2010年4月17日土曜日

5年後アジア諸国に追いつかれる科学・技術分野増加

(サイエンスポータル 2010年4月9日)

金澤一郎日本学術会議会長が率先して取り組んでいた
「日本の展望-学術からの提言2010
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-tsoukai.pdf

金澤会長から、川端達夫・科学技術政策担当相にも手渡された。
日本の将来について、アカデミズムも真剣に議論し、
政策決定者に積極的に提言していく、という金澤会長の意志の
具体化といえる。

この提言の根底となった日本社会の現状とは?
科学技術政策研究所の調査結果と共通するところも多く、
そちらの調査結果も紹介したい。

ポイントの一つは、日本将来を左右する若い人材の育成が適切か、
若い人材に十分な活躍の場を与えているのか。

日本の科学技術システムは、この4年間で着実に改善しつつあるが、
5年後を予測すると、国際的な優位性は低下するという結果が、
科学技術政策研究所の調査で明らかに。

この調査は、同研究所が2006年から続けている
「科学技術の状況にかかわる総合的意識調査」で、
大学などの機関長、審議会委員など科学技術政策立案に携わった
研究者・有識者と学協会などから推薦された
研究者約1,400人が回答。

毎年、同じ回答者に同じアンケートを行うことから、
統計では把握しにくい日本の科学技術状況について、
回答者の意識を定点観測できる特徴を持つ。

日本の科学技術水準や国際競争力は、現状では多くの分野で
米国や欧州と同等かそれ以上と考えている回答者が多い。
5年後には、日本の優位性は低下し、現状で既に劣っている分野は
さらに差が広がるという見通し。

対アジアで見た場合、情報通信分野の産業競争力を除けば、
日本の科学・技術の水準や産業の国際競争力は、
アジアより高いと見ている回答者が多い。

こちらもアジア諸国の急迫で、5年後までに日本とアジアの
科学・技術水準や産業競争力が同等となる分野が増える。

現状でも問題だ、と指摘されていることとして、
「大学で基礎研究を行うための研究資金・研究スペースが不十分」、
「2001年以降、研究事務が増加しているにもかかわらず、
大学教員あたりの研究支援者(研究補助者、技能者)数は横ばい」、
「日本の大学における研究開発費の伸びは、
米国や英国と比べ著しく低い」など、
大学における研究環境を懸念する回答が多かった。

研究開発人材についても、危機意識。
女性研究者について、まだまだ不十分ながら
「06年度調査に比べ、状況はよくなっている」との回答が多い。
海外の優秀な研究者を獲得する活動は、
06-08年度に改善は見られたが、09年度は頭打ちに。

次世代を担う人材の育成や確保についても、
研究や開発にかかわる職業が、高校生や大学生にとって
魅力的でないとの認識が増えつつある。

望ましい能力を持つ人材が、博士課程後期を目指していない、
という認識がさらに高まっている。
定量データをみても、博士課程入学者が2003 年をピークに
徐々に減少していることが分かる」と危機感。

http://www.scienceportal.jp/news/review/1004/1004091.html

全国学力テスト(8)書いて表現 活用力向上

(読売 4月10日)

4年生の教室。
挙手した児童4人がノートを片手に、黒板に書かれた
計算問題に向かった。
「どこを工夫したのか、『吹き出し』で書いてね」と
男性教諭が声を掛ける。

「12×4×25」を解く男児。
「=12×100」と書くと、その横に漫画のセリフのような丸囲みで、
「25mプール4回分を思い出して計算した」と書き込んだ。
「えー、プール!?」。
見ていた児童も、面白がりつつ納得した。

秋田県横手市立醍醐小学校は、
1学級30人以下の少人数授業に加え、2007年度から
児童が自分の考えを表現できるよう、「書く活動」に取り組み始めた。
どの教科でも国語力が大事」(加藤功・前校長)との考えから、
算数や理科でも、なぜそうなるのかをノートに書かせ、
どんどん黒板前で発表させるのが特徴。

この成果もあり、同小は過去3年間の全国学力テスト(学テ)で
国語、算数とも好成績を挙げ、中でも活用力を問う「B問題」は、
全国平均点を大きく上回った。

県全体でも09年度、小6、中3ともに基礎力の「A問題」より
B問題の方が好成績。
「少人数授業で、自分の考えを話したり書いたりする学習に
力を入れてきたため」と根岸均・同県教育長(60)。

秋田県は、1960年代に行われていた旧学テでは、全国下位。
現在は、同県の指導法を見習おうと、他の都道府県から視察が
相次ぐまでになった。
教員の人事交流も現在、5道県から14人を受け入れる一方、
同数を派遣するなど、教育先進県としての役割も期待。

現場の教員には、視察対応の負担や好成績の維持という
プレッシャーも増した。
阿部昇・秋田大学教授(56=教科教育学)は、
「秋田の教員は、取り組みが間違っていなかったという自信を得たし、
何が良かったのかも分析できた。
秋田の学力は、さらに向上している」

根岸教育長と、同じく学テ上位を争う福井県の広部正紘教育長(66)を
招いた教育シンポジウムが、東京都内で開かれた。
両県とも塾が少ない地方都市で、大都市よりも
児童のつまずきに対応する補充学習などが求められている点、
学力向上に保護者や地域が協力的であることなど、
共通点が多く挙げられた。

学テは、自治体間に競争を生む面もある。
自治体同士が協力すれば、さらなる学力向上も可能に。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100410-OYT8T00217.htm

キリストの遺体包んだとされる布を公開、トリノの大聖堂

(CNN 4月11日)

イタリア北部トリノの大聖堂で、処刑後のキリストの遺体を
包んだとされる布「トリノの聖骸布」が公開。
聖骸布が公開されるのは、2002年に修復されて以来で初めて。

今後6週間の公開期間中に、約200万人もの人々が
トリノの大聖堂を訪れる見通し。
カトリック通信(CNA)によると、ローマ法王ベネディクト16世も
5月2日に訪れる予定。

聖骸布には、人間の顔の影がうつっており、
一部のキリスト教徒はこれがキリストの顔だと信じている。
8年前の修復で、火事で被害を受けた聖骸布に、
16世紀の尼僧らが施した継ぎはぎが取り外された。

聖骸布をめぐっては、中世の時代の布であり、
本物ではないと主張する学者も多い。
カトリック教会は、聖骸布について、真偽とは関係なく、

信仰のための大事な道具との立場。

http://www.cnn.co.jp/fringe/AIC201004110009.html

遺伝子活性化で自己攻撃 リウマチ新薬開発に期待も

(2010年4月12日 共同通信社)

関節リウマチや多発性硬化症などの自己免疫疾患で、
自分の体を異物と認識して攻撃する特殊な免疫細胞が働く
仕組みを解明したと、東京医科歯科大の
高柳広教授(骨免疫学)らが、
11日付英科学誌ネイチャー電子版に発表。

攻撃を指令するタンパク質などが作られるのを促進する
遺伝子「アイカッパビー・ゼータ」が活性化。
これを標的にすれば、副作用の少ない
新たな治療薬開発が期待できる。

高柳教授らは、関節リウマチ患者の骨を壊す破骨細胞を
活性化させるなど、多くの自己免疫疾患の原因となる
「Th17」という免疫細胞に着目。
この細胞で、多く発現している遺伝子アイカッパビー・ゼータを
特定し、これが活性化すると、
自分の体に対する攻撃準備が進むことを見つけた。

正常な免疫細胞の「T細胞」が特定の刺激を受けると、
Th17になることが知られているが、
この遺伝子を壊したマウスのT細胞は刺激を与えても、
ほとんどTh17にならなかった。
多発性硬化症を発症させる操作を、
このマウスにしても、全く発症しなかった。

高柳教授は、「体内に侵入した異物を排除する
正常な免疫細胞として、Th17が関与する範囲は限られる。
今回の遺伝子の働きを抑える物質を見つければ、
広く免疫を抑制する従来の治療薬より副作用の少ない
薬剤開発につながる」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/12/118832/

2010年4月16日金曜日

有人宇宙飛行に対する関心

(サイエンスポータル 2010年4月6日)

山崎直子さんが、初めて宇宙に飛び立った。
今回のシャトル飛行の主な任務は、国際宇宙ステーション(ISS)に
必要な実験機器などを運び、ISSから役割の終えた機器や
不要品を持ち帰ること。

ディスカバリーの発射成功を報じる新聞報道から、
宇宙開発に関する一般国民の関心の度合いを
推し量ることは可能だろうか。
解説的記事の中から、目を引く記述を探してみる。

「ISSでは、無重力を利用して新素材や新薬の開発につなげる
実験などが行われているが、『成果』はまだ出ていない。
飛行士の生活や一般向けの実験をする姿ばかりが伝えられがちで、
宇宙関係者には、『これで国民の理解が得られるのだろうか』との声も」
(朝日新聞2面「時時刻刻』欄)

「財政難の米国にとって、月や火星は現実的な目的地ではなくなった。
各国とも事情は似ており、『当面、ロケットの行き先はISSしかない』
(宇宙航空研究開発機構)」

「日本の宇宙開発予算は年間3,000億円、
このうちISS関連の費用が毎年400億円。
技術の進歩で、宇宙でしかできない実験が以前に比べ減ったことから、
費用対効果への疑問も生じ、有人宇宙飛行に対する
風当たりは強まっている」(読売新聞総合面「スキャナー」欄)

両紙以外に、これといった批判的な記述は見あたらないが、
ISSでの有人活動の成果や、なぜ日本が有人宇宙活動を
必要とするかについても、分かりやすい解説はなかった。

ISSで行われる実験について、研究者の多くは本当に意義が
大きいと思っているのか?

米国が当初はともかく、途中からISSにかかわってきた主な理由は、
将来の月や火星探査に備えた長期間の宇宙滞在に、
人間が耐えられることを裏付けるデータがほしかったからでは?
月探査や火星探査を有人でやる意義がどれほどあるのか?

国際宇宙ステーションでの飛行士たちの活動を、
子どもたちに科学への関心を持たせる
“大型科学コミュニケーション活動”ととらえているかのような
報道に、多くの国民は飽き飽きしてはいないか?

こうした疑問にこたえる記事がもっとあってよい。

http://www.scienceportal.jp/news/review/1004/1004061.html

全国学力テスト(7)博物館と連携 興味広げる

(読売 4月9日)

温泉や紅葉で知られる養老渓谷に近い
千葉県大多喜町立老川小学校
「春を見つける」をテーマに、4年生の理科の授業が行われた。
児童13人は、千葉県立中央博物館と共同で作った
「森の調査隊ワークシート」を手に方々へ散った。

シートには、「木を揺すってみよう」、「においをかいでみよう」、
「芽吹きを探そう」といったヒントが書いてある。
児童は、「風が暖かかった」、「フキノトウが苦そうなにおいだった」、
「茶色と緑の葉があった」などと報告。
顕微鏡で、キャベツのように葉が詰まった芽や
カエルの卵を観察し、小さな春を実感。

同校は2003年度から、博物館と連携した授業に力を入れている。
09年度、中央博物館と国立科学博物館から
それぞれ2回学芸員を招き、中央博物館を2回、
同大多喜城分館を1回訪れた。

全国学力テストによって、博物館や科学館、図書館を利用した
授業の効果が明らかになった。
できない子が減り、できる子も増える。
文部科学省が、5政令都市の20校を抽出、
07~08年度の変化を見た調査で、浮かび上がった傾向。

分析の結果、できない子を減らしたのは、
夏休みなどを利用した補習や、読み書きを習慣づける授業など。
できる子を増やしたのは、地域への授業の公開や
職場体験などの実施だったことが分かった。

同小も、全体的な学力の底上げが表れ、全国平均を上回る。
県学力テストも、全教科で平均点を大きく超える。

科学館を上手に利用するコツとして、永島絹代教諭(49)は、
学芸員へ2点の要望をすることが大切。
「体験を通じて、教科書の基礎を押さえる」、
「教科書にない発展的要素を入れる」

科学館や博物館の魅力は、化石や標本、模型といった
豊富な資料や展示物。
「学校にはない迫力や新しさは、児童の心をつかむ」(永島教諭)ため、
学習意欲が高まり、授業の効果が上がる。
児童は、基本を確実に理解し、興味を広げる。

好影響は、理科以外の他教科にも及ぶ。
学芸員の効果もある。
児童は、学校以上に熱心に話に耳を傾けるうえ、
教師の知見も広がる。

新しい学習指導要領でも、理科の基本方針として
「自然体験、科学的な体験を一層充実する」ことが示された。
科学館など校外施設への期待は大きい。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100409-OYT8T00266.htm

碁石の魅力再確認、カタクリ観察通して「生物多様性年」合わせ

(東海新報 4月13日)

環境省東北地方環境事務所と大船渡市主催の
「碁石海岸を訪ねるみち・自然観察会」が、碁石海岸で行われた。

碁石海岸で、カタクリが自生していることは知られておらず、
参加者は可憐な姿に足を止めて、じっくりと観察。
多様な植物が生息する現状や、海岸沿いで観察できる
地層などについても理解を深め、魅力を再確認。

今年は、国連が定める「国際生物多様性年」。
生物生息地の破壊や乱獲によって、多様性が失われつつある中、
「生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」を目標、
各種啓発活動が行われている。
碁石海岸の多様な生物とのふれあいを通じ、
生物多様性の大切さを感じてもらおうと企画。

市観光物産協会が共催、陸中海岸国立公園パークボランティアが協力。
定員30人で募集、申し込み開始時から多くの問い合わせがあり、
関心の高さをうかがわせた。
この日は、参加者と市関係者ら約40人が集った。

穴通磯近くの駐車場からスタート、穴通磯を見学、
県が整備した自然歩道をグループごとに歩いた。
垂水浜付近は、上下合わせて約400段の階段状、
急勾配が続くルートも参加者同士声をかけあいながら進んだ。

自然歩道沿いでは、多くの人々を魅了するカタクリの葉が確認、
この付近に生息していることを初めて知る参加者も多かった。
カタクリは、ユリ科の多年草、古代から可憐さが親しまれてきた植物。
何年もかけ、栄養を貯めて花を咲かせる特徴や、
受粉には昆虫の力を必要とすることなども現地で確認。

今年は、肌寒い日が多く、開花はこれから本格化。
紫色の花弁が数カ所で確認でき、参加者は歩き回った疲れも
忘れた様子で、虫眼鏡を使って熱心に観察。
カタクリの美しさを満喫しながら、多様な植物が生きる
碁石海岸の自然保護に対する意識も高めていた。

同事務所大船渡自然保護官事務所の久保井喬さんは、
「早い段階から申し込みがあり、生物多様性年などについては
まだ身近になっていない印象も。
陸中海岸国立公園では、カタクリやシュンランをはじめ、
希少な野生動植物は保護。
今後も大切にしてほしい」

参加者は観察会を通して、古代地質を確認できる
碁石海岸の特色についても理解を深めた。
市立博物館にも移動、生物多様性に関連するパネル展も見学。
パネル展示は、5月9日(日)まで。

http://www.tohkaishimpo.com/

ペンギンの漂着が急増、南回帰線近くのリオデジャネイロまで

(CNN 3月29日)

ブラジルの大都市リオデジャネイロ近郊の海岸に漂着する
マゼランペンギンの数が、年々急増。
保護されるペンギンは、1990年代後半には年に数羽、
2008年には約700羽にも達している。

マゼランペンギンは、南米大陸南端の沿岸部で繁殖する中型種。
フォークランド海流などの寒流に乗って北上。

リオデジャネイロ郊外にあるニテロイ動物園によると、
最近はイパネマやコパカバーナなど、リゾート海岸でも
ペンギンの保護が相次ぎ、同動物園で世話している。

保護されたペンギンは、体力の回復を待って、
ブラジル空軍が本来の生息地である地域まで輸送。

リオデジャネイロといった、南回帰線近くまで北上する
ペンギンが急増している理由は不明。
本来の生息地まで帰還できない個体が増加。

原因として、海洋汚染によって弱まったり、方向感覚が
狂ったりしたため、本来の生息場所まで戻れない可能性。
乱獲によって魚類が減少したため、ペンギンがエサを探すため、
より遠くまで泳ぐ必要に駆られている可能性や、
地球の温暖化により海流の流れ方が変わって
ペンギンが戻れなくなっているとの説。

http://www.cnn.co.jp/science/AIC201003290028.html

2010年4月15日木曜日

全国学力テスト(6)「話型」習得 思考力伸ばす

(読売 4月8日)

「なるほど、そうかと考えよう。もっとないかと考えよう。
なぜ、どうしてと考えよう」。
毎日、午前と午後の授業の始まりに、各教室に
児童の元気な声が響き渡る。
唱えるのは、黒板の上に掲げた「学びのめあて」。

香川県観音寺市立一ノ谷小学校は、2006年度、
県の研究指定校となり、08年度からは、思考力育成を目的に、
考え方や質問の仕方である「話型」の習得を取り入れた。

思考力育成と毎日の復唱。
一見、異質に思える組み合わせが、効果を上げた。
「全国学力テストで、活用力を問うB問題や、県の学力調査でも
思考力の伸びを確認し、自信を深めました」と中野正司校長(56)。

同校は、「学びのめあて」以外にも、「話型」を16項目に整理。
「話型」のほか、持参する鉛筆の本数やノートの書き方まで、
授業の取り組み方をまとめた一覧表「学びの名人になろう」を作成、
児童に配布。

「学びの名人」とは、勉強ができる児童の意味。
基本姿勢を示したマニュアルは、教師約10人が
自らの経験を持ち寄って作成。
教師用に、「教えの名人」も作成、思考力育成から児童との
信頼関係作りまで、具体的な指導内容の指南書。

授業は、“名人マニュアル”を基に、児童が思考を深める点に
重点が置かれている。

1年生の国語。
教師は、「理由づける」、「五感を使う」ことを念頭に、
「頭のテレビで考えてみよう」などと質問し、考えさせる。

思考力は、ものの見方や考え方だが、児童は、どう考え、
どのような見方をすればよいのか、最初は分からない。
「話型」は、論理的に考えるコツを覚えさせるのが狙い。
答えは、計算式や漢字のように一つではない。
それぞれの児童が、自由に思い描いた内容すべてが正解。
想像力をいかに引き出すかは、教師の質問にかかっている。

授業での集中力もポイント。
学習意欲を高めようと、全校でインド式九九や百人一首に取り組み、
優秀児童を大名人に認定し、廊下に張り出している。
福田育子教諭(51)は、「学校は勉強するところ、と意識させる
環境作りの効果も大きい」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100408-OYT8T00222.htm

世界の人口、巨大都市に集中の傾向 最大は東京圏

(CNN 4月9日)

国連が発表した報告書によると、人口1000万人を超える
巨大都市の住民は現在、世界の都市人口の9.4%以上を占め、
2025年には10.3%に達することが予想。
巨大都市の人口では、東京圏が世界首位に立っている。

国連経済社会局が発表した「世界都市化展望2009年修正報告」
によると、世界には同年現在、人口1000万人以上の巨大都市が
21カ所あり、2025年までに29カ所に増える見通し。

東京圏の人口は横浜、千葉などの周辺部を含め3650万人
世界2位のインド・デリーを大幅に引き離している。
これは国別人口のランクに当てはめると、
アルジェリアやカナダ、ウガンダをしのぐ数字。

中国経済の中心地、上海は面積2914平方km、
世界で最も広い都市圏を形成。
巨大都市の規模は、今後さらに大きくなる。
デリーの人口が現在の2099万人から、
2025年には2949万人に増えるとの推計。

巨大都市には、資産や雇用が集まるだけでなく、
文化的なメリットもある。
米国人口の2.7%が集中するニューヨークが、
CO2排出量では全米の1%にとどまるなど、省エネ効果も指摘。

インフルエンザなどのウイルス感染が広がりやすく、
貧困やストレスによる精神的トラブルが多いなど、
保健衛生上の問題も報告。

http://www.cnn.co.jp/world/AIC201004090016.html

ノリや寒天、日本人は栄養に…ダイエット?かも

(2010年4月8日 読売新聞)

寒天の原料のテングサやノリなどの海藻(紅藻類)は、
人間の消化酵素で分解できないため、
ダイエット食品としても使われているが、
日本人の一部は腸内細菌の力を借りて、紅藻類を分解して
栄養分にしていることが、仏パリ大学の研究で分かった。

北米では、こうした腸内細菌を持っている人は見つからず、
食習慣の違いが影響。
8日付の英科学誌ネイチャーに発表。

研究チームは、紅藻類を分解する酵素を海洋の微生物から発見。
公開されている遺伝子のデータベースを調べたところ、
この酵素の遺伝子を持つ陸上の微生物はいなかったが、
日本人の腸内細菌から見つかった。

日本人では、13人中5人がこうした腸内細菌を持っていたが、
北米の18人で持っている人はいなかった。
日本人は、古くからノリなどをよく食べており、腸内細菌は、
ノリなどと一緒に口に入った微生物から紅藻類を分解する
遺伝子を取り込んだらしい。

東京大学の服部正平教授(情報生命科学)は、
「腸内細菌は、健康や病気に影響を与えている。
解析が進めば、コンニャクを分解する腸内細菌なども見つかり、
食品の機能評価も変わるかもしれない」

Nature. 2010 Apr 8;464(7290):908-12.
Transfer of carbohydrate-active enzymes from marine bacteria to Japanese gut microbiota

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/8/118717/

「あっちむいてホイ」に脳内メカニズム

(2010年4月8日 読売新聞)

ジャンケンの「あっちむいてホイ」のように、視覚で得た刺激と
反対の行動をとるには、脳の深部(間脳)にある視床からの
命令が不可欠であることを、北海道大医学研究科の
田中真樹准教授らの研究グループが突き止めた。
7日付の米科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に掲載。

視覚から得た情報を瞬時に判断して、それに従わない逆の行動は
衝動性眼球運動と呼ばれる。

パーキンソン病や統合失調症などの病気になると、
この運動がうまくできなくなることがあるが、
脳内のメカニズムはわかっていなかった。

研究グループでは、訓練したサルを使って、ターゲットの動きに
視線がそのまま反応してしまう場合と、
ターゲットの反対側を向く場合を実験。

その結果、反対側を向く場合の方が、
視床からの電気信号が増大していることを確認。
麻酔で視床の一部を働かなくすると、ターゲットに反応する
確率が高くなり、視床からの信号が、衝動性眼球運動に
必要なことが裏付けられた。

田中准教授は、「統合失調症などの精神神経疾患の病態を
解明するための手がかりが得られた」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/8/118715/

2010年4月14日水曜日

全国学力テスト(5)教師全員で授業検証

(読売 4月7日)

厚さ約9mm、163ページの冊子は、
2年間にわたる授業改善の記録。
福井市立円山小学校は2008年度から、
文部科学省指定の学力向上実践研究を行っている。

07年度の全国学力テスト(学テ)の成績は、
国語、算数とも全国平均を上回った。
基礎を見るA問題に比べ、活用力を問うB問題の出来が悪かった。
同小は、学習状況調査で「読書好き」と答えた割合が、
全国をかなり下回ったことに注目、読解力育成を研究テーマとした。

特に力を入れたのが、校内向け公開授業。
これまで各教師年1回は行ってきたが、
授業提案だけに終わらせないよう工夫。

授業参観の教師がチェックするのは、教壇の教師の教え方ではなく、
それぞれの児童の様子。
「どの場面で、どう考え、どんな変化が見られたか」など、
個別の児童の反応をメモ。
授業後、参加教師全員がメモを基に、どうすれば多くの児童の
理解や思考が深まるのか検証。

脇田典子教頭(54)は、「複数の目で見ることで、
児童に合った指導・支援がより分かる。
参加した教師同士の意見交換は、視野を広げ、勉強にもなる」

08年度の学テでは、課題だった読解力で一定の向上が見られ、
「熟考・評価に深まりがない」、「児童の自発性を重視した
体験活動が不十分」という弱点も分かり、
09年度のテーマを、「総合的な学力の育成」に変更。

道徳の公開授業で、田中悦博教諭(44)は、
冬季五輪の男子フィギュアで銅メダルになった高橋大輔選手の
テレビ番組を見せて、個性を伸ばすことを考えさせた。

児童30人に対し、参観の教師は8人。
児童の積極的な発言が相次いだ。
授業後の検証では、細かな指摘もあったが、
児童は予想以上に深く考え、経験と結びつけて、
自分を見つめ直すことができた
」と評価は上々。

日々の授業も教師自身で検証できるよう、時間割のように
1週間単位で授業内容を記載する「週案簿」を作る。
教師は毎日、気づいたことなどを記入、校長や教頭に提出、
助言などを受ける。
「職員室でも、気軽に相談できる雰囲気を大切にしている」と
本多嘉文校長(58)。
不断の検証と情報の共有が、指導力の向上につながる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100407-OYT8T00350.htm

速足女性は脳卒中発症減 毎分80メートル以上で「37%低く」 米調査

(2010年4月7日 毎日新聞社)

1分間に80m以上という速足の女性は、普段歩かない女性と比べ、
脳卒中を発症する危険性が約4割低いことが、
米ハーバード大などの大規模調査で分かった。

速さに関係なく、こまめに歩く女性も同様の効果。
散歩の有効性を示す成果として注目。
6日付の米心臓協会誌(電子版)に発表。

米国在住の健康な女性3万9315人(平均年齢54歳)を対象、
約12年間、歩行距離やその速度などを2~3年おきに申告。
調査期間中、脳卒中を発症したのは579人。

その結果、歩く頻度を問わず、分速80m以上の人が
脳卒中になる危険性は、普段歩かない人と比べ、37%低い。
分速53m以下のゆっくりと歩く場合の危険性は18%減。

週に2時間以上歩く人は速度に関係なく、
歩かない人に比べ、30%低いことも判明。

脳卒中のうち、特に死亡率が高い脳出血では、
分速80mの人で、歩かない人に比べ危険性が68%、
週2時間以上歩く人は57%、それぞれ低かった。

歩行を含めた適度な運動は、高血圧を防ぐ効果があると言われ、
男性の場合、別のチームの分析で明確な関係は得られなかった。

研究チームは、「性別の違いが何に起因しているのかは
今後の課題だが、こまめに歩いてほしい」と呼びかけ。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/7/118660/

幼児期環境が脳発達に影響 先天、後天的要因とも大切

(2010年4月6日 共同通信社)

幼児期に脳の神経回路が形成される際、
神経細胞が外部から刺激を受けて活発に活動することで、
細胞間の結合がより強化されることを、
大阪大と東京大のチームが突き止め、
5日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表。

山本亘彦大阪大教授(神経生物学)は、
「先天的な要因だけでなく、視覚や聴覚などの五感から受ける
後天的な環境も脳の発達に影響。
"氏と育ち"の両方が重要だ」

試験管内で、脳の神経細胞の配線を再現。
神経回路をつくる軸索の起点となる脳の「視床」と、
軸索がのびる標的となる「大脳皮質細胞」で、
刺激を受けたときに出る電気的パルスをそれぞれ観察、
細胞の活動が軸索の枝分かれに与える影響を調べた。

視床と大脳皮質細胞のどちらか一方でも活動が弱いと、
枝分かれは起こらず、両方が同時に活発な場合にのみ
枝分かれが促進され、神経細胞間の結合が強化される。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/6/118593/

自殺防止で広がる僧侶連携 存在感増す"駆け込み寺" 22都道県に宗派超え

(2010年4月7日 共同通信社)

「お寺には、生きているうちに来てほしい」-。
自殺防止のため、千葉県の僧侶らが宗派を超えて立ち上げた
NPO法人「自殺防止ネットワーク『風』」(同県成田市)の輪が
広がっている。

2009年3月の設立以来、全国から参加が相次ぎ、
"駆け込み寺"の相談窓口は、22都道県と米ハワイの
計37カ所に増えた。

理事長を務める長寿院(成田市)の篠原鋭一住職(65)は、
「それでも相談が殺到し、とても追いつかない」

相談には一切、時間制限を設けない。
「自分からは質問せず、丸ごと受け止める」のが方針。

相手と向き合い、"沈黙"から始まる。
窓の外に広がる木々をじっと見つめると、相談者は
「ほっとしますね」とぽつり。
「長く心の奥に苦悩が居座っている。うまく話せるわけがない」と住職。
気づけば、対話を始めてから11時間たっていたことも。

深夜の電話にも、静かに耳を傾ける。
「失敗しちゃいました...」。1人暮らしの高齢女性から。
産み育てた5人の子どもは、5年間、誰も会いにこない。
手紙の返事もない。
「私は捨てられた人間です」。
死を決意し、かもいにかけた縄はプツリと切れた。

消え入りそうな声で女性は言った。
「明日、もっと強い縄をもってきてくれませんか」-。

本当は生きたいのに、社会の矛盾を個人が背負わされ、
孤立したまま死へと追い込まれている。
社会が連帯して、自殺防止に取り組まなければ」と篠原住職。

相談を受け始めたのは、1992年ごろ。
以来、年中無休・24時間態勢で取り組み、
相談者は延べ6千人を超えた。

篠原住職は、「お寺は亡くなった人のためだけにあるのではない。
今生きて苦悩している人々に、二度とない人生を
『生ききった』と言ってもらえるような羅針盤の役割こそ、
われわれ僧侶が果たすべきだ」と力を込める。

警察庁によると、09年の自殺者は3万2千人余り。
1998年から12年連続で3万人を超えている。

「各都道府県に複数の相談窓口ができれば」と、
目標を語る篠原住職。
将来的には、僧侶と心療内科医の連携など、
総合的な自殺防止の対策も視野に入れていく。

相談・問い合わせは、同NPO法人東京相談所、
電話03(6383)2012。
http://www.soudannet-kaze.jp/

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/7/118676/

2010年4月13日火曜日

全国学力テスト(4)校内に「家庭学習」の場

(読売 4月3日)

午後3時過ぎ、放課後の図書室。
4~6年生20人余りが、宿題に向かっている。
女児の1人がノートを持って、年配の男性に駆け寄った。

「先生、ここわからない」、
「そうか、これはね……」
優しく教えるのは、この学校の家庭学習等支援サポーター。
定年退職した元小学校校長のボランティア2人。

福岡市立弥永小学校が、週2回行う「午後の寺子屋」は、
家庭学習の習慣づけを支援する教室。
主に授業でつまずきが多い児童が対象だが、誰でも参加できる。

「家庭学習を促すにも、保護者が仕事で留守の家庭もあり、
学校に家庭学習の場を作った」と相良誠司・前校長(51)。
支援サポーターの元校長(61)は、「じっくり個別指導するので、
成績にかかわらず多くの子が集まる」

同じ頃、1~3年生の6、7人が、職員室前の「ガンバ廊下」
宿題をしていた。
廊下の窓際に置かれた12台の机で勉強し、わからないことがあると
職員室に聞きに行く。
平日は毎日利用でき、これも家庭学習の習慣づけが目的。

同小が、放課後の自主学習の場を設けたのは2007年度から。
同年の全国学力テスト(学テ)の成績が、
全国平均を大きく下回ったため。

当時教頭だった相良さんが着目したのが、
宿題をきちんとする子ほど成績がよい、という
06年の同市学力実態調査のデータ。
市教委でも小冊子を作るなどして、家庭学習の環境作りを呼びかけ。
同小は、児童に毎日必ず宿題をやり切るよう徹底することにし、
午後の寺子屋とガンバ廊下を設けた。

改善の効果は、学テの成績にはまだ表れていないが、
08、09年度、民間の全国学力検査では、全国平均に近い成績。
児童アンケートで、「学習することが楽しく感じる」子も、
07年度の64%が08年度には77%まで増えた。

静岡県浜松市立蜆塚中学校では、家庭学習ノートを配布。
生徒は、数学の問題や英単語などの反復学習を行い、
担任が毎日チェック。
「1日15分だけでも、自主学習する習慣をつけてほしい」と
今村ゆかり教頭(48)。

家庭学習の成果を試すのが、国語、数学、英語の
小テスト「チャレンジ検定」。
各教科につき年2回、実力に応じて1~10級の検定に挑戦。
1級合格者の名前は、校内に張られるため、
生徒は友だちと競い合う。
過去の学テでも、全国平均を上回る好成績を維持。

家庭学習を習慣づけるため、学校が環境を整えている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100403-OYT8T00299.htm

認知症、体操で防げ 岩手医大と県、独自対策へ

(岩手日報 4月1日)

岩手医大と県は2010年度、認知症の前段階である
軽度認知症(MCI)について、本県独自の予防体操を取り入れた
対策事業を始める。

軽度認知症は、早期発見と対処により、認知症への移行を
遅らせることができ、運動による予防効果が高い点に着目。
高齢者と若者の世代間交流と、介護予防一体の取り組みとして
広めたい考え。

岩手医大によると、予防体操は高齢者になじみやすい動作や音楽、
症状の度合いに合わせたプログラムを企画。
子どもや若い親世代を中心に、ヒットした歌謡曲の振り付け師に依頼。

県内に重点地区を設け、大学生ボランティアらと連携して
地域の高齢者に広めたり、介護保険施設の運動時間に
取り入れてもらう構想、若い世代と高齢者が楽しく取り組める
介護予防運動として定着を図る。

軽度認知症は、日常生活に大きな支障はないが、
もの忘れが年齢相応の程度を超える症状。

同医大によると、運動をしない高齢者は、よく運動する場合に比べ、
1・5倍程度、認知症を発症するとの研究報告。
高血圧や糖尿病など、生活習慣病の発症リスクも高まる。

本県の認知症患者は、約3万4千人で毎年、軽度認知症の約10%が
認知症に移行、スクリーニング(選別)検査の研究が進み、
早い段階の発見と生活改善、治療を行えば
認知症発症を遅らせることができる。

同医大の高橋智・准教授(神経内科・老年科分野)は、
運動そのものの予防効果に加え、同世代や若者と一緒に
取り組むことで脳が活性化し、相乗効果が見込まれる」と期待。

県長寿社会課の岡村鋭次総括課長は、
「軽度認知症対策の先進県となるよう、岩手医大や市町村などと
連携して成果を挙げたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100401_13

目指せ「文化産業」大国 競争力強化で戦略案

(2010年4月6日 共同通信社)

経済産業省は、ファッションやアニメといった、
海外で人気が高い日本文化や医療サービスについて、
競争力強化につなげるための戦略案をまとめ、
産業構造審議会(経産相の諮問機関)の産業競争力部会に示した。
政府が、6月にまとめる新成長戦略の柱としたい。

「『文化産業』大国に向けて」と題した戦略案は、
特にアジア地域で、日本製品に対して「かっこいい」、
「明確な個性や特徴がある」との受け止め方が広がっていると指摘。
好感度の高さを生かすことで、文化産業が自動車や家電と並ぶ、
日本経済の柱に育つ可能性がある。

産業化への取り組みを強化する具体策として、
日本発のコンテンツを海外に展開する事業を支援する
官民出資のファンドの創設、中小企業が開発した商品の
海外市場への売り込みを支援する仕組みの整備など。

医療分野の提案では、利用者が求める多様なサービスを、
産業化により効率的に提供できるようになると強調。
来日した外国人に医療を提供する、「医療ツーリズム」の推進も。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/6/118595/

ユニバーサルデザイン進む 色覚障害の子にも配慮 来春からの小学校教科書

(2010年4月5日 共同通信社)

検定を終え、来春から小学校で使われる教科書。
写真や図解などをふんだんに盛り込んで、カラフルな内容に
なったのに伴い、色覚に障害がある子どもも使いやすいよう、
配色やレイアウトを改善した「ユニバーサルデザイン」を
取り入れた教科書も増えている。

赤と緑が同じような色に見えるなど、特定の色同士が
区別しにくかったりする色覚障害は、男性の約20人に1人、
女性の約500人に1人いるといわれ、関係者は、
「つらい思いをしていた子どもたちへの配慮が、
これを機会に今後も広がってほしい」と期待。

「色が変わって見えませんか」。
教科書会社「光村図書出版」の編集室。
書写の教科書を開き、サングラスのような特殊な眼鏡を掛けると、
赤い文字が黒に、薄いピンクと水色の背景が
どちらも薄い灰色に見えた。

同社は、レイアウトの際、色覚障害者の見え方を
疑似体験できる眼鏡と専用のパソコンソフトで配色をチェック、
専門家の助言を経て、教科書を仕上げている。
「識別しにくい色を隣同士にしたり重ねたりしない」、
「帯グラフは、色と色の境目に線を入れる」、
「吹き出しを付けて言葉で説明する」などの工夫を凝らし、
「赤色はいくつあるでしょう」といった設問はなくした。

教科書会社でつくる教科書協会は、色刷りページの割合の目安を、
学年や教科ごとに決めていたが1999年、
公正取引委員会が「自由競争を制限している」と排除勧告。
これを機に、フルカラー化が一気に進んだ。
「モノクロとフルカラーでは、見栄えが違う。
採択にも有利になると考えたのではないか」と協会担当者。

この流れの中で、色覚障害者は置き去りにされてきた。
NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構は、
「色覚障害のある子どもは、色が原因でその教科が嫌いになったり、
『間違ってるかも』と迷って、積極的に手を挙げづらくなったりする」と
指摘、「色づかいにも検定基準を設けるべきだ」と提案。
「教科書だけでなく、先生も子どもの特性を理解して
授業をしてほしい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/5/118544/

2010年4月12日月曜日

全国学力テスト(3)道徳 学習意欲に効果

(読売 4月2日)

「清掃開始!90分間、無言で頑張ろう」。
校内放送が流れ、1年生90人が一斉にトイレ掃除を始めた。
自分に割り当てられた便器1個を、30分間黙々と磨き、
壁や床も隅々まできれいにする。
野藤等校長(59)ら教師も、生徒と一緒に掃除に励んだ。

瀬戸大橋の四国側のたもとにある香川県坂出市立東部中学校
各学年とも年1回行う「清掃に学ぶ集い」。
1998年に始まり、3月9日で35回目。

この伝統行事を守る同校の道徳教育が、
学力向上効果があるとして注目。

同校が、「全国学力テストの無回答率が低い」と、
国立教育政策研究所から指摘を受けたのは、2009年1月。
最も無回答率が高い数学Bでも4・3%、
全国平均13・1%の3分の1。
同研究所は、背景に道徳教育の充実があると分析。

「点数しか目に入らない我々とは違う視点。
思わぬ効果を気づかされた」と野藤校長。

同校の道徳教育は、副読本「心のノート」の活用が中心。
道徳の授業のほか、朝礼で校長が引用したり、
体育祭や文化祭などの行事と関連づけたりするなど幅広く使い、
共感や友情を育んでいる。
野球の四国・九州アイランドリーグで奮闘する選手などを招き、
「夢を実現するために」といった講演会も開く。

「国語や数学などでは目立たない生徒が、道徳の時間に発言し、
表情が輝くこともある」と谷本里都子教諭(45)。
友達の意見を聞いて、自分の考えを深める過程で、
論理的思考力も身に着く。

同研究所の分析によると、無回答率の低さは、道徳教育で
生徒の心が落ち着き、学習意欲につながったから。
トイレ清掃後の感想文は、「心がスッキリした」、
「人のいやがることを進んでやりたい」、
「一生懸命やることを大切にしたい」など、
生徒の気持ちの変化が表れている。

同研究所は、学校が生徒の声に耳を傾ける姿勢も根底に。
教師の授業中の話し方や板書の読みやすさ、
具体的な要望を生徒に尋ねる「授業評価アンケート」を、年2回実施。
生徒から、「自分の要望を先生が取り入れて、うれしかった」など好評。

教師への信頼感が、学習意欲を引き出している。

◆心のノート

道徳教科の副読本で、小学校低、中、高学年向けと、中学用の4種類。
心理学者の河合隼雄さんの監修、2002年に作られた。
事業仕分けで「大幅縮減」とされ、11年度分から一律配布がなくなる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100402-OYT8T00212.htm

パンで再発見、県産食材 盛岡の白石食品工業

(岩手日報 4月1日)

白石食品工業(白石茂社長)は、県内企業との
共同開発プロジェクト「いわて地産地消ベーカリー」シリーズを、
「いわての良い味再発見」と名称を改め、再スタート。

第1弾となる新商品4種類は、1日から東北各県のスーパーや
コンビニエンスストアなど、約5千店舗で販売。

新シリーズ発表記念試食会は県庁で開かれ、連携企業代表の
岩手中央農協の照井利継小麦生産部会長が、
「消費者に、生産者の顔が分かる取り組みをしてきており、
自信を持って届けられる原料だ」とPR。

第1弾は、「黒豆ずんだ&チーズ」、「ブルーベリーミルクサンド」、
「からあげたまごパン」、「岩泉珈琲蒸しパン」の4商品。
全品120円で販売。

県内企業など6社と連携し開発。
3種類のパンに、紫波町内の農家が栽培した小麦「ゆきちから」を使用、
岩泉産牛乳、遠野産ブルーベリー、黒大豆などの県産食材を活用。
情報提供のため、袋にはQRコードを入れた。

白石社長は、「これまで『地産地消』でやってきたが、
良いものがたくさんある東北の食材にも枠を広げ、
商品開発していきたい」と意欲。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100401_4

Jリーグ 頑張れ!塚本選手 骨肉腫で闘病、ジェフが募金

(2010年4月3日 毎日新聞社)

骨肉腫を患い、闘病中のJリーグ・大宮アルディージャの
塚本泰史選手(24)を応援しようと、
ジェフ千葉の選手たちが、フクダ電子アリーナの
ザスパ草津戦で募金活動。
52万2635円が集まり、ジェフ選手会からの応援金7万円と合わせ、
アルディージャの塚本泰史選手支援基金に寄付。

塚本選手は、2月に病名を公表。
右大腿骨の骨肉腫。
骨のがんで、治すには骨を切り取って人工骨にするしかない。
塚本選手は、「医師には、サッカーはもうできないと言われた」と
涙ながらに報告、「同じ病気の人や、同じがんと闘う人たちに、
少しでも勇気を与えられるようにしたい
3月10日、東京都内で手術を受け、現在はリハビリ中。

ジェフは、塚本選手を応援するためホームゲームのキックオフ前、
サポーターに募金を呼びかけた。
多くの入場者が応じた。
塚本選手は、「強く優しい仲間たちからの千羽鶴やユニホーム、
サポーターからのフラッグが僕を見守ってくれています。
皆様の力が、僕を強く導いてくれていることに、心からお礼を言います」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/5/118496/

国立がん研究センター がん研究の世界トップ10目指す 嘉山孝正新理事長

(2010年4月5日 Japan Medicine(じほう))

国立がんセンターから独立行政法人化された
「国立がん研究センター」で、新理事長に就任した
嘉山孝正氏(山形大脳神経外科学講座教授)
職員に向けて、組織改編によるガバナンス(統治)の創設や
正規職員の拡充によるがん研究分野での
世界トップ10入りなどの将来ビジョンを示した。

新年度から、独立行政法人化された6つの
国立高度専門医療センター(ナショナルセンター)の中で、
国立がん研究センター(旧・国立がんセンター)は唯一、
公募によって新理事長が選任。

新理事長の嘉山氏は、職員に対し、独法化の意義や
内部組織改編に伴うセンターの役割を告辞し、
独法は国から運営交付金が投入され、
本来国がすべき業務内容を委託された組織だと説明。

これまでのセンターは、厚生労働省からの命令に基づいて
動いてきたが、今後は「自立、自律、自浄」で組織を
運営されなければならないとし、
新組織におけるガバナンスの重要性を強調。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/5/118546/

2010年4月11日日曜日

全国学力テスト(2)赤ペン添削 算数ノート

(読売 4月1日)

5年生の教室、1時間目が始まる前の朝学習の時間。
子どもたちの算数のノートが、付せんが何枚も張られて返された。
ページを開くと、「もう一度よく考えてごらん」と赤ペンの添削。
間違いに気付いた児童は、消しゴムで消して問題をやり直した。

ノート指導に力を入れる、神戸市立兵庫大開小学校。
児童が主体的に考え、問題解決力が身につくよう、
書き込み式のワークシートを使ったノートの添削指導を行っている。

ワークシートと言っても、ノートの見開き2ページ分に、
問題文などを手書きしたシンプルなもの。
算数の「割合」では、「□は□の□倍」といった空欄を埋める言葉や
数字を考えたり、割合の線分図を活用したりしながら、
倍数とは何かを、多角的に理解させるという具合。

授業後は、ノートに張らせて回収し、一人ずつ添削。
ワークシートに慣れて、普通のノートに自分でポイントを
まとめられるようになるのが理想」と、
この指導法を導入した前沢亘子教諭(62)。

同小が、ノート指導に本格的に取り組んだのは、
2007年度の全国学力テスト(学テ)がきっかけ。

知識の活用力を試す「B問題」の成績が、全国平均より低かった。
B問題は、国際学習到達度調査(PISA)で、
日本の子どもの活用力や読解力が弱かったことから設けられた問題。

教え込み型の指導を見直そうと、同小では、
学テ実施前の05年度から、様々な科目でワークシートを導入。
その活用法を、学テの成績不振を受けて練り直した。

ワークシートを使った授業を、「自分で考える時間」、
「みんなで考える時間」、「まとめの時間」に分割。
同級生の発言にも耳を傾け、多様な意見の中から
自分の考えを固めていく形。
添削した所に付せんを張り、どこでつまずいたのか、
児童が一目でわかるようにした。

これらが効果を上げ、08年度の学テでは、国語、算数とも、
B問題の成績が全国平均を上回った。

「問題を解くための手順を理解させるには、
まず書いて考えさせることが一番」と藤原敏雄校長(59)。

同小では授業中、なるべく多くの児童に発表させる。
教師は教え過ぎず、授業の主体はあくまで児童という位置づけが、
学力の向上につながっている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100401-OYT8T00335.htm

スポーツ部門本県1位 全国ご当地愛ランキング

(岩手日報 4月2日)

リクルートの調査機関じゃらんリサーチセンターが行った、
全国47都道府県の地元に住む人のご当地愛を調べる
「ご当地愛ランキング」で、本県が学生スポーツ部門の1位に。
甲子園での花巻東高の活躍などもあり、郷土愛の象徴となった。

調査は、昨年12月10~28日、全国の6451人を対象に実施。
回答数は4681人で、回答率72・56%。本県の回答者は98人。
順位は、各都道府県で回答した割合の大きさに応じて位置付け。

本県は、総合的なご当地愛ランキングは13位。
1位が沖縄県。

地元に愛着を感じるかどうかをテーマ別に調べたところ、
本県は「甲子園・高校サッカーなど学生スポーツ」のテーマで1位。
昨夏に甲子園で躍進した花巻東高、プロ野球の西武に入団した
雄星投手を理由に挙げる人が多かった。

「温泉」は、本県が8位。
別府・湯布院などを有する大分県が1位。
「神社・仏閣・城・文化遺産」では奈良県が1位、
「平泉の文化遺産」を誇る本県は10位。
「海・湖・河・山などの自然」では、琵琶湖がある滋賀県が1位、
本県は9位。

地元への旅行にぜひ来てほしいと思う
「旅行のおすすめ度ランキング」は本県が16位、1位は北海道。
県民性のイメージランキングでは、上位10傑に入った

本県のイメージを総合すると、
「のんびりしているが、まじめで忍耐強い」県民性が映し出された。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100402_6

「やせメタボ」ご用心、脳卒中・心筋梗塞リスク

(2010年4月4日 読売新聞)

メタボリックシンドロームの腹囲基準を検証している
厚生労働省研究班(主任研究者=門脇孝・東京大教授)は、
腹囲が基準値未満でも、血圧、血糖、血中脂質の検査値の
異常が重なると、脳卒中や心筋梗塞を発症しやすくなる、
という解析結果をまとめた。

メタボの診断は現在、腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)が
必須条件、腹囲が基準を下回ると、原則として
保健指導の対象にならない。

研究班は、全国40~74歳の約3万1000人を対象、
腹囲と脳卒中、心筋梗塞の発症の関係を調べた。

腹囲が大きくなるほど、発症リスクが高くなる傾向があったが、
腹囲が基準値未満でも、検査値の異常が重なると、
メタボと同じようにリスクが高くなることがわかった。

検査値の異常が三つ重なっているグループを見ると、
腹囲が基準値未満でもリスクは男性2・2倍、女性3・0倍。
腹囲が、基準値以上の場合の男性2・5倍、女性3・2倍と比べ、
大きな差がなかった。

国際糖尿病連合は、腹囲を必須条件とせず、
総合的にメタボを診断する方式に基準を変更。

門脇教授は、「腹囲は有効な指標だが、高血圧などのリスクが
重なれば、太っていなくても、脳卒中などを発症しやすくなる。
従来のメタボの枠組みに加え、やせた人の対策も強化する必要」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/5/118552/

若手研究者の声どれだけ反映されるか?

(サイエンスポータル 2010年3月29日)

総合科学技術会議が、地域から意見を聞くため、
「科学・技術ミーティングin大阪」を開いた。
若手研究者から出された意見を、主に紹介したい。

科学技術政策をフラットでオープンなものに転換すべきだ、
と強く訴えたのは、榎木英介・NPO法人サイエンス・コミュニケーション
理事(サイエンス・サポート・アソシエーション代表、病理診断医)。

若手研究者の声が、各分野のトップ研究者のフィルターを通して
各省庁に伝えられ、各省庁が省益に基づいて
総合科学技術会議に伝えて、科学技術政策が形作られている
イメージがある、と指摘。
関係者が等しく意見が言える仕組みが必要。

ポスドクなど若手研究者を失業者、敗者ではなく、
公的な財産(人財)としてとらえ、能力を活用するための施策が必要、
とも訴え、社会とのコミュニケーション、新しい職業領域や
雇用を生み出すNPOやベンチャーなど、研究以外にも活躍の場を
広げるために、大学と社会を行き来できるよう、
年齢制限や専従規定といった規制の緩和を求めた。

宮川剛・藤田保健衛生大学総合医科学研究所教授は、
行政刷新会議の事業仕分け後、SNSで盛り上がった
研究者の議論とアンケートに基づく提言を行った。

単年度予算主義の無駄がある、とアンケートで答えた人は9割。
年度を越えて予算を楽に使えるようにすれば、
年度末の駆け込み購入や残金をゼロにするために努力する、
といった無駄の削減に加え、研究費を節約しようという動機付けや、
預かり金の根本的消滅、年度末の報告書・計画書の削減など、
膨大な効果がある。

科学・技術政策が、一部の科学者とのやりとりだけで決まっており、
サイエンスコミュニティ自体も分野ごとに独立し、
ヒエラルキー(階層構造)がある現状を指摘、
分野横断的な科学・技術研究者の組織の立ち上げを提言。

上田泰己・理化学研究所発生・再生科学総合研究センター
システムバイオロジー研究プロジェクトリーダーは、
ライフイノベーションを実現するためには、ヘテロジェナイティ
(異質なものが同居・競争・協同する仕組みつくり)と
リーダーシップを持った人材の育成が重要と主張。

税金と寄付金との間に、競争関係を持ち込むため、
現在数パーセントしか所得控除されない特定寄付(教育・研究)を
全額税額控除すべきだ。

異質なものを束ね、導くリーダーシップを醸成するため、
科学・技術関連予算の1%(約350億円)について、
20-30代に計画、実行、評価、改善の権限を委譲することも提案。

総合科学技術会議は現在、再来年度予算に向けて
アクション・プランの策定作業を進めている。
「競争的資金の使用ルール等の統一化に関するタスクフォース」と、
「ライフ・イノベーションタスクフォース」、
「グリーン・イノベーションタスクフォース」の初会合が予定。

こうした作業に、若手研究者からの提案が
どのように取り入れられるのか、注視したい。

http://scienceportal.jp/news/review/1003/1003291.html