2010年1月2日土曜日

幼児教育(7)全員で劇 社会性の一歩

(読売 12月24日)

友達と協力するなかで、社会性の基礎が育まれる。

東京・中央区の区立豊海幼稚園。
年長の「うみ組」が、翌日の子ども会で演じる「白雪姫」を、
年中組や年少組の前で披露。
配役、せりふ、衣装、舞台装置や小道具まで、自分たちで
話し合いながら、一つの劇を作り上げ、子どもたちは
満足そうな笑顔をあふれさせた。

岩城真佐子園長(54)によると、同園では伝統的に、協力したり、
自分の役割を果たしたりできるようになる過程に、指導の重点。
社会性の基礎を育むためで、劇の準備は、
そのための最も効果的な活動の一つ。

うみ組では、本番の1か月前から、場面ごとに班に分かれて
準備をしてきた。
普段一緒に遊ぶことの多い、りこちゃん(5)(仮名)ら女児5人が
集まった班では、ある日、役を決めようとして女児全員が、
「白雪姫をやりたい」と主張、友達に譲れない気持ちが強くなっていた。

担任の真家順子教諭(41)は、1人ずつ白雪姫役を
演じてみることを提案。
恥ずかしがって声を出せない子もいるなか、
あいちゃん(5)(同)が役になりきり、
大きな声でせりふを言うことができた。
真家教諭が、改めて「白雪姫は誰がいいと思う?」と尋ねると、
女児たちは「あいちゃんがじょうずだった」と褒め、
自分たちは、こびと役を務めることに。

岩城園長は、「他者を認めることができるのは、社会性の一歩」。
話し合った結果、男児が白雪姫役に推された班も。

クラス全員で取り組んでいる劇という自覚が芽生え、
行動にも変化が表れた。

本番を1週間後に控えたある日、クラス全体での練習中、
準備不足から「ここ誰が言うの?」、「私じゃないわ」と
言い合いになって中断。
出番を待つ班から、強い口調で
「集まって準備してなかったの?」と責められてしまった。

「集まったけど、できなかったの」と反論するりこちゃん。
真家教諭が、「集まったけど、時間が足りなかったのよね。
でも、ちゃんとできないと、ほかのグループも困っちゃうね。
どうしようか」と声をかけると、
りこちゃんは、「ご飯の後に集まって練習する」と答え、
昼食後、ほかの子どもたちが自由遊びをするなか、廊下で練習。

真家教諭は、「仲間に迷惑をかけた事に気づき、
自分たちの行動を考えることができた」と心の成長を分析。

本番も、自信を持って演じきったりこちゃんたちは、
保護者から大きな拍手を浴びた。
岩城園長は、「子ども会の後も、仲間で協力して遊ぶ姿が
目に見えて増えている」

一つの目標に向けて、友達と協力する楽しさや責任感が、
園での生活の中で培われている。

◆メモ

友達と協力して物事に取り組む経験は、集団生活ならではのもの、
岩城園長は、「大掃除など家族が協力できるイベントが多い
年末年始は、責任感を養うチャンス」
完全にできなくても、できた部分を褒めてあげることで
達成感が生まれる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091224-OYT8T00233.htm

0 件のコメント: