2010年11月16日火曜日

情報機器を使う(2)授業に支援員 個別指導

(読売 11月6日)

「写真やイラストで、見やすくなる工夫をしてみよう」
新潟県三条市立本成寺中学校のコンピューター室で行われた
技術・家庭科の授業で、若林孝吉教諭(30)が、
2年生22人にそう呼びかけた。

発表用スライド作成ソフト「パワーポイント」を使い、
趣味や好きな食べ物など、4項目を6枚のスライドにまとめた
自己紹介を作ろうというものだ。

真剣な表情で、パソコンに向かう子どもたちの間を、
忙しく動き回る女性がいた。
元プログラマーで、同市ICT推進支援員の内山千春さん(32)。
授業全体を見るのに忙しい若林教諭をサポートしつつ、
一人一人にパソコンの操作方法など細かい指導をする。
週5日のフルタイムで、報酬は月14万5000円。

内山さんから画像を挿入する方法を教わり、好きな食べ物に挙げた
「ケーキ」のイラストをスライドに取り込んだ須山知穂さん(14)は、
「わかりやすく教えてくれてありがたい。
先生一人だけだと順番が回ってこないから」とうれしそう。

「先生たちは、子どもたちへの指導で本当に忙しい。
少しでも負担を軽減できれば」と内山さん。
樋山利浩校長(51)は、「情報通信技術(ICT)を使う教員の
力量向上にも貢献している」

同市のICT支援員は、昨秋、電子黒板など情報機器が
大量導入されたのに合わせ、各中学校区に1人ずつ、計9人配置。
その役割は、小中学校で授業を補助するほか、
機器やネットワークのトラブル復旧、学校のホームページの更新、
教職員への操作指導など、多岐にわたる。

支援員の必要性については、2008年、文部科学省の
「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」でも提起。
同省によると、支援員を委嘱する自治体は、
県レベルで26都道府県(55%、2009年度)、
市町村では286市町村(16%、同)で、思ったほど普及していない。

背景には、財政難がある。
三条市も例外ではなく、同市教育委員会の池浦倫之・教育総務課長(55)は、
「最悪の場合、来年度の打ち切りも考えられる」と苦しい胸の内を明かす。

文科省の「教育の情報化ビジョン」では、支援員の雇用を促すよう、
教育委員会などに、国が支援することが重要だと指摘。
機器の普及が進むにつれ、機器を生かす人材の確保が課題として
浮かび上がっている。

◆教育の情報化ビジョン

文科省が8月にまとめた学校の情報化に関する基本方針。
〈1〉子どもたちの情報活用能力の育成、
〈2〉わかりやすい授業の実現、
〈3〉校務の負担軽減――という三つの側面から、
情報通信技術の必要性を指摘。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101106-OYT8T00162.htm

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