2010年5月27日木曜日

当世給食事情(3)食べ残し減らす味付け

(読売 5月14日)

東京都足立区立中島根小学校の3年生の教室。
「いただきます」のあいさつで、子どもたちが一斉に給食にはしをつけた。

グリーンピースや大豆の入ったひじきご飯、かじきの竜田揚げ、
もやしのゴマ酢あえなどを、どの子もおいしそうに味わっている。
小野鈴菜さん(9)は、「前は豆が苦手だったけど、
残さずに食べられるようになった」

足立区は2008年度から、全区立小中学校109校で、
「おいしい給食」事業を実施。
豆や小魚など、子どもたちが苦手な食材を用いたモデル献立の作成、
おいしさに配慮した区独自の栄養摂取基準の策定などを進めている。

同小の栄養士、木村いく子さん(60)は、
「ご飯やハンバーグの中に豆を入れたり、ほんの少し味付けを
濃くしたりして、食べやすく工夫しています」

きっかけは、食べ残しの増加。
同区教育委員会おいしい給食担当の笠尾康俊係長(45)は、
「国の基準に厳密に従うあまり、薄い味付けになったりして、
食べ残しにつながっていることが分かった」

同区では、文部科学省の学校給食摂取基準では2・5g未満とされる
8~9歳の1人1回当たりのナトリウム摂取量(食塩相当量)を、
同3g未満とするなど独自基準を作り、
従来より濃いめの味付けを可能。

牛乳を出さなくてもいいことにした。
牛乳は、各栄養素をどの食品からとるべきかを示した
同省の標準食品構成表で毎回、出すことになっているが、
「献立によっては飲みきれず、冬場はおなかをこわすことも」
といった現場の指摘を重視。

牛乳好きの子どもたちが多く、牛乳が出ない日は各校平均で
月に1回程度だが、これらの日に中華丼やスープを出し、
カルシウムはヨーグルトなどで補うなど工夫。
この結果、同区では、08年度の区立小中学校の年間残菜量が
約342トン、前年度から約40トン減少。

中島根小では、保護者向けの給食試食会や親子料理教室も開く。
「足立区ならではの学校給食は、保護者にも好評で、
レシピを聞いてくるお母さんもいる。
家庭での食生活にも、いい影響を与えているのでは」、
同小の坂口正己校長(58)。

◆学校給食摂取基準

1回の給食に必要なエネルギー量とカルシウム、鉄分など
12栄養素の目安を年齢別に示したもの。
この基準を満たすために取るべき食品の量を、26品目で示したのが
標準食品構成表。
いずれも地域の実情などにより、弾力的に運用できる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100514-OYT8T00194.htm

0 件のコメント: