2009年7月2日木曜日

高校生のための海洋生物科学シンポジウム開催 北里大と東大が連携

(東海新報 6月28日)

「海の未来をひらく」をテーマにした高校生のための
海洋生物科学シンポジウムが、大船渡市で開催。
海洋生物の生態や環境問題、食糧・創薬資源としての重要性など、
専門に研究している4人の学者が講演。
地元の生徒たちは、海の魅力と海洋生物の不思議に興味津々。
無限の可能性に思いをはせていた。

シンポジウムは、北里大学海洋生命科学部(緒方武比古学部長)と
東京大学海洋研究所国際沿岸海洋研究センター(道田豊センター長)主催。
さんりく基金の共催、県、大船渡市、三陸鉄道、東海新報社などが後援。

これからの日本を担う高校生たちに、
海とそこに生きる多種多様な生物に深い関心を持ってもらおうと、
一昨年の釜石市、昨年の奥州市に次いで3回目の開催。
会場には大船渡高校の1、2年生、一般市民ら合わせて450人が参加。

今回のテーマは、「海の未来をひらく~環境修復から創薬まで~」
東大海洋研究所の津田敦准教授、北里大海洋生命科学部の
神保充准教授、北里大海洋バイオテクノロジー釜石研究所の
笠井宏朗部長補佐、北里大海洋生命科学部の難波信由准教授
の4人が、最先端の研究内容を紹介。

津田氏は、「動物プランクトンの行動を観察する」と題し、
エビやカニの仲間のプランクトンであるカイアシ類の生態や
交尾行動など興味深い話題を提供。
「観察する眼を持っていれば、つまらないことからいろいろなモノが見えてくる。
それが科学の面白さ」

「サンゴ共生のしくみと環境の影響」について講演した神保氏は、
サンゴ礁保全の問題解決の糸口として、
サンゴの持つレクチンというタンパク質に注目。
「レクチンの働きを解明することが、白化対策の一助になるかも」と提起。

笠井氏は、「海洋微生物を利用したバイオテクノロジー」、
医療健康分野や食糧分野、健康食品の開発、
微生物を使った環境浄化への取り組みなどを紹介。
「生物が持つ力を、人々の役に立てる技術にすることがバイオテクノロジー、
創薬の研究開発にもつなげたい」

難波氏は、「海藻・広がる海の未来」と題して講演。
「海藻は、海の森(藻場)をつくって二酸化炭素を削減、
バイオエタノールの原料としても注目。
海藻からわれわれの未来が見えてくる」、
食糧資源としての重要性と地球環境の修復に果たしうる役割を力説。

新沼佳乃子さん(大高2年)は、「プランクトンが、自分の意思で
動いていることに驚いた。生き物の姿や生態も興味深かった」
中村崇嗣くん(同)は、「サンゴの白化とレクチンの話が面白かった。
海に近いところに住んでいるのに、知らないことが多いので
もっと深く理解したい」と熱心に聴講。

会場の高校生からは、講師に質問も寄せられ、
関心の高さをうかがわせた。
緒方学部長は、「これからも、2つの大学と研究所が連携しながら、
さまざまな機会に、海の大切さ、不思議さ、面白さを情報発信したい」

http://www.tohkaishimpo.com/

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