2011年2月2日水曜日

インサイド:スポンサーシップ 蜜月関係の新局面/4

(毎日 1月28日)

国際競技大会に、スポンサー料を「支払う」企業側の戦略が
洗練される一方、国内に目を向けると、「受け取る」競技団体や
チーム側の意識改革と態勢整備は立ち遅れている。
広告代理店に、スポンサー獲得を丸投げするだけという
チームも少なくない。

その中で、独自のスポンサーシップ・プログラムを展開する
プロ野球・楽天の取り組みは、異彩を放つ。

楽天は、大リーグなどにならって、スポンサーシップ・プログラムに
「階層制」を敷いている。

1億円以上のトップスポンサーから、1000万円未満の
オフィシャルスポンサーまで、金額に応じて5階層に区分けし、
企業名やロゴの露出、選手や球団ロゴの商標・肖像使用権、
球団イベントへの招待などに格差を付ける。

その狙いを、楽天の池田敦司副社長は、
「収入の最大化を図るためで、スポンサーの引き留めや
ランクアップを促す効果もある」

◆独自戦略が奏功

単に階層を設けるだけではない。
「そこまでは、フィギュアスケートで言う(かつての)規定演技。
今度は、企業側のニーズをくみ取って、
『こんなマーケティングを一緒にやりましょう』とカスタマイズして提案。
このフリー演技が、スポンサー獲得の成否を握る」

スポンサーによって目的も、求める効果も違う。
ブランド認知を目指しているのか、従業員の福利厚生が目的なのか、
自社商品のプロモーションに比重を置くのか、
企業の社会的責任を果たすことが狙いか。

スポンサー料は、「広告宣伝費」として支出されるため、不況風に弱い。
企業ニーズに応えて満足感を得てもらわない限り、
業績が悪くなった途端にカットされてしまう。

このスポンサー制度を運用するには、
球場と球団の一体的な経営が欠かせない。

2年前、クリネックススタジアム宮城内に巨大な看板広告を掲げた
有力スポンサー、太陽光発電システム販売・施工会社
「創造電力」(盛岡市)のケース。

宮城県内に販路を拡大中で、企業名の認知度向上を目指していると知り、
昨春、大型のLEDビジョンを新設した際、命名権の売り込みに成功。

命名権の販売が球団の自由にならなければ、得られなかった収入。
仙台駅前に出店する生活雑貨チェーンストア「ロフト」とは、
タイアップ企画を練り上げた。

ロゴ入りのうちわとプレゼントの引換券を、球場で1万人に配り、
来店者にプレゼントを渡す。
サンプル品を来場プレゼントとして配り、
自社のマーケティングに活用している企業も少なくない。

◆強気のセールス

仙台には、楽天のほかにもJリーグやプロバスケットボール・bjリーグの
クラブもある。

当然、スポンサー獲得は競争になり、両クラブに比べ、
スポンサー料が高いことも承知。

プロ野球は、試合数も観客動員数も圧倒的に多い」、
強気のセールストークを崩さない。

楽天のスポンサーは、現在約180社。
7割が地元で、残りは東京・大阪など全国に散らばる。
スポンサー獲得のため、10人を営業部に配置し、
東京都内にも事務所を置く。

池田副社長は、「拠点は仙台だが、テレビや新聞で毎日取り上げられ、
情報発信力は全国区。
仙台に投資する意味は十分にある、と訴えている」

球団創設以来6年間の努力の成果で、パ・リーグでも豊かな
約25億円(推定)のスポンサー収入を手にすることができた。

球界で最も若い球団の手法を学びに来るチームも多い。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20110128ddm035050142000c.html

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