2010年1月2日土曜日

乳がん発症率、飲酒量増せばアップ 厚労省、女性に警鐘

(2009年12月25日 毎日新聞社)

毎日ビール大瓶を1本以上飲むような飲酒量の多い女性は、
乳がんになる可能性が高い。

厚生労働省研究班の大規模調査で分かった。
欧米でも同様の結果があり、研究班は「酒を飲みすぎないことが
乳がん予防につながる」と提言。

調査は、9府県に住む40~69歳の女性約5万人が対象、
13~16年間の調査期間中に572人が発症。
飲酒習慣について、(1)飲んだことがない、(2)ときどき(月1~3回)、
(3)週にエタノール換算で150g(日本酒約7合、ビール大瓶約7本
などに相当)以下、(4)週に同151g以上、
(5)過去に飲んでいた--の5群に分類、発症率との関係を調べた。

その結果、最も飲酒量が多い群が乳がんを発症する割合は、
飲まない群の1・75倍。

肥満や飲酒によって赤くなる傾向、喫煙の有無とは関係なく、
飲酒量が多い群の発症率が最も高かった。

酒を飲むと、体内に発がん性物質が生成される。
国内の調査では、男性は飲酒量が多いと、がんの発症率が
高くなることが知られ、女性のがんと飲酒の関係は不明。

研究班の岩崎基・国立がんセンター予防研究部室長は、
「従来のがん予防で指摘されているように、
1日あたりの飲酒は、最大でもエタノール換算23g(日本酒で約1合)
がよいのではないか」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/12/25/113729/

五葉山仰ぎ創作に専念 住田の夫妻が木彫工房開所

(岩手日報 12月24日)

住田町上有住の佐々木公一さん(34)、カナこさん(32)夫妻は、
自宅で木彫刻工房五葉舎の工房開きを行った。

約30人が集まり、ケヤキで作った看板を除幕。
公一さん作の聖観音菩薩立像などを披露。
自宅兼工房は、酒屋だった築約90年の木造家屋を利用。

工房の舎長を務めるカナこさんは社寺彫刻が中心、
公一さんは仏像を中心に手掛ける。
2人は、富山県内での彫刻修業中に出会い、
2003年に公一さんの故郷である住田町に移住。

工房は、五葉山のふもとにある。
公一さんは、「静かで空気も良い環境の中で、
2人で協力しながら心穏やかに制作に打ち込みたい」

住所は、住田町上有住字中沢70の1。
問い合わせは五葉舎(090・7744・3073)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091224_8

未来へのパス:全国高校ラグビーを前に/中 7人制特化プロジェクト

(毎日 12月23日)

日本ラグビー協会は、世界の強豪と戦える「金の卵」を発掘し、
育成するプロジェクト「セブンズ(7人制)アカデミー」
初めて開いた。
17歳以下の男子日本代表(15人制)の一部選手に加え、
各地域協会などが推薦した小学生から高校生までの
男女62人を、味の素ナショナルトレーニングセンターに集め、
選考テストや7人制日本代表との合同練習、
栄養学やアンチ・ドーピングの講義などが組まれた。

7人制に特化したタレント発掘、育成のプロジェクトは
これまではなく、日本協会の山本寛・選手発掘総括マネジャー
(元法大監督)は、「五輪採用を見越して、長く構想を温めてきた」

来年以降も、年4回実施する予定、山本マネジャーは、
「選考テストの結果や成長度に応じ、選手を入れ替える。
高度なプログラムで継続的に育成、強化し、
将来の日本代表につなげたい」

今大会の優勝候補の一角、東福岡(福岡)のCTB布巻峻介(2年)は、
今年度、7人制日本代表の練習生に選ばれた。
日本協会関係者も、「これまで聞いたことがない」と驚く異例の抜てき。
村田亙・同代表監督は、「花園で(1年時の)彼を見て、
若いうちから経験を積ませたいと思った」

山本マネジャーは、「五輪は、ワールドカップ(W杯)より注目度が高く、
ラグビーのアピールにつながる」
五輪の目標はメダル獲得だが、今年の7人制W杯1次リーグでは
男女とも全敗するなど、世界の強豪と差が大きい。
中学は12人制、高校は15人制が中心で、
7人制になじみがないだけに、16、20年五輪で中核となる
この世代を鍛えることが、躍進には欠かせない。

アカデミーにも参加した布巻は、「他の人より、早くスタートが切れた。
学んだ組織ディフェンスは、東福岡でも(15人制の練習に)
早速取り入れた」
栄養学の講義を受け、野菜を毎日食べるなど食生活も変わった。
山本マネジャーは、「アカデミーで得た課題を各自持ち帰り、
学校で鍛錬する。その仕組みも構築したい

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/12/23/20091223ddm035050042000c.html

幼児教育(7)全員で劇 社会性の一歩

(読売 12月24日)

友達と協力するなかで、社会性の基礎が育まれる。

東京・中央区の区立豊海幼稚園。
年長の「うみ組」が、翌日の子ども会で演じる「白雪姫」を、
年中組や年少組の前で披露。
配役、せりふ、衣装、舞台装置や小道具まで、自分たちで
話し合いながら、一つの劇を作り上げ、子どもたちは
満足そうな笑顔をあふれさせた。

岩城真佐子園長(54)によると、同園では伝統的に、協力したり、
自分の役割を果たしたりできるようになる過程に、指導の重点。
社会性の基礎を育むためで、劇の準備は、
そのための最も効果的な活動の一つ。

うみ組では、本番の1か月前から、場面ごとに班に分かれて
準備をしてきた。
普段一緒に遊ぶことの多い、りこちゃん(5)(仮名)ら女児5人が
集まった班では、ある日、役を決めようとして女児全員が、
「白雪姫をやりたい」と主張、友達に譲れない気持ちが強くなっていた。

担任の真家順子教諭(41)は、1人ずつ白雪姫役を
演じてみることを提案。
恥ずかしがって声を出せない子もいるなか、
あいちゃん(5)(同)が役になりきり、
大きな声でせりふを言うことができた。
真家教諭が、改めて「白雪姫は誰がいいと思う?」と尋ねると、
女児たちは「あいちゃんがじょうずだった」と褒め、
自分たちは、こびと役を務めることに。

岩城園長は、「他者を認めることができるのは、社会性の一歩」。
話し合った結果、男児が白雪姫役に推された班も。

クラス全員で取り組んでいる劇という自覚が芽生え、
行動にも変化が表れた。

本番を1週間後に控えたある日、クラス全体での練習中、
準備不足から「ここ誰が言うの?」、「私じゃないわ」と
言い合いになって中断。
出番を待つ班から、強い口調で
「集まって準備してなかったの?」と責められてしまった。

「集まったけど、できなかったの」と反論するりこちゃん。
真家教諭が、「集まったけど、時間が足りなかったのよね。
でも、ちゃんとできないと、ほかのグループも困っちゃうね。
どうしようか」と声をかけると、
りこちゃんは、「ご飯の後に集まって練習する」と答え、
昼食後、ほかの子どもたちが自由遊びをするなか、廊下で練習。

真家教諭は、「仲間に迷惑をかけた事に気づき、
自分たちの行動を考えることができた」と心の成長を分析。

本番も、自信を持って演じきったりこちゃんたちは、
保護者から大きな拍手を浴びた。
岩城園長は、「子ども会の後も、仲間で協力して遊ぶ姿が
目に見えて増えている」

一つの目標に向けて、友達と協力する楽しさや責任感が、
園での生活の中で培われている。

◆メモ

友達と協力して物事に取り組む経験は、集団生活ならではのもの、
岩城園長は、「大掃除など家族が協力できるイベントが多い
年末年始は、責任感を養うチャンス」
完全にできなくても、できた部分を褒めてあげることで
達成感が生まれる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091224-OYT8T00233.htm

2010年1月1日金曜日

未来へのパス:全国高校ラグビーを前に/上 女子普及へ東西対抗戦

(毎日 12月22日)

大阪府寝屋川市の同志社香里高1年、堀内春香(15)は、
11月末に正式に「ラグビー部員」となった。
中学2年からクラブチームで競技を始めたが、
「レベルを上げたい」と入学前から清鶴敏也監督に
入部を申し込んだ。
清鶴監督は、熱意に押されて許可したが、
入部当初の扱いは「練習生」。
「これまで女子の入部はなく、危険と思った」と振り返る。

現在も、女子部員は1人。
激しいコンタクトプレー以外、練習内容は男子と同じ。
堀内のひたむきな練習姿勢に、清鶴監督は
「私の意識が変わった。男女一緒でも運営できると分かった」。
堀内も、「ハンドリングの基本ができるようになった」と上達を実感。

日本女子ラグビー連盟によると、
女子の国内競技人口は約1000人。
約半数がラグビースクール生。
小学生(中学生の一部含む)はラグビースクール、
中学生以上はクラブチームに所属するのが一般的。

クラブ間の試合は、日本協会の規約で中学生同士、高校生同士、
大学生以上同士と決められている。
安全面の配慮が理由だが、現状は人数不足で中学生、高校生の
チームの編成は難しい。
中学、高校に女子ラグビー部はなく、
この年代は試合をするにも苦労する。

強化に向け期待を担うのが、小学5年~高校2年で構成する
「ユース」の存在。
ユースは現在、関東、関西、東北、九州の四つ。
関西ユースには、堀内を含めてセレクションに合格した
約40人がおり、月1回(来年から月2回)練習。
同連盟の藤田有紀子・常任理事は、
「女子小学生が、中高生になってやめる現状を食い止めたかった」

今年、男女7人制が16、20年夏季五輪の実施競技に採用。
日本協会などは、女子7人制の普及、強化を目的に、
今大会の開会式後のエキシビションとして、
「女子7人制東西対抗戦」を開く。
堀内も、西軍のFWとして、晴れの舞台に立つ。

清鶴監督は、「(女子の入部は)安全性の確保と、
その子の熱意が大前提」としたうえで、
「五輪を考えれば、指導者側にも意識の変革が求められている」
藤田理事は、「将来的に、学校に女子ラグビー部が増えるのが理想」
女子の普及、強化をどう進めるか、模索は続く。

2019年ワールドカップの日本開催、16、20年の夏季五輪での
7人制実施が相次いで決まった。
27日開幕の全国高校大会は、今後の普及に向け、
大きな位置づけを担うだけでなく、参加選手は強化の中核世代。
未来を夢見る世代に、どんなパスを送れるのか?

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/12/22/20091222ddm035050018000c.html

2010年 ゴルファー開拓、曲がり角

(日経 2009-12-26)

2010年は、サッカー・ワールドカップや冬季オリンピックの
開催年で、スポーツ関連商戦が盛り上がると期待。
ゴルフでも、09年度の男子賞金王、石川遼選手が
マスターズ・トーナメントなど、「四大メジャー大会」に参戦。
成績次第では、ゴルフがいっそう脚光を浴びる年に。

宮里藍選手が、プロデビューしたのが03年。
横峯さくら選手ら同年代がしのぎを削る女子トーナメントは
盛り上がり、05年には1トーナメント当たりの入場者数で、
女子が男子を逆転。
ゴルフ人気は若年層に波及し、ゴルフ場をはじめ、
ウエアなどの関連市場が活性化。

それでも、不安要素がある。
市場を支えてきたコア層の溶解は、確実に進んでいる。

ここ数年、トッププロの活躍という追い風を、市場拡大に
つなげてきたのは、アコーディア・ゴルフや
パシフィックゴルフグループインターナショナルホールディングス
(PGMグループ)といった、新興ながら大手に躍り出た
ゴルフ場運営チェーン。

低料金でプレーできるメニューをそろえ、友人グループや親類ら、
「社用族」とは一線を画す需要層の開拓に成功。
カップルの2人利用も、積極的に受け入れる姿勢を強める。

その両社が、職場では第一線を退いた60代男性に
目を向け始めている。
再び利用頻度の高いヘビーユーザーになり得る、
元「社用族」をひき付ける戦略。

地場の組織や趣味のグループなどに営業をかけて利用を促し、
利用者の底上げを図る。
会社組織を離れた、元ゴルファーを組織化する工夫にも余念がない。

この戦略は間違っていないし、多様な低料金メニューを提示すれば、
需要喚起に成功するだろう。
開拓余地のあるターゲットが、次第に狭まってきた。

すでに開拓した女性や若年層の反復利用に、限界も。
客単価を落としても、敏感に客数に跳ね返らなくなっている。
若い女性の参入者で、年間10回以上ゴルフ場に出かける人は
多くはない。

ゴルフ場を繰り返し訪ねるのは、なんらかの形で
仕事の影をひきずるからだ。
まったくプライベートの趣味、となると、他のレジャーや
ショッピングなどと競合する。
接待など、企業がプレーフィーを負担するような
需要が戻ってくるとは思えない。

2大チェーンでさえ、成長の踊り場を迎えかねない正念場。
ゴルフ場の多くが強い逆風をこらえられるか、予断を許さない。
系列化がいっそう進むだろう。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/syohi/syo091225.html

小中一貫に保護者ら歓迎 前沢と普代がモデル指定に

(岩手日報 12月25日)

県教委は、小中一貫教育のモデル地区に、
奥州市前沢区と普代村を指定。

法貴敬教育長は、「9年間の系統的な教育と小中の先生が、
相互交流でさまざまなことに気づくことが重要」と狙い。
地元の保護者らは、「将来を担う子どもたちの新たな教育」を歓迎。

法貴教育長は、「東京都三鷹市など、全国の自治体が
小中一貫を進めている。
2地区は、本県でのモデルをつくり上げてもらいたい」と期待。
県教委は、2010年度から3年間、両地区に計4人の教師を
加配し、助言者を派遣。

奥州市の菅原義子教育長は、「14年度に区内小学校を統合し、
1小1中となる。
この状況で、小中一貫がより良い学習環境の保障につながる」と
以前からあたためていた構想を語る。

教員経験を持つ前沢区の鈴木秀悦さん(67)は、
小中の人事交流は、ほとんどないのが現状。
子どもより、教員に大きな意味がある」と指摘。
同区の保護者小野寺尚さん(47)は、
「学力低下が言われている。
小中一貫には、より高度な授業内容を求めたい」と期待。

普代村の熊坂伸子教育長は、「テーマは、教育関係者だけで
決めることではなく、地域の思いをくみ上げたい。
人材を育てるため、学力だけでなく、
人間力や地域を思いやる気持ちなどを考えている

普代小のPTA会長森田幸一さん(52)は、
「今は、小学校統合が最大の関心事。
保護者の多くは、小中一貫教育をまだよく理解していない。
モデル地区指定を、村の教育の将来を考える機会にしたい」

同村中村の主婦上下優子さん(40)は、
「(小中一貫教育による)小学の教科担任制は、
苦手科目などを持つ子どものためによさそう。
学力向上だけでなく、人の気持ちや命の大切さ、
地域とのつながりなどの学習にも力を入れてもらいたい」と期待。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091225_6

幼児教育(6)言葉をかけ自律性育む

(読売 12月23日)

子どもたちに手本を示しながら、言葉の発達を促す。

「もういらない」、
「まだ足りないから持ってくる」

京都市伏見区の京都教育大学付属幼稚園。
4歳児の「ふじグループ」の園児3人が、
2人対1人で言い争いを始めた。
間もなく始まるグループ活動の準備で、並べるイスの数を巡って
意見が食い違った。
高野史朗教諭(28)が、その声に気付き、近づいてきた。
「じゃあ、数を数えよう」

高野教諭の提案を聞いた園児たちが、運んできたイスを
数えてみると、18脚あった。
「ふじグループは何人いるの?」、「きょうはお休みの人は?」
高野教諭は、丁寧に声を掛けながら確認を促した。

その結果、園児たちは「じゃあ18だね」と結論を出し、
いさかいは収まった。
「気軽に答えを言ってしまうのは簡単だが、
双方が納得できる形で終えたいと思った」
新たな提案を機に、園児の思考が切り替わり、問題は解決。

開園124年目の同園は、20年前に自由保育を導入。
自由な遊びを通して、自ら意思疎通する力を持つ子どもを
育てることを目指している。
こうした能力を獲得するためには、きっかけとなる言葉が重要では。
国語学者でもある森山卓郎園長(49)が、
その一つとして注目したのが、「じゃあ」という言葉。

「ブランコ代わって」と何度も求められた園児が、
「じゃあ、代わってあげる」と拒否から一転、
相手の気持ちを受け止めることがある。
実際、イスを巡る言い争いでも、「じゃあ」という助け舟が
対人関係がこじれるのを防ぐきっかけに。

森山園長は、「先生は、子どものモデル。
実際の場面を経験することで、子どもたちも
コミュニケーションの力がつく

言葉に心を込めることにも腐心する。
光村智香子教諭(34)は、園児とプランターに
チューリップの球根を植えた。
光村教諭が、「葉っぱのお布団をかけるのよ」と、ふんわりと
葉っぱをかぶせ、指を口に添えて「おやすみ」とささやくと、
園児もまねをして、口々に「おやすみ」と声をかけた。
霜対策だが、傍らで観察していた鍋島惠美副園長(58)は、
「球根を人にたとえることで、ストンと子どもの気持ちに入っていく。
言葉に心情が伴うことが、コミュニケーションには大事

同園では、こうした意思疎通の能力や生きた言葉の獲得が、
意欲につながると考えている。
卒園生が多く在籍する同大付属高校の斉藤正治副校長(57)は、
「付属出身の子は、勉強以外の活動にも積極的に参加する
傾向が強い」

言葉の力の基礎を築く幼児期。
場面に応じて工夫されたかかわり方が、
子どもたちの自律性を育んでいる。

◆メモ

玉川大学の佐藤久美子教授(言語心理学)によると、
言葉の基礎ができるのは2歳ごろ。
子どもが「電車」と言ったら、「電車だね」と相づちを打つなど、
親子で互いの言葉をまねることが語彙力の発達につながる。
話す間を与え、言葉が出たらすぐに返してあげるのが効果的。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091223-OYT8T00300.htm

2009年12月31日木曜日

幼児教育(5)みそ作って食に関心

(読売 12月22日)

園児の食物アレルギーに向き合うことで、食育が広がっていく。

教室に隣接する調理場から、みそ汁や炊き込みご飯の香りが
漂ってきた。
園庭を駆け回って遊んでいた子どもたちが、
「今日は何?」とのぞきにやってきて、食器を運ぶ。
仙台市青葉区の私立みどりの森幼稚園の、週1回の給食の日。

調理には、食育専任の安東厚美教諭(42)のほか、
保護者数人が手伝いに入る。
保護者の出身地の郷土料理も度々登場。
この日は、毎回3種類用意されるご飯が、炊き込みご飯、
大根葉が入ったシラスご飯と白いご飯。
具だくさんのみそ汁、山芋の磯辺揚げ、大根の漬けもの、ミカン。

「強制されて、食べられるようになる子はいない」との考えから、
無理強いはしない。
子どもたちは、「ネギなしでお願いします」、
「シラスご飯を大盛りで」などと自分で種類や量を決める。

園の給食はかつて、月に1度のカレーや、園で飼っているニワトリが
産む卵を使ったホットケーキなどが人気メニュー。
2005年春、小麦アレルギーを持つ男児の入園をきっかけに、
小麦を使わずにできる和食に転換。

男児の母親からは入園時、「給食の日は休ませる」という申し出が。
小島芳園長(43)らは、「仲間を休ませてまで、
しなければいけない活動はあるのだろうか」と考え、
この献立にたどり着いた。

小島園長は、「ほかの子どもの体験を減らしたくないとの思いも強かった」
お菓子作りで、小麦粉を使うクッキーの代わりには、
干し柿をすりつぶして焼く郷土料理のおやつ「柿のり」を作るなど、
食の体験はむしろ増やしていった。

教師たちはある日、男児が他の園児たちから
「小麦粉!小麦粉!」とからかわれている場面を目撃し、
ショックを受ける。
アレルギーをなるべく意識させない園生活を優先しすぎていた、
という反省がわいてきた。

この男児は、大豆アレルギーもあるため、
給食のみそ汁は大豆みそを使わずに、別に作ってもらっていた。
改めてアレルギーに向き合う一歩として、
「一緒に食べられるみそを作ろう」と、
園児たちで米、ヒエ、キビを使ったみそ作りに挑戦。
子どもたちは、それぞれの色や香り、味の違いに注目するようになり、
合わせみそで、「自分好みのみそ」作りをするまで発展。

食への関心を引き出す取り組みから5年目。
園児の母親らは、「子どもたちは家でも野菜やご飯を好み、
ファストフードなどはあまり食べない」と口をそろえる。
卒園時のアンケートでは、一番好きなメニューに、
ご飯を挙げる子どもが多い。

味覚が発達していく幼児期に、「食」を通した働きかけで、
生活の基本が形成されていく。

◆メモ

食べ残しの多くなりがちな幼児だが、安東教諭は
「体調などによって、必要な栄養やカロリーは変わる」と指摘、
家庭ではやや少なめの盛りつけを提案。
食べきることで達成感を感じ、もっと食べられそうな時には
おかわりをさせるといい。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091222-OYT8T00252.htm

妊娠女性の全身数値データベース公開

(サイエンスポータル 2009年12月22日)

妊婦と胎児の体の組織を忠実に再現した
「妊娠女性全身数値データ」が、企業向けに有償で公開。

このデータは、情報通信研究機構と千葉大学が共同で開発、
妊娠女性の体を、約710万もの立方体に細分化し番号を振り、
デジタル表示を可能。
電波が、人体にどのような影響を与えるかを調べる目的で
開発が始まったが、本来の目的以外の医療機器開発や
治療効果の評価、交通事故時の障害の評価、
衣料デザインなど、幅広い分野での研究開発や商品開発に
利用できると期待。

情報通信研究機構は、昨年7月から非営利目的の研究利用にのみ
データベースを提供、企業からの要望が高いことから、
営利目的の利用に対しても提供。

データベースは、妊娠26週の日本人妊婦の平均的体型を模し、
胎児や胎盤などの妊娠女性固有の組織を含む
56種類の組織と臓器に電気定数を設定することで、
電波が妊娠女性の体内にどのように吸収されるかを
高い精度で推定。

電気定数以外の人体特性値を設定することで、
さまざまな分野での利用が可能に。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0912/0912221.html

新しい波/328 フェンシング界その後/中

(毎日 12月19日)

就職せずに競技を続け、「ニート剣士」と呼ばれた
北京五輪フェンシング男子フルーレ銀メダリストの太田雄貴が、
その生活から抜け出したのは昨年11月。

太田を正社員として雇った森永製菓の
松崎勲・ウイダー事業本部長は、
「アスリートと我々の事業の懸け橋になってほしかった」と、
採用の理由を語る。

競技者が吸収しやすいように開発されたゼリー飲料を、
94年に「朝食向け」として売り出し、これが当たった。
現在まで10年以上にわたって、同社の稼ぎ頭に。
「スポーツの栄養補給のあり方を、一般消費者に
『平行移動』した結果」と松崎本部長。
スポーツのノウハウを活用することで、ビジネスチャンスが生まれる。
太田には、引退後もスポーツ界との橋渡し役を期待し、
契約社員ではなく、正社員として雇用。

今年4月、飲食・娯楽施設を経営するネクサス(群馬県高崎市)が
北京五輪代表の千田健太ら5人によるフェンシングチームを発足。
星野敏社長は、法大フェンシング部出身で国体に出場したことも。

大学までトップ選手でも、社会人となって競技に専念する場が
少ないフェンシング界。
北京五輪出場時の太田の所属は「京都クラブ」、
千田も「宮城クラブ」。
企業などの受け皿はなく、地元のクラブを所属先として登録。

ネクサスは、競技に専念してもらう一方、
引退後も社員として働けるようにと、選手を正社員として雇用。
日本フェンシング協会の藤原義和事務局長は、
「企業が、選手にフェンシング中心の生活を
準備してくれるのはありがたい」
こうした待遇を受ける選手は、まだ一部に過ぎず、
選手の雇用環境の整備は道半ば。

五輪での注目をきっかけに、好転し始めた競技者支援の動きを
どう維持、拡大していくか?
日本協会の張西厚志専務理事は、
「さらに受け皿を広げるには、まずは強い日本代表を作るしかない」
選手の強化と雇用。
フェンシング界にとって、課題の両輪。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091219ddm035050004000c.html

子ども自ら考える授業を 盛岡で全国算数研究会

(岩手日報 12月27日)

全国算数授業研究会岩手大会(全国算数授業研究会主催)は、
青山小で開かれた。

県内外の小学校教諭ら、約500人が参加。
本年度から、新学習指導要領への移行期間に入り、
テーマは「Change!」。

教え込むのではなく、子どもたちが自ら考え、工夫して
解決方法を見いだせるような算数教育の在り方を探求。

午前中は、青山小の2~5年の児童を対象にした
七つの公開授業が行われた。
筑波大付属小の夏坂哲志教諭による3年生の授業では、
答えが2けたになる割り算について取り上げた。

商が1けたの問題は、九九を利用して答えられても、
2けたになると理解できない児童が目立った。
児童の考え方を引き出しながら、子どもたちが納得できるまで
寄り添い、解決への「気づき」を導く授業が行われた。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091227_7

2009年12月30日水曜日

睡眠不足は太りやすい 食事量は同じでも活動量が減る!

(日経ヘルス 12月25日)

睡眠時間を減らすと、食べる量は変わらないのに、
体を動かす量が減ることが実験で確かめられた。

対象は、15人の男性。
通常の睡眠時間(8時間15分)と、少ない睡眠時間(4時間15分)の
場合の身体活動量とエネルギー摂取量を比較。
身体活動量は、腰につけた加速度計で評価。

それぞれの睡眠時間で続けて2日間過ごしたところ、
睡眠時間が少ないと、通常の睡眠時間の場合に比べ、
日中の身体活動量が1日目は13%、2日目は9%減る。

食事はビュッフェ式で、朝食から夕食だけでなく、
おやつが用意され、好きなだけ食べた。

食事からのエネルギー摂取量を分析すると、どちらの睡眠時間でも
ほぼ同じで、睡眠不足は食事量に影響しなかった。
食欲や空腹感にも変化がなく、空腹感に関係したホルモンである
グレリンとレプチンの量も、睡眠時間による違いは見られない。

睡眠不足が重なると、太りやすくなるばかりか、
「肥満や糖尿病、心臓病につながる可能性がある」と
研究者らはいっている。
(Am. J. Clin. Nutr.; 90,1476-1482,2009)

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20091225/105396/

野球用具に“第二の人生” 廃バットから木製靴べら

(東海新報 12月18日)

野球に「もったいない精神」を―。
大船渡市の社会人野球チームと木工作家が協力し、
折れて使えなくなった木製バットを、木工品の靴べらとして蘇らせた。
これまでほとんどが捨てられるだけだった廃材を、
有効活用するエコな取り組みに注目が集まりそう。

バットは、同市の社会人硬式野球チーム、
赤崎野球クラブ(菅原敬司部長)が提供。
質のいい木で作られながら、折れれば捨てられるだけのバットを、
「もったいない」と感じていた同市赤崎町の木ばくり工房
(佐々木淳一さん経営)に送り、木工品として蘇らせることを依頼。

どんなものに仕上げるか、当初は答えが見えず、
試行錯誤したという佐々木さん。
最終的には、縦にひびが入ったように割れた形状が多いことから、
靴べらにしようと決定。
「細かく砕いて別のものに仕上げるのは簡単だが、
できるだけバットの形を残したかった」というこだわりが
生きた木工品が完成。

出来上がった靴べらは手触り、光沢もよく、実際に使ってみると、
バット表面のカーブがほどよく踵にフィットする逸品。
完成品は、同クラブの後援会に寄贈する予定。

佐々木さんは、「木も折れて捨てられるだけでは面白くないだろう。
別のモノとして、もう一回日の目を浴びさせてやれればうれしい」

菅原部長は、「折れたバットから、素晴らしい出来栄えの
木工品が生まれた。
エコが叫ばれる時代に、野球界も資源を無駄にしないよう
積極的に取り組むべき」と活動の意義。

http://www.tohkaishimpo.com/

幼児教育(4)身近な漢字少しずつ

(読売 12月19日)

幼児期に漢字に触れさせ、知的好奇心を刺激する。

「なぞなぞです。〈1〉顔にあります、〈2〉赤い色です、
〈3〉中には白いものが見えます」
「口!」

東京都杉並区の区立堀ノ内幼稚園。
小学校入学を翌春に控えた年長児が、山田和美教諭(50)の出す
なぞなぞや、絵合わせゲームなどに興じていた。
使っていたのは、「石」、「空」、「山」などの漢字が
絵柄とともに書かれているトランプ大の「漢字カード」。
杉並区教委が作成し、区立の全6園で昨年度から導入。

「幼稚園教育で漢字を」という区教委の方針は、
小学校入学後の学力向上も視野に入れたもの。
当初、現場の教師や保護者からは、拒否反応があった。

2007年度の1年間、区立幼稚園の漢字教育プログラム検討会の
委員を務めた同幼稚園の川副園美・副園長(51)も、
就任当初は消極派。
「幼児は、教えればどんどん覚えるが、小学校で漢字を初めて
習った時の新鮮さは失われる。
友達との交わり方など、幼稚園で学ぶべき事はほかにある」
幼児教室などに通い、「漢字が書けるよ」と得意げに話す園児がいても、
「そうなんだあ」と素っ気ない対応で聞き流していた。

検討会委員に就任したため、とりあえず子どもたちの日常にある
漢字を撮影し、年長児に見せてみた。
道路に書かれた「止まれ」、電柱にある住所表示など、
ほとんどの園児が読めることが判明。
「身近なものなら、知的好奇心を刺激する教材として
活用してもいいのでは」と、考えを改めた。

検討会での議論もあり、遊びながら学べる教材として、
漢字カードを作ることに。
採用する漢字は、養護学校の教科書などを参考に、
子どもの生活に身近で、形から意味をイメージしやすい20字を選んだ。
4枚ずつ計80枚のセットにし、
裏には区のキャラクター「なみすけ」を描いた。

使い方も工夫した。
いきなり漢字カードを使うことはせず、
年長になった4月ごろに曜日などを漢字で書いたカレンダー、
6月ごろには漢字の名札などと、生活の中の漢字を
少しずつ増やしていく。
12月ごろから、遊びの中で漢字カードを使い始め、
読みや意味を教え込むことはしないことにした。

川副副園長によると、子どもたちはカードで遊ぶうちに、
「川副先生の『川』の字だ」などと興味を示す。
自分たちで同じカードを作ったり、カードに取り上げていない
車などの絵を描き、先生に漢字を書いてもらったりするようになる。

描かれている絵で、漢字の意味をイメージするため、
中には「虫」を、「カブトムシ」などと読む子どももいるが、
川副副園長は「知識として与えるよりも、『なんて読むんだろう』という
興味の気持ちを大事にしたい」

身近な生活に結びつけた遊びの中で、
子どもたちが漢字に親しんでいる。

◆メモ

漢字は、間違った書き順や形を覚えて小学校に入学すると、
覚え直すのに苦労することがある。
杉並区教委は、家庭などで行きすぎた指導をしないよう薦めている。
「なんて読むの?」と質問してきたら答えるなど、
知りたい欲求を満たすことが効果的。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091219-OYT8T00248.htm

県民税のあり方を意見交換 森林づくり評価委

(岩手日報 12月26日)

いわての森林づくり県民税事業評価委員会
(委員長・岡田秀二岩手大農学部教授)は、エスポワールいわてで
開かれ、同事業(2006~10年度)終了後の
同県民税のあり方について意見交換。

委員10人が出席。
県は事業の実施状況について、計画通りに間伐など
森林整備が進んでいるが、事業対象となる森林の拡大や
間伐材の利用などに課題がある―と報告。

委員からは、今後の事業のあり方について、
「事業の目的や手段を明確にすべき」、
「間伐材をものづくりに利用してはどうか」などの意見。

同事業について、11月に行われた県民アンケートの結果が報告、
県民税の仕組みや使途への賛同、継続を望む声が約6割。
一方で、「PR不足」、「植樹など県民が参加でき、実感できる
活動がほしい」などの意見も。

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e200912/e0912261.html

2009年12月29日火曜日

環境ビジネス:市場をつかめ 欧州各国の戦略

(毎日 12月17日)

地球温暖化対策を話し合うため、コペンハーゲンで開かれている
国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の
ホスト国・デンマークや英国、オランダは、
環境対策に熱心に取り組んでいる。
背景には、再生可能エネルギー関連産業の育成など、
ビジネスチャンスを生かす、したたかな狙いも。
環境先進国の実情を報告。

◇20年に34%削減 洋上風力発電に強み--英国

英国は、EUの目標を上回る野心的な目標を掲げる。
温室効果ガスを、20年までに90年比で34%削減(EUは20~30%)、
電力供給に占める再生可能エネルギーの割合を
30%(同20%)にまで高める計画。

主役は、08年にデンマークを抜き発電量世界一になった
洋上風力発電。
既に150万軒の家庭に電力を供給する能力
(発電容量3ギガワット)があるが、20年には25ギガワットに。

中心は、英北部スコットランド。
日本と違い、沿岸部は遠浅の海岸が多く、洋上風力発電所の設置が
容易な上、沿岸12カイリまでは王室所有のため、
漁業権も含め権利調整などの問題がないのが利点。

自治政府のジム・マーサー環境相は、
「欧州の洋上風力資源、潮力発電資源の25%がスコットランド」
北海油田で培った洋上開発技術を転用するほか、
油田の跡地にCO2を貯留する施設を建設する計画も進め、
「欧州の低炭素社会の中心」(環境相)を自負。

英国が熱心に取り組むのは、
(1)エネルギー安全保障上の対策、
(2)環境産業育成--などが背景。

英王立国際問題研究所のエネルギー問題専門家、
ウィリアム・ブリス氏は、「06年、ロシアがウクライナ向けの
天然ガス供給を停止したのを機に、
エネルギー安保の議論が本格化」
北海油田の産出量は、ピーク時より4割以上落ち込み、
20年までにさらにその3分の1が減少。
不足分は、ロシア産天然ガスに依存する可能性が高く、
10年後には輸入量が75%上昇すると予測。

石炭火力発電所、原子力発電所の老朽化問題も重なる。
原発は、電力供給で約2割を占めるが、
20年には6%にまで落ち込む見込み、
代替エネルギーの早急な手当てが必要という側面。

産業界は、商機到来と受け止めている。
英機械技師協会で気候変動問題を担当する
ティム・フォックス博士は、「他国に先駆けて技術を開発すれば、
世界中の市場を獲得できる」
ブラウン首相は、気候変動は「第4の産業革命を起こす機会」
環境関連の市場規模は、50年には現在の60倍以上の270兆円、
2500万人の雇用を生み出す一大産業になると意欲的。

◇「脱石油」で成果 関連産業の輸出増狙う--デンマーク

デンマーク・エネルギー庁のアンネ・シモンセン次長は、
「デンマークは、経済成長とエネルギー効率化を共に実現」
80年を起点にすると、デンマークの国内総生産(GDP)は
7割上昇、エネルギー消費量はほぼ横ばい。

デンマークは、80年代に北海油田・ガス田の生産が始まり、
現在はエネルギー自給率が130%、石油、天然ガスなどを輸出。
第1次石油危機当時は、エネルギーの99%を輸入に依存。
日本と同様、石油価格急騰が経済に与えた影響は大きく、
これを機に大胆にエネルギー政策を転換。

シモンセン次長は、「石炭などの化石燃料からの脱却と、
巨大発電所中心の電力供給態勢を地域密着の分散型発電に転換
風力発電所やバイオマス発電所を、全土にきめ細かく整備し、
火力発電で発生した蒸気を地域暖房にも活用、
エネルギー効率を大幅に高めた。

再生可能エネルギーのエネルギー消費量に占める割合は、
80年は3%、07年には17%にまで上昇、
25年には少なくとも30%(EUの目標は20年までに20%)まで高める。

コペンハーゲン市は、25年までに「(CO2排出・吸収量が同じ)
カーボンニュートラル」達成を掲げる。
現在、石炭火力が主力の地域暖房をバイオマスに転換、
自転車専用道路を整備し自転車通学の割合を
現在の3分の1から2分の1に増やす。
電気、水素自動車は、駐車禁止対象外とする促進策を導入するなど、
50ものプログラムを進めている。

デンマークは、世界有数の風力発電メーカーのほか、
節電機器メーカーなどの関連産業が多い。
輸出に占める環境産業の割合は、90年の4%に対し、
現在は10%を超す成長産業、
COP15を機に商機拡大を狙う。

◇低地国家リードする新技術--オランダ

地球温暖化の世界的な影響が懸念される中、
国土の4分の1が海抜0メートル以下にある
低地国家オランダに、各国から熱い視線。
デルタ地帯を海面上昇から守る治水技術や、
河川増水時に船のように浮かんで難を逃れる
「フローティングハウス(浮かぶ家)」のアイデアなどが
専門家の関心を集めている。

アムステルダム南東約80キロの村マースボンメル。
マース川沿いに、淡いパステルカラーの住宅46棟が並ぶ。
外見は普通の家だが、特殊な水害対策が施されている。
14棟は川面に浮き、コンクリートの土台の上に乗る32棟は、
増水時に浮かぶ仕掛け。
5・2メートルの水位まで対応できる。
流されないよう土台とつながる大黒柱があり、
電気、水道、ガスはケーブルで「陸」から届く。

家の広さは185平方メートル。
不動産業のケース・ウェストダイクさん(54)は、別荘として購入。
「自然に囲まれた暮らしができ、水面上昇にも準備万端」
と余裕の表情。
近所の家には、29万5000ユーロ(約3800万円)の
値段が付いた「売り家」も。

建設したドゥラ・フェルメール社は、
水に浮かぶオフィス街や温室を開発中。
「中国とバングラデシュが関心を示している」
ヤン・ウィレム・ロール事業担当部長。

オランダでは、海面上昇や河川増水が深刻化した場合、
人口(約1650万人)の6割が暮らす地域が
洪水被害を受ける可能性。
1953年、大暴風雨に伴う高潮で、1800人以上が死亡する惨事。

商港を擁するロッテルダムは、デルタ都市。
53年の大洪水後、オランダ政府は河口部を堰で覆う治水工事
「デルタ計画」を進め、97年には高潮時に幅約360メートルの
河口を可動式の堰でふさぐ「マエスラント堰」が完成。

オランダ政府の諮問委員会は昨年、温暖化の影響で
「海水面の上昇が、2100年に65cm~1・3m、
2200年には2~4mに達する」との予測を発表。
政府は、「新デルタ計画」立案に着手。

共通課題を抱える国家間の協力も始まった。
「ベトナム、インドネシア、バングラデシュ、エジプト、
モザンビークへの技術移転が検討」
独立組織「オランダ水パートナーシップ」の
イボ・デメルス事業開発戦略部長が明かす。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/12/17/20091217ddm007030107000c.html

片足立ち運動 歌に乗せ お年寄りの骨折予防に 静岡・富士、富士宮中心に広がる

(2009年12月17日 毎日新聞社)

高齢者の大たい骨の骨折予防に効果があるとされる
「片足立ち運動」が富士市、富士宮市を中心に広がりつつある。

地元のコミュニティーFMラジオ番組から生まれた
「片足立ちの歌」が発信源。
「ただ運動するより楽しい」と好評で、無料CDも半年近くで
100枚以上が配られた。
放送地域以外からの問い合わせや合唱サークルから、
「歌いたい」との要望が寄せられるなど、
高齢者にとどまらない人気。

「片足立ち運動」は、日本整形外科学会が提唱する
高齢者向け運動の一つ。
椅子の背もたれなどにつかまり、片足を床につかない程度、
持ち上げる。
左右1分間ずつ、1日3回で筋力を強くする効果が期待。

毎週金曜放送のFM番組「ときめき倶楽部」で、
月1回出演する医師の清水怜さん(80)が5月、
この運動を紹介。
番組ディレクターの清水やすこさん(53)の依頼で、
作詞・作曲が趣味だった清水さんが6月、歌にした。

歌は2番までで、それぞれ1分間。
「はるかに歩いた人の世の道をしっかり踏みしめて」、
「苦しかったこと かなしみも 今は楽しいことばかり」など、
人生を感じさせる歌詞と懐かしい曲調で、
お年寄りが覚えやすいように工夫。

今月中旬、富士市錦町の介護付き有料老人ホーム
「ザ・サンシャイン富士」で行われた収録では、
約25人の70~80代の男女が挑戦。
「気持ちよかった」、「音楽があればできるかも」などと好評。
清水さんは、「団体や施設などから要望があれば、
放送エリア外でも訪問して紹介したい」

「片足立ちの歌」は、ホームページ(http://radio-f.jp/)から。
富士コミュニティエフエム(0545・55・1123)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/12/17/113220/

新しい波/327 フェンシング界その後/上

(毎日 12月12日)

東京都新宿区内のスポーツセンターに、
約100人の小学生が集まった。
昨年の北京五輪フェンシング男子フルーレで2位となり、
日本勢初のメダルを獲得した太田雄貴(森永製菓)が
企画した、小学生の大会「太田雄貴杯」。

太田の呼び掛けに賛同した森永製菓が主催、
日本フェンシング協会も後援に名を連ねた。
太田の活躍を見て、2月から競技を始めた岐阜県の
笠松町立松枝小3年、一柳龍之介君(9)は、
「太田選手に会えると思って応募した」と目を輝かせた。

太田は、「(昨年11月の)森永製菓への入社前から
やりたい大会だった」と明かす。
日本協会によると、小学生の全国大会は年2回。
競技人口が少なく、予選を行わない地域も。
太田は、「世界では、小学生から始めるのがスタンダード。
この時期から始められると、相手との距離感を培うのに有利」
海外のように、子どもたちに切磋琢磨する場を提供したい、
というのが狙い。

出場資格は、競技歴1年以上か、地域の大会などに
2回以上出場したことのある選手。
「『強いから出られる』というのとは、違う大会にしたかった」と太田。
昨年の男子フルーレ全日本選手権覇者の福田佑輔(警視庁)らの
協力も得て、日本代表選手が、優勝者に胸を貸した。
トップ選手たちには、競技を始めて間もない選手にも
大会を楽しんでもらい、小学生レベルから競技を活性化させたい、
という共通の意識。

小学生の日本協会登録選手数は、今年度が約510人。
昨年度の約440人から、北京五輪を経て1割強増えた。
「五輪しか注目してもらえない」と、人気スポーツではない現実も
認識している太田。
底辺の環境をどう整えるか?
12年ロンドン五輪での金メダルを目指しながら、
第一人者は普及にも取り組んでいる。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091212ddm035050113000c.html

幼児教育(3)数や図形 遊んで学ぶ

(読売 12月17日)

遊びのなかに、数や図形のセンスを養う仕掛けが。

京都市中京区の私立光明幼稚園。
遊んでいた年長組の男児が、友達に説明しながら、
12枚の折り紙を使って十二面体を作り始めていた。
興味深そうに見ていた友達が、「少しちょうだい」と、
何枚かを持って行ってしまい、パーツが足りなくなった。
「しょうがない。サイコロにしよう」と、
とっさに立方体に作り替えていった。

その様子を見守っていた田中雅道園長(57)は、
「単純に折り方を覚えている訳ではなく、
『折り紙を減らしたり、増やしたりしたらどんな形になるんやろ』と
考えてきた結果。
幼児としては、かなり高度な図形感覚が身に着いてきている」

同園では、伝統的に数や図形の遊びを積極的に導入。
特に、京都大学工学部で学んだ田中園長が園長に就任した
1989年以降、在園する3年間の発達を見通した指導計画の中に、
図形や数へ親しむ仕掛けを作り、子どもたちの興味を伸ばしている。

幼稚園では、よく遊びに取り入れるお菓子作り。
同園では、小学校入学を控えた年長組の3学期ごろ、
5人のグループでわざと半端が出る7個ずつのクッキーを
焼かせてみる。

子どもたちは1個ずつ分けた後、残り2個をどうするかと
あれこれ考える。
「2個を、五つに分けるにはどうするの?」と考える子もいれば、
「もう3枚焼いたらいい」と言う子も。
その過程で、数の感覚が自然と養われていく。

お弁当を食べる時や遊びのグループ分けも、
入園当初は5~6人程度。
それより多いと、人数を体感しにくい。
4歳くらいになると、「今日は1人休んでいるから、昨日より少ない」
と、数を意識するようになる。

田中園長は、「計算だけなら電卓にかなわないし、
小学生になってからでも十分に習得。
幼児期は、実体験を通じた知性を育むことに重点を置くべき

この日、アクセサリー作りを楽しんでいた年少組では、
教師が切り抜いて準備していた厚紙で、
立方体の「宝石箱」を作った。
意識しないで遊んでいても、こうした体験が、
大人顔負けの複雑な多面体の製作につながっていく。

年長組では、毛糸の指編みに熱中している子どもたちがいた。
編み目を数えながら、楽しむ編み物遊びは、
数の感覚の発達に効果的。

田中園長は、「園の取り組みが影響している結果かは
分からないが、卒園生の進路を聞くと、
大学では理系に進んでいる子が多いようだ」

教育的な意図が埋め込まれた遊びを通して、
知性につながる体験が蓄積されていく。

◆メモ

田中園長によると、折り紙は初歩的な折り方のなかにも
図形や数の要素が含まれ、親子で楽しむのに格好の教材。
高度な折り方を覚えるよりも、
折り方を説明できるようになるのが理想。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091217-OYT8T00310.htm

2009年12月28日月曜日

インタビュー・環境戦略を語る:NTTデータ・山下徹社長

(毎日 12月21日)

NTTから1988年に分離後、日本最大のシステム開発会社(SI)に
成長したNTTデータ。
CO2排出量削減に向け、持ち前のITを駆使した
積極的な取り組みを始めている。
山下徹社長に、今後の環境戦略を聞いた。

--ITの地球温暖化防止への貢献が注目。

◆これまで、ITはコスト削減への貢献が求められたが、
CO2排出量削減が世界的な課題となるなか、
環境性が重視され始めている。
大量の紙を使っていた記録を、コンピューターシステムで処理したり、
テレビ会議システムの導入で車の移動を減らすことができる。

--09~12年度の経営計画で、初めて「環境志向経営」を掲げた。

◆環境志向を経営の軸に位置付け、
IT業界でリーダーシップを取りたい。
環境経営には、IT自体の省エネと、ITを活用した省エネの
両面から取り組む必要。
環境経営推進室を設置し、来春に向けて目標の設定や
それを実現するための投資計画を立案。

--IT自体の省エネではどのような取り組み?

◆情報システムの普及に伴い、サーバーを集中管理する
データセンターの需要が増え、CO2排出量も無視できない規模に。
08年から、消費電力を従来比で20%以上削減した
「グリーンデータセンター」を展開、
このセンターの給電方式は、従来は3回だった直流交流変換を
1回に減らし、消費電力を20%削減。

IT機器の省エネは、情報機器メーカーの主導だが、
この給電方式は、NTTデータがメーカーに提案して実現。

--ITを活用した省エネはどうか?

◆IT利用に伴うコスト削減効果は数字で分かるが、
CO2排出量削減効果は明確ではない。
環境効果は、顧客がシステム導入を判断する重要な要素。
わが社では、システムの導入による人やモノの移動量の変化に
伴うCO2削減効果を算出し、顧客の関心に応え、
導入が進むよう努めている。

--ITの利用が進めば、IT企業のCO2排出量は増えてしまう。

◆行政が申請書類の電子システムを導入すると、
申請を出す企業や市民が紙の使用量を削減、
ITは取引先や消費者など社会全体に環境効果が波及。
日本全体で、CO2排出量25%削減を目指すのなら、
企業単位で排出量を判断すべきではない。
ITの環境効果を、客観的に評価できる指標を、
NTTグループと協力して作り上げたい。
==============
◇やました・とおる

東工大卒、1971年日本電信電話公社(現NTT)入社。
01年NTTデータ取締役。経営企画部長、副社長などを経て
07年6月から現職。神奈川県出身。62歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/12/21/20091221ddm008020025000c.html

五輪招致委:赤字1億円超に 東京都がJOCにも負担要請

(毎日 12月22日)

2016年夏季五輪の東京招致の中核を担った
特定非営利活動法人「東京オリンピック・パラリンピック招致委員会」
(招致委)の決算が、1億円を超える赤字となる見通し、
東京都がJOCに赤字分について一定の費用負担を要請。

都は、10月までの3年間の五輪招致活動経費の公金投入を
100億円と決め、追加の公金投入は避けたい考え。

JOC幹部は、都からの要請があったことを認め、
「手伝えることは手伝いたい」

JOCは、政府の事業仕分けで補助金縮小が検討、
内部で慎重論が出ることも予想。

IOC総会で東京が落選するまでの3年間、
招致委が予定した招致活動経費は75億円。
25億円は都の補助金で、残り50億円を民間企業などからの
寄付・協賛金で確保。

景気低迷などの影響で、民間からの資金が43億円程度、
年度内に確定する決算で、1億円超の赤字が出る見通し。
都は、招致委への補助金のほか、都独自の招致活動経費として
75億円の公金支出を予定。

都議会では、「これ以上の公金投入は都民の理解を得られない」
との意見が根強い。
都が、招致委赤字分の負担のあり方を検討する中、
都や招致委とともに五輪招致の中心的役割を果たした
JOCが交渉先として浮上。

石原慎太郎知事は、「JOCにいっさいの責任がないということは
ありえない。JOCは負担の努力をすべきだろう」

招致委は、06年11月設立。
石原知事が会長を務め、海外でのロビー活動など五輪招致を推進。
メンバーには、JOC関係者や五輪出場経験者、都職員が含まれる。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20091222k0000m040144000c.html

幼児教育(2)意思育む「コーナー保育」

(読売 12月16日)

遊びを選ばせる「コーナー保育」で、
意思決定の力をつけさせる取り組みが広がる。

大きなテーブルで、緑や赤の紙を使って
クリスマスカードを作る子どもたち。
別の部屋では、衣装に着替えた園児たちが、
自分たちで考えた劇を演じていた。
埼玉県松伏町の私立まつぶし幼稚園には、
様々な遊びのコーナーがあり、園児たちは毎朝、
自分でコーナーを選び、そこで遊ぶ。

「造形」、「絵」、「絵本」のコーナーのほか、本格的な調理器具で
教師と本物のクッキーなどを作れる「クッキング」や、
「ごっこ」遊びができるコーナーも。
指先を使う訓練や表現力など、幼児期に必要な発達を促すよう、
一つ一つのコーナーが意図を持って設けられている。

同園は、1974年の開設直後から、デンマークなど
北欧諸国の幼児教育を参考に、子どもが意思決定できる保育を実践。
クラス全員が、同時に何かを行う「一斉保育」に比べ、
教育効果が中途半端になる恐れもあったため、
「子どもの動きを的確に促せるよう、コーナー配置の工夫や
試行錯誤を重ねた」と、若盛正城園長(64)。

若盛園長によると、子どもたちは自分で選んでいるつもりでも、
一人一人の発達に合わせ、子どもの選択を教師が「操作」している。
体を動かすのが苦手な子どもには、外遊びコーナーに興味がいくよう
促し、手先を器用にしたい子には、近くにはさみを置いたりする。

一斉保育は、午後のわずかな時間だけ。
集団行動が身に着かないのでは、との懸念に対して、
「園にやってきて、ワクワクどきどきできる。
まったく自由に遊ぶより、『今日は何をしようか』と意識して
選択する習慣が身に着く。
『個人』を育てないうちに、『集団』を育てようとするのは逆効果

コーナー保育を、昨年度から取り入れた宮崎県日南市の
私立吾田幼稚園。
まつぶし幼稚園のような最初からコーナー保育を前提に設計された
建物ではないが、教室内に仕切りを設け、
ままごとコーナーや積み木コーナーなどを設けている。

伊豆元精一園長(44)は、「一斉保育の頃は、
同時に何かをさせようと、教師の大声が絶えなかったが、
コーナー保育にしてから大声が必要なくなった」

絵の描き方も、一人一人に丁寧に指導することができる。
ほかの子どもたちをコーナーで遊ばせつつ、
少人数ずつに順番に教えることができる。
自分で考えて行動する習慣がついているので、
厳しく訓練しなくても、小学校入学を控えた年長組の2学期ごろから、
自然と集団行動もとれるようになっていく。

「強制」でも、「自由気まま」でもない環境が、自主性を育んでいる。

◆メモ

子どもが苦手な「片づけ」。
若盛園長は、おもちゃ箱などに雑然と収納するのではなく、
コーナー保育のように、工作、絵、積み木などと
目的別に分類することを勧める。
毎回同じ場所に、親と一緒にしまうことで、
次第に自分で片づけられるようになっていく。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091216-OYT8T00208.htm

精子の"守護神"発見 タンパク質がDNA保護

(2009年12月15日 共同通信社)

哺乳類の精子がつくられる際、遺伝情報が正しく伝わるように
DNAを保護しているタンパク質を、
京都大の中馬新一郎助教らのチームが発見、
15日付の米科学誌デベロップメンタルセルに発表。

中馬助教は、「いわば精子の守護神。
男性不妊症の診断や治療法の開発に役立つと期待」

チームは、「Tdrd9」というタンパク質を合成できない
遺伝子操作マウスを作製。
雄のマウスの精巣を調べると、DNAに自分自身を次々にコピーする
「転移性遺伝子」と呼ばれる小さな遺伝子が異常に増殖し、
精子が全く形成されない。
雌マウスは、生殖機能に異常がなかった。

このタンパク質は通常、転移性遺伝子を抑制する役目を
果たしているらしい。
男性が原因の不妊症は、全体の3~5割を占め、
中でも無精子症が最も深刻。
中馬助教は、「人の精巣でのタンパク質の詳しい働きについて、
産婦人科医と研究を進めたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/12/15/113089/

2009年12月27日日曜日

逆風の中で:第7部・地域プロ/6止 安定化へ基金創設

(毎日 12月20日)

キーワードは「自立」。
男子バスケットボールのbjリーグが、創設5シーズン目を迎えた
今季、節目を迎えようとしている。
bjリーグは05年11月、6チームでスタート。
毎年、新規参入球団を受け入れ、09~10年シーズンは
13チームが、東西カンファレンスに分かれてリーグ戦。
これからも、参入希望について広く門戸を開く方向。

「3年目ぐらいまでは、『リーグやチーム同士、互いに助け合って』と、
一緒になって動いてきた。
今季からは違う。
各チームが自立するための時間は、十分あったはず。
こういう経済状況の中、新しいチームには、他チームに
協力することはできないという前提がある」と河内敏光コミッショナー。

具体化のための一例は、チーム運営会社の経営安定化を
目的とした基金を今季中に設けること。
1チーム1500万円をメドに基金を積み立て、
経営難に陥った運営会社に融資する。
大分が経営危機に直面した際、リーグは役員を送り込むなど
再建支援に主導的な役割を果たしたことがある。
ただし、「これは最初で最後」(河内コミッショナー)。
サッカーJ1の大分が、Jリーグの積み立ててきた
「公式試合安定開催基金」から、来年1月末までに
最大6億円の融資を受けることが決まった。
bjリーグが設ける基金も、同じ効果を狙ったもので、
側面支援重視にシフトすることを意味。

参入段階で、厳しい審査を設ける方針も固めている。
東京や高松、大分など、比較的早い段階からリーグに参加している
チームの経営難が、相次いで表面化していることについて、
河内コミッショナーは、「経営者が頻繁に交代するチームは、
やはり何らかの問題を抱えている。
厳しい審査をクリアした新規参入チームについて、
経営面の心配はしていない」

特別な事情がない場合、運営会社の年間収支ラインは
2億3000万円程度。
8000万円の入場料収入があれば、スポンサー収入などでクリア。
これを踏まえ、bjリーグでは参入チームに対し、
1年目からこの収入レベルを見込める事業計画の策定を求めている。

昨季は、沖縄や仙台のチケット売り上げが1億円を超えた。
これらの地域では、「ホームタウン制、地元密着型チーム経営により、
支持基盤の安定・拡大を図る」という「bjリーグ宣言」の理念が
浸透しつつあるようだ。
成功したビジネスモデルを、各球団が共有できるかが、
bjリーグの将来を左右する。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/12/20/20091220ddm035050127000c.html

幼児教育(1)「なぜ」を大事に 科学の心培う

(読売 12月15日)

子どもの疑問を受け止め、科学の心を育てている。

「イチゴも、種をまくとできるの?」
いわき市の市立藤原幼稚園で、イチゴの絵本を読んであげていた
初瀬玲子副園長は、4歳男児の問いに口ごもった。
男児が発熱し、職員室で一緒に保護者のお迎えを待っていた時。

果肉表面の粒々が種であることは知っていたが、
実際の栽培では株で増やすのが一般的。
実から取った種は育つのか?
「そうなんだねえ」とあいまいに答えてしまった直後、ハッとした。

園では、毎年入園してくる幼児たちの様子に危機感を持っていた。
パンを与えても、食べられないほど粉々にちぎってしまったり、
口を開けて待つだけだったりする姿が増えていた。

初瀬副園長らは、入園前の体験の少なさに原因があると考えた。
男児の質問に、「教師自身も、子どもの『なぜ』に真剣に向き合わず、
実体験をおろそかにしてきたのではないか」と、
猛烈な反省がわいてきた。

「種、まいてみようね」。
男児の一言をきっかけに、年中組でイチゴを種から育ててみる
という試みがスタート。

子どもたちの関心は、熟し切って黒く乾燥したイチゴから
種を取ることを知ると、「食べるための実」から
「種を取るための実」へと広がっていった。
最初に出た芽を大事に育てていたところ、
ほかの芽と葉の形を比べ、雑草だったと気付いたことも。

「種のとりこ」となった園児たちは、
「お弁当のミニトマト」や「家で食べたブドウ」などの種も観察し、
色や形、大きさの違いに驚く。
子どもの野菜嫌いがなくなったという効果も。
藤原幼稚園の園庭には、今では種から育てた花や果物、
野菜があふれ、園内には様々な種が展示。

「イチゴの種をまくとどうなるのか」。
子どもの疑問を、教師自身も同じ目線で楽しむことで、
「科学の心」を引き出したこの取り組みにより、
同園は、ソニー教育財団の幼児教育支援プログラムで、
2008年度の最優秀プロジェクト園に選ばれた。

聞き逃しがちな子どもの疑問に向き合う取り組みは、
その後も続いている。

ヒマワリを育てている年中組の男児の一人が、
「ヒマワリは、カボチャになるんだよ」とつぶやいた。
小野晴香教諭(25)が、年長組の園児に聞いたところ、
予想に反し「カボチャになる」との意見が多数派。

教師や保護者は答えを教えずに、なぜそう考えるのか
意見を発表させたり、カボチャがなる「予想図」を描かせたりして
謎解きを見守った。
夏休み明けの9月、3メートル30に育ったヒマワリを
全員で引き抜き、葉っぱや根っこまで隅々を夢中で調べた
子どもたちは、「ヒマワリはカボチャにならない」との結論に
自分たちでたどり着いた。

「教える内容が細かく決められている小学校と違い、
幼稚園では何でも学ぶことができます。面白いですよ」と、
初瀬副園長は笑顔を見せる。

身近な自然を使った効果的な指導が、
子どもたちの発達を促している。

◆メモ

家庭でも身近な種から育ててみると、親子で楽しみながら
「科学の心」を芽生えさせることができる。
藤原幼稚園のお薦めは、芽が出やすく、育てやすいアボカド、
ミカンなどかんきつ類全般、ビワ、スイカ。
植える前に、水でよく洗うといい。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091215-OYT8T00235.htm

新日本石油の松村副社長「国産バイオ燃料、1リットル40円で生産可能」

(日経 12月17日)

CO2排出をゼロとみなし、環境負荷が少ないほか、食料と競合しない
バイオ燃料を、国内で製造しようとする動きが進んでいる。
新日本石油は、トヨタ自動車や三菱重工業などと6社で、
「バイオエタノール革新技術研究組合」を組織、
食料に使わない植物を使ったバイオ燃料の研究を進めている。
組合の理事長を務める松村幾敏・新日本石油副社長。

——ブラジルや米国では、大規模な農場で作った農作物を使って
バイオエタノールを大量に生産。
日本で、経済的なバイオエタノールの生産は可能か?

目標としている1Lあたり40円での生産は、十分に可能。
現在、6社に加えて大学など研究機関の力を借りて
技術開発を進めている。
育種や収集、糖化などバイオエタノールの製造工程を6つに分け、
各社が工程内のコストを現在の10分の1~20分の1にすることに
取り組んでいる。
現在の工程表では、2015年に技術を確立し、年産1万kL程度の
実証プラントを立ち上げる。
20年までには、20万kL程度の量産プラントを立ち上げたい」

——国内で栽培した原料を使っていても、
40円の水準を維持することはできるのか?

「東京大学農学部の試験場で、いろいろな植物を作って検討。
トヨタも、栽培技術をいろいろと持っており、
各社の知見を持ち寄って、可能性を検討。
条件になるのが、1年を通じて収穫ができること。
燃料の需要は、周年を通じてあるため、ある期間だけしか
収穫できないのでは、供給が安定しない。

原料の有力な候補と考えている植物の1つが、
多年生のエリアンサスという巨大なススキ。
種をまいたら、すぐに芽が出てきて、半年もすれば8メートル近くに。
耕作の手間がかからず、短期間で大きくなり、栽培の効率が高い。

このプロジェクトは、耕作ができない場所を有効に使うという目的も。
目標としている20万kLの生産に、1.2haにも及ぶ広い土地が必要、
土地代はゼロであることが40円の実現の条件」

——トヨタと、次世代バイオディーゼル燃料の実用化に向けた
研究も進めていた。

パームヤシの植物油脂を、水素と反応させて製造する
水素化バイオ燃料(BHD)の生産を、マレーシアで計画。
国内でも、東京都のハイブリッドバスに試験導入し、
北海道洞爺湖サミットでも利用。
昨年の原油高騰時、パーム油の価格も急騰、
採算が見とおせなくなった。
食用にもなるパームヤシを、燃料に使うことへの批判も多い。
昨夏、マレーシアでの事業化の計画はいったん見直すことに。
新日石としては、BHDの技術を東南アジアの諸国に提供、
原油の権益獲得のための交渉にもメリットは出てくるかと
期待したが、そうはいかなかった」

——バイオ燃料は、ガソリンなど石油燃料を代替するものになるか?

「全部を代替するということはない。
石油燃料とは、量の面で圧倒的な差がある。
バイオエタノールは、国内で生産しているコメを全部使っても、
年間に400万kLしか作ることができない。
ガソリンの国内需要は減ってきたとはいえ、5800万kL。
石油に置き換わるメーンの燃料にはならない。
一部でも代替できれば、その意味合いは大きい。
新産業の構築にもつながるため、米国も多額の費用をかけて
研究を進めている。
国内でのバイオ燃料作りが、非常に低い国産エネルギーの割合を
わずかでも引き上げることにつながる」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091216.html