ストレスは、代謝応答、生存応答をmTORC1経路を介して統合する
重大な役割があると考えられる。
これらの知見は、mTORC1の調節異常を伴う疾病、
つまり肥満や糖尿病、がんと重大な関連がある。

それは小胞体ストレス経路の引き金となる、もっと選択性が高く
毒性の低い薬剤が開発されれば、新しい治療法、
例えば腫瘍細胞を選択的に殺すような戦略につながる可能性がある。

http://www.natureasia.com/japan/mcb/highlights/article.php?i=66428

2008年6月3日火曜日

ライブ、フリマでPR 大船渡リアスホール秋開館

(岩手日報 5月29日)

大船渡市に建設中の市民文化会館「リアスホール」のオープンを
盛り上げようと、自主事業実行委員会(佐々木正志委員長、委員32人)が、
6月15日に自主運営によるプレイベントを開く。
市内で活動するアーティストによるライブやフリーマーケットなどを開催。
新図書館のための「献本」も受け付ける予定で、多くの来場を呼び掛け。

実行委は、今秋オープン予定の同会館を、
市民主体で運営しようと昨年10月に設立。
会館の基本理念から実際に行う自主事業の選定までを行政に提案するという
全国でも珍しい取り組み。

「リアス・ウエーブフェスティバル」と銘打ったプレイベントは、
新会館そばの市農協会館で開催。
ライブは午後1時半開演で、地元のロックバンドなど10組が参加。
市民参加のフリーマーケットは、午前11時から屋外の駐車場で開く。

プレイベントは、会館に併設し最大16万冊が収容できる新図書館への
献本も大きな目的。
市教委が、図書購入費の削減や市民参加による図書館整備を狙いに
献本運動を行っており、今回は実行委が協力する形で、
家庭で眠っている本の寄贈を受け付ける。

これまでに3回のプレイベントを行ってきた実行委だが、
自主運営によるビッグイベントは今回が初めて。
会場設営から司会進行までメンバーや一般市民が協力して運営。

佐々木委員長は、「工事も順調に進んで、
素晴らしい会館ができるのは間違いない。
完成後もイベントを継続開催したいと考えており、
市民の側から大いに盛り上げたい」。

ライブ前売りチケット(300円)は市役所などで販売中。
フリーマーケットの出店者を募集。
問い合わせは、市役所市民文化会館建設推進室(0192・27・3111)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080529_9

我那覇選手の処分は無効 Jの制裁規定に不備 ドーピング問題でCAS

(共同通信社 2008年5月28日)

スイス・ローザンヌに本拠を置くスポーツ仲裁裁判所(CAS)は、
ビタミン入り生理食塩水の静脈内注入(点滴)を受けて
ドーピング違反とされたサッカーJリーグ1部川崎フロンターレの
元日本代表FW我那覇和樹選手の訴えを認め、
Jリーグが科した公式戦6試合の出場停止処分を無効とする裁定。

CASの裁定は、最終決定となる。
Jリーグには、我那覇選手の仲裁費用のうち、2万ドルを負担。

我那覇選手は2007年4月、体調不良のために
チームドクターの判断で点滴を受けた。
Jリーグは同選手の症状から、この点滴が当時の
世界反ドーピング機関(WADA)が認めていた
「正当な医療行為」には当たらないとして処分。

CASは、自身の意思で点滴を打ったわけではない我那覇選手に
過失はなかったと裁定。
WADAの規定では、「正当な医療だったとの心証を持てる」と判断し、
Jリーグのドーピング禁止規定にも不備があったと指摘。

今回の案件は、「制裁を科すケースではなく、違反があったかどうかも
判断する必要はない」。

▽静脈内注入

静脈に点滴や注射を打つ行為。
血液から禁止薬物の痕跡を消すことなどを取り締まるため、
WADAは禁止薬物を含まない注入も原則的に禁止。
毎年更新されるWADA禁止リストでは、該当条文の文言が頻繁に変更。
昨年の禁止リストは、「正当な医療行為を除き、静脈内注入は禁止される」。
2008年版では、「静脈内注入は禁止」と厳格化され、
緊急医療として行った場合は事後の許可申請で正当性が審査。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=73796

最悪返上へ、秋田で15%減 宮崎はTシャツでPR 各地の自殺防止対策

(共同通信社 2008年5月28日)

自殺者を15%減らした秋田県。
宮崎県では、東国原英夫知事が青いTシャツ姿で防止のアピール。
10年連続で自殺者が3万人を上回る「自殺大国ニッポン」。
各地の自治体は防止対策に乗り出しているが、
目に見える効果を上げたケースは少ない。

自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)が、
1995年から全国最悪の秋田県。
お年寄りの孤立感をなくそうと、診療所の医師や保健師に、
うつ病の研修をしたり、相談施設を新設したりするなどして
昨年は前年比約15%の減少に成功。
県の担当者は、「個人ではなく、社会の問題ととらえることが重要」。

宮崎県は、2006年の自殺率が全国5位。
07年は、同年11月の時点で暫定値ながら全国2位となり、
今年4月に自殺対策センターを設置。

東国原知事は、「宮崎は明るい県民性で知られるのに、
自殺率が高いとは」と深刻に受け止め、
自ら青いTシャツを着て自殺防止をアピール。

青木ケ原樹海を抱え、04~06年に自殺者の増加率が最悪の山梨県
地元観光業者との連絡協議会を設置したい考えだが、
他県からの自殺者を防ぐ決め手はない。

今年に入り、急増した硫化水素自殺については、
自殺を促す表現とともに、硫化水素の発生方法を記したインターネット上の
書き込みを、警察庁が「有害情報」に指定するなどの取り組み。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=73786

ウェレ博士らに野口英世賞 首相が賞金1億円贈呈

(共同通信社 2008年5月29日)

アフリカの医学研究や医療活動に貢献した個人、団体をたたえる
「野口英世アフリカ賞」の第1回授賞式が開かれる。
受賞者は、ケニアのミリアム・ウェレ博士(68)、
英国のブライアン・グリーンウッド博士(69)の2人で、
福田康夫首相がそれぞれに賞金1億円を贈呈。

ウェレ博士は、ケニアで国家エイズ対策委員長を務めており、
草の根レベルのエイズ予防活動、女性や子どもの保健福祉向上に
尽力した実績が認められた。
グリーンウッド博士は、ガンビアなどアフリカに密着したマラリア研究が評価。

授賞式には、天皇皇后両陛下、アフリカ諸国首脳も臨席。
両博士は、受賞記念の講演を行う。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=73846

2008年6月2日月曜日

NTC:競技別強化拠点に、新たに7施設指定 文科省

(毎日 5月28日)

文部科学省は、ナショナルトレーニングセンター(NTC)で
対応できない冬季競技などのNTC競技別強化拠点に、
新たに7施設を指定。

▽アイスホッケー=苫小牧白鳥アリーナ(北海道苫小牧市)
▽セーリング=和歌山マリーナ(和歌山市)
▽ホッケー=岐阜県グリーンスタジアム(岐阜県各務原市)
▽馬術=御殿場市馬術・スポーツセンター(静岡県御殿場市)
▽アーチェリー=ヤマハリゾート「つま恋」(同県掛川市)
▽高地トレーニング=飛騨御嶽高原高地トレーニングエリア
(岐阜県高山市、同県下呂市)
▽同=蔵王坊平アスリートヴィレッジ(山形県上山市)

昨年度に5施設を指定しており、計12施設。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/news/20080529k0000m050018000c.html

外で飲むコーヒー、男性は「マック」女性は「スタバ」

(Yahoo! 5月28日)

朝の目覚めをスッキリしたい、コーヒーを飲むシーンは
仕事で疲れたときに飲みたい、いろいろだが、
外ではどんな店で飲んでいるのだろうか?

男性は「マクドナルド」が51.9%でトップ、
「スターバックス」(47.5%)、「ドトール」(38.9%)、
女性は「スターバックス」が69.2%で断トツ、
「マクドナルド」(50.0%)、「ドトール」(42.5%)であることが、
ネットエイジアの調べで分かった。

「4カ国のハイスペック・アラビカ豆だけを厳選して、独自の技術でブレンド」
をうたい、100円コーヒー(プレミアムローストコーヒー)の
販売に力を入れている日本マクドナルド。

発売からわずか6週間で、日本人の4人に1人に当たる3000万杯を売り、
5月から100円アイスコーヒー(プレミアムローストアイスコーヒー)を販売。

マクドナルドの100円コーヒーを「飲んだことがある」人は40.0%、
年代別で見ると、30代(46.4%)が最も多い。
100円コーヒーの味について、「おいしい」と評価した人は71.8%、
「コストパフォーマンスが良い」84.5%に。
アイスコーヒーについて、「おいしい」71.8%、ホットと同じように高い評価。

携帯電話を使った調査で、全国の15歳~39歳の435人
(男性49.2%、女性50.8%)が回答。
調査期間は5月22~23日。

1週間にコーヒーを飲む頻度は、どれくらいか?
「ほぼ毎日」が42.8%、「週2、3日」(12.2%)、「週4、5日」(8.7%)、
「週1日」(7.1%)。
男性の方がコーヒーを飲む頻度は高く、「ほぼ毎日」は
男性49.5%、女性は36.2%。

週1回以上コーヒーを飲む人は、普段どんなコーヒーを飲んでいるのか?
男性は「缶コーヒー」が最も多く66.7%、「インスタントコーヒー」(38.9%)、
「コーヒーメーカー、ドリップで入れたコーヒー」(34.0%)。

女性は「インスタントコーヒー」が56.2%でトップ、
「コーヒーメーカー、ドリップで入れたコーヒー」(39.7%)、「缶コーヒー」(29.5%)。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080528-00000056-zdn_mkt-bus_all

「体質に合う」ぜんそく治療薬、遺伝子型で見分ける新手法開発 検査も大幅短縮

(毎日新聞社 2008年5月26日)

ぜんそく治療薬の効果を左右する患者の遺伝子型を短時間で見分ける
方法を、群馬アレルギーぜんそく研究所(群馬県邑楽町)が開発。

薬が体質に合わないと、ぜんそくを悪化させ、死亡につながる恐れもあり、
同研究所は今後、患者の体質に応じた「テーラード医療」につながる
検査方法として、実用化を目指す。

国内の気管支ぜんそくの患者は、250万-300万人、
治療には吸入式の気管支拡張薬を使うことが多い。

ぜんそく患者404人を対象に調べた結果、
15%の59人には薬の効果がなかった。
患者の遺伝子型を調べたところ、いずれも「祖先型」で、
「変異型」の患者には薬の効果が表れた。

遺伝子型の違いが、薬の効果を左右することは明らかになっており、
日本人でも確認。
同研究所は、遺伝子型の検査方法の開発にも取り組み、
口の中の粘膜を綿棒で採取し、遺伝子型の塩基配列を調べる
クロマトグラフ法で解析することで、検査時間を約2時間に。

遺伝子型の検査はほとんど実施しておらず、
血液を採取して検査すれば4時間程度かかった。
血液採取の必要がなく、乳幼児でも検査が容易なほか、
その日のうちに適切な治療方法が分かれば、患者の負担も軽減。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=73614

IGRと三鉄が業務提携へ 県と協議し具体化

(岩手日報 5月30日)

第三セクターIGRいわて銀河鉄道(照井崇社長)と、
三陸鉄道(山口和彦社長)は、業務連携に向けて協定を結ぶ方針。

厳しい経営が続く両社だが、連携を深めることで、
業務効率化や県北・沿岸地域への観光振興に相乗効果を狙う。
締結と同時に、両社と県で研究会を立ち上げ、具体的な検討を始める。

IGRと三鉄は、車両形態や開業の経緯が異なるが、
県や沿線市町村が出資する第三セクターとして通勤、通学など
地域の重要な足を担っている。

研究会では、業務効率化や観光客誘致、災害時の対応協力、
研修による人材育成などについて連携を探る。
JR山田線などを組み込んだ盛岡―宮古―久慈―二戸を結ぶ
列車運行の可能性や一体となった観光客誘致、将来的な人材交流も検討。

三陸鉄道は、毎年1億円を超える赤字を計上。
県や沿線市町村の財政支援により、経営を維持している状態。
IGRは、新指令システム構築に多額の整備費がかかるほか、
寝台特急の減便に伴い、年間約1億2000万円の減益。

県議会2月定例会では、両鉄道の経営一体化について
藤尾善一地域振興部長が「県として研究していく」と答弁、
県は「今回の協定は、経営統合とは関係ない」。

達増知事は、「三陸鉄道は沿岸の象徴。
IGRは通勤通学、医療福祉、観光と県北にとって重要な意義がある。
双方ともに、地域と一緒に歩んでいける工夫をしないといけない」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080530_6

2008年6月1日日曜日

野外運動でストレス軽減 盛岡の佐々木さん研究

(岩手日報 5月26日)

元北海道教育大教授で健康・運動科学研究所(盛岡市)を主宰する
佐々木茂喜さん(72)は、高齢者がスノーシュートレッキング、スキー、
ブナ林散策などをすると、ストレスが低下することを裏付けた。


今後は、病気や自殺予防の観点からも詳しく調べ、
野外での運動とストレスの関係を明らかにする。
佐々木さんは、寒冷地に住む高齢者は冬季、屋内に閉じこもりがちになり、
そのストレスが生活習慣病や自殺の誘因になるのではないか。
昨年2、3、10月、八幡平市の安比高原を訪れた
中高年のレジャー客延べ43人に協力を依頼。
スノーシュー、スキー、ブナ林散策、ゴルフなどの前後で
ストレスがどう変化するかを測定。
測定は、唾液中に含まれるクロモグラニン、アミラーゼの量を指標。
最もストレス改善率が高いのは、スキー教室の参加者で75・4%。
愛好者がスキーを楽しんだ時の55・4%、ブナ林散策は37・6%、
スノーシューは26・4%。
ゴルフは、人によりばらつきがあり、平均はマイナス4・8%と改善されず。
スキー教室の改善率が高かったことは、
「事前には不安感があるため、事後との落差が大きかった」。
スノーシューやブナ林散策は、
「自由に歩き回れるため、解放感による効果がある」。
ゴルフの場合は、「競争意識が働き、ストレスになる人もいる」。
佐々木さんは、岩手医大助教授なども歴任。
今回の成果は、北翔大北方圏生活福祉研究所(札幌市)の年報に掲載。
今後は、「より多くの症例的測定を行い、高齢者に適した運動、
スポーツの在り方を探りたい」。
ストレスを感じると、唾液中クロモグラニンやアミラーゼが増加する。
唾液を採取し、量を測定することで、ストレスの強さが分かる。
今回の測定は、運動前と後に参加者の唾液を採取し、唾液中の濃度を比較。

エネルギー消費の異常解明 東大、肥満薬開発に期待

(共同通信社 2008年5月26日)

筋肉でエネルギー消費の異常が起きる仕組みを、
東京大の永井良三教授らのグループがマウスを使った実験で解明し、
ネイチャーメディシン(電子版)に発表。

エネルギー消費の異常は、肥満やメタボリック症候群の原因となり、
これらを治療するための新たな薬の開発につながると期待。

肥満は、食事によるエネルギーの摂取と消費のバランスが崩れた場合や、
筋肉でエネルギーの消費がうまくできなくなった場合に起きる。

血管や心臓の病気に重要な役割を果たしているタンパク質「KLF5」に注目、
働きを弱めたマウスを使って実験。

その結果、このマウスは食べるえさの量が多いのに太りにくく、
KLF5は筋肉で脂肪酸の燃焼(分解)やエネルギー消費を進める
遺伝子の働きを調節していることが分かった。
グループはさらに、遺伝子を働かせるメカニズムも突き止めた。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=73569

「遠野方式」全国へ 首相補佐官が助産院視察

(岩手日報 5月30日)

伊藤達也首相補佐官(社会保障担当)は、福田康夫首相が主宰する
「社会保障国民会議」の視察で、遠野市松崎町の遠野市助産院を訪れた。
パソコンを使ったモバイル遠隔健診システムを体験。
医師や助産師ら関係者と意見交換し、
「医師空白地域にとって、遠隔医療は最後のとりで」と、
「遠野方式」の先進性を評価するとともに、全国に普及させていく姿勢。

国民会議は、政府が年金、医療など社会保障制度の抜本的改革を
検討するため、今年1月に設置。
少子化対策なども議論し、秋ごろに最終報告をまとめる。

伊藤首相補佐官は、遠野市助産院監督医の小笠原敏浩医師
(県立大船渡病院産婦人科)が、パソコン通信での電送データをもとに
妊婦を診察する遠隔健診の様子を見学。

小笠原医師は、インターネットを通じて「距離のハードルがクリアできている。
さらに県や市町村と病院、医師のネットワークを充実し、
地域格差に悩む人たちを守りたい」。

昨年12月に開院した同助産院は、延べ277人が利用。
順調な滑り出しをみせており、本田敏秋市長は
「遠隔医療のシステムに、助産師のマンパワーが加われば、
医師不足を十分に補える」。

小林高・県産科医会長は、「今後の医師充足、増加は考えられず、
モバイル健診のシステムが残らないと、
岩手のような医療過疎地の健康は守れない」。

伊藤首相補佐官は、「システムの普及に、助産師の活躍が重要と実感。
資金面の課題と、(全国への)ノウハウ提供については国がサポートすべきで、
国民の理解を得るために遠野の取り組みを広めたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080530_3

暖かな破局:第4部・削減フロンティア/4 貧困国でプロジェクト次々

(毎日 5月23日)

ガスや電気すら使えない貧しい人が、世界に16億人もいる。
貧困の解消が、温室効果ガスの排出削減にもつながる
取り組みが途上国で動き始めた。

「これから育てる森が、生活の支えとなってくれる。期待しているよ」
首都ハノイから西に70キロ。
ベトナム北部カオフォン県の険しい山腹で開かれた植樹会。
ファム・タン・ハーさん(35)はスコップを手に、
足元に植えたアカシアの苗木にほほ笑んだ。

山腹の荒れ地309ヘクタールに50万本のアカシアを植え、
成長に伴う二酸化炭素(CO2)の吸収分6万1504トン(15年間)を
排出枠として売却する計画。

植林を、温暖化と貧困対策に活用する前例のないプロジェクトで、
事業を支援した日本の国際協力機構(JICA)によると、
最低でも18万ドル(約1900万円)の売却益が見込める。
「住民が自立できるシステムだ」として、ホンダが植林費用の一部を負担。

付近の農民1人当たりの年間平均所得は、400ドル(約4万2000円)。
売却益の半分は、植林に参加する約150世帯に分配し、
残りは伐採や次の植樹など森林維持の投資に回す。
「CO2削減と生活向上を両立するモデルケース」
(ファム・ブック・トアン農業農村開発省副林業局長)。
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「この事業がうまくいけば、女性や子どもたちが
水くみの苦労から解放される」。
国連開発計画(UNDP)ルワンダ事務所の環境・エネルギー担当専門員、
三戸俊和さんは、現場を飛び回る。

手がけるのは、雨水をフィルターや紫外線で浄化し、
飲料水にする試み。
煮沸のための化石燃料がいらない分を、CO2の削減と見なす。
米国の非営利組織(NPO)が
ルワンダ各地の高等学校に浄化設備を設置。

ルワンダでは、水道の整備が遅れており、
安全な水の確保は最重要課題。
「1000の丘の国」と呼ばれるほど起伏に富む土地を、
女性や子どもが水源まで長時間歩く暮らしを続けてきた。
三戸さんは、「女性に時間を取り戻し、子どもの就学率向上につながる。
地域の社会構造を変えるプロジェクトだ」。
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しかし、途上国での排出削減事業の多くは規模が小さいうえ、
実際に排出削減につながるかどうか不透明な面もあり、
初期費用が集まりにくい。

その課題克服のため、UNDPが2月に新たな試みを始めた。
一定の条件を満たした小規模の排出削減事業をまとめて
一つの事業として扱い、金融機関から初期費用の資金を調達する仕組み。
資金の出し手はリスク分散できるメリットがあり、
ルワンダのプロジェクトもこの仕組みを使う。

世界自然保護基金(WWF)などの国際的非政府組織(NGO)は、
貧困減少などに役立つ排出事業の認証基準
「ゴールド・スタンダード」を策定。
企業の環境活動の一環などとして、認証された排出枠が
通常より高値で購入されることを狙ったもの。

国連環境計画(UNEP)特別顧問の末吉竹二郎さんは、
「生活が大きく改善される温暖化対策にこそ、
資金が集まる仕組みを作ることが大切だ」。

http://mainichi.jp/life/ecology/news/20080523ddm002040032000c.html