2010年5月26日水曜日

当世給食事情(2)完全米飯でヘルシーに

(読売 5月13日)

「今日のおかずのアスパラガスは、どこでとれたか知っていますか?」

周囲を田んぼや畑に囲まれた福岡県築上町立八津田小学校
給食の開始を待つ6年生の教室で、前田智子教諭(47)が尋ねた。
「そこのビニールハウスだよ」と、児童たちが答える。
この日のメニューは、米のほか野菜もほとんどが町内の農家で栽培。
児童は、ご飯をほおばりながら、旬の野菜を味わった。

八津田小は2007年、米飯給食を週5日実施する
「完全米飯給食」をスタート。
和食中心の献立とすることで、脂肪や糖分の多い偏った
児童の食生活を改善するのが狙い。
和食ならば、地元産食材の消費も拡大できるという町の期待も。

全国平均では、週3日の米飯を、週5日のすべてで完全実施。
米飯のため、揚げ物や炒め物よりも、野菜をたくさん使った
煮物や汁もの、魚料理を合わせやすくなる。
「脂質の割合も減り、より栄養バランスのとれた給食になっている」、
同小の門田依子教頭(57)。

6年の川添修倫さん(11)は、「野菜も好きになり、好きなダンスを
踊っても、疲れにくくなった」

築上町教育委員会の主導で始まった完全米飯給食は、
今年度で町立小学校8校すべてに広がった。
来年度には、全町立中学校2校も加わる。

神宗紀教育長(69)は、「子どもたちに、健康的な食習慣を
身につけさせるとともに、地産地消によって、地域の農業や
自然への理解を深めてもらいたい」

調理員の人件費増などコスト面がネックとなり、
完全米飯に踏み切れない自治体は多い。
築上町では、人件費は増えたが、米など地元産食材の活用が
食材費の抑制にもつながり、保護者が支払う給食費は、
以前の週3日の米飯時とほぼ同額に抑えた。

八津田小が、完全米飯開始1年後に行ったアンケートでは、
児童の約8割が「ご飯給食が好き」と答えた。
子どもは和食が苦手、というのは大人の思い込み。
おいしそうに食べてくれるし、食べ残しも減った」、
同小調理員の和田享子さん(44)は手ごたえを感じている。

◆米飯給食

文部科学省の2008年度の調べ、週5日間、完全実施しているのは、
国公私立の小中学校(特別支援学校など含む)で1551校(5.0%)。
全国平均は週3.1回、文科省は昨年3月、
目標を週3回から週3回以上に増やしている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100513-OYT8T00251.htm

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