2011年1月31日月曜日

インサイド:スポンサーシップ 蜜月関係の新局面/2

(毎日 1月26日)

バンクーバー冬季五輪期間中の昨年2月26日、
市中心部のデビッド・ラム公園に特設された
パナソニックの3D(三次元)体験パビリオンに、
IOCのジャック・ロゲ会長が姿を見せた。

専用メガネをかけると、103型大画面のフルハイビジョン(HD)3Dシアターに
映し出された前日競技のダイジェスト版を見て、満足そうにつぶやいた。
「これは革命だね」

3Dシアターには、17日間で計20万人が訪れ、迫力ある映像に見入った。
12年ロンドン五輪関係者も、もちろん訪れた。

◆自社製品PRの場に

パナソニックは、IOC最高ランクの「TOP」スポンサー11社の1社。
IOCが現行のスポンサー制度を導入した88年のカルガリー冬季五輪以来、
一貫してその地位にある。

音響・映像(AV)機器の分野で選出され、スポンサーとしての義務は
協賛金の支払いに加え、IOCの求めに応じて、
テレビやHDレコーダーなどのAV・放送機器を提供すること。

バンクーバー五輪では、発光ダイオード(LED)大型映像表示装置29画面、
テレビ約3000台、セキュリティーカメラシステム約1200台などを納品。
五輪は、同社の見本市さながらである。

見返りに、五輪ロゴやマスコットなどを自社製品の
プロモーション活動に使用できる。

オリンピックマーケティング室の布谷彰室長は、
「ブランド価値の向上に加え、機材提供も品質の高さを示す
ショーケース効果がある」、スポンサーメリットを強調。

家電業界は特に競争が激烈で、
ブランド力がそのまま業績として跳ね返る。
契約期間は、冬・夏の五輪を1セットにした4年間が基本。

同社は07年9月、バンクーバー五輪から16年リオデジャネイロ五輪まで
2セット分の契約を更新、IOCとの協力関係を長期的に維持する
姿勢を鮮明にした。

「我々は単なる協賛会社ではない。
IOCと一体となって、五輪運営を担うパートナー」と布谷室長。

◆ロゲ会長が太鼓判

ロゲ会長は、同社発行の「オリンピック・メディア・ガイド」に、
「パナソニックのAV技術は、オリンピックの興奮を
世界中の人々により近く感じ取ってもらうためになくてはならない存在」
とメッセージを寄せている。

その言葉を裏付けるように、同社のAV機器の技術革新は、
近年の五輪に話題を提供してきた。
北京五輪は、「初のHDオリンピック」、バンクーバー五輪は、
「初のHD冬季オリンピック」がうたい文句。

次回ロンドン五輪の目玉と目されるのが、3D中継。
パナソニックは次期五輪をにらんで、着々と実績を積み重ねている。
バンクーバー五輪でのデモンストレーションを皮切りに、
昨年5月、WOWOWを通じて全仏オープンテニスの3D映像の配信に
日本で初めてこぎつけた。

7月、プロ野球公式戦の阪神-ヤクルト戦を3D生中継し、
NTTぷららが提供する映像配信サービス「ひかりTV」で
無料視聴できる実験を実施。

9月、米国でも、衛星放送を経由して全米オープンテニス決勝を
家電量販店で視聴できるようにした。

国際競技大会の価値を高め、祭典を盛り上げる舞台回しとして、
スポンサー企業の役割は以前にも増して重要。
「本物の迫力があるスポーツ映像は3Dに最適だ」、布谷室長。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/01/26/20110126ddm035050075000c.html

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