2009年7月4日土曜日

星空に学ぶ(7)天文の教え方 情報交換

(読売 6月18日)

宇宙・天文教育をより充実させようと、教師たちが情報交換。

発泡スチロールの玉を示しながら、
「この教材を使って、授業をしている先生はいますか?」と司会者。
参加者の一人が手を挙げ、「地球と月に見立てています。
子どもは、目に見える形で宇宙の大きさを示した方が興味を持つ」
宇宙航空研究開発機構主催のシンポジウム。

シンポの狙いは、宇宙教育を学校現場でより広めること。
地球と月のほかに、月探査衛星「かぐや」が月から撮影した
地球の画像を使った授業や、本物の宇宙食を使った授業など、
子どもに分かりやすく説明する実践例や教材がいくつも示された。

参加した教員や教材メーカーの社員らは、
積極的に授業を行う全国の先生たちの話を聞き、充実した様子。
青森市立造道中学校の三上敏彦教諭(40)は、
「自分の授業で、工夫してみようと思うこともたくさん浮かんできた」

大田区立小池小学校で理科支援員、和田直樹さん(48)。
本職は、宇宙関連メーカー勤務だが、子どもの通っている小学校で
理科の授業を手伝うようになり、子どもの卒業後も続けている。

和田さんは、宇宙機構が2004年度から始めた宇宙教育の
ボランティア指導者「宇宙教育リーダー」の認定も受けている。
授業など、学校現場に入る難しさを感じている。
「授業などを通じて知り合った学校の先生の紹介で、
新しい学校に入っていくことしか手だてがない」

「宇宙の自然現象や技術を、学校の教育現場に伝える橋渡し役が不足。
宇宙の教材は身近にたくさんあるのに、気づいていない先生が多い。
今後は、民間人も授業に協力しやすくできるように、
学校側の受け入れ体制を作ることが必要

宇宙教育の充実は、高校でも求められている。
宇宙・天文分野を教える地学の選択は、現状では極めて少ないが、
2012年度の新学習指導要領により、履修の増加が予想。

新指導要領によると、高校理科は「地学基礎」、「物理基礎」など、
「基礎」の付く科目のうち3科目を選択してもよくなり、
文系を中心に地学の履修が増えそう。

文部科学省は、「宇宙・天文領域では、小中ともに新しい内容が
入っているので、高校側もそれに連携するようにした。
今までよりも、地学が選択しやすくなっている」(初等中等教育局)
今年から始まった教員免許更新の講習で、
天文・宇宙分野を扱う大学も多い。

学校の内と外の両方から、宇宙・天文教育を後押しする動き。

◆理科支援員

小学校5、6年の理科の授業で、観察や実験の手伝い、
準備や後片づけ、実験や授業計画の立案などを行う。
教員免許は不要で、教育学部や理系学部の大学生、大学院生、
退職教員などを想定。
独立行政法人科学技術振興機構が2007年度から行っている
委託事業で、教育委員会が公募で選ぶケースが多い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090618-OYT8T00256.htm

2,700億円研究基金の配分手順決定 総合科学技術会議が主導

(サイエンスポータル 2009年6月22日)

2,700億円の基金を使った、全く新しい研究支援の仕組み
「最先端研究開発支援プログラム」の選定スケジュールが明らかに。
総合科学技術会議本会議で決定。

最先端研究開発支援プログラムは、
研究者の能力を研究開発のために最大限発揮できるよう、
サポートチームを結成し、研究者が研究に専念できる体制を確立、
研究者にとって自由度の高い多年度にわたる研究資金を確保。

中心研究者は、最先端研究開発支援会議で決定、
今回そのメンバーも明らかに。

支援会議は、首相が座長となり、科学技術政策担当相が座長代理、
構成員としては、相澤益男・総合科学技術会議議員、
榊原定征・総合科学技術会議議員(東レ代表取締役社長)、
國井秀子・リコーソフトウェア取締役会長、
小林誠・日本学術振興会理事・学術システム研究センター所長、
佐々木毅・学習院大学教授、白井克彦・早稲田大学総長、
竹中登一・アステラス製薬代表取締役、
千野境子・産経新聞社論説委員・特別記者、
長谷川眞理子・総合研究大学院大学教授、
松井孝典・千葉工業大学惑星探査研究センター所長、
渡辺捷昭・トヨタ自動車代表取締役社長が就任。

内閣府は、第1回目の最先端研究開発支援会議を開催し、
公募と選定の基本方針を決定し、中心研究者と研究課題の公募を開始。
公募期間は約1カ月。

中心研究者、研究課題の選定を迅速かつ円滑に行うため、
支援会議の下にワーキングチームを設け、
応募された中心研究者、研究課題から候補として60課題程度を選定、
支援会議に報告(7月下旬から8月中旬以降)。

ワーキングチームでは公募締め切り前に、日本学術会議、経団連、
関係府省などからヒアリングを行い、選定に役立てる。
支援会議は、候補の中から30課題程度に絞り込んだ
中心研究者・研究課題案を決定、総合科学技術会議本会議で正式決定。

選定された中心研究者、研究課題について、
内閣府は研究本体および研究管理を行うための適切な支援を行う
機関あるいは機関合同チームの候補を公募。
中心研究者は、応募してきた研究支援担当機関候補の中から
複数の研究支援担当機関候補を指名。

指名された研究支援担当機関候補は、目標とする研究成果、
予算総額、予算の年次計画などの詳細な研究計画を策定し、
内閣府を通じて中心研究者に提出、
中心研究者が研究支援担当機関を最終的に指名する。

こうしたプロセスを経て、総合科学技術会議が文部科学相に
意見具申を行い、文部科学相は日本学術振興会に伝達し、
日本学術振興会が各研究支援担当機関に必要な研究費を助成。

総合科学技術会議は、毎年、研究支援担当機関から
研究の進捗状況を、日本学術振興会からは基金の管理状況など
聴取するとともに、中心研究者からは3年後に研究状況を聴取し、
必要があれば改善を要求する。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0906/0906221.html

「国体成功へ心一つに」 明暗分けた主会場

(岩手日報 6月25日)

2016年開催予定の岩手国体の主会場が決まった。
主会場となる北上市には安堵と喜びが広がった。
「盛岡主会場」を求めた関係者からは、残念がる声が上がる一方、
「岩手が一つとなって国体の成功を目指したい」と前向きな姿勢も。

「ほっとした」と胸をなで下ろすのは、
北上市体育協会の八重樫輝男会長。
「独自の強化策を実施し、地元選手の活躍で成功に導きたい」と夢を描く。

スポーツ少年団、フォルダスクールの宍戸朋夫代表は、
「北上でスポーツをする子どもにとって大きな励みになる」、
北上商工会議所の中村好雄会頭は、
「久々に元気をもらえるニュース。
岩手を全国に発信し、活性化につなげる良いチャンス」

「北上主会場」に一貫して反対してきた常任委副会長の
永野勝美県商工会議所連合会会長は、
「議論が長引けば、地域の対立感情をあおることにつながる。
一つになって国体を成功させたい」と前を向く。

盛岡市のボランティア団体、MTCAサポーターの会の
下村春美代表は、「残念だが、国体の成功に向けて協力したい」と
気持ちを切り替えた。

それでも、盛岡主会場を望む声は一部に根強い。
盛岡市議で、2016岩手国体盛岡主会場を実現する会の
福井誠司事務局長は、「本県の存在感を示す上でも、
盛岡会場とすることが重要と考えていた」

盛岡市みたけ地区の旧観武ケ原開拓農協整理組合の
一ノ渡宏明組合長は、「前回の岩手国体の際、
スポーツのメッカになる夢を持ち用地確保に協力してきた。
県都盛岡にこそ、第1種競技場があるべきだった」と悔しさ。

「国体後の展望に欠けている」と指摘していた
本田敏秋遠野市長は、「議論がコスト面に終始したのは残念。
(会場が内定していない)残る18競技の会場選定における
盛岡地域の役割など、大会の全体像をもっと示した上での
決定であれば、より多くの県民の賛同を得られたのでは」

「スムーズな大会運営を」と注文する声も。
阿部忠岩手陸上競技協会長は、「競技役員の多くが盛岡近郊に住み、
競技期間中の移動などで困難が生じる。
選手の宿泊場所の確保にも苦労するだろう」

二戸市金田一の菅野満さん(83)は、
「決まった以上、主会場としてしっかりと役割を果たしてほしい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090625_6

岩手大教授に学術賞 環境負荷が低い水酸化物を研究

(岩手日報 6月25日)

岩手大大学院工学研究科の成田榮一教授(62)は、
石こうや石灰、セメントなどの分野で優れた論文を発表した
研究者に贈られる、無機マテリアル学会の学術賞を受賞
北東北では初めて。
成田教授は、「長年続けてきた研究が評価され、うれしい。
今後の励みにしたい」と決意を新たにする。

受賞した研究テーマは、「層状複水酸化物(LDH)のインターカレーション
(取り込み)特性を活用した機能性ナノ複合体の創製」

LDHは、環境に対する負荷が低いなどの理由から注目、
成田教授は約20年間研究を続けている。

LDHは、電荷の異なる2種類以上の金属イオンからなる水酸化物。
正電荷を持つ基本層と、負電荷を持つ陰イオンで構成する中間層が
交互に積層した構造を持つ。

成田教授は、LDHの最も大きな特色である「層間の陰イオン交換性」を研究。
最近まで不明だったアミノ酸のような両性イオンや、
糖のような非イオン性分子を取り込む仕組みを明らかに。

LDH層間に、機能性有機成分を取り込む研究も進めている。
肌に刺激を与えることがあるUV吸収物質を層間に取り込むと、
皮膚に直接触れることを防ぎ、肌への負担が少なくなる。

成田教授は、「細胞、病原体などに薬物を効果的に送り込む
ドラッグデリバリー材、環境浄化に使う新しい材料の研究をさらに進めたい」

無機マテリアル学会は、1950年「石こう研究会」として設立、
1995年に現在名に改称。
学術賞は、同会の会員歴8年以上の正会員が対象。
本年度は、成田教授を含め3人が選ばれた。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090625_5

「公差」、知られざる競争力の源泉

(日経 2009-06-23)

日本メーカーの製品がコピーされ、海外市場などで安値で
販売されてしまう模倣品問題が、依然として猛威。
その対策として、「公差」に注目しはじめた企業がある。
半導体製造装置メーカーのアスリートFA(諏訪市)。

同社は、長く模倣品に悩まされた末、公差設計をきちんと
実施することが解決への糸口であることを見つけ出した。

公差とは、製品や部品を製作する際の許容誤差。
設計寸法は理論値なので、実際の製作物の寸法はどうしても少しズレる。
これをあらかじめ考慮し、たとえズレてもきちんと組み立てることができ、
かつ機能を発揮できる範囲を公差として設定。

部品の公差を厳しくすればするほど、製品の組み立て工程でも
使用時にも、問題は発生しにくくなる。
しかし、それでは部品の製造コストが高くなりすぎる。
問題を起こすことなく、できるだけコストを下げるという、
高度なバランスが求められ、公差の設定は非常に重要。

これが、どうして模倣品の対策に有効なのか?
模倣品メーカーは通常、正規品を1個買ってきてバラし、
部品の寸法などを測ってコピーする。
しかし、これでは公差は絶対に分からない。
主要部品について適当に公差を決めてみても、
公差が緩ければ装置が正しく動作しないし、逆に厳しすぎれば
正規品並みの価格になってしまう。

正規品を大量に購入し、部品の寸法を片っ端から測定すれば、
統計的に公差を求めることはできる。
しかし、模倣品メーカーにとって割が合わなくなる。

アスリートFAも以前は、公差設計をおざなりに。
その代わり、装置の中で問題を起こしそうな場所には、
微調整機構を設けておくことで、現場で精度不足を補える。
この機構に、模倣品メーカーも大喜び。
大まかに造っても、なんとか動くようにできるからだ。

そこでアスリートFAは、公差設計にまじめに取り組み、
新製品では微調整機構を廃止した。

このように公差は、本来は設計上の重要な要素だが、
多くの企業では大切にされていない。
過去の図面と似たような公差を、何も考えずに
新しい図面に単純に当てはめるだけ。
設計や製造ほかの関係者が一堂に会して、
設計案を検討する設計審査(デザインレビュー)の席でも、
重要部品の公差が具体的な案として討議の対象になることはまずない。

製品の技術も、製造技術も進化していくのに、
公差を改めて検討することなく同じ値にしているのでは、
本来高められるはずの精度が高められない。
つまり、商品力を高める余地があるのに、それを生かしていない。

逆に、厳しすぎる公差を放置したままでいると、
製造部門が大変な苦労をし、余計なコストをかけて実現している可能性も。
特に、日本国内の製造部門は優秀なので、
図面で厳しい公差を指定されると、「なにくそ」と、理由や背景を問わず、
プライドをかけて実現してしまう場合。
工数やコストが最適になるはずがない。

海外では、寸法だけでなく、「平行」、「垂直」、「平坦さ」といった
図形的性質に対して公差を設ける「幾何公差」の活用が進んでいる。
寸法公差だけを使う場合に比べ、あいまいさのない公差設定ができる。
幾何公差の指示通りにものを造れる海外の工場に
仕事を依頼する場合は、日本企業の設計技術者も
幾何公差で、適切な指定ができなければならない。

日本国内では、幾何公差の普及も遅れている。
環境性能の向上、有害物質対策など、メーカーが検討するべき
事柄は増える一方。
製品を設計して製造する上で、もっとも基礎となる公差が
おざなりになっているとすれば、何のための商品力向上なのか。

公差設計のコンサルタントを務めるプラーナー(長野県下諏訪町)の
栗山弘氏によると、「ここ2年くらいは、国内でも公差について
学び直そうという企業が増え始めている」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon090622.html

2009年7月3日金曜日

星空に学ぶ(6)地学の先生 減少の一途

(読売 6月17日)

宇宙や天文にかかわる指導者の不足が悩みのタネ。

成蹊高校の校舎屋上にある天体観測ドーム。
中には、巨大な望遠鏡(口径15センチ)が据え付けられている。
宮下敦教諭(49)が、同校天文気象部の新入部員を案内。

「誰か、この機械で望遠鏡を動かしてみて」
宮下教諭の呼びかけに、生徒がおそるおそるボタンを押すと、
電動式の望遠鏡がゆっくり天空に向きを変えた。
新入部員の1年、藤居萌さん(16)は、
「こんな望遠鏡を見たのは初めて。これで観測できるなんて幸せ」

同部の活動は盛んだ。
学校に泊まっての観測会が毎学期1回、
夏には福島県で観測合宿も行う。
7月、トカラ列島などで出現する「皆既日食」の観測ツアーも計画中。

「望遠鏡も本物。観測する天体も本物。
本物が、生徒の好奇心を刺激する」と宮下教諭。
「今は宇宙や天文に熟知した教員が不足していて、
こうした活動もなかなか進まない」

高校教育で、宇宙・天文分野をカバーする
「地学」の教員の減少が顕著に進んでいる。

東京都内の公立高校。
昨年度は201校中、地学教員は49人で、4校に1人の割合。
物理や化学、生物の180~260人に比べ、圧倒的に少ない。
地学教員の新規採用枠は、全国あわせても10人前後の状態が、
ここ十数年続いている。

約20年前に行った高校調査では、約75%の学校に望遠鏡があった。
高額な備品のため、現在も各校に残っていると思われるが、
地学教員が少ないうえ、天体望遠鏡に習熟する余裕がないため、
十分に活用されているとは考えにくい。

地学の授業がある高校も、当然のように少ない。

高校理科は、「物理1」、「化学1」、「生物1」、「地学1」から1科目を選択。
文部科学省の2004年全国調査では、高校2年の普通科で
「地学1」を開設しているのは30%。
「物理1」は83%、「化学1」は71%で、地学の低迷が著しい。

その一因として、宇宙や天文、地質などのコースを設ける大学が
少なくなったことなどが指摘。
天文観測所などの大規模施設の整備や、地質研究では欠かせない
野外調査は、高額の予算がかかることなどが原因。

都立若葉総合高校地学教諭でもある首都大学東京の
田村糸子客員研究員は、「地学が大学入試科目として軽視。
授業が削られ、教師も減る悪循環に陥っている」

「宇宙が誕生し、地球が生まれ、その地球の構造を理解し、
未来をも予測する。地学は、いわば『歴史科学』。
大きな視点で物事を見る力を養ううえで、とても大切な科目」

大学受験という目先の目標にとらわれては、
科学の本質はつかめない。

◆皆既日食

太陽の前を横切る月が、太陽を完全に隠してしまう天文現象。
空は夕方や明け方の薄明中のように暗くなり、
普段は見られない太陽のコロナが現れる。
日本では今年7月22日、トカラ列島、屋久島、種子島・奄美大島の
一部で観測できる。
日本での観測は1963年7月以来、46年ぶり。
今回を逃すと、2035年9月まで日本で観測できない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090617-OYT8T00243.htm

インタビュー・環境戦略を語る:富士通・野副州旦社長

(毎日 6月29日)

グリーンITを掲げる富士通は、中期環境ビジョン
「グリーンポリシー2020」を策定、
「お客さま・社会への貢献」、「自らの変革」、「生物多様性の保全」
という3つの目標を掲げた。
環境負荷軽減を進める顧客の多様な要望に応えよう、という
同社の環境戦略を、野副州旦社長に聞いた。

--ITは環境問題にどのように貢献するか?

◆企業が、社会的ステータスを維持していくためには
今後、環境問題への取り組みを明確に。
木を何本植えたとか、工場に自然エネルギーを導入したとか、
それだけでは成果を実感できない。
ITのすごさは、省エネルギー化もあるが、CO2削減効果を数値化する、
つまり「見える化」にある。

--具体的には?

◆当社は、IT製品を納めるだけでなく、CO2削減のためのソリューション
(問題解決型の情報システム)を、08年度末までに160事例、提案。
病院では、「医療電子カルテ」や「医療画像システム」を導入すれば、
ペーパーレス化で紙資源節減や保管場所の縮小ができ、
CO2はそれぞれ30%、21%削減。
ある病院では、年間30万枚使用していたX線フィルムが不要に。
顧客向けの環境負荷軽減で、07~10年度に計約700万トン以上の
CO2排出量の削減を目標。

--2020年、国内で年間約3000万トンのCO2排出量削減を掲げている。

◆目標を達成するため、富士通自身が「環境を語れる企業」と
ならなくてはならない。
自らがITの利活用による実例を示すことで、
顧客のビジネス改善に貢献することが狙い。

--もう取り組みは始まっているか?

◆11月、群馬県館林市に「環境配慮型データセンター」が完成。
空調や電源などを効率的に運転させ、太陽光発電を活用。
独自の計測技術で、最適な電力使用を管理し、
従来の当社のデータセンターより約40%の省電力が実現。

--今後の課題は?

◆数字だけでなく、実現することが環境にどのように貢献するか、
何のためにCO2排出量を削減するのか、もっと説明する必要。

私は田舎に育った。
家の前には川が流れ、泳いだついでに小魚を捕り、
その魚が夕食になったりした。
木を植えること、川の水をきれいにすること自体が目的ではない。
同様に、ITは道具でしかない。
子どもたちのため、そうした環境をよみがえらせることこそが大切。
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◇のぞえ・くにあき

早大政経学部経済学科卒、71年富士通入社。
89年、初代の米ワシントン事務所長、日米貿易摩擦交渉などを担当。
08年6月から現職。福岡県出身。61歳。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090629ddm008020017000c.html

青色発光ダイオードの赤﨑勇氏らに京都賞

(サイエンスポータル 2009年6月19日)

稲盛財団は、2009年京都賞受賞者に、
青色発光ダイオード(LED)の実現で先駆的な研究業績を挙げた
赤﨑勇・名古屋大学特別教授・名城大学教授ら4氏を選んだ。

赤﨑氏は、ほぼ不可能と言われていた窒化ガリウム系pn接合を実現、
青色発光素子の実用化に道を開いた業績で世界的に知られる。
先端技術部門での受賞。

赤﨑氏以外の受賞者は、基礎科学部門が、英国の進化生物学者、
ピーター・レイモンド・グラント博士とバーバラ・ローズマリー・グラント博士
(プリンストン大学名誉教授)。

思想・芸術部門が、フランスの作曲家・指揮者で
フランス国立音響音楽研究所名誉所長ピエール・ブーレーズ氏。

ピーター・レイモンド・グラント、バーバラ・ローズマリー・グラント博士夫妻は、
35年以上にわたるガラパゴス諸島でのダーウィンフィンチの
野外研究を通じ、生物の形態や行動が環境変化に応じて
急速に進化することを示した業績で
進化学、生態学の分野で大きな貢献。

ブーレーズ氏は作曲、指揮のほか著述、組織運営において
現代音楽界に大きな足跡を残した業績が評価。

授賞式は11月10日、国立京都国際会館、
受賞者にはディプロマ、メダルと賞金5,000万円が贈られる。

京都賞は、稲盛和夫・京セラ名誉会長が設立した稲盛財団
1985年に創設した国際賞で、毎年、先端技術部門、基礎科学部門、
思想・芸術部門の3部門からそれぞれ受賞者が選ばれている。

先端技術部門の受賞者となった赤﨑勇・名古屋大学教授(当時)の
研究成果に対し、科学技術振興機構が企業化を促進するため、
「委託開発(独創的シーズ展開事業)」に選定、
1987~90年に開発費として5億5,000万円を支出。

開発実施企業となった豊田合成株式会社は、95年に事業化に成功、
97年から9年間で、携帯電話や大型フルカラーディスプレイなど
LEDを利用した同社の応用製品売り上げは約3兆6,000億円。
国有特許の実施料として国に45億円の収入ももたらしている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0906/0906192.html

永田七恵さんを悼む 女子マラソン先駆者

(朝日 2009年6月29日)

27日、53歳の若さで死去した永田七恵さんは、
女性がフルマラソンを走ること自体が常識外れ、と
思われた時代からマラソンに取り組んだ。

女子マラソンが初採用された84年ロス五輪代表に。
次に続く選手が歩む道を切り開いた。

素質に恵まれていなかったが、
それを補うだけの努力をする情熱をもっていた。

郷里の岩手県で教員を務めるかたわら、競技を続け、
東京国際女子マラソンに79年の第1回から出場。
名伯楽といわれた故中村清・エスビー監督に弟子入り、
エスビー入り前にも、毎週日曜日に指導を受けるため東京に通った。
まだ東北新幹線の開業前。夜行列車で往復。

中村監督の「天才の力は有限。努力は無限なり」
という言葉が好きだった。
本人も生前、マラソンに取り組む理由をこう語っていた。
「走ることだけは、わたしを裏切らなかった。
努力すれば、努力しただけ返ってくるんです」

中村監督との二人三脚で、第5回東京国際女子マラソンで
日本選手として初優勝、ロス五輪で19位という結果を残した。
重圧のかかる舞台でも動じなかった。
「だって、中村監督がついていますもの。それは強いですよ。
この人がいれば絶対大丈夫。いつもそう思っていました」
2人の信頼関係は絶大だった。

昨年11月、東京国際女子マラソンが幕を閉じる際、
シンポジウムに出席。
4大会連続でとっていた五輪女子マラソンのメダルが
北京で途切れたことを残念がった。
「スピード時代になっているけど、日本人は頑張る気質があるから、
結果が出せると信じている。絶対復活して欲しい」

これが、日本の女子マラソン界に向けた最後の言葉に。

◆「よく耐えた」、「努力の天才」

エスビー食品でチームメートだった瀬古利彦さん(52)は、
「彼女がいなければ、今の女子マラソンの繁栄はない」
ともに、故中村清氏の指導を仰いだ。
「七恵ちゃんは、学校の先生を辞めて、20代半ばから
取り組んだから大変だった。
練習でも私生活でも、とにかく中村監督を信じてやっていた。
よく耐えたと思う」

中村監督が厳しく言っていたのは、体重の管理。
やや太めだった永田さんに対し、
毎日、「体重、体重」と言っていたことを思い出す。
「東北人だからのんびりしていた。
あれだけ怒られても、感じてないのかなって思うくらいに平気だった。
大物だったなあ」と故人をしのんだ。

ロス五輪女子マラソンにともに出場、途中棄権だった
増田明美さん(45)は、「七恵さんがいたから私も頑張れた。戦友だった」
永田さんを「努力の天才」と評する。
「市民ランナーから上がってきたけど、
中村さんのもとで洗練されていった。五輪で抜かれた時は悔しかった」

現役当時はお互いを意識して、ほとんど口を利くことはなかった。
それが、昨秋のシンポジウムで「十何年ぶり」かに再会、
現役時代の話に花が咲いた。
「これから、いっぱい思い出話をして、
たくさんの時間を共有できると思っていた。悲しいです」と言葉に詰まった。

http://www.asahi.com/sports/spo/TKY200906290108.html

漁業就業支援フェア 「新人漁師」確保岩手会場に気仙の8船主参加

(東海新報 6月27日)

漁業現場に若者たちを誘致する、「漁業就業支援フェア」開催が活発化。
大船渡市綾里漁協所属のサンマ船「第七稲荷丸」
(千葉幸男船主、19㌧)は、東京のフェアで30代の青年を確保し、
今月から「新人漁師」として研修中。
7月12日、漁師になりたい人と漁師を募集する船主が面談する
本県初のフェアが、ホテルメトロポリタン盛岡で開催。
気仙から8隻の船主が、今のところフェアへの参加を希望し、
担い手確保の場として大きな期待。

第七稲荷丸の研修生となったのは、逗子市出身の竹脇休さん(32)。
俳優の竹脇無我さんの甥で、東京で開かれたフェアに参加し、
漁師になる希望をかなえた。

製造業からの転身、漁協で最初に組合組織や漁業権などの勉強後、
船主の千葉さん(55)に就いて、漁具の手入れを教わりながら、
8月2日の北海道沖への出漁に備えている。
竹脇さんは、「初漁が楽しみ」と意欲的。

県近海協会理事で、新岩手秋刀魚船団監事の千葉さんは、
「技術を伝えるためにも、若手の確保が必要。
盛岡で開かれるフェアでは、さらに2人を確保したい」

フェア(岩手会場)は、漁家子弟でなくても漁師になりたい人や
興味を持っている人を対象に、漁業への就業を支援。
全国漁業就業者確保育成センター(事務局・(社)大日本水産会)と
岩手県の同センター(事務局・県水産振興課)が主催。

県内15カ所のハローワークなどに開催案内チラシを置いて、
求職者へ配布、当日は入場無料(事前申し込み不要)。
船主と面談し話がまとまれば、研修生として漁業現場(最長6カ月間)に
携わり就業を目指す。

船主のフェアへの参加は、気仙が積極的で、
綾里漁協所属の主要魚種がサンマの第七稲荷丸、岩崎稲荷丸、
新栄丸、第八隆盛丸、イカ釣り船の第八明神丸、第七大鳥丸、
大船渡市漁協所属のサンマ船・第二十八七福丸、
広田湾漁協所属のマグロはえ縄・サンマ船の第二十八黒崎丸が参加。
雇い主には、研修にかかる費用が国から補助。

船主の参加が6隻と多い綾里漁協では、
「地元で乗組員の確保が難しく、乗組員が確保され、
操業がスムーズに行われてほしい」

フェアの問い合わせは、県漁業就業者確保育成センター
(県水産振興課の山口さん、℡019・629・5815、FAX019・629・5824)。

http://www.tohkaishimpo.com/

2009年7月2日木曜日

星空に学ぶ(5)「月で建築」夢語り合う

(読売 6月16日)

宇宙建築について、大学教授や学生、社会人らが
語り合う会が可能性を広げる。

「月は、物を運ぶのも大変だし土質も複雑、場所によって
環境がかなり違う」、
「月面上のコンクリートはどこから持ってくる」、
「宇宙服が進化すれば、シェルターとしての建築物は不要」

月探査衛星「かぐや」が任務を終えて、月面に落下した6月11日夜、
東京大学工学部、松村・藤田研究室で、
月面基地や軌道上の生活空間の模型を前に、
十数人の男女が熱心なやりとりを繰り広げていた。

2002年に始まった「宇宙建築研究会」。
松村秀一教授(51)(建築工法・建築生産)のもと、
宇宙建築に興味を持つ留学生2人が偶然居合わせたのを
きっかけに集まった「宇宙好き」たちが毎月1回、
宇宙という共通の夢に向けて意見をぶつけ合う。

メンバーは、研究室に所属するトルコ人宇宙飛行士候補の
アニリール・セルカンさん(同大助教)、大学院生のほか、
慶応、東海の両大学の教授、宇宙航空研究開発機構に勤務経験のある
ゼネコン社員、宇宙飛行士インストラクターなど多彩。
各人が、研究テーマや構想を持ち寄って紹介・批判。

研究会が始まる前、宇宙にさほど関心のなかった松村さんも、
今では「『上下』の感覚、重力がない宇宙建築は新鮮な発想を生む。
発展途上国での建築など、地上にも応用でき、奥深い」などと面白がる。

研究会のメンバーで、宇宙建築が専門の
十亀昭人・東海大工学部准教授(39)は、宇宙建築を文系学生が
科学に関心を持つきっかけにしてもらおうと取り組んでいる。

十亀さんは、同大法学部1年生の特別授業で、
学生たちに宇宙開発を“体験”してもらった。
自身が考案した「ソガメ折り」で、折りたたんだ小さな星形のリング。
この端を引っ張ると、むくむくと膨らんで大きな筒状に。

宇宙を行き来する交通手段は、有人宇宙船か無人ロケットしかなく、
大きな容積の荷物を運ぶのは難しい。
ソガメ折りを使えば、宇宙ステーションなど人が宇宙で生活するほどの
巨大な構造物を小さく折りたたんで、宇宙で広げるだけでいい。

この不思議な「折り紙」は、学生の関心を引いた。
十亀准教授が、「将来の宇宙技術に応用できる」と解説すると、
枝村雄気さん(18)は、「人間が宇宙に活動領域を広げる上で、
この折り方が必要になってくると思うと、興味がわく」

「宇宙は、漫画や映画でも目に触れる。
科学の入り口として親しみやすい」と十亀准教授。
研究会は、高校生や一般人向けにわかりやすく宇宙を取りあげた
「宇宙で暮らす道具学」(雲母書房)を出版予定。

現在は不可能でもいつかは、という前向きな構想が、
夢をふくらませていく。

◆ソガメ折り

1997年、十亀准教授が考案。
星形のリング状に小さくたたまれたリングの端を引くと、
大きく膨らんだ筒状の構造物になる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090616-OYT8T00438.htm

健康努め医者不足補おう 地域医療研が盛岡で集会

(岩手日報 6月21日)

本年度の県地域医療研究会(会長・佐藤元美国保藤沢町民病院長)
春季集会では、約120人の参加者がニーズが増えている
在宅医療などについて議論を交わした。

宮城県登米市立上沼診療所の佐々木直英所長が、
「医者がいなけりゃ患者(病気)を減らせ!
予防医学から在宅医療まで」
と題して講演。
病気にならないために禁煙、予防接種の重要性を強調し、
その取り組みには医師だけでなく保健師や行政の力が必要。

パネル討論は、在宅医療(訪問診療)に取り組む
県内4人の医師らが発表。
洋野町国保大野診療所の中村晴彦所長は、
「認知症の人が増えており、その対応が大きな問題だ」

もりおか往診クリニックの木村幸博院長は、
「現在の在宅医療はチームで行われており、互いの情報共有化が重要」、
連携の取り組みを紹介。

佐藤会長は、「岩手に必要な医師をつくっていかなければならない。
それは病院をベースにした総合医だ」と総括。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090621_7

東芝メディカルシステムズの小松社長「新興国の市場開拓に注力」

(日経 6月19日)

体内の様子を撮影し、病気を発見・診断する画像診断装置。
ITの発展で撮れる画像が高度化し、
先進国をはじめ世界各地で導入が進んでいる。
国内最大手、東芝メディカルシステムズは、
コンピューター断層撮影装置(CT)を軸に、海外市場の強化を進める。
小松研一社長に、今後の見通しと戦略を聞いた。

——世界的不況は、医療機器業界にどのような影響を及ぼしているか?

「これまで、医療分野は景気の波とは関係ないとされ、
売り上げが影響を被ることはほとんどなかった。
金融危機は、医療業界にも大きな影。
最大市場の米国では、金融機関が病院への融資を引き締め、
病院が新規の設備投資を控え始めている。
資金繰りに行き詰まる病院もある」

「当社の主力製品であるCTも、この影響を受ける。
1台数千万~数億円する装置のため、契約交渉が長引いたり、
納入時期が延期になったりするなど、影響が出始めている。
米国市場の2009年1~3月の出荷額は、前年比3割減。
欧州市場も2割減」

「当社は健闘した。
08年度の売上高は米国、欧州ともに対前年プラス。
最上位機種で、撮影機構が1回転する間に320枚の断層画像を撮れる
CT『アクイリオン・ワン』、造影剤なしで脳内を撮影できる
磁気共鳴画像装置(MRI)や画質を高めたエックス線画像装置など、
07年以降発売した新製品が好調」

価格引き下げ圧力は高まっている。
利益率は悪化し、今後は原価低減や販売効率の改善などで
収益確保策を講じる必要。
海外売上高が全社の3分の2を占め、利益率の改善は重要な課題」

——不況は新興国にも及んでいる。

「ロシアは、影響が大きい。
原油などエネルギー価格の下落などで、医療向け投資が停滞。
医療は、どの国家にとっても必要不可欠なインフラ。
中国は、景気対策の1つとして、地方に医療体制整備用の予算。
他の新興国でも、医療インフラ整備の手を緩めようとはしていない」

「ブラジルで開催された放射線医学会の付設展示会。
現地では、医療機器の需要が旺盛で、CTや超音波診断装置の
引き合いが非常に強く、前年の展示会に比べ1割程度受注額が伸びた」

新興国で、先進の医療機器を使った診断ができる医師は限られている。
今後、先進国で先端医療を手掛ける医師が、
新興国の医師に技術を伝授する人的ネットワークを、
メーカーとして支えることも必要。
現地の販売代理店にも、適切な保守サービスを提供し、
医師の多様な要望に応えられる技術者を育成する必要」

「今年3月、全世界の技術者を育成する拠点を、
栃木県大田原市の本社工場に新設。
CTやMRIの実機を使い、取り付け作業や保守管理の手法、
ソフトウエアの内容を教える。
本社から情報をきめ細かく伝え、営業の質を高めたい」

——世界市場では、米GEなど欧米大手が強い。

米GEや独シーメンス、オランダのフィリップスといった欧米3強は、
医療事業売上高が1兆円規模、当社の3600億円規模をしのぐ。
今後、装置そのものだけではなく、装置に搭載する
画像ソフトウエアやサービスなど、新しい領域で技術を磨き、
他社よりも事業効率を高めて対抗していく必要。
昨年秋、ベルギーのバルコの画像処理システム事業を買収。
こうした投資の効果を出していきたい」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090618.html

高校生のための海洋生物科学シンポジウム開催 北里大と東大が連携

(東海新報 6月28日)

「海の未来をひらく」をテーマにした高校生のための
海洋生物科学シンポジウムが、大船渡市で開催。
海洋生物の生態や環境問題、食糧・創薬資源としての重要性など、
専門に研究している4人の学者が講演。
地元の生徒たちは、海の魅力と海洋生物の不思議に興味津々。
無限の可能性に思いをはせていた。

シンポジウムは、北里大学海洋生命科学部(緒方武比古学部長)と
東京大学海洋研究所国際沿岸海洋研究センター(道田豊センター長)主催。
さんりく基金の共催、県、大船渡市、三陸鉄道、東海新報社などが後援。

これからの日本を担う高校生たちに、
海とそこに生きる多種多様な生物に深い関心を持ってもらおうと、
一昨年の釜石市、昨年の奥州市に次いで3回目の開催。
会場には大船渡高校の1、2年生、一般市民ら合わせて450人が参加。

今回のテーマは、「海の未来をひらく~環境修復から創薬まで~」
東大海洋研究所の津田敦准教授、北里大海洋生命科学部の
神保充准教授、北里大海洋バイオテクノロジー釜石研究所の
笠井宏朗部長補佐、北里大海洋生命科学部の難波信由准教授
の4人が、最先端の研究内容を紹介。

津田氏は、「動物プランクトンの行動を観察する」と題し、
エビやカニの仲間のプランクトンであるカイアシ類の生態や
交尾行動など興味深い話題を提供。
「観察する眼を持っていれば、つまらないことからいろいろなモノが見えてくる。
それが科学の面白さ」

「サンゴ共生のしくみと環境の影響」について講演した神保氏は、
サンゴ礁保全の問題解決の糸口として、
サンゴの持つレクチンというタンパク質に注目。
「レクチンの働きを解明することが、白化対策の一助になるかも」と提起。

笠井氏は、「海洋微生物を利用したバイオテクノロジー」、
医療健康分野や食糧分野、健康食品の開発、
微生物を使った環境浄化への取り組みなどを紹介。
「生物が持つ力を、人々の役に立てる技術にすることがバイオテクノロジー、
創薬の研究開発にもつなげたい」

難波氏は、「海藻・広がる海の未来」と題して講演。
「海藻は、海の森(藻場)をつくって二酸化炭素を削減、
バイオエタノールの原料としても注目。
海藻からわれわれの未来が見えてくる」、
食糧資源としての重要性と地球環境の修復に果たしうる役割を力説。

新沼佳乃子さん(大高2年)は、「プランクトンが、自分の意思で
動いていることに驚いた。生き物の姿や生態も興味深かった」
中村崇嗣くん(同)は、「サンゴの白化とレクチンの話が面白かった。
海に近いところに住んでいるのに、知らないことが多いので
もっと深く理解したい」と熱心に聴講。

会場の高校生からは、講師に質問も寄せられ、
関心の高さをうかがわせた。
緒方学部長は、「これからも、2つの大学と研究所が連携しながら、
さまざまな機会に、海の大切さ、不思議さ、面白さを情報発信したい」

http://www.tohkaishimpo.com/

夏のむくみは冬の冷えの予兆?70人の女子短大生を対象に調査

(日経ヘルス 6月25日)

夏に体がむくむと、冬、冷え性になりやすい――。
第60回日本東洋医学会学術総会(6月19~21日)で、
市立砺波総合病院東洋医学科医長の古谷陽一医師らのグループは、
冷えの前兆として現れる身体症状についての研究結果を発表。

この研究は、どんな身体症状が冷えに先行して現れるのかを調べた。
主な身体症状は、「腹が張る」、「腹がゴロゴロ鳴る」、「体がむくむ」、
「げっぷがでやすい」など50項目。
夏の「体がむくむ」症状と冬の冷えには関連があり、
冬に冷えの症状が現れた被験者は、夏に「体がむくむ」症状が出て、
秋以降もむくみの症状が継続。

夏に「体がむくむ」ことが、冬以降の冷えを予測する診断材料になり、
冷え性を発症するリスクファクターとなる可能性がある。

研究対象は、短期大学の女子学生77人(平均年齢20歳)。
夏(7月)と冬(11月)に1回ずつ、50項目の自覚症状
(寺澤 捷年:『症例から学ぶ和漢診療学 第2版』、医学書院)について
調査を行った。
夏と冬に、5日間ずつ「体が冷えている」度合いを11段階で毎日答え、
その平均値を「冷えの強さ」として記録。
5以上を冷え性と判定し、すでに夏に冷え性だった3人を分析から除いた。
記録不備で4人を除外。

その結果、70人中17人が冬に「冷え性」と判定され、
夏に「体がむくむ」症状が、冬の冷えと最も関連が深かった。
古谷医師は、「夏に体がむくむと、必ず冷え性になるわけではないが、
冷え性になりやすいといえる」

冬に冷えが現れた群と、そうでなかった群を比べると、
冷え性群は、身長と体重の値が低く、BMI(体格指数)には差がなかった。
古谷医師は、「『体がむくむ』のほか、『低身長』も、
冷え性のリスクファクターになる可能性がある」

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20090625/103553/

2009年7月1日水曜日

星空に学ぶ(4)若田さんと交信 大興奮

(読売 6月13日)

宇宙で生活する宇宙飛行士と交信する試みが、
子どもたちの好奇心に火をつける。

「皆さん、こんにちはー」。
沖縄県うるま市の石川会館ホールに、国際宇宙ステーションで
生活する宇宙飛行士の若田光一さん(45)の声が響いた。
前方スクリーンには、ふわりと浮く若田さんの姿。
無重力の宇宙を目の当たりにした800人の親子連れから、
一斉に歓声がわいた。

待ちに待った若田さんとの交信イベント。
数百人の希望者から、「直接交信の切符」を手にした
5人の小中学生が登壇。
衛星通信でステーションにつながったマイクを通じて、
若田さんに話しかけた。

「宇宙に行って、これまでの考え方が変わりましたか」
――美しい地球を守ろうとの思いを新たにしました。

「宇宙飛行士になるには、勉強した方が良いですか」
――一生懸命勉強して一生懸命遊ぶことが大切だよ。

丁寧に答える若田さんは、ステーションから家族に電話ができること、
シャワーや風呂はないことなどを紹介。
そのたび、子どもたちから驚きの声が漏れた。

「たのしい宇宙授業」と題して、交信イベントを企画、
実施したのは県内15人の小中学校教師たちで作る有志組織
「沖縄宇宙プロジェクト(WAO)」。
日本の宇宙機関である宇宙航空研究開発機構が、
教育目的でステーションとの交信機会を提供。
WAOは、4年前の発足時からいち早く応募。

交信はわずか15分間だが、子どもたちは強い刺激を受けた。
舞台で質問をした読谷村の小学5年、下里楓さん(10)は、
「たくさん聞きたいことがあったけど…もっと宇宙のことを知りたい」
と興奮冷めやらない様子。
母親の直美さん(40)は、「これをきっかけに、
もっと頑張って勉強してくれれば」と期待。

WAO代表のうるま市立伊波小理科教諭の喜友名一さん(48)は、
「宇宙の楽しさだけでなく、科学そのものを好きになってくれたと思う」

「たのしい宇宙授業」は10回目。
県内各地で、趣向を凝らした授業を開いてきた。
サッカーボールやピンポン球を太陽や地球、月にたとえて、
天体の大きさや天体間の距離感を実感してもらう授業。
ロケットが飛ぶ仕組みを、ストローを使った吹き矢実験で解説する授業。
ほかにも多彩なプログラムを実践。

WAOのメンバーの那覇市立泊小理科教諭、槙田正法さん(48)は、
「謎に包まれた宇宙や天文は、好奇心を刺激し、
もっと知りたいと思わせる最適の手段であることがわかった」

忙しい教師たちが、勤務時間後の夜や休日に、企画の準備に取り組む。
「宇宙が好きだし、教師同士の出会いもあるから」と口をそろえる。

子どもたちがさらに元気に賢くなってほしいという願いを込めた活動は、
大人たちも元気にしている。

◆国際宇宙ステーション

地上400キロ・メートルの宇宙空間で、日米露など15か国で
建設が進められている有人施設。2010年に完成予定。
完成すると、縦72メートル、横108メートルのサッカー場ほどの広さ。
現在、若田光一さんら日米露など6人の飛行士が滞在、
無重力を利用した生物実験や材料開発を進めている。
若田さんは6月中に、約3か月間の滞在を終えて地球に帰る予定。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090613-OYT8T00271.htm

三菱航空機の江川社長「MRJ、早期の海外受注獲得に手応え」

(日経 2009-06-18)

三菱航空機(名古屋市)の江川豪雄社長は、パリ航空ショーの会場で、
「欧米や東南アジアなどの顧客から手応えはある」、
同社が開発する国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の
海外受注を早期に獲得できるとの見通し。

同社の商談ブースには、昨年の2倍近い顧客が訪れ、
燃費性能などを武器に、営業活動を活発化する考え。

MRJの受注は、今のところ全日本空輸からの25機のみ。
三菱航空機は、小型ジェット機の市場規模を今後20年間で5千機とみており、
1千機はMRJが獲得したい。

初日に、同社ブースを訪れた顧客は50組を超えるなど、
昨年の2倍近いペース増。
旅客機メーカーとしての三菱航空機の認知度が向上し、
「(従来機より2~3割は高い)燃費性能や座席スペースなど
ライバル社よりも大きく上回っている。
顧客もそれを理解し、興味を持ち、(MRJを発注しようと)熱意を感じる」

世界的な景気後退の影響について、
「旅客機数を減らす航空会社があるうえ、金融市場の不安から
資金調達が難しくなっている」と一定の打撃はある。
小型ジェット機は市場が伸びているうえ、将来的な需要も大きい。
「無理に安売りする気はない」との姿勢を維持。

現在の計画では2011年に初飛行、13年に1号機納入となるが、
「エンジニアを増やすなど、機体開発は順調に進んでいる」
修理やメンテナンスなどのアフターサービスは、
「(スウェーデンの航空機メーカーである)サーブなどと提携を交渉中」
MRJのスペックの詳細が決まる秋以降、正式に契約する計画。

「あくまで、三菱航空機が責任を持ってやる。
エンジニアの教育トレーニングや一部サービスを委託することもあるが、
中心は三菱航空機」、
アフターサービスを他社任せにせず、
高品質の自社サービス網を世界に構築する考え。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/_mono/_mo090617.html

岩手大教授に尾瀬賞 東北初、湿原保全の研究評価

(岩手日報 6月17日)

岩手大人文社会科学部の竹原明秀教授(50)は、
湿原に関する優れた学術研究を顕彰する第12回尾瀬賞
(財団法人尾瀬保護財団主催)を受賞。
東北では初めて。

竹原教授の研究内容は、「東北地方の湿原に発達する
植物群落の構造とその保全に関する研究」。
東北地方の18カ所の湿原を、25年間にわたり地道に調査研究、
その成果が各自治体の保護管理計画にも反映されていることが高く評価。

竹原教授は、植生科学や環境動態解析、環境保全学などが専門。
森林や湿原などに見られる植物や植物群落を、
生育環境や人間活動との関係を中心に研究、
さまざま地域で野外調査を進めている。

授賞式では、同財団の大沢正明理事長(群馬県知事)が
表彰状と賞金100万円の目録を手渡した。

竹原教授は、「機械ではなく、足を使った基礎研究に光が当たり、
とても感謝している。今後も研究に力を注ぎ、若い人材も育てていきたい」

同賞は、植生破壊などが懸念されている湿原の保護を進めるため、
1997年度に創設。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090617_4

安値案件にひた走る人材派遣の事情

(日経 2009-06-10)

4月の有効求人倍率(季節調整値)0.46倍。
求職者2人につき、仕事が1つしかない雇用環境のもと、
人材派遣市場も需要が急減。
派遣先企業から受け取る料金と派遣スタッフに支払う時給との差額、
「粗利」の拡大を追求するだけでは、事態打開は望めない。

派遣各社は、低料金の新規案件の獲得と、有力な派遣先からの
受注件数拡大に向けて動きを加速。

今年3月末、派遣契約の終了が相次いだ。
新年度スタートの需要がなく、仕事に就けない派遣スタッフが多数発生。
5月の大型連休明けの需要復活に期待したが、市場は凍り付いたまま。
パソナ、テンプスタッフ、リクルートスタッフィングなど、
大手派遣会社の受注は前年同期の5~6割減。

大手派遣会社が、事態打開のために乗り出したのが、
「従来は手を出さなかった安い仕事でもとる」営業。
派遣案件数の確保を優先する必要がある、との判断。

人材派遣の募集時時給は昨秋以降、急落。
3大都市圏の4月の平均時給は、前年同月比4.7%安の1459円。
10カ月連続で、前年同月を下回る。
事務系派遣は値下がりが目立ち、1412円と同5.8%下がった。

派遣会社は、安い時給の仕事を受注し、求人情報サイトに掲載。
好条件の仕事は掲載しなくても埋まるため、
募集時時給の下落に拍車をかける構図。

3月末でも契約が終了せず、更改された案件は、
「ほぼ横ばいを維持」(スタッフサービス)。
派遣先企業からも、経費削減を振りかざした
「強い値下げ要請は出なかった」(パソナ)。

その代わり、顧客企業による取引先派遣会社の集約。
これまでも顧客が派遣の発注窓口を、現場から購買担当に一本化、
変更した際、コスト削減に派遣会社数を減らす動きはあった。
今回、大手派遣会社が総合力を生かし、適正な人員配置なども含め
提案するなど、積極的に動いている点が異なる。

全国展開する企業が取引する派遣会社は、50~100社。
3社程度に絞り込むことが多く、
「2%程度のボリュームディスカウントが効く」(大手派遣会社)。

派遣市場では、新規受注の減少にブレーキがかかったが、
派遣の需要が反発するにはまだ時間がかかりそう。
華やかな宣伝広告で注目を集めた派遣業界に、
再び追い風が吹く日までは地歩固めの日々となりそう。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/shikyou/shi090608.html

熱中症危険度5段階で 携帯式の計測器開発

(2009年6月22日 共同通信社)

梅雨が明ければ、熱中症が猛威を振るう夏本番。
日本気象協会は、熱中症の危険度を5段階で知らせる
携帯式の「熱中症計」を開発。

気温と湿度を自動計測し、熱中症発症の可能性を示す指標値を算出。
「ほぼ安全」、「注意」、「警戒」、「厳重警戒」、「危険」の5ランクで、
ランプを点灯させて知らせる。

「危険」は、外出を避けるのが望ましいレベルで、
「厳重警戒」以上になるとブザーも鳴る。

大きさは縦6・5センチ、横4・5センチ、厚さ1・5センチ、重さ20グラムで、
子どもの手のひらにも乗るサイズ。
画面には、気温と湿度も表示。
1個1050円、協会の支社や支店で販売するほか、
ホームページでも注文を受け付け。

担当者は、「毎年多くの人が熱中症で病院に運ばれたり、
亡くなったりしており、対策は待ったなし。
気軽に持ち歩いて予防に役立ててほしい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/6/22/102588/

2009年6月30日火曜日

星空に学ぶ(3)学会発表、プロから刺激

(読売 6月11日)

高校生に学会発表の機会を与え、学習意欲を引き出す。

地球惑星科学分野では、国内最大級の学術組織
「日本地球惑星科学連合」の年次大会が開かれた。
約4000人の研究者が集結した会場の一画に、
約160人の高校生が研究をまとめたポスターを張り出し、
訪れた研究者を相手に発表する特別会場があった。

発表者の一人、大阪教育大学付属高校天王寺校舎の2年生、
山下真弓さん(17)の周りにも、研究者の人だかり。
「航空機事故と月齢の関係」を検証した珍しい研究が、
研究者の目にとまったようだが、次々と鋭い質問が。

「着眼点は良いが、データの統計処理はもっと工夫が必要」、
「事故数のデータに根拠があるの?」

はきはき答える山下さんだが、途中言葉に詰まる場面も。
それでも「研究者の方々が甘い部分を指摘してくれて、
ドキドキしたけどとてもためになった」と満足そうな表情。

同連合が、「高校生のポスター発表」を開催したのは
4年前の年次大会から。
同連合の担当者によると、レベルの高い専門学会で発表の場を提供し、
学習の強い動機付けにしてもらうのが狙い。

初回は22件の参加だったが年々応募が増え、
今回は48件とほぼ倍増。
研究のテーマも、太陽や流星、オーロラなどの天体観測から、
気象現象の観測、鉱物分析など多岐にわたる。
個人の研究から、大学や研究機関と共同で長期にわたって行った
「超高校級」の研究まで。

レベルの高さや幅の広さもさることながら、
山下さんを指導する岡本義雄・地学教諭(57)は、
「プロの研究者から生で意見を聞くことは、高校生の意欲を
さらに高める貴重な経験になる」と、高校側も高く評価。

日本天文学会も、2000年の大会から、
高校生のほか中学生も対象とする「ジュニアセッション」を催している。

天体観測は、中高校生でも望遠鏡さえあればできるので、
参加しやすいという特徴。
他の科学分野の学会には、なかなかできない取り組み」、
ジュニアセッション実行委員長の
吉田真・宇宙航空研究開発機構准教授(47)。
背後には、宇宙天文を「入り口」にすれば、
中高生に科学の面白さを感じてもらえるとの考え。

思惑通り、ジュニアセッションには毎回約300人もの生徒が参加、
大会でも最も大きい会場を用意。
生徒たちの自由な発想と、「楽しさ」を重視し、
発表内容の事前審査はしないことも、参加者が増える背景。

ただ、学会の本来の目的は、研究者に発表の場を提供すること。
日程を決める際、中高校生に十分に配慮できず、
試験や運動会が多い季節に開催されることも少なくない。
旅費も生徒持ちのことが多い。
関係者が調整して、研究者の卵たちを上手に育てたい。

◆日本地球惑星科学連合

太陽系や太陽系外の天体から、地球の大気・海洋・環境を研究する
国内35の関連学会が加盟。
2005年、各学会による任意団体として発足、
昨年12月に一般社団法人に衣替え。
研究者同士の研究交流の場としてだけでなく、
文部科学省の新学習指導要領や小中高の地学教育の在り方に対する
提言も積極的に行っている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090611-OYT8T00214.htm

クリニクラウン 活動広げる「病院の道化師」。子どもたちに

(2009年6月16日 毎日新聞社)

赤い鼻を付けた医師が小児病棟に入り、
笑いを振りまいて子どもたちを元気にする--。
米映画「パッチ・アダムス」(98年制作)に登場した
「病院の道化師」が日本でも活躍。

5年目を迎える日本クリニクラウン協会(本部・大阪市)の活動は、
国内14病院(08年度)に広がっている。

クリニクラウンは、病院を意味する「クリニック」と道化師を指す
「クラウン」を合わせた英語の造語。
優れた演じ手であると同時に、子どもとの接し方や児童心理、
保健衛生や病院の規則にも詳しいスペシャリスト。
日本語では「臨床道化師」と訳され、同協会は13人を認定。

闘病生活が長くなると、病室を訪れるのは白衣の医師や看護師、
親など大人ばかりで、子どもは自然に、
治療を受ける受け身の姿勢になりやすい。

クリニクラウンは、病室を定期的に訪問し、遊びなどを通して
子どもたちの成長を支えている。

同協会の塚原成幸事務局長は、「入院中、治療のための
さまざまな制限を受けている子どもたちが思い切り笑い、
主体的に遊ぶことができる環境作りが大切な役割」

大ちゃんとTOMO(トモ)さんの男女1組のクリニクラウンが、
水戸市の茨城県立こども病院を訪れた。
同協会は、2年前から月1回定期的に派遣。

病院スタッフと一人一人の病状や付き添いの親の状況などを
打ち合わせた後、長期入院している子どもたちの病棟に入った。
突然、近くの部屋の扉が開いて、「ピエロが来たー」という歓声が。
クリニクラウンは、4-5人の幼児からお尻にパンチを浴び、逃げ惑った。

病室から男の子が、窓ガラス越しにその様子を見つめていた。
恥ずかしがりやで病室から出たがらない子。
トモさんが注意深く病室に入ると、男の子は大喜び。
「外に出る」と言って病室を出ると、大ちゃんや他の子どもたちと
廊下でパレードを始めた。
祖母が、「さっきまで暗い顔をしていたのに、すごいですね」と感激。

病棟訪問後、クリニクラウンから一人一人の子どもの様子などが
病院側に報告。

病院スタッフで子どもたちの精神的負担を軽減し、発育を手助けする
専門職、チャイルド・ライフ・スペシャリストの松井基子さんは、
「お姉さんらしく振る舞っている子が、普段とは違う子どもらしい表情を
見せたり、日ごろはおとなしい子どもが自分から積極的に
行動を起こすこともある」とその効果に期待。

クリニクラウンの先進地オランダでは、国民的な理解が深い。
同国のクリニクラウン財団は、年間の寄付だけで10億円以上の予算、
約9割の小児医療施設を訪れている。

日本でも、クリニクラウンへの期待は広がっているが、
個人的寄付が集まりにくい。
自分の仕事を持ちながら活動をしているのが実態で、
継続して活動できる方法を模索している。

◇1年かけ養成、試験経て認定

クリニクラウンになるには、募集から認定まで約1年の養成期間が必要。
養成トレーニングでは、相手に恐怖感を与えないコミュニケーションや
適切な距離の取り方、即興的な動きなど病室での身体表現方法を学ぶ。

0-18歳と、幅広い年齢に即した子どもたちとのかかわり方や
子どもを取り巻く環境、保健衛生の基礎知識、残された家族のケアなど、
臨床現場に入るための講義を受ける。
病院での臨床研修を受けて経験を積み、最後に認定試験を受ける。

現在認定されている13人は、演劇やダンスなどの経験者や
医療・福祉関係者など。
問い合わせは、日本クリニクラウン協会(06・6575・5592)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/6/16/102108/

免疫ブレーキ 筑波大教授らが解明 ワクチン増強応用も

(2009年6月16日 毎日新聞社)

一部の細菌などに対し、抗体を作りにくくしている
「免疫のブレーキ」と言える人体の仕組みを、
筑波大大学院人間総合科学研究科の本多伸一郎講師と
渋谷彰教授らが見つけた。

「ブレーキ」を一時的に外す薬を作れば、
ワクチン効果の増強などに応用できる。
15日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表。

細菌などが人体に入ると、体内のリンパ球が「IgG抗体」を作って攻撃。
表面を「多糖類」という物質で覆われた肺炎球菌などには、
IgG抗体ができにくく、ワクチンも効きにくい。
だが、理由は謎だった。

本多講師らは、働きがよく分からなかった別の種類の抗体
「IgM抗体」に注目。
リンパ球から、IgM抗体と結びつく受容体をなくしたマウスを、
遺伝子操作で作った。

マウスに肺炎球菌などと構造が似た化学物質を注射すると、
普通のマウスの約10倍のIgG抗体ができ、化学物質を攻撃。
12週間後に再び、同じ物質を注射すると、
IgG抗体の中でも攻撃力が強いものが、1度目の実験より約5割増。
こうした実験から、IgMが多糖類に覆われた菌などへの
IgG抗体の生産を抑えていると結論。

渋谷教授は、「IgMは、免疫が過剰に働きすぎて体を傷つけるのを
防いでいるのではないか。
ワクチン注射の際だけ、IgMの働きを止める薬を作れば
効果の増強につながるだろう」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/6/16/102095/

教職員「心の病」深刻 県内08年度

(岩手日報 6月19日)

県内の教職員で2008年度、精神疾患が原因で休職した人は71人
(前年度比1人増)で、過去最多。

公立学校共済組合岩手支部(支部長・法貴敬教育長)が実施した
「心の健康」アンケートでは、4人に1人が「健康でない」、
「あまり健康でない」と回答。
県教委は、「多忙化や同僚、児童・生徒、保護者らとの関係変化などが原因」
ととらえ、職場環境の改善、復帰支援など対策を強化。

病気休職の教職員は05年度が85人、精神疾患59人(県立学校21、小中38)、
06年度81人で同61人(19、42)、07年度120人で同70人(16、54)、
08年度115人で同71人(17、54)と、
全体の教職員数が年々減少している中、精神疾患は増加。

公立学校共済組合岩手支部の調査は、昨年夏に実施。
教職員1万2668人が対象で、9595人から回答。
「あまり健康でない」と答えたのは2226人、
「健康でない」は388人の計2614人(27・2%)。

原因は、業務量(48・4%)、同僚との人間関係(35・8%)、
児童・生徒や保護者、管理職との人間関係、生徒指導など。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090619_3

枯れた技術が有機ELで花開く

(日経 2009-06-16)

超薄型テレビのディスプレーとして注目を集める
有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルだが、
高価格がネックのテレビよりも、照明市場向けの需要が
一足先に開花しそうだ。

低消費電力で明るく、紫外線を出さないことが評価され、
環境対応製品への関心が高い欧州などで普及する可能性が高まってきた。
照明に最適な白色有機ELの量産競争で、大手メーカーを尻目に
先頭を走っているのが、操業開始して3年目の無名ベンチャー。
強さの秘密は、枯れた技術の徹底活用。

青森県六ケ所村に工場を構える東北デバイス
(花巻市、相馬平和社長)。
親会社の電子部品製造、エーエムエス(青森県中泊町)の
古川岩雄会長は、「働く場がなく、出稼ぎに行くしかない青森の人に
雇用の場を作るため、会社の体力があるうちに成長市場に挑み、
夢を実現したかった」

先端技術コンサルティング会社の技術指導とファンドの資金支援を受け、
白色有機EL開発部門を2005年、社外に切り出し、ベンチャーとして自立。
照明向けの白色有機ELを新規事業に選んだのは、
鮮明なカラー画像が求められ、量産が難しいテレビ用途より
性能要求のハードルが幾分低い白色の方が、
中小でも参入チャンスがあると見抜いた。

省エネ・環境対応型の照明市場で先行したLED(発光ダイオード)に対し、
白色有機ELは価格競争では負けるが、低温動作でパネル面全体が
発光する点や応答速度の早さで優位に立つ。

今後の需要拡大を期待して、パナソニック電工やNECライティング、
ロームなど大手や有機EL研究で有名な山形大学の城戸淳二教授が
指導する有機エレクトロニクス研究所(米沢市)など、
参入が相次ぐ見通し。

今後の競争激化は必至だが、実用化の目安である1万時間超の
寿命の製品を量産しているのは現在、東北デバイスだけ。
六ケ所村の工場は06年4月、世界初の量産工場として稼働。
昨年、約20億円を投じた第2号ラインも稼働、
2インチパネル換算で月100万枚量産できる。

大手に先駆けて量産を軌道に乗せることができた要因は、
「枯れた技術の水平思考」という製造哲学。
同社の赤星治副社長が、「ローテクの積み重ね」と明かすように、
先端技術と装置をはなから使う気がない。
従業員75人のうち、15人が大手半導体メーカーからの転身組で占め、
半導体工場でよく使われる膜封止、真空蒸着といった
既存の製造技術の活用にとことんこだわる。

赤星氏は、「月産100万枚の生産設備を大手が作ると、
100億円以上かかる」
投資額が大手の5分の1程度で済んだのは、
「有機ELから撤退した三洋電機関係会社から、装置を安く購入し、
旧世代の小型ガラス基板を使って、作業者が手で持ち運ぶようにして
高価な自動搬送装置の導入を最小限にとどめたり、
独自のケチケチ作戦を徹底追求した」

大手は、発光源の有機EL材料を2枚のガラス基板に挟む手法が
一般的だが、東北デバイスは膜封止を採用。
発光材料を薄膜でとじ込めるので、乾燥剤が不要になり、
従来1ミリメートルを超えていたパネルの厚さは0.3ミリメートルまで薄く、
材料コストも節約できた。

中小が大手に勝つ絶対条件のコストダウンは、妥協を許さない。
巨額の資金と人材を投じて最先端技術の開発に執着するが、
技術が先端過ぎて量産に手こずる大手の戦略に対する痛烈な皮肉。

同社は、これまで携帯電話のバックライトや照明大手のOEM
(相手先ブランドによる生産)供給など、特定顧客との取引が主体、
今年4月から一般企業からも受注することを決め、
エレクトロニクス商社4社と代理店契約。
顧客獲得競争で先手を打つ狙いだが、「安く作るノウハウの蓄積で
歩留まりは90%を達成、大手との競争に勝つ自信はある」(赤星氏)。

大手の参入といった試練はこれからだが、東北デバイスの
枯れた技術の水平思考戦略は、中小・ベンチャー企業が
モノ作りで生き残る1つのヒントに。

中国や韓国など、アジア勢の追い上げを受ける半導体、液晶、
プラズマなど先端技術分野だけでなく、自動車関連でも
日本メーカーの事業撤退や工場閉鎖が相次ぎ、日本列島至るところに
まだ十分使える製造装置がエンジニア付きであふれている。

ローテクでも、新たな使い道を探せば、おカネと時間を節約して
成長市場に参入できるのに、この好機にチャレンジする起業家が
なかなか現れない。
資金面や市場開拓に不安があって、ぐずぐずしているうちに、
アジアのベンチャーに宝の山をそっくり持ち去られてしまう。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon090605.html

2009年6月29日月曜日

太陽光をはるかにしのぐ太陽熱

(日経 2009-06-15)

家庭で利用できる再生可能エネルギーの最も身近なものは、
やはり太陽のエネルギーだろう。
家庭でガスや灯油が使われていなかった時代には、
厨房の煮炊きには薪や炭が使われ、お風呂を沸かす
(この言葉も現代では死語になったようだ、「お湯を張る」と
いった方が一般的)のも、芝や薪が使われていた。
この時代は、バイオマスという名の再生可能エネルギーが
家庭の主役だった。

毎秒、地球に降り注ぐ太陽エネルギーの総量は、
われわれが地球全体で消費する全エネルギーの18000倍と推計。
見方を変えると、われわれが1年かけて地球上で消費する
全エネルギー量を、わずか30分間で供給できる計算。
地球のすべての生命の源は、すべてこの太陽に依存している。
水力や風力も、太陽による水循環・風循環の結果だし、
石油や石炭といった化石燃料も、元をたどれば
太陽エネルギーが作り出したもの。

太陽エネルギーの利用の基本は、熱と光を利用すること。
光としての利用は、日中の明るさが第一だが、
近年、この光エネルギーを電気として取り出す太陽光発電システムが
世界中で爆発的な普及段階を迎えている。

一方、熱としての利用例は発電よりはるかに歴史が古く、
農業用水をあらかじめため池にためておき、
水温が太陽によって温められてから田畑に供給する例や、
温室としての利用などがある。
何より温水器としての利用は、住宅でも早くから普及していた技術。

太陽熱温水器は最もポピュラーな設備で、
古くから使われてきたものに、「くみ置き式」と呼ばれるもの。
1950年頃、すでに実用化され、農村部での普及は高かった。
汲み置き式は、保温性が良くなかったため、さめやすいという欠点。
自然循環式」と呼ばれ、集熱部と貯湯部に分かれ、
温められたお湯が貯湯タンクに貯められる方式が登場。

温水温度は、夏ではセ氏60~65度、冬でも同30~35度。
1980年頃、この方式が主流となり現在に至っている。

太陽エネルギーの有効活用という点から考え、
太陽光発電の転換効率に比べて、
太陽熱利用の熱利用効率の方が、実は数倍も大きい。
太陽のエネルギーの大きさは、条件の良いところでは、
1平方メートルあたり1キロワット。
年間の日照時間が約2000時間の東京では、
1平方メートルあたり年間2000キロワット。

これを太陽光発電に利用すると、発電効率は15~20%だが、
太陽熱として利用すると30~70%の効率で利用可能。
家庭での暖房・給湯用の熱利用量は、
石油換算で1世帯あたり年間740リットル、
太陽熱利用効率を50%とすると、面積8平方メートル程度の
太陽熱温水器を屋根に載せれば、太陽熱ですべてをまかなえる。
太陽エネルギーの熱利用が、もっともっと注目されても良いのでは。

◆なかがみ・ひでとし
1973年(昭48年)東大大学院工学系研究科修了、
住環境計画研究所を創設し所長。
慶大システムデザイン・マネジメント研究科教授のほか、
経済産業省の総合資源エネルギー調査会委員なども務める。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan090611.html

体内時刻、血液の代謝物質から計測 慶応大と理研、睡眠障害治療などに期待

(2009年6月16日 毎日新聞社)

血液から24時間周期で量が変化する471種の代謝物質を、
慶応大先端生命科学研究所(鶴岡市)と理化学研究所の
発生・再生科学総合研究センター(神戸市)が特定。

この代謝物質の量を測定することで、
マウスの「体内時計」の時刻が分かる。
人にも同様の仕組みがあるとみられ、体内時計の狂いが原因とされる
睡眠障害や時差ぼけなどの診断や治療につながる。

研究チームは、マウスの血液をさまざまな時刻に採取し、
約2500種の代謝物質を測定。
その中から、24時間周期で量が変わる471種を突き止めた。
その変動パターンを記録し重ね合わせることで、
代謝物質が示す時刻表を作った。

一定の時刻に血液から採取した代謝物質の量を測定し、
出来上がった時刻表と突き合わせることで、体内時刻を測定。
普通のマウスでは、体内時刻と実際の時刻との誤差は1時間以内。
電気の点灯時間を8時間早くして、時差ぼけにした
マウスの体内時刻を測定したところ、実際の時刻より8時間前の状態。

慶応大の曽我朋義教授(分析化学)は、
「体内時刻の測定が可能になることで、体内時計の狂いの修正や、
狂いから生じる病気の解決につながるのでは」
米国・科学アカデミー紀要の電子版に発表。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/6/16/102109/

ランコム、肌老化に関わる遺伝子を解析 加齢肌を若い肌に近づける新美容液を発売

(日経ヘルス 6月25日)

日本ロレアルのプレステージブランドであるランコムは、
肌老化に関わる遺伝子に着目した美容液「ジェニフィック」を発売。

新製品は、若い人の肌に多く存在するという、
肌ダメージの修復力が高いたんぱく質を作り出す遺伝子の働きを促し、
若々しいハリのある肌に導く。

肌には多くの遺伝子があり、その遺伝子から発するサインに従って、
たんぱく質の合成や再生などが行われる。
この遺伝子からのサインは、年を重ねるにしたがって変化する。

平均35歳と65歳の2つのグループを対象に遺伝子解析をしたところ、
対象の遺伝子4000個のうち、550個以上のサインが変化。
若年肌と加齢肌では、出るサインの種類が違う。

この差と肌の修復力の関係も見えてきた。
光による肌ダメージを受けた場合、若年肌は修復のため、
6時間後に遺伝子のサインの出現がピークを迎え、
加齢肌は30時間後にピークを迎える。
加齢肌では、再生を促す遺伝子から出るサインのタイミングが、
遅くなっている。

今回の新商品には、若い肌に多くみられる肌の遺伝子を出現させる、
セラミドと似た構造を持つ成分「フィトスフィンゴシン」と、
若い肌に多いたんぱく質の合成を促すビフィズス菌抽出エキスの
「ビオリサット」を配合。

新製品のモニターテストでは、25人の日本人女性に2カ月の間、
1日2回、商品を使用してもらったところ、
肌の老化に伴って減少する角質細胞(ケラチノサイト)の
接着力を高めるたんぱく質の発現率が26%アップ、
加齢とともに増えるたんぱく質の発現率が56%抑制。

価格は30ml、1万500円。
使うタイミングは、洗顔後、ローションをつける前。
その後に使用する化粧品の浸透や効果を促す
ブースター的な役割も期待できる。

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20090625/103554/

公園遊具:高齢者仕様に 介護予防へ「うんどう教室」、全国51カ所

(2009年6月19日 毎日新聞社)

子ども向けの遊具に代わり、高齢者の運動用に、
平均台や鉄棒などを設置する公園が増えている。
ボランティアなどを講師に迎えた運動教室も好評。
目標は、介護予防のための体力維持。
「5年後も今のまま」を合言葉に、
運動を習慣付けようという動きが広がっている。

大阪府の中央部、大阪、東大阪、八尾の3市にまたがる
府営久宝寺緑地。
高さ20センチの平均台や地面に足をつけたまま、
つかまることができる鉄棒などを設置した「健康広場」に、
毎月第2土曜日、50-80代の男女20-30人が集まる。
公園を管理する財団法人大阪府公園協会が開催している
「うんどう教室」。
同年配の指導員に従って、両手を広げながら「コ」の字形の
平均台の上を歩いたり、鉄棒にぶら下がって体をひねったり。
ゆっくりとした動きだが、約1時間の運動を終えると、
筋肉を使った実感が残る。

「うんどう教室」は、財団法人体力つくり指導協会
(03・5858・2200、http://www.tairyoku.or.jp)が93年から始めた。

田中喜代次・筑波大大学院教授(スポーツ医学)が監修した
専用の健康遊具と運動プログラムを使い、
講習を受けたボランティアの講師が指導に当たる。
高齢者の介護予防意識の高まりとともに、導入する自治体が増え、
現在22自治体51カ所の公園に広がっている。

運動は4種類。
転倒やふらつきを防止する運動や、肩こりを軽減する運動など、
高齢者が取り組みやすく、運動機能の維持につながるものを中心。
同協会の西城真人高齢者うんどう習慣化事業部長は、
「面倒がらずに習慣付けてもらえるよう、負荷が小さい運動ばかり」

種類も当初の13種類から、徐々に絞り込んだ。
名称を平仮名にしたのは、「筋力トレーニングなどの運動とは
違うイメージにしたかったから」

田中教授は、「指導員の講習では、高齢者の気持ちが
分かるかどうかも考える。
小学校と同じように、地域に常にある存在として定着してほしい」
………………………………………………………………………
◆家庭でできる運動法

「うんどう教室」のプログラムは、健康遊具のない家庭でも
継続できるよう考案。
教室参加者が使用する「健康ノート」から、
家庭でできる運動方法を紹介。
いずれも1セット3回が基本。

◇つまずかないうんどう
<1>壁や柱に向かって、足の幅一足分空けた場所に立ち、
一方の足を肩幅を目安に真後ろに引く
<2>壁や柱に手をつきひじを伸ばし、前のひざを曲げながら、
おへそを前に出すようにしていく
<3>後ろのふくらはぎが張ったところで止め、10数える。
足を踏み替えて同様に行う

◇かいだんうんどう
<1>少しひざを曲げ、太ももが硬くなる感じを確認する
<2>太ももを触り、硬さを保ったまま姿勢を正す
<3>さらにお尻の穴を締めるよう意識する。
お尻を触りながらやるとより効果的
<4>そのまま緊張を保ち10数える
<5>息を吐いて力を抜き、リラックスする

◇ふらつかないうんどう
<1>気を付けの姿勢で中指を下へ向かって力を入れて伸ばす
<2>胸を張り、背筋が緊張したことを確認したら、おなかをへこませ、
腹筋(下腹部)に力を入れる
<3>太もも・お尻にも力を入れる(かいだんうんどう参照)
<4>すべての部分の緊張を保ち、10数える
<5>息を吐いて力を抜き、リラックスする

◇全身のびのびうんどう
<1>両手を上げ片方の手で、もう一方の手の親指をつかむ
<2>ひじをしっかり伸ばして、一度真上に伸び上がるように意識し、
息をゆっくり吐きながら、親指を引くよう上体を横に曲げ、体の脇を伸ばす
<3>息を吸いながら上体を起こし、反対の親指に持ち替えて同様に行う。
2~3回繰り返す

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/6/19/102443/

2009年6月28日日曜日

小学館ネット・メディア・センターの小室GM「スマートフォン向けに注力」

(日経 6月16日)

若者の活字離れやインターネットの普及で、
出版の落ち込みに歯止めがかからない。
雑誌や書籍の販売収入や広告収入が減る中、
各社はデジタル事業に活路を探る。
小学館が、電子雑誌などの実験場とする「ネット・メディア・センター」
トップを務める小室登志和ゼネラルマネジャーに今後の戦略を聞いた。

——電子雑誌「SooK」などを試みてきた。現在の方向性は?

「2008年7月に就任し、小学館のコンテンツをどう生かすかという
試みを進めている。
一歩先行しているのは、携帯電話向けの電子コミック。
デジタルコンテンツで売り上げが好調なのは、
辞書などのレファレンス系。
朝日新聞社やECナビなどのネット百科事典『kotobank』にも、
コンテンツを提供」

「カシオなど電子辞書や携帯電話、iPhoneなど、
色々な端末で国語辞典や英和、和英の辞書を活用。
それらに次いで、実用系雑誌のコンテンツを活用したい。
週刊誌は、1週間で世の中から消えていってしまい、
ムックや単行本にまとめない限り、2度と手に入らない。
紙で再活用する以外に、デジタルで活用できないかと考えている」

——デジタル雑誌の収益モデルの現状は?

「まだ小学館はやっていないが、講談社は雑誌『クーリエ・ジャポン』を
iPhoneで展開し、主婦の友社や、マガジンハウスも販促に利用。
紙の雑誌をどう売るかという販促と、デジタルコンテンツとして
どうマルチユースできるか、を模索しているところ」

「メディアの特性として、パソコン上だとユーザーはお金を払ってくれない。
やはり携帯電話だろう。
これからスマートフォンが増えてくる。
携帯電話や、携帯型ゲーム機など向けに、どうコンテンツを
利用できるかに力点を置いて戦略を立てている」

——iPhone向けソフト販売の動向は?

「大辞泉を08年11月に発売し、今年4月にバージョン2に更新。
すしネタ図鑑や、キノコ図鑑もアップ。
英語トレーニングのソフトが、教育ジャンルで売り上げ2位になるなど好調。
アップルストアなら、流通コストもかからない。
ロングテールで、減っていくとはいえ1日十数本と売れ続ける。
これからアプリのリリースが増えていけば、『チリも積もれば……』で、
置いておくだけで売り上げが立つ」

「出版社の強みは、iPhoneでこんなアプリあったらいいな、と
小学館の出版目録を見ると、大抵あること。
80数年の歴史の中で、ネタ本としての出版物はある。
そのままアプリにはできない。
例えば、すしネタ図鑑で分かったのだが、書籍をそのままアプリにしても
ユーザーは満足してくれない。
iPhoneなりのデジタルの面白さがないとダメ」

——具体的にどう進化させるのか?

「四季のガイドブックなら、紙の書籍ならめくるだけだが、
デジタル機器なら、今いる場所から近くの店を探したり、
ガイド機能を付けたりしないと用を足さない。
ここ数年、紙の出版物の制作がデジタル化。
デジタルデータがあるため、転用が容易に」

ネット・メディア・センターは、出版局や編集局と一緒に
デジタルコンテンツを制作。
窓口であり、サポート役。
部員数は12人だが、業務が増えており、増員したい。
外部とコラボしないと、小学館だけでデジタル化をすべてやるのは難しい。
協業相手を探したり、契約を含めた営業をするスタッフも必要だし、
コンテンツが増えれば開発要員も必要。
携帯サイト運営会社と組むなど、我々にないものを持っているところと
協業していきたい」

——紙の書籍の販売不振に、デジタル書籍はどう影響を及ぼすか?

紙かデジタルか、という時代ではない。
今後は同時発売や、電子コミックのように、
紙にフィードバックする例が増えてくる。
雑誌コンテンツをどう生かすかは、どの出版社にとっても緊急の課題。
機器の特性をいかした電子雑誌の形を模索」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090615.html

県立大船渡病院 がん診療「緩和ケアチーム」編成

(東海新報 6月16日)

県立大船渡病院(八島良幸院長)は、がん医療の専門的な知識や
技術を有する医師や看護師で、「緩和ケアチーム」を編成、
がん治療と並行して緩和ケアに力を入れている。

今年4月、厚労省の地域がん診療連携拠点病院に指定、
14日は市民公開講座を開催、一般への緩和ケアの周知に努めた。

緩和ケアチームは、同病院の村上雅彦緩和医療科長、
道又利第一精神科長、武田彩緩和ケア認定看護師の3人で構成。

平成19年から活動を開始、それぞれの専門性を発揮し、
常に連携を取りながらがん治療患者に緩和ケアを提供。
緩和ケア体制も整った地域がん診療連携拠点病院として、
緩和ケアを知ってもらうための市民公開講座が開かれ、
市民や医療関係者82人が熱心に聴講。

道又第一精神科長が、緩和ケアのキーワードの「心・体・絆」や、
健康が揺らぐと、うつ状態にもなる。
告知を受けた時から、お手伝いするのが緩和ケアであることを知って
活用してほしい」

村上緩和医療科長は、質の高いがん医療を提供することを
目標に定めたがん対策基本法の内容や、
「男性の2人に1人、女性の3人に1人が、一生のうちにがんと診断、
死亡率の1位に。
緩和ケアは、患者のつらさを和らげ、その人らしく過ごすためのサポートで、
患者を支える家族にも対応して行うもの

同病院で緩和ケアを受けている陸前高田市広田町の
元教育委員・吉田政彦さん(81)が体験談。

胃と肺のがん手術を経験し、胆管部に腫瘍を抱えて、
現在は通院して緩和ケアを受け、
「がんのことで頭がいっぱいになった時、四方山話をして助言や励ましを
頂き、ケアチームの存在は心強くありがたかった」、
ケアチームとの信頼関係が治療に役立ったこと、
夫を支える妻の壽子さんも、「思いを委ねたところ、
救われて安息を得ることができた」と家族の心境を語った。

患者が使用するタオル帽子や各種がんのパンフレットが会場に展示、
大船渡病院ボランティア会の畑中幹子さんも、病院支援の輪を広げる
活動について紹介。

聴講した大船渡高校一年の佐藤寿子さん(16)は薬剤師志望で、
「緩和ケアがあることによって変わると思いました」と
医療の現状を学んでいた。

県内では、がん患者を支援する岩手ホスピスの会や、
市民レベルで緩和ケアを学ぶ動きが始まっている。
緩和ケアでは、患者本人の痛みや吐き気、不安、いらだちなど
身心のつさらや、家族が抱えるつらさを和らげるため、
初期の段階から治療と並行して行われる。

同病院では、各種がんのパンフレットを手に取ってもらうため、
各階のエレベーター付近に置いており、緩和ケアチームの村上医療科長は
「市民の方々と一緒に、緩和ケアを学んでいきたい」、
10月には医師対象の研修も実施する予定。

http://www.tohkaishimpo.com/

スポーツ21世紀:新しい波/305 toto好調の波紋/4

(毎日 6月13日)

疑問の始まりは、校庭の記念樹。
今年度、3小学校の校庭が人工芝化される東京都目黒区。
子どもを小学校に通わせる40歳の母親は、
「工事で学校のシンボルが切られると聞き、初めて関心を持った。
なぜ人工芝にするのか、納得できる説明もデータも示されないまま」

子どもの体にどんな影響があるのか?維持管理費はいくらか?
周辺環境や自然環境に悪影響はないのか?
4月、区側に説明を求める活動を行い、記念樹の伐採は見送られたが、
工事はこのほど始まった。

昨年度、過去最高の売り上げを記録したスポーツ振興くじ(toto)。
その助成事業に、今年度からグラウンドの人工芝化が加えられた。
くじを運営する日本スポーツ振興センターの担当者は、
「維持費の安さなどから需要がある」

目黒区教委の学校施設計画課も、
「雨が降った直後にも使えるなど、天然芝より使い勝手が良い」

人工芝化に対して、1件3000万円を上限に4分の3の事業費が
totoから助成。
しかし、3000万円で済む工事はほとんどなく、
超過分はその自治体の負担。

新たに天然芝化する場合、上限6000万円で5分の4の事業費が助成。
制度としては天然芝が優遇されているが、
目黒区のように、維持管理に手間がかからないという理由で
人工芝を選択する自治体も増えてきたようだ。

目黒区では、議会でも議論に。
工藤はる代区議(無所属)は、「区立学校の人工芝化は区長の公約だが、
一方的に話が進められ、住民や父母の一部からは理解を得られていない」
けがの少ない芝生の上でスポーツができ、街の緑化にもつながる目的で
進められてきた芝生化運動。

しかし、天然芝とは異なり、人工芝で足腰を痛めたり、
やけどをする例はプロ野球でも問題に。
天然芝に近い人工芝が開発されているとはいえ、
そのメリットには疑問視する声があるのも確か。

http://www.blogger.com/post-create.g?blogID=4989583565510097401

日本人由来の乳酸菌にストレス緩和作用カルピス、医学生を対象とした臨床試験で確認

(日経ヘルス 6月24日)

カルピスと徳島大学医学部は、日本人の腸内からとった
同社保有の乳酸菌、ラクトバチルスガセリCP2305株
(以下、ガセリCP2305株)の摂取により、
ストレス緩和作用が期待できることを、
医学生を対象にした臨床試験で確認。
第13回腸内細菌学会で発表。

徳島大学医学部に在籍する20歳前後の医学生24人を2群に分け、
二重盲検試験で実施。
試験期間は、心身に大きなストレス負荷がかかる
解剖実習期間中の4週間。
片方の群に、ガセリCP2305株を含む発酵乳を、
もう片方の群に、擬似発酵乳を毎日とってもらった。
摂取期間前後で、痛みなどの評価法としても用いられるVAS法で、
不安や不眠、食欲不振、胃もたれといった“ストレス症状”について調べた。
ストレスホルモンである唾液中のコルチゾール量なども測定。
便を採取して、培養法で腸内細菌叢の状態も調べ、比較した。

その結果、ガセリ菌摂取群では、コルチゾールの増加が有意に抑制。
“ストレス症状”については、摂取前後のスコアの差を比べ、
ガセリ菌摂取群は疑似発酵乳群に比べ、
「うつ症状」、「睡眠習慣」、「腹痛」のスコアが有意に改善、
「食欲不振」、「胃部不快感(胃もたれ)」、「不安」、「不眠」で改善傾向。
腸内細菌叢では、ガセリ菌摂取群で、善玉菌と呼ばれる
ラクトバチルス属が増加傾向にあり、大腸菌群は減少。

ガセリCP2305株が、なぜストレス緩和に働くのか?
詳しいメカニズムの解明はこれからだが、
同社健康・機能性食品開発研究所の藤原茂主席研究員は、
「ストレスによる腸内の軽微な炎症が抑えられ、
代謝産物など何らかの物質が作用し、
内分泌系や自律神経系に影響を与えている可能性が考えられる」

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20090624/103547/