2008年5月10日土曜日

不法投棄、宇宙に「目」あり 山多い岩手県、衛星で監視

(朝日 2008年05月05日)

地上からは、わかりづらい山間部での廃棄物不法投棄を見つけるため、
宇宙航空研究開発機構と岩手県が、
地球観測衛星「だいち」による宇宙からの監視を始めた。

宇宙からの画像をもとに、処分場の変化などの不審な動きを
いちはやくつかんで現地調査し行政指導。

岩手県は、北海道に次いで面積が大きく、県土の4分の3を林野。
関東から持ち込まれるなどの産廃不法投棄が後を絶たず、
過去5年間に約150カ所で確認。
青森県境では、国内で最大規模の約87万立方メートルの産廃が不法投棄、
修復に10年かかると予想。

しかし、自動車での巡回や、ヘリコプターによる空からの監視では、
不法投棄の全体状況をつかむのに限界があり、費用も多額。

岩手大の横山隆三・特任教授らは、2.5メートルの大きさのものを
見分けられる「だいち」の画像に着目。
不法投棄を見つけるため、県内の産廃処分場などの画像をデータベース化、
変化を確認できる仕組みをつくった。

「だいち」は、46日ごとに同じ場所を通過し、雲がない時に地上を撮影。
この画像を、県の担当者が分析。
山肌を掘り起こすなどの不審な動きがあれば、
現地で確認し不法投棄の摘発につなげる。

http://www.asahi.com/science/update/0505/TKY200805050188.html

スーパー・サイエンス・ティーチャー養成…文科省方針

(読売 5月6日)

文部科学省は、小中高校で理科教育を専門に手がける
「スーパー・サイエンス・ティーチャー(仮称)」を養成

国際調査で、日本の子供たちの理科への関心や成績の低下が
目立つため、理工系出身で、科学に深い理解があり、
理科を分かりやすく教える指導力のある理科専門教員を配置し、
早い時期から理科への興味を引き出す狙い。

来年度予算の概算要求に、理工系の大学・大学院などに、
理科専門教員の養成課程を設置する費用を計上。
各大学からアイデアを募集。

養成課程では、通常の小中高生の教育指導に加え、
最新の科学知識に裏付けられた新しい実験教材の作り方や、
科学への関心を引き出す指導法を学ぶ。

カリキュラムの企画段階から地域の教育委員会と連携、
教育現場の声を反映させるとともに、
学生が実際に教員に採用されやすいように工夫。

理工系の大学・大学院にも、中高校の教員養成課程はあるが、
生徒に分かりやすく科学を伝える指導法を学ぶ科目は不足気味。
卒業後は、多くが研究・技術職を選び、教員になる学生は少ない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20080506-OYT8T00259.htm

7月20日にサッカー場で大船渡ロックフェスティバル開催へ「海フェスタ」盛り上げ

(東海新報 5月8日)

大船渡青年会議所(遠藤博幸理事長)は、創立40周年を記念し、
「海フェスタ」期間中の7月20日、
「大船渡ロックフェスティバル08」開催。

2千人以上を収容できる太平洋セメントサッカー場に特設ステージを用意、
10アーティストが出演。
環境美化への配慮やボランティア精神の育成などもテーマ、
海フェスタの前半日程の盛り上げに意欲。

ここ数年、同会議所では市内の子どもたちが出演したミュージカルを開催、
公開オーディションや盆フェスタなど、音楽にちなんだ企画を成功。
創立40周年のスローガン「海来(みらい)への架橋」にちなみ、
若者向けのイベントを通して幅広い世代へのつながりを生もうと企画。

出演アーティストは、ロックバンドを中心に10アーティスト。
午前10時半開場、11時スタートで、大船渡などで活躍する
「LAWBLOW」、「TILITILI」がオープニング。

全国規模の海の祭典「海フェスタ」期間の2日目に開催、
立ち見で2千人以上を収容できるサッカー場に特設ステージを用意。
ステージ後方には、地元飲食店などによるブースを設け、
音楽以外のサービスも充実。

入場の条件として、チケットとともにゴミを持参、分別回収し、
環境美化への意識啓発も図る。
若い世代を中心としたボランティアも受け付ける。

チケット販売は始まり、首都圏在住者からの申し込みもあり、反応は上々。
会議所メンバーらも市内外に積極的に出向き、協力を呼びかけ。

特別室室長の新沼崇久さんは、「遠くから来てもらった人々に、
大船渡の魅力を発信したい。多くの人々に足を運んでもらいたいほか、
継続して開催することができれば」。

チケットは、4千円で一般発売。
チケット購入やボランティアなどの問い合わせは、同事務局(電話27-1285)。
出演:ASPARAGUS、IN―pish、10―FEET、HAWAIIAN6、
the band apart、B―DASH、FoZZtone、松本哲也、MissMonday、ムラマサ☆

http://www.tohkaishimpo.com/

2008年5月9日金曜日

サッカーの金満クラブ首位はマンU、選手はベッカム

(CNN 5月3日)

米経済誌フォーブスは、サッカーのクラブ、個人選手の長者番付を発表、
世界で最も資産価値が高いのは、イングランド・プレミアリーグの名門、
マンチェスター・ユナイテッド(マンU)の約18億米ドル(約1872億円)。

昨年比で3億4700万ドルの増加。
2年連続の世界一で、来年も首位を維持する見通し。
マンUの金満の背景について、約7万6千人が入る本拠地スタジアムの
収容能力の大きさと高額水準の入場料などを指摘。

ランキングは営業収入、収益、債務高などを考慮し決めた。
2位は、スペイン1部リーグのレアル・マドリードで12億8500万ドル。
プレミアのアーセナルの12億ドルが続いた。
上位10以内に、プレミアの4クラブが入った。
4位以下は、リバプール、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、
ACミラン(イタリア)、バルセロナ(スペイン)、チェルシー、
ユベントス(イタリア)、シャルケ(ドイツ)。

選手では、米ロサンゼルス・ギャラクシーに所属する
イングランド代表のベッカムが4900万ドル(約50億9600万円)で首位
ギャラクシー移籍に伴う巨額の移籍金が物を言った。
バルセロナ所属のブラジル元代表FW、ロナウジーニョの3300万ドルが2位。

http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200805010042.html

バイオ燃料用作物、無秩序栽培は生態系破壊…国連報告書

(読売新聞 2008年5月4日)

大気中の二酸化炭素(CO2)を増やさず、
環境への負荷が少ないとされる、バイオ燃料用作物の栽培が、
希少な生物種の絶滅を加速する恐れがあるとする報告書を、
国連の生物多様性条約事務局(カナダ・モントリオール)がまとめた。

ドイツ・ボンで開かれる生物多様性条約締約国会議で、
より環境に配慮したバイオ燃料用作物の栽培政策を
各国に求める決議を採択するよう提案。

報告書は、「バイオ燃料用作物の栽培が世界的に増えている中、
新たに森林を切り開いて農地にしたり、その場所に本来なかった作物が
農場外に広がっていったりすることで、生態系が破壊されている」。

背景には、生態系への影響に対する明確な科学的根拠がないまま
無秩序に栽培を奨励する政策があるとし、
本来の目的とは逆にCO2の放出を増やし、水質の悪化なども招く。

バイオ燃料の需要は、世界的な原油高もあり、増加傾向。
食糧用や飼料用の穀物がバイオ燃料に振り向けられ、穀物の高騰に。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080504-OYT1T00232.htm

飲酒と喫煙はアルツハイマー病の早期発症を促進

(WebMD Medical News 4月16日)

1日1箱以上のタバコを吸う人は、そうでない人よりも数年早く
アルツハイマー病を発症し、大量の飲酒はリスクをさらに上昇。
喫煙と飲酒が、予防可能な最も重要なアルツハイマー病の
リスク因子であることを示している。

マウント・シナイ医療センターのRanjan Duaraは、
大量の飲酒と大量の喫煙が重なると
アルツハイマー病が早期発症することを確認。
「発症を5年間遅らせることができれば、アルツハイマー病患者の
総数は50%近く減少すると予想」。

「大量の喫煙と飲酒を抑制または排除できれば、
アルツハイマー病の発症を大幅に遅らせ、いずれかの時点で
アルツハイマー病の患者数を減らすことが可能」。

Duara博士の研究は、60歳以上のアルツハイマー病の
「疑い(possible)例」または「ほぼ確実(probable)例」である938例を対象。
患者の飲酒と喫煙に関する情報は、家族から入手。
大量の喫煙は、1日1箱以上のタバコの喫煙と定義。
大量の飲酒は、1日3杯以上の飲酒と定義。

アルツハイマー病のリスクを上昇させるアポリポタンパクE-4(ApoE-4)
遺伝子変異をもつかどうかによって、被験者をグループ分け。

◆研究結果:
大量飲酒者は、そうでない人よりも4.8年間早くアルツハイマー病を発症。
大量喫煙者は、2.3年間早くアルツハイマー病を発症。
遺伝子変異によって、発症年齢が3歳若くなった。
3つのすべてのリスク因子をもつ人は、8.5年間早くアルツハイマー病を発症。

アルツハイマー病は進行性かつ不治の脳疾患であり、
記憶および学習能力に影響する知能の低下をもたらす。
米国アルツハイマー病協会によれば、
約500万人の米国人がアルツハイマー病に罹患。
米国のベビーブーム世代が老後を迎える近い将来、患者数の急増が懸念。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=71775

2008年5月8日木曜日

スキーのスーパーキッズ養成 八幡平市教委

(岩手日報 5月6日)

八幡平市教委は、小学生を対象に、スキーのスーパーキッズ養成。
5月から基礎トレーニングや栄養指導などの講座を開催。
体力測定の結果や受講状況をみて、スーパーキッズを認定。

同市は、多くのスキー選手を輩出し、本県の競技振興を支えている。
少子化とスポーツの多様化で競技人口が減少傾向にある中、
スキーの魅力を伝え、選手確保と競技力向上を目指す。

養成講座は、希望者を対象に説明会と体力測定を行う。
来年3月まで13回計画。
12月に再び体力測定を行い、講座への参加状況も考慮し、
スーパーキッズを認定する。

対象は、市内のスポーツ少年団に加入する小学4年生以上の児童。
競技種目は問わず、スポーツ競技全般の基礎体力や競技力向上を図る。
講師は市体育協会、市スキー連盟の関係者。

同市出身で、アルベールビル冬季五輪ノルディック複合団体金メダリストの
三ケ田礼一さんも外部講師として加わる。

講座では、水分補給や食事と栄養、コンディションづくりなど
スポーツ選手の基礎知識を保護者同伴で学習。
基礎トレーニングのほか、登山、水泳なども行う。
12月から雪上トレーニングを実施。

県内スキー大会への参加者は、減少傾向。
県スポーツ少年団大会は、1997年度の約390人から
2007年度は約270人、
県中学校大会は88年度の326人から07年度は212人に減少。
スーパーキッズ認定でスキーに興味を持ってもらい、
選手の確保、競技力向上を目指す。

市教委安代教育課の三浦剛喜係長は、
「八幡平市の特色あるスポーツのスキーの魅力を伝え、
講座を通しスポーツ選手としての基礎体力や精神力を楽しく養いたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080506_2

抗がん剤の効率よい生産法につながる成果

(サイエンスポータル 2008年4月30日)

植物から抽出した抗がん剤として知られるカンプトテシンが、
ヒトのがん細胞などの増殖を抑える一方、
カンプトテシンを持つ植物の細胞にだけは打撃を与えない仕組みが、
千葉大学の研究チームによって解明。

カンプトテシンは、植物から得られる4種類の抗がん剤の一つ。
有機合成による製法は実用化していない。
キジュやクサミズキなどの植物を栽培し、抽出、精製。
急速な繁殖が難しく、より生産効率の高い植物が求められる。

今回の成果は、新たなカンプトテシン生産植物の開発を可能にすると期待。
千葉大学の斉藤和季教授、山崎真巳准教授、
スパート・シリカンタラマス研究員らは、キジュやチャボイナモリなど
カンプトテシンを生産する植物の遺伝子解析を行った。

カンプトテシンが抗がん効果を持つのは、DNAの複製や修復といった
細胞の基本的な機能に関与する「DNAトポイソメラーゼI」と
呼ばれる酵素の働きを阻害することで、がん細胞の増殖を抑える。

遺伝子解析の結果、カンプトテシンを持つこれらの植物の
DNAトポイソメラーゼIには、複数のアミノ酸変異が起きている。
アミノ酸変異は、カンプトテシンが効かないヒトがん細胞にみられる変異と同じ。

今回の研究成果は、抗がん剤が効かなくなったヒトのがん細胞の研究や、
カンプトテシンの効果が期待できないがん細胞を
いち早く確認する方法などにも役立つ。

http://scienceportal.jp/news/daily/0804/0804301.html

褒められたときの脳を撮影 金銭もらうのと同じ反応

(共同通信社 2008年4月24日)

自然科学研究機構生理学研究所の定藤規弘教授(神経科学)らの
グループが世界で初めて、褒められた時の人の脳内画像を撮影、
米科学誌「ニューロン」に発表。

定藤教授らは、金銭のような報酬を得ると脳内の線条体という
部位の活動が活発になることに着目。

19人の男女を対象に、カードゲームで勝って賞金を得たときと、
「信頼できる」などと褒められたときの脳を磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影。
両方の場合で平常時と比較し、同じ部位で血流が
平均0・3%増加していることが確認。

他人から評価されることも報酬として認識され、
線条体が活発になることが裏付けられたとし、
「『褒められると伸びる』とも言われる人間の社会的活動の解明への第一歩。
教育などへの応用も可能かもしれない」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=71875

2008年5月7日水曜日

スーパーアグリ、F1からの撤退発表

(読売 5月6日)

自動車のF1世界選手権に出場しているスーパーアグリF1チームの
鈴木亜久里代表は、チームの活動を停止し、F1からの撤退を発表。

鈴木代表は、「ホンダなどの支援を受けながら第4戦まで出場したが、
今後も安定的にレース活動を続けていく資金面の目処が立たない」。

最後まで支援、提携を探っていたドイツの自動車関係企業、
バイグル・グループとの交渉についても、
「まだ詰めることが多く、時間切れとなった」と決断に至った過程を明かした。

チームは、第5戦トルコGP(11日決勝)が開かれる
イスタンブール・サーキットでピット区域への入場を差し止められる事態。

スーパーアグリF1チームはホンダからエンジン、技術、金銭的支援を
受けながらも、独立系チームとして2006年から活動。
佐藤琢磨を主戦ドライバーとして2台を出場させ、
昨年は佐藤が2度の入賞(最高6位)するなど健闘。

しかし、昨年のメーンスポンサーとして契約した会社が
スポンサー料の支払いをしなかったことで、チーム財政が極端に悪化、
今年開幕後には、ほぼ決まりかけた英国企業による
買収が破談になって追い詰められた。

鈴木代表は、「2年4か月の間だったが、ファンから多くの支援を受け、
充実した戦いが出来た。感謝したい」と語り、笑顔を見せた。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20080506-OYT1T00473.htm

アルツハイマー病を狙い撃ちする化合物

(Science 4月25日)

ドイツの研究者らが、アルツハイマー病の発症に関与する
細胞活性の起こる細胞内コンパートメントの壁に固定されると、
その活性の一部を阻害することができる化合物の合成に成功。

この新しい発見は、さらに強力なアルツハイマー治療薬設計の
カギを握るものであると思われ、
阻害薬を他の膜蛋白質に結合させるという新しいアプローチの
「概念の検証(proof-of-principle)」を示す。

Lawrence Rajendranらは、細胞内を自由に浮遊しているときは、
わずかに作用する阻害薬の1つをテスト後、
その阻害薬を阻害すべき有害な酵素活性が多く集まる
エンドソームと呼ばれるコンパートメントの膜に固定。

Rajendranらは、この膜に固定させる新しい阻害薬が、
阻害薬単独で使用されるよりも、活性を阻害するうえで
はるかに効果的であることを観察。

今回の発見に伴い、ショウジョウバエおよびマウスモデルで
この阻害薬の効果を試験し、動物モデルの器官の毒性を
低下させ生存率を改善させることを示した。

"Efficient Inhibition of the Alzheimer's Disease beta-Secretase by Membrane Targeting,"
by L. Rajendran; K. Simons at Max Planck Institute of Molecular Cell Biology and Genetics in Dresden, Germany; A. Schneider; M. Simons at Max Planck Institute for Experimental Medicine in Göttingen, Germany; G. Schlechtingen; T. Braxmeier; G. Jennings; H-J. Knölker at JADO Technologies GmbH in Dresden, Germany; G. Schlechtingen; T. Braxmeier; S. Weidlich; C. Schroeder; H-J. Knölker at Technical University of Dresden in Dresden, Germany; J. Ries; P. Schwille at Biotechnologisches Zentrum in Dresden, Germany; J.B. Schulz at Center of Neurological Medicine in Göttingen, Germany.

http://www.sciencemag.jp/highlights.cgi?_issue=105#447

憩いと表現の場に、ホール一般開放 大船渡振興局

(岩手日報 4月26日)

大船渡地方振興局(高橋克雅局長)は、大船渡地区合同庁舎の
県民ホールの一般開放を始めた。
管内で活動する趣味サークルの作品展やミニコンサートなどの会場に提供。
同ホールの特産品展示コーナーも、健康で持続可能な環境に配慮した
ライフスタイル「ロハス」をテーマにリニューアル。
地域の盛り上げに一役買う。
同ホールは、合同庁舎1階の玄関フロアの一角。

これまでにも授産施設などの物品販売などで開放していたが、
広く地域交流・創造の場として提供しようと一般開放を決定。利用規約を制定。
利用できるのは、管内で各種活動を行っている個人や団体。
展示などは、月曜~金曜の午前9時~午後5時、
ホールに設置しているショーケースも利用。
音楽の発表などは、午後0時15分~同45分に開放。
市民団体などの活動発表などにも活用。
料金は無料。利用希望日の7日前までに申請書を提出。

特産品展示コーナーも一新。
同コーナーは、1999年度に整備した以降、入れ替えが行われず、
今回新たに「ロハスな気仙の味と技」をテーマに、
同市と陸前高田市、住田町の観光物産担当課などに推薦を依頼。

瑞泉硯房の高価な「紫雲石硯」や、
気仙大工の技を受け継ぐ小泉木工所の「組木コースター」などの逸品も。
今後は、1年ごとの展示品の入れ替えも計画。
高橋局長は、「地元とのつながりを深めたいと思い企画。
県民ホールが、地域の情報発信や交流の場になればうれしい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080426_11

2008年5月6日火曜日

糖尿病、約1870万人 成人5・6人に1人 予備軍含め、女性が急増

(共同通信社 2008年5月1日)

成人の糖尿病患者と予備軍の総人数は、
2006年時点で約1870万人に上ると推計されることが、
厚生労働省の「06年国民健康・栄養調査」で分かった。

男性が880万人、女性は990万人で、5.6人に1人となる計算。
02年の前回調査より250万人(15・4%)の増加で、
女性が200万人と大半を占めた。

糖尿病の患者数の調査を始めた1997年以降、増加の一途にあり、
専門家からは「歯止めがかからず、ゆゆしき事態だ」。

年代別の人口に占める割合は、
70歳以上が34・8%(男性35・4%、女性34・3%)と最多で、
若い世代ほど少なくなっている。
厚労省は、「高齢化社会が急速に進んでいることが背景にあり、
運動不足や高カロリーの食生活が広がっていることが大きな要因」。

調査は06年、全国の約3600世帯を無作為に抽出。
4296人の血液検査結果や調査票への回答を基に、
成人全体の推計値を算出。

血液中のヘモグロビン濃度が6・1%以上で、
「糖尿病が強く疑われる人」(患者)が約820万人、
濃度が5・6%以上6・1%未満で
「糖尿病の可能性を否定できない人」(予備軍)が約1050万人。

70歳未満の年代別人口に占める割合は、
60代29・0%、50代23・0%、40代13・6%、30代4・1%、20代1・1%。
02年よりも、40代男性が6・2ポイント増、50代女性が5・5ポイント増、
70歳以上の女性も6・0ポイント増となるなど、中高年の増加が目立った。

厚労省が02年まで5年ごとに実施していた「糖尿病実態調査」では、
糖尿病患者と予備軍の推計人数は計約1620万人。
1997年は計約1370万人。

▽国民健康・栄養調査

国民の身長・体重や食品の摂取状況、飲酒や喫煙、運動習慣など
健康面全般に関する厚生労働省の調査。
対象は、全国から抽出した3000~4000世帯。
1952年に「国民栄養調査」として始まり、
健康増進法施行を機に、2003年から現在の名称。

質問内容は、喫煙のように毎年継続調査する項目、
社会状況に応じて数年おきに実施する項目がある。

▽糖尿病

体内ホルモンのインスリンが不足するなどして
血液中のブドウ糖の濃度が高くなる病気。
遺伝的要因のほか、食べ過ぎや運動不足など、
長年の生活習慣が引き金となって発症し、
患者数が多いことから「国民病」とも。
高齢者ほど発症リスクが高く、網膜症や腎臓障害などの合併症の危険性も。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&articleId=72161

常勤医3人態勢に 大船渡病院循環器科

(東海新報 4月24日)

昨年7月から循環器科の常勤医不在が続いている
県立大船渡病院(八島良幸院長)は、今月から3人の常勤医態勢。
岩手医大からの派遣で、今夏からは同病院初となる
心臓カテーテル治療などにも取り組む方針。

大船渡病院は、昨年3月まで循環器科に3人の常勤医がいたが、
同4月から1人に減員。その医師も同7月に退職し、
国の緊急派遣や岩手医大からの応援でしのいでいた。

同病院は、循環器科の常勤医が3人となったことで、
昨年4月から中止していた入院による専門治療を再開、
紹介者に限定していた外来も徐々に拡大。

7月ごろをめどに1人と交代し、同医大付属循環器医療センターから
医師が着任する見通し。
狭心症や心筋梗塞などの患者に対して、カテーテルを使った
心臓の血管内手術などの先進治療を始める予定。

大船渡病院は、県内に3カ所しかない救命救急センターを併設。
昨年4月以降、同センターに運ばれた心筋梗塞などの急患は、
県立釜石病院や気仙沼市立病院などに移送していたが、対応も可能。

主要診療科の呼吸器科や神経内科は、今も常勤医不在。
岩手医大からは、「状況次第で医師を引き揚げることもある」とも告げられ、
喜んでばかりもいられない。

八島院長は、「専門医の着任で、沿岸南部の拠点病院としての
大きな機能が備わる」と期待する一方、
「救急センターの維持にはまだ足りない。医師確保にさらに取り組みたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080424_2

岩手工場も35万台記録 関東自工3月期決算

(岩手日報 4月26日)

関東自動車工業(本社神奈川県横須賀市、安田善次社長)は、
2008年3月期連結決算を発表。
売上高は、7997億円と前期比11・5%増、
当期純利益も同26・5%増の99億円の増収増益、過去最高を記録。

金ケ崎町の岩手工場の生産台数は、北米向け小型車の増産などにより、
同19・6%増の35万200台と過去最高。
東富士工場(静岡県裾野市)と合わせた同社全体の生産台数は、
57万7200台。前期より、5万5300台(10・6%)増加。

岩手工場の生産は、ベルタが18万6600台で最多。
カローラルミオンが8万6400台、オーリス5万5300台、
ブレイド2万1900台と続く。
昨年生産を開始したカローラルミオンが全体の生産台数を押し上げた。

09年2月期の業績予想は、売上高7350億円、当期純利益83億円。
生産台数は3万7000台減の54万台。
燃料高騰により、小型車需要が伸びた08年3月期と比べ減少を見込。
工場別の生産台数は公表していない。

服部哲夫副社長(61)が社長に昇格する人事を内定。
安田社長は、会長に就任。
6月18日の株主総会、取締役会で正式決定。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080426_2

2008年5月5日月曜日

土壌乾燥で森林のCO2放出量増加

(サイエンスポータル 2008年4月24日)

地球温暖化対策で大きな鍵を握るといわれている森林は、
樹木の種類や気象変動により、CO2の吸収量が大きく影響されることが、
国立環境研究所、産業技術総合研究所などの観測によって明らか。

平田竜一・国立環境研究所ポスドクフェロー、
三枝信子・産業技術総合研究所主任研究員らは、
日本、ロシア、モンゴル、マレーシア、タイなど東アジアの森林を数年間観測。
広い緯度帯の多種多様な森林のCO2吸収量を、長期に連続観測し、
総合的な解析を行った例は世界的にほとんどなく、
森林と気候変動との関係を解明する上で貴重なデータに。

今回の観測で、明らかになったことの一つは、
東南アジアの熱帯季節林で、乾季が長期化し降水量が減少すると、
光合成生産量の大きな低下が観測。
降水量減少が、落葉を促進させたためと考えられ、
気温上昇が土壌乾燥をもたらし、大気中のCO2量を増やす可能性も示唆。

日本国内の落葉広葉樹林(岐阜県高山)では、
冬季は光合成が行われず、呼吸で大気中に放出されるCO2の方が多くなる。
常緑針葉樹林では、年間を通じて光合成が行われ、
大気中に放出されるCO2量が多くなる期間は短い。

熱帯林(マレーシア)では、光合成によるCO2取り込みが多い時季と
放出が多い時季の両方が見られたものの、
季節変化の差は亜寒帯、温帯の森林と比べて小さく、年間を通じ
大気中へのCO2の出入りはそれほど変動がない。

森林による1年間のCO2の収支を異なる気候帯で比較すると、
光合成により吸収されるCO2量は、年平均気温が高いほど直線的に増加。
植物の呼吸や土壌中の有機物分解によって放出されるCO2量は、
年平均気温が高いほど指数関数的に増加し、
両者ともに年平均気温により強く影響を受け、他の環境要因からの影響は小さい。

今回の観測で用いられたのは、微気象学的方法(渦相関法)と呼ばれ、
農耕地や森林の中に建設された数メートルから数十メートルの
タワー上に設置された超音波風速温度計と赤外線ガス分析計を用いる。
大気中のCO2吸収量を、無人で連続的に直接観測し、
吸収量の日変化や季節変化を測定でき、
広範囲の測定に向く。

http://scienceportal.jp/news/daily/0804/0804241.html

抗酸化の仕組み、「古細菌」で発見…産業技術総研と阪大

(読売新聞 4月22日)

地球上で初めて酸素呼吸をした生命に最も近い「古細菌」の持つ
新しい抗酸化たんぱく質の仕組みを、
産業技術総合研究所の中村努主任研究員と大阪大の研究チームが突き止めた。
がんや肌のダメージなどを引き起こす活性酸素を無害化しており、
がんや老化を防止する薬品への応用が期待。

過酸化水素などの活性酸素は、DNAに傷を付けるなどの害を及ぼす。
生物は、抗酸化たんぱく質を持ち、活性酸素から酸素を奪い、
水など無害なものにする仕組みを持っている。

チームは、90度の高温でも生息できる古細菌に着目。
この細菌の抗酸化たんぱく質を、
大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)で観察。

その結果、これまでわかっていた仕組みとは違い、
過酸化水素を水にする過程で、このたんぱく質を構成する
「ヒスチジン」というアミノ酸がかかわっていた。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080422-OYT1T00872.htm

カンボジアで農村振興視察 不来方高の鷹觜教諭

(岩手日報 4月27日)

矢巾町の不来方高外国語学系フランス語コースの鷹觜洋子教諭は、
特定非営利活動法人(NPO法人)国際ボランティアセンター山形
(IVY、山形市)がカンボジアで進める農村支援事業の視察に参加。

IVYは、出稼ぎの男性に代わり、女性が主体で行う
同国南東部の有機野菜の共同生産・出荷を支援。
鷹觜教諭は、「事業は順調に推移し、収入の安定化につながっている。
現地で見たことを生徒たちに伝えたい」。

鷹觜教諭は3月下旬に7日間、同国南東部スバイリエン州を訪れた。
視察団は8人で、本県からは鷹觜教諭だけが参加。
同州は多くの男性が出稼ぎし、女性が稲作から家畜の世話までを担う。
IVYは、女性が農業技術を学び、生活を向上させるため、
組合の組織化を後押し。

昨年から、組合を基盤に有機野菜を共同で生産・出荷する
農村振興プロジェクトを開始。
同国の野菜は約7割がベトナム産だが、農薬や化学肥料を使わない
地元産の需要が高い。
女性組合の野菜はやや高値だが、新鮮さと安全性で評価が高まっている。

鷹觜教諭は、「女性たちの意識が向上し、組合が余剰米を備蓄するように
なるなど、支援事業の効果が出ている」。

視察には、国際援助がどう動いているのか、現地で実際に見るために参加。
「地雷や不発弾除去、汚水対策に行動する日本人に会った。
資金援助だけでなく、現地で行動する重要性を知った」。

鷹觜教諭は、国際理解教育に取り組む本県の教員団体
「海外経験・素材を広める教師の輪」を主宰。
「生徒の多くは国際援助に興味を持っている。
自分の経験を伝え、いい形で導くことができれば」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080427_10

2008年5月4日日曜日

博士課程の立て直し目指し日本工学会が講演会

(サイエンスポータル 2008年4月21日)

博士号を取得しても働く場がない、いわゆるポスドク問題を
深刻に考える日本工学会が講演会「博士後期課程修了後の
キャリアパス多様化に向けた学協会の役割」を、
23日に東京・芝の建築会館ホールで開催。

岸輝雄・日本工学会会長(物質・材料研究機構理事長)は、
「大学が博士をきちんと育てないと、日本社会に求められている
イノベーションの達成どころか、小・中・高校生の向学心の低下にもつながる」、
大学院とりわけ博士課程強化の重要性を訴えている。

日本工学会によると、理工系大学院における博士後期課程への
進学率は低下しており、優秀な人材は修士課程修了後に就職する傾向が強い。
この傾向に歯止めをかけるため、後期課程に進学する学生への
リクルーティングアドバイザー(RA)などによる経済支援を
積極的に行う大学が増えている。

より大きな問題として、学位取得後のキャリアパスへの不安がある。
理由として、博士後期進学者の多くが、学位取得後に
大学や研究機関への就職を望んでいる一方、
これら大学や研究機関の研究職ポストは限られ、熾烈な競争に。

これまでの大学院博士後期課程における教育が、
指導教員の専門分野における研究者養成一辺倒で、
修了者の視野が狭く、柔軟性に欠けるとみる企業が積極的に採用する
状況になかったことも、博士号取得者の活躍の場を狭める原因。

こうした状況を打破するため、講演会では博士後期課程における
教育、研究指導が今後どうあるべきか、学協会が果たす役割について、
学協会、大学、企業、マスコミなどが参加し幅広く議論したい。

研究開発の場では、博士号取得者が中心になっているのが
日本以外の先進諸国の常識となっており、
「日本の大学院改革は緊急の課題」とする声が、
相澤益男・総合科学技術会議議員(前東京工業大学学長)など
指導的立場にある研究者たちの間に強まっている。

http://scienceportal.jp/news/daily/0804/0804211.html

水稲直播、農家に広がる 作業省力化時期を分散

(岩手日報 4月29日)

県内で、水田に直接種をまく水稲の直播が広がっている。
2007年度は153ヘクタールで作付けされ、今年は200ヘクタール超。
課題だった収量も、技術の確立により徐々に増加。

担い手不足が深刻な中、省力化とともに作業時期を分散でき、
耕作規模の拡大に適応した農法として注目。

直播は、苗を育て田に移植する栽培法と異なり、
田に発芽直前の種もみを直接まく。
水を入れた田にまく湛水直播と、乾いた田にまく乾田直播がある。
育苗や苗運びの手間が省け、1人で作業可能。
田植えの適期より10日ほど早く種をまき、収穫も1週間ほど遅いため
作業時期を分散でき、規模拡大に適応できる。

春先の低温による発芽不良などで、収量は平均で移植栽培の90%ほど。
しかし、技術の向上で同量の収穫の水田もある。

一関市中里では、乾田での直播が行われた。
5人で水田15ヘクタールを耕作する一関市山目の菅原敏明さんは、
今年は湛水5ヘクタール、乾田5ヘクタールで直播。
「労働力を考えると、春の短時間にすべての水田で育苗、移植は難しい。
米価が下がりコスト減が求められる中、県内でも広がっていくのでは」。

直播は、東北南部で作付けが伸びており、
07年度は福島で1123ヘクタール、山形は799ヘクタール。
県は、10年度には500ヘクタールの作付けを目指す。
県農産園芸課の工藤昌男水田農業担当課長は、
「集落営農が進み、高齢化で担い手が減っている中、有効な技術」。

「いわて直播栽培米研究会」は5月1日、
北上市成田の県農業研究センターで技術講習会を開催。
県も、5月上旬から10カ所で直播実演会を行う。
問い合わせは、県農産園芸課(019・629・5715)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080429_14

MyMaiTree:あすを植えよう(その2止) ドイツに学ぶ「共生」

(毎日新聞 2006年11月18日)

ドイツの森の現状を通して、自然保護の哲学にふれる
「宮脇昭先生と行く『ドイツ1000年の森と街』」と題した視察ツアー。
青森県から長崎県まで全国から29人が参加。

ドイツは、宮脇昭・横浜国大名誉教授が若き日に留学した国で、
研究者としての原点の地。
森林の保護・育成や豊かな都市林、街づくりのあり方など、
日本が学ぶべき取り組みも多い。
「森とともに生きる」ドイツの横顔を報告。

宮脇先生が提唱する「ふるさとの木によるふるさとの森づくり」理論は、
1958年から2年間、旧西ドイツの国立植生図研究所の所長、
ラインホルト・チュクセン教授のもとで学んだ「潜在自然植生理論」を応用
チュクセン教授の孫弟子、ハノーバー大学植生学の
リチャード・ポット主任教授(副学長)が全行程の案内役。

ドイツの森林面積比率は約3割、日本は約7割。
面積も、ドイツは日本の2・5分の1しかないが、
ドイツの森の豊かさを随所で実感。

ドイツ国内を縦横に走る高速道路・アウトバーンの両側には、
ヨーロッパミズナラなどが植えられ、森を作る。
中央分離帯にも、木が植えられている。

◆赤紫色の平原

ドイツ最古の自然保護地域のリューネブルガー・ハイデ。
美しい赤紫色の花を付けるエリカ(ヒース)の大平原に、
夏のシーズンには多くの観光客が訪れる。
1909年に国の保護地域となり、車の乗り入れ規制など。

かつてはヨーロッパミズナラ、ヨーロッパカンバなど豊かな森。
家畜の放牧や伐採、岩塩採掘で、やせた土地となり、
エリカしか生えない荒れ野に。

1880年ごろ、営林署が森林の再生計画を作り、
約20年で植林をして復元。
徹底した土壌調査をし、土地にふさわしい樹種を選んで、計画的に植樹。
チュクセン教授が大きく貢献。弟子の宮脇先生も、土壌調査に同行。

1万5000ヘクタールの森林は、森林再生の手本として
現在もロシア、中国など各国から視察に訪れる。
エリカの土地も、7000ヘクタールが残された。
「その荒れ地が、今は自然保護地域となっている。
パラドックス(逆説)ですね」と宮脇先生。

ニーダーザクセン州立営林署のライナ・コプセル署長(57)は、
「エリカは管理しないと、他の草や木が生えてきて森になってしまう」。

◆「自然林」の姿

氷河が解けて出来たドイツ北部オストフリースラント地方にあるハスブラッハ
ドイツ国内でも3カ所しかない原生林に近い森を散策。
高木、亜高木、中木、低木と自然林のあり方を示している。
州政府の自然保護地域で、厳しい法律により規制。
倒れた老大木もそのまま、朽ちて森の養分に。
樹齢1200年というヨーロッパミズナラの木も、悠久の時を感じさせた。
「いつまでも歩きたい感じね」。参加者の声がした。

◆緑あふれる人造湖

ハノーバー市は人口50万人を超え、「緑のなかの大都市」。
どこに行っても森がある。
650ヘクタールもある「市民の森」の林道は、
ジョギングやサイクリングを楽しむ人たちであふれていた。
乗馬道、ビアガーデン、レストランなどもあり、生活と一体となった都市林。
ポット教授は、「この森は、人間が作った最も自然な森」。
市の中心部にある大きな人造湖にはヨットが浮かび、
緑あふれる湖畔では市民が散策を楽しんでいた。

◆「黒い森」観光と農業

シュバルツバルト(黒い森)。
もともとヨーロッパブナとヨーロッパモミの混交林だが、乱伐で失われ、
ヨーロッパトウヒを中心に大規模に植樹された針葉樹が、
黒く見えることからこう呼ばれる。
南北約170キロ、東西20~60キロ。
70年代後半に、酸性雨の影響を受けた象徴的な場所。

森林地帯となだらかな丘陵が交互に現れる南部。
山間には、しゃれた休暇村が点在。
人々は、観光と農業で生きている。
ポット教授は、「休暇村には、1週間か週末に3日間が基本。1泊はいない」。
道路脇を、牛飼いの少女が牛を連れて歩く姿も。

◇一生物として暮らす/気質と哲学感じた

ツアーに参加した皆さんに、ドイツの森と街について感想。

▽岐阜県美濃加茂市、渡辺俊幸さん(74)
自然を生かすのに手をかけず、自然と共生するためにはどうすればよいか
常に考える習慣が染み渡っている

▽東京都八王子市、木崎忠重さん(70)
街の様子を見ると、全域が多様な生物を維持する巨大なビオトープとなり、
人はその生物の一つとして暮らしているように見えた

▽長崎市、山部倫照さん(21)
都市のど真ん中に森があることに驚かされた。
都市林というよりも、自然の森のなかで生きているように感じた

▽盛岡市、立花民子さん(60)
古い建物を再現しつつ現代化して、しかも自然を残す。
自らの歴史に誇りを失わなかったドイツ人気質、哲学の違いに感じ入った。

◇全体的な対応必要--宮脇昭・横浜国大名誉教授の話

ドイツでは、70年代から生態学者たちが、
その土地本来の広葉樹、潜在自然植生の主木である
ヨーロッパブナ、ヨーロッパミズナラなどの保全・再生を訴える。
政府、行政も酸性雨や害虫に弱く、経済的にもなりたたないと、
植樹を針葉樹から広葉樹に方針転換。
本気になって取り組めば、たとえ狭い土地でも
アーバンフォレスト(都市林)やアウトバーンの森のような立派な森が作れる。
ドイツには、個々の問題への対応ではなく、全体を考える哲学がある。
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◇主な行程
9月8日(金) 全日空機で成田発、フランクフルト着。
ルフトハンザ機でブレーメンへ
9日(土) オストフリースラント地方の自然林を見学。
オルデンブルクの「人と自然」博物館見学
10日(日) リューネブルクで森とエリカ、ハノーバーで市民の森、湖など見学
11日(月) 中世の美しい町・ブッツバッハ、古都・ハイデルベルク訪問
12日(火) シュバルツバルト(黒い森)の南側の玄関都市・フライブルクを散策
13日(水) シュバルツバルトの北側の森を見学、フランクフルトへ
14日(木) 全日空機でフランクフルト発、成田着

http://mainichi.jp/life/ecology/archive/news/2006/11/20061118ddm010040031000c.html