2008年7月19日土曜日

[第3部・インド](下)意識改革促した手紙

(読売 7月8日)

1通の手紙が、アブドル・カラム前大統領に届いた。
「ぜひ各村に、誰もがスポーツをできる運動場を整備していただきたい。
スポーツ文化が栄えれば、国も躍動するはずです」

アテネ五輪翌年の2005年。
差出人は、同五輪でインド唯一のメダルをクレー射撃ダブルトラップで
獲得した、銀メダリストのラジャバルダン・ラトール

官僚主義の横行するインドスポーツ界で、ラトールも苦しんだ。
アテネ五輪まで8か月を切った03年暮れ、頂点を争うには
世界レベルの指導者と海外転戦が不可欠との思いを強くした。

そこで、資金提供を協会に頼んだ。
が、動きはなし。
次いでスポーツ省に掛け合ったが、「予算がない」。
念のため財務省に確認すると、「いや予算はある」。

事なかれ主義の協会、役人に約2か月振り回された揚げ句、
自身で予算申請書を書き上げ、約600万ルピー(約1500万円)の
強化資金を獲得。
五輪半年前から指導者を雇い、海外経験を積み、銀メダルを射止めた。

この国のスポーツ組織に責任感はない。
自分のような苦労をしないためには、
国民のスポーツへの意識が変わる必要がある」。
大統領への手紙には、そんな思いが込められていた。

願いは届いた。
国は今年から6~8年間で、国内各地にスポーツクラブを作る計画に着手。
2010年には、初の「クラブ・ゲームズ」でインド一を競う。
インドオリンピック委員会のランディア・シン専務理事は、
「スポーツ界も変わり始めた。
底辺を広げ、2016年の五輪では六つのメダルを狙いたい」
と、変革に自信をにじませる。

国民の意識変革を迫る援軍も現れた。
昨年、女子ホッケーチームの成功物語を描いた映画、
「チャク・デ・インディア」が大ヒット。
今年6月には、インド映画のアカデミー賞で最優秀作品賞、
最優秀監督賞など9部門を受賞。

作品は、02年の英連邦大会で女子が優勝した際、
新聞に結果が4行しか載らなかったことに疑問を感じた
シミット・アミン監督が、使命感から作った。

ホッケーは、インドのもの。
それは従来、男のものだったが、女子の活躍には新時代を感じた。
その過程を描けば、男女関係なく、挑戦することの意義を学べる
スポーツが、インドでも盛り上がると思った」

存亡の危機を乗り越えた経済のように、近い将来、
11億人の底力をスポーツで表す糸口も、見え始めている。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080708.htm

十分な運動でアルツハイマー病の進行を遅らせる可能性と

(CNN 7月15日)

十分な運動量があれば、初期アルツハイマー病において
脳の萎縮速度が遅くなる可能性を、米国の研究者が米神経学会誌に発表。
脳の萎縮速度は遅くなったものの、精神的な面では有意差がなかった。

カンザス大学医学部のジェフリー・バーンズ博士は、
初期アルツハイマー病の患者57人を対象に、
運動量と脳の萎縮についての関係を調査。
トレッドミル上で歩かせて、MRI(磁気共鳴断層撮影)で脳の状態を観察。

結果、運動量の多かった患者の方が、少なかった患者よりも、
脳が萎縮しにくかった。

バーン博士によると、脳は加齢に伴い萎縮するが、
アルツハイマー病の場合はその速度が通常の2倍。

今回の調査が、継続的なものではないことから、早急な結果は出せないとして、
今後より深く研究することが必要。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200807150030.html

HDLコレステロールが低いと記憶力の低下につながる

(Medscape 7月2日)

中年期で、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)の濃度が低いと
記憶力の低下および高齢時の認知症につながることが報告。
Dr Archana Singh-Manoux(フランス国立保健医学研究所[INSERM])ら
が行ったこの研究は、
『Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology』に掲載。

Singh-Manoux博士らは、認知症が脂質レベルを変化させ、認知症の患者の
総コレステロールや低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)が低くなるという
エビデンスがいくつかあり、高齢者において脂質が認知力に及ぼす影響を
調べて得られる結果は誤っている可能性が高い。

中年期の脂質レベルとその後の認知症との間には確かな関係があるが、
重要な脂質のレベルについては正確には分かっておらず、
LDL-C、総コレステロールが高いことが関係しているとする研究もあれば、
HDL-Cレベルが低いことが関係しているとする研究もある。

HDL-Cは、シナプスの成熟とシナプス可塑性の維持に不可欠、
アミロイド形成に影響を及ぼし、アルツハイマー病患者の脳に見られる
蛋白質プラークの主要成分
HDL-Cが低いと、海馬体積が小さい。

今回の研究は、「ホワイトホールII試験」の被験者3,673例を対象に
脂質と短期言語記憶との関係を調べた。
「ホワイトホールII試験」は、英国ロンドンの国家公務員10,000例以上を
対象にした長期健康調査。
被験者の総コレステロール、HDL-C、トリグリセリドを測定し、
2回にわたって短期記憶の検査を行った。

1回目は1995~1997年まで、平均年齢55歳。
2回目は2002~2004年まで、平均年齢61歳。
記憶力の評価は、1または2音節からなる単語20語を約2秒間隔で読ませた。
被験者に、2分間で思い出せるだけの単語を書かせた。
思い出せる単語数が4語以下の場合を記憶障害。

分析は、教育歴、職業上の地位、冠動脈疾患、脳卒中、高血圧、
薬物の使用の有無、糖尿病、喫煙、アルコール消費量で調整。

HDL-Cレベルが低い者(<> 60 mg/dL)に比べ、
2回の評価時のいずれでも記憶障害になっている傾向が大きい。
連関性は、アルツハイマー病の強いリスク因子である
アポリポ蛋白Eε4(アポE4)遺伝子の有無からは独立。

HDL-Cレベルの低い者と高い者とを比較した記憶障害のオッズ比(OR)
平均年齢55歳:1.27 (0.91 - 1.77)、61歳:1.53 (1.04 - 2.25)

2回の記憶力測定の時の脂質レベルを分析すると、
HDL-Cレベルの変化のみが記憶力低下に関連。
HDL-Cレベルが低い者は、高い者に比べて、
記憶力低下(思い出せる単語数が2語以上減少)のリスクが大きい(OR:1.61)。

脂質と記憶力低下との関係に有意な男女差はない、
総コレステロールとトリグリセリドは記憶力低下との間に関係がない、
HDL-Cを上げ、LDL-Cを下げるためのスタチン類使用と記憶力低下とは関連しない。

Singh-Manoux博士は、
「HDL-Cが低いことは、後期中年期での記憶力低下のリスク因子。
低いHDL-Cは、認知症のリスク因子でもある可能性」。

HDL-Cと認知症との正確な因果関係は不明だが、
HDL-Cがβアミロイドの形成を防止、アテローム性動脈硬化や血管損傷に作用し、
抗炎症性・抗酸化作用を介し、記憶に影響を与えることが考えられる。

「高齢者における脂質と記憶力との関係を調べた多くの研究は、
心血管疾患のリスク因子であることが証明されている総コレステロール、
LDLコレステロールに着目。
今回の知見は、注目をHDLコレステロールにまで広げる必要がある」

◆関連する解説記事

Anatol KontushとJohn Chapman(ピエール・アンド・マリーキュリー大学)は、
血漿HDL-Cが低いことと認知症との関連は報告。
高いHDL-Cは、コレステリル・エステル転移蛋白質(CETP)の活性を抑え、
長寿、認知力改善、認知症を伴わない生存につながっていること、
アルツハイマー病の患者では、HDL-Cレベルが低くなるCETP多形性が
高頻度で見られる。

血漿の脂質レベルは、認知症発現の頃に顕著に変動する場合があり、
測定の時期が決定的に重要になるため、因果関係を示せたものはなかった。
HDL-Cを、アルツハイマー病に結びつける生化学メカニズムには複雑で
多様なものが考えられるとし、
「HDL-Cのレベルを上げると、良好な記憶力が保護される」
「因果関係が解釈できない観察研究に基づいて
治療的介入を推奨する場合には、多大な警戒を残しておかなければならない。
Singh-Manouxらの研究のように、重大な限界がいくつかある場合にはなおさら」

「HDL-Cは、有望である可能性はあるが、認知症および記憶力喪失の
予防のターゲットにはまだ入れられない。
HDL-Cと脳機能との相互作用に、研究の力を集中させることが必要」

出典
1. Singh-Manoux A, Gimeno D, Kivimaki M, et al. Low HDL cholesterol is a risk factor for deficit and decline in memory in midlife. The Whitehall II study. Arterioscler Thromb Vasc Biol. DOI:10.1161/ATVBAHA.108.163998.
2. Kontush A, Chapman MJ. HDL: Close to our memories? Arterioscler Thromb Vasc Biol. Published online before print June 30, 2008.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=77005

高血圧死の危険、40代男性突出 厚労省が18万人調査

(朝日 2008年7月5日)

高血圧の40代男性が死亡する危険性は、
正常な血圧の人の3.4倍に上ることが、
全国13の研究グループの調査を統合した厚生労働省研究班の
初めての解析でわかった。

高齢男性では1.5倍前後なのと比べてはるかに高く、
「高血圧は中年ほど要注意」という傾向。

対象は40~90歳の男性約6万5千人、女性約11万人で、
同種の国内調査では過去最大規模。
70~90年代に血圧など健康状態をみて、その後約10年追跡、
男性約1万人、女性約8千人が死亡。血圧と死亡の関係を調べた。
高血圧と関係が深い脳血管の病気がある人は除いた。
結果、収縮期血圧120未満/拡張期血圧80未満と正常な人たちに比べ、
160以上/100以上の高血圧の人たちが死亡するリスクは、
男性で40代3.4倍、50代2.2倍、60代1.8倍、70代1.6倍、80代1.3倍。
女性は40代1.4倍、50代1.9倍、60代2.1倍、70代1.5倍、80代1.2倍。

男性では、若い世代ほど危険性が高くなる傾向。
これらの人がもし正常血圧であれば、全体の死亡者は
男性で23%、女性で18%減る計算。
140以上/90以上と軽症の高血圧でも、危険性が高まることが確認。

高血圧は、塩分の多い食事や肥満、飲酒、ストレスが招きやすく、
働く世代の生活習慣と関係が深い。
滋賀医科大の村上義孝・特任講師は、
「若い世代のリスクがこれほど高いとは驚いた。血圧の異常は放置しないでほしい」

食事日記、行動測定が減量効果を高める

(Medscape 7月8日)

減量介入プログラムの一貫として、食事日記などの行動測定を
継続して行うと、減量が改善されるという
4施設ランダム化臨床試験の結果が、
『American Journal of Preventive Medicine』に発表。

F. Hollis(Kaiser Permanente Northwest医療研究センター)ら
減量維持臨床試験グループ(Weight Loss Maintenance Trial Research Group)は、
「短期および長期の減量の達成には、食事と運動の組み合わせを
強調することが重要である」
「健康行動を改変する行動戦略は、行動を監視・規制し、
減量初期と長期維持への障壁に個人の活動を集中させることを
強調しているので、減量介入の重要な一部をなす。」

減量維持臨床試験では、30カ月間の減量維持を行う異なる手法が比較。
今回は、第1相の6カ月間減量初期プログラムについて方法と結果を記述。
被験者採用基準は、25歳以上の過体重または肥満
(肥満指数 [BMI]が25 - 45 kg/m2)で、高血圧・脂質異常症の
少なくともひとつに対して薬物療法を行っている者。

試験への登録時と6カ月後に、人体・集団・心理社会的データを採取。
エネルギー制限、中等度から強度の運動、
「高血圧食事療法(Dietary Approaches to Stop Hypertension: DASH)」食を
奨励する週1回のグループセッション全20回に、被験者1685例を参加。

減量予測因子の欠損データは、多重代入法(Multiple imputations)で置換。
被験者集団は、44%がアフリカ系アメリカ人、67%が女性、
79%が肥満者(BMI ≥ 30 kg/m2)。
薬物療法は、87%が血圧降下剤、38%が高脂血症用剤。

被験者は、全20回のグループセッションのうち72%に参加、
自己申告による1週あたりの中等度から強度の運動時間は117分、
1週当たり3.7日分の食事日記をつけ、1日あたり野菜と果物を2.9サービング摂取。
第1相の期間での追跡率は92%。

人種、性別に基づく下位群のすべてで顕著に体重が低下(減量幅5.8 ± 4.4 kg)。
4 kg以上減った者が69%。
大きな減量幅に対する有意な予測因子は、初期体重が高いこと、
参加セッション数が多いこと、1週あたりの食事日記数が多いこと、
1週あたりの中等度から強度の運動の申告時間数が多いこと。

試験の限界として、対照が設けられていない観察研究であること、
運動と食事の順守測定が自己申告によること、試験期間が比較的短いこと。

「減量の変動の大部分が、行動項目(食事記録や運動など)によるもの。
行動項目と減量との関連性は、人種や性別の下位群ごとに違っていた」。
「WLM(減量維持)行動介入によって、高リスクのさまざまな患者群において
臨床的に意義のある短期減量の達成に成功した」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=77282

2008年7月18日金曜日

野球:野茂引退 トルネード、日米に旋風 ノーヒット・ノーラン2度

(毎日 7月18日)

日本球界から米大リーグへの道を切り開いたパイオニアが、
ユニホームを脱ぐ。
元大リーガー、野茂英雄投手(39)が17日、現役引退を表明。
日本の「輸入」一色だった日米間の選手の動きに、
新風を吹き込んで十数年。
多くの日本人選手の先駆けとなる足跡を残し、
日米通算19年のプロ生活に終止符を打つ。

◇「野球が好き」 いつまでも少年の心で

野茂は少年時代、父から「大きなフォームで投げなさい」と助言された
トルネード(竜巻)投法で、ミット目掛けて白球を投げ込んだ。
五輪代表にも選ばれた新日鉄堺時代、たまの休日も野球ゲームに熱中。
日米通算201勝を挙げる大投手となった40歳間近の今も、
「野球が好き」と何のてらいもなく言える。
野茂は、少年のころに出会った宝物を大切にし、
それ以外のものは求めない「足るを知る」生き方をしてきた。

95年、ストライキ明けの大リーグにファンを取り戻した「メジャーの救世主」や、
日本人大リーガーの先駆けとなった「開拓者」といった肩書さえ、
野茂本人には実感が伴わない言葉だろう。
どきどきさせてくれるものに素直に従おうとする、飾り気のない少年の心。
右肩の手術を経るなどして球威が衰え、受け入れてくれるメジャー球団が
見つからず、現役引退を決断したが、私財を投じて堺市に創設した
「NOMOベースボールクラブ」を拠点に、今後も野球とかかわり続けていく。

堺市にあるNOMOクラブのグラウンドは、野茂が新日鉄堺時代に
メジャーへ羽ばたく基礎をつくった土地。
工場群に囲まれ、日が落ちると、球音しか聞こえなくなる。
寡黙で不器用で洗練されていないが、一つの道を真っすぐに進む
野茂の背中を追いかけて、高校中退などで野球をする機会を奪われた
若者たちが、今もここに集まる。
「現役の間は、僕自身は直接活動に携われないが、
これからも地域に密着してやっていきたい」と語っていた野茂は、
自分を育ててくれた場所に戻り、宝物を磨き続けていく。

◇「今こそ胸を張れ」--功績たたえる声、続々

野茂の引退表明には惜しむ声と、功績をたたえる声が相次いだ。

88年ソウル五輪投手コーチの山中正竹・横浜球団常務は、
大リーグで活躍していた野茂に、「野球界にとって王、長嶋クラスの
功労者なのだから、活躍ができなくなっても堂々と胸を張っていなさい」。
引退を決めた今こそ、「胸を張ってほしい」。

近鉄時代の先輩、吉井・日本ハム投手コーチは、
「大リーグでは、引退した選手が復帰することはよくある。
また復帰しちゃうかも」。
「本当にやめるのなら、『おめでとう』と言いたい。
あれだけ成功したのだから」と、労をねぎらった。

近鉄時代のコンディショニングコーチだった
立花龍司・ロッテヘッドコンディショニングコーチは、
「絶対にトレーニングを休まない野茂を見て、トレーニングをする選手が増え、
選手寿命を長くしてくれた」と、野茂の野球に対する姿勢を評価。
野茂が入団した時に、仰木彬監督(当時)から
「あいつは腰をひねって投げることで、(ドラフト)1位で入ってきた。
(フォームは)直させないから、壊れるかもしれん。
しっかりトレーニングさせてくれ」と言われた。
投手の練習といえば、キャッチボールとランニングくらいの時代。
「日本で初めてトレーニングしながら投げた」。

社会人野球の新日鉄堺監督時代に野茂を発掘し、入社を勧めた
浜崎満重さん(現宮崎・延岡学園高監督)が、初めて野茂の投球を見たのは
大阪・成城工1年生の秋。
「モノが違った。あれだけ体をひねるのに、軸足がぶれない。
将来すごい投手になる可能性があると思った」。

◇ソフトバンク・王監督

日本野球が米国と比べ、そん色のないレベルにあることを示してくれた。
そのことが、後の選手の意欲をかきたてた。
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◇日本球界の力証明--入札制度導入、移籍、一気に加速

野茂が、95年にドジャース入りしたことをきっかけに、
日本球界は加速度的にグローバル化の波にのみ込まれることに。

90年に近鉄でデビューした野茂は、5年間で78勝をマーク。
しかし、複数年契約を求めるなどして球団と対立した末、
任意引退の形で、95年に大リーグへ渡った。
野茂以前、日本人大リーガーは64~65年にジャイアンツに在籍した
村上雅則氏1人で、日本人選手が通用するかどうかは未知数だったが、
野茂はメジャー1年目から最多奪三振のタイトルに輝き、新人王も受賞。

それまで「輸入」一辺倒だった日米間の移籍が、野茂の成功後に変わり、
日本人選手の米国流出が一気に進んだ。
フリーエージェント(FA)権のない選手の移籍に関するルールが
整備されていなかったため、ロッテのエースだった伊良部が、
球団とけんか別れの形で渡米するなどトラブルが相次ぎ、
98年のオフに「入札制度」(ポスティング・システム)が導入。

00年オフ、イチローが日本人選手として初めて入札制度でマリナーズ入り。
06年オフ、松坂が5111万ドル(約60億円)の史上最高落札額で
レッドソックスに入団。
経営難の日本球団が入札制度を利用し、高値で売れる時に手放そうとして、
移籍の容認を早める動きが加速する傾向。

選手供給源と市場の米国外への拡大を進めていた大リーグは、
野茂の成功に刺激され、本格的に日本に目を向けた。
06年に開催された第1回の国・地域別対抗戦「WBC」で、
日本が優勝し、技術の高さを証明したことで、
日本人選手の人気に拍車がかかった。

07年オフ、FA宣言した福留、黒田を巡り、日米球団が争奪戦を繰り広げ、
昨年の総収入が60億ドル(約6300億円)という好況を背景に
圧倒的な資金力を誇る大リーグ側が、両選手とも獲得。
「野茂の開いた道」は、大リーグの思惑もあり、拡大する一方にある。

http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/pro/archive/news/2008/07/18/20080718ddm035050068000c.html

2008年7月17日木曜日

[第3部・インド](上)人気はクリケットだけ

(読売 7月5日)

銀1個。
2004年アテネ五輪で、人口11億人のインドが得たメダルの数。

世界に優秀なIT(情報技術)技術者を送り出し、米経済誌フォーブスの
2008年版世界長者番付で、4人がトップ10に名を連ね、
すさまじい経済発展を遂げる大国。
五輪の不振ぶりは、余りにも不可思議。

過去にさかのぼっても、お家芸の男子ホッケーが金8(銀1、銅2)という
成績を残すほか、金メダルはゼロ。
独立以前の1900年から、個人種目で3個ずつの銀と銅があるのみ。

週刊誌インディア・トゥデーのシャルダー・ウグラ副編集長は、
「最大の原因は、インドの家庭では都市、地方、貧富を問わず、
スポーツより教育が大切という考えが一般的」

数の「0」を発見したのはインド人で、2けたのかけ算は暗算が常識という
この国の教育熱は高い。
過去の実績もなく、国としての取り組みも薄かった五輪スポーツへ、
子供を向かわせる親は少ない。

インド国内で最も人気のあるスポーツが、
五輪にはないクリケットだったことの影響も大きい。

今春始まったプロリーグのIPLは、英国のプレミアリーグのような
組織化を狙い、8チームの所有権を民間に売却。
富豪や人気俳優が入札した売却額の総計は、7億2400万ドル(約781億円)。
インド陸連の幹部は、「企業は、クリケットだけに投資して、
その“被害”で我々に資金が集まらず、強化も進まず、注目もされない」と、
半ば八つ当たり気味にクリケットを敵視する。

しかし、中国に匹敵する11億の人口がある。強化に問題はなかったのか?
ウグラ副編集長はうなずいた。

「インドの競技団体は、官僚の天下り先。
スポーツでは、どう練習させるかが最も重要だけど、
金がないと言うだけで心がない。
改革も、30年前から必要と言われて、さっぱり進まない」

インドの経済成長は、社会主義的な計画経済が崩壊寸前となった91年、
国営企業の民営化を進めるなどの改革開放政策の断行で始まった。
しかし、スポーツ界には、いまだ旧態依然とした官僚主義がはびこっている。

今年3月、伝統の男子ホッケーが84年ぶりに五輪の出場権を失った。
「国辱」、「恥」、「グッバイ、ホッケー!」
翌朝の現地紙は、一斉に一面で書き立て、協会の責任を追及。
インドスポーツ界は、かつての経済界のような存亡の危機にある。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080705.htm

女性就業率OECD調査でも見劣り

(サイエンスポータル 2008年7月3日)

女性の学歴は、トップグループにあるにもかかわらず就業率は低い。
経済開発協力機構(OECD)が発表した2008年版「雇用アウトルック」で、
日本の男女雇用平等が、先進国中でまだまだ遅れた状態にあることが
あらためて明らかになった。

女性の就業率の低さについて、OECDは
「貴重な人材を著しく無駄にしていることになり、特に人口高齢化の進展という
現状を考えると、早急に対策を講じる必要がある」。

OECDの発表によると、25-54歳の日本女性の学歴は男性と変わらず、
OECDの中でトップグループ。
2005年の高等教育履修率は、OECD平均が28.5%に対し、日本女性は42.5%。
日本より上はフィンランド、カナダの2カ国。

しかし、この年齢層の女性の就業率を見ると、67.4%にとどまっており、
スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドなど
OECDのトップグループを約15ポイントも下回っている。

日本の男性の就業率は約93%に上り、OECDの中でアイスランドとメキシコに
次いで第3位だから、男女格差が余計目立つ。

女性就業率が低い理由についてOECDは、
育児支援の不足、若年層の母親が働く財政上のインセンティブ不足、
労働市場における差別が大きく影響。

「日本では法律上、差別を立証する責任は原告にあるが、
証拠はすべて被告である雇用主が押さえているのが普通。
オーストラリア、カナダ、米国など多くのOECD諸国は、
平等推進機関に強力な調査権限が付与されている」

原告による差別の証拠集めを支援する策の不備など、
男女差別を禁止する法整備の遅れを指摘。
日本の男女雇用平等は、特に科学技術分野で大きな課題。

2006年にスタートした第3期科学技術基本計画でも、
「女性研究者支援」は重点施策にあげられ、
文部科学省がモデル大学を選び予算をつけるなど、
研究者支援が少しずつ進みつつある。

OECD東京センター
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/employment_pdf/20080701employment_japan.pdf
http://scienceportal.jp/news/daily/0807/0807031.html

当世留学生事情(14)受け入れ家庭は「団塊」

(読売 7月4日)

留学生のホームステイ拡大は、団塊の世代が鍵を握る。

東京都荒川区のマンションの台所で、主婦長橋シズエさん(58)が、
米国から上智大学に留学中のケイティーさん(20)に、
「もうちょっと細かくね」と優しく声をかける。
ケイティーさんは、うなずきながら包丁で細かく刻んだ大葉を
マグロの刺し身にかけた。長橋さんの家で、しばしば見られる光景。

ケイティーさんは3月から、長橋さん方にホームステイ。
長橋家は、シズエさんと夫の会社員康幸さん(57)、長女裕子さん(30)の
3人家族。
長男が結婚して家を出て余った部屋を、ケイティーさんに提供。
シズエさんが趣味で通っていた英会話学校の教師に勧められ、
「家の中で英語の勉強が出来ればいい」と軽い気持ちで始めた。

入居直後、ケイティーさんは夜遅く帰ることもしばしば。
「預かった以上、自分の娘と同じ。心配で胃が痛くなって病院に行くほど」
今は、遅くなる時には連絡することに。

ケイティーさんを受け入れてから、食事の時間の家族の会話が増えた。
週末には、鎌倉や浅草へ一緒に出かけることも。
「今は私1人で何でもやるので大変だが、楽しい。
夫が定年退職すれば、助けてもらえるのでもっと楽に」。

一家とケイティーさんを結びつけたのは、
留学支援会社「サクシーオ」(東京都港区)。
日本人留学生の海外での支援が事業の中心だったが、
2年前から国内事業を始めた。
狙いは、大量退職が始まった団塊の世代。
時間があり、子供が独立して余った部屋も利用できる。
英語も学べるし、老後の収入にもつながる。

同社では受け入れ家庭に、1日2食付きで1日2000円の謝礼を用意。
日本語、習字、生け花などの日本文化を教えた場合には、
1時間に1000~3000円を支払う。

同時通訳者の鳥飼玖美子さん(立教大教授)は、
「ホームステイは日本の生活を知り、日本を本当に理解する
外国人を増やす上で最も重要」
「海外では、有償のホームステイも広がっており、
老夫婦が定期的に受け入れる例も多い。
日本の団塊の世代は、受け皿となりうる。
米国でも、受け入れ家庭への減税措置があり、
日本でも費用を必要経費として認めるようにすれば、
受け入れ家庭は増えるのでは」。

大学を通じて、約130人をホームステイさせている関西外国語大学では、
自身や子供がホームステイを経験した家庭の受け入れが多い。
それ以外の家庭に拡大することが課題。
国際交流部の橋本美佐子課長補佐は、
「日本では、客はきちんともてなさねばという考えの人が多く、
留学生の受け入れをためらう一因になる。
家族の一員として、ありのままを出してもらえればいい」

ホームステイを増やすために、行政の取り組みとともに、意識改革も必要。

◆ホームステイは1000人前後

日本学生支援機構によると、2007年5月1日現在、
留学生の宿舎は民間宿舎・アパートが77.1%。
大学が設置する宿舎13.1%、大学の寮4.4%が入居。
3か月以上ホームステイする留学生は818人(0.7%)。
ここ数年1000人前後で、1%に満たない状態。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080704-OYT8T00179.htm

車いすピアニストが演奏会 息吹き込みペダル操作

(共同通信社 2008年7月2日)

病気で下半身が不自由になり、演奏活動を一度はあきらめた
北海道旭川市のピアニスト山崎理恵さん(32)が、
口から息を吹き込んでピアノのペダルを操作する装置を使い、
同市の公民館で試演会を開いた。

山崎さんは、桐朋学園大(東京)ピアノ科を卒業後、
プロとしての道を歩み始めていたが、
20歳の時、膠原病の一種で難病「全身性エリテマトーデス」を発病。
約6年前に、脊椎に炎症を起こし、車いすでの生活を余儀なくされていた。

今回使った装置は、山崎さんのことを知った市内の機械設計会社が
約3年がかりで完成。
管に吹き込んだ息を、アナログ信号に変換してペダルを動かす仕組み。
吹き込みの強弱で、踏み具合が調整できる。

肺活量の問題で、長時間演奏できないなど改善の余地はあるものの、
山崎さんは「6年ぶりの懐かしい音色」と感激した様子。
この日は、ベートーベンの「エリーゼのために」などを演奏。
「ペダルを使う曲はあきらめていたが、また好きな曲が弾ける希望を頂いた」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=76808

うつ、家庭不和など連鎖 自殺の背景に平均4要因

(共同通信社 2008年7月7日)

自殺防止に取り組む特定非営利活動法人(NPO法人)
「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京)や専門家らのチームは、
自殺した305人の遺族からの聞き取りや警察庁のデータを分析した
初めての「自殺実態白書2008」を公表。

自殺に追い込まれるまでに、うつ病、家庭不和、負債など
平均して4つの要因が連鎖している-などの内容。

年間自殺者は、1998年から10年連続で3万人超、
この間に失われた生涯賃金は計約22兆1200億円に上ると推計。
全国の警察署別のデータを初めて分析し、地域ごとの特性も浮き彫りに。

白書を、自殺対策担当の岸田文雄内閣府特命相に提出。
データは、ライフリンクのホームページで公開。
ライフリンク代表の清水康之さんは、
「自治体単位で、対策に取り組む手掛かりにしてほしい」。

調査は、自殺の要因を68に分け、自殺者305人の遺族から聞き取りを実施。
分析の結果、会社員なら「配置転換の後、過労と職場の人間関係の
悩みが重なり、うつ病を発症」のように、自殺に至るまでに
平均して4つの要因が複合。

最も多かった要因は、「うつ病」の139件。
家庭不和、負債、身体疾患、生活苦、職場の人間関係、職場環境の変化、
失業、事業不振、過労-の順。

自殺前の1カ月以内に相談機関を訪れていた人は、全体の62・4%、
半数以上がサインを発しているのに、自殺を防止できない現状も。
清水さんは、「精神科などの医療機関が自殺を食い止める力をつけることや、
医療機関に至る前の包括的支援が重要」。

2004-06年の自殺者数を、発生地の警察署ごとにみると、
青木ケ原樹海を抱える山梨県警富士吉田署が389人で最多。
福岡県警早良署330人、青森県警青森署291人の順。

ライフリンク http://www.lifelink.or.jp/

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=76980

コーヒーと紅茶が脳卒中を予防する可能性がある

(Medscape 6月24日)

コーヒーまたは紅茶の毎日の消費量が多いと、男性喫煙者は少なくとも
1種類以上の脳卒中が予防されることが示された。

大規模プロスペクティブ(前向き)観察研究によれば、
フィンランドの喫煙者のうち、1日にコーヒーを8杯以上飲む者は、
飲む量が少ないか飲まない人に比べ、脳梗塞のリスクが23%低くなり、
紅茶を1日に2杯以上飲む者は、飲む量が少ないか飲まない人に比べ、
脳卒中のリスクが21%低くなる。

この関連性は、冠動脈疾患の履歴といったその他のリスク因子とは独立。
『Stroke』2008年6月号に掲載。

◆抗酸化物質の健康への有益性

コーヒーも紅茶も、広く飲まれているカフェイン飲料で、
抗酸化物質による健康への有益性が知られている。
コーヒー飲用は、炎症および内皮機能障害に対して負の連関、
インスリン感受性を改善し、2型糖尿病のリスクを減らす可能性がある。

ポリフェノール類を豊富に含む紅茶も同様で、
低比重リポ蛋白コレステロールの酸化を防止し、血小板活性化と、
炎症のマーカーである血漿C反応性タンパク質のレベルを下げる。

「コーヒーや紅茶の飲用の脳梗塞リスクに対する有益効果は、
生物学的に充分納得できる。コーヒーや紅茶は、フェノール化合物を含み、
抗酸化作用を持っていて、アテローム性動脈硬化を予防する」。

しかし、カフェイン飲料の飲用と冠動脈疾患リスクとの関係は
積極的に研究されているが、脳卒中リスクとの関連性の研究はわずか。

今回の研究は、ランダム化二重盲検プラセボ対照一次予防試験である
α-トコフェロール・β-カロテン癌予防研究の被験者を対象。
がん予防研究の目的は、α-トコフェロール、β-カロテン、その両方が
男性喫煙者の癌発生率を下げるかどうかを検証。
コホートは、50~69歳のフィンランド人男性29,133例、
タバコを1日に5本以上吸い、脳卒中の履歴を持たない者。
1985~1988年で、該当する男性を募集、1993年まで研究を行った。

調査開始時には、医療歴、喫煙歴、運動歴といった背景情報を収集。
身長、体重、血圧を測定し、肥満指数を算出、血清総コレステロールと
高比重リポ蛋白の濃度を測定。

食品摂取頻度質問表を用いて、過去1年間におけるコーヒーと紅茶の
消費量を評価。
ランダム化対象の被験者のうち、26,556例からこの情報が得られた。
ランダム化から2年ないし5年後に、被験者のいつものコーヒーの淹れ方、
濾過、煮出し、インスタントなのかを尋ねた(20,427例)。
ほとんどが濾過(14,513例 [71.1%])か煮出し(4,232例 [20.7%])。

◆カフェイン含有量を算出

カフェイン摂取量は、コーヒーと紅茶のカフェイン含有量に消費量を乗じて算出。
コーヒーが100 mLあたり80 mg、紅茶が100 mLあたり26 mg。
コーヒーは、まったく飲まないと回答した者が2.5%、
紅茶をまったく飲まないと回答した者が64%いた。
飲用者における1日あたりのコーヒーの平均消費量は5.7杯。

コーヒーの消費量が多い男性は、消費量が少ない男性に比べ、
年齢がやや若く、喫煙量が多く、収縮期血圧と拡張期血圧が低く、
糖尿病または冠動脈疾患の履歴を持つ割合が小さい傾向、
運動量が多く、アルコールと紅茶の消費量が少なかった。

紅茶を飲む者は、飲まない者に比べ、喫煙量がやや少なく、
運動量が若干多く、アルコール消費量は多いがコーヒー消費量は少ない傾向。

分析には、ランダム化から2004年までに起きた脳卒中を含めた。
平均13.6年間の追跡期間において、脳梗塞が2,702例、脳内出血が383例、
くも膜下出血が196例、原因不明の脳卒中が84例。

◆その他の種類の脳卒中とは関連性がない

年齢と心血管系リスク因子について調整すると、
コーヒー消費および紅茶消費の両方とも、脳梗塞リスクとの間に
有意な負の連関があったが、その他の種類の脳卒中との間には連関がない。

コーヒーおよび紅茶の消費量が多い群と少ない群の脳梗塞の多変量リスク
「コーヒー」
相対リスク:0.77、95%CI:0.66 - 0.90、傾向:P< .001
「紅茶」
相対リスク:0.79、95%CI:0.68 - 0.92、傾向:P=.002

コーヒー消費量と脳梗塞リスクとの間の負の関係は、
糖尿病および冠動脈疾患の履歴、血圧、アルコール消費量、
喫煙本数について調整しても維持。
年齢層、肥満指数、血清の総コレステロールと高比重リポ蛋白の濃度、
運動量の違いによる有意差なし。

この連関は、コーヒーの淹れ方が煮出しか濾過かに関係ない。
追跡期間が10年未満と10年以上の被験者の結果も一致。
紅茶についても、消費量と脳梗塞との間の連関に、
年齢および心血管系リスク因子による変動はない。

α-トコフェロール・β-カロテン癌予防研究は、男性喫煙者のみを対象。
女性や非喫煙者に一般化できない可能性がある。
「女性や非喫煙者で確認する必要がある」。

Stroke. 2008;39:1681-1687.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=77169

ビフィズス菌増やす糖 おなかに良い粉ミルクも

(共同通信社 2008年7月10日)

人の母乳に含まれる糖の一種に、整腸作用があるビフィズス菌を
増やす効果があるのを、京都大の山本憲二教授らと
食品総合研究所(茨城県つくば市)の研究チームが突き止めた。

これまで母乳で育てた赤ちゃんの腸には、粉ミルクで育てるより多くの
ビフィズス菌がいることが分かっていたが、詳しい理由は不明。

チームは、この糖を人工的に合成することに成功。
山本教授は、「これを加えることで、赤ちゃんのおなかに
良い粉ミルクを作ることができそうだ」。

菌を増やす効果があるのは、糖の最小単位が2つくっついた
「二糖」と呼ばれる分子。
母乳中には、それより大きなオリゴ糖の一部として含まれている。

山本教授らは、ビフィズス菌がオリゴ糖から二糖だけを切り離す酵素を
持つことを確認。
菌が二糖を栄養として取り込み、盛んに増殖する仕組みを備えていることを
遺伝子レベルで解明。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=77157

よく動く人、がん遠ざける 厚労省研究班が調査 「医療ニッポン」

(共同通信社 2008年7月10日)

仕事か余暇かにかかわらず、体をよく動かす人は、
そうでない人より、がんになりにくいことが
厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)
の疫学調査で明らかに。
男性は大腸、肝臓、膵臓のがんで、女性では胃がんでそうした傾向。

詳しい原因は解明されていないが、研究班は、運動で肥満が改善されたり、
免疫機能が高まったりすることなどが関係しているのではないか、と推測。

調査は、岩手から沖縄まで9府県の45~74歳の男女約8万人を、
約8年にわたり追跡。期間中に、約4300人が何らかのがんにかかった。

激しいスポーツをした時間や、歩いたり立ったりした時間、
睡眠時間などをアンケートし、対象者の平均身体活動量を算出。
その量の多さによって、4グループに分け、がんとの関連を分析。

その結果、身体活動量が最多のグループは最少グループに比べ、
がんになるリスクが男性で13%、女性で16%低かった。

研究班は同様の疫学調査で、体をよく動かす人は死亡リスクが低いとの
研究も6月に発表。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=77160

2008年7月16日水曜日

[第3部・タイ](下)「女も世界で戦える」

(読売 7月3日)

涼やかな目元に、強い意志を込め、静かに言った。
「タイの人々は今、とても五輪に関心がある。
頑張れば、女も世界で戦えることを伝えたい」。
アテネ五輪女子テコンドー49キロ級銅メダリスト、ヤオワパ・ブラポンチャイは、
迷いなく使命感を口にする。

1996年アトランタ五輪で、伝統のボクシングがタイ史上初の金メダルを
実現すると、その後は女性の躍進が際立った。
2000年シドニー五輪女子重量挙げ58キロ級で、
女子初の銅メダルを獲得すると、アテネ五輪では同53キロ級の
ウドンポーン・ポルサクら2人が金。
重量挙げの4個とヤオワパの銅を合わせ、メダル8個中5個を
女子が占め、メダル倍増を支えた。

その一因は、タイ五輪委員会がボクシングに加え、シドニー五輪で
正式種目となった女子重量挙げとテコンドーを重点強化したことだが、
五輪委のチャルック・アリラチャカラン専務理事(75)は、
タイでは、男より女が働き者で、社会進出も進む。
金メダルの刺激を受けたのは、女性たちだった」。

19歳の史上最年少メダリストとなったヤオワパは、
スラリとした容姿と、端正な顔立ちで、CMに引っ張りだこ。
女性がスポーツに打ち込める時代の象徴的存在。
貧しい出身の多い他のメダリストが軍職を求める中、
報奨金は全額両親に渡し、小遣いで学生生活を楽しむバンコクっ子。
母スリーさん(42)は、「あの子の目的は、お金じゃなく自己表現。
女の子は、家事を手伝うのが当然の時代に生まれた私たちの悔しさを晴らして、
女性の可能性を広げてくれた

午後6時。バンコク中心部のベンチャシリ公園では、
200人以上がエアロビクスに興じる。
99年から、市当局が公園に指導員を派遣して行っている。
9割方が女性。約40分後、女性たちの笑顔が輝いた。

参加10年目の主婦、ダオラト・スクサムランさん(54)は
「最初は20人ほどだったけど、相変わらず酒やたばこばかりの男に比べ、
女の健康意識は高くなった」と笑い、
指導員のマリンカ・ピームンさん(21)は、
「ヤオワパたちの活躍で女性が倍増した」。

スリナカリンウィロット大のパイブーン・スリシャイサワット体育学部長(51)は、
母親の関心は、子供たちの興味に影響する。
この基盤を生かせば、タイのスポーツはもっと強くなる」。
女性の力は、タイのスポーツ界を、変えていく。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080703.htm

青色ランプ防犯に一役 大船渡・南町一番丁商店会

(岩手日報 7月11日)

大船渡市大船渡町の南町1番丁商店会(鈴木啓二理事長)は、
商店街の街路灯18基に青色のランプを設置。
心理的効果で犯罪抑止につなげる「青色防犯灯」の取り組み。
19日に開幕する「海フェスタいわて」を盛り上げる狙いもあり、
ブルーライトが全国の観光客を出迎える。

青色防犯灯の設置は、青色が人の気持ちを落ち着かせるという効果を
利用して、犯罪抑止を目指す取り組み。
県内では、同町の大船渡駅前に、試験的に3基が設置。
設置した通りでは凶悪事件の発生はなく、住民からも
「港町の雰囲気が出ている」などと好評。
同商店会でも、「海フェスタに合わせて青色防犯灯を導入したい」。

青色の水銀ランプの購入、設置費約80万円のうち、
市と同町防犯協会が一部補助。
スーパーやホテル、一般商店などが軒を並べる中心部の街路灯18基に設置。

9日夜には、地元防犯関係者や住民約100人が出席して、点灯式を実施。
鈴木理事長は、「犯罪防止とともに、イメージアップにつなげたい。
これを機に、防犯意識が高まればうれしい」。
代表者のテープカットを合図に防犯灯が点灯すると、参加者を青い光が包んだ。
大船渡署では、今後も各地で青色防犯灯の設置を呼び掛ける方針。
来賓として出席した川村裕司署長は、
「このような地域の皆さんの活動は非常に心強い。
ブルーライトの港町として、景観向上にもつながれば」と期待。

海フェスタ、開幕まで1週間 大船渡主会場

(岩手日報 7月12日)

「海フェスタいわて」は、大船渡市を主会場に沿岸南部3市2町で
19日から開催。9日間の日程で、世界最大級の練習帆船「日本丸」など

数多くの大型船の入港をはじめ、シンポジウムや夏まつりなど、
合計100を超えるイベントを展開。
全国から数10万人の来場者を見込み。
同フェスタは、1986年から「海の祭典」として全国の主要港湾都市で開催。
東北では宮城、青森両県で開催しているが、2003年に「海フェスタ」と
改称してからは、本県が東北初開催。
目玉は、全11隻の大型船入港。
23日は「日本丸」と豪華客船「飛鳥Ⅱ」の競演が実現。

後半の目玉は、東北最大級の海の祭典「三陸・大船渡夏まつり」。
海上七夕が運航され、メーンの26日は海上花火大会が行われる。
地震津波に備える三陸地方らしく、津波防災など各種シンポジウムを
開催するのも特徴。
期間中は、三陸海岸観光物産展が開催され、
来場者に三陸の旬の味覚が振る舞われる。
開幕まで1週間となり、大船渡市のフェスタ開催推進室も準備にフル回転。
武政久夫室長は、「これほどのイベントの集中開催はめったにない。
万全の準備でお迎えするので、多くの方に来場してもらいたい」。
同推進室は、大船渡湾の「潮風クルーズ」に小中学生1000人を無料招待。
問い合わせ(0192・27・3111)。

当世留学生事情(13)海外の実情 現地で実習

(読売 7月3日)

海外での国際協力活動に力を入れる大学がある。

夕日が差し込む、広島大学大学院国際協力研究科の会議室。
机の上に並べられたアフリカ・ザンビア共和国の写真を前に、
院生たちが意見を交換。
集まったのは、国際協力研究科が国際協力機構(JICA)と連携して
2002年から始めた「ザンビア特別教育プログラム」の参加者。

「滞在中に、AIDS(後天性免疫不全症候群)で同僚の先生が亡くなった。
生徒の半数は親がいないなど、貧困にあえぐザンビアの状況を肌で感じた。
隊員活動と研究の両立はしんどかったが、
生徒と粘り強く向き合った体験が将来役立つはず」。
05年秋から参加した池谷拓人さん(27)は、現地での活動をそう振り返った。

青年海外協力隊員として2年間、現地で理数科教員をしながら
研究も行う同プログラム。
赴任前の研修、帰国後の論文執筆を含め、標準で3年半修士課程に在籍。

同大は、JICAが1994年からフィリピンなどで実施した
理数科教員研修プロジェクトに参加。
ザンビアでは、義務教育を7年から2年間延ばした結果、
8、9年次の教育を担う教員が不足。

国際協力研究科長の池田秀雄教授(57)は、
「夏期休暇には、現地に教員を派遣して集中講義を行い、単位を取得させる。
JICAの支援を面的に広げ、国際協力の現場で活躍する学生を育てたい」。

天理大学では、被災地でのボランティア活動を単位として認定する
「国際参加プロジェクト」に取り組んでいる。

01年、大震災に見舞われたインド西部で支援活動をして以来、
これまでに4か国に計111人の学生が出向いた。
現地での活動は2~3週間。事前研修と帰国後の報告書作成にも力を注ぐ。

橋本武人学長(73)は、「海外で、現地の人と復興に汗する体験が重要。
広い世界に目を向け、自分自身を見つめ直すきっかけにしてほしい

昨年、フィリピンでのプロジェクトに参加した
国際文化学部ヨーロッパ・アメリカ学科4年の久保真百子さん(21)は、
情操教育の一環として子供たちにリコーダーを教えた。
「学びたい、という子供たちの思いをひしひしと感じた。
世界が広がり、何事にも積極的になったのが大きな財産。
この経験を、教育に携わる仕事で生かしたい」

金や物の支援だけでなく、国際貢献の最前線で活躍する人材が着々と育っている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080703-OYT8T00231.htm

減量介入が2型糖尿病の患者に有効

(Medscape 7月8日)

『Diabetes Care』で報告されたAction for Health in Diabetes(Look AHEAD)
臨床試験の結果によると、多様な減量介入に従った体重超過または
肥満の2型糖尿病の成人患者は、体格指数(BMI)がより低かった。

Look AHEAD Research Groupでブラウンメディカルスクール/ミリアム病院の
Hollie A. Raynorらは、
「2型糖尿病の患者に対して、意図的な減量が推奨されるが、
患者が試みる方法と、体重管理に関する有効性は不明」

「この研究では、Look AHEAD臨床試験への登録時に2型糖尿病を有した
体重超過の被験者からなる多様な標本において、
意図的な減量方法およびBMIとの関連について報告した」。

横断的分析では、Look AHEAD試験に登録したBMIが25kg/m2以上の
45~74歳までの女性3063例と男性2082例におけるベースライン時の
減量方法を調査。

減量方法には、体重の自己測定の頻度、食事パターン、
体重コントロールの実践が含まれた。
半数未満(41.4%)の被験者が、少なくとも週1回は体重の自己測定を行った。

被験者は、週に6.0±1.8日朝食をとり、
食事と間食を合わせて1日に5.0±3.1回食事をし、
週に1.9±2.7回ファーストフードを食べていた。
果物と野菜の摂取量を増やすこと、甘いものを食べないこと、
高炭水化物食の摂取を減らすこと、
この3つが、最も一般的に報告された体重コントロールの実践法。

約60%の被験者が、前の年に少なくとも20週間、これらの方法を実行。
調整モデルにおいて、BMIがより高いこととの関連が認められた因子は、
体重の自己測定回数が週1回未満であること、
週あたりのファーストフードの摂取回数が多いこと、
週あたりの朝食摂取回数が少ないこと。

研究の限界には、性別および人種または民族を特定したBMIの
多変量解析を実施できないこと、
被験者が自己報告した測定値は後ろ向きの性質をもつこと、
摂食パターンと体重コントロールの実践の自己報告に関連する
バイアスの可能性があること、
被験者のBMIの範囲が限定的であること、
試験デザインが観察的かつ横断的であること。

「Look AHEAD試験集団において、規則正しい体重の自己測定と
朝食の摂取は、ファーストフードの摂取頻度が低いことと併せて、
BMIがより低いことと関連」。

「これらの方法は具体的で、包括的な減量方法(摂取カロリーの制限)よりも
容易に実施、監視、および遵守できる可能性がある。
今後の研究では、2型糖尿病の成人患者における体重コントロールを
助けるため、特定の方法を持続的な使用を奨励する介入を検討すべき」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=77184

熱中症:屋内でも多発 患者の3割、重症者の6割/高齢者は特に注意

(毎日 7月11日)

◇気温35度超すと危険
 ・めまい→体冷やし水分、塩分
 ・吐き気→すぐに病院へ搬送

蒸し暑い夏に気をつけなければならないのが、熱中症。
地球温暖化や都市部の気温が高くなる「ヒートアイランド現象」の影響で、
発症の危険性は高まる。
「重症なら死に至る。甘く見てはいけない」と専門家は警告。
予防法や応急措置を知り、夏を元気に乗り切りたい。

体がほてり、汗が止まらない。
ペットボトルの水を一気に飲むと、逆に寒気がしてきた。
気分は悪く、めまいがし始めた。

私が4月、炎天下のベトナムで2時間取材した後に経験した症状。
当時の気温は30度前後で蒸し暑かった。
日陰で休息しながら水分をとり、汗で失われた塩分を含む食事をすると、
大事に至らずに2時間ほどで回復。

帰国後、みやさか内科医院(東京都)の宮坂隆院長にこの話をすると、
「軽い熱中症だったのでしょう」。

◆見分け難しく

熱中症とは、暑さで体温を一定に保てなくなり、体内の水分や塩分の
バランスが崩れて異常が表れた状態を指す。
「熱失神」、「熱けいれん」、「熱疲労」、「熱射病」とも呼ばれ、
医師でも緊急性が区別しにくい。
現在では、軽い症状から順に1、2、3度と分類。

人の体温は通常、36~37度の狭い範囲。
暑くなれば、自律神経の働きで、皮膚に血液を集めたり、汗をかいたりして
体温の上昇を防ぐ。
蒸し暑い夏には、体温調節の機能が追いつかず、体に熱がたまる。
熱中症の「準備段階」。

この段階を過ぎた1度では、めまいや立ちくらみなどの症状
すぐに涼しい場所に移動させて体を冷やし、水分と塩分を与えることが必要。
なかなか改善しなかったり、吐き気やけいれんなど症状が出てくれば、
すぐに病院に搬送しなければならない。

有賀徹・昭和大教授(救急医学)は、「搬送の際、付き添いの人が
熱中症になった当時の気温や行動、既往症などを医師に伝えると
適切な診断と素早い処置ができる」。

◆体力低下時も

宮坂さんは、「高齢者は冷房が苦手。体温の上昇に気づかないことも多い」。
本人や周囲が風邪と勘違いして処置が遅れる場合があり、
「夏季に急に食欲がなくなったら、熱中症を疑ってほしい」。

5歳以下や肥満の人、睡眠不足の人は、周囲の環境への適応力が落ち、
熱中症になりやすい。

熱中症は、太陽が照りつける屋外で起こると考えられがち。
しかし、室内で全患者の約3割、重症者の約6割が発症。
「暑く蒸した換気のない室内で、アイロンをかけたり、台所で料理をしたり
する場合には要注意」と警告。

体が暑さに慣れていない時の発生が多く、梅雨明け後の約1週間に目立つ。
1日では、気温が高くなる午前11時~午後3時が危険時間帯。

◆温暖化で北上

温暖化による気温の上昇で、熱中症の危険性も高まりそう。
昨夏は、東京都と17政令市で熱中症で搬送された患者数が、
過去最多の5102人。

今後、北海道や東北地方でも熱中症発症のリスクが高まるとして、
エアコンのない世帯向けに、一時避難所の設置を提案。

国立環境研究所の小野雅司・総合影響評価研究室長は、
「熱中症で年間300~400人が亡くなっている。
最高気温が35度を超えると、熱中症のリスクが高まる。
高齢化社会を迎え、お年寄りへの支援体制に力を入れるべき」。
==============
<熱中症の重症度と対処法>
重症度1
症状
1)めまい、立ちくらみがある
2)筋肉のこむら返りがある(痛い)
3)ふいても汗が出てくる
4)頭ががんがんする(頭痛)
対処法
1)水分、塩分を補給する(塩分も補えるスポーツドリンクが最適)

重症度2
症状
1)吐き気がする・吐く
2)体がだるい(けん怠感)
3)意識がない         
対処法
1)足を高くして休む
2)水分、塩分をとる(自分でとれなければすぐ病院へ)

重症度3
症状
1)体がひきつける(けいれん)      
2)呼びかけに対し返事がおかしい     
3)まっすぐに歩けない・走れない
4)高い体温である
対処法
1)水や氷で冷やす(首、脇の下、足の付け根)
2)すぐに救急隊を要請

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/07/11/20080711ddm013100115000c.html

プロ棋士の後頭部に「脳ダコ」?活性化領域を発見

(朝日 2008年7月10日)

将棋のプロ棋士が盤面を見て考えるときに、
後頭部にアマチュアより脳が活発化する領域があることがわかった。
理化学研究所が、日本神経科学大会で発表。

理研と日本将棋連盟、富士通が共同で進める、
棋士の直感の解明を目指すプロジェクトの研究の成果。
活発化した脳の一部分が大きくなるという仮説「脳ダコ」にあたる可能性も。

理研脳科学総合研究センターは、四~七段のプロ棋士のグループと、
2組のアマチュアの計3グループを対象に脳の働きを調べた。

実戦の局面とでたらめに駒を並べた盤面を一瞬見せて、
どちらか判別させる実験では、
プロ棋士は0.1秒見ただけでほとんど区別できたのに対して、
アマチュアの四、五段グループは0.5秒、初段では1秒必要。

盤面を次々に見せながら機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)装置で
脳を調べたところ、頭頂葉の背内側部と呼ばれる部分の
2センチ立方ほどの大きさの領域の働きが活発化。

プロ棋士11人のうち8人が活発化、高いレベルのアマチュアも
難易度が低い局面では活発化。

研究チームは、活発化した領域が指のペンだこのようになる「脳ダコ」に
あたるのかの解明などを進めていく。

2008年7月15日火曜日

当世留学生事情(12)全学生 海外で英語修業

(読売 7月2日)

短期海外留学を必修としている大学がある。

宮崎県清武町に1994年に開学した宮崎国際大学。
学生数はわずか305人だが、日本で初めて全授業を英語で行った。
教員34人中27人が外国人教員で、学生は英語漬けの毎日。

1、2年生の授業では、外国人教員のほか、日本語も分かる
英語アシスタント教員の2人体制。
4月終わりの2年生の授業は、豪州とニュージーランドへの短期留学を控えた
学生のための「オーストラリア・ニュージーランドの文化」。
ニュージーランドの映画を見た上で気付いた、同国の慣習や、
映画の内容についての発表。

10分間の発表後、質問時間もあったが、予習してきた紙を見ながら
話す学生もいて、質問もなかなか出てこない。
アシスタントの助言をもらいながら、英語を絞り出す。

3、4年生の授業では一変する。
社会心理学の授業では、テミーナ・グラッドマン准教授が、
「CriticalThinking(批判・分析的思考)」について英語で授業を進める。
説明の途中でも、学生が授業を止めて英語で分からないところを確認。

同大学では、2年の後期に米英豪、カナダ、ニュージーランドの
提携16大学のいずれかに、4か月間留学することを必修。

一つの大学に派遣する学生数は、8人以内に制限。
何かトラブルがあれば、まず自分で解決し、次は現地の大学スタッフ、
それでも駄目なら宮崎まで連絡してくるよう指導。
困難な時こそ、英語を使って切り抜けることが出来れば自信に。

デジ・トム海外研修ディレクターは、
「短期留学を経て、学生は点数を取るための英語から、
コミュニケーション手段としての英語に変わる」。

春休みまで留学を3か月間延長する学生も多い。
カナダに留学した国際教養学部4年の水保卓也さん(21)は、
韓国や中国からの留学生から過去の日本の侵略戦争について
意見を聞かれたが、すぐには答えられなかった。
寮に戻ってインターネットで調べ、自分の考えをまとめて伝えた。

付け焼き刃とわかっているが、友達を失いたくない一心だった。
英語が完全でなくても、積極的に自分の意見を言っていかないと
友達の輪にも入れないことを実感した。
「帰ってきて、とにかく英語を使いたくて仕方なかった」と水保さん。
すべての授業を英語で行い、外国人教員が多い同大学には、
その欲求を満たす環境がある。

米国に留学した磯井清吾さん(20)も、宮崎国際大の授業では
「自分で考えて意思表示していかないといけない。
答えが違っていても、それに至る考え方を評価してくれる」。

留学を通じた経験をどう生かすか?
留学後の大学側の取り組みも重要。

◆日本人の海外留学

2004年現在、海外に留学している日本人は8万2945人。
海外からの留学生がここ10年で約2倍増なのに対し、約3万人増。
留学先は、米国が4万2215人で最多、欧米諸国で約7割。
最近では中国への留学が増え、1万9059人で第2位。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080702-OYT8T00255.htm

コンテナ航路が正念場 大船渡-韓国、開設1年

(岩手日報 7月10日)

大船渡港と韓国・釜山港を結ぶ外国貿易コンテナ航路が、
原油高の影響で本来の週1便から減便を余儀なくされている。

船会社が、貨物量が少なく採算性の低い港への寄港を減らしているためで、
利便性の低下からさらなる貨物の減少も引き起こしている。
本県初の定期運航として、開設1年を経過した同航路だが、
早くも正念場を迎えている。

昨年4月の航路開設から今年3月まで週1便運航だったが、
船会社の減便要請を受けて4月は3便、5月は隔週の2便に減少。
6月は、船の遅れなどが重なって1便しか寄港。

貨物量は、9月の278TEU(1TEU=約25トン積載コンテナ1個)を
ピークに、昨年度後半から減少。
今年に入って100TEU前半で推移したが、6月は23TEUにまで激減。

減便の背景には、原油高に苦しむ船会社の航路再編の流れ。
船会社は現在、燃料の重油を少しでも節約しようと
船の航行速度を落とす一方、寄港地を絞り込んでいる。
大船渡港に寄港するコンテナ船も、仙台や小名浜など国内の5港に寄港し、
他港と比べて貨物量の少ない大船渡港を省くケースが出ている。

韓国船会社の代理店を務める三栄海運(東京)の山池輝晴常務は、
「運航スケジュールを調整しているが、当面は隔週になる」。

地元水産物を輸出する大船渡湾冷凍水産加工業協同組合の
鈴木憲助参事は、「航路が安定しないのでは、荷主にとって使い勝手が悪い。
最低でも週1便を確保してほしい」。

外貿コンテナ航路は、週1便のサービスが業界の常識。
大船渡魚市場では、これからサバやサンマなどの水揚げの
最盛期を迎えるだけに、地元水産関係者にとっても利便性の低下は必至。
同港の安定しない運航スケジュールに、
便数が豊富な仙台港などに切り替える動きも出ている。

大船渡市港湾経済部の室井良雄部長は、
「週1便の運航を船会社に要請しているが、現時点で好材料は少ない。
引き続き要請を行うとともに、大口顧客の獲得を柱に貨物確保の
セールスに全力を挙げたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080710_15

企業満足度、本県は2位 人材育成を評価

(岩手日報 7月12日)

経済産業省は、企業誘致の支援体制について都道府県ごとに
企業が採点した企業立地満足度調査の結果を公表。
総合評価で、本県(昨年17位)は2位に躍進。
人材育成や立地後のフォローアップが高く評価。

1位は大分県(同2位)。上位6位には、東北では福島県(同8位)。
自動車、半導体の「連峰型」の産業集積を進めている本県にとって、
さらなる産業集積に弾みがつきそう。
調査は、4月21日~5月16日、2006年に固定資産を増加させた
2万7498事業所を対象に実施。回答数は4870事業所で、回答率は17・7%。
設問は、
▽総合評価、▽許認可手続きなどの迅速性、▽ワンストップサービスによる対応、
▽補助金や優遇税制などの経済的インセンティブ、
▽人材あっせん・育成支援、▽インフラ整備、▽立地後のフォローアップ、
▽市町村との連携―の8項目。
本県は、「インフラ整備」を除く7項目で高く評価、
「人材あっせん・育成支援」、「立地後のフォローアップ」は
2年連続で高い満足度を得た。

満足度の高い自治体について経産省は、
大分県が100社以上の企業を訪問して原油高対策の要望を聞いた例を挙げ、
「企業に小まめに足を運んで取り組んでいる」。
本県は、トヨタが国内第3拠点の東北の中核に位置付ける
関東自動車工業岩手工場(金ケ崎町)を軸にした自動車産業、
北上市に新工場建設を計画する東芝などの半導体産業の成長が著しい。
県企業立地課は本年度、約200社を目標に県外企業の訪問を始め、
既に立地した企業約300社に対してはフォローアップを展開。
技術開発や人材育成、取引拡大などに向け産学官連携を拡充。
県商工労働観光部の廣田淳部長は、
「インフラ整備は、検討課題としてしっかり取り組む。
評価に恥じないよう、支援策を一層充実させ、さらなる産業振興を図る」。

「皇居のタヌキ」陛下が論文、ふん分析し共同執筆

(読売 7月11日)

天皇陛下が皇居に生息するタヌキのふんを分析し、
研究者と共同執筆された論文
「皇居におけるタヌキの食性とその季節変動」が、
国立科学博物館発行の研究報告に掲載。

論文は、同館研究員ら4人との共著。
タヌキは、決まった場所にふんをためる習性があり、陛下と研究者は
2006年4月~07年12月、皇居内で確認された「ためふん場」30か所から
169個を採取し、水で洗って木の実や昆虫の未消化の殻を取り出し分析。

この結果、自然豊かな皇居にすむタヌキは、
残飯をあさる都市部のタヌキとは違って、
オサムシなどの昆虫や木の実をよく食べ、ふんの数から最大14頭と推計。

調査は陛下の発案で、陛下は御所近くにあるふん場に通い、
採取、水洗い、分析を自分でされた。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080711-OYT1T00173.htm

スポーツ21世紀:新しい波/274 バレー協会・個人登録制度/9止

(毎日 7月5日)

2005年元日、日本サッカー協会(JFA)は「JFA2005年宣言」を発表。
「サッカーを通じて、豊かなスポーツ文化を創造し、
人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する」との理念の下、
15年の中期、50年の長期目標を掲げた。

15年の目標は、
(1)サッカーファミリー500万人、(2)日本代表の世界トップ10入り、など。

日本バレーボール協会(JVA)も、「JVA21世紀ビジョン」を発表。
2010年までの目標に、
(1)JVAメンバー100万人、(2)7万チーム、
(3)Vリーグ観客70万人、(4)現状より年5億円の増収、
(5)男子代表の世界ベスト5、女子代表のベスト3入り--を設定。

JVAの改革は、JFAの30年を駆け足で追いかけている印象。
JVAの伊藤晃執行役員は、「登録制度を検討する際、JFAをある程度参考。
『より先進的なものを』と意気込んだのが、あだになった面がある」。

他競技に先駆け、78年に個人登録制度を採用したJFA。
その趣旨をJFAは、「競技団体は大会を運営する際、抽選会を開き、
会場を借り、審判を呼ぶ。
そうした運営費用を、サッカー界全体で分担しようという発想。
サッカーは、『アソシエーション式蹴球』とも呼ばれるように、
サッカー界にはアソシエート(仲間)意識がある」。

08年度予算で、JFAの総収入約175億円のうち登録料収入は20億円程度、
「景気に左右されない点で、貢献度は高い。
都道府県協会の足元が安定し、運営もしっかりできる」(JFA)。

「サッカーファミリー」に支えてもらう代わりに、JFAは強化の拠点となる
トレーニングセンターを各地に作り、クラブユース選手権など
学校チームに所属しない選手のための大会を設けた。

個人登録制度は収入をもたらす。その代価として、
競技団体はあらゆる登録メンバーに利益を還元する義務を負う。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

2008年7月14日月曜日

世界一幸せな国は? 世界97カ国・地域の幸福度調査

(CNN 7月2日)

全米科学財団(NSF)は、世界97カ国・地域の幸福度ランキングを発表。
世界で最も幸せな国はデンマーク、最下位は政情不安が続くアフリカ南部の
ジンバブエで、日本は43位。

調査は、各国・地域の住民に対し、幸福度と生活全般についての
満足度を尋ねた。
その結果、幸福度が高かった上位10カ国・地域は、
デンマーク、プエルトリコ、コロンビア、アイスランド、北アイルランド、
アイルランド、スイス、オランダ、カナダ、オーストリアの順。米国は16位。

幸福度は、経済成長や民主化、社会的寛容度の高さに比例し、
独裁政権下の国や貧困国は幸福度が低い傾向も判明。
「幸せでない」と感じる人が、「幸せ」と感じる人を上回ったのは
ルワンダ、ロシア、イラクなど19カ国。

最下位のジンバブエでは、ムガベ大統領による長期強権政治が続き、
超高率インフレにも襲われて、住民の南アフリカなどへの脱出が相次いでいる。

http://www.cnn.co.jp/business/CNN200807020017.html

当世留学生事情(11)母校と日本ダブル卒業

(読売 7月1日)

二つの大学を、一度に卒業できる制度を導入する大学が増えてきた。

「制度がなかったら、日本留学はできなかった」
信濃川を見下ろす丘の中腹にある長岡技術科学大学の、
大きなモーター音が響く実験室で、
留学生のレー・チュン・ズンさん(22)が振り返った。
実験を手伝うトラン・バン・ガンさん(23)、普段は隣の実験室で、
セラミックスの研究をしているチュン・トゥ・アインさん(24)もうなずいた。

3人は、同大とベトナム・ハノイ工科大の国立大同士で行っている
共同学位制度「ツイニングプログラム」を利用して来日した1期生と2期生。
すでに3人とも大学院生に。

このプログラムなら、4年半で両方の大学の学位が得られる。
学生は、9月にベトナムでハノイ工科大に入学。
2年半、基礎科目の講義を受けながら、留学に必要な日本語を習得。
十分な日本語能力と日本で専門教育を受けるだけの知識を備えた学生だけが、
長岡技術科学大3年次に編入。

3人は、辞書に載っていない日本語の表現や専門用語は、
自分で日本語から英語に、英語からベトナム語に訳して学んできた。
アインさんが作ったオリジナルノートは、五十音順に付せんがはられ、
まるで辞書のよう。

技術立国・日本で学ぼうとするアジアからの留学生を多く受け入れていた。
現在は、大学院生を含む学生2328人の9%が留学生。
学生の7割が、3年次に高等専門学校から編入する大学だという点も、
制度導入の味方をした。

ハノイ工科大も、日系企業の進出を受け、日本語や日本文化に精通した
技術者の育成方法を模索。
学長同士の会談で導入が決まり、2003年に1期生がハノイで勉強を始めた。
編入学試験に合格したのは3人。
その後も、年ごとの試験の合格者は10人に達したことはない狭き門。

長岡技術科学大の国際センター長、伊藤義郎教授(56)は、
「意欲と能力の高い学生を発掘でき、国際貢献にもなる。
学生にとってもいい刺激になるはず」。

両方の学位があれば、日越双方で進路が開ける。
これまでに卒業した1、2期生の多くが、ベトナムに進出している
日本企業やベトナムの日系企業に就職。
ズンさんたち3人のように、節約できた費用や時間を充て、
そのまま大学院に進む人もいる。

幼いころ、父親がホンダのカブを大事そうに手入れしていたことが
心に残っているというズンさん。
「日本の製品は最高だとずっと信じてきた。その日本で学べるのが幸せです」。
日本企業に就職して企業風土を学んでから、ベトナムに帰り、
日系企業で指導者になりたいという夢。

共同学位制度でスポットライトを浴びた卒業生たちの、今後の活躍に期待。

◆共同学位(ダブル・ディグリー)制度

二つの大学に在籍し、短期間で両大学を卒業する制度。
留学先で取得した単位を、籍のある大学で卒業単位に算入する
単位互換制度とは異なり、取得した単位を、両方の大学で卒業単位として数える。
2006年現在、国内の国立8校、私立29校が導入。
海外大学との単位互換制度は、国公私立160校が持っている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080701-OYT8T00226.htm

2008年7月13日日曜日

当世留学生事情(10)言葉教え合い地域交流

(読売 6月28日)

地元の住民が、積極的に留学生と触れ合う活動も広がっている。

日本有数の米の産地、新潟県南魚沼市。
世界各国の国旗が描かれたガードレールのある道を走り抜けると、
国際大学の建物が見える。
元日本興業銀行頭取の中山素平氏が設立に尽力し、
財界の支援で1982年に設立された大学院だけの大学。
約50か国からの約250人が、国際関係や国際経営学などを学んでいる。

6月のある晴れた日、留学生15人は大学近くの農家を訪れ、
はだしになっておそるおそる水田に足を踏み入れると、
腰を曲げながら苗を植えていった。
留学生も農家の人も泥だらけになり、自然に笑みがこぼれる。

国際大の留学生と地域の懸け橋になろうという任意団体「夢っくす」
企画した田植え体験ツアー。
留学生は、用意された山菜料理に舌鼓も打ち、
集落に伝わる踊りも一緒に踊った。

夢っくすは、地元の主婦や会社員ら、18歳から76歳までの約130人が会員。
2002年に設立、大学内の学生寮に併設された「夢っくすサロン」を拠点に活動。
会員は、いつでもこのサロンを借りることが出来、留学生向けの日本語教室や、
地元住民向けの英語や中国語の会話教室が開かれている。

設立に中心的な役割を果たした元同大職員、武田里子さん(52)は、
普段の生活で日本語を使う機会が少ないと思っている留学生と、
英語を練習したがっている日本人で互いに教え合い、
交流の障害となっていた言葉の壁を逆に、交流のきっかけにしたいと思った」。

活動の核が、日本語チュータープログラム。
会員が授業で分からなかった日本語や、日本語試験の復習を手助けする。
現在会員40人に対し、50人の留学生が登録、
週1回1時間程度、留学生と「サロン」で落ち合う。

仲良くなった会員と留学生が、個人的に連絡を取り合った別の活動も。
サッカー観戦、着物の着付け教室、茶道教室、中国語会話教室など様々。
定期的につながりがあるからこそ、田植えや稲刈り、小旅行といった
季節ごとのイベントも盛り上がりを見せる。
留学生の妻の出産時に、会員が一緒に病院に行って通訳したことも。

会員に最も人気があるのは、留学生による英会話教室。
留学生には、謝礼も支払われる。
5月の教室には、近所の主婦ら8人が参加し、講師を務めるネパール人留学生の
アルナ・パンタさん(35)から英語の表現上の助言を受けた。

3年半この教室に通う今成透さん(76)は、
「楽しくて仕方ない。英語はぼけ防止には一番いいよ」と笑う。
「夢っくすがなければ、交流なんて出来なかった。
あっと言う間にさみしくなくなった」とアルナさん。

夢っくすの活動は、留学生と住民をどうつなぐかの一つの答えを示している。

◆日本語教育

大学入学前、国費留学生は国立大の留学生センターで、
私費留学生は大学付属の留学生別科で日本語教育を受けることが多い。
昨年の時点で、留学生別科は61大学、留学生センターは54大学。
民間の日本語教育機関は2006年12月現在、390あり、3万人余が在籍。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080628-OYT8T00321.htm

ケセンきらめき大学講座 エコミュージアムを学習気仙まるごと博物館提唱

(東海新報 7月1日)

気仙地域の実践的まちづくり講座「ケセンきらめき大学」(田村満学長)
の公開講座が、東海新報社で開かれた。
講師の大山由美子・丹青研究所部長は、全国の先進事例を紹介、
エコミュージアムの理念を解説。

地元資源を発掘する「住民の記憶の収集」を出発点に、
自然保護と人の生活が両立する“気仙まるごと博物館”の新たな展開を提唱。

講座には、同大学生ら二十人余りが出席。
午前中は講義、午後は地元資源を掘り起こし、
誘客ストーリーまで考えるワークショップ。

鈴木迪雄・全国生涯学習まちづくり協会コーディネーターは、
「気仙には、世界に発信できる素材がたくさん眠っている」と、
地域資源の活用を強調。

大山氏は、1979年名城大理工学部卒。
89年に丹青研究所に入社、現在は文化空間企画開発研究部長。
15年前、旧三陸町で展開された“まるごと博物館”を主唱した経緯もあり、
講座ではエコミュージアムの理念と実践例、気仙での展開まで話を進めた。

エコミュージアム発祥は、1960年代のフランス。
パリへの文化一局集中を反省し、地方の文化遺産を
地方の自然の中で見る運動が始まり、
それが地方の観光振興と活性化にも貢献したことから世界に広まった。

エコはエコロジー(生態学)、ミュージアムは博物館の意味で、
日本では20年前から各省庁がこの考えを導入。
現在、全国では100カ所ほどの地域で活動。

四国のあさん(阿波・讃岐)ライブミュージアムでは、
吉野川流域の3町で「広域青空博物館」を構想。
藍染め体験やサトウキビ利用の和三盆糖生産、
山仕事の人たちが集団で食べていた「たらいうどん」の特産化などで集客。

三重県鳥羽市では、水族館中心の観光を反省。
「青都とば生活・環境博物館」として、黒潮や真珠、海女、昔の水軍、
小説の舞台などを掘り起こした活動を展開。

兵庫県豊岡市では、「コウノトリ翔る地域まるごと博物館」として活動。
コウノトリが暮らせる無農薬農業でのエサ確保、営巣ができる松の木保全、
電線地中化などで生態系を再構築。
子どもを運んでくるトリにあやかった神社のお札にも人気。

大山氏は、「自然保護だけでは人は生活できず、
鳥も人も生活もの視点が大切。
生態系を守ると、安心・安全な産物として収入にもつながる。
気仙にも多彩な資源があり、住民の記憶の収集を出発点に
連携、発信、郷土愛創造へと進んでほしい」、
気仙全体での“まるごと博物館”展開を期待。

齊藤俊明大船渡市観光物産協会長は、
「気仙の将来は、大変な事態が想定されている。
個々に取り組んでいるまちづくり活動を、一本化する時期と実感」。

http://www.tohkaishimpo.com/

教育基本計画:5年間で「世界最高水準の研究拠点」

(毎日 7月1日)

改正教育基本法に基づく教育振興基本計画を、閣議決定。
教育に関する初の基本計画で、「教育立国」を宣言し、
「公教育の質を高め、信頼を確立する」など、
今後10年を通じて教育が目指すべき姿を提示。

5年間で「世界最高水準の卓越した教育研究拠点の形成」、
「いじめ、不登校、自殺などへの対応の推進」など
77の施策に取り組む方針。

計画は、「子どもの学ぶ意欲や学力・体力の低下」、「少子化の進行」
などを課題として明示。
10年間で世界トップの学力水準を目指し、
教育内容、教育条件の質の向上を図る。

5年間で取り組む施策として、
▽子どもの体力を、85年ごろの水準に回復することを目指す、
▽各大学で教育内容・方法の改善を進め、
厳格な成績評価システムの導入を目指す、など。

文部科学省は当初、「教育予算をGDP(国内総生産)比5%超にする」、
「教職員定数を約2万5000人増員する」
との数値目標記載を目指したが、財務省などの抵抗で実現せず。

教育予算は、「諸外国における状況を参考の一つとし、確保が必要」、
教職員数は、「定数の在り方などの条件整備について検討」
との表現に後退。
「私学助成を充実する」などの記載も目指したが、
「私学助成その他の支援を行う」との記載に。

渡海紀三朗文科相は、「財政再建という国家的課題の中で、
長期計画を作るのがいかに難しいか改めて感じた」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080701k0000e010050000c.html