2010年5月29日土曜日

スポーツ基本法:民主党独自で提出も 議連が設立総会

(毎日 5月21日)

民主党は、党スポーツ議員連盟(会長=田名部匡省・参院議員)の
設立総会を開き、スポーツ基本法制定に向けて、
党独自の政策づくりに取り組むことを決めた。

議連の奥村展三幹事長は、
「特に地域スポーツをしっかりとしたい」と普及を重視する考え。

設立総会では、「地域スポーツの中で、メディカルトレーナーなど
指導者の地位向上を図るべきだ」など、
スポーツ基本法制定を視野に入れたスポーツ政策に関する意見。

議連のアドバイザーとして、参院選比例代表に公認した
女子柔道五輪金メダリストの谷亮子氏ら、アスリートを招くことも決めた。
同党は今後、来年の通常国会で内閣として法案提出を目指すが、
議員立法という選択肢も残されている。

自民党は、「スポーツ基本法案」を今国会に提出する方針。
自民、公明両党は、与党だった昨年7月にも
議員立法で法案を提出したが、廃案。
奥村幹事長は、「自民は、トップアスリートの話が多かった」、
「我が党としても、しっかりとした法案をつくりたい」

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/05/21/20100521ddm035050062000c.html

南部鉄器に関心高く 中国の代表団が県庁などを訪問

(岩手日報 5月20日)

中国上海市で開かれている上海万博に、
南部鉄瓶とプーアル茶を県と共同出展している
プーアル市、上海市の茶販売業・上海大可堂茶業の代表団は、
南部鉄器産地の盛岡市や奥州市を訪れた。

プーアル茶の茶具に適した南部鉄瓶や本県の歴史文化に
関心を高め、本県とのさらなる友好協力関係の拡大に期待感。

一行は、県と友好協定を締結したプーアル市から、前プーアル市長で
初来県となる瀋培平中国共産党プーアル市委員会書記
上海市から上海大可堂の張奇明会長らの計35人。

県庁や盛岡市役所、奥州市役所、南部鉄器の歴史文化を伝える
奥州市伝統産業会館、岩鋳(盛岡市)などを訪問。

4月下旬、プーアル市を訪問した達増知事は、
「南部鉄器の生産現場で、生産者の一生懸命な姿を見てほしい」

盛岡市の谷藤裕明市長は、
「素晴らしい南部鉄器を中国の方に知ってほしい」、
奥州市の小沢昌記市長は、
「これを縁に、ますます交流が発展することを願う」

瀋書記は、「南部鉄瓶とプーアル茶は、一つのスタート。
よいスタートが成功の半分ならば、この後の協力が成功のもう半分だ
と交流継続を願った。

プーアル市の一行は20日離県、上海市の一行は
21日まで県内の観光地などを巡る予定。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100520_6

当世給食事情(5)自分で選んで意識向上

(読売 5月19日)

「その料理、どう?」、「おいしいよ」
クラスメートと、自ら選んだ給食メニューの感想を言い合う生徒たち。

千葉県松戸市立牧野原中学校の広々とした食堂をのぞくと、
給食の野菜スパゲティを食べる生徒もいれば、
母親手作りの弁当を味わう生徒もいた。

同市が、公立中学校で全国に先駆けて、
選択方式の給食を導入したのは1990年。
栄養バランスや量など、食に対する適切な判断力の育成を目指し、
2種類の給食メニューのいずれか、自宅から持参する弁当かを
選ぶようにした。
当初は2校で始め、95年、全21校(現在は全20校)に広がった。

給食は、パンが主食(月に2回程度はめん類)のAメニュー、
ご飯が主食のBメニューが用意、希望する生徒は、献立表を見て、
メニューを1週間単位で予約するしくみ。
導入当初は、市が調理員を配置していたが、
人件費削減などのため、現在は調理業務を民間委託。

牧野原中の浮谷融教頭(54)は、
嫌いな料理も、必要な栄養を考えて食べるよう、
家庭科など教科とも連携して、指導している
生徒自らが、日々の組み合わせを決めていく中で、
食への意識が高まっていく。

同中が昨年1月に行った全校生徒アンケートでは、
選択方式でプラスになったことについて、
46%が「食事の楽しさが分かるようになった」、
44%が「食べ物の好き嫌いが少なくなった」と答えた。

同市立中学校全体では、A、B各メニューの選択割合はほぼ半数ずつ。
当初は、給食と弁当の割合が7対3、年々、給食を選ぶ生徒が増え、
現在は95%を占める。
入学当初は、好きな料理ばかり選んで栄養が偏りがちなことや、
ダイエットを意識する女子はパン系、男子は腹持ちのいいご飯系を
選ぶ生徒がやや多いなどの傾向。

コスト面などの課題もあり、選択方式を採用する自治体は、
まだ少数にとどまっている。
その重要性が叫ばれる10年以上前から、
同市で行われている食育重視の取り組みが、
今改めて注目を集めそうだ。

◆メモ

中学校の給食は、生徒の体格や食事の好みの個人差などから
一律実施が難しく、公立小の98.5%に対し、公立中は80.9%
(文部科学省2008年度調査)。
松戸市では、1963年から牛乳だけを出すミルク給食を実施、
共働き家庭の増加を背景に、弁当をきちんと作る余裕がないなどの理由、
給食の導入を求める市民が、約13万人分の署名を提出して陳情。
15年かけて検討して実現。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100519-OYT8T00254.htm

携帯使用と脳腫瘍発症…WHO調査結果発表

(読売 5月18日)

世界保健機関(WHO)の下部組織「国際がん研究機関」
(本部・仏リヨン)は、「携帯電話の使用によって、
脳腫瘍発症の危険性が高まるかどうかは確認されなかった」
との研究結果を発表。

同機関は2000年から、日本、英、仏、豪など13か国で、
約1万3000人を対象、携帯電話の使用と脳腫瘍との因果関係を調査。

その結果、携帯を「日常的に使用している人」や
「10年以上使用している人」の方が、使用しない人より
脳腫瘍発症率が低かった。
統計上の偏りや誤差の可能性もあるとし、因果関係の断定は避けた。

同機関の研究者は、「危険性ゼロとは断定できない。
最近は、携帯の使用が1日1時間以上の若者も珍しくなく、
研究を続ける必要がある」

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100518-OYT1T00927.htm

2010年5月28日金曜日

国際競争力で日本27位に後退 シンガポール1位に

(サイエンスポータル 2010年5月20日)

スイスのビジネススクール「IMD」(国際経営開発研究所)は、
「2010年世界競争力年鑑」を発表、
シンガポールと香港が、米国を抜いて1位と2位に浮上。

シンガポールと香港は、経済危機からの大きな回復力を示し、
発展するアジア地域の恩恵を十分受けていると評価。

両国同様、アジア地域の経済発展の恩恵を受けた
オーストラリア、台湾、マレーシアがそれぞれ5位、8位、10位と
初めて10位以内に入った。

10位までに入った国は、スイス(4位)、スウェーデン(6位)、
カナダ(7位)、ノルウェー(9位)。

日本は、大きな苦労をして経済危機から立ち直ったものの、
デフレと取り組んでいるとされ、ランクを17位から27位に下げた。

中国本土は20位から18位、韓国も27位から23位と順位を上げ、
日本を追い抜いている。

http://scienceportal.jp/news/daily/1005/1005201.html

「黒い海」体験、後世へ チリ地震津波50年

(岩手日報 5月25日)

1960年のチリ地震津波から、50年が経過した24日、
国内最多の犠牲者を出した大船渡市では、
正午にサイレンを鳴らし、市内各地で黙とうがささげられた。

大船渡小(柏崎正明校長、児童269人)は、
半世紀前の児童が残した体験文を読み、
津波の恐怖や残酷さに触れた。

50年前の同校の児童、教職員、保護者らが、
被災直後に体験を書き残した文集「黒い海」を、全学年が学習。
児童は、自分と同じ学年の子どもが残した体験文を読み返した。

5年2組は、菊地正徳教諭が体験文を朗読。
「『おらいの家がつぶされる、あああ…』と言って泣いてしまいました」
など、読み上げられる表現を真剣なまなざしで聞いた。

柏崎校長も、自身の体験談を披露。
文集に掲載された壊滅的な街の様子の写真に、
児童は目を奪われた。
正午のサイレンに合わせ、全員が海の方角を向いて黙とう。
手を合わせ、犠牲者の冥福を祈った。

佐藤稔貴君(5年)は、「本当にかわいそう」と感想を語り、
熊谷雅大君(同)も、「自分と同じ年で死んだ子がいるなんて、
もっと長生きしたかったと思う。
津波の時は、すぐ高台に逃げる」と誓った。

柏崎校長は、「当時の子ども、教師の思いや津波の怖さを
今後も伝え、地域の人と一緒に備えていきたい

チリ地震津波は、1960年5月24日未明、本県沿岸部に襲来。
大船渡市で53人、陸前高田市で8人、宮古市で1人が犠牲。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100525_4

[白書] 平成67年(2055年)には高齢化率40.5%に

(2010年5月18日 WIC REPORT(厚生政策情報センター))

政府は、平成22年版の高齢社会白書を公表。
白書は、「平成21年度高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」
と「平成22年度高齢社会対策」の2部構成。

平成21年度の高齢化状況を見ると、
(1)平成21年10月1日現在の高齢化率
(総人口に占める65歳以上人口の割合)は22.7%、
前年より0.6 ポイント上昇
(2)平成67年(2055年)、高齢化率が40.5%となり、
2.5人に1人が65歳以上
(3)平成19年度の社会保障給付費は91兆4305億円、
過去最高水準である

平成21年度の高齢社会対策の実施状況を見ると、
(1)高齢社会対策関係予算は17兆1847億円、
前年度より約3兆円の増額
(2)年金改正や、高齢者の居住安定確保法改正の成立
(3)無年金・低年金者への対応、介護従事者等の処遇改善、
介護基盤の緊急整備、後期高齢者制度の廃止方針決定

平成22年度に行われる高齢社会対策として、
(1)関係予算は17兆4872億円、約3000億円の増額
(2)高年齢者雇用確保充実奨励金の創設
(3)介護基盤の充実
(4)福祉・介護人材の確保

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/18/120441/

当世給食事情(4)生徒考案の献立 全校で

(読売 5月15日)

「今日の献立は、白菜スープ、鶏肉のレモンソースかけ、
大根サラダ、フルーツヨーグルト、牛乳です。
献立を考えたのは、1年3組の林舞由香さん(13)です」

長野県塩尻市立広陵中学校の各教室で給食が始まると、
テレビで放送委員の紹介が流れた。

同中の給食は、1年生が作った献立で、
毎日、全校約600食が出される。
1学期の家庭科の授業で、1年全員に給食で食べたい献立を
考えさせ、2学期が始まる8月末から1年間の給食205回のうち
半数強が、生徒考案の献立となる。

材料の吟味から、食事の意味を考えてもらいたい」、
「食べ残しをなくしたい」と、栄養教諭の杉木悦子さん(55)が
前任校から取り組み、10年になる。

主食(ご飯)、汁物、主菜、副菜、デザート、牛乳の
セットとして献立を作成。
その際の約束は、
〈1〉食べてもらうみんなのことを考える、
〈2〉六つの食品群全部から食品を選ぶ、
〈3〉畑で、自分たちが育てた野菜や地元産の食材を入れる、
〈4〉旬のものを入れる――など。

午前中、この日の献立を考案した林さんは、給食室を訪ね、
「よろしくお願いします」とあいさつ。
献立を作った生徒の顔が見えると、作りがいがあります」と
調理員の小澤みどりさん(45)。
同僚の調理員の足助茂樹さん(35)も、
「子どもたちが何を考えているか、好みも分かって面白い」

給食の後、各クラスの残飯を計測する給食委員の
2年山田拓登君(14)は、「今日は平均すると700g程度。
かなり少ないと思います。
レモンの風味が効いた唐揚げがおいしかったからかな」

小中全校で、自校給食が同市の方針。
給食の前後は、給食委員や先生が出て、身支度のできていない
生徒の給食室への立ち入りをチェック、担任と副担任が必ず
一緒に教室で給食をとるなど、家庭科教諭との連携をはじめ、
全校教職員の協力態勢がある。

1年3組担任の高谷修教諭(39)は、
「献立を考えたのが自分のクラスの生徒だと、
教室内は盛り上がる。
本人は、みんなが食べてくれるかドキドキし、
『うまいじゃないか』と言うと、満更でもない表情をしてくれます」

献立作りをすると、食に主体的になれる。
自分がどんなふうに食べているかを振り返るようになる」
杉木教諭は、育ちへの好影響を実感。

◆栄養教諭

学校における、食に関する指導と給食の管理を行う。
学校教育法の改正で、2005年度から配置、
全国で1967人(08年)いる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100515-OYT8T00223.htm

2010年5月27日木曜日

JOC:現役選手の雇用仲介 夏までに開始 「1企業1人」提唱

(毎日 5月19日)

JOCが、企業の休廃部などで次の所属が見つからない現役選手に、
他の企業の雇用や支援を紹介する仲介事業に取り組む。
データ収集に入り、今夏までの実施を目指す。

理事会で、ゴールドプラン委員会が、
「アスリートを取り巻く日本のスポーツ環境の実態」の中間報告。
同委員会は、昨年暮れから今年3月にかけ、
スポーツに取り組む企業や企業からクラブ化した団体などを対象に
ヒアリング調査を実施。

「サポート体制が多様化し、一つのチームの選手を
複数の企業で雇用するケースが増えている」、
1企業1人であれば、負担は軽減する
「ワン・カンパニー、ワン・アスリート」を提唱。

競技団体から、支援を求める選手のリストと条件を、
経済団体などに協力を呼びかけて企業側の条件も収集。
そのデータを、JOCが照らし合わせて紹介。

同委員会委員の荒木田裕子理事は、
ヒアリングで、企業が五輪選手を抱えるには大金がかかると
誤解しているケースが。
興味を持っている企業もあるので、アスリートを支援していきたい」

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/05/19/20100519ddm035050081000c.html

犠牲者の冥福祈る チリ地震津波50年で追悼式

(岩手日報 5月24日)

1960年、本県沿岸に襲来したチリ地震津波から
50年が経過した24日、国内最多の犠牲者を出した
大船渡市で、追悼式(市主催)が行われた。
遺族や関係者は、犠牲者の冥福を祈り、防災への決意を新たにした。

南町公民館東側広場に、約130人が出席。
犠牲者に黙とうをささげ、献花。
大船渡湾に対して遺族らが献花し、海の平穏を祈った。

甘竹勝郎市長は、「津波での尊い犠牲を無にすることなく、
教訓を深く心に刻む」と式辞。
大船渡町で被災し、遺族代表で出席した佐藤信子さん(76)は、
「50年たっても、あの日のことを思う。経験は語り継ぎたい」

チリ地震津波は、60年5月24日未明、本県沿岸部に襲来。
大船渡市で53人、陸前高田市で8人、宮古市で1人が犠牲。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100524_14

東北福祉大「生涯現役講座」来月から 健康増進モデル学ぶ

(2010年5月14日 毎日新聞)

東北福祉大に、今年度から設置された社会貢献センターの
予防福祉健康増進推進室は、認知症予防を中心に
新しい健康増進モデルを学ぶ「生涯現役エキスパート講座」
(定員40人)を6月から開講。

団塊の世代の最終ランナーが、09年に60歳になり、
同大は「定年後の人生を、地域でどのように生きるかを
考えている人たちに学んでもらいたい」

講座の底流にある概念は、
(1)定期的な健康度チェック
(2)結果に対応する適切なアドバイス
(3)効果的なアクティビティ--で構成される
「あたま」と「からだ」の活性化サイクル。

講座は、6~8月までの土曜日、1週間から2週間に1回の計10回、
生涯現役論や認知症最前線など6回の講義、
健康増進トレーニングやノルディックウオーキングなど実技が4回。

α波の状態を診る脳機能活性度測定や、
5種類の対話テストを行う物忘れ相談プログラムによって、
アルツハイマー型認知症の兆候を調べる「脳機能測定」。
筋肉の量や脚力、姿勢を調べる「体機能・運動機能測定」も
カリキュラムに組み込まれている。

同推進室の小田充宏・統括マネジャーは、
「大学と地域の実践的なかかわりを強化することが目的」、
「学んだことを、社会に還元できるような地域に貢献する人づくり」を目指す。

講座は9~12月(土曜コース)、1~3月(木曜コース)にも予定、
受講料は2万8000円。
15日午後1時半から、同大ステーションキャンパス館で、
講座の開講記念シンポジウムを開催、
脳機能測定のデモンストレーションなども行う。

シンポの定員は、100人で参加無料。
問い合わせは講座事務局(022・728・6607)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/14/120234/

当世給食事情(3)食べ残し減らす味付け

(読売 5月14日)

東京都足立区立中島根小学校の3年生の教室。
「いただきます」のあいさつで、子どもたちが一斉に給食にはしをつけた。

グリーンピースや大豆の入ったひじきご飯、かじきの竜田揚げ、
もやしのゴマ酢あえなどを、どの子もおいしそうに味わっている。
小野鈴菜さん(9)は、「前は豆が苦手だったけど、
残さずに食べられるようになった」

足立区は2008年度から、全区立小中学校109校で、
「おいしい給食」事業を実施。
豆や小魚など、子どもたちが苦手な食材を用いたモデル献立の作成、
おいしさに配慮した区独自の栄養摂取基準の策定などを進めている。

同小の栄養士、木村いく子さん(60)は、
「ご飯やハンバーグの中に豆を入れたり、ほんの少し味付けを
濃くしたりして、食べやすく工夫しています」

きっかけは、食べ残しの増加。
同区教育委員会おいしい給食担当の笠尾康俊係長(45)は、
「国の基準に厳密に従うあまり、薄い味付けになったりして、
食べ残しにつながっていることが分かった」

同区では、文部科学省の学校給食摂取基準では2・5g未満とされる
8~9歳の1人1回当たりのナトリウム摂取量(食塩相当量)を、
同3g未満とするなど独自基準を作り、
従来より濃いめの味付けを可能。

牛乳を出さなくてもいいことにした。
牛乳は、各栄養素をどの食品からとるべきかを示した
同省の標準食品構成表で毎回、出すことになっているが、
「献立によっては飲みきれず、冬場はおなかをこわすことも」
といった現場の指摘を重視。

牛乳好きの子どもたちが多く、牛乳が出ない日は各校平均で
月に1回程度だが、これらの日に中華丼やスープを出し、
カルシウムはヨーグルトなどで補うなど工夫。
この結果、同区では、08年度の区立小中学校の年間残菜量が
約342トン、前年度から約40トン減少。

中島根小では、保護者向けの給食試食会や親子料理教室も開く。
「足立区ならではの学校給食は、保護者にも好評で、
レシピを聞いてくるお母さんもいる。
家庭での食生活にも、いい影響を与えているのでは」、
同小の坂口正己校長(58)。

◆学校給食摂取基準

1回の給食に必要なエネルギー量とカルシウム、鉄分など
12栄養素の目安を年齢別に示したもの。
この基準を満たすために取るべき食品の量を、26品目で示したのが
標準食品構成表。
いずれも地域の実情などにより、弾力的に運用できる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100514-OYT8T00194.htm

2010年5月26日水曜日

4人に1人「治療必要」 引きこもり184人を調査

(2010年5月20日 共同通信社)

「引きこもり」に悩み、精神保健福祉センターに相談に
訪れた人のうち、16~35歳の184人について、
厚生労働省研究班が原因を調べたところ、
ほぼ4分の1の49人が、統合失調症などの精神疾患、
「薬物療法などの治療が必要」と診断。

厚労省は、「『引きこもり』とされる人の中には精神疾患と診断されず、
具体的な治療に結び付いていない人がいる恐れがある」
こうしたケースを見落とさず、適切な医療支援につなげるため、
相談機関や家族に向けた新たなガイドラインを同日までに策定。

調査対象となった184人は、社会参加を避けて6カ月以上、
自宅などにとどまっている人、岩手、埼玉、山梨、石川、和歌山の
各県にある精神保健福祉センターを訪れた。

薬物療法などの治療が必要と診断された49人以外の135人の内訳は、
「広汎性発達障害で精神療法的なアプローチが必要」48人、
「適応障害などで心理、社会的支援が必要」51人、
「特定不能な精神障害」1人、
「情報不足で確定診断できず」35人。

新ガイドラインは、引きこもり者への支援について、
当初は個人的に心を開いてもらうことからスタート、
集団療法、就労、就学へと段階的につなげていくことが大切。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/20/120514/

肌のかさつき防ぐ機能解明 化粧品、薬品開発に期待

(2010年5月17日 共同通信社)

皮膚細胞のタンパク質が体温に応じて活性化することで、
肌のかさつきを防ぐメカニズムを、

自然科学研究機構生理学研究所の曽我部隆彰助教らの
研究チームが解明、14日発表。
肌荒れや皮膚疾患を改善する化粧品や薬品の開発につながると期待。

研究チームによると、肌の温度を感知する"温度センサー"の
機能を持つことで知られる表皮細胞内のタンパク質「TRPV4」が、
体温が上昇すると活性化。
細胞内にカルシウムを取り込んで細胞間のつながりを強化し、
水分蒸発を防ぐ上、表皮のバリアー機能を高める
働きをすることが分かった。

曽我部助教は、「冬の乾燥肌を防ぐには、肌の温度を保つことが
重要と言えるかもしれない」
研究成果は、米専門誌電子版
(JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY)。

The TRPV4 channel contributes to intercellular junction formation in keratinocytes

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/17/120325/

疲れない靴、どう選ぶ?

(2010年5月14日 毎日新聞社)

1日のかなりの時間身につけている靴。
足に合っていないと、歩きにくく疲れがちな上、履き続けることで
痛みやタコなど障害のもとに。
足に合った靴は、どのように選べばよいのか?

足に合った靴を選ぶには、まず足の特徴をつかむこと。

シューフィッターの大木金次さん(64)に、私(35)の足を見てもらった。
シューフィッターは、社団法人「足と靴と健康協議会」が
養成・認定している資格。
主に百貨店や靴の専門店に所属、全国で3134人が活動。
名前や所属店舗は、同協議会のホームページで調べることができる。

大木さんは、紙の上に私を立たせ、専用のペンを使って足の形を描いた。
描かれた左右の足形を見て、まず一言。
「左の小指と薬指の出っ張りが気になる。靴に当たりやすくないか?」
確かにそう感じていた。
靴によっては、長時間履いていて薬指のつめの内側が内出血したことも。

なぜ出っ張っているのか?
その理由も説明してくれた。
「土踏まずが沈み気味で、舟状骨がやや足の内側に出ている。
これが指の出っ張りにつながっている。このあたりが靴選びのポイントに」
大木さんの話を理解するには、足の骨格を知っておく必要。

足の骨格のうち、一番下にあるのは、かかとの踵骨と立方骨、
それにつながる小指と薬指の中足骨。
その上に、中指から親指にかけての中足骨とその根元にある
舟状骨が乗っている。

「2階建ての構造」になり、歩く際の衝撃を吸収できるよう、アーチ状を描く。
肩幅ほどに足を開いて自然に立つと、
「1階」にあたる足の外側に体重が多くかかっている。

私の場合、左足の体重が内側にかかって
土踏まずが沈み気味で、「2階」にあたる部分が
足の内側へ押し出され、その反動で「1階」の薬指と小指が
外側へ出て靴に当たりやすくなっている。

「こうした場合、土踏まずを下から支えてやる中敷きを入れることで、
緩和することが可能」

実際に靴を選ぶ時のポイントで、意外と気にしていないのが足の幅。
靴は大きさが同じでも、幅は異なる。
靴を買う時に試着し、何となく幅が広い方がゆとりがあって
歩きやすく、後から履けなくならないからよいと考えがちだが、
これは望ましくない。
大木さんは、「中足骨のあたりが、横からぴったり締まっていることが大事」

これは、歩く時の体重移動に関係。
体重は、まずかかとに乗り、次に小指と薬指の付け根あたり、
最後に親指のあたりで地面をけり出している。
「靴の幅が大き過ぎると、足が靴の中で滑ったり、土踏まずが下がって
体重移動がうまくいかず、つま先に力が入りにくく歩きにくい。
中足骨のあたりを締めてあげれば、そうしたことはなく、
つま先に力が入って歩きやすくなる」

つま先で地面をけって歩くのに、指先を靴の中で動かせる
余裕があることも必要。
靴を買ってからつま先が細く、歩きにくい思いをすることも。
こうしたことを防ぐため、靴を試着する際、
つま先立ちした状態でしゃがんでみて、違和感がなければ大丈夫。

かかとの大きさも、靴によってまちまち、
実際に履いてみてぴったり合ったものを選びたい。

足に合った靴選びは、子供にとっても大事。
アーチ状の骨格が形成され、土踏まずができるのは3歳ごろ。
人間の足の骨は、生まれた時には軟骨が多いが、
6歳ごろまで徐々に骨に変わり、体の成長とともにアーチも高くなる。

子供の足と靴の関係を長年調べてきた佐藤整形外科の
佐藤雅人院長(元埼玉県立小児医療センター副病院長)は、
「靴が足よりも大きくぶかぶかだと、子供は脱げるのを気にして
活発に走り回ることができず、骨格やアーチの形成にも影響する」

佐藤院長は、3~6歳までの幼稚園児約150人の足を調べた。
その結果、足の成長は1年間に0・5~1・5cm。
この結果から、「1年に1、2回は大きい靴に買い替えが必要。
大きさだけでなく幅も合わせ、動きやすいよう指先に余裕があるのがいい。
足に合った靴を履いて活発に運動することが、
健全な足の骨格の発育につながる」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/14/120238/

当世給食事情(2)完全米飯でヘルシーに

(読売 5月13日)

「今日のおかずのアスパラガスは、どこでとれたか知っていますか?」

周囲を田んぼや畑に囲まれた福岡県築上町立八津田小学校
給食の開始を待つ6年生の教室で、前田智子教諭(47)が尋ねた。
「そこのビニールハウスだよ」と、児童たちが答える。
この日のメニューは、米のほか野菜もほとんどが町内の農家で栽培。
児童は、ご飯をほおばりながら、旬の野菜を味わった。

八津田小は2007年、米飯給食を週5日実施する
「完全米飯給食」をスタート。
和食中心の献立とすることで、脂肪や糖分の多い偏った
児童の食生活を改善するのが狙い。
和食ならば、地元産食材の消費も拡大できるという町の期待も。

全国平均では、週3日の米飯を、週5日のすべてで完全実施。
米飯のため、揚げ物や炒め物よりも、野菜をたくさん使った
煮物や汁もの、魚料理を合わせやすくなる。
「脂質の割合も減り、より栄養バランスのとれた給食になっている」、
同小の門田依子教頭(57)。

6年の川添修倫さん(11)は、「野菜も好きになり、好きなダンスを
踊っても、疲れにくくなった」

築上町教育委員会の主導で始まった完全米飯給食は、
今年度で町立小学校8校すべてに広がった。
来年度には、全町立中学校2校も加わる。

神宗紀教育長(69)は、「子どもたちに、健康的な食習慣を
身につけさせるとともに、地産地消によって、地域の農業や
自然への理解を深めてもらいたい」

調理員の人件費増などコスト面がネックとなり、
完全米飯に踏み切れない自治体は多い。
築上町では、人件費は増えたが、米など地元産食材の活用が
食材費の抑制にもつながり、保護者が支払う給食費は、
以前の週3日の米飯時とほぼ同額に抑えた。

八津田小が、完全米飯開始1年後に行ったアンケートでは、
児童の約8割が「ご飯給食が好き」と答えた。
子どもは和食が苦手、というのは大人の思い込み。
おいしそうに食べてくれるし、食べ残しも減った」、
同小調理員の和田享子さん(44)は手ごたえを感じている。

◆米飯給食

文部科学省の2008年度の調べ、週5日間、完全実施しているのは、
国公私立の小中学校(特別支援学校など含む)で1551校(5.0%)。
全国平均は週3.1回、文科省は昨年3月、
目標を週3回から週3回以上に増やしている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100513-OYT8T00251.htm

2010年5月25日火曜日

テレビゲームで健康づくり 任天堂、米心臓協会と連携

(2010年5月18日 共同通信社)

テレビゲームで、運動不足を解消?
任天堂は、心臓に関する世界的な権威である米心臓協会と協力、
同社の家庭用ゲーム機「Wii」を活用して、
米国人の健康増進の取り組みを進めることで合意。

米国人の多くは、定期的に運動する時間がなく、
「運動が楽しくない」と考えている人も少なくないことが判明。
効果的に楽しく運動ができるような、
テレビゲームソフトの開発などで協力。

トレーニングと健康管理ができるソフト「Wiiフィットプラス」と
ゴルフなどのスポーツゲームが楽しめる
「Wiiスポーツリゾート」ソフトについて、
心臓協会は今年夏からロゴの使用を許可、
健康増進に役立つ効果があるとアピール。
共同で、情報提供サイトも立ち上げた。

今年後半、医学界やゲーム業界などの専門家を集めて、
テレビゲームを使った運動効果の分析などを進める。

同協会は、「米国人は、テレビなどの前に座っている時間が長い。
活動的なゲームで、体を動かすことが重要だ」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/18/120427/

「特定看護師」養成のモデル事業を実施へ 厚労省 第1回チーム医療推進会議

(2010年5月14日 Japan Medicine(じほう))

医療機関における多職種連携に関して、今後の方向性を左右する
第1回目のチーム医療推進会議が、厚生労働省で開かれた。

会議では、「チーム医療の全体像」、「チーム医療における看護業務」の
両テーマに対応し、2つのワーキンググループ(WG)が設置。

特に看護業務については、全国的な実態調査を実施するほか、
大学院と協力して特定看護師(仮称)養成のための
モデル事業を始める方針が示された。

チーム医療推進会議では、昨年8月から今年3月に開かれた
「チーム医療の推進に関する検討会」の報告書を基に、
具体的方策の実現に向けて検討を進める。

座長には、永井良三・東京大大学院医学系研究科教授。
WGについては、全体像について検討する「チーム医療認定検討WG」、
「チーム医療推進のための看護業務検討WG」を設置。

前者は、チーム医療を推進する医療機関の認定基準や、
医療機関の認定主体がテーマとなる予定、
「医療機関がチーム医療をやっている、やっていないという
要件を決める趣旨であれば、日本医師会としては賛同できない」
(藤川謙二・日医常任理事)、
「認定」という言葉を使うことへの懸念が委員から示された。
「チーム医療推進方策WG」などの名称に変わる方向。

看護業務については、看護師の業務範囲や、特定看護師が手掛ける
「特定の医行為」の範囲を検討するため、
病院・診療所や介護関係施設など約3500カ所を対象とした
アンケート調査を実施。
関係団体の代表者へも聞き取り調査。

特定看護師に類似した看護師養成に取り組んでいる
大学院修士課程の関係者らと協力し、モデル事業も手掛け、
WGはその実施状況について随時報告を受ける予定。

【チーム医療推進会議の委員】

永井良三(座長) 東京大大学院医学系研究科教授
太田秀樹 全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長
小川 彰 全国医学部長病院長会議会長
北村善明 日本放射線技師会長
堺 常雄 日本病院会長
坂本すが 日本看護協会副会長
島崎謙治 政策研究大学院教授
中山洋子 日本看護系大学協議会長
半田一登 日本理学療法士協会長
藤川謙二 日本医師会常任理事
藤本晴枝 NPO法人地域医療を育てる会理事長
宮村一弘 日本歯科医師会副会長
山本信夫 日本薬剤師会副会長
山本隆司 東京大大学院法学政治学研究科教授

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/14/120269/

グリーン・イノベーションで研究資金配分機関が連携

(サイエンスポータル 2010年5月18日)

低炭素社会を目指し、主要国のファンディング(研究資金配分)
機関代表が結集した、珍しい国際シンポジウムが開かれ、
「グリーン・イノベーションの活動を一層強化していくため、
国際協力を進める」ことで合意。

シンポジウムに参加したのは、主催者の科学技術振興機構、
北澤宏一理事長のほか、中国国家自然科学基金委員会、
韓国研究財団、フランス国立研究機構、ドイツ研究振興協会、
英国工学・物理科学研究会議、
スウェーデン・システム・イノベーション開発庁、米国科学財団、
メキシコ国家科学技術審議会の幹部たち。

グリーン・イノベーションに関する研究助成活動について、
各国の取り組みが報告、討論の後、
「低炭素社会を目指すグリーン・イノベーション促進のための国際協力」
と題する提言をまとめ、公表。

提言は、「グリーン・イノベーションは、科学的発見や技術的発明に
基づき、低炭素社会を構築するための挑戦で、
気候変動問題の解決と社会経済の持続的な発展を両立させる
原動力となる」という認識を共有し、
「さまざまな関連国際協力に対する支援活動が重要である」ことを確認。

各ファンディング機関の専門家レベルの協議を行い、
ファンディング機関間の国際協力によって、解決すべき具体的な課題や
方策について検討していくことでも合意。

http://scienceportal.jp/news/daily/1005/1005182.html

当世給食事情(1)奇妙な献立偏る栄養

(読売 5月12日)

▽カレーうどんとアメリカンドッグ、小倉白玉、牛乳
▽みそラーメンとあんドーナツ、果物、牛乳
▽キムチ焼きそばとクロワッサン、イカナゲット、イヨカン、牛乳……。
栄養バランスの乱れたこんなメニューが、学校給食で出されている。

昨年末に出版された『変な給食』で、実態が明らかに。
著者は、『粗食のすすめ』、管理栄養士の幕内秀夫さん(57)。
長女が通う小学校の給食に疑問を抱き、10年以上前から
学校給食の献立表などを、保護者や学校栄養士らから集めてきた。

これらの情報をもとに、41自治体の公立小学校で、
2004~09年に出された給食73点を再現、写真入りで掲載、
本は話題を呼び、初版から半年弱で7刷、計4万5000部に。
保護者や学校栄養士らを中心に、反響も多数寄せられている。

幕内さんは、変な献立を、
〈1〉ドーナツとラーメンのような「超ミスマッチ献立」
〈2〉お菓子給食
〈3〉焼き鳥と焼きそばといった居酒屋風
〈4〉量や品数が少ない「貧乏給食」――などに分類。
その上で、献立全体に共通する問題点として、
砂糖と油を大量に使用する傾向。

「これらの給食は、脂質やエネルギーが過剰な一方、
食物繊維やビタミンが不足するなど栄養が偏っていることが多く、
子どもの健康を害しかねない」と、警鐘。

給食1回分で、栄養摂取基準を満たすのは難しいため、
献立は10回や1か月単位で考えることが多い。
同書で、給食が紹介された東京都内のある自治体も、
「ある1回分だけを見ると、栄養が偏るのもやむを得ない」と釈明。

幕内さんは、「子どもが好きなメニューの方が、食べ残しも少なく
無難と考えているのでは。
今の子どもたちは偏食傾向にあり、好きなもの中心だと
偏った献立になる。
『食べたい』ではなく、『食べさせたい』給食を出すべき

長崎大学の中村修准教授(52)(環境経済学、食育)は、
学校栄養士は、大半が献立作成について、訓練を受けておらず、
栄養バランスが良く、食べ残しの少ない献立作りに
苦労している場合が多い」、
変な給食が出現する背景を分析。
「このままでは、糖尿病など生活習慣病につながる危険がある」と警告。

栄養源として、食の教材として、学校給食の果たす役割が広がっている。
各地の取り組みを紹介。

◆学校給食

1954年施行の学校給食法によると、栄養士などが栄養管理を行い、
献立を作って提供。
公立小中学校では、自治体の努力義務だが、小学校ではほとんどが実施。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100512-OYT8T00322.htm

2010年5月24日月曜日

効率よく太陽光捕集する高分子システム

(サイエンスポータル 2010年5月17日)

太陽エネルギーを効率よく高分子化合物に取り込み、
そのエネルギーを目的の場所にすんなり移動させることが
できる光捕集システムを、
自然科学研究機構分子科学研究所の研究チームが作り出した。

地球に到達する太陽エネルギーは膨大な量だが、
密度が希薄なため、いかに効率よく取り込めるかが、
太陽エネルギー利用拡大の鍵の一つ。

分子科学研究所の江東林(チャン・ドンリン)准教授らが
開発したシステムは、多孔性共役高分子を合成し、
その内部にクマリン6という色素を入れ込んだ構造。

多孔性共役高分子は、電子が分子全体に広がった構造をし、
かつ巨大な表面積を持つ。
光エネルギーを効率よく取り込み、さらに捕集された光エネルギーを
高分子の内部のクマリン6に容易に運搬することができる。

これまで、太陽エネルギーをうまく取り込む分子システムは
いろいろ研究されているが、捕集したエネルギーを望む場所まで
移動させることが難しかった。

新しく開発されたシステムは、エネルギーの移動効率が90%に達し、
太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する
重要な基礎技術として期待できる。

http://scienceportal.jp/news/daily/1005/1005171.html

慶大SFC20年(8)学生に驚きを与える場

(読売 5月8日)

「皆さん、まずびっくりしてください。
驚くことから、学問は始まります」。

慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)が開設された20年前、
総合政策学部初代学部長の加藤寛さん(84)は、
1期生にこう語りかけた。

4年後の退任時、SFCを学問発祥の地アテネ、
卒業生を守護神ミネルバのフクロウになぞらえ、
「皆さんが、真っ暗な世界や日本を照らしてください」と呼びかけた。

この演説は、卒業生から現役生へ、今も語り次がれている。
「私は一生教師です」と、この場で語った通り、
千葉商科大学長を経て、2年前から嘉悦大学(東京)でも
学長として、改革の先頭に立つ。

非常勤も含めると、SFC出身の教職員は20人。
充実した情報教育環境の整備、キャンパスの24時間化、
学生が授業の助手役としてかかわる制度の導入など、
ここでもSFC的な世界を広げようとしている。

「学生は未来からの留学生」という、SFCが使い続けてきた
キャッチフレーズを嘉悦大でも掲げ、教育への情熱は衰えない。
国鉄改革で名をはせた経済学者らしく、
「SFCは新幹線。何もないところから作ったから、成功した。
在来線はそうは行かない」

30%を超えていた中退率が、2年目の昨年度は約25%まで低下、
「学生が動けば、大学が動く」と改めて実感。

20年の歴史を刻んだもう一つの学部、環境情報学部初代学部長、
相磯秀夫さん(78)は、大学院委員長として最初の博士を
送り出した9年目で退任。
東京工科大学長を9年務め、同大の改革を進めた。

相磯さんも、「学生に驚きを与えることは、すごく重要。
今は情報過多で、不幸な時代だ」

SFCの最大の特徴である課題発見・課題解決型教育を
工学部(後に理工学部に改組)教授時代から実践し、
情報工学の分野で、坂村健・東大教授ら、数々の人材を送り出してきた。

大学院生なら、外国へ出て問題を見つけ、
外国のために貢献するのもいい。
それを実践している米国の一流大学は見事だ」

昔から、将来の技術予測を得意としてきた。
発展著しいアジア諸国との共同研究の重要性を指摘、
「新しい時代の産業を考えるのに、大学の役割は大きい」
「日本の大学には、真の国際化が必要。
留学は当たり前。
授業は、原則英語とならざるをえないが、アジアの言葉も意識すべき。
優秀な学生が来るのを待つのではなく、こちらから打って出なければ」

「学生に、昔ほどの元気さがないことが気がかり。
元気さを出してやる環境作りが必要」と、
SFCの学生に思いを巡らせた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100508-OYT8T00324.htm

高地に適応した遺伝子 チベット人の特徴分析

(2010年5月14日 共同通信社)

標高4000m前後の中国・チベット高原に住むチベット人が、
酸素の薄い過酷な環境に適応する中で獲得したとみられる
遺伝子の特徴を突き止めたと、中国青海大と米ユタ大の
研究グループが、14日付の米科学誌サイエンス電子版に発表。

低地に住む人は、標高が上がると体中に酸素を運ぶ
ヘモグロビンの血中濃度を高め、高地に適応しようとするが、
これとは逆に、チベット人の血中ヘモグロビン濃度は低い。

今回の特徴をさらに分析すれば、
高山病などの治療に役立つ可能性がある。

研究グループは、青海省の標高4350m付近に住む
チベット人31人の遺伝子を分析。
世界の人々の体質にかかわる遺伝子の塩基配列の
わずかな違いを網羅した「国際ハップマッププロジェクト」で
得られていた中国人と日本人のデータと比較。

その結果、チベット人は「EGLN1」、「PPARA」という
二つの遺伝子に特徴があることが判明。
これらの遺伝子が、ヘモグロビン濃度を低く抑えていると結論。

高地での酸素欠乏は、頭痛やめまい、吐き気などの
高山病の症状を引き起こす。
高山病が重症化すると、脳浮腫や肺水腫を起こし、死に至ることも。

今年4月、チベット高原の中国青海省で発生した大地震では、
救援隊員に高山病が続出し、救助活動が難航。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/14/120222/

東京・杉並ウエストサイズ物語、参加者募集 生活習慣病予防へ腹囲減らし健康に

(2010年5月13日 毎日新聞社)

杉並区は、健康的な生活習慣で腹囲を減らし、
生活習慣病を予防しようと計画する事業
「杉並ウエストサイズ物語」の参加者を募集。

今回が5回目、期間は5月下旬~11月上旬の約5カ月間。
区健康推進課は、「目標を立て、達成した時の自分へのごほうびを
設けるなど、楽しんで取り組んでほしい」

募集しているのは、「チャレンジャー」(定員200人)と
スーパーチャレンジャー」(同30人)。
腹囲を測るメジャーや脱メタボのマニュアルなど、支援グッズを配布し、
健康相談なども実施。

「スーパーチャレンジャー」は、1日の消費エネルギーなどが分かる
測定器を携帯、定期的に保健師や栄養士から個別アドバイス。
昨年は、参加者の80%が腹囲や体重の減少に成功。
参加資格は区内在住、在勤者の20~65歳で参加費は無料。

29日午前9時から、杉並保健所で元オリンピック水泳選手の
長崎宏子さんを迎え、開幕イベントが開催。
問い合わせは、同課(電話03・3391・1015)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/13/120163/

2010年5月23日日曜日

「辞めたい」8割超 背景に深刻な人手不足 看護師アンケート 静岡

(2010年5月14日 毎日新聞社)

県内の看護師に、「仕事を辞めたいと思うことがあるか」を
尋ねたところ、「いつも思う」、「ときどき思う」を合わせて
8割超に上ることが、県看護連絡会がまとめたアンケートで分かった。

7割超が、「仕事にやりがいを感じている」と答え、
同会は、看護現場の深刻な人手不足が背景。

アンケートは、県内の看護師不足の実情を把握するため
13年ぶりに実施。
規模の大きい16病院(計5110床)で働く看護師を対象に質問、
約半数にあたる1206人が回答。
女性が95・6%を占めた。

看護の仕事について聞いたところ、75・3%は「やりがいを感じている」
と答えたものの、「辞めたいと思わない」は12・0%。
22・7%は、「辞めたいといつも思う」。
「辞めたいとときどき思う」が61・5%、8割以上が辞めたい気持ち。

理由を複数回答で尋ねたところ、割合が高かった順に
▽賃金が安い(51・5%)
▽人手不足で仕事がきつい(49・1%)
▽思うような看護ができず、達成感がない(29・7%)
▽夜勤がつらい(28・1%)。

妊娠を経験した看護師の31・3%が切迫流産になり、
流産したとの回答も9・5%。

同会が3月、県内で実施した別のアンケートで
看護師4257人から寄せられた回答をまとめたところ、
夜勤の1カ月の平均回数は8・3回。
「9回以上」との回答も51・2%。

同会の下村昌子代表(63)は、「1年以内に辞める看護師が1割に。
医療機関の経営者は、こうした実態を踏まえて対応してほしい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/14/120245/

日中韓サミットでアジア研究圏構想具体化か

(サイエンスポータル 2010年5月13日)

中川正春・副文部科学相は、アジア・リサーチエリア構想を
実現するため、日本、中国、韓国の3国で
共同の研究ファンドを構築する考え。

中川副文科相は、中国、韓国、インドネシア、マレーシア、
シンガポールを訪問、各国大臣などとアジア・リサーチ構想
などについて話し合った。

アジアの共通課題である環境や生命科学の研究を中心に、
共同のプラットフォーム(土台)を構築しようと呼びかけたところ、
各国とも前向きな姿勢を示した。

各国が拠出して共同の研究ファンドをつくろうという呼びかけには、
中国と韓国が応じた。
規模などは未定だが、日中韓のアジアサミットで
具体的な内容について各国から提案が出される。

基礎研究の国際協力の例として、1987年のベネチアサミットで、
日本が提案して実現した
「ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム」がある。

中川副文科相によると、課題の選定などは同プログラムのように
研究者が行う方式を考えている。

http://scienceportal.jp/news/daily/1005/1005133.html

自殺率「生活保護」2.5倍、失職→困窮→孤立「負の連鎖」

(2010年5月13日 読売新聞)

若者の自殺傾向が強まり、「失業」、「生活苦」を理由にした
自殺者も昨年、急増したことが明らかになった警察庁の自殺統計。
厚生労働省の調査では、全国の生活保護受給者のうち、
昨年自殺した人は1045人、10万人あたりの自殺率は
平均の約2・5倍。

失職をきっかけに経済的困窮を招き、それが社会からの孤立を生む、
という負の連鎖。
生活保護の受給に負い目を感じるというケースもあり、
年々増加する受給者を精神面で、どう支援するのかが課題。

さいたま市岩槻区。
築30年近い2Kのアパートで、生活保護を受けながら一人暮らしをする
男性(64)は毎晩、「生きているのが申し訳ない」という思い。
家庭用品のメーカーで営業職に就いていた男性が、
会社を辞めたのは30歳の時。
妻との離婚がきっかけ。

その後、派遣の仕事を転々とし、昨年2月に“派遣切り”に遭って、
職とともに住居も失った。
日雇いの仕事をしながら、サウナでの仮眠や野宿を繰り返す日々。
「このまま野垂れ死ぬくらいなら……」と、
今年2月、神奈川県内の公園に足を運んだ。
公園の木にロープをくくりつけていると、野犬に追い立てられ、
突然、恐怖心がわき起こった。

支援団体を訪ね、生活保護で住まいと生活のめどだけは立った。
今度は、生活保護を受けていることで自己嫌悪に陥り、
「自殺」の2文字が頭をよぎるようになった。

「周りからさげすまれているようにも感じる。
自分が生きている理由が見つからない」。
男性はそう言って、目を潤ませた。

生活保護受給世帯が、昨年12月に130万7445世帯(速報値)と
過去最高を更新する中、厚労省は今年初めて、
生活保護を受給中に自殺した人を、過去3年さかのぼって調査。

2007年、全国で577人だった自殺者は08年は843人、
昨年は1045人と年々増加、生活保護受給者10万人当たりの
自殺者は昨年で62・4人、全体平均の約2・5倍。
671人が精神疾患を抱え、813人が一人暮らし。

生活困窮者を支援するNPO法人「ほっとポット」(さいたま市)は、
昨年、311人の困窮者を支援し、その大半が生活保護を受給。
17%の53人が30歳代以下の若者、前年から2・5ポイント増えた。
保護から脱したのは1-2割程度、30歳代の男性が
就職できないことを苦に自殺、誰にもみとられなかった孤独死が3人。

藤田孝典代表理事は、「生活保護で一時的に生活はできても、
社会的に孤立してしまっている。
生活保護は、正当な権利で恥じる必要はないが、
まじめな人ほど、『なぜ仕事に就けないのか』と思い悩むケースが多い。
一人暮らしの受給者が増え、就労以外の社会的居場所を
どう作っていくかを考えていかなくてはいけない

◆自殺対策 自治体で差

政府の「自殺対策緊急戦略チーム」は昨年11月、
「自殺対策100日プラン」を策定、失業者や生活困窮者の
自殺防止を目的に、年末と年度末に全国のハローワークに
相談窓口を開設するなどの対策に取り組んできた。

その結果、昨年9月以降の自殺者は今年4月まで、8か月連続で
前年同期から減少。

今年も年間で最も自殺者が多い3月が、過去3年間で
最少の2898人(暫定値)。
4月までの自殺者は1万309人(同)、なお年間3万人超のペース。

同戦略チームのメンバーでNPO法人
「自殺対策支援センターライフリンク」代表の清水康之さんは、
「政府の対策の直接的効果というより、社会の関心の高まりが
背景にあるのでは。
自治体によって取り組みに差があり、今後はそれぞれの地域で
実態に即した対策を進めるべき

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/13/120169/

脳の神経変性、酵素が防ぐ 秋田大解明、治療に可能性

(2010年5月13日 共同通信社)

脳の神経細胞で働く酵素が、脳疾患につながる神経変性から
細胞を守る働きをしていることを、
佐々木雄彦秋田大教授(医学)らの研究チームが
マウスの実験で解明、13日英科学誌ネイチャー電子版に発表。

パーキンソン病やハンチントン病など、神経変性疾患の
治療法開発につながる可能性がある。

チームは、体内で脂質を分解する酵素で役割が未解明な
「INPP4A」に着目。

この酵素を持たないマウスを作ったところ、四肢が激しく震えるなどして
歩けず、症状が人のハンチントン病などの特徴に似ていた。
マウスの脳で、運動をつかさどる部位の神経細胞が死んでいた。

酵素を働かなくさせた神経細胞に、グルタミン酸を与えると、
細胞死することも突き止めた。

脳にあるグルタミン酸は、神経伝達物質として記憶などの
脳の正常な働きに必須な一方、神経を興奮させすぎて
細胞死させる毒性も備えている。

チームは、神経細胞がグルタミン酸を過剰に受け取るのを
酵素が防ぎ、毒性から保護していると判断。

佐々木教授は、「"もろ刃の剣"とも言えるグルタミン酸から、
細胞が守られる仕組みの一端を初めて解明できた」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/13/120192/