2011年2月5日土曜日

塩分減らし、果物や野菜を 米、肥満対策で食事指針

(2011年2月1日 共同通信社)

米国民はもっと減塩、菜食を-。

米政府は、食習慣に関する新たなガイドライン
「米国人のための食事指針」を発表、塩分摂取量を減らしたり、
より多くの野菜や果物を食べたりすることを心掛けるよう、国民に求めた。

米社会では、子どもの3人に1人、大人の3人に2人が
太りすぎか肥満とされ、食習慣の見直しが急務。
ビルサック農務長官は、「要するに、ほとんどの米国人は
腹回りを引き締める必要がある」

指針は、公立学校などでの給食の基準にもなる。
肥満の因子とされる塩分を控えて、野菜や果物を多く食べるほか、
食事に占める野菜や果物を増やしたり、
低脂肪か無脂肪の乳製品を選んだり、
肉の代わりに魚介類を取ることなどを求めている。

オバマ政権は、子どもがより健康的な食事をできるようにする運動を、
大統領夫人が主導して肥満対策に力を入れているが、
国民生活への連邦政府の介入を嫌う野党共和党支持者から、
「何を食べるか、国民に指図している」との批判も。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/2/1/131858/

インサイド:スポンサーシップ 蜜月関係の新局面/5止 命名権の売却、岐路に

(毎日 1月30日)

競技場や球場をはじめ、文化施設、公園など、
幅広いジャンルに広がり、右肩上がりの成長を示していた
命名権販売に、昨年陰りが見えた。

きっかけは、7万2327人を収容できる日本最大級の
屋外多目的競技場「日産スタジアム」と、その周辺2施設の契約更新。

◆進む値下げ競争

横浜市と日産自動車が、昨年3月に更新した契約は、
3年・年額1億5000万円。
それ以前の5年・年額4億7000万円と比べ、3分の1以下。
日産は、契約更新の半年前、厳しい経営環境を理由に、
「同じ条件での更新は難しいが、条件が合えば(再契約を)
前向きに検討したい」と通知。

横浜市は、新たなスポンサーを探す方向にかじを切り、
金額を「3年以上、年額3億円程度」に引き下げ、
09年9月に公募・入札を実施。
応募者は現れず、「年額1億5000万円程度」に大幅値引きして
再公募し、日産が最終的に応札。

この“日産ショック”の影響で、昨年、国内の命名権契約金総額は、
44億円にとどまり、初めて前年割れを記録。

件数ベースでは依然伸び続け、昨年200件を突破。
この「ねじれ」の原因は、どこにあるのか?

命名権情報サイト「命名権ドットコム」を運営する
「ベイキューブシー」(千葉市)の盛光大輔ディレクターは、
命名権販売の7~8割は、自治体が販売主体となっているとし、
その手法の稚拙さを指摘。

「多くの自治体は、妥当な金額算定をしないまま販売額を決めて
公募にかけ、応募がないからといってすぐに安売りに走る。
お役所仕事の典型で、類似事例に頼るあまり、値下げ競争を招いている」

施設維持費の軽減が、命名権販売の目的である自治体側にも
言い分はある。
横浜市公園緑地管理課は、「公共施設の命名権なので、
公平性、公開性を担保する必要があった」と、
入札にこだわった理由を説明。

多くは、施設の価値評価には無関心で、
公募時の希望販売額の算定根拠も薄弱。
盛光ディレクターは、「公募といっても、施設の概要を
ホームページに載せておしまい。
積極的なセールス活動をせず、企業側に情報を届ける努力をしていない
ケースが多い」と厳しい。

◆直接売り込みで成果

03年、国内で初めて命名権契約を結んだ「味の素スタジアム」は、
07年11月、6年総額14億円(年額換算で2億3333万円)で契約更新。

当初(5年総額12億円)と変わらぬ大型契約となったのは、
「『豊かな生活文化を育み、地域に愛される』というスタジアムの
コンセプトと、当社の企業理念が一致したから。
交渉の中で、それをよく確認できた」(味の素広報部)。
公募した日産スタジアムと違い、直接交渉の成果とも言える。

命名権販売の公募に、市場原理を組み込もうと考える自治体も。
大阪府が、07年に導入した「ネーミングライツサポート事業者制度」
がその一例。
広告代理店や指定管理者に、販促活動や情報提供の協力を仰ぎ、
契約が成立した場合にだけ、10~15%の成功報酬を支払う。
「行政は営業努力が劣り、相場観をつかむノウハウもない」
(行政改革課)ことを自覚しての取り組み。

プロチームが本拠地とする施設がないため、契約には至っていないが、
「無報酬でも、こまめな情報は頂いている」と感謝。
経済原理を無視した自治体商法は、曲がり角を迎えているようだ。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/01/29/20110129ddm035050137000c.html

探知犬、がん患者かぎ分け 呼気実験で成功率9割超

(2011年1月31日 共同通信社)

犬の嗅覚を利用して、がん患者の呼気などをかぎ分ける
「がん探知犬」を使った九州大の研究者らの実験で、
9割以上の精度で判別に成功。
近く英国の医学誌「GUT」で発表。

実験は、セントシュガーがん探知犬育成センター(南房総市)と、
九州大大学院消化器総合外科の園田英人助教らが、
約300人分の検体を集めて実施。
2008年11月~09年6月、
ラブラドルレトリバーのマリーン(9歳、雌)にかぎ分けさせた。

五つの容器のうち、一つだけに大腸がん患者の呼気を詰めて並べ、
マリーンがどれを選ぶかを試したところ、
計36回のうち33回は正解を選んだ。

呼気の代わりに、便から採取した液状の検体を使った実験では、
38回中37回正解。

同センターの佐藤悠二所長によると、
マリーンは、嗅覚が特に優れていたため、
「体内の臭いで、病気をかぎ分けられるのではないか」と、
呼気で食べた物を当てるなどの訓練を積んだ。

乳がんや胃がん、前立腺がんで数例試した場合も、かぎ分けに成功、
園田助教は、「がん特有の臭いに反応したと推測できる。
臭いの原因物質を特定できれば、がんの早期発見にもつながる」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/31/131774/

2011年2月4日金曜日

スポーツ政策を考える:日本アンチ・ドーピング機構アスリート委員長、田辺陽子

(毎日 1月29日)

スポーツ界は今、若者へのドーピング(禁止薬物使用)
防止教育を重視している。

私は昨年8月、IOCが新設した若者の祭典、
第1回ユース五輪(シンガポール)を視察。
選手村には、世界反ドーピング機関(WADA)が設置したブースがあり、
選手は、パソコンのゲームで反ドーピングの大切さを学んだ。
簡易な形だが、関心を持つ入り口としてはいい。

WADAが設立された当時、検査手法の確立が主なテーマだったが、
10年余りを経て、若者への教育・啓発という次のステップに移っている。

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)も、
10年にアスリート委員会を発足、教育に力を注いできた。
メンバーは10人。
競泳の鈴木大地さん、スピードスケートの黒岩敏幸さんら元トップ選手や、
アーチェリーの山本博さんら、現役の選手も含まれている。

トップ選手が、自分の学んだことを若い世代にどう伝えるか?
ユース五輪期間中、選手が取り組んだ教育プログラムで、
最も人気があったのは「チャンピオンとの会話」。
トップ選手が発する言葉は、若い選手には、より伝わりやすい。

JADAには、五輪やアジア大会に参加する全競技団体を含め、
73団体が加盟。
教育・啓発グループもあり、昨年10月に国体の会場にブースを
設置して啓発したのは、新たな試みだった。

今年度は、延べ19人のトップ選手が教育・啓発グループと連携し、
講習会などに参加。
教育の価値は数値では表せないが、
選手自身が活動にかかわることが一番大切。
それが将来の土台になる。

日本では、ドーピングを「対岸の火事」のように感じる人も。
海外の若者は、意識が高い。
米国であった競泳のジュニア大会では、会場にブースがあると、
必ず選手の側から、「新しい情報はないか」と情報を取りに来る。

年代ごとに何を重視して伝えるか?
中学生は、フェアプレーの精神、高校生は、健康被害の実態について
教えるべきだ。
トップ選手には、より実践的な検査の情報を伝えなくてはならない。

反ドーピングの理念は、最終的にはスポーツの価値、
フェアプレーの精神へと行き着く。
それは、五輪の精神でもある。
私は柔道の選手だった。
武道の精神と反ドーピングの理念は、重なるところもある。

注目されるスポーツ基本法の中に、反ドーピング教育の重要性を
明確に位置づけてほしい。
選手だけの問題ではなく、スポーツに関わるすべての人が
取り組むべき課題だからだ。
こうした活動に携わる選手を、もっと評価する仕組みも必要。
==============
◇たなべ・ようこ

1966年生まれ。
柔道女子72kg級で、88年ソウル大会から五輪に3大会連続出場、
銀2、銅1のメダルを獲得。
現在、母校の日大で法学部准教授と女子柔道部監督を務める。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/01/29/20110129dde035070029000c.html

国語力を鍛える(9)全員で思考過程を共有

(読売 1月20日)

筑波大学付属小学校で、行われた2年生の国語の授業。

黒板には、木の描き方を説明する文章が、
6枚のカードに分けられてバラバラに張られている。

「正しい順番に並べられるかな?」と、桂聖教諭(45)。
子どもたちが発言の根拠として挙げる「まず」、「つぎに」などの言葉を、
赤や青のペンで囲みながら、正しい順番に並べる方法を
見つけ出していった。

「パズルみたいでおもしろい。
ペンで色分けされるのも分かりやすい」と、小野寺絢美さん(8)。

「登場人物の気持ちをイメージで読み取らせるなど、
とかく国語の授業は曖昧になりがち。
それでは勘のいい一部の子しかついていけない」と桂教諭。

桂教諭は、誰でも分かる論理的な授業を目指し、
教科教育と特別支援教育の融合に取り組んでいる。

2009年5月、関東地方の国語科教師らと、
「授業のユニバーサルデザイン研究会」を発足させて代表に。

「曖昧な指示を具体的にするなど、発達障害の子に分かりやすい授業は、
ほかの子にとっても、楽しく、分かりやすいんです」と強調。
「焦点化」、「視覚化」、「共有化」を3本柱にした授業づくりを模索。

この日の授業では、順序を表す言葉を学ばせることに狙いを絞ることで、
活動を「焦点化」。

「視覚化」では、カードや色つきのペンを使い、聴覚情報を上手に
整理できない子にも、イメージをもって理解できるようにした。
論理を発見しやすくする仕掛けでもある。

「共有化」では、隣の子とペアになって答えを見つけさせるなど、
授業への全員参加を促し、クラス全員が答えだけでなく、
思考過程を共有できるように工夫。

自ら課題を見つけ、解決する力をつけさせようと、
話し合い中心の授業をしたこともある。

休憩する子が出てしまったため、子どもたちに黒板を指でささせる、
といった小刻みな表現活動を取り入れ、
授業のユニバーサルデザイン化を進めてきた。

「夏前から、子どもたちの発言が止まらなくなってきた。
今の授業の方が、確実に楽しいと思います」と、
桂教諭は子どもたちの成長を実感を込めて語る。

学力の優劣や発達障害の有無にかかわらず、
すべての子が楽しく分かり、できるようになるよう工夫された授業。
その試みは、国語科以外の教科にも広がっている。

◆特別支援教育

子ども一人ひとりのニーズに応じて、適切な指導と支援を行う教育。
従来の「特殊教育」に代わり、2007年度から制度化。
読み書きなどの習得が困難な学習障害(LD)、
衝動的に行動しがちな注意欠陥・多動性障害(ADHD)、
人との意思疎通が苦手な高機能自閉症などの
発達障害を対象とすることが明示。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110120-OYT8T00293.htm

厳冬にショウガが人気 古代から体温める生薬

(2011年1月27日 共同通信社)

全国的に厳しい寒さが続く中、ショウガ人気が高まっている。

古代から体を温める生薬や香辛料として利用され、
飛鳥京跡(明日香村)で出土した7世紀後半の木簡にも、
漢方薬の材料として記されているショウガ。
関連商品も次々登場、店頭をにぎわせている。

出荷量全国一の高知県では、収穫後に14~15度で貯蔵し、
年間を通じて販売する。

安い輸入品に押され気味だったが、残留農薬問題による
中国からの輸入減少や国内の健康ブームを背景に、
国産品の単価が回復。
収穫量も2004年の1万2300トンから、08年は2万1千トンに増加。

「最近は、脂肪燃焼効果があると言われ、
テレビ局からの問い合わせも多い」、同県産地づくり課。

加工食品の開発も盛んで、ゼリーやシャーベット、ジャム、
ドリンクなどが製造。

創業115年を誇る京都市の造り酒屋「斉藤酒造」は、
昨年11月に宮崎産ショウガと吟醸酒を組み合わせた
「古都美人生姜酒」(245ml)を新発売。

「今年は寒い日が長く続き、年が明けても注文がある」と
高木基一営業主任(31)。
女性向けにアルコール度数を6%と低くし、小容量にしたところ、
2カ月で約8千本が売れた。

ショウガは、南アジア原産。
中国では紀元前から薬として使われており、日本に伝わったらしい。

奈良県薬事研究センターの前川友香技師
は、
「血行や発汗を促し、解熱、殺菌、消臭の効果もある。
生より加熱した方が、体を温める作用が強まるので、
すり下ろしてホットドリンクに加えると効果的」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/27/131651/

2011年2月3日木曜日

国語力を鍛える(8)正解より「思い」を尊重

(読売 1月19日)

「心に浮かんだことを自由に書きましょう。
何を書いても間違いじゃないから、消しゴムはいらないよ」

堀口明子・主任教諭(45)が配ったプリントに、
子どもたちが鉛筆を走らせる。

杉並区立高井戸東小学校で行われた4年生の国語の授業。
この日の教材は、「いす」という詩。
いつも机と人の下に静かに隠れている椅子を、
「力持ちのはずかしがりやさん」にたとえている。

プリントは、詩の一行一行の下に、「私(僕)は、〈 〉と思った。」と
書かれてあり、空欄部分〈 〉を「心のセリフ」で埋めていく。
「心に浮かんだセリフを、自由に書く。
セルフ・カウンセリングという方法です」と、堀口主任教諭。

心のセリフを書いた後、グループで発表し合う。
友だちの違った考え方に触れると、自分の中の選択肢が増え、
文章の読みが深まる。
発表の後は、拍手するのがルール。

「<いすは机にあまえているのかな>と思った」、
「<人がおならをしたらいすはくさいのかな>と思った」などと、
次々に発言する子どもたち。
「<いすは筋肉ムキムキだ>と思った」と発表して、
クラスの笑いを取った久米智理君(10)は、
「思ったことを自由に書けるし、発表するのも楽しい」

2009年度、この手法を取り入れる前、
「ここに気づかせたい」という部分で、答えられそうな子を指名する、
正解探しの授業を行っていた。
「でも、それでは一部の子が満足するだけ。
クラスの全員の実感にはならず、意欲も高まらないことに気づいた」と
堀口主任教諭は振り返る。

一人ひとりの思いを認めて、大事にしてあげる。
子どもの気づきの芽をつぶさないことが、
実感を伴った理解へとつながる。
「私はこう考える、と自信をもって発言できる子が増えている」。
始めてまだ日が浅いが、強い手応えを感じている。

2学期末の授業。
文章の段落分けをめぐり、クラスの中で意見が対立した。
様子を見ていると、「○○君はこう言いましたが、私はこう考えるから、
○○君が正しいと思います」という発言が相次いだ。
「表現力だけでなく、筋道を立てて説明できる力もついてきたと実感」
と堀口主任教諭。

認められることで生まれる安心感と自信が、
相手を認める気持ちにつながり、コミュニケーション力を高めていく。

◆セルフ・カウンセリング

思い込みから自由になり、自分と世界とを発見する方法として、
1960年代に創案された1人でできる自己発見法。
日常の場面を取り上げ、自分が見たこと、聞いたこと、思ったこと、
言ったこと、したことを書くことによって、自分の感情や欲求を洞察。
近年、教育現場での活用の試みが進んでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110119-OYT8T00160.htm

ビフィズス菌の酢酸が効果 O157に抵抗力高める

(2011年1月27日 共同通信社)

ビフィズス菌が腸の中で作る酢酸が、病原性大腸菌O157に対する
抵抗力を高めるとの研究結果を、
理化学研究所の大野博司チームリーダーらが、
27日付英科学誌ネイチャーに発表。

大野さんは、「酢酸で腸の表面の状態が変わり、
O157が出す毒素に対するバリアーが壊れにくくなると考えられる。
お酢を飲むだけでは、必要な部分に届かず、効果は期待できない」

ビフィズス菌は、人間の腸などにいる細菌で、
O157に予防効果がある菌とない菌がある。

大野さんらは、無菌状態にしたマウスで実験。
予防効果のあるビフィズス菌を投与すると、腸の中の酢酸の量は、
効果がない菌を投与した場合の2倍近くになり、
炎症や細胞死などを抑える遺伝子がよく働いていた。

予防効果がある菌は、果物などに含まれる果糖を分解して
酢酸を作る能力を持っていると判明。

O157に感染した場合に炎症が起きる大腸の下部で、
酢酸が腸の粘膜を保護するとみられる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/27/131650/

[解説]健康・日本への道

(2011年1月26日 読売新聞)

記録的猛暑だった昨年夏、熱中症の救急搬送件数も過去最高の
約5万6000件に上ったことが分かった。

約半数は、65歳以上の高齢者。
独り暮らしの年金生活者が目立つ。

首都圏在住のある高齢女性は、暑さで衰弱し持病が悪化して
危機的状態に陥った。
寝込んでいたところ、心配した娘が駆けつけて命を取り留めた。
月約6万円の年金で、生活費も治療費も惜しみ、
40度近い室内にこもっていた。

低所得だと、健康に気遣うゆとりがなくなり、ぎりぎりの状態なので、
何か起こると瞬く間に大事に至る。
医療の機会も、奪われてしまう例は少なくない」

川崎市内で、地域住民にボランティア福祉活動を展開する
「すずの会」の鈴木恵子代表。

猛暑も、経済苦を直撃した。
日本に、「格差社会」という言葉が定着して久しい。
病気になった時、窓口での費用を気にして受診を控える人は
低所得者に多い。

病気になる前から健康状態に格差があるとしたら、
それも、自分の責任でない、生まれた時からの格差だとしたら……。

この問題に熱心に取り組むのは、
日本福祉大学の近藤克則社会福祉学部教授。

高齢者約3万人を対象にした同教授らの大規模調査では、
年収や受けた教育年数など、社会的条件によって健康状態に
明らかな差があった。

格差が最も顕著だったのは、男性でのうつ状態。
年間所得400万円以上の高所得層で2・3%に対し、
100万円未満の低所得層では15・8%と6・9倍の差。
睡眠障害、転倒経験率、健診受診率などにも明らかな差があった。

格差の影響は、低所得者、失業者など社会の底辺層にとどまらず、
社会全体に及ぶことも分かってきた。

山梨大の近藤尚己講師らが、日米欧などの研究をもとに
分析・検証した報告では、社会格差の指標となるジニ係数が、
格差が広く認識され始める目安とされる0・3を超えるあたりから、
健康への影響が強まり、0・05上がるごとに一人一人の死亡リスクが
9%ずつ増すと推計。
この傾向は、所得や年齢、性別によらず認められた。

日本では、格差のために失われている命が、
計算上年間2・3万人程度とはじき出された。

米国のように、貧富の差が大きい国ほど寿命が短く、
北欧のように貧富の差が小さい国ほど住民の健康水準が良い。
格差拡大が、社会全体の健康を脅かすことが検証されつつある。

世界保健機関(WHO)では1998年、所得、教育、就業状態などの
「社会経済的地位」が健康に影響するとした報告書
「健康の社会的決定要因」を公表。

欧州では早くから、健康の社会的格差について報告が相次いでいた。
生活の保障された公務員だけを対象に、25年間追跡調査した
英国の研究報告では、高級官僚からノンキャリアまで階層別に
死亡率を比べた結果、低階層では高階層の約2倍にも上り、
その傾向は退職後の70~89歳でも変わらなかった。

格差が広がり過ぎれば、連帯や相互信頼は薄れ、
人間関係の絆が切れて、社会から排除され孤立する人が増える
「無縁社会」を助長する。
そこでは、住民のストレスが増し健康が脅かされることも想像に難くない。

マーガレット・チャンWHO事務局長は、
「世界の健康の不平等をなくすよう努力してきたが、
WHO設立の48年より格差は拡大している」、
“健康優等生”日本に先導的役割を求めた。

日本社会は、足元から崩れつつある。
心して社会再生を急がねば、後に禍根を残すことになりかねない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/26/131550/

2011年2月2日水曜日

インサイド:スポンサーシップ 蜜月関係の新局面/4

(毎日 1月28日)

国際競技大会に、スポンサー料を「支払う」企業側の戦略が
洗練される一方、国内に目を向けると、「受け取る」競技団体や
チーム側の意識改革と態勢整備は立ち遅れている。
広告代理店に、スポンサー獲得を丸投げするだけという
チームも少なくない。

その中で、独自のスポンサーシップ・プログラムを展開する
プロ野球・楽天の取り組みは、異彩を放つ。

楽天は、大リーグなどにならって、スポンサーシップ・プログラムに
「階層制」を敷いている。

1億円以上のトップスポンサーから、1000万円未満の
オフィシャルスポンサーまで、金額に応じて5階層に区分けし、
企業名やロゴの露出、選手や球団ロゴの商標・肖像使用権、
球団イベントへの招待などに格差を付ける。

その狙いを、楽天の池田敦司副社長は、
「収入の最大化を図るためで、スポンサーの引き留めや
ランクアップを促す効果もある」

◆独自戦略が奏功

単に階層を設けるだけではない。
「そこまでは、フィギュアスケートで言う(かつての)規定演技。
今度は、企業側のニーズをくみ取って、
『こんなマーケティングを一緒にやりましょう』とカスタマイズして提案。
このフリー演技が、スポンサー獲得の成否を握る」

スポンサーによって目的も、求める効果も違う。
ブランド認知を目指しているのか、従業員の福利厚生が目的なのか、
自社商品のプロモーションに比重を置くのか、
企業の社会的責任を果たすことが狙いか。

スポンサー料は、「広告宣伝費」として支出されるため、不況風に弱い。
企業ニーズに応えて満足感を得てもらわない限り、
業績が悪くなった途端にカットされてしまう。

このスポンサー制度を運用するには、
球場と球団の一体的な経営が欠かせない。

2年前、クリネックススタジアム宮城内に巨大な看板広告を掲げた
有力スポンサー、太陽光発電システム販売・施工会社
「創造電力」(盛岡市)のケース。

宮城県内に販路を拡大中で、企業名の認知度向上を目指していると知り、
昨春、大型のLEDビジョンを新設した際、命名権の売り込みに成功。

命名権の販売が球団の自由にならなければ、得られなかった収入。
仙台駅前に出店する生活雑貨チェーンストア「ロフト」とは、
タイアップ企画を練り上げた。

ロゴ入りのうちわとプレゼントの引換券を、球場で1万人に配り、
来店者にプレゼントを渡す。
サンプル品を来場プレゼントとして配り、
自社のマーケティングに活用している企業も少なくない。

◆強気のセールス

仙台には、楽天のほかにもJリーグやプロバスケットボール・bjリーグの
クラブもある。

当然、スポンサー獲得は競争になり、両クラブに比べ、
スポンサー料が高いことも承知。

プロ野球は、試合数も観客動員数も圧倒的に多い」、
強気のセールストークを崩さない。

楽天のスポンサーは、現在約180社。
7割が地元で、残りは東京・大阪など全国に散らばる。
スポンサー獲得のため、10人を営業部に配置し、
東京都内にも事務所を置く。

池田副社長は、「拠点は仙台だが、テレビや新聞で毎日取り上げられ、
情報発信力は全国区。
仙台に投資する意味は十分にある、と訴えている」

球団創設以来6年間の努力の成果で、パ・リーグでも豊かな
約25億円(推定)のスポンサー収入を手にすることができた。

球界で最も若い球団の手法を学びに来るチームも多い。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20110128ddm035050142000c.html

薬膳使用料理「富山やくぜん」に認定基準…富山

(2011年1月22日 読売新聞)

薬膳を新たな観光資源に育てようと、
富山市などが、健康に効果があるとされるイチョウやウコンなどを
使用した料理を、「富山やくぜん」として認定することに。

富山国際会議場で開かれた「富山やくぜん普及推進会議」で、
6つの認定基準が決まった。

市薬業物産課によると、同市内では料亭やそば屋など約10店が、
薬膳を明確に打ち出した料理を提供、
薬膳の定義は各店の判断に任せている。

定義を明確化することで薬膳のすそ野を広げ、
約300年の歴史をもつ「富山のくすり」のブランド価値を高める狙い。

今回決めた認定基準は、
〈1〉県内食材を使用
〈2〉厚労省が規定する約800種類の「食薬」のうち、最低1種類を使用
〈3〉うま味調味料などを控える
〈4〉食材の特徴を客に説明する
〈5〉研修会に参加する
〈6〉料理が独創的で視覚的にも優れている-の6点。

今年5月、有識者らで作る認定委員会を発足。
1年に2回程度、料理店から薬膳を募集し、委員が審査し、
6つの認定基準をすべて満たしている料理を、富山やくぜんに認定。
今秋には、同委員会に認定された薬膳の料理コンテストも開催。

1983年から、高麗人参などとそば粉を混ぜた「くすしそば」を
売り出している「まるぜん」(富山市)の3代目、窪田憲修さん(47)は、
「薬膳は、今でも薬くさいといったマイナスのイメージが先行。
今回の取り組みをきっかけに、福井の越前ガニに負けないような
ブランドに定着させたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/24/131434/

交通基本法案:「自転車活用」盛る 政府検討

(毎日 1月29日)

菅直人首相は、政府が今国会提出に向けて検討を進めている
交通基本法案の中に、人と環境に優しい自転車の活用を
盛り込む意向を明らかにした。

自転車活用推進議員連盟事務局長の岩城光英参院議員(自民党)
が、
欧米諸国や韓国が、自転車を生かした交通政策を推進していることを提示。
「我が国も、自転車計画を制定すべきだ。
自転車活用促進基本法の制定など、総合的な交通施策を進めることが重要」
と首相の所見を尋ねた。

菅首相は、「人と環境に優しい総合交通体系の構築は重要課題で、
自転車も重要な役割を担うと考えている」

「交通基本法案や法案で想定している交通基本計画で、
自転車の活用の課題にも取り組んでいく」

交通基本法案は、すべての交通について基本理念や方向性を定め、
交通基本計画で具体的施策を決める。

自転車の保有台数は、08年3月時点で6910万台、
自転車専用の通行区間は、全国約2800kmで、
道路総延長の0.2%にとどまるうえ、
対歩行者の事故はここ10年で3.7倍に激増するなど、
走行環境の整備が課題となっている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/news/20110129k0000m010096000c.html

2011年2月1日火曜日

インサイド:スポンサーシップ 蜜月関係の新局面/3

(毎日 1月27日)

ニューヨーク中心部のタイムズスクエア近くに09年10月、
「アシックスストア」がオープン。
スポーツ用品大手のアシックスが、全世界に6店展開する
ランニング用品専門店の一つ。

降り積もった雪が道端に残る1月上旬。
42番街に面した明るい店舗は、多くのニューヨーカーでにぎわっていた。
最新のシューズやウエアなどを豊富にそろえ、
足の形を立体的に採寸して、最適なランニングシューズを探し出す
3D足型計測機も備えている。
「毎日数百人が訪れます」、ロバート・マクヘンリー店長。

「大きなマラソン大会が開かれる都市に旗艦店を出す」のが
同社の経営戦略。
4万人以上が参加する世界最大級の市民マラソン
「ニューヨークシティー・マラソン」の開催地ニューヨークへの出店は、
東京(2カ所)、ロンドンに次いで4店目。

◆NYマラソン商機に

同社は、20年以上前から、同マラソンの主要スポンサーに
名を連ねている(96~98年を除く)。
スポンサーとしての意味合いは、21世紀に入り、大きく変わった。

当初は、「情報の発信基地だから」と、
ブランドの認知に主眼が置かれ、大会に併設される
マラソンエキスポのブースでは、シューズの機能や会社の歴史を
紹介することに比重を置いていた。

赤字決算も経験した90年代後半の苦境期を経て、
「グローバル企業として生き残りをかける」(尾山基社長)ために、
ランニングを事業の柱に据えてからは、
販促活動とランナーのサポートを強く意識するようになった。

大勢の市民ランナーが参加する大都市の大会は、

格好のショーケースになる。
パリ、ローマ、ゴールドコースト、ムンバイ……と、
世界の市民マラソンで次々にスポンサーの座を獲得。
日本国内で初めての大規模な市民参加型マラソンとなった
「東京マラソン」も、07年の開催時からスポンサー契約を結んだ。

ニューヨークシティー・マラソンでは、予算規模を大幅に膨らませ、
タイムズスクエアに広告を出し、マラソンエキスポでは
アメリカンフットボールのフィールドほどある物販ブースを借り切る。
専門家を派遣し、足型計測機を持ち込んで、
シューズの選び方や走り方のアドバイスも行う。

「サッカーと言えばナイキ、アディダスが頭に浮かぶように、
カテゴリーのトップブランドを目指し、
ランナーとのコミュニケーションを第一に考えた」、土方政雄執行役員。
スポンサーではない大会でも、サポートブースは欠かさず出店している。

◆10年で売り上げ倍増

2月27日に行われる東京マラソンに、定員の10倍近い
33万5000人の応募があったように、世界中でランニング人口が急増。

ブームを追い風に、同社の連結売上高はこの10年間でほぼ倍増。
ランニングシューズの売り上げ増が大きく寄与。

同社が協賛する国際マラソン大会は現在約60を数え、
今年5月に開催予定のストックホルムマラソンでは、
初めて冠スポンサーになる。
スポンサーとしての「大会運営支援」と、メーカーとしての「販促活動」と
ががっちりとかみ合い、相乗効果が生まれている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/01/27/20110127ddm035050154000c.html

がん細胞 中性子照射で死滅させる療法、臨床研究へ

(2011年1月23日 毎日新聞社)

国立がん研究センターは、加速器で発生させた中性子を照射し、
がん細胞だけを死滅させる「ホウ素中性子捕捉療法」の臨床研究を、
12年度をめどに開始すると発表。

同療法は、放射線治療の一種で、特定のホウ素化合物が、
がん細胞だけに集積する現象を利用。

中性子とホウ素化合物を反応させることで、
がん細胞だけを死滅させる。

健康な細胞を傷つけない治療法として従来注目、
中性子を発生させるのに原子炉を使うため、施設の規模、安全性などの
観点から、病院敷地内での実施が困難だった。

同センターでは、高度医療機器を使った治療支援などを行う
CICS社(今堀良夫社長)が開発する直径3m、長さ5mの加速器を利用。
小型加速器を使った同療法は世界初。

臨床研究は、まず悪性黒色腫、脳腫瘍などの患者を対象にし、
その後、膵臓がんなど難治性の他のがんへの拡大も検討する。

嘉山理事長は、「日本のがん医療の向上に寄与すると同時に、
世界に発信できる医療技術を確立したい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/24/131368/

残材をエネルギーに活用 気仙で実証事業

(東海新報 1月27日)

気仙の林地残材を、化石燃料の「代替エネルギー」として活用し、
停滞している「植林」の力に替えようと、木質バイオマス資源を活用した
画期的な美林づくりが始まっている。

地球温暖化対策のCO2排出量削減とあわせて、
〝一石三鳥〟の効果が期待。

木材価格の低迷で、林業家の植林意欲は低下し、
気仙全体では、国有林を除く民有林の主伐面積が年間約180㌶に対し、
主伐後に植林する再造林面積は約50㌶、28%にとどまっている。

植林を促進するには、再造林にかかる費用の低コスト化が課題。
これを一気に解決する方法として生まれたのが、
林地残材を回収して燃料に替え、植林しやすいよう機械を使って
地拵えし、削減したコストを再造林に回すというアイデア。

3市町で構成する気仙地方林業振興協議会
(事務局・県沿岸広域振興局大船渡農林振興センター)は、
本年度「木質バイオマス資源を活用した美しい森林づくりモデル実証事業
(振興局地域振興推進費110万円)に取り組み、
関係者20人が参加して、現地検討会が行われた。

モデル試験地は、大船渡市猪川町字善蔵敷の民有林1・9㌶
(スギ45年生~66年生、アカマツ45年生)と、
住田町世田米字山谷の民有林1・91㌶(スギ51年生~81年生)の2カ所。

気仙地方森林組合が作業を実施し、機械を使って丸太を伐り、
製材用や合板用に取った後、残った幹の先端部分や枝をチップ化し、
燃料材とするために集めている。
同時に、機械を使って次に植林しやすいよう、地拵え作業も行っている。

集めた残材は、新日本製鐵㈱棒線事業部釜石製鉄所へ運んで
石炭火力発電所で利用してもらっている。

新エネルギーの普及を図るRPS法が施行され、
木材に由来する生物資源である木質バイオマスが、
化石資源の代替エネルギーとして注目されていることに着目して
実証事業を開始。

善蔵敷のモデル試験地の見学会に参加した素材生産業の
㈲佐藤木材の佐藤太一社長は、
「採算的にもいいやり方では」と、美林づくりが進むことへ期待。

地拵えは、これまで人力で行われることが多く、
山谷のモデル試験地では、伐採搬出作業と一緒に機械を
そのまま使って同時に地拵えまで行うと、
最終的に地拵えコストが50%削減。

事務局の大船渡農林振興センターの平林慧遠技師は、
「木質バイオマス資源搬出の採算性は、地拵えとセットで行うことで、
よりコストを削減することができた。
後世のために、資源を循環をさせなくてはならない。
そのための資源循環システム」、
気仙版システムの構築に取り組んでいる。

http://www.tohkaishimpo.com/

2011年1月31日月曜日

インサイド:スポンサーシップ 蜜月関係の新局面/2

(毎日 1月26日)

バンクーバー冬季五輪期間中の昨年2月26日、
市中心部のデビッド・ラム公園に特設された
パナソニックの3D(三次元)体験パビリオンに、
IOCのジャック・ロゲ会長が姿を見せた。

専用メガネをかけると、103型大画面のフルハイビジョン(HD)3Dシアターに
映し出された前日競技のダイジェスト版を見て、満足そうにつぶやいた。
「これは革命だね」

3Dシアターには、17日間で計20万人が訪れ、迫力ある映像に見入った。
12年ロンドン五輪関係者も、もちろん訪れた。

◆自社製品PRの場に

パナソニックは、IOC最高ランクの「TOP」スポンサー11社の1社。
IOCが現行のスポンサー制度を導入した88年のカルガリー冬季五輪以来、
一貫してその地位にある。

音響・映像(AV)機器の分野で選出され、スポンサーとしての義務は
協賛金の支払いに加え、IOCの求めに応じて、
テレビやHDレコーダーなどのAV・放送機器を提供すること。

バンクーバー五輪では、発光ダイオード(LED)大型映像表示装置29画面、
テレビ約3000台、セキュリティーカメラシステム約1200台などを納品。
五輪は、同社の見本市さながらである。

見返りに、五輪ロゴやマスコットなどを自社製品の
プロモーション活動に使用できる。

オリンピックマーケティング室の布谷彰室長は、
「ブランド価値の向上に加え、機材提供も品質の高さを示す
ショーケース効果がある」、スポンサーメリットを強調。

家電業界は特に競争が激烈で、
ブランド力がそのまま業績として跳ね返る。
契約期間は、冬・夏の五輪を1セットにした4年間が基本。

同社は07年9月、バンクーバー五輪から16年リオデジャネイロ五輪まで
2セット分の契約を更新、IOCとの協力関係を長期的に維持する
姿勢を鮮明にした。

「我々は単なる協賛会社ではない。
IOCと一体となって、五輪運営を担うパートナー」と布谷室長。

◆ロゲ会長が太鼓判

ロゲ会長は、同社発行の「オリンピック・メディア・ガイド」に、
「パナソニックのAV技術は、オリンピックの興奮を
世界中の人々により近く感じ取ってもらうためになくてはならない存在」
とメッセージを寄せている。

その言葉を裏付けるように、同社のAV機器の技術革新は、
近年の五輪に話題を提供してきた。
北京五輪は、「初のHDオリンピック」、バンクーバー五輪は、
「初のHD冬季オリンピック」がうたい文句。

次回ロンドン五輪の目玉と目されるのが、3D中継。
パナソニックは次期五輪をにらんで、着々と実績を積み重ねている。
バンクーバー五輪でのデモンストレーションを皮切りに、
昨年5月、WOWOWを通じて全仏オープンテニスの3D映像の配信に
日本で初めてこぎつけた。

7月、プロ野球公式戦の阪神-ヤクルト戦を3D生中継し、
NTTぷららが提供する映像配信サービス「ひかりTV」で
無料視聴できる実験を実施。

9月、米国でも、衛星放送を経由して全米オープンテニス決勝を
家電量販店で視聴できるようにした。

国際競技大会の価値を高め、祭典を盛り上げる舞台回しとして、
スポンサー企業の役割は以前にも増して重要。
「本物の迫力があるスポーツ映像は3Dに最適だ」、布谷室長。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/01/26/20110126ddm035050075000c.html

(北海道)転倒予防体操 効果あり…高齢女性の介護費、月9000円減

(2011年1月21日 読売新聞)

高齢者向けの転倒予防体操を、自主的に行う会に参加した女性は、
そうでない女性に比べ、介護費用を月に平均9000円抑える効果が
あったことが、東京都健康長寿医療センター研究所などが
北海道美唄市で行った調査で明らかに。

美唄市は、2004年度から高齢者を対象に、
いすなどを使って、足腰を鍛える転倒予防の体操などを指導する
介護予防の教室を開催。

教室の修了者らが、自主的に体操を続ける活動も盛んで、
市内に会が25団体ある。

同センターの吉田裕人研究員らは、04~08年度、
美唄市の65歳以上の国民健康保険加入者を対象に調査を実施。

会に1度でも参加した経験がある178人と未参加の2334人について、
08年度の医療費と介護費を調べ、統計上の補正をして、
1人あたりの経済効果をはじき出した。

その結果、介護保険給付費と1割の自己負担分を合わせた介護費は、
会に参加した女性で月あたり9000円、医療費と合計すると
1万2000円抑える効果があった。
男性は参加者の母数が少なく、差が出なかった。

厚生労働省の昨年11月の調査によると、
介護を受ける人1人あたりの平均介護費は月18万7400円。

吉田研究員は、「市民の自主的な転倒予防活動は、
医療費や介護費の公的な支出を抑える点でも意義がある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/24/131429/

北里大がミニ水族館開設へ 11年度、学内に

(岩手日報 1月26日)

大船渡市の北里大海洋生命科学部(緒方武比古学部長、学生721人)
は2011年度、学生の就業力を育成する狙いから、
学内に「ミニ水族館」を開設する方針。

一般県民に無料で開放。
雇用情勢が厳しい中、水族館業務を通して学生の
コミュニケーション能力や企画力向上を目指す珍しい試み。
県内の水族館などとも連携を検討する予定で、
沿岸の新たな観光スポットにもなりそう。

ミニ水族館は、学内のF2号館の一角約60平方メートルを改装して開設。
事業費約300万円で、最大で横幅約3mの10台前後の水槽を置き、
深海や三陸沖などの生物を展示する。
現在、展示生物などの詳細を検討中で、
11年度の早い時期の開設を目指す。

同学部が、10年度に選定された文部科学省
「大学生の就業力育成支援事業」の一環。
希望する学生20~30人が業務を担当し、展示企画や生物や
館内の日常管理、一般客への対応などで就業力を高める。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110126_1

2011年1月30日日曜日

プロ棋士の直観は、尾状核を通る神経回路に導かれる

(理化学研究所 平成23年1月21日)

相手の王様をとって勝敗を決める将棋やチェスなどの
ボードゲームでは、論理的な予想の積み重ねや
直感的な次の一手の導出、という妙技が繰り広げられる。

この思考過程は、人間だけに高度に発達した思考の仕組みを
解明する上で重要であり、古くから研究対象として注目。

1950年代、チェス熟達者や愛好家が、対局中に考えていることを
声に出すことで、その思考過程を比較する研究が行われ、
熟達者であるほど盤面の記憶能力が優れていること、
最善手は直観的に生まれてくること、などが分かってきた。

将棋のプロ棋士も、次の一手は「直観的に」頭の中に浮かび、
残りの持ち時間は、他の手の確認や心理的な駆け引きなどに
費やすとコメント。

脳科学総合研究センターの認知機能表現研究チームらは、
富士通株式会社、株式会社富士通研究所、
社団法人日本将棋連盟の協力を得て、
将棋のプロ棋士が戦局を素早く理解し、最適な次の一手を
直観的に思いつく神経基盤を実験的に解明。

プロ棋士やアマチュアが、さまざまな盤面を見たときや、
詰め将棋(または必至問題)を解くときの脳活動を、
機能的核磁気共鳴画像(fMRI)で観察。

その結果、プロ棋士の脳で、特徴的に活動する2つの領域
(1)実戦局面を見て、瞬時に駒組を認識する大脳皮質頭頂葉の楔前部、
(2)最適な次の一手を、直観的に導き出す大脳基底核の尾状核、
を見いだした。

盤面を見て、次の一手を直観的に導き出す過程では、
楔前部と尾状核が連動して活動することも明らか。

「熟達者固有の直観」という現象の神経基盤を解明した
世界で初めての例として注目。

http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2011/110121/index.html

インサイド:スポンサーシップ 蜜月関係の新局面/1

(毎日 1月25日)

プロスポーツや国際競技大会の資金源として、
欠かせないスポンサーシップ。

支援企業側も、スポーツの持つ情報発信力を、
ブランド認知の向上などに役立てている。
その両者の蜜月関係が、スポーツビジネスの拡大などに伴って、
新たな局面を迎えている。

◇広告効果の評価進む

日本代表、本田圭佑(CSKAモスクワ)の先制ゴールが決まると、
フィールドを囲む発光ダイオード(LED)の看板の表示が、
一斉に青色に切り替わった。

サッカー・W杯南アフリカ大会1次リーグのカメルーン戦。
映し出されたのは、国際サッカー連盟(FIFA)パートナー、
「SONY」のロゴだ。

このゴールシーンは繰り返しテレビ放映され、
ソニーの看板広告は丸1日で43番組に延べ603回映り、
総露出時間は10分45秒に達した。
「CMスポット料金に換算すると、1億5000万円強に相当する」
メディア調査会社「ニホンモニター」(東京都)は、すぐに試算した。

◆技術革新で試算容易に

容易にスポンサー効果を数値評価できるようになったのは、
技術革新に負うところが大きい。

以前は、「目視」で調査を行っており、調査員がストップウオッチを
片手に録画したテレビ番組に、看板広告が映し出された回数と時間を
カウントしていた。

同社は、08年秋にデジタル画像認識システムを、
国内他社に先駆けて導入、機械調査に切り替えた。

テレビ番組の1秒を、1フレームとしてパソコン上に画像で切り出し、
画像マッチング技術によって、ロゴを自動検出してカウントする。

目視では、露出回数と時間の調査に限界があったが、
機械調査ではテレビ画面に占める大きさや位置のほか、
障害物にどの程度隠れていたかもデータ化できる。

露出時間にCMのスポット料金を掛け合わせれば、
瞬時に広告換算料金を算出できる。
スポーツはテレビドラマと違い、繰り返し放映される特殊なコンテンツだ」、
同社の韮沢美樹社長。

試合はテレビ中継のほか、各種のニュース番組でも取り上げられる。
スポンサー企業は、スポーツの持つ訴求力に期待して支援するのだが、
どの程度のパブリシティー(広告)効果があったのか、また見込めるのか。

スポンサー側の疑問に答える手段として、
露出量の調査依頼は近年、増えている。

◆インパクト数値化

同社は、露出「量」だけでなく、「質」を評価する新たな
調査・分析手法の開発にも成功した。

露出回数と時間が一緒でも、画面に映り込む大きさが違えば、
視聴者へのインパクトは違う。

画面の端よりも、中央付近に映っていた方が、認知度は高まる。
テレビ画面に映る広告のサイズや位置などのデータを加味して、
独自の指標「インパクト値」として数値化した。

サッカーW杯でのFIFAパートナーの看板広告。
02年日韓大会では、フィールドを囲む固定看板のうち、
3枚が割り当てられていた。

LED看板に代わった昨年の南アフリカ大会では、
全面を1社のロゴで埋め尽くせる。
表示時間は30秒間×16回の8分間(延長とロスタイムを除く)、
単独表示で画面に占める割合は大きくなり、
さらにLEDは視認性に優れる。
10年大会のインパクト値は、02年大会の2倍という結果。

露出量評価の研究が進んでいる米国では、
「CMと同程度の認知効果を得るには、
CMの10倍の露出時間が必要」、
「広告換算額が契約金の3~6倍であれば、広告価値の高い
スポンサーシップ」ということも分かってきた。

動画のインターネット配信など、メディアの多様化は一段と進む。
「画像認識と比べ、音声認識技術の活用は遅れている」(韮沢社長)
のも実情だ。

スポンサー企業のニーズを受けて、広告効果の評価・測定技術の
さらなる進歩が求められている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/01/25/20110125ddm035050133000c.html

倉吉の地下水飲むと脂肪肝抑制…メカニズム?

(2011年1月22日 読売新聞)

倉吉市蔵内の地下約250mから、くみ上げられる天然水
(商品名・白山命水)に、マウスの実験で、飲用すると
脂肪肝になりにくい効果が確認、
鳥取大学医学部の汐田剛史教授(遺伝子医療学)が、
日本成人病(生活習慣病)学会で発表。

汐田教授の研究グループは、白山命水を与えるマウスと
水道水を与えるマウス7匹ずつに、ココアバターなど脂肪分の多い餌を
12週間にわたって食べさせ、それぞれの肝細胞を比較。

白山命水を飲んでいたマウスの肝細胞は、
脂肪肝の指標となる中性脂肪やコレステロール値の上昇が
水道水を飲んだマウスの約2分の1に抑えられた。

メカニズムは不明だが、汐田教授によると白山命水は
抗酸化力が強いといい、「脂肪がたまることによる肝機能の低下が、
抗酸化力の何らかの作用で抑制された可能性がある。
仕組みを解明し、人の肝臓にも効果があるかを確かめたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/24/131435/