2010年11月13日土曜日

ストレス原因、中高年に増加 頭痛/1

(2010年11月8日 毎日新聞社)

川崎市の男性会社員(46)は約1カ月前から、
毎日のように頭痛に襲われるようになった。
後頭部が締め付けられるような痛みが一日中続き、
「ひどい時は、脳が固まった感じになる」。
時には目まいも起こり、仕事に集中できなくなった。

管理職で、パソコンに向かう時間が長い。
約半年前から忙しくなり、部下との人間関係も悪化、ストレスが増した。
目の疲れや肩こりがひどくなり、やがて頭痛が始まった。
「仕事帰りに酒を飲む時や休日は、痛みがない」というが、
「脳の病気かもしれない」と心配になり、10月末に診療所を受診、
「緊張型頭痛」と診断。

頭痛には、さまざまなタイプがある。
二日酔いなどの頭痛は、生体反応による一時的な症状。
定期的に起こり、検査で脳の異常が見られない頭痛を、「慢性頭痛」。
慢性頭痛は、(1)緊張型頭痛、(2)片頭痛、(3)群発頭痛の3種類。
日本人に最も多いのが緊張型頭痛で、
北里大研究班の全国調査(97年)によると、15歳以上の2割強が持つ。

緊張型頭痛は、主にストレスによって起こると考えられている。
無理な姿勢を長時間続けると、肩や首、後頭部の筋肉がこって
血行が悪くなる。
筋肉内に乳酸などの疲労物質がたまり、これが神経を刺激して頭痛を招く。
精神的ストレスによる神経の緊張が続いた場合も、
痛みを調節する脳の機能がうまく働かなくなって、頭痛が表れる。

日本頭痛学会の坂井文彦理事長(埼玉精神神経センター)は、
「近年は、パソコンを使う時間が長く、
中高年を中心に緊張型頭痛の人は増えている。
こまめに首や肩をほぐし、場合によっては抗不安薬などを服用した方がいい」
…………………………………………………………………………………
◆主な慢性頭痛
◇緊張型頭痛
 頭が締めつけられるような痛みが毎日のように起こる。
◇片頭痛
 主に頭の片側が脈を打つように強く痛む。
 痛みは月1回~週2回程度起こり、4~72時間続く。
◇群発頭痛
 目の奥をえぐられるような激痛が年1~2回程度起こり、
 2週間~2カ月間毎日のように続く。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/8/128005/

難病患うルイス選手、小学4年・大西結菜さんと三重・志摩でゴルフプレー後に対面

(2010年11月7日 毎日新聞社)

背骨が左右に曲がる原因不明の病気「脊柱側わん症」を
患いながらプレーを続ける女子プロゴルファー、
ステーシー・ルイス選手(25)=米国=が、
同じ病を抱える小学4年生の少女と対面、
病気を抱えていても、できないことはない。
しっかり前を向いて人生を歩いてほしい」と励ました。

ルイス選手は、志摩市阿児町の近鉄賢島カンツリークラブで
開催中の「ミズノクラシック」に出場。
西宮市の大西結菜さん(10)が応援に駆けつけ、対面が実現。

ルイス選手が、11歳で脊柱側わん症と診断されたのに対し、
結菜さんは8歳の時に病気が分かり、矯正器具で治療を続けてきた。
父・隆成さん(38)が、ルイス選手の存在をインターネットで知り、
大会主催者のミズノを通じて、面会を申し出た。

この日、前半9ホールをルイス選手に付いて回った結菜さんは、
「同じ病気とは思えないほど、はつらつと堂々プレーする姿にびっくりした」
最終日を前に2位に浮上したルイス選手は、18ホールを回り終えた後、
結菜さんと対面。

チャレンジすることが大切。
私も周囲からゴルフは続けられないと言われたが、
それが間違いだったと証明した」とアドバイス。

結菜さんは、「とても勇気が出た。治療も頑張ろうと思った」と感動。
体のゆがみから思い通りに動けず、
大好きなバレエも中断している結菜さんだが、
「もう一度頑張ってみようかな」。

ルイス選手から、「ゴルフはどうかな」と振られると、
「でも、ゴルフもいいかな」と小さく笑った。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/8/127977/

新聞活用に備える(6)多様な授業 ヒント学ぶ

(読売 11月4日)

「新聞を使う授業は、先生の創意で何通りにもできます。
それだけ自由性、可能性があります」

杉並区立西宮中学校で、区内中学の国語科教員約30人を対象に
夏期研修会が開かれた。
講師は、本紙NIE企画デザイナーの鹿野川喜代美さん。
新聞活用学習(NIE)の経験が長い元中学国語教師で、
読売新聞東京本社でNIE関連業務に携わっている。

最初の教材は、サッカーW杯で日本が惜しくもPK戦で
勝ちを逃した時の新聞6紙。
「日本8強逃す」など、残念な気持ちを込めた見出しが多かったが、
「日本完全燃焼」と健闘をたたえる見出しもあるなど、
同じニュースでも、新聞によって取り上げ方が違うことについて学んだ。

「先生が教えてもいい。
生徒が気づいたら、それをほめてあげる。
子どもが発見、評価する意欲、自信につながります」と鹿野川さん。

次は夕刊。
イルカと一緒に、イルカのような尾びれを足につけた男性が泳ぐカラー写真。
逆境にあった男性がイルカに励まされ、いつか恩返ししたいと
夢を抱いているという内容の記事がつく。
いったい、どんな授業ができるのか。

「あきらめかけていた男性の思いが、なぜ変わったか考えさせたい」と
西村絵真・同区立中瀬中学校教諭(36)。
久保山憲・同区立井草中学校教諭(27)は、
「イルカと男性が、どのような会話をしているのかを想像するのも面白い」と提案。

「思いつく英単語をどんどん書く」、「恩返しという言葉に注目し、
支え合いについて考えさせる」など、様々なアイデアが出された。

「思いのほか、いろいろやり方があるんだな」――。
新聞活用が教育の可能性を広げることを、
先生たちは実感した様子。

大阪府教育センターで開かれた小中高校の教員向け講座の講師は、
元本紙北京特派員の中津幸久・読売新聞大阪本社編集委員(51)。

国際面の記事を取り上げ、記事だけを読んで
見出しを考えるクイズを出した。
見出しを考えるには、文章を熟読してポイントをつかまなければならない。
「人と比べると良い見出し、悪い見出しがよく分かる」、
「文章の構成を理解し、評価するのも言語力を磨くのにいい」といった声。

新聞活用を盛り込んだ新学習指導要領の実施を前に、
戸惑う教員は少なくない。
新聞活用は、教科でも目的でもなく、あくまで手段。
気軽に取り組めるようになるには、先生たちが実際に
体験してみることが早道のようだ。

◆新学習指導要領

2011年度から小学校、12年度から中学校、13年度から高校で実施。
いずれも言語力を育む方法として、新聞活用を推奨。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101104-OYT8T00198.htm

2010年11月12日金曜日

新聞活用に備える(5)生徒が編集 効果再注目

(読売 11月3日)

「うまい作りだな、読ませ方が上手だな、と思わせる紙面。
こちらは、取材が決定的に不足している」。
率直なコメントに、先生たちがうなずく。

会津若松市の県立葵高校で開かれた、全国学校新聞指導者研修会。
新聞作りや新聞活用教育(NIE)に携わる高校教員らが活発に交流。

60回目を迎えた伝統の研修会。
1980年代、参加者100人以上と盛況だった時期の後、
社会的な活字離れの中で、低調な時期が続いたが、
近年、再び脚光を浴びている。

その背景には、NIEの普及により、「子どもたちを育てる上で、
活字の力は大きい」と、学校新聞の教育効果が再認識。

今年は、約50人が各地から参加。
テーマは、「学校新聞は学びのフルコース~新聞づくりの意味を見直そう」。
初日は、実践報告やグループ討議など、2日目は初心者向けの
新聞制作講習を実施し、「新聞づくりとNIE」など
三つの議題で分科会も開いた。

実践報告では、滋賀県立彦根東高校の鈴木真由美教諭が、
同校の学校新聞について発表。
年8~10回の定期発行のほか、学校行事などを臨機応変に取材した
号外を出すようになり、昨年度は143回を発行。
この結果、学校新聞が校内だけでなく地域でも注目され、
部員の士気も高まってきたことを紹介。

好評だったのが、多数寄せられた高校新聞の中から、
審査希望のあった新聞について、ズバリ講評する「新聞クリニック」。
適切な見立てで知られる、元高校教諭で新聞指導のベテラン、
三村達道さん(72)が担当。

長崎県立西陵高校の新聞は、タブロイド判の6ページ。
三村さんは、「内容が豊富で、よく取材して書いている。
方言特集は興味深く読ませた。
囲み記事を全部長崎弁で書くと面白い。論説にも挑戦している。
部員でもっと討論すれば、より説得力のあるものになる」などと指摘。

「生徒たちに励みになる。
もらったアドバイスは、次号から生かしていきたい」、
今春、同高新聞部顧問を引き継いだ中村晋教諭(37)。

A4判と小ぶりながら両面刷りで、速報性を重視して発行しているのは、
宮崎県立宮崎大宮高校の新聞「言ノ葉」。
三村さんは、「まず題字がいい。
タイムリーに、口蹄疫問題も取り上げた。
学校文化祭も、『いよいよあす…』と、ニュースを先取りし、
校内世論の形成にも役割を果たしていることがわかる」と評した。

編集の特徴や工夫の分かりやすい解説に、
聴衆の先生たちは大いに参考になった様子。
学校新聞の達人の技は、時代を超えて脈々と受け継がれている。

◆学校新聞

児童生徒が協力して編集する中で、自主性や協調性が養われる。
理解力、判断力、言語力の向上などの教育的効果や
学校生活の改善にもつながるとされる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101103-OYT8T00299.htm

光で曲がる新高分子素材開発

(サイエンスポータル 2010年11月9日)

紫外光を当てると反り返り、可視光を当てると元に戻る
高分子素材の開発に、理化学研究所の研究チームが成功。

光で動く人工筋肉や、電子を表から裏へ移動させやすい性質を
利用した有機薄膜太陽電池など、幅広い応用が期待。

理化学研究所基幹研究所の相田卓三・機能性ソフトマテリアル
研究グループリーダー、福島孝典・エネルギー変換研究チームリーダー、
細野暢彦・研修生と播磨研究所の高田昌樹・主任研究員らは、
まず光を感じて構造を変えることが知られている
アゾベンゼン分子を組み込んだブラシ状のポリマーを設計、合成。

これを、テフロンシートで挟み加熱しながらプレスするという
簡単な方法で、表から裏の同じ向きに分子が整然と並んだ
フィルムを作ることに成功。

このフィルムに紫外光を当てると湾曲し、可視光を当てると、
平らな状態に戻ることが確かめられた。
これまで分子を同じ向きにそろえる技術はあったものの、
大きさはナノレベルという微細なものでしかなかった。

今回の技術は、1cmから1mという大きな面積のフィルムを
作れるのが大きな特徴。
有機薄膜太陽電池などの有機デバイス開発だけでなく、
有機材料科学分野全体への大きな波及効果や、
光で収縮・膨張を繰り返す新たな人工筋肉材料への応用が見込まれる。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1011/1011091.html

全国市町村長サミット/最大の課題は「医師確保」

(2010年11月5日 Japan Medicine(じほう))

総務省主催「『定住自立圏』全国市町村長サミット2010 in 南信州」
が10月28日、長野県飯田市で開かれ、
29日の医療分科会(コーディネーター=梶井英治・
自治医科大地域医療学センター長)では、
参加した首長13人のうち、10人が地域での医療課題として、
「医師不足」を挙げ、自治体にとって医師確保が依然大きな課題

総務省は、中心となる市と周辺市町村で構成する定住自立圏の形成を
目指しており、自治体単独では解決が難しい医療提供体制の構築を、
サミットの重要課題として位置付け。

分科会では、兵庫県西脇市の來住壽一市長が、
市立西脇病院での医師不足対策を報告。
職場環境の整備や、地元医師会が運営する院内での
休日急患センター開設で、勤務医の負担軽減を図った結果、
一時は36人にまで減った医師数が44人に増えた(ピーク時57人)。

住民の理解が広まったことで、「コンビニ受診」や救急出動件数が減り、
入院医療を強化できたとし、
「70%だった病床稼働率は90%に改善し、収入が上がった」

2009年度、地域医療を守る条例を制定した宮崎県延岡市の
首藤正治市長は、市内にある県立病院の夜間・休日救急受診患者数が
住民運動の効果で2年連続で減少、
「地縁・血縁をたどって、市とご縁のある医師にダイレクトメールを送って
呼び掛けている」と苦慮している状況。

コーディネーターの梶井氏は、医療需要と医師数のアンバランスを
解決するには、総合医の養成が欠かせないと強調。
総合診療を中心とした医療提供体制の構築に加え、
「行政圏域」ではなく、「生活圏域」で新たな医療圏域を構築する
必要があると主張。

首長からは、へき地医療や救急医療、地域医療を担う医師の高齢化、
市町村合併による自治体病院の在り方などが課題に。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/5/127934/

2010年11月11日木曜日

新聞活用に備える(4)作り方 出張指導が好評

(読売 10月30日)

「班ごとに編集長を決め、選ぶ記事と分担を話し合って。
字ばかりだと堅い印象になるので、カットや写真も工夫してください」

東京都北区の赤羽文化センターで開かれた、
同区教育委員会主催の教員向け新聞作り教室。
短時間で仕上げられる新聞制作の方法を先生たちに伝授したのは、
新聞教育支援センターの吉成勝好代表(66)。

同センターは、新聞活用学習(NIE)に熱心な首都圏の小中高校の
元教師やNIEを担当した新聞記者OBが集まり、
3年前に設立された非営利の団体。

学校や子どもたち、保護者、一般市民らに、新聞作りのほか、
新聞を使った学習、広報紙作りなどの指導。
「可能な限り、いつでもどこへでも、助っ人として参上します」がモットー。

この日、小中学校の教員27人が参加。
5、6人の班に分かれ、B4判の割り付け用紙を使った新聞制作に挑戦。

まず、トップ、準トップ、コラムなど5本の記事の位置を決め、
割り付け用紙にハサミを入れて、ブロックごとに切り分ける。
こうしてできたスペースに収まるよう、用意された資料を
もとに記事をまとめ、見出しも付ける。
最後に合体させ、テープでとめ、コピーすればできあがり。
この方法だと、仲間が同時に作業でき、失敗しても直しが簡単。

「字は太く、マス目いっぱいに書き、見出しの活字に模様を入れたり、
飾り罫を使ったりすると効果的」と吉成さん。
北区立東十条小学校の川崎由美子教諭(29)は、
「前に新聞作りをした時、大きな模造紙に小さな見出しと
バランスが取れず失敗した。
これだと手分けし、いい物がすぐできる」

1時間ほどで仕上がった各班の紙面を見比べ、
「見出しは名詞になりがちだが、動詞や形容詞が入ると変化が出ます」
何度かやれば上達します。
学校生活のことを随時、学級通信などにして配ると、
子どもたちの家庭からも喜ばれます」と吉成さん。

新聞学習の実践が長い吉成さんは、こうした出張指導の要請が
この春からにわかに増え、忙しくなってきた。
学校ばかりではなく、自治体が企画する親子対象の新聞学習講座や
生涯学習講座のほか、学習塾からも「小学高学年向けに」と依頼。

「入学試験に、新聞記事から出題されるようになっている。
家庭でも関心が高まっているのを感じます」

新聞で子どもが伸びることを知っているベテランの力は、
今や引っ張りだこになっている。

◆割り付け用紙

方眼紙のように各行、各段に薄い罫が入っている。
どの位置にどの記事、写真を入れるのか線を書き入れ、
編集する際の設計図となる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101030-OYT8T00181.htm

先進国で肥満深刻化 3割超す国も/貧困層で増加/啓発充実など各国に求め

(2010年11月5日 毎日新聞社)

先進国の肥満の現状と予防策の費用対効果について、
経済協力開発機構(OECD)が、初の報告書を発表。
貧困層での肥満増加が目立ち、米国や英国など10年以内に
国民の3分の2以上が太りすぎや肥満になると予測される国もある。
OECDは、各国政府に健康教育の充実などの対策強化を求めている。

報告書は、各国の公衆衛生の専門家らが3年がかりでまとめた。
世界保健機関の基準に基づき、肥満を「体格指数(BMI)30以上」と定義。
日本人は、極端に太らなくても高血糖などを伴う人が多いので、
国内では日本肥満学会の診断基準に基づいて「BMI25以上」を肥満。

加盟33カ国の成人人口に占める肥満の割合は、男性16%、女性17%。
国別では、日本が男女とも3%で最少。
最多は米国で、男性32%、女性36%。
多くの国では、肥満に関係する病気の医療費が全体の1~3%、
米国では5~10%に上る。

日本肥満学会の松沢佑次理事長によると、内臓脂肪がたまると、
脂肪細胞から血圧を上げる物質が多く分泌され、
高血圧になりやすくなるなど、肥満と生活習慣病の関係が解明されつつある。
松沢理事長は、「日本人は、生活習慣を変えると改善する人が多いが、
欧米に多い極度の肥満では、胃を小さくするなどの治療が必要なケースも

肥満はぜいたく病、ととらえられがちだが、最近は貧困層に多い。
安く高カロリーな加工食品が増えたこと、
健康に関する知識が普及していないことなどが背景。

日本を除く9カ国を対象にした分析では、
女性は米国、韓国など6カ国で、所得や社会的地位が最も低い層で
肥満のリスクが最も高かった。
男性も、オーストリアやフランスでは所得などが低くなるほど肥満が増えた。
豪州、カナダ、英国、韓国では、女性は教育を受けた年数が長いほど、
肥満率が低い傾向。

米国では、女性全体の失業率約30%に対し、
深刻な肥満の白人女性の失業率は40%超。
スウェーデンの研究では、肥満の人の所得は正常な体重の人より
18%少なかった。
報告書は、企業に「肥満の人は生産性が低い」という思い込みがあって、
肥満でない人を採用する傾向にあり、所得格差の一因。

報告書作成に参加した水嶋春朔・横浜市立大教授(公衆衛生学)によると、
OECDは、脂質などの摂取量や運動の頻度、肥満の程度、
血圧、血糖などを基に、肥満に関連する一部がんや脳卒中、
虚血性心疾患といった慢性疾患の死亡リスクを分析。
学校での健康教育、食品へのカロリー表示、医師と栄養士による個別指導など
九つの対策による効果を試算。

日本の場合、医師と栄養士の指導により、
年8万5000人の死亡を減らすことができると試算。
学校教育で約1万2000人、食品表示の改善で約2万人の減少。

対策が定着すれば、コストも下がる。
全対策導入20年後の年間費用は、1人当たり平均19ドル。
脳卒中などの死亡を年15万5000人
(09年の全死亡者数は114万4000人)減らすことが可能と分析。

肥満の少ない日本で、これほどの効果が予測されるのは、
人口が多い上、他の先進国に比べ、高齢化が進んでいるため、
同じ対策で加齢に伴う生活習慣病予防につながる。

報告書では、健康寿命が延びることは期待できるが、
高齢化によって医療費は増加するため、
肥満対策の医療費削減効果はわずかだと指摘。

水嶋教授は、「日本人の場合、BMI25未満でも糖尿病を発症する人が多い。
脳卒中対策として、減塩指導などを長年実施し、日本の生活習慣病対策を
考える上では、喫煙など肥満に関係しない側面も考慮する必要」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/5/127918/

笑顔と怒り顔で異なる赤ちゃんの脳反応

(サイエンスポータル 2010年11月8日)

生後6~7カ月の赤ちゃんは、笑い顔を見ると脳の左側頭部、
怒り顔に対しては右側頭部で、脳反応の増加が見られることが、
中央大学と生理学研究所の研究グループによって確認。

中央大学研究開発機構の山口真美・教授、仲渡江美・研究員と
自然科学研究機構・生理学研究所の柿木隆介・教授らによる
研究手法は、脳内のヘモグロビン量の変化を計測することで、
脳反応を見る方法で、近赤外分光法と呼ばれる。

生後6~7カ月の乳児の顔認知能力を調べたところ、
笑顔に対しては脳反応の増加がゆっくりと長続きするのに、
怒り顔に対しては急速に低下することも確かめられた。

笑顔は、人に喜びの情報を伝えるので、脳の活動が継続し、
警告や危険を示す情報を伝える怒り顔に対しては、
次に行動を移す必要があるため、増加した脳の活動が
急速に低下していくと考えられる。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1011/1011081.html

2010年11月10日水曜日

日ごろの姿勢に注意し予防 腰痛/2

(2010年11月2日 毎日新聞社)

ぎっくり腰がくせになると、そのうち手術が必要なほど
重症になってしまうのではないかと心配。
谷諭・東京慈恵会医科大教授(脳神経外科)は、
「腰痛の約85%は、体を休ませれば自然に治る」

手術など専門的治療が必要になるのは、骨や神経に異常がある場合、
ぎっくり腰は、一般的に背骨や腰の骨にある筋肉のこり(緊張)で、
ねんざのようなもの。
加齢による腰骨の関節の老化(軟骨の水分の減少)や、
精神的ストレスによる自律神経の乱れで、
腰周辺の血流が悪くなって起きることもある。

腰痛の防止には、運動に加え、日常の姿勢が重要。
就寝時、体が沈みこむような柔らかいベッドは避ける。
硬すぎる床もよくない。
あおむけで寝るとき、足のひざの下にクッションや重ねたタオルなどを置くと、
腰の筋肉への負担が軽くなる。

立っているときの姿勢で一番よくないのは、猫背。
「あごを引いて首をまっすぐにし、おなかをぎゅっと引きしめる格好、
社交ダンスをするときのような姿勢がよい」と谷教授。
女性の場合、ヒールの高い靴は禁物。

顔を洗ったり、物を持ち上げたりするとき、特に注意が必要。
腰をかがめるのではなく、ひざを屈伸させて物を持ち上げる習慣をつけよう。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/2/127807/

岩手大、学内に保育スペース 女性研究者を支援

(岩手日報 11月1日)

岩手大(藤井克己学長)は12月から、学内に保育スペースを開設。
教職員に対する子育て支援の一環で、女性研究者をサポートし、
現状では全体の9・4%と少ない女性研究者を増やすことも大きな目的。
施設整備のほか、学生を交えた備品作りなども進め、
大学全体で子育て支援への機運を盛り上げる考え。

同事業は、文部科学省の女性研究者支援モデル育成事業として
本年度採択。

同大では、工学部で女性教員の限定公募を初めて行い、
今年4月から助教2人を採用。
全体でみると、全教員417人に対し、女性は39人と少数。
子育てへの不安から、研究職を断念する女子学生もいるなど、
以前から課題となってきた。

学内保育スペースは、学生センター棟2階の会議室だった部屋を改修。
乳幼児が自由に動き回れるスペースや授乳室、
相談コーナーなどを設ける。
同大の教職員や学生のほか、聴講生として来校している
一般市民にも開放する予定。

同じ階の車いす用トイレには、乳幼児用の座いすや、
おむつ替えシートを設置するなど、周辺の施設設備も計画。

保育スペースは、12月1日にオープニングセレモニーを行い、
本年度は試行的に運営。
利用の際、利用者自身が子どもの世話役を準備する必要があるが、
来年度以降は、保育技術や知識を習得した学生が
世話役を務める仕組みも検討。

女性研究者の少なさは全国的な課題でもあり、
東北大では学内保育園、山形大は託児ルームを設けている。

岩手大では、学生を巻き込んだ取り組みを目指そうと、
10月19、26日に、学内に呼び掛けて集めた約500枚の紙パックで、
職員と学生が子ども用のいすなど作製。
雰囲気も徐々に盛り上がってきた。

同大男女共同参画推進室の菅原悦子室長(教育学部教授)は、
多くの大学で、育児支援の形が検討されているが、
本学の総合的な取り組みはモデルになり得る。
大学の中で、子育てができる雰囲気をつくっていきたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101101_13

価値ある研究成果の鍵は目標設定に

(サイエンスポータル 2010年11月5日)

研究プロジェクトの野心的な目標設定、科学の進歩の方向を
見据えた目標設定が、被引用数が多い論文と並の論文を分ける鍵。

科学技術政策研究所と一橋大学が実施した大規模アンケート。
日本の科学者を対象に、約2,100件の回答を得た。

2001~06 年に発表された論文のうち、日本が関与しているものから、
被引用数が上位1%(トップ1%論文)と、それ以外の論文(通常論文)を抽出、
その著者に対し、論文を生み出した研究プロジェクトについて尋ねている。

どのような研究マネジメント(管理)を実施したかどうかを聞いた項目で、
最も多かったのは、「学会発表を通じた情報の共有・研究の評価」。
トップ1%論文の著者の91.0%、通常論文著者の90.6%が行ったと答え、
論文の価値いかんにかかわらず、学会発表という場、行為を
重要視していることを裏付け。

「ミーティングを通じたチーム全体での情報共有」も、
同様にいずれの論文著者とも重要な研究マネジメント。

興味深いのは、「研究プロジェクトの野心的な目標設定」と、
「科学の進歩の方向を見据えた目標設定」が、
トップ1%論文を生む率が高く、かつ通常論文に比べ、
その差が大きく出た研究マネジメントである。

「研究プロジェクトの野心的な目標設定」を実施したという答えが、
トップ1%論文著者で70.4%を占め、通常論文著者は58.5%しかいない。
「科学の進歩の方向を見据えた目標設定」を実施した
トップ1%論文著者が78.6%、通常論文著者は67.2%と明らかな差。

面白いことに、同じ目標設定でも、
「社会の進む方向を見据えた目標設定」となると、
実施したのはトップ1%論文著者、通常論文著者とも44-45%と低く、
トップ1%論文著者の方が通常論文著者より、社会の進む方向を見据えた
目標設定を実施している人がわずかながら少ないという結果。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1011/1011051.html

2010年11月9日火曜日

新聞活用に備える(3)司書講習で「調べ学習」

(読売 10月29日)

白衣の女性医師が、男性の胴回りをメジャーで測り、
「88cm。メタボですね」と宣告。
観客から笑いがこぼれる。

新聞記事や手作りの漫画を手に、寸劇を演じているのは、
司書教諭を目指す学校の先生や学生たち。
信州大学教育学部で、司書教諭の免許認定講習の一コマ。

司書教諭には、子どもたちが様々な情報源を活用して
学習できるよう、学校図書館などで支援する力が求められる。
特に、情報源として手軽で信頼がおける新聞を使いこなす技術は重要。

1科目30時間の5科目で構成される同大の司書講習のうち、
学力と密接な関係がある「学習指導と学校図書館」の講習では、
新聞が大いに活用された。

4日間の講習は、子どもの視点で学んでもらおうと、
グループによる調べ学習を中心に進められた。
与えられた課題は、「子どもたちが、やがて社会で遭遇する問題を考える」

講師の下田好行・明治学院大学教授(51)は、
「子どもたちが、興味や関心を持てる内容にしてください」と注文。

参加した長野県内の小中高校教師や学生ら32人は、6班に分かれ、
テーマを決めて調べ学習をスタート。
初日は、信濃毎日新聞社の協力を得て、
同社のデータベースからふさわしい記事を検索し、
市立図書館やインターネットでも資料を探した。

2、3日目には、集めた材料を整理して構成を決定。
最終日の4日目、各班が30分ずつ見せ方を工夫しながら成果を発表。

冒頭のテーマ「いつかメタボ」を選んだのは、
高校教師が中心の「余分3兄弟チーム」。
肥満は、様々な病気の予備軍になること、
だから運動と食生活に注意すべきだということを、
漫才のような掛け合いで説明。
女性医師役の教師が、「適度な運動と生活習慣を保ち、
元気な“ちょいメタ”でもいいかも」と話をまとめた。

同チームによると、メタボを意識した食品の登場や、
医療費抑制のため、メタボ社員の多い企業に罰金を課す動きなど、
社会的な広がりを知る上で、新聞が役に立った。
長生きの人には、意外にメタボがいるという調査結果や、
脂肪のおかげで病気にかかりにくく、脳にもいい場合があるという
専門家の指摘も、新聞記事で見つけた。

患者役を演じた大塩昌・同県木曽青峰高校教諭(44)は、
「私は、メタボ対策の商品を調べたが、いろいろなことが新聞で分かった。
現場でも応用できそう」と達成感に浸っていた。

司書講習に、NIE(新聞活用学習)を取り入れる例はまだ珍しい。
「知識基盤型社会には、知識情報を集めて評価し、
自分の考えを表現して、他者とやりとりする能力が不可欠だ。
それを磨く新聞活用には、もっと手間をかけてもよい」と、下田教授。

◆司書教諭

学校図書館法で、12学級以上ある小中高に配置が義務づけ。
10単位分の専門講習を履修すると、免許が取れる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101029-OYT8T00189.htm

筋収縮タンパクの構造解明 がん研究に貢献も

(2010年11月1日 共同通信社)

体の中で筋肉の収縮などにかかわる、幅わずか10nmの
繊維状タンパク質「アクチン繊維」の構造を、
電子顕微鏡で明らかにすることに、
大阪大の藤井高志特任研究員らのチームが成功、
英科学誌ネイチャー電子版に掲載。

チームの難波啓一教授(生物物理学)は、
「筋肉や神経など、生体内で重要な働きをしているアクチン繊維の
構造を、原子レベルで明らかにできた。
アクチンは、がんなど細胞の形が変化する病気にもかかわっており、
これらの研究にも貢献できる」

アクチン繊維は、タンパク質の一種アクチンがらせん状に
連なってできており、細胞の中で伸びたり縮んだりすることで、
細胞の運動や形を調節。

チームは、ウサギの筋肉から採取したアクチン繊維を、
液体ヘリウムでマイナス220度まで冷やして凍らせ、
電子顕微鏡で詳細に解析。
単体のアクチンを構成する四つの部位の向きや構造が、
繊維状になると大きく変化していることが分かった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/1/127724/

日々のストレス、ヨガでリセット

(2010年10月29日 毎日新聞社)

ヨガの人気が続いている。
パワーヨガ、ホットヨガ、笑いヨガなんてものも。
ヨガ専門誌を広げると、20種類ほどの流派が紹介、
医療へ取り入れているものも。
人気の理由はどこにあるのか?

六本木にあるフィットネスクラブ「ティップネス」。
この日のコースは、「ハタ・ヨガ」。
身体の運動だけでなく、深呼吸することで自分の内面、
つまり心のケアも行うことが目的。
参加者は約30人ほどで、9割は女性。

まず、あぐらを組んでスタート。
インストラクターの赤沼直美さんから、「三つの約束」と。
「目は開けたままで。自分の内側を観察しましょう」、
「マイペースでやりましょう」、
「呼吸を続けてください」

両手両足を床について、お尻を上に伸ばして体で三角形を作る。
顔を正面に向ける。少々きつい。
ポーズをとるだけで、肝心の深呼吸は全くできない。
「背骨を伸ばす」、「手をゆっくり上に伸ばす」。
参加者はみな真剣。

10分ほど体を動かしただけで、汗びっしょり。
体の硬さと運動不足がたたる。
リラックス効果のありそうな音楽が流れ、体のきしみだけが気になる。
ついにあきらめ、45分間コースが終了。
赤沼さんは、「ちょっと苦しそうでしたね」と優しく声をかけられ、
情けないやら恥ずかしいやら。
汗を多くかいたせいか、何だかちょっといい気分に。

ヨガ体験後、商品開発担当の水口有沙さんに話を聞いた。
ヨガは、最近では04、05年ごろブーム。
同社では、02年からオリジナルヨガプログラムを開始。
当初は、(1)脂肪燃焼、(2)美しいボディーライン作りなど、
主に肉体面での能力向上を目指していた。
瞑想を取り入れ、メンタル面を重視する傾向に変わりつつある。
赤沼さんも、「ヨガの原点は、精神面の強化。
抱えているストレスを、どうコントロールするかが大事」と汗をふいた。

ヨガ人口って、どれくらいなのだろう?
ヨガマットなどの製造会社「ヨガワークス」社長の綿本哲さんは、
「市場リサーチの結果、全国でだいたい100万人ほど」と見積もっている。
ヨガマットの売れ行きも7、8年前の3倍以上、
最近では、耐久性の優れた1万円以上の高価なマットも売れ行きが順調。

綿本さんは、「最近の傾向として、ヨガをマスターした人が
近所の友達と一緒にサークルを作って活動する。
20~30人でレッスンするヨガ教室から、数人単位へと次第に細分化。
すそ野が広がりつつあり、今後もヨガ人口は増える」

以前、ヨガが注目されたが、オウム真理教が取り入れていたため、
90年代の一連の事件のあおりを受け一時、下火に。
マドンナなど、ハリウッドスターがシェイプアップに役立てたことが
知れ渡ると人気を回復、今のブームに。

ヨガは健康にいい、というイメージも。
「日本ヨーガ療法学会」(木村慧心理事長)は、
気管支ぜんそくや高血圧など、メンタル面でのダメージをきっかけに
発症する「心身症」の改善のため、ヨガを取り入れている。

理事長の木村さんによると、投薬治療だけで治りきらない患者に、
ヨガを勧めている。
同学会では療法士を育成し、医療機関と連携して
患者の健康維持に努めている。
療法士は、現在約760人にまで増えた。

「笑いヨガ」なるものもある。
笑いが体によいと聞いたことはあるが……。
ギャグを出し合ったりするのだろうか?

「日本笑いヨガ協会」の高田佳子代表に会った。
赤いフレームの眼鏡をかけ、インドの民族衣装のような服装。
なんだか、おおらかな雰囲気が漂う。

この日の教室に集まったのは、初心者から経験者まで男女約20人。
20歳代から70歳代くらい。
テレビ番組で紹介されると、肩こりや腰痛で悩む女性からの
問い合わせが増えた。

笑いヨガは、15年ほど前、インドの医師が生み出したとされ、
現在では60カ国以上に広がっている。
面白いことを言うのではなく、多少無理をしてわざと笑う。
ヨガの呼吸法を取り入れている。
ポイントは、年齢や性別、経験に関係なく、誰にでもできること。

代表の高田さんは、お笑いのパフォーマーをイベントに招く仕事。
大学院で老年学を学び、高齢者の健康と笑いを結びつけようと、
自らインドへ行って研究。

高田さんは、「子どものころって、よく笑いましたよね。
大人になるにつれ、笑う機会が減ります。子どもに帰ってみましょう」

「握手したら、静電気が起こりました」という設定で、
出くわした人と手を触れ、「アハハハハ!」。
こうして室内をぐるぐると回る。
最後に「ほっほっハハハ」と言いながら、立ち止まって両手を大きく広げる。

設定はさまざまで、「飛行機に乗ってハワイへ飛んでいく」、
「クレジットカードの明細書を見て、その高額に驚く」など。
ふと見渡すと、みんな汗びっしょり。
最後は座って、ヨガの呼吸で息を整えてクールダウン。

参加の動機を聞いてみた。
会社員の女性(43)は、「昨日、子どもの育て方を間違ったかな、
と思うことがあって……。
これで解決するわけではないが、新しい気持ちで向き合える」
60代の女性は、「ストレスが原因で体調を崩してしまって。
汗をかいてすっきりした気分」と満足げ。

日本ヨーガ療法学会理事長の木村さんは、
「高度成長した社会では、ストレスがたまりがち。
高齢化社会になると、より健康で過ごしたいニーズが高まる。
自分で自分をケアできるヨガが求められるのは、自然なこと」

自殺者が、毎年3万人を超える日本。
ヨガ人気は、ストレス社会の裏返しなのかもしれない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/29/127686/

2010年11月8日月曜日

食育「関心ある」男性39% 女性の3分の2 愛知県調査

(2010年10月29日 毎日新聞社)

県が行った食育に関する県政モニターアンケートで、
「食育に関心がある」が、女性は61%だったのに対し、
男性は39%と少ないことが分かった。
若い層ほど、バランスのとれた食事をとれていないことも明らか。

アンケートは、県政モニター497人を対象に行われ、
97・1%(483人)から回答。

「食育」は、心身の健康と豊かな人間形成のため、
食に関する知識や食を選ぶ力を身につけ、
健全な食生活を送れる人間を育てること。

この「食育」という言葉や意味を知っているか尋ねたところ、
言葉自体は95・1%が知っており、同様の調査を行った
05年の82・8%よりも増えた。
意味も知っている人は63・8%にとどまり、
05年調査の64・8%とほぼ同じ。
言葉は浸透したものの、意味までは知れ渡っていないことが判明。

食育に「関心がある」50・6%、「どちらかといえば関心がある」38・5%、
9割近い人が関心を持っていた。
「関心がある」男性は39・1%、女性(61・3%)の3分の2、
大きな差があった。

バランスのとれた食事をしているかの質問では、
「積極的にしている」、「できるだけするようにしており、まあ良好である」と
答えた人の割合が、60代以上では55・4%と半数以上。

50代=47・5%、40代=45・1%、30代=38・2%、
20代=33・8%--と、若い世代ほど低率に。

健康に悪影響を与えないようにするための食品の選び方や
調理法についての知識が、「あまりないと思う」、「まったくないと思う」人が
29・2%にのぼった。
若い世代ほど知識がない人が多く、20代では40・9%に達した。

県食育推進課は、「誤った情報や風評に惑わされることがないよう、
正しい知識の啓発と実践につなげるための取り組みが必要」

県は、「食育の日」の毎月19日を、早めに帰宅して家族や友人などと
一緒に楽しく食卓を囲むことを呼びかける
「おうちでごはんの日」と定めている。

今回のアンケートでは、そのことを知らない人が67・1%、
「聞いたことはあるが、内容までは知らなかった」18%、
ほとんど県民の間には浸透していない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/29/127692/

新聞活用に備える(2)研修で「楽しさ」実感

(読売 10月28日)

若い先生たちが、集めた記事を割り付けし、
見出しを付けて新聞に仕上げていく。
中には、床に模造紙を広げ、腹ばいになって作業する人も。

東京都北区教育委員会の初任者研修が8月、
南房総市にある同区の研修施設で開かれ、
今春、区立の小中学校に採用された37人が参加。

2泊3日の合宿研修で、新聞活用学習を扱うのは2時間ほど。
実際に手や体を動かして面白さを実感してもらい、
教室でその面白さを、子どもたちに伝えてもらおうというもの。
色ペンやハサミを手にした先生たちは、
「見出しに飾り模様を入れるのも楽しいわね」、
「その新聞名、いいじゃない」などと、にぎやかに取り組んでいた。

同区立神谷小学校の世取山拓平教諭(23)が作った新聞の主見出しは、
「暑い夏、全員がヒーロー!」。
「甲子園球児たちの汗と涙を紹介し、誰もが活躍できる
可能性があることを教えたい」
熱中症も多かったため、「楽しい夏と怖い夏」という小見出しも。

生死不明の高齢者が、次々に明らかになった事件を、
「偽長寿大国?」という見出しで表現したのは、
同区立明桜中学校の根岸昭子教諭(27)。
「近隣同士の思いやりが少なくなり、老人や子どもが社会から
見えなくなっている。救うには何が必要か、コラムにした」

英語が専門の根岸教諭は、現実社会に目を向けず、
自分しか見えない子が多いことも気になる。
「新聞の国際面を、異文化理解教育に活用して、
井の中の蛙から脱皮させたい」と意欲的。

作業を見守っていた松塚智加子・指導主事は、
「どれも新学期からすぐ授業に取り入れられます。
楽しさを実感できたようでよかった」

同区では、昨年度策定した「北区教育ビジョン2010」に、
「新聞大好きプロジェクト」を盛り込み、重点施策として位置づけ。
新聞に親しみ、社会の出来事に興味を持つことで、
児童生徒の思考力、判断力、表現力、問題解決能力などを
伸ばそうというものだ。
教員の意識的取り組みも必要だと考え、研修の様々な場面で
新聞活用学習を導入。
初任者研修もその一環だ。

昭和初期に、滝野川尋常高等小学校で新聞学習に取り組み、
「新聞学習の発祥の地」を自任する同区。
若い教員は、新聞を読む時間が少ないのも現実。
初任者研修の参加者37人のうち、新聞を毎日読むのは1人だけで、
読まない者は13人もいた。

矢口仁・教育指導課長(53)は、「総合的な言語力向上のため、
新聞教育をさらに活性化したい」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101028-OYT8T00172.htm

2010年11月7日日曜日

世界の研究機関、一斉に「宇宙の生命」探しへ

(2010年10月29日 読売新聞)

地球以外の星の知的生命体からの信号を求め、
世界11か国の天文台や大学など17機関が、11月5日から、
一斉に電波望遠鏡や高感度アンテナなどを宇宙の一か所に向ける、
「地球外知的生命体探査(SETI)」を始める。

史上初の世界合同観測で、地球外生命を見つける可能性を高める。

SETIは、1960年に米国で始まった。
星などからの電波や光とは違うパターンの信号を、
長時間受信できれば、知的生命体からの信号である可能性が出てくる。
77年、米観測機関が、可能性がある電波を長時間観測したが、
同じ電波は二度と観測されなかった。

今回、兵庫県立西はりま天文台(佐用町)の鳴沢真也・主任研究員の
呼びかけで、国内最大級の直径32mのパラボラアンテナを持つ
山口大のほか、米国や韓国、インド、イタリアなどの研究者らが参加。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/29/127656/

新聞活用に備える(1)読み方 まず教師が学ぶ

(読売 10月27日)

「どんな写真がいいでしょうか?
リード(前文)、本文、見出しを手がかりに、六つの写真から選んでみましょう」

夏休みに入った7月下旬、秋田県五城目町立大川小学校の教室で
開かれた新聞活用教育(NIE)の講習会。
講師の伊藤暢・同県総合教育センター指導主事(47)から、
授業のノウハウを学ぶのは、同小と近隣の小学校の先生たち。

教頭を含め、ベテランがそろった8人の先生に渡されたのは、
2008年4月、北京五輪の聖火ランナーが長野市内を走った
模様を伝える新聞2紙の社会面のコピー。
中国のチベット弾圧に対する抗議活動を懸念し、
厳重な警備が敷かれた様子を、批判も込めた見出しで、
「市民置き去り」、「警備が壁」、「笑顔硬く」などと伝えている。

記事コピーは写真を抜いてあり、その代わりに写真6枚のコピーが
一緒に配られた。
教員は2人一組に分かれ、「この写真はランナーの表情が硬いから、こっち」、
「市民がないがしろにされている写真は、この見出しにぴったり」などと
意見を出し合った。

「面白い。普段から新聞を読んで、授業で使えそうな記事を
スクラップしたい」と意気込むのは、大川小の小玉薫教諭(50)。
同県では、新学習指導要領の完全実施を前に活発化する研修会で、
教師たちが新聞の読み方を学んでいる。

記事の内容に合う写真や見出しを選ばせるこの学習方法は、

秋田大学付属小学校の国語の授業で、数年前から実践。
担当の小室真紀教諭(40)は、
「同じテーマの記事でも、複数紙で写真や見出しを比べて読めば、
内容の構成や表現方法、狙いの違いを吟味できる」

全国学力・学習状況調査でトップ級を維持する同県で、
県NIE推進協議会長を務める阿部昇・秋田大付属小校長(56)は、
「秋田では、多元的に情報を読み取る土壌が培われ、
総合的分析を必要とするPISA型学力が比較的高い。
新聞の活用は、それをさらに磨くことにつながる、極めて有効な手法

同県の教員採用試験では05年度から、
1次試験「総合教養」の時事問題は、すべて新聞社説から出題。
出典も全国紙、地方紙、経済紙、英字紙と幅広い。
県高校教育課は、「新聞を読むことで、社会を見る目のほか、
表現力や国語力が向上する。
学生時代から、新聞を読む習慣が大切」と狙いを明かす。

教育先進県のNIEは、教える側が新聞を読むことから始まっている。


新聞活用を盛り込んだ新学習指導要領が、
小学校は来年度、中学校では12年度から完全実施。
授業で新聞を使いこなすには、どんな準備をしたらいいのか?
11月1日に始まるNIE週間を前に、各地の取り組みを追った。

◆PISA型学力

様々な情報から自分で問題を見つけ、論理的に組み立てて解決する力。
経済協力開発機構(OECD)が各国で調査。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101027-OYT8T00171.htm