2008年10月4日土曜日

学校の情報化(9)信州大学教授 東原義訓さんに聞く

(読売 9月27日)

学校のICT(情報通信技術)化の旗振り役は、現状をどう見ているか?

信州大学の東原義訓教授は30年前、コンピューターが教育の世界に
入ってきた当初から可能性に注目し、様々な活用法を提案。
現在は、大学の教育実践総合センター長として、
教職を目指す学生や教員の研修で、コンピューターを利用した
指導法のノウハウを教えつつ、東京都日野市など、
情報化を進める自治体への助言役も務めている。

CAI(Computer Assisted Instruction=コンピューターを活用した学習指導法)
という言葉が、学校現場で盛んにもてはやされた時期も。
しかし、コンピューターに偏見を持つ教育者の声は、当時から変わっていない。

「ICTは単なる道具に過ぎないのに、使いこなす自信がない不安から、
必要以上に敵視する。教育は人間がすべきで、機械がやるべきでない。
子供同士のつきあいが希薄になり、教師との人間関係も疎遠になるなど、
コンピューターは役に立たないと極論に走ってしまう」

こうした考え方は、ICTに不慣れな年配の教員だけでなく、
携帯電話やパソコンなどの情報機器に囲まれて育った
教員志望の学生の中にも、少なからずあると指摘。
「よほど悪い原体験を持っているのか、
先入観に縛られている学生が驚くほど多い。
ICTを使って、生き生きと学ぶ子供の生の声を聞かせるなどして、
意識を変えさせることが不可欠だ」

食わず嫌いの教員には、まずコンピューターに触れるきっかけを作るのが重要
日野市のメディアコーディネーターのように、
機器の設置からサポートしてくれる支援員を置くのが有効。

ICTを導入するだけで、学力が向上するという考え方は、早計に過ぎる。
子供にとって意味がある使い方と、役に立たない利用法があるから。
教師にとっても子供にとっても、教え学ぶための道具という視点を
忘れてはいけないという。

「指導力がある教員が上手に活用すれば、鬼に金棒。
子供が自分で問題を解決する上で、コンピューターは重要な武器になる」。
ICTを活用した実践を多く見ることが、座学の研修より大事。
向上心を持つ教員なら、それまで気づいていなくても、
授業の発想を主体的に変えるきっかけが得られる場合が多い。

ネックは、ICT格差。
自治体の財政力の差が開けば、ICT化への取り組みの地域差が
ますます大きくなると心配。

文部科学省の「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」は、
統括的な責任を持つCIO(Chief Information Officer)を
教育委員会に置くことを提起。
ただ、人材を割けない地方の自治体も多い。
そうした自治体は、教育事務所単位で周囲の自治体や校長会と連携しながら
取り組む発想が必要だと強調。

「予算措置はもちろん、ICT化の視点を学習指導要領でも
しっかり位置付けてほしい」。
ICT教育の最前線を走ってきた経験をふまえた上での切実な注文。

◆ひがしばら・よしのり

筑波大助手から信州大に転じた。専門は教育工学と教師教育。
日本科学教育学会と日本教育工学会の理事。54歳。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080927-OYT8T00256.htm

ノーベル賞候補に審良教授 情報サービス大手が予測

(共同通信社 2008年10月2日)

情報サービス大手のトムソン・ロイターは、論文の引用回数などから
推測した今年の科学・経済学分野のノーベル賞の有力候補21人を発表、
医学生理学賞に審良静男・大阪大教授(免疫学)らを挙げた。

同社の前身会社が、2002年から候補に挙げた研究者のうち、
12人が既にノーベル賞を受賞。

医学生理学賞では、「トール様受容体と自然免疫の研究」により、
審良教授と米仏の研究者の計3人を挙げた。
審良教授は、全科学分野の論文引用ランキングで2年連続世界一になるなど、
最もホットな研究者の一人。

化学賞では、ナノ材料や標識用蛍光タンパクの分野、
物理学賞では、宇宙の暗黒物質の存在確認や超薄膜高分子「グラフェン」の
発見などの分野で、外国人研究者が挙げられている。
経済学賞候補としては、計量経済学への貢献など3分野で、
計6人の米国人を紹介。

昨年の予測では、ノーベル物理学賞の有力候補に飯島澄男・名城大教授と、
今年7月に死去した故戸塚洋二・東京大特別栄誉教授が挙げられていた。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=80705

末崎中学校がわかめの学習で、時事通信社第二十四回教育奨励賞の優秀賞に

(東海新報 10月1日)

大船渡市末崎町の市立末崎中学校(櫻田靖三校長)が、
時事通信社の第24回教育奨励賞で、全国58校の中から優秀賞に。
ワカメの栽培から販売までの、総合的な学習の取り組みが高く評価。

表彰式は、今月27日に東京都実区の時事通信ホールで開かれる。
この賞は、創造性に富んだ特色ある教育の実践に
顕著な業績を上げた学校を表彰。

「授業の革新」と「地域社会に根ざした教育」の観点で審査。
同社記者の取材レポートを参考に、五人の審査委員が選考。

優秀賞は2校選ばれ、文部科学大臣奨励賞は新潟市立浜浦小学校が受賞。
優良賞と努力賞を含め、入賞校は本県で末崎中学校のみ。
優秀賞2校には、表彰状や記念品のほか、副賞として100万円が贈られる。

末崎中学校では、「総合的な学習の時間」を「産土(うぶすな)タイム」と命名。
末崎地区は、養殖ワカメの発祥地で水産業が主産業であり、
平成14年から全学年が「海と生きる」をテーマにした取り組みを行っている。
ワカメの生態学習から、養殖作業、加工までの体験に加え、
修学旅行先の東京都内での販売まで、3年間で系統的に学んでいる。

同賞には、大船渡市教委の推薦を受けて応募。
受賞理由では、「地元への興味を高める工夫が面白い」、
「キャリア教育としてかなり大きな意味を持つ」などと大きな評価。

同校では、受賞に関係者とともに喜びの表情。
表彰式には櫻田校長と岩崎弘教務主任が出席。

http://www.tohkaishimpo.com/

がんの恐れ少ない万能細胞 米ハーバード大が作製成功

(共同通信社 2008年9月26日)

あらゆる組織に成長できる万能細胞のiPS細胞を、
がん化の恐れが少ない方法で作製することに、
米ハーバード大などのチームがマウスの実験で成功、

米科学誌サイエンス(電子版)に発表。

人でも再現できれば、安全性がより高い手法として、
臨床応用の可能性を広げそうだ。
iPS細胞を注入したマウスに、がんは確認されていない。

iPS細胞を開発した山中伸弥・京都大教授の手法は、
皮膚などの細胞に3?4種類の遺伝子を組み込む際、
細胞の染色体に入り込み、がん遺伝子を活性化させる恐れがある
「レトロウイルス」と呼ばれる特殊なウイルスを使っているのが、
安全上の課題の一つ。

ハーバード大チームは、染色体に入り込まないため、
より安全性が高いとされる「アデノウイルス」を使用。
肝臓や皮膚の細胞から、iPS細胞作製に成功。
作製効率は、山中教授の方法より劣っていた。

国立成育医療センター研究所・阿久津英憲室長は、
「安心して、iPS細胞を使えるきっかけとなる成果。
ウイルスなしに作製できれば理想的だが、
今回の方法でも安全性は十分高いと思う。作製効率は、改善可能だろう」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=80336

2008年10月3日金曜日

学校の情報化(8)商店街取材しネットに

(読売 9月26日)

インターネットで、地域の魅力を発信する授業がある。

「店の奥行きまで撮れていて、雰囲気が良く出ている」、
「素材が自慢の定食屋なら、どんな素材を使っているのか具体的に書かないと」

岡山県立津山商業高校で、パソコンの画面に向き合う生徒たちに、
岡本誠講師(26)がこんな言葉をかける。
高校生が、地元商店街をネットで紹介する仮想商店街
「しあわせ発見つやまネット」の制作が、
和気あいあいとした雰囲気の中で行われていた。

3年生の選択科目「ネットワーク概論」。
履修した生徒19人は、サイトのレイアウトなど技術的な面を担当するスキル班と、
実際に商店街を歩き回って「ネタ」を持ち帰る取材班に分かれている。

取材班は、商店主らに「店の売りもの」を取材し、
デジタルカメラで店や商品の写真を撮る。
スキル班は、ウェブ上のページを作って情報発信するまでが仕事。
今年が5年目の取り組みで、すでに先輩たちが作った仮想商店街がある。
ただ、ここ数年で閉店した店などもあり、今年は情報を一新することに。

同校は、全教室にパソコンを配備、「ネットビジネス」も授業に取り入れるなど、
情報教育に力を入れている。
この授業で学んでほしいのが、「コミュニケーション力」と「情報を活用する力」。
岡本講師は、「どちらも社会に出て行く生徒には欠かせない」

取材に向かう前、緊張で表情が暗い生徒が多いが、戻ってくると、
「2時間も話し込んじゃった」、「お菓子をもらった」などと、パッと明るくなる。
「社会で働く人たちと話が出来て、自信につながっている」と岡本さん。

たくさんの情報を持ち帰っても、
ネット上で分かりやすく公開するのは簡単ではない。
営業時間や連絡先など、間違えれば店に迷惑をかける情報もある上、
多くの情報を詰め込み過ぎても、見づらくなる。
3年生の長石遼太さん(18)は、
「情報を分かりやすく、見やすく提供することに悪戦苦闘しています」

1990年代に入って大型の郊外店の出現とともに、
市内の商店街も徐々に活気を失った。
シャッターがおりたままの店も多い。
でも、生徒たちは足を運んだからこそ得られる「生の声」を聞き、
新しい商店街の魅力に触れている。

3年生の山本倫也さん(17)は、婦人服店を訪れた時、
男性店員からこう言われた。
「百貨店のような大きな店では、高齢者はどこに目当ての商品があるのか
すぐに分からない。うちのような小さな店も必要なんですよ」。
山本さんの商店街への見方が変わった。

高校生の活動は、地元の人たちの活力になっているようだ。
喫茶店を経営する金田勧さん(50)は、
「店を宣伝してくれるのはありがたいが、
高校生が来てくれるだけで街に活気が出る」と笑う。

ネットを通じて、生徒と商店街の人たちのきずなは深まっている。

◆高校の情報教育

2003年から学習指導要領に基づいて、「情報」が必修教科に。
「情報A」、「情報B」、「情報C」に分かれ、
コンピューターや情報通信ネットワークなどを活用した実習を
積極的に取り入れている。
商業科などの専門教育では、ソフトウエアの開発やプログラミングなど、
より高度な技術の習得を図ることに。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080926-OYT8T00216.htm

「葉酸」健康の源

(読売 2008年9月26日)

葉酸は、胎児の発育を促すだけでなく、
脳卒中や認知症のリスク軽減にも有効という報告があり、注目。
葉酸をPRし、市民の健康づくりに役立てようと試みる自治体も。

鶏卵を扱う業界最大手の「JA全農たまご」は、
自社ブランド「しんたまご」を改良し、葉酸含有量を約2倍に増やして発売。
10個入りが300-400円で、全国のスーパーなどで販売。

一般の卵の場合、100グラムあたりの葉酸量は43マイクロ・グラム。
「しんたまご」は80マイクロ・グラム含。
鶏のエサに、葉酸を添加することで開発に成功。
「加熱しても葉酸の量が減らないし、体内での吸収もいい。
健康に貢献できる商品を作りたかった」

首都圏を中心に約90店ある「ナチュラルローソン」では、
「葉酸玉子の厚焼玉子おにぎり」(158円)をはじめ、
葉酸入りのクッキーやあめなどを扱う。

葉酸は、ブロッコリーやホウレンソウなどに多く含まれるビタミンの一種。
胎児の正常な発育に欠かせないと言われ、
厚生労働省では妊娠を希望する女性に対し、
1日400マイクロ・グラムの摂取を推奨。

しかし、認知度は今ひとつで、若い女性の摂取量は1日250マイクロ・グラム前後。
葉酸の不足から、先天性の病気を持つ赤ちゃんが生まれる懸念も。
医師らを中心に、「葉酸と母子の健康を考える会」が昨年発足。
葉酸のPR活動に取り組んでいる。

最近では、脳卒中や認知症などのリスク軽減にも期待できることが、
各国の研究からわかってきた。
アメリカでは、成人の1日の摂取推奨量を、
日本の約2倍の400マイクロ・グラムに設定。
1998年からは、小麦などの穀物に葉酸の添加を義務づけるなど、
国策として葉酸摂取を推進。
食物への葉酸の添加は、カナダなど世界50か国以上で実施。

「アメリカでは、葉酸の添加を義務化して以降、脳卒中の発症が減っている。
毎日、摂取することで認知症や脳卒中の予防に効果が期待できる」と
女子栄養大副学長で医師の香川靖雄さん。

健康づくりを目的に埼玉県坂戸市では、
アメリカ並みの葉酸摂取を市民に促す「坂戸市葉酸プロジェクト」
2006年にスタート。啓発活動に力を入れている。

葉酸を含む食品の開発支援も行う。
首都圏に約30店舗を展開するパン店「サンメリー」と地元のパン店4店は、
坂戸市の働きかけに応じ、「葉酸ブレッド」を発売、人気商品に。
葉酸入りのレトルトカレーや手打ちうどん、ドレッシングなども登場。

坂戸市健康づくり政策室は、
「自然の食品から必要量の葉酸を摂取できるのが理想だが、実際には難しい。
葉酸を添加した食品を、上手に生活に取り入れて無理なく摂取してほしい」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=80325

栄養ドリンク:健康に有害か?

(WebMD 9月24日)

強い覚醒が期待でき、スポーツのパフォーマンス向上を
暗示されていることもあるカフェイン入りの栄養ドリンクには、
カフェイン量を明記したラベルを貼付すべき。

ジョンズホプキンス大医学部精神医学・神経科学教授Roland Griffithsは、
最高量のカフェインを含有する飲料では、
健康に対する危険性についても警告すべきである。

「飲料の多くには、カフェイン含量が表示されていない」
栄養ドリンクの中には、ソーダ14缶分に相当するカフェインを含むものも。

業界は、栄養ドリンクに含まれるカフェインは、
カップ1杯の浸出コーヒーと同量か、はるかに少ないとして反論。
American Beverage Associationの広報担当者であるMaureen Storeyは、
栄養ドリンクに、カフェイン含量を記載したラベルが必要なら、
コーヒー店のコーヒーにもラベルが必要。

◆栄養ドリンク:その経緯

米国市場に、最初に登場した栄養ドリンク、Red Bullが1997年に販売後、
この市場が急成長し、米国では年間に54億ドル以上を売り上げ。
数百種類の商品が存在。

FDAは、コーラタイプのソフトドリンクのカフェイン含量を、
12液量オンス(約355ml)あたり71mgに制限しているが、
栄養ドリンクにこのような制限はない。

「『栄養』ドリンクのメーカーは、栄養補助食品としてこれらを販売」
とFDAの広報担当者であるSiobhan DeLanceyは述べる。
栄養補助食品は、食品とは異なる規制がなされている。
FDAは、市販前にこれらの製品の承認や審査を行っていない。

◆栄養ドリンク:カフェイン含量

Griffiths博士らは、24社以上の栄養ドリンクメーカーに連絡をとり、
カフェイン含量を尋ねた。

Red Bull:1回量8.3オンス(約245ml)あたり80mg
Tab Energy:1回量10.5オンス(約311ml)あたり95 mg
Monster and Rockstar:1回量16オンス(約473ml)あたり160 mg
No Fear:1回量16オンス(約473ml)あたり174 mg
Fixx:1回量20オンス(約591ml)あたり500 mg
Wired X505:1回量24オンス(約710ml)あたり505 mg

Griffithsが参考にした値:
浸出したコーヒー:1回量12オンス(約355ml)あたり200 mg
インスタントコーヒー:1回量12オンス(約355ml)あたり140 mg
浸出した紅茶:1回量12オンス(約355ml)あたり80 mg
Mountain Dew:1回量12オンス(約355ml)あたり54 mg
Dr. Pepper:1回量12オンス(約355ml)あたり41 mg
Pepsi Cola:1回量12オンス(約355ml)あたり38 mg
Coca-Cola Classic:1回量12オンス(約355ml)あたり34.5 mg
缶または瓶入りの紅茶:1回量12オンス(約355ml)あたり20 mg

一部の栄養ドリンクは、カフェイン含量が少ない。
低カフェイン含量のものは以下の通り:
Bomba Energy:1回量8.4オンス(約248ml)あたり 75 mg
Whoop Ass:1回量8.5オンス(約251ml)あたり50 mg

◆栄養ドリンク:報告

Griffiths博士の研究から、栄養ドリンクはティーンおよび若者に
人気があることが明らかに。
2007年の大学生496名を対象とした調査では、
51%が過去1ヵ月間に1回以上栄養ドリンクを飲んだ。

栄養ドリンクに対する有害反応が、米国中毒事故管理センターに報告。
雑誌『Drug and Alcohol Dependence』に公表。
2002~2004年、高カフェイン飲料によるカフェイン乱用症例41例が報告。

栄養ドリンクRedlineに対する有害反応に関する9例の報告では、
患者が悪心・嘔吐、高血圧、振戦、めまい、しびれを訴えた。

栄養ドリンクを飲む人は、同時にアルコールも飲む可能性がある。
大学生の調査では、27%が過去1ヵ月に1回以上アルコールと
栄養ドリンクのカクテルを飲んだ。
「たとえ酒に酔った状態であっても、飲用者は運転可能なほどの
覚醒を感じる可能性がある」という危険性がある。

栄養ドリンクが、他の物質乱用の「入り口」になることがあることを懸念。
ある調査では、栄養ドリンクを飲用した大学生では、
後に遊びで興奮剤を使用する割合が高かった。

◆栄養ドリンク:業界の見解

American Beverage AssociationのStorey博士は、
Griffiths博士の意見に異議を唱えた。
Griffiths博士の報告は、「調査であって、試験ではない。
1つの調査から、多くのことを引き出すことについて慎重に。
Griffiths博士は、一部の試験にのみ注目した」

American Beverage Associationが公表した声明では、
栄養ドリンクのカフェイン含量は、一般のコーヒー店のコーヒーの
カフェイン含量の半分であると指摘。
16オンス(約473ml)のコーヒー店のコーヒーには、
約320 mgのカフェインが含まれ、16オンス(約473ml)の栄養ドリンクの
カフェイン含量は160 mgである。
栄養ドリンクに表示が必要であるなら、コーヒー店のコーヒーにも
カフェイン含量の表示が必要である。

ほとんどの企業は、責任をもって栄養ドリンクを販売している。
製品に、違法または挑発的な名称(例、物議を醸している栄養ドリンクCocaine)
をつけているのは、数社にすぎない。
「栄養ドリンクは上手に摂れば、バランスの取れたライフスタイルの一部に」

◆栄養ドリンク:Griffiths博士の反応

Griffiths博士は、最高カフェイン含量の栄養ドリンクに警告を表示することを
要求する提案を準備しているが、閾値は特定していない。

栄養ドリンクの販売と、従来のカフェイン飲料の販売には違いがある。
栄養ドリンクのメーカーは、「影響を受けやすい集団を対象として販売している」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=80476

激しい眠気、発作的脱力 ナルコレプシー関連遺伝子を発見 東大研究チーム

(毎日新聞社 2008年9月29日)

日中でも激しい眠気に見舞われたり、発作的な脱力などに襲われる
「ナルコレプシー」の発症に関係する遺伝子を、
徳永勝士・東京大教授の研究チームが発見。
診断や治療に役立つ可能性がある。
米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に発表。

研究チームは、患者と健康な人のゲノム(全遺伝情報)を解析。
両者の間で、4種類ある化学物質の塩基の並び方が異なる場所
(スニップ=SNP)を調べ、ナルコレプシー発症と
最も関係が高い1カ所を特定。

チミンという塩基が、シトシンという別の塩基に置き換わっていると、
ナルコレプシー発症の危険性が1・8倍高いことが判明。

このSNPに隣接し、正常な睡眠や脳の働きを担う2種類の遺伝子に注目。
シトシンの人は、2種類の遺伝子の働きが低下し、
発症につながっている可能性が高いことを突き止めた。

日本には、約20万人の患者がいると推定。
詳しい発症原因は未解明。

チームの宮川卓東京大助教は、「遺伝子が作るたんぱく質の機能を補う
物質を開発すれば、新しい治療薬になりうる」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=80430

2008年10月2日木曜日

学校の情報化(7)電子黒板で授業自在

(読売 9月25日)

すべての市立小中学校に、電子黒板を導入した自治体がある。

黒板の真ん中にはり付けられた電子黒板に、竹取物語の冒頭が表示。
茨城県つくば市立吾妻中学校1年生の国語。
9月11日は、初めて古典に触れる授業だった。

電子黒板は、パソコンやプロジェクターとつながっており、
パソコン画面がプロジェクターを通して電子黒板上に投影。
電子黒板には、電子ペンで書き込みも可能。

「じゃあ、画面を見ながら読んでみて」と、教務主任の綿引良文教諭(47)が
暗唱を指示する。
最初は全文が表示されていたが、綿引教諭が電子黒板の画面を
電子ペンでぽんと押すと、一部が空白になる。

生徒たちはそれでも一斉に、「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり……」
と読み進める。
綿引教諭が、空白部分がさらに増えた画面を見せると、つかえてしまう。
「じゃあ、もう一度前に戻ろうか」
こんな繰り返しの中で、生徒たちは、授業の終わりには冒頭をそらんじていた。

電子黒板の導入前、綿引教諭は竹取物語を板書したうえで、
黒板消しで一部を消しながら暗唱させていた。
「つかえても、板書だと後戻りができない。
黒板に向かっている時間は、生徒に背中を向けてしまう」。

模造紙に、冒頭部分を書いて準備していた時もあったが、
1年生の国語は4クラス持っていたので、準備が大変だ。
「今は、生徒に向かう時間が増え、その間に誰がどのくらい覚えたか、
子供の様子が把握できる」

同市が、電子黒板を試験的に導入したのは2004年度。
使ってみた教師からは、「これはいい」と評判に。

ただ、1台約30万~150万円する高価な備品
市長や教育長、調達を担当する市教委職員にも研究授業を見せ、
必要性を理解してもらった。
順次、導入が進み、現在は小学校37校と中学校14校の全校で、
少なくとも1校あたり1台が配備。

全市で電子黒板が導入されることで、教材やノウハウの共有も進んでいる。
同市では、ロケットの打ち上げ場面や、キリスト教伝来を伝えるビデオ映像、
世界各国の穀物輸入量を示すグラフなど、
理科と社会のデジタル資料を一括購入。

各学校のサーバーに置いてあり、各教師は電子黒板での教材づくりに
自由に利用することができる。

電子黒板も含めたICT(情報通信技術)機器の使い方についての研修や、
情報教育担当の指導主事の学校訪問、
「市ICT教育活用実践事例集」を作成することによって、
市全体で効果的な使い方を学びあっている。

杉田慶也指導主事は、「全市で整備することによって、
使い方についても全市的に話ができ、授業の質の向上につながる。
電子黒板は、すべての先生に共通して、
授業改善に役立てることができる道具」と位置づけ。

ただの電脳紙芝居に終わらせないためには、
使う側の努力が必要なことは言うまでもない。

◆電子黒板

電子情報ボードとも呼ばれる。
壁にはり付ける「ユニット型」、センサーを内蔵したホワイトボードに
プロジェクターで投影する「ボード型」、
ディスプレーを直接操作する「一体型」がある。
公立学校での導入台数は、2005年度末で7832台。
現在集計中の昨年度の台数は1万台は超える見込みで、年々増加。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080925-OYT8T00250.htm

フィールドX広がれ 八幡平市生まれ新競技

(岩手日報 9月29日)

八幡平市の田山クロスカントリーコースで、
第2回フィールドX(クロス)レースが開かれた。

自然の地形に、人工の障害物を設けたコースを走るレースで、
市体育協会(竹田信男会長)が考案し、今年から本格的に開催。
八幡平市発祥の新たな競技として定着を目指し、地域おこしにもつなげたい。

クロスカントリーとフィールドアスレチックスを合わせた競技。
コースにポールやパイロン、タイヤ、ベンチ、テーブルを
活用した障害物を設けている。

200メートルのコースのスプリントフィールドクロス(SFX)、
3―16キロを走るロングフィールドクロス(LFX)の2種目。
SFXは3、4人で競うレースの上位2人が勝ち上がるノックダウン方式、
LFXはタイムレース。

SFX一般男子で2連覇した一戸町の西舘敦さん(29)は、
「脚力、バランス、コース取り、運などあらゆる要素を備えている」

競技は、同体育協会が昨年、名称や競技規則を決めて
第1回大会を試験的に開催。
今年からホームページやポスターなどで積極的に参加を募り、
昨年を約60人上回る約180人が参加。

同体育協会の山本専一さん(35)は、
「スポーツ振興に加え、施設の有効活用や宿泊といった
地域おこしにもつなげたい。八幡平市発祥の競技として盛り上げたい」

竹田会長は、「スキー大会で培った大会運営が生かされている。
継続することで、魅力が増すはず。全国に向けた素晴らしい大会にしたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080929_11

岩手リンゴ黄金の輝き 黄色4種シリーズ化

(岩手日報 9月26日)

県青果物生産出荷安定協議会(会長・小川清弘全農県本部園芸部長)は、
県産の黄色系のリンゴを、「いわて純情りんご黄金シリーズ」として
販売開始すると発表。

豊かさや信頼を想起させる「黄金」のイメージでブランド力を高め、
消費拡大を目指す。

シリーズは、「きおう」、「黄香」の岩手オリジナル品種と、
「王林」、「シナノゴールド」の4品種。

黄色いリンゴをかたどったキャラクターと、
「いわての黄色いりんごは黄金の輝き」の文言が書かれたポスターや
のぼりを販売店に掲示し、PRする。

2006年に品種登録された黄香は、今年から本格販売が開始。
酸味が少なく、果汁が多いのが特徴。
本県リンゴの07年の出荷量は、約4万8千トンで青森、長野に次ぎ全国3位。
4種は収穫期が異なり、期間をずらしてリレー出荷できる。

県流通課の浅沼康揮総括課長は、
「リレー出荷で黄色いリンゴを印象づけ、付加価値をつけたい」と意欲的。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080926_2

理数系教養科目に必要なエデュテインメント

(サイエンスポータル 2008年9月30日)

大学の理数系教養科目を教えるには、
「エデュテインメント」という考え方が必要、
鎌田浩毅・京都大学大学院教授が「科学」10月号に書いている。

エデュテインメントというのは、教育(education)と
楽しみ(entertainment)を併せた鎌田氏の造語。
理科4科目のすべてを履修する高校生は、ほとんど皆無。
地学の履修者は7%という現実の中で、
大学の1、2年生に教養科目としての理科を教えるには、
「エデュテインメント」に徹することが必要だ、と実体験を基に説いている。

教科書について、「最後までストーリーを興味深く追いかけられることを最優先課題に。
事実関係のきちんとした裏付けを、細々と書くのは逆効果。
専門家が陥りやすい点だが、教科書はすべてを網羅しなければならない、
という考え方を捨てることが肝要」。

「火山体にかかる応力」の説明を例に。
「応力というのは、ゴムボールを押したときに、もとに戻ろうとする力をいう」
から始まり、「ある物体に対して外から加わったとき、
その力とつり合う分だけ、内部から対抗するように…」
という物理学の定義が続く。

その後に続く説明は、専門家にはなかなか思いつかないかもしれない。
応力の英語がストレスであることを指摘し、精神的ストレスという日常用語に触れ、
「心理学のストレスは、物理学の応力を借りてきた用語である」と続ける。
専門的な話に終始しないで、身近な例と対比させる。
時折、ズームバックして視野を広げてみせる。

こうした工夫は、大学の先生だけでなく、ジャーナリスト、
サイエンスコミュニケーターにも必要なことでは?

http://www.scienceportal.jp/news/review/0809/0809301.html

アヒルのおもちゃで氷河のなぞに迫る NASA

(CNN 9月29日)

グリーンランドの北極圏にある氷河に、突如現れた数十個の黄色い小物体。
よく見れば、入浴時のおもちゃとしておなじみのゴム製のアヒル
米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所が、
気候変動にかかわる実験のために投下。

グリーンランド西部海岸に位置するイルリサット氷河は、同島最大級の規模。
近年、海へ流れ込む氷の動きが加速し、地球温暖化の影響が指摘。
流れは、夏の間特に速度を増すが、その仕組みは解明されていない。

有力なのは、太陽の熱で表面の氷がとけて、
「ムーラン」と呼ばれる管状の穴に流れ込み、
その水が氷河の底面まで達して、潤滑油のような役割を果たす、という説。

NASAは、これを検証するため、ゴム製アヒル90個をムーランに投げ込んで、
その後の動きを調べることにした。

アヒルには、3カ国語で「科学実験」、「謝礼あり」と書かれ、
メールアドレスが記載。
発見者から連絡が入れば、ムーランに流れ込む水の行方を知るための手掛かり。

NASAでは同時に、全地球測位システム(GPS)を使った実験も実施中。
まだ結果は出ていないが、研究チームは粘り強く経過を見守る構え。

おもちゃのアヒルは過去にも、科学に貢献した実績がある。
92年、中国から米シアトルへ向かっていた貨物船が太平洋上で悪天候に遭い、
積み荷が海に落ちた際、アヒルなどゴム製のおもちゃが大量に流出。
アヒルは、何年も経ってから世界各地の海岸などで発見され、
海流の研究者らに貴重なデータを提供。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200809290027.html

2008年10月1日水曜日

学校の情報化(6)電子掲示板で思考養う

(読売 9月24日)

論理的思考を養うため、電子掲示板を活用する教師がいる。

キーボードをたたく軽快な音が響き、生徒がパソコンの掲示板に書き込んだ
意見が、電子黒板に映し出されていく。
「奈良時代のごはん、貴族12品、庶民4品、品の数3倍」、
「疑問、なぜ、そこまで貴族と庶民の暮らしに差が出るのか??」、
「貴族は農民が、がんばって作ったものをもらって生きている(怒)」……。

新潟県長岡市立青葉台中学校のコンピューター室で行われた
1年生社会科の授業。
「必ず名前を書くように」との末武久人教諭(49)の注意にうなずきながら、
生徒たちは、「奈良時代の人々の暮らし」について調べたことを書き込んだ。

「挙手で発表すると、いつも決まった3人くらいの意見しか聞けない。
掲示板は、瞬時にみんなの意見が分かり、
こういう考え方もあるのかと勉強になる」と中村泉穂さん(12)。

末武教諭が授業に電子掲示板を導入したのは、5年前。
なかなか手を挙げて発言しない子の考えが分かるようになった。
様々な意見にふれながら、友人とだぶらない自分だけの
個性的な主張をまとめ上げる作業が、物事を論理的に考える力を
つけるのにうってつけだと考えた。

「授業後にじっくりとログ(記録)を分析すると、生徒の思考過程が
手に取るように分かる。課題の提示の仕方に問題がなかったかなど、
自分の授業の課題も見えてくるようになった」

当初は、活発な議論を期待して自由に書き込ませた結果、
友人の名を勝手に使う子や、他人の発言をストレートに
攻撃する意見などが相次いだ。
そんな体験をふまえ、必ず名前を記して書き込むルールを設けた。
ネット社会で発言する意味を考えさせる狙いも、もちろんある。

2003年には、教師海外研修で2週間、アフリカのガーナで
研さんを積んだ経験を持つ。
教師として、先進国と途上国の経済格差を考える開発教育に力を入れ、
タイやエルサルバドルの子供とビデオ会議で意見を交換するなど、
ICT(情報通信技術)を積極的に活用。

「ビデオ会議は、相手の表情が見えるため、生徒の意欲がかき立てられる。
アフガニスタンに毛布を送ったり、タイの学校に鉛筆を送ったりするなど、
子供たちが主体的に活動するようになった」と末武教諭。
ICTを使うと、教師が子供と共に学び合う双方向の授業になると実感。

途上国の現状をより身近に感じてもらうため、自分が海外に行き、
現地をビデオカメラで中継しながらビデオ会議で授業をするという夢も描く。
ICTの活用で、以前は考えられなかった授業の実現に、
手が届こうとしている。

◆教師海外研修

独立行政法人国際協力機構(JICA)が行っているプログラム。
国際理解や開発教育に興味を持つ小中高の教員が、
開発途上国の教育現場を見学しながら約10日間の研修を受ける。
帰国後、研修を生かした授業を行い、実践報告書をまとめる。
今年度は153人が、アジア・オセアニア、アフリカ・中東、
中南米の計16か国に派遣。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080924-OYT8T00219.htm

2年目の大船渡港と韓国・釜山港を結ぶ国際コンテナ航路 今年度8月までの実績

(東海新報 9月28日)

昨年3月から始まった大船渡港と韓国・釜山港を結ぶ
外貿コンテナ航路の今年度8月までの実績が、
昨年同期比で貨物量が約8割にとどまっていることが、
大船渡市のまとめで分かった。

今年度は、燃料費高騰による影響で、これまで週一便ぺースだった
寄港数がほぼ半減。
市側では、安定的な寄港に向けて調整を続けている半面、
市議会などからは今後の見通しに厳しい指摘も寄せられている。
今年度8月までの実績は、市議会決算審査特別委員会の場で説明。

8月まで5カ月間の実績は、荷物が入った状態の実入りで、
418TEU(1TEU=20フィートコンテナ一個)。
前年度は、8月までで507TEUで、取扱実績は約8割にとどまっている。

今年度の大船渡港への寄港便数は10便で、昨年同期に比べて8便少ない。
昨年度はほぼ週一便で訪れていたが、今年は一カ月に2便のぺース。
寄港のない週などには、仙台港にコンテナを移す「陸送」も約40TEUあった。

市側では、4月に今年度の取扱実績目標を3000TEUと公表。
昨年は、冷凍水産物輸出をはじめ、月間で100TEU以上の実績を残したが、
今年度は、昨年度実績1605TEUを上回ることさえ微妙。

減便の背景には、世界的な原油高による燃料費の高騰のほか、
製造業の低迷や、中国食品への農薬混入事件による貿易量の減少。

室井良雄港湾経済部長は、「速報値では、全国的な取扱実績は微増だが、
近隣の八戸港では10%、小名浜港でも28%の減少」。

大船渡市では昨年度、船会社に対して安定運航を目的とした
経費補助に約1億1千万円、コンテナ利用荷主に対する補助金に約1千万円、
コンテナターミナルの運営支援として大船渡港振興協会へ約2700万円を支出。
「現在の状況では、(支出を)見合わせることも必要では」と、
決算委員会では昨年度の支出のあり方を問う声も。

「どのくらいの取扱量があれば、船会社に補助をしなくてもよくなるのか」
との質問にも、市側では他の船会社や他港の誘致活動に対する影響を考慮し、
詳細は明らかにしていない。

市側では、コンテナ航路開設による昨年度の経済効果を20億円と試算、
市内にも水産業などで4億円あったことを挙げて、初期投資の必要性を強調。
甘竹勝郎市長は、「港湾、水産と海に力を入れなければならない。
釜石港もコンテナを始めるようだが、市が中心となる。
大船渡港は民間が中心となることで、支出も抑えられている」。

市や関係機関では引き続き、貨物量増加に力を入れる方針。
今年度に入り、寄港する曜日が安定していない現状もあり、
市港湾経済部では、「航路を見直してもらうことで、
大船渡に確実に回るよう調整を進めている。
荷主側の利便性を確保したい」

http://www.tohkaishimpo.com/

県人トレーナー活躍 藤沢出身の菅原さん

(岩手日報 9月26日)

藤沢町出身の菅原賢さん(32)=東京都板橋区在住=は、
ゴルフのパーソナルトレーナーとして活躍。
2007年は、上田桃子選手を担当し、最年少賞金女王に導いた。
10月には、一般のゴルファーにも取り組める効果的なトレーニングを
紹介する著書を出版、「現代の健康志向に応える生涯スポーツとして広めたい」
とプレー人口拡大にも積極的だ。

菅原さんは藤沢高を卒業後、東京法科学院スポーツビジネス学科で学んだ。
昨年7月から、東京・四谷のゴルフ専門の会員制フィットネスクラブ
「トータルゴルフフィットネス」代表を務めている。

ゴルファーを担当するのは02年1月、故障に悩む今野康晴選手と
トレーナー契約したのが始まり。
今野選手は、01年に賞金ランキング93位だったが、05年には2位に浮上。
「無名選手をトップに育てる、夢がある分野」とやりがいを知った。

06年末には、上田選手から「年間3勝したい」として依頼。
最初は、「大物になる」と直感した半面、
「体の硬さ、筋力不足が目に付いた」。

徹底した下半身強化に取り組み、ツアーにも帯同してサポートした結果、
07年に当時21歳で最年少賞金女王に輝いた。

中でも「思い出深い」と振り返るのは、7月の静岡県での大会。
開幕前日、体の締まりが甘い-と判断、急きょハードな走り込みを課した。
疲労を嫌う上田プロは、疑心暗鬼で取り組み、
実際に筋肉痛を抱えて臨んだ本番だったが、接戦を制して優勝を果たした。

多くの選手と接した経験から、「飛距離が伸びない」、「腰が痛む」など
さまざまな悩みが体づくりに起因することを発見。

10月1日には、筋力や柔軟性、バランスを養うトレーニング法を収めた
著書「ゴルフボディの作り方」(税別1400円)を出版。

現在は、慶応大ゴルフ部のフィジカルコーチを務めるなど、
一般ゴルファーの指導にも力を注ぐ菅原さん。
「ゴルフは、高齢になっても楽しめ、研究を重ねるほど奥深さが分かる
魅力的なスポーツ。多くの人の健康づくりに取り入れられればいい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080926_15

運動と食事療法の有効性の比較

(WebMD 9月19日)

運動を始めるのに遅すぎることはない、というエビデンスが増えた。
過体重の高齢者は、ウォーキングやエアロバイク漕ぎを始めると、
運動効率を改善できることが示されている。
運動効率とは、より少ないカロリーで身体活動が行える。

運動を行う高齢者は、減量のために食事療法のみを行う高齢者より、
脂肪の燃焼量が多く、筋肉の損失量が少ない。
人は、年齢とともに除脂肪体重が減少する傾向があり、
これが減りすぎると、日常生活動作に支障をきたすことがある。

ピッツバーグ大学のBret Goodpasterは、
「高齢者で、かなり短い期間であっても、運動を行えば、
代謝に変化が生じ、身体活動中のカロリー消費量が少なくて済む。
運動を行うと、高齢者は選択的に脂肪を多く燃焼するようになり、
代謝面で健康度が高まる可能性がある
『Journal of Applied Physiology』に発表。

年齢60-75歳、過体重または肥満で、座ることの多い生活をしている
被験者64名を3群に分けた。
4カ月間にわたり食事療法のみを行う群、運動のみを行う群、
食事療法と運動を併用する群。

食事療法を行う人たちは、4カ月の試験期間の終了時までに
10%の減量が達成できるようにカロリー摂取量を減らした。
運動を行う人たちは、4カ月間にわたり週に3-5回、
ウォーキングかエアロバイク、ローイング(ボートを漕ぐような運動)の
いずれかを行うが、ほとんどはウォーキングを選択。

運動のみの群は、食事療法のみの群より運動効率が高くなった。
食事療法と運動の併用群も、食事療法のみの群より運動効率が高くなった。
脂肪燃焼についても、運動を行った人たちの方が優れていた。

全3群ともに体重が減り、食事療法のみの群、食事療法と運動の併用群は、
運動のみの群より体重の減少度が大きかった。
食事療法のみの群は、除脂肪体重、脂肪の減少度が大きかった。
運動のみ、食事療法と運動の併用群は、
エネルギー源として蓄積脂肪を多く利用。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=80525

2008年9月30日火曜日

学校の情報化(5)PC活用 ハンデを軽く

(読売 9月23日)

ICT(情報通信技術)機器の活用で、障害児の世界が広がる。

パソコンにつながれたボード型の機器。
大きなひらがなが五十音順に並び、指で押すと画面に文字が入力。

埼玉県立日高養護学校の高等部の情報の授業。
右半身にマヒがある女子生徒が左手で打っていたのは、
インテリキーと呼ばれるキーボード。
文字が書かれたシートを差し替えれば入力方法が変わり、
自分が使いやすいキー配列を作ることも可能。

「指先が震えて、正確にキーを押せない脳性マヒの子らに有効。
既存のままでは、操作が難しくても、補助具と呼ばれる機器を介せば、
使いこなせるようになる」と教務主任の小林和夫教諭(56)。

別の教室では、筋肉の動かせる範囲が徐々に狭くなる
筋ジストロフィーの男子生徒が、ゆっくりだが正確なタッチで
キーボードの入力練習に取り組んでいた。
目標は、ワープロ検定合格。

「鉛筆で字は書けなくても、パソコンを使えば自分を表現できる。
情報機器を使うことで、障害児の可能性が広がっていく」

肢体不自由の子供が学ぶ同校は、早くから授業にパソコンを取り入れてきた。
しかし、パソコンを動かすオペレーションシステム(OS)に、
障害者らでも使いやすいアクセシビリティーと呼ばれる補助機能
付いていることを知る教員は少なかった。
そこで、昨年まで2年間、アクセシビリティーを学ぶ研修に取り組んだ。

「こうした機能に習熟していなければ、生徒の不利益につながると痛感。
研修を通して、子供に何が必要かを常に考えるよう教員の意識が変わった」
と市川孝教頭は振り返る。

講師を務めた東京大学先端科学技術研究センターの
中邑賢龍教授(障害心理学)は、「視力が悪い人が眼鏡をかけるように、
障害児にとって情報機器は必須」と強調。
「パソコンなら、100枚のリポートが書けるのに、
汗水垂らして手書きで1枚の原稿を書かせようとする教員が、まだいる。
障害児の教育の権利を保障するため、もはやICTは前提条件だ

ボタンを押すと、「おはよう」などの声が出るトーキングエイド、
マウスが操作できなくても、棒を倒すことによりカーソルを動かせる
ジョイスティック……。
教室に並ぶ補助具の多彩さに、目を奪われる。

「障害の状況・度合いにより、パソコンとのかかわり方も変わる。
機能は、その子に特化したものになっていき、
子供の数だけ補助具が生まれる」と小林教諭。

放課後のパソコン部の活動を見学した。
ゲームを楽しんだり、ネットサーフィンをしたり、文字の入力練習に没頭するなど、
みな思い思いにパソコンに向かっている。
自ら出歩く機会が乏しく、卒業後は外界とのつながりが減ってしまう生徒にとって、
パソコンは社会とつながる大切なツールだ。

◆アクセシビリティー

障害者や高齢者などハンデを持つ人にとって、
その機器やサービスなどが利用できる可能性のこと。
マイクロソフトのWindowsには、画面の一部を拡大して見る拡大鏡、
画面のテキスト情報を読み上げるナレーター、
キーボードを使わずにマウスやスイッチなどを操作して文字を入力する
スクリーンキーボードなどの補助機能がある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080923-OYT8T00220.htm

世界の宝へ、町民一丸 御所野が遺産候補に

(岩手日報 9月27日)

一戸町岩舘の御所野遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産候補になり、
町民は大きな喜びに包まれた。

同遺跡を支えるボランティアらは、
「これからが正念場。地域が誇る『宝』の魅力を世界に発信したい」と
本登録に期待を膨らませた。

同遺跡は、縄文時代中期後半の大規模なむらの跡。
発掘調査の結果に基づいて、縄文むらと周辺の景観を忠実に復元し、
豊かな自然とともに生きた先人の暮らしを思わせる風景が広がる。

2002年には研究、収蔵などの機能を備えた御所野縄文博物館がオープン。
御所野遺跡を支える会、自然と歴史の会、御所野発掘友の会など
地域住民によるボランティア団体がガイドや清掃活動などで運営を支える。

御所野遺跡を支える会の山火武津夫副会長は、
「さらに勉強を積み、魅力を伝えたい」と感慨深げ。
自然と歴史の会の坂本和彦会長は、
「一戸の宝から世界の宝になるよう、各団体が連携して町民にアピールしたい」

一戸南小の御所野愛護少年団で活動する沢内康次君(6年)は、
「草刈りやごみ拾いなどをしているが、これまで以上に頑張りたい。
多くの人が訪れるようになれば、地域の誇りになる」

今後は、地域住民が同遺跡の価値に理解を深め、
後世に伝えていく機運を高めることが求められる。
高田和徳・御所野縄文博物館長は、
「世界に分かりやすく伝わるよう、遺跡の価値や特徴をしっかり見直し、
存在感をアピールしていきたい」と本登録を見据える。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080927_6

環境への理解、国境越え 国際教育フォーラム

(朝日 9月20日)

盛岡中央高(富沢正一校長、生徒1059人)主催の
第10回CHUO国際教育フォーラムは、
盛岡市盛岡駅西通2丁目の市民文化ホール(マリオス)で開かれた。

カナダや中国、日本など14カ国の高校生が環境問題について
英語で意見発表、民俗芸能も披露し、交流を深めた。
海外からは、過去最高の55人の生徒や教員が参加。

生徒たちは、図や写真などをスクリーンに映し出して意見を発表。
盛岡中央高の全校生徒、父母ら約1300人が聞き入った。

インドネシアの生徒2人は、
「化石燃料は無限にあるように思うが、そうではない。
地球を守るのは全人類の責任」と訴えた。

盛岡中央高の生徒たちは、環境管理の国際標準規格ISO14001認証を
取得したことを紹介。ごみ分別や割りばしの減量などを英語で説明。

同フォーラムは、盛岡中央高の生徒75人が実行委員となり、運営。
委員長の平賀菜々恵さん(3年)は、
「10年の節目に運営でき充実している。

高校生が、高校の中でできる地球環境保護について考えた。
プレゼンテーションの字幕作りは、委員が奮闘した」と振り返った。

海外から訪れた生徒たちは、盛岡中央高の生徒の家庭にホームステイし、
22日までに帰国する予定。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080920_11

史上最大1300万けたの素数発見 UCLA

(CNN 9月29日)

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の数学者チームが、
世界中のコンピューターを活用したプロジェクトを通じて、
1300万けたの新たな素数を発見。

インターネットの権利保護団体、米電子フロンティア財団から
賞金10万ドルを授与される見通し。

素数とは1、7、11のように、その数字と1でしか割り切れない数字。
新しい素数は、「2のP乗-1」で表わされるメルセンヌ素数(Pも素数)
としては46番目となる。

今回UCLAが発見した素数のPは43,112,609。
UCLAによるメルセンヌ素数発見は、これが8番目。
さらに次の素数探しに着手する意向。

メルセンヌ素数探しは、インターネットを活用したプロジェクト
「GIMPS(Great Internet Mersenne Prime Search)」で実行、
世界で数千人が参加して、未使用時のコンピューターを
インターネットで結んで膨大な計算を処理。

UCLAは、学内の「Windows XP」搭載コンピューター75台で
GIMPSと連携、8月に今回の素数を発見。
別のコンピューターを使って、違う計算方法でも確認。

米電子フロンティア財団は、インターネットを通じたコンピューターの
利用協力を促す目的で、1000万けたを超すメルセンヌ素数の発見に
賞金をかけ、素数が来年にも正式発表されるのを待って賞金を授与。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200809290010.html

2008年9月29日月曜日

国宝「曼荼羅」一堂に 平泉・中尊寺

(岩手日報 9月18日)

平泉町の中尊寺(山田俊和貫首)讃衡蔵で、
国宝「金字宝塔曼荼羅」全10幀の特別公開が始まった。
東京など県内外に分散している曼荼羅を一堂に展示するのは、
国宝に指定された2001年の東京以来7年ぶりで、
同寺での全10幀展示は初めて。

曼荼羅は、護国の経典「金光明最勝王経」を金泥を使い、
宝塔の形に書いた。平安後期の作で縦140センチ、横54・8センチ。
国内宝塔曼荼羅の代表作。

経典全10巻が1巻1幀になっている。
塔の周囲には、経典解説のための絵がある。
飢えたトラに薩※(さった)王子が、自らの体を与える場面などが
色鮮やかに描かれている。

曼荼羅は、同寺のほか東京と奈良の国立博物館、仙台市博物館が所蔵。
「平泉の文化遺産」の世界遺産登録への機運の高まりを受け、
さらに奥州藤原氏を顕彰しようと全10幀の公開が実現。

埼玉県ときがわ町から訪れた加藤要三さん(81)は、
「一つの経で塔を作るとは驚いた」と精巧な筆致に感嘆。
公開は28日まで。

讃衡蔵入館料は大人800円、高校生500円、中学生300円、小学生200円。
※は「土」へんに「垂」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080918_4

学校の情報化(4)文書共有 事務を効率化

(読売 9月20日)

複数の学校の職員が事務を分担し、教員の負担を減らす取り組み。

「定例献立担当者会議の開催について」、
「家庭の日、少年の日のポスター募集」。
宮崎県小林市立小林小学校では、教員たちが使用する
パソコンの画面上に、幾つもの文書のタイトルが並ぶ。
文書は、「教科」、「生活指導」、「人事」など分野ごとに分けて
保存、検索もできる。

市内で3月中旬から始まった「文書情報共有システム」。
市内の全小中学校19校を、地域イントラネットでつなぎ、共同で文書を管理。

市教委などから届く文書は、年間約2000件。
校長や教頭らが回覧した後、担当教員に渡るのでは時間も手間もかかる。
導入後は、教員が膨大な文書の山に埋もれて作業する姿も少なくなった。

共同管理は、文書だけではない。
各学校が所有する教材用のビデオテープなども一括管理し、
どこの学校にどんな教材があるか、瞬時に分かるようになった。
今後は、教材の有効活用も進む。

一連のシステムを開発したのが、19校の事務職員20人で構成する
「小林市スクールサポートセンター」(SSC)。
システムは、事務職員がいない小規模校もカバーする。
校内での事務作業の効率化について、萩原重憲事務局長(57)は
「教員の負担を減らして、子供と向き合う時間を少しでも確保してもらう。
教員は、本来やるべきことに没頭してほしい」

市教委が2005年2月、全小中学校の教員に実施したアンケートでは、
「手助けしてほしい業務」として、7割以上の教員が「会計業務」。
小林小では昨年度から、教員が担当していた教材費などの集金や督促、
会計処理を事務職員が担うようになった。
遠足で訪れる校外施設との交渉、クラス替えの際に担任が作成する
名簿作りなども、事務職員が「代行」。

SSCの事務局がある小林小には毎週木曜、
市内各校の事務職員が集まってくる。
9月11日のテーマは、「給食費の未納者に対する督促」。
テーブルを囲んだ6人が、「どの程度の未納額で、裁判まで進めるべきだろうか」
などと熱心に意見を交わした。

小学校での勤務経験もある小林中の事務職員、前田健二郎さん(41)も、
SSCの活動で自分たちの仕事量が増えても、
「教員が子供に寄り添う。そんなゆとりある学校の風景が戻るなら」

教員からは、「放課後のデスクワークを考え、児童を早く下校させたいと
思うことも以前はあった。今では教材作りなど、
子供たちのための時間が持てて助かっている」

事務職員の負担が増せば、教員の給与管理など
通常の業務に支障が出る恐れもある。
SSCでは現在、煩雑な事務職員の業務のマニュアルを作り、
効率化を図る作業も進めている。

教員と職員がうまく仕事を分担できれば、
効果は着実に子供たちにつながるはずだ。

◆「子どもと向き合う時間の拡充」事業

多忙な教員の負担軽減のため、文部科学省が今年度から始めた。
予算額は102億円。退職教員らを非常勤講師として、7000人採用。
地域住民が学校の運営を支援する「学校支援地域本部」を、
中学校区単位で全国に1800か所設ける。
文科省が要求していた事務職員の増員は認められなかった。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080920-OYT8T00199.htm

森を減らさない(下)緑守る仕組み 利害の壁

(読売 9月11日)

アクラ会議の期間中、環境NGO・WWFインターナショナル
報道陣向けに主催したツアーに加わり、
カクム国立公園の隣のアフィアソ村を訪れた。

歓迎式の後、長老たちに「質問をどうぞ」と促され、
「国立公園の隣に暮らすことで、恩恵はありますか」と聞いたとたん、騒ぎに。

長老たちが次々に発言し、これを受けて記者席の後ろにいた
国立公園事務所長が立ち上がって猛然と演説し、
それが火に油の勢いで反論を招き……という状態。

ようやく通訳が入って、「便益や恩恵はいっさいない」が、村の見解。
若者も立ち上がり、「昔は森で(食用ネズミなど)生活の糧を
とることができたのに、国立公園になって禁止された」と抗議。

村を訪れる前、記者たちに「2年前に地元と便益を共有する政策ができた」と
胸を張った公園事務所長は、
「利害関係者が多く、配分調整に手間取っている」と、ばつが悪そう。

アクラ会議では、「REDD(途上国における森林減少に由来する排出の削減)」
のための国際的な仕組み作りをめぐり、議論が行われた。

REDDは、3年前、カナダ・モントリオールで開かれた
国連気候変動枠組み条約第11回締約国会議で、
コスタリカとパプアニューギニアが共同提案。
森林減少・劣化を食い止めた途上国の地元になんらかの利益が
もたらされる仕組みを作ろう、と呼びかけた。

例えば、ある国が森林を保護区にしたり伐採を禁止したりした場合、
何もしなかった場合に比べ、保全された森林の二酸化炭素吸収量を計算。
排出量取引で売買されるクレジット(排出削減分)が得られたり、
基金から一定の資金提供を受けたりできる、という具合。

しかし、アクラ会議ではワークショップで意見が交わされたにすぎず、
具体的な仕組みや方法をめぐる議論には至っていない。

サイドイベントでは、「森林減少を抑える方法ではなく、
森林保全をすれば入ってくる金のことにばかり注目が集まっている」
(コンゴ民主共和国のNGO)など、仕組み作りへの疑念も噴きだした。

一方、環境NGOのなかには、
「先住民を含む地元住民に便益をもたらすのが、
最も効果的に森林を守る方法という認識は広まりつつある」
(グリーンピース・インターナショナル)と楽観論もにじむ。

住民参加型森林経営や周辺地域での農法の改善――
開発援助やNGO活動により、森を減らさない工夫はすでに始まっている。
その基本は住民の生計向上であり、金も知恵も必要。

ふとアフィアソ村での激論を思いだした。
便益をどうもたらし、共有するのか。
難題のハードルはいくつもある。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/kankyo/20080911-OYT8T00398.htm

唾液からストレス値測定 岩手大開発器に学会賞

(岩手日報 9月24日)

岩手大工学部福祉システム工学科の山口昌樹教授(45)
研究グループは、ストレス測定器「唾液アミラーゼモニター」を開発
独創性に優れた機器に贈られるライフサポート学会の製品賞に輝いた。

唾液でストレスが数値化できる世界初の検査機器で、
心身ストレスが社会問題化する中、注目を集める。
児童生徒の不登校予防への応用も検討しており、
年度内にも県内の小中学校で調査研究に乗り出す。

測定器は、これまであいまいだったストレスの度合いを数値化。
自分の心身状態を判断する指標となり、
疾患予防や早期治療につながることが期待。

唾液を試験紙で採取し、本体機器に差し込むと
分析結果が表示される仕組み。
唾液に含まれる消化酵素の一つ、アミラーゼの濃度でストレス度合いを判定。
測定範囲は、10-200キロユニット/リットル
(1リットル当たりアミラーゼの濃度がどれくらいかを示す単位)。

個人差もあるが、目安として30キロユニット/リットル以下が正常、
それ以上になると興奮状態を示し、高い数値が続く場合は注意が必要。

人の健康を測る研究を続ける山口教授は、
2000年からニプロ(大阪市)と共同研究を始め、
05年にストレス測定器の製品化に成功。
07年には厚労省の認可を受け、医療機器として販売。

分析チップなど、測定器の技術開発にかかわる特許も日本と米国で取得。
価格は2万円程度で、個人のほか病院や民間企業、
マッサージサロンなどにも活用が広がっている。

山口教授は、測定器を使ったメンタルヘルスケア・システムの開発にも
取り組んでおり、大学生のケアや深刻化する児童生徒の
不登校予防への応用を検討。

子どもたちの不登校の予兆を早期に把握し、個々に応じた的確なケアを
可能にするシステムの確立を目指し、県内の小中学校で
調査研究を実施する予定で、科学技術振興機構(JST)の補助事業に申請。

山口教授は、「ストレス社会の中、困っている人たちに応用できることを
願っており、心の健康に向けた研究をさらに進めていきたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080924_3

2008年9月28日日曜日

器具進化 バネのような義足・F1素材の車いす…

(朝日 2008年9月18日)

五輪との垣根は低くなった。
金メダル三つを獲得した両足義足のランナー、
オスカー・ピストリウス(南アフリカ)は、陸上男子400メートルで
12年ロンドン五輪出場を狙えるまで実力を伸ばしている。
スポーツ仲裁裁判所の裁定で、北京五輪に出場する資格を持っていた。

義足のスイマー、ナタリー・デュトワ(南アフリカ)は、
北京五輪オープンウオーター女子10キロで16位に入り、
パラリンピックで5種目を制した。

右ひじから先がない卓球女子のナタリア・パルティカ(ポーランド)
五輪に出場し、パラリンピックではシングルスで金を獲得。

ピストリウスは、「この義足はスタートでは不利だが、
後半で速度が増して追いつける」と、カーボン製の義足に胸を張った。

アイスランドのオスール社製。
同社の広報担当者は、「衝撃を吸収しバネのように働くので、
従来の義足よりも動きがスムーズ。最高の義足と考えている」。

競技に特化した義足は、人間の足とは似ても似つかない。
J字形の黒い義足を、オスール社は「チーター」と名付けた。
後ろ脚に似ているからだ。

自転車で銀、銅計3個のメダルを取った藤田征樹(神奈川)の義足は、
足首から下がウマのひづめのような形。
ペダルをこぎやすくするためで、義肢装具士が独自に開発。

陸上では、新素材のカーボンファイバー(炭素繊維)で出来た
車いすが現れた。現在主流のアルミ製よりも軽く強い素材。

一方で加工しにくく、開発には費用がかかる。
ホンダの子会社の試作品に乗る山本浩之(福岡)は、
「F1で使われている素材で、空気抵抗も少ない。
仮に市販されたとしたら、数千万円になるでしょう」。

http://www2.asahi.com/olympic2008/news/TKY200809180132.html

学校の情報化(3)改革の成否、校長次第

(読売 9月19日)

学校の情報化を進めるには、校長のリーダーシップが必要。

机の上には、高々と積まれた書類の山。
他人の視線を遮るかのように“壁”を築きながら、
教員たちは自分の仕事に没頭。
岐阜市立本荘小学校の井上志朗校長(59)が今年4月、
赴任初日に目にした職員室の光景。
「あなたは、前の席の先生が嫌いなんですか」。
そう聞きながら、「教育の基本は相手の顔を見ること」と説いた。

県教育委員会で、情報教育担当指導主事を務めた後、
小中学校の校長、副校長として11年間、
学校のICT(情報通信技術)化に取りくんできた。
情報化の中心的役割を担う学校CIOという言葉が認知される前から、
ICT活用の成否は校長のリーダーシップがカギだと確信。

「トップが頭ごなしに指示するピラミッド型組織では、うまくいかない。
校長が教員と同じ高さに下り、それぞれの役割を担うネットワーク型の組織に
ならなければならない」と井上校長は強調。

「年配の教員はパソコンに向かえ、若い教員は子供に向かえ」
を合言葉に、情報化の改革に乗り出した。
「年配の先生は、長い教員生活で引き出しがたくさんでき過ぎているから、
ICTで整理するのが効果的。
一方、若い先生はパソコンを操作できても、引き出しが少ない」

校務分掌を見直し、担任は学級経営と教科指導以外は、
なるべく学校全体の校務にかかわらないようにした。
職員会議の資料もなくし、ペーパーレス化を進めた。
「与えられるまで待つのではなく、自分から主体的に情報を取りに行くように、
教員の意識が変わった」

ホームセンターでプラスチックダンボールを買い、
表面にビニールシートを張ってスクリーンを自作。
1枚約600円の予算で、資料や児童のノートを投影する授業が
全クラスで可能になった。
「予算がなければ知恵を出せ」が持論。

「これまでは、拡大したカラーコピーを張り合わせて資料を作っていたが、
そうした労力が減った。その分、教科指導に時間を割けるようになった」
と春日井恵子教諭(40)。

授業中の児童の顔つきも変わった。
象徴的なのが、算数の終わり10~15分間に取り入れた
市販の学習ソフト「iプリント」による個別学習。
テキストの設問ごとに、定着・標準・発展問題と書かれたバーコードが
記されており、図書室にあるパソコンのリーダーで読み込むと、
自分の名前が記されたプリントが出力。
休み時間にも列が途切れず、みな黙々と問題に取り組んでいる。

「ドリルはすぐ飽きるけれど、難しい問題や、やさしい問題を
自分で選べるのは新鮮な感じがする」と6年の男児。
個々の学力に合わせた細やかな繰り返し学習が、手軽にできるようになった。

学校の情報化が進めば、子供の学びも、教師の姿勢も主体的になる。
井上校長はそのことを実感。

◆学校CIO

学校の情報化を進める際の統括責任者(チーフ・インフォメーション・オフィサー)。
文部科学省が設置した「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」
が7月にまとめた報告書で、校長、副校長・教頭が任に当たるよう提言。
教育委員会に置く教育CIOと連携し、ICT化の確実な実行を目指す。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080919-OYT8T00223.htm

森を減らさない(中)カカオ農法改善 乱伐防ぐ

(読売 9月10日)

ユラーリ揺れながら歩を進めると、深い森に吸い込まれていくようだ。
地上30メートル、クワ科の高木など7本の幹に板を吊り橋状に架けた
「樹冠路」(1周330メートル)は、ガーナのカクム国立公園の人気スポット。
年間約8万人が訪れる。

環境NGO「コンサベーション・インターナショナル(CI)・ガーナ」の
オチアミ・アンパデュ・アギェイ前代表は、誇らしげに話した。
「珍しいチョウ、ダイアナザルなど希少野生動物、200頭以上のゾウもいる。
われわれが国立公園化を働きかけ、樹冠路はわれわれが造って、
地元のNGOが運営している」

8年前からは、地元住民向けのプロジェクトも始めた。
「公園の外周5キロ内には、140の集落があり、多くの農民がカカオを栽培。
耕作地拡大が森林の生態系を脅かさないよう、
しかも収穫が上がる道を探った」(前代表)。
四つの集落に実験農場を造り、専門家の協力も得て、
村人たちとカカオ栽培の改善に取り組んできた。
日本の情報機器大手、リコーも2002年から毎年250万円を支援。

カカオの実から取りだし、加工するカカオ豆は、ガーナの主要輸出品。
主に小さな農家が生産。

CIガーナ代表代理のヨー・オセイオウス氏によると、
カギは、日影の管理。
「木陰に入りすぎても、日光を浴びすぎても、病気になる。
病害虫にやられた兆候を早く見付けたり、化学肥料や農薬を使わない
方法も編み出した」。

8月は小雨期。
国立公園との境に近いボビ村を訪れた時、激しい雨に見舞われた。
カカオ農家の2人に、車の中で話を聞いた。

ゴドウィン・アチボーさん(50)は、「カカオの木が、幹が太く、枝振りも良く、
ぐっと健康そうになった。土も、砂色から黒か深い茶色に変わった。
昨年秋の収穫期には、多い木で、83個も実がなったんだ。
以前は、多くて20個だった」。

ジェームス・オットーさん(46)は、「今は苗を育ててから植えているけど、
以前は土にそのまま種をまいていた」。
カカオの収穫が倍増し、昨年は1008ドルに。
長男(17)は9月から高校生。「大学に行かせてやれるかも」。

「プロジェクトに加わる直前には、カカオが育たないので、
場所を変えようとしていたところだった」と、オットーさんは明かす。
カカオの収穫が落ちると、村の森の木を切り、畑に替えるという
古い耕作パターンは変わりつつある。

一瞬、土砂降りの雨がやんだ。
オットーさんのカカオ畑に駆け込み、写真を撮った。
秋の収穫を前に、いくつもの青い実がすでに重そうだった。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/kankyo/20080910-OYT8T00461.htm

ペレットで発電・給湯 明星大教授ら実用化目指す(東京多摩)

(読売 9月15日)

明星大学理工学部の浜口和洋教授らが、木を製材する際に生じる
木くずを加工して作った固形燃料「木質ペレット」を燃やして、
発電するとともに給湯もできる「一挙両得のシステム」の開発
に取り組んでいる。

木質ペレットは、もともと植物であるため、環境にやさしいとされる。
特に、寒冷地での公共施設などでの利用を想定。
浜口教授は、「2、3年以内に実用化したい」と意気込む。

システムには、熱効率がいい「スターリングエンジン」を使用
エンジンの内部には、熱で膨張しやすいヘリウムガスが入っており、
ペレットを燃やして加熱し、流水で冷やすと、ガスが膨張、収縮して
ピストンが動き、発電する。

7月には、最大1・7キロ・ワット時の電力量を生み出すことに成功し、
実用化に一歩進んだ。

エンジンを冷やした流水は、お湯として利用でき、
温度は50~60度で使うことを想定しているが、100度まで設定できる。
現在は、群馬県太田市のベンチャー企業が開発したエンジンを活用。

浜口教授は、灯油を使った同エンジンの研究を30年以上続けてきたが、
4年ほど前に、青梅市のペレット製造会社「東京ペレット」から、
「ペレットを使ってみてはどうか」と提案され、ペレットに着目。

ペレットは、製材の過程で生じる木くずを粉体にし、
圧縮したもの(直径約6・5ミリ、長さ約2センチ)。
灯油などに比べ、燃焼時の二酸化炭素排出量が少なく、
エコエネルギーとして注目。

浜口教授によると、ペレットを用いて、灯油を燃やすのと同じ発熱量を
生じさせるのにかかる費用は、安いものだと灯油の半額近くになる。

日本木質ペレット協会によると、
昨年の国内のペレット生産量は3万2600トン
ペレット用ストーブが高額なため、ペレット自体が一般に浸透していないが、
このシステムが普及すれば、木くずの有効活用にもなる。

欧米では、ペレットを使ったシステムの開発が進んでおり、
商品化が予定されているものもある。
しかし、輸入に頼るとコストがかかるため、浜口教授は
「国内で生産し、市場に出回りやすくして、環境に配慮した
燃料をうまく生かしたい」と抱負を語る。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/06/20080912-OYT1T00800.htm