2010年11月20日土曜日

扉の向こうに:広州アジア大会新競技/4 クリケット 360度の開放感「注目を」

(毎日 11月5日)

佐野市で今年5月、クリケットの女子ワールドカップ(W杯)
東アジア・太平洋地区予選が行われた。
大会誘致には、日本代表選手が住み、日本クリケット協会が
事務局を置く佐野市を、「クリケットのまち」にしたいという
関係者の思いがあった。

「小学生から大人まで、競技を楽しめる環境を作りたい」と、
日本協会の宮地直樹事務局長(32)。
この大会で日本は優勝し、来年の世界最終予選に駒を進めた。

日本協会によると、クリケットは球技ではサッカーに次いで
世界第2位の競技人口を誇る。
日本では、明治維新当時、英国商人らが横浜にクラブを作ったのが
始まりとされるが、その後は野球などの人気に押されて、
一時は「幻のスポーツ」と呼ばれた。

1980年代から徐々に広まり、84年に日本協会が発足。
現在の国内競技人口は、在住外国人を含め、約2000人。
宮地さんらは、本格的なクリケット場を整備したり、
クリケット教室を通して底辺拡大を図る。

広州アジア大会には、女子の日本代表が出場、
普及への思いは選手たちも同じ。
主将の栗林江麻(27)は、08年10月から今年3月まで、
世界最高レベルのニュージーランドへクリケット留学し、
本場のクラブでプレー。
「イチロー選手のように海外で活躍すれば、
クリケットの知名度も上がる」と考えたからだ。

1チーム11人でプレー。
打者は、舟のオール型のバットで硬球を打ち、
投手はワンバウンド投球などで、打者後方のウィケット(3本のくい)を
倒すなどしてアウトを取る。
打球が転がる間に、打者と投手側にいる次打者が、
ともに二つのウィケット間(約20m)を走り切れば、1ラン(得点)。
360度がフェアゾーンの開放感も魅力。

国内では、ソフトボール経験者らが大学から競技を始めるケースが目立つ。
会社勤めで、遠征費も自己負担と、環境は厳しい。
アジア大会には、強豪のインドが出場せず、
パキスタンが頭一つ抜けているが、栗林は「勝つことで注目される。
一戦ずつ勝ち取った結果がメダルなら最高」と意気込む。
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◇クリケット

英国発祥のスポーツで、国際クリケット評議会には105カ国・地域が加盟。
アジアではインド、パキスタンなど英連邦圏で盛ん。
フェアプレーの精神を尊重する「紳士のスポーツ」とも呼ばれる。
アジア大会は、約3時間で終わる20オーバー
(1チームの投球数が120球)制を採用。
W杯は50オーバー制、伝統的な国代表試合は5日間で行う。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/11/05/20101105dde035050039000c.html

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