2009年12月28日月曜日

幼児教育(2)意思育む「コーナー保育」

(読売 12月16日)

遊びを選ばせる「コーナー保育」で、
意思決定の力をつけさせる取り組みが広がる。

大きなテーブルで、緑や赤の紙を使って
クリスマスカードを作る子どもたち。
別の部屋では、衣装に着替えた園児たちが、
自分たちで考えた劇を演じていた。
埼玉県松伏町の私立まつぶし幼稚園には、
様々な遊びのコーナーがあり、園児たちは毎朝、
自分でコーナーを選び、そこで遊ぶ。

「造形」、「絵」、「絵本」のコーナーのほか、本格的な調理器具で
教師と本物のクッキーなどを作れる「クッキング」や、
「ごっこ」遊びができるコーナーも。
指先を使う訓練や表現力など、幼児期に必要な発達を促すよう、
一つ一つのコーナーが意図を持って設けられている。

同園は、1974年の開設直後から、デンマークなど
北欧諸国の幼児教育を参考に、子どもが意思決定できる保育を実践。
クラス全員が、同時に何かを行う「一斉保育」に比べ、
教育効果が中途半端になる恐れもあったため、
「子どもの動きを的確に促せるよう、コーナー配置の工夫や
試行錯誤を重ねた」と、若盛正城園長(64)。

若盛園長によると、子どもたちは自分で選んでいるつもりでも、
一人一人の発達に合わせ、子どもの選択を教師が「操作」している。
体を動かすのが苦手な子どもには、外遊びコーナーに興味がいくよう
促し、手先を器用にしたい子には、近くにはさみを置いたりする。

一斉保育は、午後のわずかな時間だけ。
集団行動が身に着かないのでは、との懸念に対して、
「園にやってきて、ワクワクどきどきできる。
まったく自由に遊ぶより、『今日は何をしようか』と意識して
選択する習慣が身に着く。
『個人』を育てないうちに、『集団』を育てようとするのは逆効果

コーナー保育を、昨年度から取り入れた宮崎県日南市の
私立吾田幼稚園。
まつぶし幼稚園のような最初からコーナー保育を前提に設計された
建物ではないが、教室内に仕切りを設け、
ままごとコーナーや積み木コーナーなどを設けている。

伊豆元精一園長(44)は、「一斉保育の頃は、
同時に何かをさせようと、教師の大声が絶えなかったが、
コーナー保育にしてから大声が必要なくなった」

絵の描き方も、一人一人に丁寧に指導することができる。
ほかの子どもたちをコーナーで遊ばせつつ、
少人数ずつに順番に教えることができる。
自分で考えて行動する習慣がついているので、
厳しく訓練しなくても、小学校入学を控えた年長組の2学期ごろから、
自然と集団行動もとれるようになっていく。

「強制」でも、「自由気まま」でもない環境が、自主性を育んでいる。

◆メモ

子どもが苦手な「片づけ」。
若盛園長は、おもちゃ箱などに雑然と収納するのではなく、
コーナー保育のように、工作、絵、積み木などと
目的別に分類することを勧める。
毎回同じ場所に、親と一緒にしまうことで、
次第に自分で片づけられるようになっていく。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091216-OYT8T00208.htm

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