2008年7月15日火曜日

当世留学生事情(12)全学生 海外で英語修業

(読売 7月2日)

短期海外留学を必修としている大学がある。

宮崎県清武町に1994年に開学した宮崎国際大学。
学生数はわずか305人だが、日本で初めて全授業を英語で行った。
教員34人中27人が外国人教員で、学生は英語漬けの毎日。

1、2年生の授業では、外国人教員のほか、日本語も分かる
英語アシスタント教員の2人体制。
4月終わりの2年生の授業は、豪州とニュージーランドへの短期留学を控えた
学生のための「オーストラリア・ニュージーランドの文化」。
ニュージーランドの映画を見た上で気付いた、同国の慣習や、
映画の内容についての発表。

10分間の発表後、質問時間もあったが、予習してきた紙を見ながら
話す学生もいて、質問もなかなか出てこない。
アシスタントの助言をもらいながら、英語を絞り出す。

3、4年生の授業では一変する。
社会心理学の授業では、テミーナ・グラッドマン准教授が、
「CriticalThinking(批判・分析的思考)」について英語で授業を進める。
説明の途中でも、学生が授業を止めて英語で分からないところを確認。

同大学では、2年の後期に米英豪、カナダ、ニュージーランドの
提携16大学のいずれかに、4か月間留学することを必修。

一つの大学に派遣する学生数は、8人以内に制限。
何かトラブルがあれば、まず自分で解決し、次は現地の大学スタッフ、
それでも駄目なら宮崎まで連絡してくるよう指導。
困難な時こそ、英語を使って切り抜けることが出来れば自信に。

デジ・トム海外研修ディレクターは、
「短期留学を経て、学生は点数を取るための英語から、
コミュニケーション手段としての英語に変わる」。

春休みまで留学を3か月間延長する学生も多い。
カナダに留学した国際教養学部4年の水保卓也さん(21)は、
韓国や中国からの留学生から過去の日本の侵略戦争について
意見を聞かれたが、すぐには答えられなかった。
寮に戻ってインターネットで調べ、自分の考えをまとめて伝えた。

付け焼き刃とわかっているが、友達を失いたくない一心だった。
英語が完全でなくても、積極的に自分の意見を言っていかないと
友達の輪にも入れないことを実感した。
「帰ってきて、とにかく英語を使いたくて仕方なかった」と水保さん。
すべての授業を英語で行い、外国人教員が多い同大学には、
その欲求を満たす環境がある。

米国に留学した磯井清吾さん(20)も、宮崎国際大の授業では
「自分で考えて意思表示していかないといけない。
答えが違っていても、それに至る考え方を評価してくれる」。

留学を通じた経験をどう生かすか?
留学後の大学側の取り組みも重要。

◆日本人の海外留学

2004年現在、海外に留学している日本人は8万2945人。
海外からの留学生がここ10年で約2倍増なのに対し、約3万人増。
留学先は、米国が4万2215人で最多、欧米諸国で約7割。
最近では中国への留学が増え、1万9059人で第2位。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080702-OYT8T00255.htm

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