(読売 5月13日)
「今日のおかずのアスパラガスは、どこでとれたか知っていますか?」
周囲を田んぼや畑に囲まれた福岡県築上町立八津田小学校。
給食の開始を待つ6年生の教室で、前田智子教諭(47)が尋ねた。
「そこのビニールハウスだよ」と、児童たちが答える。
この日のメニューは、米のほか野菜もほとんどが町内の農家で栽培。
児童は、ご飯をほおばりながら、旬の野菜を味わった。
八津田小は2007年、米飯給食を週5日実施する
「完全米飯給食」をスタート。
和食中心の献立とすることで、脂肪や糖分の多い偏った
児童の食生活を改善するのが狙い。
和食ならば、地元産食材の消費も拡大できるという町の期待も。
全国平均では、週3日の米飯を、週5日のすべてで完全実施。
米飯のため、揚げ物や炒め物よりも、野菜をたくさん使った
煮物や汁もの、魚料理を合わせやすくなる。
「脂質の割合も減り、より栄養バランスのとれた給食になっている」、
同小の門田依子教頭(57)。
6年の川添修倫さん(11)は、「野菜も好きになり、好きなダンスを
踊っても、疲れにくくなった」
築上町教育委員会の主導で始まった完全米飯給食は、
今年度で町立小学校8校すべてに広がった。
来年度には、全町立中学校2校も加わる。
神宗紀教育長(69)は、「子どもたちに、健康的な食習慣を
身につけさせるとともに、地産地消によって、地域の農業や
自然への理解を深めてもらいたい」
調理員の人件費増などコスト面がネックとなり、
完全米飯に踏み切れない自治体は多い。
築上町では、人件費は増えたが、米など地元産食材の活用が
食材費の抑制にもつながり、保護者が支払う給食費は、
以前の週3日の米飯時とほぼ同額に抑えた。
八津田小が、完全米飯開始1年後に行ったアンケートでは、
児童の約8割が「ご飯給食が好き」と答えた。
「子どもは和食が苦手、というのは大人の思い込み。
おいしそうに食べてくれるし、食べ残しも減った」、
同小調理員の和田享子さん(44)は手ごたえを感じている。
◆米飯給食
文部科学省の2008年度の調べ、週5日間、完全実施しているのは、
国公私立の小中学校(特別支援学校など含む)で1551校(5.0%)。
全国平均は週3.1回、文科省は昨年3月、
目標を週3回から週3回以上に増やしている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100513-OYT8T00251.htm
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