2010年5月29日土曜日

当世給食事情(5)自分で選んで意識向上

(読売 5月19日)

「その料理、どう?」、「おいしいよ」
クラスメートと、自ら選んだ給食メニューの感想を言い合う生徒たち。

千葉県松戸市立牧野原中学校の広々とした食堂をのぞくと、
給食の野菜スパゲティを食べる生徒もいれば、
母親手作りの弁当を味わう生徒もいた。

同市が、公立中学校で全国に先駆けて、
選択方式の給食を導入したのは1990年。
栄養バランスや量など、食に対する適切な判断力の育成を目指し、
2種類の給食メニューのいずれか、自宅から持参する弁当かを
選ぶようにした。
当初は2校で始め、95年、全21校(現在は全20校)に広がった。

給食は、パンが主食(月に2回程度はめん類)のAメニュー、
ご飯が主食のBメニューが用意、希望する生徒は、献立表を見て、
メニューを1週間単位で予約するしくみ。
導入当初は、市が調理員を配置していたが、
人件費削減などのため、現在は調理業務を民間委託。

牧野原中の浮谷融教頭(54)は、
嫌いな料理も、必要な栄養を考えて食べるよう、
家庭科など教科とも連携して、指導している
生徒自らが、日々の組み合わせを決めていく中で、
食への意識が高まっていく。

同中が昨年1月に行った全校生徒アンケートでは、
選択方式でプラスになったことについて、
46%が「食事の楽しさが分かるようになった」、
44%が「食べ物の好き嫌いが少なくなった」と答えた。

同市立中学校全体では、A、B各メニューの選択割合はほぼ半数ずつ。
当初は、給食と弁当の割合が7対3、年々、給食を選ぶ生徒が増え、
現在は95%を占める。
入学当初は、好きな料理ばかり選んで栄養が偏りがちなことや、
ダイエットを意識する女子はパン系、男子は腹持ちのいいご飯系を
選ぶ生徒がやや多いなどの傾向。

コスト面などの課題もあり、選択方式を採用する自治体は、
まだ少数にとどまっている。
その重要性が叫ばれる10年以上前から、
同市で行われている食育重視の取り組みが、
今改めて注目を集めそうだ。

◆メモ

中学校の給食は、生徒の体格や食事の好みの個人差などから
一律実施が難しく、公立小の98.5%に対し、公立中は80.9%
(文部科学省2008年度調査)。
松戸市では、1963年から牛乳だけを出すミルク給食を実施、
共働き家庭の増加を背景に、弁当をきちんと作る余裕がないなどの理由、
給食の導入を求める市民が、約13万人分の署名を提出して陳情。
15年かけて検討して実現。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100519-OYT8T00254.htm

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