2010年11月20日土曜日

「ペイアズユーゴー」で慶応大・土居氏/高所得者はより多く負担を

(2010年11月12日 Japan Medicine(じほう))

厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会で委員を務める
土居丈朗氏(慶応大経済学部教授)は、
施策の新規導入や拡充に財源確保を義務付ける
「ペイアズユーゴー原則」の下、給付の拡充を盛り込んだ制度改正を
実現するには、利用者負担や保険料負担の引き上げは
避けては通れないとの見方を示した。

低所得者の負担増をできるだけ抑える配慮も必要とし、
高所得者により多くの負担を求めるなど、
制度の応能性を高める必要がある。

高齢者本人や世帯の課税状況などに応じて、6段階に設定している
第1号被保険者(65歳以上)の保険料負担について、
土居氏は、「第5~6段階により多く負担をお願いし、
第1~2段階はほとんど増えないような仕組みとしてもよいのでは」と提案。

厚労省によると、2008年度末現在、第1号被保険者約2830万7000人
のうち、第1~2段階は約18.5%、第5~6段階は約38.3%。
これらの状況を踏まえ、「全体の2割は据え置きで、8割を負担増とし、
上から4割の人にはもう少し多く負担してもらう。
人数構成的に見ても無理はないのでは」

高所得者の利用者負担の引き上げにも言及、
「第6段階の人から、利用者負担増をお願いする。
あまり大々的には入れられないかもしれないが、
保険料上昇を食い止める1つの方法としてお願いすることは考えられる」

第2号被保険者(40~64歳)の保険料負担の在り方について、
「今の仕組みのまま単純に料率を上げるだけでは、
明らかに保険料率格差が拡大する可能性が出てくる」、
「総報酬割」の導入が重要な検討事項。

介護保険部会で、議論の俎上に上がっている公費負担割合の
引き上げについて、「社会保障分野への目的税として、
消費税を上げることになっても、社会保険という観点から、
5割を堅持すべき」との見方。

現行の介護給付費の財源構成である「公費5割・保険料5割」を
維持した場合、公費を1とすると「1+1」で、
確保できた公費の2倍額を給付費とできるが、
「公費6割・保険料4割」とした場合、「1+2/3」となり、
給付費の額は小さくなる。

土居氏は、「保険料負担は軽くて済むかもしれないが、
全体として給付費に回せるお金が多く増えない」
「増税できないと給付拡充できないというしがらみに、
もっと強く拘束されてしまう」と解説。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/15/128297/

教えて小沢みさきさん 岩手町でホッケー強化事業

(岩手日報 11月14日)

岩手町ホッケー協会の未来のエース育成強化事業は、
町ホッケー場で2日間の日程で始まった。
北京五輪に出場した小沢みさきさん(25)=グラクソスミスクライン、
沼宮内高―富士大出=を講師に迎え、
2016年の岩手国体で主役を担う小学生が、日本トップレベルの技を学んだ。

強化事業には、町内のスポーツ少年団に所属する約40人の児童が参加。
小沢さんと大石恵菜さん(23)=グラクソスミスクライン、
沼宮内高―立命館大出、岩手クラブのメンバーが指導に当たった。

13日は基礎練習を中心に行い、小沢さんが実際にプレーを見せながら、
体の動かし方やシュート時に、スティックを短く持って振り抜くことなど、
具体的なアドバイスをした。

子どもたちにとって、岩手町初の五輪選手はあこがれの的。
強化合宿に選抜された一方井小の高橋亜未さん(5年)は、
「大人になったら、小沢みさきさんみたいになりたい」と夢を膨らませる。

小沢さんは、実業団チーム・グラクソスミスクライン(日光市)に所属、
12月の全日本選手権に向けて練習中。
今回、町ホッケー協会の依頼を受けて、大石さんと共に古里に戻った。

小沢選手は、「町に日本トップレベルの指導者がそろっていて、
そういう人に教えてもらえるのはプラスになる。
ホッケーが『楽しい』、『好き』という気持ちを大事に頑張ってほしい」と、
未来のスター候補選手にエールを送る。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101114_6

扉の向こうに:広州アジア大会新競技/4 クリケット 360度の開放感「注目を」

(毎日 11月5日)

佐野市で今年5月、クリケットの女子ワールドカップ(W杯)
東アジア・太平洋地区予選が行われた。
大会誘致には、日本代表選手が住み、日本クリケット協会が
事務局を置く佐野市を、「クリケットのまち」にしたいという
関係者の思いがあった。

「小学生から大人まで、競技を楽しめる環境を作りたい」と、
日本協会の宮地直樹事務局長(32)。
この大会で日本は優勝し、来年の世界最終予選に駒を進めた。

日本協会によると、クリケットは球技ではサッカーに次いで
世界第2位の競技人口を誇る。
日本では、明治維新当時、英国商人らが横浜にクラブを作ったのが
始まりとされるが、その後は野球などの人気に押されて、
一時は「幻のスポーツ」と呼ばれた。

1980年代から徐々に広まり、84年に日本協会が発足。
現在の国内競技人口は、在住外国人を含め、約2000人。
宮地さんらは、本格的なクリケット場を整備したり、
クリケット教室を通して底辺拡大を図る。

広州アジア大会には、女子の日本代表が出場、
普及への思いは選手たちも同じ。
主将の栗林江麻(27)は、08年10月から今年3月まで、
世界最高レベルのニュージーランドへクリケット留学し、
本場のクラブでプレー。
「イチロー選手のように海外で活躍すれば、
クリケットの知名度も上がる」と考えたからだ。

1チーム11人でプレー。
打者は、舟のオール型のバットで硬球を打ち、
投手はワンバウンド投球などで、打者後方のウィケット(3本のくい)を
倒すなどしてアウトを取る。
打球が転がる間に、打者と投手側にいる次打者が、
ともに二つのウィケット間(約20m)を走り切れば、1ラン(得点)。
360度がフェアゾーンの開放感も魅力。

国内では、ソフトボール経験者らが大学から競技を始めるケースが目立つ。
会社勤めで、遠征費も自己負担と、環境は厳しい。
アジア大会には、強豪のインドが出場せず、
パキスタンが頭一つ抜けているが、栗林は「勝つことで注目される。
一戦ずつ勝ち取った結果がメダルなら最高」と意気込む。
==============
◇クリケット

英国発祥のスポーツで、国際クリケット評議会には105カ国・地域が加盟。
アジアではインド、パキスタンなど英連邦圏で盛ん。
フェアプレーの精神を尊重する「紳士のスポーツ」とも呼ばれる。
アジア大会は、約3時間で終わる20オーバー
(1チームの投球数が120球)制を採用。
W杯は50オーバー制、伝統的な国代表試合は5日間で行う。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/11/05/20101105dde035050039000c.html

情報機器を使う(6)デジタル授業 道半ば

(読売 11月13日)

葛飾区立本田小学校で行われた、4年2組の総合学習の授業。
児童23人全員の机の上に、指やペンで操作できる
「タブレットPC」と呼ばれる小型のパソコンが、1台ずつ置かれている。

鎌田尚子教諭(36)が、電子黒板に「かき」、「すいか」と書き、
「ローマ字で打ってみよう」と指示すると、
児童は真剣な表情でPCに向かった。

20秒ほどでできる児童もいれば、間違えた字を打ってしまい、
「『戻る』ができない」と先生を呼ぶ子も。
PC操作の慣れ具合には、個人差があるものの、
児童の意欲は総じて高いようだ。

学校で初めてパソコンを触ったという林暢基君(9)は、
「速く(キーを)打てるようになりたい」と積極的。
浅田紫乃さん(9)は、「パソコンの授業は楽しい。
ローマ字をちゃんと覚えたい」とにっこりした。

鎌田教諭は、「いずれは、パソコンで自分の考えを表現できるよう
指導したい」と抱負。

タブレットPCを児童1人に1台配備し、校内に無線LAN(情報通信網)も
整備し、電子黒板も利用する。
情報通信技術(ICT)が充実した環境で、
子ども同士がお互いに教え合う――。
総務省は、そんな未来を思わせる学校の実現を目指した
「フューチャースクール推進事業」を始めた。

全国の公立の小学校10校をモデル校に指定し、
端末や電子黒板、通信環境などを徹底的に整備。
その上で、ICT環境構築や授業で活用する際の課題について、
技術、コスト、教育効果など様々な観点から3年間かけ、
実証実験を行う。
本田小学校はその一つ。

実証実験では、デジタル教科書の是非についての検証が注目。

政府は、2020年を目標に、児童生徒用の「デジタル教科書」を
1人1台、全国で導入することを検討。
文部科学省は、「一人一人の能力に応じた学びが可能になる」
などと説明するが、同省の有識者懇談会では、
情報機器の常時使用による児童生徒の健康への悪影響や、
コミュニケーション能力の低下を懸念する声が出ている。

コミュニケーション能力や人に共感する力は、
人と人との生身の触れ合いで育まれる。
情報端末に日々触れることに、落とし穴はないのか?
1人1台については、その効果とともに、
負の側面の慎重な検証が求められる。

◆デジタル教科書

文部科学省の検定を経た教科書に準拠したデジタル教材。
「指導者用」と「学習者用」の2種類ある。
「指導者用」は、電子黒板に映し出し、教師が指導用に使う。
「学習者用」は、タブレットPCなどに表示して使い、
児童生徒が1人1台持つ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101113-OYT8T00232.htm

2010年11月19日金曜日

科学で漆文化を次代へ 盛岡・県立博物館でシンポ

(岩手日報 11月6日)

盛岡市の県立博物館で、「いわての漆」関連シンポジウム
「縄文漆を科学する」は、約80人の参加で開かれた。

宮腰哲雄さん(明治大教授)らが、日本伝統の漆文化を
次代に継承するため、科学分析の必要性や研究成果を発表。

宮腰さんは、「漆の文化と科学―漆文化の学際研究の世界」と題し講演。
漆利用の歴史は、9千年前の縄文時代にさかのぼるが、
出土品を見ると、縄文人は漆を理解し、創意工夫し、
高度な技術を持っていた」と指摘。

漆器を作るとは、「単に器物に漆液を塗る作業ではない。
漆の性質を理解し、漆を使いこなす技術、
きれいなもの作りをする技が必要。
そのためには、漆のことをもっと知る必要がある」とし、
漆のさまざまな科学分析法を解説。

かつて「万能の塗料」と言われた時代もあった漆だが、
現代の塗料のほとんどは石油からの合成。
「石油は限りある資源。
持続可能な社会をつくるためにも、植物由来の漆利用が重要」とし、
さらなる学際的研究の必要性を訴えた。

本多貴之さん(明治大)が漆の有機化学分析、
神谷嘉美さん(東京都立産業技術研究センター)が
岩手町豊岡遺跡出土品の分析結果、
吉田邦夫さん(東京大総合研究博物館准教授)が漆の産地と年代、
河西学さん(山梨文化財研究所室長)が豊岡遺跡の漆塗土器の技術、
阿部芳郎さん(明治大教授)が縄文の漆工芸をテーマに発表。

同展は、県博開館30周年記念特別企画で、
約400点の展示を通じ本県漆文化の全容を紹介。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101106_7

3店舗の工夫を紹介「ウルトラD」成果報告会 大船渡

(東海新報 11月17日)

県商店街振興組合連合会が主催する成功店モデル創出波及事業
「ウルトラD大船渡」成果報告会が、コラソンまるしちで開催。

6月以降、研修を重ねてきた盛町内の3店舗が事例を紹介し、
地道に続ける工夫や自己意識を変化させる大切さを伝えた。

同連合会では、「魅力ある商店街実現のためには、
魅力ある店舗の集積でなければいけない」との考え方から、
個店指導を行うことで、商店街の活性化を図ろうと企画。

臨店研修先は盛、大船渡の両商店街振興組合員から募集。
選考の結果、盛町にあるイセキ、まるよ、くすりのタカギの3店舗。

各店舗での取り組み内容を広く商業関係者らに聞いてもらおうと、
報告会を開催。
県や市、大船渡商議所などが後援し、市内外から約40人が参加。

連合会事務局から、4カ月間にわたる研修の概要が示された。
3店舗個別の研修は7月から始まり、
講師は、中小企業診断士の高橋幸司さん。
福島県内に事務所を構え、コンサルティング先の8割が小規模事業所、
5年前から全国各地でこの事業の指導役を務めている。

7~10月まで、月1回のペースで臨店指導や3店舗関係者が揃っての
サークル研修を受けた。
各店では、商品の陳列やダイレクトメールの記入内容など、
細かい工夫を重ねた。
その結果、9月の売り上げが前年同月比で4割伸びた店舗も。

各店舗ごとの報告では、店舗内の写真や実際に作成したチラシ、
広告を示しながら、取り組み内容を紹介。
「良い余韻が残っているうちに、もっと行動を続けていきたい」、
「自分自身の店舗に対する意識が変わった」など、
今後に向けた前向きな発言も多かった。

実際に目に見えた形で効果が出ている事業とあって、
出席者も熱心な表情で聴講。
各店舗ごとの報告後には、質問も相次いで寄せられ、
関心の高さをうかがわせた。

http://www.tohkaishimpo.com/

扉の向こうに:広州アジア大会新競技/3 ドラゴンボート 看護師ら22人で構成

(毎日 11月4日)

朝日が水面に映える午前6時半。
兵庫・相生湾に、船首に竜の顔、船尾に竜の尾をかたどった船が進む。
側面には竜のうろこ。
「相生ペーロン 磯風漕友会」が操るドラゴンボートだ。

メンバーのほぼ全員が、地元の男性看護師。
22人が乗り込む大人数の団体競技だが、日本代表コーチを務める
同漕友会の河田英幸監督(46)は、
「この競技に(単独の)ヒーローはいらない。だから面白い」と笑う。

相生市では1922年から、中国発祥のドラゴンボートと同じ起源を持つ
伝統行事「ペーロン競漕」が行われている。
ぺーロンには、「飛竜」、「白竜」などの意味。
98年、市立看護専門学校教員の河田監督らが中心になり、
チームを結成。
河田監督は、「きつくて大変な職業と思われがちな看護師が、
『元気だぞ』というところを見せたかった」

日本ドラゴンボート協会の勧めで、01年から競技会の
日本選手権(大阪)にも出場。
アジア大会への代表選考会となった今年7月のレースを制し、
大会3連覇を果たした。
現在、メンバーは34人。
カヌーやボートの経験者は一人もいない「雑草集団」だ。

練習も独創的。
アジア大会が迫った最近でこそ、相生湾での水上練習を
組み込んだものの、普段の練習は専門学校の敷地内に設置した
巨大な鉄製水槽(長さ7m、幅5m、高さ1・3m)で、パドルをこぐ練習を行う。
時間は、日勤が終わる午後7~9時。

河田監督は、「(湾での)水上練習に傾き過ぎると、
職場に戻ってこなくなる。
私たちの本分は看護師だから」と強調する。

船の先頭で太鼓をたたく司令塔の山本聡(36)は、
「力強いこぎだけではなく、全員のタイミングが合わないとスピードは出ない」
1匹の蛇がはったような波は、22人の心が一つになった証拠。

今回は、カヌーの一種目として出場するが、
将来は五輪入りを目指したい、という関係者も多い。
本場・中国でのアジア大会は、その絶好のアピール機会となる。
==============
◇ドラゴンボート

250m、500m、1000mの3種目で行われるタイムレース。
国際大会では長さ12m、幅1mのボートにこぎ手20人、太鼓手1人、
かじ取り1人の計22人が乗り込む。
古代中国の春秋戦国時代に原形ができたとされ、
1970年代から競技化が進んだ。
91年、国際連盟が設立、現在、63カ国・地域が加盟。
日本協会は92年に発足。

http://mainichi.jp/enta/sports/archive/news/2010/11/04/20101104dde035050027000c.html

情報機器を使う(5)教員の研修 まだまだ

(読売 11月12日)

「電子黒板を使った授業は、決して難しくありません」
つくば市にある独立行政法人「教員研修センター」で実施された
情報通信技術(ICT)の指導者養成研修。
都道府県から派遣された76人の指導者候補生に、
講師役の男性が強調。

研修は、電子黒板やデジタルカメラなどの情報機器を使った
効果的な授業や、情報モラルの指導法などを習得するのが狙い。
文部科学省所管の同センターが今年度から実施。
受講者たちは、それぞれの地域に戻った後、
ICT活用の講師として活躍することが期待。

今回の日程は4日間。
初日となるこの日は、七つのグループ別にICTを使ってどんな授業が
できるかなどについて話し合い、電子黒板で発表。
修学旅行で子どもたちが撮った写真を、電子黒板で地域の人たちに
公開する授業を提案した和歌山県教育センター学びの丘の
浜上修・指導主事(43)は、「各地域での取り組みもわかる。
研修はありがたい」

教員のICT活用指導力の向上は、喫緊の課題。
文科省は2007年、「授業でICTを使える」など五つの項目について、
10年度までに全教員が「(やや)できる」と、
自己評価するようになることを目標。

しかし、その実現は遠い。
09年度、ICT指導力について何らかの研修を受けた教員は、
全国の教員の2割。
この結果、上昇傾向にはあるものの、教材研究でICTを使える教員は、
09年度末現在で全体の74%、
授業で使えると答えたのは6割に満たない。

「授業でICTを使える」など、五つの項目すべてで全国トップの三重県では、
初任者研修などに情報教育研修を義務づけたり、
全教員がネット上でいつでも受けられる「eラーニング」を導入。
こうした手厚い研修を実施している自治体は少数派。

文科省は昨年、関東など全国を六つのブロックに分けた研修などを含む
ICT関連予算(7億円)を要求、その後の政府の事業仕分けで、
全額カットされている。
今回の研修は、国で実施できなくなった研修を、
急きょ規模を縮小し、同センターで実施することになった経緯。

子どもたちが、効果的な授業の恩恵にあずかれるために、
国や自治体がやるべきことは少なくない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101112-OYT8T00176.htm

2010年11月18日木曜日

待望の気仙三十三観音マップ 陸前高田市観光協会が制作

(岩手日報 11月5日)

陸前高田市観光物産協会(金野靖彦会長)は、
観光マップ「気仙三十三観音祈りの道探訪」の製作を発表。
地元住民の信仰を集める三十三観音を、まとめたマップの製作は初めて。

A2判八つ折りのマップは、気仙3市町の寺や観音堂を
カラー写真と地図で紹介。
お薦めコース(全行程186km)のほか、
気仙地方5カ所の温泉の位置も記した。

気仙三十三観音は、1718(享保3)年、高田村の検断役
佐々木三郎左エ門知則が選定したとされる。
位置は、陸前高田市内が21、大船渡市内6、住田町内6。

千部を印刷し、道の駅高田松原「タピック45」内の同協会や旅館、
温泉などで無料配布。
製作を担当した同協会の佐々木武晴さん(37)は、
「問い合わせが多いことから、マップをまとめた。
観光振興につなげたい」

今年10月、寺や観音堂などの由来を詳しく記した本
「気仙三十三観音霊場巡礼―祈りの道」
(佐々木克孝著、1800円)も出版、
三十三観音巡りの参考にすることができる。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101105_11

扉の向こうに:広州アジア大会新競技/2 ダンススポーツ 新採点方式、日本が開発

(毎日 11月2日)

全日本選手権で、会場に見慣れない得点形式が表示。
「PCS」(プログラム・コンポーネント・スコア)と
「TES」(テクニカル・エレメント・スコア)。

PCSは、2人の動きのバランスや音楽性、振り付けなどを
それぞれ得点化し、TESはステップなど技術面を採点。

日本ダンススポーツ連盟(JDSF)が開発した新採点方式で、
アジア大会では、このうちPCSが採用される予定。
JDSF常務理事の山田淳・新審判基準委員長は、
「ダンスを五輪スポーツにするために、フィギュアスケートを参考にした」

これまで、主に複数のペアが同時に踊り、
審判は相対的な評価で順番をつけていた。
審判の主観に頼る部分が多く、新採点方式では客観性を重んじる。

山田委員長は、「身長などの外見に引っ張られにくくなる。
新採点方式では、(客観的な基準で)差が分かりやすい」

国際ダンススポーツ連盟は、97年に国際オリンピック委員会に承認、
現在は約90カ国・地域が加盟。
日本だけでも、競技人口は約5万人。
そうした現状を背景に、アジア大会では将来の五輪競技加入に向け、
勢いをつけようとしている。

日本は、アジア大会に高校生から20歳代までの6組のペアを送り込む。
4月の代表決定後、姿勢を保つために体幹を鍛えるトレーニングから、
メンタルトレーニングやメークの方法などの強化策に取り組んだ。

ワルツなどのスタンダードで、久保斐美と組む第一人者の
石原正幸(ともにブルボン)は、「まだ慣れないけれど、
新採点方式は分かりやすいと思う。
アジア大会では、自分たちの最高のものを出すだけ」

ダンスといえば、国内ではまだ「社交ダンス」のイメージが強いが、
アジア大会での採用を機に、「競技ダンス」の存在感を示そうと意欲的。
==============
◇ダンススポーツ

スタンダードとラテンに分かれる。
スタンダードは5種目総合とワルツ、クイックステップなどの
四つの種目別、ラテンも5種目総合とサンバ、チャチャチャなど
四つの種目別がある。
競技時間は一部を除き、1種目約1分半。
09年東アジア大会で、日本はスタンダード、ラテンの総合などで
5個の金メダルを獲得。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20101102dde035050071000c.html

ココア インフルエンザ予防に効果

(2010年11月12日 毎日新聞社)

インフルエンザの季節がやってきた。
予防には、日ごろの体調管理で免疫力を高めておくことが大切、
ちょっとした食べ物の工夫も役に立つ。
「冬の脅威から身を守る!ココアの健康機能」と題した
マスコミセミナーが開かれた。

◇NK細胞を活性化、免疫力アップ

インフルエンザの予防には、ワクチン接種が効果的。
ワクチンは、体内に侵入したウイルスを撃退する抗体を高める働きがある。

森永製菓は、ワクチン接種と並行してココアを摂取した場合、
免疫力にどんな効果があるかを調べた。
その結果を、日本ウイルス学会に続き、都内のセミナーで公表。

発表したのは、亀井優徳・森永製菓研究所分析研究室長。
試験は、ワクチン接種した健康な成人を、3週間毎日1杯のココアを
飲んだグループ(63人、約39歳)と、飲まなかったグループ
(60人、約40歳)の二つに分け、NK細胞の活性の程度や
新型インフルエンザウイルスと季節性インフルエンザウイルスに対する
抗体への影響を見た。

その結果、NK細胞の活性は、どちらのグループも上がったが、
ココアを飲んだグループの方が、上昇程度が高かった。
NK細胞は、リンパ球の一種で、がん細胞や細菌、ウイルスなどの
異物を撃退する。
活発になれば、ウイルスに感染しにくくなる。

亀井さんは、「ココアは、NK細胞の活性化を通じて
免疫を上げる働きがあったと考えられる」

同社は昨年、マウスの実験でココアを与えた場合、
インフルエンザウイルスに感染しても死亡率が低くなる実験をした。
この要因が、NK細胞の活性化であると推定。

◆普通の風邪には?

間藤卓・埼玉医科大学総合医療センター准教授は、
ココアが風邪の症状の抑制に効果があるかどうかを調べた。

試験は、昨年12月~今年4月実施。
12人の成人に、約4カ月間毎日ココアを飲んでもらい、
同期間ココアを飲まなかった99人と風邪の発症率を比べた。
その結果、ココアを飲んだグループでは12人中3人が発症(25%)、
飲まなかったグループでは99人中22人が発症(22%)、
両群に差はなかった。
しかし、症状などには差が出た。

ココアを飲んだグループで発症した3人は、
のどや関節の痛みなど重い症状がなかったが、
飲まなかったグループでは発症した22人中9人(38%)が
関節の痛みなど重い症状を訴えた。
最高体温は、飲んだ人が38度、飲まなかった人が38・8度。

間藤さんは、「人数が少なく、統計的に意味のある差が出るほどの
結果ではない。
ココアを飲んでいると、風邪にかかったときに症状が軽くなる
傾向はうかがえた」
ココアはあくまで食品。
「好きな飲み物の一つとして、楽しみながら飲むのがよい」

◆キノコ類でも

免疫力を上げる食べものは、他にもある。
シイタケやエリンギなどのキノコ類に含まれる食物繊維の一種の
β(べータ)-グルカンは、免疫機能を高める作用を持つ。

高麗ニンジンにも、NK細胞を活性化させる働きがある。
高麗ニンジンを世界に輸出している韓国人蔘公社・安全研究センターの
白仁鎬(ペクインホ)所長は、「イタチやネズミに、
あらかじめ高麗ニンジンを与えた実験では、
インフルエンザウイルスに感染しても、生存率が高いデータが得られた」
韓国では、高麗ニンジンの製品に「免疫を高める」という
機能表示が認められている。

インフルエンザの予防には、こまめな手洗い、うがい、
十分な睡眠などが大切なことは言うまでもない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/12/128234/

情報機器を使う(4)テレビ電話で命の授業

(読売 11月11日)

2007年8月、家族と行楽中だった新潟県長岡市立上組小学校の
水谷徹平教諭(34)は、突然、激しい腹痛に襲われた。

診断は白血病。
「5年後の生存率は30%」と告げられ、一転して無菌病室での生活に。
2歳の娘に加え、もうすぐ長男も生まれてくる、
そんな時に「死」と向き合った。

家族の次に頭に浮かんだのは、担任していた5年生の教え子の顔。
「授業がやりたい。子どもたちに何かを残したい」。
テレビ電話を使った授業を思いついたが、
主治医や校長らに相談すると、ハードルは高かった。
「病状が悪化しないか」、「児童に正確な情報が伝わるか」

課題を一つ一つクリアし、パソコンと携帯情報端末で
病棟と教室をつないだのは、半年後の08年2月。
高速回線経由で、教室のスクリーンに姿を映し出した水谷さんは、
死に向き合う闘病生活の現状を伝え、子どもたちに訴えた。
「自分なりに、命を大切にすることの意味を考えて生きていってね」

懸命な治療で、病状は回復し、同年夏には上組小に現場復帰を果たす。
これをきっかけに、「いのちの授業」は、総合学習を中心に、
各教科を連動させ、命の尊さを学ぶ通年プログラムへと発展していった。

今年10月20日の道徳の授業。
4年生約70人に、「算数や国語は、先生が答えを知ってるよね。
でも、命のことは先生もよく分からない。
だから一緒に考えてみよう」と問いかけた。
使ったのは、パソコンと接続した50型の大型テレビ。

抗がん剤で髪が抜けた自分の写真や、娘と無菌病室の電話で会話する
様子などを、テレビで見せながら闘病体験を語った。
子どもたちと同世代の闘病仲間と交わした手紙や当時の写真、
思い出に残った音楽も紹介。
涙ぐむ子どもたちに、水谷さんは言った。
「いつか必ず来る命のゴールまで、
どうやって生きていくか、考えてほしい」

授業前と後に2度、「命を大切にすることとは」との題で書かせた
感想文には、早速変化が見られた。
冒頭に、「バランスの取れた食事」と書いていた女児は、
「みんなとの時間を大切にすること」と、考えを変えていた。

「写真や映像、音楽を使えばイメージがわきやすい。
思いを伝えるツールが多様になる」と語るが、
テレビ電話の活用は限定的にしている。

直接会ったほうが、何百倍もいいに決まっている。
実際話したことがあるからこそ、画面越しにでも思いが伝わる」

◆テレビ電話

電話回線などを通じ、顔を見ながら会話できる。
インターネットを使ったサービス「スカイプ」を使えば無料。
高速回線ならスムーズな通信が可能で、
教育現場では、遠隔地の学校とのテレビ会議でも使用される。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101111-OYT8T00228.htm

2010年11月17日水曜日

扉の向こうに:広州アジア大会新競技/1 囲碁 「アスリートの考え方持たねば」

(毎日 11月1日)

味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で、
アジア大会に向けた派遣準備手続きの一つとして、
ドーピング(禁止薬物使用)検査が行われた。

囲碁の棋士にとっては、初めての経験。
本因坊道吾の号を名乗る日本代表主将の山下敬吾は、
検査員の目の前で排尿することに驚いたが、それと同時に、
囲碁が「スポーツ」の仲間に入ったことも自覚。

「これまで囲碁は、文化や芸術という頭しかなかったが、
アスリートの考え方も持たなければならない」と山下。

JOCは、今年春の派遣準備説明会で手続きを解説し、
情報医科学部会を問い合わせ窓口にするなど、手厚い対応をした。
日本のトップ棋士である山下でさえ、
「ドーピングというと、筋肉増強剤のようなものとばかり考えていた。
風邪薬の中にも引っかかるものがあるとは知らなかった」
女子の向井千瑛は、体調管理のために飲んでいたサプリメントをやめた。

4年前のドーハ大会では、チェスが正式競技となり、
今回は開催国である中国の意向を受け、囲碁も「頭脳スポーツ」として採用。

公募で、「知恵の和ジャパン」と名付けられた日本代表は、
プロ棋士ばかりの男女計10人。
8月、トップアスリートの強化拠点であるNTCで強化合宿も行った。
代表監督を務める大竹英雄・全日本囲碁連合会長は、
新しい形の大会にも参加できる時代になった。
文化性、伝統性のある囲碁をどのように伝えていくかが、
日本代表の使命になる」と意気込んでいる。

大会では、中国、韓国、台湾がライバル。
山下は、「いつもは個人の戦いだけど、チームワークを大事にしたい。
普段とは違うプレッシャーを感じている」と開幕を待つ。
==============
◇囲碁

今大会では、チェス競技の中の一種目として実施。
個人戦はなく、男子団体(5人制)、女子団体(3人制)、
男女が交互に打つ混合(通称・ペア碁)の3種目。
団体は、それぞれ1対1の対局をこなし、男子は3勝、女子は2勝で勝利。
持ち時間は45分~1時間の予定、1日3局打つ日もある。
試合は20日から7日間。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/11/01/20101101dde035050003000c.html

情報機器を使う(3)雑務短縮 指導にゆとり

(読売 11月10日)

「最近、休みが続いていたようだけど大丈夫かな?」
千葉県印西市立小倉台小学校。
黒須美和教諭(24)は、5年の男子児童(11)に声をかけた。

黒須教諭は、男子児童の担任ではなく、
普段、話しかけるきっかけは多くない。
校務支援システムで、学年全体の出欠状況をチェックし、
この児童が4日連続で欠席していたことには気づいていた。
「先生、よく見ていてくれるのですね」と、うれしそうだった。

校務支援システムとは、学籍や出欠、成績情報の管理などを、
パソコンを使ってデータベース化する仕組み
同市では、昨年度の国の補正予算で、校務用パソコンを
全教職員(約600人)に配備したのに伴い、
4月から同小など市内2校に市販ソフトを導入。
9月以降、全小中学校(29校)に拡大。

同市教育センターの松本博幸・指導主事(46)は、
「教員の校務の負担を減らし、子どもたちと向き合う時間を増やすため」

システム導入前、出欠は紙の出欠簿に手書きで記入し、集計も手作業。
通知表を作成する際、評価に関するデータや委員会活動などの所見、
出欠などの記録を見て、いちいち打ち直さなければならなかった。

「以前は、自分のクラスのことだけで精いっぱいだった。
システム導入により、授業以外の雑務をする時間が飛躍的に短縮でき、
児童一人ひとりへの『気づき』が増えた」と、黒須教諭。

文部科学省が2006年、40年ぶりに実施した勤務実態調査によると、
公立小中学校の教員の1日当たりの平均勤務時間11時間(7月分)のうち、
4割近くの約4時間を、成績処理や報告書作成など校務に費やし、
約2時間残業していた。

同省の別の調査(06年度)では、校務への情報通信技術(ICT)導入が
必要だとする学校は83%、教育委員会は95%。
何らかのシステムを導入した自治体は、256(14%)にとどまる。

玉川大学の堀田龍也教授(46)は、
「子どもと向き合う時間が増え、データの蓄積と共有が進めば、
きめ細かい指導が可能となり、学力向上につながる。
教員1人1台の校務用パソコンが、ほぼ実現した今こそ、
校務支援システムを導入すべきだ」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101110-OYT8T00587.htm

バイオブタノールの効率よい精製法開発

(サイエンスポータル 2010年11月15日)

エタノールとともに、バイオ燃料として期待されている
バイオブタノールの効率よい精製技術を、
産業技術総合研究所の研究チームが開発。

同研究所環境化学技術バイオケミカルグループの
榊啓二・研究グループ長、根岸秀之・主任研究員、
池上徹・主任研究員が開発した技術は、
シリカ(二酸化ケイ素)から成る分離膜を合成したのが特徴。
低濃度のブタノール溶液から、80%以上という高濃度の
ブタノールを回収できる。

ブタノール(C4H9OH)は、溶媒や燃料のほかに、
高分子の原料としてもよく用いられる。
発熱量がガソリンに近く、既存のガソリン用のパイプラインや
ガソリンエンジンがそのまま使えるといった利点。

石油から得られるが、サトウキビ、トウモロコシ、木材などの
バイオマス資源から、微生物を利用する発酵法によって生産される
バイオブタノールは、地球温暖化対策として利用促進が期待。

バイオエネルギーとして期待されているエタノールより、
発熱量が26%ほど高く、さらにブタノールをつくる菌は、
バイオエタノールをつくる酵母と異なり、木、草、わらなど
木質系バイオマスの主要な構成成分であるセルロースも、
効率よくブタノールに換える利点もある。

研究チームによると、1%のブタノール水溶液から
82%のブタノール液を回収、無水ブタノールを生産するには、
脱水するための膜分離工程を入れても、
ブタノールが持つ全エネルギーの約13 %を投入すればよい。

シリコーンゴム分離膜など、従来の膜分離法に比べ、
50~70%エネルギー投入量が少なくて済む。

この研究開発成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構の
委託事業「バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発制度
(先導技術開発および加速的先導技術開発)」の支援により得られた。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1011/1011151.html

壁画 「心の壁」を取り払え 岩手大・大学院生と花巻病院、絵画で地域と交流

(2010年11月11日 毎日新聞社)

岩手大・大学院の学生と、精神科専門の国立病院機構花巻病院が、
地域社会との境界線をなくす事業
「ボーダレスアート―心の壁を越えた社会を目指して」に取り組んでいる。

壁画制作で、院内を明るくすることから始め、
患者や地域住民が参加した絵画ワークショップを開くなどしている。
今後、効果を検証し、継続していく考え。

今年4月、女性看護師が、娘の友人で同大学院の三浦裕美さん(24)に、
吉住昭院長(62)が企画した壁画制作を持ちかけたことがきっかけ。
三浦さんが、美術専攻の学生に呼びかけ、30人集まった。

吉住院長は、病院は患者が治療を受け、
社会参画のきっかけを取り戻す場という考え。
「迷惑施設と見られるなど、地域社会との接点を持たず閉鎖的だった」
学生たちに考えを伝え、地域との接点づくりを共に始めることにした。

壁画制作は、8月下旬に始めた。
院内を明るくするだけでなく、学生たちが出入りすることで、
「閉鎖的」な院内の雰囲気を変えることを狙った。
学生たちは、「癒やし」をテーマに1階廊下に、
病院の周りにある野の草花を描いた。
9月13日~11月3日まで、地域に公開した。

9、10月は、患者や地域住民に呼び掛けて、
絵画のワークショップを3回開催。
患者25人、住民十数人が参加。
自分の姿をかたどった紙に、赤や黄色などで色を付けた作品や、
日光写真など約50点を制作。
作品も院内で公開したほか、取り組みを広く知ってもらうため、
盛岡市の旧石井県令邸で、14日まで作品展を開いている。

病院や学生たちによると、患者たちは、学生たちに、
「何を描いているのですか」、「暑いのにがんばってるね」と話しかけるなどし、
変化を喜んでいたようだ。
来院した住民へのアンケートでは、
「病院に入ることができ、良い機会だった」と歓迎の意見が多い。

若松知子総看護師長(56)は、「職員も患者を制限し、
枠に当てはめていたことに気づかされた

吉住院長は、「患者はもろく、傷つきやすいと考えすぎている。
そもそも、それが壁だと思う。
プロジェクトは良いきっかけになった」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/11/128170/

2010年11月16日火曜日

情報機器を使う(2)授業に支援員 個別指導

(読売 11月6日)

「写真やイラストで、見やすくなる工夫をしてみよう」
新潟県三条市立本成寺中学校のコンピューター室で行われた
技術・家庭科の授業で、若林孝吉教諭(30)が、
2年生22人にそう呼びかけた。

発表用スライド作成ソフト「パワーポイント」を使い、
趣味や好きな食べ物など、4項目を6枚のスライドにまとめた
自己紹介を作ろうというものだ。

真剣な表情で、パソコンに向かう子どもたちの間を、
忙しく動き回る女性がいた。
元プログラマーで、同市ICT推進支援員の内山千春さん(32)。
授業全体を見るのに忙しい若林教諭をサポートしつつ、
一人一人にパソコンの操作方法など細かい指導をする。
週5日のフルタイムで、報酬は月14万5000円。

内山さんから画像を挿入する方法を教わり、好きな食べ物に挙げた
「ケーキ」のイラストをスライドに取り込んだ須山知穂さん(14)は、
「わかりやすく教えてくれてありがたい。
先生一人だけだと順番が回ってこないから」とうれしそう。

「先生たちは、子どもたちへの指導で本当に忙しい。
少しでも負担を軽減できれば」と内山さん。
樋山利浩校長(51)は、「情報通信技術(ICT)を使う教員の
力量向上にも貢献している」

同市のICT支援員は、昨秋、電子黒板など情報機器が
大量導入されたのに合わせ、各中学校区に1人ずつ、計9人配置。
その役割は、小中学校で授業を補助するほか、
機器やネットワークのトラブル復旧、学校のホームページの更新、
教職員への操作指導など、多岐にわたる。

支援員の必要性については、2008年、文部科学省の
「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」でも提起。
同省によると、支援員を委嘱する自治体は、
県レベルで26都道府県(55%、2009年度)、
市町村では286市町村(16%、同)で、思ったほど普及していない。

背景には、財政難がある。
三条市も例外ではなく、同市教育委員会の池浦倫之・教育総務課長(55)は、
「最悪の場合、来年度の打ち切りも考えられる」と苦しい胸の内を明かす。

文科省の「教育の情報化ビジョン」では、支援員の雇用を促すよう、
教育委員会などに、国が支援することが重要だと指摘。
機器の普及が進むにつれ、機器を生かす人材の確保が課題として
浮かび上がっている。

◆教育の情報化ビジョン

文科省が8月にまとめた学校の情報化に関する基本方針。
〈1〉子どもたちの情報活用能力の育成、
〈2〉わかりやすい授業の実現、
〈3〉校務の負担軽減――という三つの側面から、
情報通信技術の必要性を指摘。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101106-OYT8T00162.htm

植物病原体「ファイトプラズマ」の研究で国際賞を受けた東京大教授の難波成任さん 

(2010年11月11日 共同通信社)

植物に付く、ファイトプラズマという微生物がいる。
細菌でもウイルスでもない。
肺炎の病原体、マイコプラズマに似ているが、別物。
「よくこれで生きているなと思うほど、生きるために必要な機能がない。
生命の定義を覆す生命体です」

細胞に入り、物質を盗んでしぶとく生きる。
その正体を分子レベルで解明し、名付け親に。
国際マイコプラズマ学会のエミー・クラインバーガー・ノーベル賞を、
日本人で初めて受賞。

昆虫に運ばれ、さまざまな植物に感染する。
取りつかれると、葉が黄色くなったり、成長が止まったり、
花が葉になったり。
珍重されるガクアジサイやポインセチアは、実は病気の産物なのだ。

「世界中で、農業に大きな被害が出ている。
アブラヤシやココヤシが感染すると、その年のうちに100%枯れる。
ブドウやモモ、サクランボ、リンゴなどにも広がっている」

診断キットや防除方法を研究中。
その先に、もっと大きな夢がある。
「植物の病気には、複合的な要因がある。
どの病原体にも共通する部分を探り出し、
すべての病気に対する戦略を見つけたい」

植物の病気を診る専門家が農家に助言する
「植物医科学システム」の普及にも力を注ぐ。
「世界で3割、発展途上国で5割近い作物が、病気で無駄になっている。
それをなくせば、飢餓はなくなる」

東京大の近くで生まれ育った59歳。
学生時代から多くの病原体を発見してきた。
「社会で問題になっている事件を解決する。快感です」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/11/128164/

高齢者の旅行にヘルパー

(2010年11月11日 読売新聞)

ホームヘルパー(訪問介護員)が同行するツアーや、
旅館へのヘルパー派遣など、高齢者の旅行を支援する
サービスが増えている。
専門家の手を借りることで活動の幅が広がると、人気のようだ。

東京都内の高齢者施設で暮らす戸張八重さん(86)は、
息子の滝村淳三さん(54)、2人の孫と山梨県の石和温泉を訪れた。
脳梗塞で手足にまひが残り、一人では温泉に入れない。

そこで利用したのが、JTBが始めた入浴介助サービス。
石和温泉のほか、静岡県の熱海温泉、伊東温泉にある
計8軒のホテルに、ホームヘルパー2級以上の資格者を派遣、
大浴場に入る手助けをする。
料金は、通常の宿泊料のほか、介助料金がヘルパー1人8000円、
2人だと1万2000円。

戸張さんが泊まったのは、「石和びゅーほてる」(笛吹市)。
2人のヘルパーが、大浴場への移動や着替えを介助、体も洗ってくれた。
戸張さんは、露天風呂に入ると、「ああ、気持ちがいいです」。
淳三さんは、「外出を嫌がるようになり心配していたが、
旅行を楽しみにするようになった」。

観光庁の2009年度のまとめによると、宿泊を伴う観光旅行の
年間の回数は、20~50代までは1・8回未満、60歳以上は2・11回。
高齢者の旅行需要は大きいが、足腰が弱っているなどの理由で、
旅行をあきらめている人も多い。

JTBでは、入浴介助サービスのほか、ホームヘルパー2級以上の
資格者が同行し、移動を介助する国内外のツアーも提供。
一人での参加も可能。
「ツアーは、9月からコースを増やし、利用者も2割ほど増える予想」

独自にヘルパーを備えている宿も。
北海道北見市の「滝の湯センター夢風泉」では、
ホームヘルパー2級資格者が2人常駐。
共同浴場は手すりが付き、座って体を洗えるよう、
背もたれ付きのいすも用意。

旅行の支援者を養成する組織もできている。
06年、NPO法人「日本トラベルヘルパー協会」は、
ホームヘルパー2級以上の資格者を対象に、添乗業務などを教える
「トラベルヘルパー」の養成講座を開設。
昨年から、検定試験も実施。

介護旅行専門会社「SPI あ・える倶楽部」(渋谷区)は、
同検定で認定されたトラベルヘルパー約50人を登録。
半日の外出から海外旅行まで、ヘルパーが同行するプランを
介護状況などを考慮して、提供。
料金は、本人とヘルパーの旅行代金などのほか、
介助料金が介護度別で3段階に設定、要介護度3~5で1日2万6250円。

同協会の篠塚恭一理事長は、「旅行の予定を入れることで、
生きがいを感じ、リハビリに前向きに取り組むようになるなど、
介護予防の効果も期待できる

こうした旅行は、旅行先の国や地域によって、
追加料金が発生することもある。
主治医の承諾が必要などの条件が付く場合もあり、
申し込みの際に確認が必要。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/11/128181/

2010年11月15日月曜日

日本医師会2025年以降に公的医療保険一本化を提案

(サイエンスポータル 2010年11月12日)

日本医師会は、報告書「国民の安心を約束する医療保険制度」を公表、
「公的医療保険制度の全国一本化」を提案。

一本化実現までの道筋として、「一般および高齢者の医療保険制度を
一体的に検討し、その方向性が固まった時点で、
新たな制度の実施時期を設定」し、
高齢者医療制度と市町村国保を都道府県単位で統合し、
地域保険を創設。
職域保険として、共済組合を協会けんぽに統合し、
組合健保を段階的に協会けんぽに統合する」。

職域保険(協会けんぽ)に、国保組合を統合。
地域保険的な国保組合については、地域保険への移行も可能」とし、
保険料の見直しなどにより、財源面での一体的運用(一元化)を図り、
「2025年以降を目標に、都道府県ごとの地域保険および
職域保険(協会けんぽ)を全国一本化する」。

2008 年創設された現行の後期高齢者医療制度は、
「高齢者の切り捨て」との批判、同年6月に早くも
「保険料の軽減措置」、9月に「1割から2割に引き上げられることに
なっていた70~74歳の患者一部負担割合を、
2010年3月まで1割負担を継続」という見直しを迫られた。

民主党政権も、これらの措置を2010年度も継続することを決めている。
09年11月の第1回高齢者医療制度改革会議で、
長妻昭厚生労働相(当時)が、後期高齢者医療制度を廃止し、
地域保険としての一元的運用を目指す方向を示している。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1011/1011121.html

パナソニック「病院まるごとロボット化」

(2010年11月9日 読売新聞)

パナソニック ヘルスケアは、薬剤鑑査業務の作業負荷を低減すべく、
払い出された錠剤の計数確認を自動処理する
「錠剤鑑査支援ロボット」を開発。

2010年度中の販売開始を目指す。
薬剤鑑査では、処方箋に基づいて薬剤を取り揃えた後、
患者に処方する前に、処方箋と薬剤を目視で全数照合。
近年、慢性疾患患者が増加し、一包化薬の長期処方が急増、
薬剤鑑査で薬剤師の負担が増大。

今回、同社が開発した「錠剤鑑査支援ロボット」は、
画像処理技術で、錠剤包装後の正確な自動錠剤計数鑑査ができる。
三洋電機の自動錠剤包装機とも連携できる。

現在、パナソニック ヘルスケアでは、
パナソニックと共同で行っている「ロボット事業化プロジェクト」の一環として、
「病院まるごとロボット化」を目標に、医療従事者をアシストする
医療福祉ロボットの事業展開を目指している。

2010年度は、「薬剤部まるごとロボット化」を中心に開発、
4月には第1弾として「注射薬払出ロボットシステム」の販売を開始。

現在、病院経営の合理化に貢献するシステムとして、
自律制御により自動的に障害物を回避し、病院内の搬送業務を
サポートするロボット「HOSPI」の実証実験を、
パナソニックと共同で、松下記念病院内で進めている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/10/128129/

認知症サポーターに商店主 理容店、銭湯…まず23人

(2010年11月10日 読売新聞)

認知症のお年寄りが安心して暮らせるまちづくりを目指し、
板橋区は商店主らを「認知症サポーター」に登録する制度を始めた。

患者への接し方などを養成講座で学んでもらい、
「高齢者あんしん協力店」として、ステッカーをはってもらう。
理容店、弁当店、銭湯、居酒屋、接骨院……。
第1回講座には、様々な業種の23人が参加、さっそく登録された。

優しい対応が基本。
驚かせない、急がせない、自尊心を傷つけないの3点が大切
区立文化会館で開かれた養成講座で、
区医師会「もの忘れ相談医」の山口善弘さん(48)。

意見交換会では、いくら支払うのか分からないため、
いつも1万円札を出す人や同じ目的で1日に何度も来店する人など、
商店主らが日頃接している認知症患者の様子も報告。

弁当店を営む宇田川ひとみさん(56)は、
朝昼晩とひじきの煮付けを買ったり、何人分もの弁当を
一度に持ち帰ったりするお年寄りに、
これまで「気に入ったんですか」などと声をかけるようにしてきた。
講座を受け、「時間をかけた対応が大切だ、と改めて感じた。
急いでいるお客さんにも理解してもらえるよう努力したい」

ヒゲそりをしていないお年寄りから、
「カミソリでケガをした」とクレームを受けた経験があるという
細山敏夫さん(60)も、「優しく接することと、自尊心を傷つける対応は
紙一重だとわかった。
赤ちゃん言葉などは使わず、慎重に対応したい」

厚生労働省が提唱した認知症サポーターは、
認知症を脳の病気として正しく理解し、患者への接し方などを学んで、
本人や家族を助けるボランティア。
全国の自治体で、約171万人(3月末現在)が登録。

板橋区でも2008年以降、民生委員や町内会員を中心に
約2000人が登録、高齢者の利用が多いコンビニや薬局、
金融機関などから、「どんな対応をすればいいのかわからない」といった
問い合わせが多いため、養成講座の対象者を商店主らに広げることに。
ステッカーをはってもらうことで、地域の人々や患者の家族らに
認知症のお年寄りが安心して利用できる店だと知らせる。

区おとしより保健福祉センターは、
「区全域の事業者を対象にした制度は、23区で初めて。
サポーターの輪を広げていきたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/11/10/128106/

2010年11月14日日曜日

情報機器を使う(1)電子黒板 不安な教員も

(読売 11月5日)

「東京と富士山の土は、似ているかどうか確かめよう」
東京・有明で開催された教育機器・教材の展示会。
セミナー会場では、教員ら約280人が見守る中、
筑波大学付属小学校の鷲見辰美教諭(45)が、
公開授業を行っていた。

3種類の土を顕微鏡に載せ、50インチの電子黒板で拡大して見せる。
6年生児童35人から、「オー」と歓声が上がった。
〈1〉同小の地下約20mから採取した土、
〈2〉富士山のふもとの土、
〈3〉鹿児島県・桜島の火山灰。

同じ関東ローム層の〈1〉と〈2〉は赤褐色で、
黒っぽい〈3〉との違いがひと目で分かる。
「言葉だけより、映像の方がずっと分かりやすい」、加藤壮悟君(11)。

この展示会は、教育機器メーカーなどが主催する
「New Education Expo」。
今年15回目で、同種のイベントとしては国内最大級。
公開授業は、新しい情報機器を使った指導法の紹介が目的で、
当日申し込みが殺到したため、急きょ50席増やした。
主催者によると、これほどの反響は初めて。

反響の背景には、景気浮揚を狙った昨年度補正予算で、
学校現場に今年、電子黒板が大量に入ったこと。

文部科学省によると、全公立小中高校に配備された電子黒板は、
今年3月末現在、約5万6000台。
前年度比で3・4倍、1校あたり1・6台の計算。

「授業で使いこなせるか」を聞くと、三重、京都など上位5府県は
「できる」と答えた教員が7割以上、
最も低い和歌山では5割にとどまった。

公開授業に夜行バスで駆けつけた愛知県清須市立西枇杷島中学校の
古田弘樹教諭(35)は、「電子黒板を使いこなせるかどうか、
まだまだ不安。生徒たちのため、腕を磨きたい」

情報機器の活用について、鷲見教諭は、
「土の成分など、実際に目で観察できないミクロの世界を
クラス全員で共有できる電子黒板は、
子どもたちの理解を各段に高める。
触ったことのない教員の方は、食わず嫌いではなく、
まず触ってほしい」

情報通信技術(ICT)の進歩により、学校で情報機器の活用が
急速に進んでいる。
授業がわかりやすくなるといった利点がある一方、
どう使いこなすかといった課題も。
子どもたちの学力を高めるため、何が必要か?
現場の事例を通して考えたい。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101105-OYT8T00226.htm

損傷DNA、立体構造を解明 いわき明星大の竹中教授ら

(2010年11月10日 毎日新聞社)

牛や羊の赤身肉を多量に食べると発生し、
胃や腸にがんを誘発するとされる損傷DNAの立体構造を
解明したとして、いわき明星大薬学部の竹中章郎教授らの
グループは、「国際核酸化学シンポジウム」で発表。
竹中教授は、「薬を開発する手がかりになる」

竹中教授らは、損傷DNAと正常DNAを結晶化して、X線解析で比較。
損傷DNAに並んでいる4種の塩基の一部が、
本来あるべきではない別の塩基に置き換わっている場所を特定し、
損傷DNAの立体画像を作成。
修復機能を持つたんぱく質にもとらえられず、
異常なまま複製され続けることも分かった。

DNAの塩基の一つを変換するのは、胃や腸などで作られる
アミノ酸の一種とされ、損傷DNAは細胞の突然変異を引き起こし、
がんを誘発する。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1011/1011111.html

若手研究者の内向き思考も問題に

(サイエンスポータル 2010年11月11日)

「元気な日本復活特別枠」公開ヒアリングで、
文部科学省から若手人材の「内向き思考」と「伸び悩み」の現状に、
強い危機感が示された。

文部科学省の示した資料によると、2008年に米国へ留学した
日本人は、3万人を割ったのに対し、中国人は10万人近くまで急増。
10年前に比べ、日本は7割に落ち込み、中国は2.1倍と顕著な差。

06年の博士号取得者も、日本の約8,100人に対し、
中国は約23,000人と大きな差。

2000年時点ではほとんど差がなかったのが、
ほぼ横ばいの日本に対し、中国の伸びが目立つ。
米国の06年の博士号取得者は約305,000人とさらに多く、
中国ほどではないが、この数年は着実に数を増やしている。

ノーベル賞のきっかけとなる業績は、
30代をピークとする若い時期に集中している実態があるが、
大学教員に占める30~35歳の若手研究者の割合も減少。
01年11.3%、07年には9.8%まで落ちている、という数字も。

「元気のない・元気の出ない」日本の若手人材を活かす方策として、
文部科学省が特別枠に要望したのが、
「『強い人材』育成のための大学の機能強化イニシアティブ」と
「成長をけん引する若手研究人材の総合育成・支援イニシアティブ」。

「メディカル・イノベーションを担う国立大学付属病院の
教育研究環境の充実」、「博士課程教育リーディングプログラム」、
「科学研究費補助金(若手の『チャレンジ』支援)」など、
さまざまな名目の要望が盛り込まれている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1011/1011111.html