2009年1月10日土曜日

真心交流実り好調 奥州のグリーンツーリズム

(岩手日報 1月8日)

奥州市のグリーンツーリズムが元気だ。
おうしゅうグリーン・ツーリズム推進協議会(村上寛会長)は2008年、
2351人の農村生活体験学習生を受け入れ、前年実績を上回った。

地震のため、観光施設が苦戦を強いられた中、
培った人のつながりが生きた。
近く推進協に水沢、江刺区の農家が加わる計画もあり、
活動の広がりを見込む。

08年の受け入れは、前年比77人(3・4%)の増。
5-10月に、首都圏や関西などから8中学校、6高校の生徒が訪れた。
新規校も5校あった。

地震の影響が心配されたが、訪問取りやめは2校だけ。
日程を延期するなどして、震災後も8月から7校が農村生活を楽しんだ。

「打撃」を最小限にとどめた背景には、常連校をはじめ培った
人のつながりがある。
震災直後から、農家のもとには学校、生徒から見舞いや
激励の電話、手紙が届いた。

奥州側からも、「大丈夫。安心しておいで」と伝え続けた。
旅行代理店や学校の間で、行政や医療機関を含む緊急サポート態勢への
評価が高かったことも大きい。

08年から平泉町の推進協と活動を一体化させ、
農家数など受け入れ能力が向上したのも受け入れを増やした要因。
大規模校対応が容易になり、200人を超す訪問は6校と前年から倍増。
水沢、江刺区の推進組織も近く、おうしゅう推進協に加入する見通しで、
一層の受け入れ力アップが見込まれる。

おうしゅう推進協傘下、衣川グリーン・ツーリズム協議会の
佐々木信雄会長は、「皆さんの支えで地震の年を乗り切った。
真心込めて受け入れる基本を守り、体験メニュー拡充など
活動の広がりを図りたい」と期待。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090108_9

「杜仲緑茶」特産に 田野畑村産業開発公社

(岩手日報 1月7日)

田野畑村産業開発公社(理事長・上机莞治村長)は、
同村産の杜仲葉を活用した「たのはた杜仲緑茶」の販売を始めた。

無農薬、無肥料で育てられた村内の木から職員らが、
葉を一枚一枚手摘みで収穫した。
同公社によると、緑色の茶葉の杜仲茶は珍しく、
「杜仲葉を活用した製品を新たな村の特産に」とさらなる商品開発を目指す。

「たのはた杜仲緑茶」は、ティーバッグ型。
市販の杜仲茶は、茶色でえぐみを感じる物が多いが、飲みやすさを追求。

田野畑村では、養命酒製造(本社東京)が樹皮採取のため、
1978年に同村北山の村有地を借り、約9ヘクタールに
約2万2000本の杜仲木を植えた。
2008年9月に土地の貸借期間が満了し、同社は杜仲木も含めて
土地を村に返還。同公社が、杜仲木の有効活用を図ろうと製品化に取り組んだ。

同村の杜仲木は無農薬、無肥料で栽培。
08年7-9月に、職員や地域のお年寄りら1日約20人が
一枚一枚、緑色の葉を収穫した。

ビタミン類など杜仲の有効成分は、葉を採取したまま放置すると、
酵素分解して減少するため、同公社は採取場所に冷蔵車を配備。
しおれないようクール便で、静岡県の製茶工場に直送して乾燥加工した。
その後、一関市の会社で製茶している。

杜仲生葉の持つ成分を大切にしようと、成分変化が少ないといわれる
日本茶製法で飲みやすい製品に仕上げた。

杜仲の葉に含まれるゲニポシド酸は、血圧を下げる効果があるとされ、
杜仲葉にはメタボリック症候群の主原因とされる内臓脂肪の蓄積を
抑える効果もある。

同公社は、杜仲緑茶の粉末タイプや、杜仲茶を用いた食品などの
開発に取り組んでいる。
事業部の畠山恵太企画開発次長は、
「健康志向が高まっている中で、田野畑村の杜仲食品を売り込んでいきたい」
たのはた杜仲緑茶は、ティーバッグ4グラム30袋入りで2千円(税込み)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090107_7

環境の旗手たち:/2 東京電力・姉川尚史さん

(毎日 1月6日)

◇電気自動車普及への立役者、姉川尚史さん(51)

◆09年は、電気自動車の普及元年。

三菱自動車が「アイミーブ」、富士重工業も「R1e」を発売する。
道筋をつけた立役者が、メーカーに開発を働きかけた姉川尚史さん。
ガソリン車一辺倒のクルマ社会が変わり始める。
東電の営業車として2車種、計50台で1台当たり月800キロ走行試験し、
走行距離や電池の劣化速度などのデータを集めている。
エンジン音がなく加速もスムーズで乗り心地は高級車並み。
ファンになってもらえる自信がある。

<入社以来20年間、原子力発電の技術者だった>

学生時代、石油ショックに直面しエネルギーに関心。
でも、消費者に「原発は、二酸化炭素(CO2)の排出量削減や
電力の安定供給に有効」と訴えても、なかなか伝わらない。
原発の必要性を実感してもらえる手段として思いついたのが、電気自動車。
02年、本格的な取り組みを会社に提案。

<東電は04年、技術開発研究所に電動推進グループを設置>

最も苦労したのは、パートナー探し。
電気自動車は、自動車メーカーや電池メーカーなど関係者が
力を結集しないと普及は難しい。
何度も足を運んでいる間に、信頼してもらえるようになり、
05年に富士重工業や三菱自動車と志が一致して前へ踏み出しました。

<姉川さんらは急速充電器を開発し、スーパーや銀行に設置を働きかけ
10分の充電で60キロ、30分で120キロ走行できる。
近場の買い物などには十分な距離だ>

値段の高い電池を数多く積載して走るのは、経済的に見合わない。
1回の充電で何百キロも走らなければと考えているのは、
ガソリン車の固定観念にとらわれているのでは。
現在、充電器は首都圏で22台、来年度は172台に増える予定。
電気自動車は、普及が進めば開発に一段と弾みがつき、
(補助金込みで1台250万~300万円)価格も下がる。
正念場はこれから。
==============
◇電気自動車

電気でモーターを駆動して走る。
ガソリン車と異なり、走行中は二酸化炭素(CO2)や排ガスを出さず、
地球温暖化対策として有効。
電力を蓄える電池技術が、燃費や走行距離などの基本性能を左右。

ガソリンと電気を併用する現在のハイブリッド車は、
ニッケル水素電池が主流だが、自動車各社は電機メーカーと共同で、
小型軽量で大容量の自動車用リチウムイオン電池の開発を進めている。
==============
◇あねがわ・たかふみ

東京大大学院修了(原子力工学)。83年、東京電力入社。
原発建設や原子炉の設計に従事。02年、電気自動車事業の検討部門に移り、
03年に技術開発研究所、05年から電動推進グループマネージャー。
熊本県出身。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/06/20090106ddm008020027000c.html

5人に1人眠るため酒や薬 ストレスと関連か

(共同通信社 2008年12月26日)

成人のほぼ5人に1人が、眠るために薬や酒を使うことがある。

厚生労働省が公表した2007年国民健康・栄養調査の結果から、
酒や薬の力を借りて眠る人が増えている傾向がうかがえた。
厚労省は、「ストレスが多いこととの関連が推測され、研究事業に力を入れる」

眠るために、睡眠薬などの薬や酒を使うことがあるかどうかを聞いたところ、
「ある」と答えたのは男性が22・2%、女性が17・4%。
03年の初調査に比べ、男性が2・3ポイント、女性が1・7ポイント上昇。
厚労省が策定した国民的な健康づくりの計画「健康日本21」で設定した
目標「13%以下」を大幅に上回った。

年代別では、男性が50代、女性が20-30代を除いて全世代で増加。
男女とも70歳以上が最も割合が高く、40代も高い伸び。
頻度の内訳では、男性が「常に」10・5%、「しばしば」3・3%、「時々」8・4%。
女性が「常に」7・5%、「しばしば」2・4%、「時々」7・5%。

ストレスについても聞いたところ、
男性の57・9%、女性の63・9%が「ある」と答えた。

▽国民健康・栄養調査

国民の身長・体重のほか、食品や栄養素の摂取状況、食生活や運動など
生活習慣に関する総合的な調査。
厚生労働省が毎年11月実施し、生活習慣病対策などの基礎資料。
全国各地から抽出した約6000世帯を対象にし、
得られた結果から各種の数値を推計。

1952年に「国民栄養調査」として始まり、2003年から現在の名称に。
質問は、喫煙のように毎年継続する項目のほか、
社会状況に応じて数年おきに実施する事項がある。
糖尿病は97年、02年、06年に次ぎ4度目。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=85693

2009年1月9日金曜日

県内の福祉施設で導入徐々に スヌーズレン

(岩手日報 1月7日)

色や光、においなどを組み合わせて、心地よい感覚刺激を提供する
「スヌーズレン」をご存じだろうか。

重度の知的障害者が五感を使ってリラックスできるようにと、オランダで発祥。
県内でも障害者施設などで導入しており、利用者の心を癒やしている。

盛岡市で東北初のセミナーが開催され、
関係者は「スヌーズレンの理念を広めたい」と願う。
スヌーズレンは、「くんくんとにおいをかぐ」と「うとうとする」という意味の
2つのオランダ語を組み合わせた造語。
自由に探索したり、くつろぐ様子を表している。
障害者らが本来の自分を取り戻すため、さまざまな刺激を組み合わせて提供。
県内では、障害者施設や県立児童館「いわて子どもの森」(一戸町)などで
取り入れている。
盛岡市手代森の県立療育センター(嶋田泉司所長)は、2004年から導入。
白い布で覆われた部屋に入ると、真ん中の「バブルユニット」と呼ばれる、
水が入った円柱から泡が浮き上がってくる装置が目を引く。
黄色や青、赤など色を変えながら変化。
泡が出るときのボコボコという音も心地よい。
そのほかウオーターベッドやミラーボール、光ファイバーの束、
おもちゃなどもあり、利用者は心からリラックスできる。
同センター育成部児童支援グループ主任児童指導員の照井美樹子さんは、
「暗さや狭さが苦手な人もいて、誰もがリラックスできるわけではないが、
多くの子どもたちは光を追いかけたり、泡の振動を楽しんだり、
思い思いにゆったりと時間を過ごす」と紹介。
スヌーズレンは、治療法や教育法ではなく、効果がはっきりと表れるものではない。
照井さんは、「子どもたちの表情から、気持ちが落ち着いたり癒やされているのを
肌で感じる。ぜひ多くの人に体験してもらいたい」

特集:MOTTAINAI 第2のステージへ 宗教学者・山折哲雄さんに聞く

(毎日 1月5日)

MOTTAINAIキャンペーンは、「第2のステージに来ている」と
京都在住の宗教学者、山折哲雄さん(77)は説く。
五百年、千年と日本人の心のDNAに刻まれているはずの「腹八分」の世界は、
「もったいない」に並ぶ言葉だといい、新年を迎え、
この価値観を改めて国内外に発信すべきだと提案。
(聞き手:毎日新聞社MOTTAINAIキャンペーン事務局長・真田和義)

俳人でもある東本願寺第23世法主、大谷光演(1875~1943年、大谷句仏)
を山折さんは紹介。

勿体なや祖師は紙衣(かみこ)の九十年(我は我)

祖師とは、鎌倉時代の浄土真宗の開祖、親鸞。
紙衣(紙子とも書く)とは当時、粗末な衣装であった紙の着物。
九十歳まで生きた、師である親鸞の質素な生活ぶりを例にして、
尊敬と同時に、豊かな時代に暮らしていることへの自省を込めている。

もう一句。俳聖といわれる松尾芭蕉(1644~1694年)。

あらたうと青葉若葉の日の光(奥の細道)

すべてが日の光に照らされ、「ああ、尊い」と感謝する心こそ、
日本人の価値観を象徴的に表している。

日本を代表する詩人、北原白秋(1885~1942年)の歌。

勿体なや何を見てもよ日のしづく日の光日のしづく日の涙(真珠抄)

苦難の時代に太陽を全身に浴びて輝いたとき、
思わず「ああ、ありがたい」、「まあ、もったいない」と思う気持ち。
山折さんは、「この3句に、日本人のライフスタイルを意味づけるものがあり、
まず、日本人自身がそのことを知らねばならない」

◆食べ過ぎを戒める

なるほど、深い。
事務局は、「もったいない」を世界の合言葉「MOTTAINAI」と表記し、
マータイさんと一緒に世界に発信。
その意味は、資源の有効活用である3R(リデュース、リユース、リサイクル)
Respect(リスペクト、感謝)。
山折さんは、「もったいないは、国際語としてマータイさんのおかげで産声を上げた」
としながらも、「五百年、千年と日本の歴史の中で積み重ねた価値観からすると、
この四つのRの意味合いだけではカバーし切れていない」

今後のキャンペーンの発展に、「腹八分」が不可欠。
「これからは知育、体育、徳育だけでなく、まさに食育が重要。
食でのさまざまなメッセージが発せられているが、一つ足りないもの。
それこそ、『そんなに食べるなよ』。
食べ過ぎの問題は、同時に食べ残しの問題でも。
二分残す腹八分の価値観こそ、もったいないに対応し、並ぶものだ」

◆無常と覚悟の戦略

100年に1度といわれる世界的な景気悪化に直面し、
日本人はこの問題をどうとらえ、行動すべきか。
山折さんは、「エコノミストらは危機感をあおるが、景気は循環するのが
本質ではないですか。『無常』という価値観になる。
その根底に、『覚悟』するという価値観がある」

これに対して、「欧米は『生き残り戦略』で、つまりノアの箱舟に示されるように
選ばれた者が生き残っていく選別の思想がある。
今や、日本もスッポリとその傘の中に入ってしまっている」

日本人は、無常と覚悟の戦略が心のDNAに無意識に流れており、
これがMOTTAINAIに通じる」として、キャンペーンで世界に「無常と覚悟」の
新たな潮流を作るべき。

新たな流れとか、歴史的な変革といえば、
米国大統領に就任するバラク・オバマ氏だろう。
山折さんは、オバマ氏がシカゴで行った大統領選勝利演説に触れた。
「老いも若きも、金持ちも貧乏人も、共和党員も民主党員も、黒人も白人も……」
と続くくだりの最後に、「単なる寄せ集めではなく、一つのアメリカ合衆国だ
(the United States of America)」と結んだ点を取り上げ、
「地球は一つといってもらえれば、なお、よい。
キャンペーンで提案してはどうか」

◆京都で千年の歴史サミットを

日本の都市、とりわけ京都を取り上げ、千年の歴史サミットを提案。
招くのはエルサレム、モスクワ、西安、ベナレスなど。
「尖塔、城郭、カテドラル……どれほどのエネルギー、資源が費やされたか。

その中で、京都は少ないエネルギーで作られてきたことが歴然。
駅前の京都タワーにのぼってみると、山しか見えない。
寺院は、木立の中に隠れている。
自然との共存関係が明瞭に表れている。
千年の歴史サミットを通じて、地球環境との共生を考えたい」

インタビューを終え、「もったいない」が持つ、深い価値観を考えるとともに、
事務局の使命を改めてかみ締めた。

◇世界へ羽ばたく理念 3R+RespectとCHANGEの連携

米国シカゴでのバラク・オバマ次期大統領勝利演説を聞いたとき、
2年前のケニア・ナイロビの記憶が鮮明によみがえった。

06年8月28日、毎日新聞MOTTAINAIキャンペーン・チームは
晴天下のウフル公園にいた。
04年ノーベル平和賞受賞者で、キャンペーン名誉会長でもある
ワンガリ・マータイさんとオバマ上院議員(当時)、妻ミシェルさん、
娘マリアさん、サーシャさんの一家が、アフリカン・オリーブの木を記念植樹。
チームは、大勢の報道陣に交じっていた。
マータイさんが、「日本から毎日新聞が取材に来ています」と紹介すると、
オバマ氏は労をねぎらうように優しいまなざしをチームに向けた。

「もし、近い将来、アフリカ系アメリカ人が米国大統領になるなら、
この人しかいない」。
父親の祖国、ケニアで連日、まるで凱旋したかのように大報道していただけに、
その熱気も浴びてチームがそう感じたのも無理がない。

2日後、ナイロビから200キロ離れたマサイマラでオバマ氏と再び会い、
MOTTAINAIキャンペーンを説明し、日本の伝統文化としてキャンペーンの
象徴的なグッズである風呂敷を贈る機会を得た。
スリムで精悍なオバマ氏は、握手も力強く、映画スターのようにかっこ良かった。

人との出会いは不思議であり、とてもエキサイティングだと思う。
マータイさんが、そうだ。
05年2月、地球環境を守るキャンペーンに力を入れている毎日新聞が、
マータイさんを初めて日本に招くことができた。

マータイさんは、仏教に由来する日本語「もったいない」に共感した。
資源の効率的活用である3R(Reduce、Reuse、Recycle)+Respectを
一言で言い表せる言葉をマータイさんは探していた。
この出会いがなければ、キャンペーンは始まらなかった。

3月4日、国連で開かれた女性の地位向上委員会会議の席上、
マータイさんは「MOTTAINAI!」を呼びかけ、世界への発信を開始。

この1年余り後に、マータイさんはオバマ氏と植樹し、
オバマ氏はこの1月20日、ワシントンで第44代大統領就任式を迎える。
MOTTAINAIは、地球温暖化をストップし、低炭素社会に向けライフスタイルを
変えていこうという取り組み。
オバマ氏は、現状を「CHANGE」し、環境と新エネルギーの取り組みを公約。
MOTTAINAIとCHANGEがタッグを組むことも、夢ではないだろう。
==============
◇やまおり・てつお

1931年、米サンフランシスコ生まれ。国立歴史民俗博物館教授、
国際日本文化研究センター所長など歴任。
近著に「信ずる宗教、感ずる宗教」(中央公論新社)。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/05/20090105ddm010040024000c.html

万能細胞で病気を再現 米大学が世界初成功 新薬開発などに期待

(共同通信社 2009年1月5日)

神経難病の患者の皮膚からつくった新型万能細胞(iPS細胞)を
神経に成長させた後、病気のため神経が死ぬのを再現することに、
米ウィスコンシン大のジェームズ・トムソン教授らのチームが成功。

患者由来のiPS細胞を使い、症状の再現までできたのは世界初。
病気の原因解明や新薬開発などの研究で、強力な武器になると期待。
英科学誌ネイチャーに発表。

チームは、運動神経が徐々に減り乳幼児期に死亡することが多い、
遺伝性の重症型脊髄性筋萎縮症(SMA)の男児の皮膚から
iPS細胞を作製し、運動神経に分化させた。

発症していない母親の皮膚からも、同様に運動神経をつくり、
両方を別々に培養して細胞の状態を比較した。

途中までは細胞に差はみられなかったが、約6週間培養を続けると、
患者由来の細胞は数が減り始めた。
「時間の経過に伴い、神経に異常が出ることが明らかになった。
患者の体内で起きるため見えなかった現象を、
試験管内で再現できるようになった」

これまでに米国などで、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの患者由来の
iPS細胞を、特定の細胞に分化させることまでは実現していたが、
症状の再現には至っていなかった。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=85792

環境の旗手たち:/1 JFEスチール・小山田久美さん(45)

(毎日 1月1日)

金融危機に端を発した世界不況に包まれて幕を開けた09年。
危機を脱却し、次の経済発展の原動力になるのは環境だ。
自然の復元、温暖化対策、省エネ・新エネルギーの拡大、リサイクル……。
世界的にも優れた環境技術を持つ日本メーカーの「旗手」たちを訪ねた。

<製鉄所の鉄をつくる工程で副産物として出る鉄鋼スラグ
特殊なブロックに加工し、サンゴ礁の再生に役立てようと取り組んでいる。
脇役だったスラグが、海洋生物を救おうとしている>

サンゴの幼生(赤ちゃん)は、多くが着床する適地を得られず、
波にさらわれてしまう。
JFEがつくったスラグ製のマリンブロックは、しっかり根付かせるために役立てる。
スラグに二酸化炭素(CO2)のガスを加えて固めたもので、
サンゴとほぼ同じ成分。
周囲の環境に負荷を与えることはない。

<マリンブロックは、製造時に微小な無数の穴ができる。
それが、幼生の隠れ家になる。
01年、担当に起用されて実証実験に加わった。
0・5ミリほどの幼生を着床させることに成功。しかし、魚に食べられてしまった>

幼生を保護し、成長させるにはどうしたらいいか。
考えていたら、東京海洋大学の岡本峰雄准教授が、直径4センチほどの
傘のような形をした着床具を開発。
着床具をブロックの上に取り付け、傘の裏側などに着床させられれば、
魚などの外敵から守ることができる。

<03年に、環境省が行う沖縄県石垣島と西表島に広がるサンゴ礁、
石西礁湖で本格的な実験に参加。
05年には、独自に宮古島などでサンゴ礁の再生プロジェクトに乗り出し、
一辺1メートル、高さ50センチの立方体のブロックを海底に4個沈めた>

実験ではいずれも、着床具とマリンブロックを組み合わせることで
高い着床率を保てることが分かった。
着床率の向上を目指し、07年秋から着床具の素材もセラミックから、
スラグに変えた。
スラグは、表面に凹凸をつけられるので、幼生がより定着しやすくなる。
台風の影響を防ぐため、強度を増す工夫。

<沖縄は世界でも有数のサンゴ礁を誇るが、
98年に海水温上昇に伴う死滅が一部確認。
07年の石垣島・白保海域の調査では、死滅や衰退で白っぽく見える
白化現象が5割に及んでいることが判明。サンゴの再生は待ったなしだ>

サンゴの成長は非常にゆっくりしていて、1年半で数センチぐらい。
2年半後ぐらいに10センチ程度に成長し、サンゴらしくなるが、
一面に広がるには最低でも10年以上の長い時間が必要。
一企業のできることには限界があるので、
国や自治体なども力を合わせて行動することが大切。

<子どものころから生物好き。
親に顕微鏡を買ってもらい、夢中になって川や海に出かけた。
サンゴ再生を自分の目で確かめようと、スキューバダイビングのライセンスも取得>

生物はそれぞれ役割や関連があり、生態系をなしている。
サンゴを増やせば、沖縄の海の豊かさを守ることができる。
南太平洋には、サンゴ礁でできている島々があり、
生活基盤が脅かされようとしている人たちも。
技術やノウハウを提供し、広く自然環境に貢献したい。
==============
◇鉄鋼スラグ

鉄鉱石から鉄を取り出す高炉や、鉄をはがねにする製鋼の工程で
発生する残りカス。鉱滓とも呼ぶ。主成分は石灰。
かつては産業廃棄物として厄介者扱いされたが、
セメントの原料や道路の路盤材に再利用されるようになり、
最近では人工干潟の造成にも使われている。
鉄鋼スラグ協会(東京)によると、国内では年約4000万トン発生。
==============
◇おやまだ・くみ

東北大大学院博士前期課程修了(生物学)。
89年、NKK(現JFEスチール)入社、微生物による水処理の研究などに従事。
01年、マリンブロック研究に携わり、
07年4月から資源循環推進部主任部員。宮城県出身。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/01/20090101ddm008020045000c.html

2009年1月8日木曜日

「黄金の國」全国発信 県が広報誌

(岩手日報 1月5日)

県は、県外向け広報誌「黄金の國、いわて。」を発行。
作家の瀬戸内寂聴さんと達増知事が、本県の普遍的価値について
熱い思いを披露。
伝統芸能や自然、食など豊かな魅力を紹介し、
首都圏を中心に全国に岩手を発信。

広報誌は、A4判カラー20ページで約5万部を発行。
県の県外向け広報の一環で、平泉文化を象徴する黄金の表紙が目を引く。

二戸市の天台寺で長く住職を務めた瀬戸内さんは、
「自然が自然のままで、人の心も生き方も無理をしていない」、
「純真な人が多く辛抱強い」と本県の印象を説明。

平泉文化や各地に伝わる伝統芸能のほか、小岩井農場から望む岩手山や
潮風が吹き抜ける三陸海岸、豊富な農林水産物などを紹介。
6人の希望王国いわて文化大使が、魅力を語っている。

県は、安全・安心な農林水産物、自然、郷土芸能や多彩な人材を
黄金に例え、「岩手」の豊かさと信頼を幅広く定着させる
「岩手ブランド」の確立を目指して広報戦略を進めている。

広報誌は、都営地下鉄駅や首都圏の書店、旅行代理店などに配布。
希望王国いわて文化大使や県人会、県内企業を通してPR。県庁にも置く。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090105_9

パラ五輪のメダリスト報奨金も非課税へ

(読売 1月1日)

政府は、パラリンピックのメダリストに支給される報奨金を
非課税にする方針を固めた。
2009年度税制改正法案に、「一時所得」課税に関する特例措置を盛り込む。

パラリンピックのメダリストに、日本障害者スポーツ協会が報奨金を
支給する制度は、08年9月の北京大会から導入。
報奨金は、金メダリストに100万円、銀に70万円、銅に50万円。
北京大会では、5人が金メダル、14人が銀メダル、9人が銅メダルを獲得。

現行税制では、報奨金は「一時所得」として所得税がかかるため、
同協会はまだ報奨金を支給しておらず、
5日開会予定の通常国会で税制改正法案が通った後、
メダリストに報奨金を渡す予定。

五輪メダリストに支給する報奨金やノーベル賞の賞金などには、
所得税を非課税にする特例措置が既に導入。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20081231-OYT1T00599.htm

特集:MOTTAINAI 共感、実践、広がる

(毎日 1月5日)

09年は、MOTTAINAI精神が暮らしを変える年。

ツバルへの中古バス寄贈やブラジル、ラオスでの植林活動など、
世界各地で事業を実施した08年に続いて、具体的な資源循環の仕組みを
どう取り込んでいくかが、今年のMOTTAINAIキャンペーンの課題。

◇食べ残しを持ち帰ろう--レアック・ジャパン社長、宮澤勲さん

レストランや飲食店で食べきれなかった料理を、持ち帰るための
折りたたみ式容器「ドギーバッグ」を発売した雑貨の企画・輸入・販売
「レアック・ジャパン」(東京都港区)。
宮澤勲社長は、「消費者の半数が、食べ残しをドギーバッグで
持ち帰るようになれば大成功」

「ドギーバッグ」は、プラスチックまな板にも使われるポリプロピレン製。
容器の底に書かれた手順に従ってくっつけると、
おしゃれな手提げ箱に早変わり。大小1組で819円(税込み)。
売り上げの一部は、世界食糧計画(WFP)やワンガリ・マータイさんの
グリーンベルト運動に寄付。

犬の愛称(doggy)に由来し、「犬のための持ち帰り用容器」が意味。
欧米では、食べきれなかった料理を「愛犬のために」という口実で利用。
日本に古くからあった「折り詰め」文化を、おしゃれに楽しく復活させる試み。
「消費者の側が、一定の自己責任をもってロスを減らす取り組みも必要」

同社は06年から、大手アパレル「ベネトン」社のライセンスを受けた
エコバッグを年間200万個以上も販売。
デザインには定評があり、企画力と社会への発信力を併せ持った商品の開発を。
「持っていることがすてきと思えるような商品で、消費者の価値観を変えていきたい」

◇祖母に学んだ、大切にする心-日系3世ジャーナリスト・ターニャ野村さん

野村さんは、TVキャスターやフリージャーナリストとして活躍、
ブラジル社会における日系人女性をテーマにした著作を持つ。
92年にブラジルで開かれた「環境と開発に関する国連会議」の
交流事業を担当、その一環で来日。
岡田伸浩・日本青年会議所副会頭(当時)との会話で、
「もったいない」が話題となり、世界的なもったいない運動に結びついた。

野村さんは、祖母にものを大事にするように教えられた。
「祖母が、『この世のものは、命の鎖でつながれていることを忘れちゃならないし、
感謝してなるべく大切に使わなきゃいけないよ』と。
祖母はとてもよく働き、いつも身だしなみに気を使っていました」

92年の日本は、バブル景気がはじけたとはいえ浪費を楽しむ文化。
「祖母に重ねて思い描いていた日本人の姿とはかけ離れ、『これでいいのか』と。
その思いを出会った方々にお話ししました。
その一人が、日本青年会議所の岡田伸浩さん」

もったいない運動は、岡田さんの提唱により、国際青年会議所のキャンペーンに。
野村さんは、「日本の心が世界に認知されたすばらしい運動。
『MOTTAINAI』は、地球環境問題を解決するキーワードでは

◇地域内で100%循環、目標に-古着リサイクルNPO代表・吉田恵美子さん

福島県いわき市で古着の地域内循環を試みるNPO「ザ・ピープル」が、
90年代から取り組んできたリサイクルの輪が静かに広がりつつある。
代表の吉田恵美子さんは、「自分から行動する社会になれば

きっかけは、いわき市主催の市民参加による海外視察団。
欧米で、女性が市民起業やボランティア団体の運営を通じて
社会変革を起こす様子を肌で感じ、「自分でも何かできないか」と、
NPOの前身となるボランティア団体を設立。

目をつけたのが、古着のリサイクル。
古着を捨ててしまうことに抵抗感のある人が多いことに気づき、
市内の銀行の店頭に古着回収用のドラム缶を置いたところ、
あっという間にいっぱいに。
公民館やスーパーマーケットなど30カ所以上で、年間200トンを集める。

ザ・ピープルの活動の特徴は、地域内循環100%を目標。
現在、回収した古着のうち、地域内で循環している割合は約5割。
古着の販売は市内で行い、リサイクルしたぞうきんは自動車整備工場などに納入。
ウール50%以上の古着は、裁断して自動車用の吸音材や防音材として
愛知県や海外に輸出しているが、なるべく地域内で販売。

私立いわき秀英高校(甲斐孝明校長)とタイアップして、
卒業式などで使用済みの制服を回収する取り組みを始める。
構内のボックスに使用済みの制服を投入すれば、
ザ・ピープルが回収して分別してリサイクルする一方、
状態のよい制服は再利用品として販売する。
売り上げの一部は、「グリーンベルト運動」に寄付。

◆おしゃれにエコ、新商品も続々

MOTTAINAIキャンペーンから新商品が続々登場。
人気急上昇の湯たんぽ、Q・B・Bチーズのほか、
絶滅の危機にある動物をプリントしたごみ袋など。

同キャンペーンは、資源循環型商品の開発を通じて
MOTTAINAI精神を生活に役立てる試み。
毎日新聞社と伊藤忠商事が提携、ワンガリ・マータイさんとともに推進。
商品化を行うライセンシー企業と、イベントなどでの協賛企業を合わせた
キャンペーン参加企業は、07年までの36社に新たに31社が加わり、
67社へほぼ倍増する勢い。

◇乾燥せずにぽかぽか、湯たんぽ人気が復活

独「ファシー」社の樹脂製湯たんぽを輸入・販売する三信商会(横浜市)は、
タグにMOTTAINAIロゴを使用した湯たんぽを発売。
お湯を入れると、プルプルになる素材で、外部をぬいぐるみやフリース、
毛糸の素材でくるんで、ふかふかの暖かさを楽しめる。
空気が乾燥せず、のどや肌にやさしい上、省エネにもなるため、
昨年以降の原油高に合わせて売り上げを伸ばした。

湯たんぽは最大2リットルまでの5サイズで、
ハローキティのようなキャラクター商品から懐かしい雪の結晶を模した柄や
アーガイル柄のニット素材のものまで多くの種類がある。
http://www.sanshin-shokai.com/products/fashy/

◇六甲バターマークを集めて応募、マータイさんの植樹活動に寄付

創業60周年を迎えた「六甲バター」(神戸市)は、「THANKS DAYSキャンペーン」
をMOTTAINAIキャンペーンと連携して実施。
「Q・B・Bチーズ」など対象商品14種についたマークを3枚集めて応募。
同社が応募者に代わって、ワンガリ・マータイさんの植樹活動
「グリーンベルト運動」に苗木1本分の寄付。

◇アートなごみ袋で、環境問題に関心を

広告デザイン会社「MAQ」は、ごみの出し手にアートのつくり手として
参加してもらう取り組みの一環として、地球温暖化で大きな影響を受けている
ホッキョクグマやペンギンなどをプリントしたごみ袋を、
MOTTAINAIキャンペーンと連携して製作、販売。

ごみ袋(45リットル)は10枚525円。
ごみ拾いのボランティア(http://www.maq.co.jp/gba/

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/05/20090105ddm010040013000c.html

チタン人工骨で腰痛除去 京大、臨床試験に成功

(共同通信社 2009年1月6日)

京都大の藤林俊介助教らの研究チームは、
慢性的な腰痛を取り除くため、丈夫で加工しやすいチタン製の人工骨を
腰椎の間に埋め込む臨床試験で、1例目の手術に成功したと発表。

チームによると、京大病院で手術を受けた女性患者(54)は、
腰痛を全く感じなくなり、手術から2週間で退院した。
今後、さらに5例の手術を実施し、早期の臨床応用を目指す。

人工骨は、内部に直径0・1~0・5ミリの穴が互いにつながった状態で
開いている。
椎間板が衰えるなどして骨がずれ、神経を圧迫している部分に埋め込むと、
人工骨の内部のすき間に骨細胞や血管が入り込んで骨を再生。
周囲の骨とも結合して、腰椎が安定する。

腰痛を引き起こす腰椎変性疾患の治療には、
骨盤の一部を採取して腰椎に移植する手法が主流だが、
患者への負担が大きい。
藤林助教は、「人工骨を使えば、手術時間が短縮でき、安全性も高められる」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=85838

2009年1月7日水曜日

播磨発宇宙へ:すごいぞ最先端の力(その2止)

(毎日 1月1日)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、国際宇宙ステーションへの
物資輸送手段として開発中の補給機(HTV)の燃料タンク。
素材は、神戸製鋼所の技術力が結集したチタン合金。
軽い、さびない、強い、と良いこと尽くめのチタン製品が
今夏、新たな宇宙開発に貢献。

HTVは、無人の軌道間輸送機(全長10メートル、最大径4・4メートルの円筒形)
で、最大6トンの物資輸送が可能。
年間1~2機の打ち上げが計画。
神鋼が開発したアルミニウム6%、バナジウム4%添加のチタン合金は、
4基の球形推進剤タンク(口径1メートル)の半球素材(8個)を造る。

神鋼は、金属チタンを高砂製作所で溶解してインゴットを生産、鍛造。
これを加古川製鉄所で圧延後、さらに高砂でプレス加工する。
溶解から最終製品まで手掛ける一貫メーカーは、国内でここだけ。
チタン合金の生産量もトップ。

神鋼は49年、日本で初めてチタンの研究開発に着手。
今では「神戸チタン」として知られる。
チタン技術部の藤田陽一・生産技術室長(49)は、
「宇宙開発に採用されたことは技術力が認められたもので、誇りだ。
さらに社会貢献したい」と胸を張る。

◇魚養殖の可能性を探る メダカの宇宙食おりひめ-カミハタ養魚グループ

94年7月に打ち上げられたスペースシャトル「コロンビア」には、
実験用にメダカ4匹が積み込まれた。
メダカに与える宇宙用のえさを開発したのが、観賞魚の飼料の製造・販売
などを手がける「カミハタ養魚グループ」(姫路市南町、神畑重三CEO)。

メダカ実験は、人類が宇宙で生活する際の食料を確保するため、
宇宙空間で魚養殖が可能かどうかを探る大切な目的。
船内では、日本人女性宇宙飛行士の向井千秋さんらが
メダカの生態や産卵、ふ化を調査。

メダカの宇宙食の名称は「おりひめ」。
東京大の井尻憲一助教授(当時)の依頼を受けてカミハタが開発したもので、
一般の粉末状のえさと異なり、特殊な給餌シリンダーに入るため、
直径約15ミリの丸粒状になっているのが特徴。

水槽がビデオカセット程度と小さいため、水を汚さないことが絶対条件。
水に溶け出したり、メダカがついばんでも飛び散らないよう、
粒自体をスポンジ状とした。
このときの技術は現在、市販のエサに応用。

開発にあたった山本直之さん(46)は、
「物を作る大切さ、面白さ、達成感があった。
井尻先生から、実験が『大成功です』と聞いたときは、『やった』と思った」
と当時を振り返った。

◇次世代旅客機の主翼構造 CFRPで低コスト製法確立-カド・コーポレーション

ヨット製造からスタートした複合材開発メーカー「カド・コーポレーション」
(たつの市龍野町大道)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で
次世代旅客機構造の研究開発支援のため、
6メートルにおよぶ主翼構造を試作。
アルミ合金などより軽量で高強度の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の
低コスト製法を確立。
社員10人のベンチャー企業の夢は海から空へ、さらに宇宙に広がる。

真空パックした炭素繊維に樹脂を注入し加熱して固める
「VaRTM(バータマム)成形」と呼ばれる製法で、
数億円もの加圧窯が不要なため低コストを実現できた。
主翼構造は、既に強度試験をクリア、09年に疲労強度試験を終える予定で、
いずれは国の安全基準モデルになる見込み。

JAXAが構想する超音速旅客機主翼の試作品も製造。
開発中の300度の耐熱CFRPが実用化できれば、
日本版シャトルや人工衛星などへの応用も可能。
倉谷泰成社長(35)は、「独自の技術でさまざまな分野に挑戦したい」と意欲。

http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20090101ddlk28040052000c.html

久慈地方がトップ 県試算、自殺率の低さ

(岩手日報 1月5日)

常に県内1、2位だった久慈地方4市町村の自殺率(人口10万人対比)が
2007年、率の低さで一躍トップに立つことが、県の試算で確定的。
10年の目標だった全国平均以下を、早くも達成する大幅改善。

行政、医療、ボランティアが連携した地域ぐるみの取り組みが実を結び、
自殺者が多いことで知られた地域は、予防対策の先進地へ変化。

県障がい保健福祉課の試算によると、
久慈地方の07年の自殺率は21・6(14人)。
41・0(27人)でワースト2位だった06年から一転、
保健所単位の県内10地区で最も低くなった。

久慈地方振興局は、10年までに全国平均24・2以下を目標にしていたが、
大幅改善を受け、目標値を17・3と上方修正。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090105_2

五輪メダル獲得へ6億円の予算案、「お家芸」重点強化

(読売 1月5日)

五輪のメダル獲得増を目指して、文部科学省は来年度から、
指導者の給料を国費で丸抱えする新事業をスタート。

日本の「お家芸」を重点強化して、東京都が招致を目指す
2016年夏季五輪でのメダル量産を狙う。
「競技力向上ナショナルプロジェクト」として、
来年度予算案に約6億円を盛り込んだ。

プロジェクトの柱となる「ナショナルコーチ」制度は、
競技団体の要望を受けて新設。
柔道やレスリング、水泳など、日本が得意な17競技に対し、
中長期的な強化責任者として配置。

従来も、文科省が補助事業として給料の3分の2を負担する
専任コーチ制度はあったが、新制度では経費全額を国費で負担して、
国が主体的に強化に乗り出す。

契約期間を、五輪ごとに4年間の長期とするのも特徴。
日本オリンピック委員会(JOC)は、
「五輪のメダルが、スポーツ振興に与える影響は大きい。
フルタイムで安定した地位の指導者は、メダル獲得の追い風になる」

現場のコーチとは違い、ルール改正を巡る情報収集やライバルの視察など、
諸外国の動向を踏まえた強化を専門に行う。
北京五輪で、柔道がポイント重視の潮流を読み切れず、
競泳は英国スピード社製の水着への対応が遅れた反省から、
日本が苦手な分野に力を入れる。

もう一つの柱は、選手を支える「特別支援チーム」の結成
お手本は、水泳で2大会連続2冠の北島康介が率いた「チーム北島」。
メダルが有望な若手に対し、栄養学や心理学、情報収集・分析など
専門家を集めたチームを組んで、総合的に支援。
今年度中に、対象を8種目に絞り込む方針。

豪州や英国などの強豪国では、国際競技力向上は国家戦略で、
後れをとった日本は五輪で苦戦が続く。
国のスポーツ振興基本計画では、五輪のメダル獲得率
(メダル総数に占める獲得数の割合)の目標は3・5%。
過去最多タイの金16個を獲得した04年アテネ五輪では3・98%を記録したが、
06年トリノ冬季五輪は0・40%、08年北京五輪は2・71%と下落傾向に。

一方、北京五輪の入賞者は計77人と、アテネ五輪と同数に上る。
文科省は「メダルに近い競技を重点的に強化すれば、量産は可能」と期待。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20090105-OYT1T00409.htm?from=nwla

グリーン・ニューディール:環境と景気両立の日本版策定へ

(毎日 1月6日)

斉藤鉄夫環境相は、環境と景気対策の両立を目指す基本方針を
今年度内に策定する方針を明らかに。

オバマ次期米大統領は、地球温暖化対策を活用した景気浮揚策
「グリーン・ニューディール」を掲げているが、その日本版と位置づけ。
基本方針は、「緑の経済と社会の変革」と命名。

今後、公共施設の温暖化対策などの「エコ改造」、
省エネ家電や次世代自動車などの普及を目指す「エコグッズ」、
環境ビジネスに取り組む企業への投資促進などの「エコ金融」、

を軸に政策の具体化を図る。

環境省は当初、所管事業を中心に、5年間で環境ビジネスの市場規模を
約70兆円(06年)から約100兆円、雇用数約140万人から約220万人への
拡大を目指す計画を練った。
麻生太郎首相は、「さらに大きな視点でインパクトのある内容にしてほしい」と指示。

関係省庁と協力し、対象施策を水資源や浄水技術の活用、森林分野にも広げ、
市場規模、雇用とも効果の拡大を目指す。
斉藤環境相は、「経済危機の克服と低炭素社会作りを実現するチャンスだ」

http://mainichi.jp/select/science/news/20090107k0000m010100000c.html

報酬上げを介護職場再生に

(日経 12月27日)

社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)は、
2009年度の介護報酬改定で、介護保険から事業者に支払われる
報酬を、来春から3%引き上げることを了承。

介護従事者の待遇改善につなげることで人材の確保と定着を図り、
介護職場の再生を進めてほしい。

政府・与党は審議会の結論を待たず、10月に早々と3%アップを打ち出した。
背景には、介護職場に人材が集まらないことへの危機感。

今回の改定では、夜勤や重度の認知症など負担の大きい介護に対する
報酬を引き上げ、介護福祉士などの有資格者や勤続年数の
長いベテラン職員が多い事業所へ加算。
人件費の地域差にも配慮。
骨の折れる仕事に手厚く報い、質の高いサービスを提供する事業所を
評価することは当然だ。

問題は、これが働く人たちの処遇改善に結びつくかどうかだ。
高齢化の進展で、介護職場で働く人は2014年に140万―160万人必要
介護の専門職としてキャリアを積める職場が実現すれば、
不況で職を失った人の魅力的な受け皿にも。

介護報酬は、サービス提供の対価として介護従事者個人ではなく、
事業者に払われる。
どう使うかは事業者に任されており、事業所規模や経営状況などで変わる。
厚労省は、介護従事者1人あたり平均月2万円の賃上げを前提に、
介護報酬3%アップを計算、現実には恩恵に浴さない従事者が出る可能性も。

審議会は、事業所が自主的に処遇改善の取り組みの情報を公開することや、
国による事後の検証を求めている。
2000年度、介護保険制度がスタートしてから介護報酬の引き上げは初めて。
介護報酬が上がれば、1割を負担する利用者の出費も増える可能性。
働く人がスキルを磨き、質の高いサービスを提供しなければ納得は得られない。

改定では、医療との連携や認知症ケアの充実、効率的なサービスの提供も
目指しているが、忘れてほしくないのは
介護保険の厳正な運用と事業者の経営努力。
住宅改修などで不当に高い料金を請求される例や、
経営努力を怠り人材が集まらない事業所もある。
介護報酬引き上げで、改革がおろそかになってはならない。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20081226AS1K2600526122008.html

2009年1月6日火曜日

播磨発宇宙へ:すごいぞ最先端の力(その1)

(毎日 1月1日)

見てくれ、これが播磨の底力だ--。

最先端の播磨パワーが、続々と宇宙に進出。
21日に打ち上げが予定されている東大阪産の人工衛星
「SOHLA-1」(まいど1号)の弟分、「SOHLA-2」(
打ち上げ未定)の
アンテナには、西脇市の大手釣り具メーカー「がまかつ」が開発した
カーボン釣りざおが採用。
魚のえさ、金属部品など、宇宙研究や宇宙開発に多大な貢献をもたらした
播磨産まれの製品・技術は数多い。
播磨の技術レベルとチャレンジ精神を思う存分発揮するには、
もはや地球規模では狭すぎる時代。

人工衛星計画を進めている東大阪宇宙開発協同組合(今村博昭理事長)
開発したのは、雷観測衛星の「SOHLA-1」と「SOHLA-2」の2機。
21日に「SOHLA-1」が打ち上げられ、
無事に衛星軌道に乗れば「まいど1号」と名付けられる。

がまかつの釣りざおが搭載されたのは、「SOHLA-2」。
先行開発された「SOHLA-1」の経験を生かし、組合が基本設計から手がけ、
国内企業の技術を随所に取り入れた発展型衛星。

アンテナは、雷観測用2本。
打ち上げ時は長さ約30センチだが、宇宙でロケットから切り離されて
軌道に乗ると、ガス圧で一気に2・65メートルまで伸び、
先端に付いたアンテナが開く。

衛星の部品は、軽量なほど打ち上げ時の震動によるダメージが少ないうえ、
他の機能を衛星に加えられるなどメリットが大きい。
カーボンざおの設計者、藤村光男・製造部技術開発課顧問(63)が
使ったのが、「長くて軽くて丈夫」なアユ釣り用ざおの製法。

素材は、カーボンの繊維量を増やして厚さ0・3~0・5ミリ、重さ約190グラム
まで軽量化する一方、560キロの力で引っ張っても壊れない強度を持たせた。
通常、さおは伸ばした後に手で継ぎ目をひねって固定するが、
宇宙ではできないため、カーボンの繊維量を調整して継ぎ目の膨らみを
他の部分より抑え、一度伸びると緩まない仕組みを開発。
現在、この仕組みは特許出願中。

近年、コストや利便性の面で衛星の小型化が注目されており、
軽量でコンパクトなカーボンざおについて、
今村理事長は「先端にカメラを付けるなど、将来はさまざまな利用が期待できる」
藤村さんは、「がまかつで培った技術が宇宙で活躍する日を楽しみに待っている」
==============
◇SOHLA-2

「苦しい時こそ夢を」と、東大阪市の中小企業が集まって
02年12月に設立された東大阪宇宙開発協同組合
(Astro Technology SOHLA)が開発した2機目の人工衛星。
姿勢制御や通信などの機能を持つパネル(縦横約35センチ、厚さ約5センチ)を
複数枚組み合わせて構成され、研究目的や打ち上げ用ロケットの
収納スペースに応じて組み合わせを変えることが可能。

http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20090101ddlk28040044000c.html

「東京五輪」招致盛り上げ狙い、JOCに推進部門

(読売 1月5日)

日本オリンピック委員会(JOC)は、2016年夏季五輪に立候補している
東京都の招致活動を支援するため、JOC内に招致推進部門を
設置することなどを含む支援策の検討に入った。

開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)の総会を、
今年10月に控える招致レースは、
東京が、候補都市絞り込みで最高の評価を得たが、
国内世論の盛り上がりが今ひとつと伝えられている。

2月、IOCへの立候補ファイル提出が行われた後、
IOC委員による各候補都市への独自の世論調査が始まるが、
これを控えて競技団体として世論の盛り上げを図るのが狙い。

JOCではこれまでも、各競技団体に招致担当を置き、
招致委員会と直接連絡を取り合いながら連携を図ってきたが、
これが十分に機能せず、新たな仕組み作りを模索。

新たな招致部門では、各競技団体傘下の競技者に推進活動への
協力を働きかけるなど、JOCと各競技団体、選手が
一体となった活動を進める方針。

選手サイドでは、北京五輪競泳金メダリストの北島康介(日本コカ・コーラ)
が昨年12月に、選手らが競技の垣根を超えて東京招致を支援する
「応援党」の結成を宣言しており、
新部門は、この活動を全面支援するもの。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20090104-OYT1T00594.htm

リニア新幹線への期待と課題

(日経 12月29日)

東海旅客鉄道(JR東海)のリニア新幹線計画が動き出した。

2025年の開業をめざして、東京―名古屋間を超電導リニアモーターカーで
結び、所要時間を40分程度に短縮する。
将来は大阪まで延伸し、東京―大阪を約1時間で結ぶ。

リニアは沈滞気味の日本にとって、久々に夢のある話題。
東名阪の移動時間を大幅に短縮できれば、波及効果は大きく、
新たな経済圏が生まれる可能性も。
大地震などで東海道新幹線が止まっても、リニアがあればバイパスが確保。

地球環境問題を受けて、世界各国で鉄道見直しの機運が高まっている。
日本がいち早く長距離リニアを実用化すれば、海外への展開も期待できる。

だが、実現には課題もある。
まず直面するのは、ルート選定だ。
JR東海は、東・名をほぼ直線で結ぶ南アルプス貫通ルートを希望、
沿線の長野県では、北寄りにう回するルートを求める声も強い。

旧国鉄が行き詰まった一因は、政治圧力で採算性の悪い路線が
たくさん生まれたこと。
この失敗を繰り返してはならない。
地元との協議は大切だが、最後は事業主体のJR東海の判断を尊重すべき。

一方で、JR東海にはまず技術面で万全の体制を求めたい。
運行の安全性を念入りにチェックするのは当然だ。
建設面でも、大深度地下に長大なトンネルを掘るなど難工事が予想。
コストが大きく膨れあがれば、事業の採算性に疑問が生じる。

需要見通しも、精査が必要だ。
リニア新幹線は東海道新幹線と並行営業する。
少子化の進む日本で、2つの路線を満たすだけの人の移動が生まれるか。
関西国際空港のように当初の需要見通しが甘く、後々苦しむプロジェクトは多い。
この二の舞いは避けなければならない。

5兆円を超えるリニアの建設費は、JR東海が自己負担し、政府には頼らない。
これほど巨大なインフラ投資に、民間企業が独力で取り組んだ例は少なく、
JR東海の意気込みの強さを示している。

だが、企業の投資であれば、いくらビジョンが立派でも、
事業として成功しなければ意味がない。
そのことを、JR東海の経営陣はいま一度銘記してほしい。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20081228AS1K2800328122008.html

まず高校から教育の分権を

(日経 12月28日)

高等学校の教育は、小中学校に比べればじつに多彩。
義務教育でもないから様々な学び方があるし、
地域や学校の事情に応じた独自のカリキュラムがあってもいい。
地方からは、必修科目を減らすなど国の基準の緩和を求める声も。

ところが、文部科学省が公表した高校の新学習指導要領案は、
そんな要請に応えているとは言い難く、地方分権には遠い内容。
小中学校の画一的な指導要領も問題だが、
まず高校から、地域や現場に教育の中身を委ねる改革を進めるべき。

新しい指導要領は、一般からの意見を聞いて来年3月までに告示し、
2013年度から本格導入。
卒業に必要な単位数は現行通りだが、内容の上積みが目立ち、
小中学校と同じく「脱ゆとり」色が鮮明。

文科省は、「多様性にも配慮した」と説明。
たしかに理科では科目選択の幅を広げたし、週あたりの授業時間数も
標準の30時間を超えて設定できるよう明文化した。

一方で拘束性も強い。
国語、数学、外国語では選択必修制を転換し、特定の科目を必修とした。
各教科とも、学習内容や範囲を事細かに規定しているのは相変わらずで、
より記述が細かくなった部分も。

「履修漏れ」騒動で注目された世界史必修も、現行通り。
世界史の重要性は論をまたないが、
一連の不祥事は大学受験の実態ともずれがあるから起きた。
これを機に、柔軟な対応をしてもよかったのではないか。

文科省が、全国一律の教育課程を定めて地方や学校に徹底させる。
こういうやり方が学力水準維持に貢献してきた面はあろう。
高校でも、進学率がほぼ100%となれば
一定の基準性が重みを持つのも理解できる。

しかし、それは大枠を示すだけで十分ではないのか。
とりわけ高校は、学校の姿も千差万別で、様々な試みに現場で取り組んでいる。
必修科目の設定をはじめ、文科省の手取り足取りの規定は現場を萎縮させ、
創意工夫の余地を奪うことになる。

政府の地方分権改革推進委員会も、国が自治体を縛る過剰規制の1つに
高校の指導要領を挙げて見直しを求めている。
道州制が議論される時代なのに、
文科省は教育だけは聖域と決め込んでいるのだろうか。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20081227AS1K2600126122008.html

2009年1月5日月曜日

野球:関西独立リーグ 夢の世界を切り開いてゆく挑戦者たち(その2止)

(毎日 1月1日)

◆神戸9クルーズ

所属選手18人のうち他の独立リーグ、社会人からそれぞれ6人、
大学・高校などからも6人が入団。
県立東灘高出身の小園投手は、BCリーグ・富山サンダーバーズ、
西宮市出身の濱岡外野手は米大リーグのルーキーリーグで活躍。

球団は、市民と交流する機会も積極的に増やし、
選手が「子どもたちの模範に」と期待。
親子野球教室や地元商店街でのボランティアも計画。

球界初の女性球団代表の広田和代・球団代表(47)は、
「野球は幅広い世代に愛され、応援する人にも健康と元気を届ける。
市民との交流で生まれるコミュニティーをきっかけに、
神戸の元気を取り戻したい」

◇応援企画考える-松井信也さん(44)=子ども服店経営

球団に協力している「神戸新鮮市場」で店を営みながら、
商店街の仲間と一緒に応援企画を考えている。
オフには、選手の働き先も商店街で確保して、選手と触れ合う機会を多くしたい。
商店街に来ていた選手が、セ・パ両リーグで活躍したら、
地元の子どもたちの夢も広がる。

◇球場で応援を-網本雅生さん(52)=広告会社経営

代表の広田和代さんとは昔からの知り合いで、
チームの公式ホームページ作成にも携わった。
神戸市民の手による球団として、できる限り球場に足を運んで応援していきたい。
チームを支えて育てようという市民の皆さんが、
どんどんファンクラブに入ってほしい。

◇練習を手伝う-細谷真治さん(44)=電車運転士

球団職員をしている高校の同級生からの依頼で、
仕事が休みの日に練習に加わって、打撃投手などをして手伝っている。
一緒に練習をしていると、ひたむきに野球に取り組む気持ちが伝わる。
初代リーグ王者になれるよう、私も選手を支え、喜びを分かち合いたい。

ミナト神戸のイメージから、船舶の巡航という英語「cruise(クルーズ)」に由来。
乗組員の「crew(クルー)」とかけて、選手が前途洋々たる海原を進んでほしい、
という願いも込めた。
「9」は、選手9人が9回まで戦い抜くという意味。
チームカラーも海の青で、ロゴもカモメと波をモチーフ。

運営球団=株式会社神戸ベースボール倶楽部(08年6月設立)
http://www.kobe9.jp/
予定球場=神戸総合運動公園サブ球場、尼崎記念公園野球場

◆明石レッドソルジャーズ

所属選手22人のうち、国内の他の独立リーグからは7人、
大学、専門学校などからは15人が入団。
県出身11人中3人は、神港学園(神戸市)出身。
前田勝宏投手は元西武ライオンズ投手で、
08年は四国・九州アイランドリーグの長崎セインツの投手として9勝。

「野球によるまちおこし」を掲げる明石市は、後援会などを整え、球団も球場での
特産品販売や「魚の棚商店街」への観客の立ち寄りなど連携を進める。

社会人野球・全播磨硬式野球団(播磨町)代表も務める
大村節二・球団代表(72)は、「企業の社会人チームが少なくなった。
夢を抱いた若者の活躍の場にして、明石を元気にしたい」

◇応援団会長に-古川一幸さん(37)=応援団会長

明石市役所にある障害者が運営するコンビニエンスストアで働いて、
生まれ育った明石のためにチームを支えようと応援団会長を引き受けた。
スタンドからみんなで赤いタオルを力いっぱい振って、得点を呼び込みたい。
チームは、ぜひリーグの初代王者になってほしい。

◇営業をサポート-木南政人さん(34)=広告会社代表

チームの運営を支える営業活動をサポート。
チームの知名度はまだ高くないので、PRして1人でも多くファンを獲得したい。
選手は試合で勝つことに限らず、社会貢献活動にも積極的に参加して、
人間的にも魅力のある姿を市民に見せてほしい。

◇球場を活用して-原口和夫さん(60)=県園芸・公園協会理事長

管理、運営している明石球場を大いに活用してくれることを願う。
試合と連携したイベントが、球場や公園を使ってできるように協力したい。
野球教室も開いて、子どもたちの夢を育ててほしい。
セ・パ両リーグなどで活躍する選手が現れることも期待。

野球に対する情熱の炎と、地元の特産品タコやタイの色を表した
赤の英語「red(レッド)」に、闘う姿勢みなぎらせた戦士「soldier(ソルジャー)」
を組み合わせた。チームカラーも赤。
米大リーグの強豪「ボストン・レッドソックス」のようになって、
球場が地元ファンらで満員になるよう願いを込めた。

運営球団=株式会社明石市民球団(08年9月設立)
http://www.akashi-red-soldiers.jp/

予定球場=明石球場、姫路球場、高砂球場
==============
◇関西独立リーグ

関西独立リーグは、「四国・九州アイランドリーグ」、北信越を中心とした
「BCリーグ」に続く国内3番目の独立リーグ。都市部では初めて。

独立リーグは、セ・パ12球団が加盟する日本プロ野球組織(NPB)とは
別の組織が運営するプロ野球リーグで、
関西独立リーグはインターネット関連会社「ステラ」(本社・大阪市淀川区)が
運営事務局となる。

初年度は、神戸9クルーズ、明石レッドソルジャーズをはじめ、
大阪ゴールドビリケーンズ、紀州レンジャーズの4チームでスタート。
2年目以降は京都、滋賀、三重、愛知のチームも加わる予定。

1チームの選手は25人。
年俸は2~10月の月額20万円と出来高報酬。
球団の興行成績によってはボーナス支給も。

開幕予定は4月4日。前期(4~7月上旬)、後期(7月下旬~9月下旬)の
優勝チームによる「関西独立リーグチャンピオンシップ」で
初代リーグ王者が決まる。1チーム年間72試合を計画。
観客数の初年度目標は1試合平均2000人、年間28万8000人。

http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20090101ddlk28050020000c.html

ヘルシーリポート:キノコキトサン メタボの敵、内臓脂肪を燃焼

(毎日 12月27日)

高脂血や高血糖、高血圧などを特徴とするメタボリックシンドロームに
ならないために、最も重要なことは肥満防止。
メタボリックシンドロームが内臓脂肪症候群と呼ばれるように、
特におなかの内臓脂肪が増えると要注意。
肥満防止の基本は、バランスのとれた食事と運動だが、
キノコに含まれる繊維の一種のキノコキトサンが
内臓脂肪の代謝に関係することが分かってきた。

◆細胞膜の構成成分

キトサンといえば、エビやカニの殻から抽出されるキトサンが知られる。
実は、エノキタケなどキノコにも植物性繊維のキトサンが含まれる。
これがキノコキトサンで、キノコの細胞膜などの構成成分。

キトサンを摂取すると、食事に含まれる脂肪を吸着して、
便と一緒に排出されるため、脂肪の吸収を抑える。

甲殻類キトサンとキノコキトサンのどちらも脂肪吸着の働きをもっているが、
最近、キノコキトサンの方には脂肪を燃焼させる働きがある。

キノコキトサンと脂肪燃焼の関係などを研究する
渡邉泰雄・日本薬科大学薬学部教授(薬理学)は、
「キノコキトサンが肥満や生活習慣病の予防になるのではないか」と
さまざまな試験研究を続けている。

◆摂取量の差を解析

キノコキトサンの摂取で、体脂肪率や内臓脂肪が低下するかの試験。
男女46人(30~59歳)を大きく2群に分け、
一方にはキノコキトサンのサプリメント、もう一方には本物そっくりの
偽のサプリメント(プラセボ群)をそれぞれ12週間摂取し、
体重や内臓脂肪の面積、体脂肪率などを比較。

46人は、体格指数(BMI)が25以上の肥満タイプの成人。
キノコキトサンの摂取量は、1日あたり200ミリグラム、400ミリグラム、
800ミリグラムの3群に分けた。
どの摂取群の人も、食習慣や運動などは普段と変わらないように指導し、
キノコキトサンの摂取量の差を客観的に解析(二重盲検法)。

体重の比較では、プラセボ群に変化がなかったのに対し、
キノコキトサンの摂取群は試験前に比べ、平均して0・9~1・8%減少。
体脂肪率でも、キノコキトサンの摂取群は減少し、
キノコキトサンの摂取量が多いほど減少する傾向。

内臓脂肪の面積でも、キノコキトサンの摂取群は平均して減少。
ただ400ミリグラムと800ミリグラムでは大差はなく、
1日あたり400ミリグラムの摂取で十分。

◆皮下脂肪は変化なく

コンピューター断層撮影(CT)を使った画像解析では、
皮下脂肪はほとんど変化しないのに、内臓脂肪の面積は
153平方センチメートルから約半分の74平方センチメートルになるなど、
内臓脂肪の顕著な減少が数多く見られた。

同じ脂肪でも、メタボリックシンドロームに関係するのは
皮下脂肪よりも内臓脂肪だ。
渡邉さんは、「一般に内臓脂肪は落ちにくい。サプリメントを摂取して、
健康な状態のままで3カ月程度で内蔵脂肪が減る結果に驚いた」

◆血糖値下げる作用も

キノコキトサンには、中性脂肪や血糖値を低下させる作用も。
キノコキトサンのどの成分が、脂肪燃焼にかかわっているかの
解明は今後の課題。
脂肪細胞にあるアドレナリン受容体が、脂肪燃焼に関係していることが分かり、
「キノコキトサンがアドレナリン受容体の働きを高め、
レプチンやアディポネクチンの働きの低下を抑えることで、
脂肪燃焼を促しているのではないか」と作用メカニズムを推定。

植物性のキノコキトサンは、エビやカニにアレルギーのある人でも摂取できる。
「体脂肪を下げる基本は適正な食事と運動だが、
効果の出にくい40歳以上の中高年では、キノコキトサンのような機能性食品の
摂取も選択肢のひとつになるのでは」
==============
◇アドレナリン

副腎髄質ホルモン。交感神経を刺激し、心臓機能の高進、
血管を収縮させることで血圧を上昇させるなどの作用。
アドレナリンが作用するには、アドレナリンを受け取る細胞の側に
スイッチの役目を果たす受容体が必要。
いくつかある受容体のひとつに、β3受容体がある。
脂肪細胞にはアドレナリンβ3受容体があり、脂肪の分解と燃焼にかかわる。
β3受容体の働きが悪いと、脂肪の燃焼が悪くなり、
肥満や糖尿病になりやすくなる。

◇レプチン

脂肪細胞が分泌するホルモンの一種。
血液中のレプチン濃度が高くなると、「たくさん食べた」というシグナルが
脳に送られ、食欲中枢は抑制され、食欲は落ちる。
レプチンは、エネルギーの消費を促す働きをもつ。

◇アディポネクチン

脂肪細胞が分泌するホルモンのひとつ。
肝臓や筋肉で脂肪を燃焼させ、血糖値を下げる働き。
肥満になると、アディポネクチンの分泌量が低下。

http://mainichi.jp/life/health/news/20081227ddm010100139000c.html

あまりにも激しい経済環境変化の1年

(日経 12月31日)

主要国首脳が洞爺湖畔に集まってから、まだ半年もたっていない。
チベット問題が影を落とした北京オリンピックの閉幕から4カ月あまり。
麻生太郎首相の就任から3カ月強。
オバマ候補が黒人として初めて米大統領選に勝利してから2カ月足らず。
これらの出来事がずいぶん前に思えるほど、
あまりにも急激な経済環境の変化に世界が揺れ、日本も揺れ続けた1年。

米国を震源とする金融危機は、世界のすべての市場に甚大な影響を及ぼし、
急速な景気冷え込みは、雇用問題の深刻化を伴いながら年を越す。
空前の幅で相場が変動 年初に1バレル100ドルを突破した原油価格は
7月に150ドル近い最高値を付け、今は40ドル前後。
空前の幅で高騰し急落した原油相場は、経済激変の年の象徴。

昨年夏に米国のサブプライムローン問題が噴き出すまで、
世界の経済情勢は「資源高騰下の同時好況」。
その後、今年夏までは「景気減速とインフレの同時進行」が焦点
秋以降は、日ごとに世界不況の様相が深まり、デフレ色も強まっている。
短期間に経済環境がこれほど大きく変わり続けたことが、かつてあっただろうか。

9月に米投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻した衝撃は、とりわけ大きかった。
実体経済に比べ、膨張しすぎていたマネーの経済が猛烈な勢いでしぼみ始め、
株式からも商品相場からも新興市場国からも、投資資金が一気に引き揚げて、
主要国の国債やキャッシュに逃避した。
米欧などで短期資金市場や社債の発行市場が一時、機能マヒ状態に陥った。

各国政府、中央銀行は国内金融機関への公的資金の注入を急ぎ、
利下げや市場への緊急の資金供給など、対応に追われた。
米連邦準備理事会(FRB)が、12月に政策金利の誘導目標を
実質ゼロまで引き下げ、量的緩和政策に踏み込んだことは、
信用収縮の深刻さを端的に示す。

ローンやクレジットカード利用など、家計が負債に大きく依存する米国では、
住宅価格や株価の下落の影響に加えて、
信用収縮の広がりが消費を一気に冷え込ませた。

世界最大の市場である米国の需要減退は、
世界中の企業に直接、間接の影響を及ぼす。
対米輸出依存度の高い国々の景気も減速し、米景気が後退しても
新興国の成長が世界景気を支えるという「デカップリング論」は色あせた。

需要の劇的な落ち込みが特に目立つのは、自動車だ。
11月の新車販売台数は、前年同月と比べて米国が37%、欧州が26%、
日本が27%も減り、中国、ロシア、ブラジル、インドなどでも軒並み減少。

米国では、資金繰りに苦しむゼネラル・モーターズ(GM)など
ビッグ3救済が政治の焦点に。
日本でも、前年度に2兆円を超える連結営業利益を計上したばかりの
トヨタ自動車が、今年度は赤字に転落する見通しに、衝撃が走った。
関連産業のすそ野が広い自動車メーカーの苦境は、
来年にかけて景気と雇用により大きな影響を広げていく。

日本では、年の瀬になって自動車メーカーなどを中心に
非正規労働者の雇用を減らす動きが相次いだ。
景気と雇用情勢の悪化が急速に進んでいるのに、
政治の対応は後手に回った。

福田康夫前首相の突然の退陣の後を継いだ麻生首相の支持率が
短期間で急速に低下した最大の理由も、「政局より政策」と言いながら、
今年度第2次補正予算の提出を来年に先送りしたこと。
枠組み見直しの契機に 麻生首相は年明け後の通常国会に提出する
2次補正予算案と来年度予算案を、
「生活防衛のための大胆な実行予算」と呼び、
世界で最初に不況から脱出することを目指す。

主要国が相次いで財政出動を拡大する中で、
日本の財政措置の規模も大きい。
だが、定額給付金など効果が疑問視される政策もあるし、
衆参ねじれ国会で審議が長引けば、政策対応はさらに遅れる。
衆院選挙がいつごろになるかも含め、
政治の展望は不透明なまま新年を迎える。

米国では、オバマ次期大統領が経済政策担当者をいち早く任命、
1月の就任後2年間に300万人の雇用を創出する目標を掲げた。
世論調査で、オバマ氏への支持率は8割を超える。
期待値の高さは、最大の課題である経済政策の難しさの裏返し。

金融危機に対応するため、11月にワシントンで開かれた金融サミットは
主要7カ国(G7)ではなく、中国、インド、ブラジル、サウジアラビアなども
含む20カ国(G20)の枠組み。
潤沢な資金を抱え、経済成長率も高い新興国抜きでは
世界的な危機への対応が難しくなった国際経済力学の変化を示す。

今回の金融危機が、第二次大戦後に続いてきたドルを基軸通貨とし、
米国のパワーに依存した世界経済の枠組みを、
見直す契機になりつつあることも、認識すべき。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20081229AS1K2600B29122008.html

2009年1月4日日曜日

野球:関西独立リーグ 夢の世界を切り開いてゆく挑戦者たち(その1)

(毎日 1月1日)

今春開幕のプロ野球「関西独立リーグ」に、
神戸市からは神戸9(ナイン)クルーズ、
明石市からは明石レッドソルジャーズが登場する。
地域密着、地域貢献を掲げ、スポーツを通じて市民が結び付く
「地域力」を呼び覚まし、日本プロ野球史上初のヒロインとして
「ナックルボール」をひっさげた吉田えり投手(16)=神戸9クルーズ=
マウンドに立つ。
新たな夢の世界を切り開いてゆく挑戦者たちを紹介する。

「初めて家族と離れるので、不安や寂しさはあります。
でも、プロになれたのは家族の支えがあったからです」

父、母、兄と一緒に暮らす実家で夢を育ててきた。
横浜市内の住宅街にある自宅地下には、12畳ほどの“トレーニングルーム”。
右下手投げからのナックルボールは中学3年の夏、
父勇さん(45)を相手にここで投げ始めた。
部活動引退後、男子の中でさらに野球を続ける未来を描いた。

勇さんが趣味にしていた楽器に替わって、投球の足場用の畳3枚と
ボールを受ける緑色のネットが置かれ、ダンベルやバーベルが並んだ。
川崎市内の高校(神奈川県立川崎北高)から帰ると、投球フォームを確かめ、
手首を柔らかくするうちわを使った独自トレーニングに励んだ。

野球を始めたのは、少年野球をしていた兄の影響。
兄を応援するうちに、「野球がしたくなった」。
小学2年から兄と同じチームに入り、小学3年で投手、捕手、二塁手をこなした。
中学では、ただ一人の女子部員として一塁手のレギュラーに。
胸の内に秘め続けたのは、野球への姿勢。
「グラウンドの整備や荷物整理もすすんでした。
そういうところでも、チームから信頼されたかった」

高校入学直後、野球への情熱を確信する。
打撃練習中、大切な右手首を傷めたことがきっかけ。
数カ月間、10カ所以上の病院を回った。
「野球ができないことにイライラして、親に『もう、野球なんかやらない』って、
当たったことも」。思い詰めていた。
「この病院で最後。だめなら野球をあきらめよう」。
注射を受けると、ようやく痛みが引いていった。
「野球ができないあの苦しみがあったから、
どんなつらい練習も乗り越えられます」

プロのマウンドが刻々と近づく。
「注目されているとしても、実力とは思わない。
ナックルもまだまだプロのレベルじゃない」。
今春からは県内の通信制高校で学びながら、球団職員宅から練習に通って
「一日中、野球に集中する」

誕生日は1月17日。阪神大震災があった日と同じだ。
「神戸のチームに入団できたのも、何か運命的なものを感じます。
私のピッチングで、チームを応援してくれる皆さんの期待に応えたい」

父勇さんは、「研究熱心でまじめ。自分でナックルボールの映像を見て
考えたり、練習メニューも組み立てたりしていた。
協力はしたけど、『練習しろ』と強制したことはなかった」と振り返る。

元阪神投手の中田良弘・神戸9クルーズ監督は、
「入団の意志を尋ねると、『転校してでもやりたい』と、
本気でプロに挑戦する気持ちを感じた。
体力と精神を鍛え、長いイニングを投げられる投手に育てたい。
女子選手の可能性を切り開いてほしい」と期待。

http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20090101ddlk28050009000c.html

うまみ成分:だしの「相乗効果」を解明 昆布+かつお=うまい--米の研究グループ

(毎日 12月26日)

昆布だしに含まれるうまみ成分のグルタミン酸と、
かつおだしに含まれるイノシン酸を合わせると、
うまみが増す「相乗効果」が起きる仕組みを、
米国の研究グループが分子レベルで解明。
「米科学アカデミー紀要」に掲載。

人の舌の細胞表面には、味を感じる「味覚受容体」と呼ばれるたんぱく質があり、
これまで、うまみ、苦み、甘みを感じる受容体が見つかっている。

研究グループは、グルタミン酸とイノシン酸が「T1R1」という
受容体に作用すると推測。

この受容体は、二枚貝のような葉を閉じて虫を捕らえる食虫植物の
「ハエトリグサ」に形が似ており、受容体のどの部分に結合するかを、
人やラットで調べた。

グルタミン酸は、「ハエトリグサ」が開く際のちょうつがいの部分に、
イノシン酸は、先端の開閉部にそれぞれ結合することを突き止めた。
イノシン酸が結合すると、閉じた構造になり、グルタミン酸が安定して
中にとどまるため、うまみを増強させると結論。

味覚を研究している三浦裕仁・鹿児島大准教授は、
「受容体に働くうまみ増強物質を探せば、おいしさを増す調味料が
開発できるだろう。
甘みや塩味を、より強く感じさせる物質を見つければ、
食事の塩分や糖分を減らすことも可能」

味覚には、「甘み」、「苦み」、「酸味」、「塩味」、「うまみ」の五つの基本味がある。
うまみ成分のグルタミン酸、イノシン酸、しいたけのグアニル酸は、
いずれも日本人が発見、うまみという言葉は
「umami」として国際的に使われている。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/12/26/20081226dde041040005000c.html

ひざ半月板:再生に道…関節の幹細胞を移植、ラットで成功

(毎日 12月28日)

ひざの半月板損傷を、関節部分から採取した間葉系幹細胞を移植して
治すことに、東京医科歯科大などの研究チームがラットで成功。
米科学誌「ステムセルズ」に発表。

半月板は、ひざの内部にあり、大腿骨とすねの骨の間で
クッションの役割を担う軟骨組織。
けがや加齢で半月板を損傷した場合、半月板を切除する治療が一般的だが、
関節症などを起こしやすい。

チームは半月板を再生させるため、骨や軟骨になる性質がある
間葉系幹細胞を使った。
同細胞は骨髄から取るのが一般的だが、関節の滑膜という組織から採取。

半月板を損傷させた14匹のラットの患部に幹細胞を移植すると、
約12週間で半月板と同じ性質の軟骨に。
小林英司・自治医科大教授(移植・再生医学)らが開発した、
細胞を遺伝子改変によって光らせる技術で調べたところ、
半月板が再生し関節を保護する様子が確認。

半月板が再生した後の間葉系幹細胞は、過剰に増殖する心配がない。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)を使う再生医療では、
目的の組織ができた後も増殖が止まらず、
腫瘍になったり他の臓器に移動して奇形を生む恐れがあり、課題に。

関矢一郎・東京医科歯科大准教授(軟骨再生学)は、
「滑膜からの幹細胞は採取しやすく取り扱いも簡単。
数年以内に、ヒトでの臨床応用を始めたい」

http://mainichi.jp/select/science/news/20081228k0000m040096000c.html