(日経 12月27日)
社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)は、
2009年度の介護報酬改定で、介護保険から事業者に支払われる
報酬を、来春から3%引き上げることを了承。
介護従事者の待遇改善につなげることで人材の確保と定着を図り、
介護職場の再生を進めてほしい。
政府・与党は審議会の結論を待たず、10月に早々と3%アップを打ち出した。
背景には、介護職場に人材が集まらないことへの危機感。
今回の改定では、夜勤や重度の認知症など負担の大きい介護に対する
報酬を引き上げ、介護福祉士などの有資格者や勤続年数の
長いベテラン職員が多い事業所へ加算。
人件費の地域差にも配慮。
骨の折れる仕事に手厚く報い、質の高いサービスを提供する事業所を
評価することは当然だ。
問題は、これが働く人たちの処遇改善に結びつくかどうかだ。
高齢化の進展で、介護職場で働く人は2014年に140万―160万人必要。
介護の専門職としてキャリアを積める職場が実現すれば、
不況で職を失った人の魅力的な受け皿にも。
介護報酬は、サービス提供の対価として介護従事者個人ではなく、
事業者に払われる。
どう使うかは事業者に任されており、事業所規模や経営状況などで変わる。
厚労省は、介護従事者1人あたり平均月2万円の賃上げを前提に、
介護報酬3%アップを計算、現実には恩恵に浴さない従事者が出る可能性も。
審議会は、事業所が自主的に処遇改善の取り組みの情報を公開することや、
国による事後の検証を求めている。
2000年度、介護保険制度がスタートしてから介護報酬の引き上げは初めて。
介護報酬が上がれば、1割を負担する利用者の出費も増える可能性。
働く人がスキルを磨き、質の高いサービスを提供しなければ納得は得られない。
改定では、医療との連携や認知症ケアの充実、効率的なサービスの提供も
目指しているが、忘れてほしくないのは
介護保険の厳正な運用と事業者の経営努力。
住宅改修などで不当に高い料金を請求される例や、
経営努力を怠り人材が集まらない事業所もある。
介護報酬引き上げで、改革がおろそかになってはならない。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20081226AS1K2600526122008.html
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