2010年11月17日水曜日

バイオブタノールの効率よい精製法開発

(サイエンスポータル 2010年11月15日)

エタノールとともに、バイオ燃料として期待されている
バイオブタノールの効率よい精製技術を、
産業技術総合研究所の研究チームが開発。

同研究所環境化学技術バイオケミカルグループの
榊啓二・研究グループ長、根岸秀之・主任研究員、
池上徹・主任研究員が開発した技術は、
シリカ(二酸化ケイ素)から成る分離膜を合成したのが特徴。
低濃度のブタノール溶液から、80%以上という高濃度の
ブタノールを回収できる。

ブタノール(C4H9OH)は、溶媒や燃料のほかに、
高分子の原料としてもよく用いられる。
発熱量がガソリンに近く、既存のガソリン用のパイプラインや
ガソリンエンジンがそのまま使えるといった利点。

石油から得られるが、サトウキビ、トウモロコシ、木材などの
バイオマス資源から、微生物を利用する発酵法によって生産される
バイオブタノールは、地球温暖化対策として利用促進が期待。

バイオエネルギーとして期待されているエタノールより、
発熱量が26%ほど高く、さらにブタノールをつくる菌は、
バイオエタノールをつくる酵母と異なり、木、草、わらなど
木質系バイオマスの主要な構成成分であるセルロースも、
効率よくブタノールに換える利点もある。

研究チームによると、1%のブタノール水溶液から
82%のブタノール液を回収、無水ブタノールを生産するには、
脱水するための膜分離工程を入れても、
ブタノールが持つ全エネルギーの約13 %を投入すればよい。

シリコーンゴム分離膜など、従来の膜分離法に比べ、
50~70%エネルギー投入量が少なくて済む。

この研究開発成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構の
委託事業「バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発制度
(先導技術開発および加速的先導技術開発)」の支援により得られた。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1011/1011151.html

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