2010年11月17日水曜日

情報機器を使う(3)雑務短縮 指導にゆとり

(読売 11月10日)

「最近、休みが続いていたようだけど大丈夫かな?」
千葉県印西市立小倉台小学校。
黒須美和教諭(24)は、5年の男子児童(11)に声をかけた。

黒須教諭は、男子児童の担任ではなく、
普段、話しかけるきっかけは多くない。
校務支援システムで、学年全体の出欠状況をチェックし、
この児童が4日連続で欠席していたことには気づいていた。
「先生、よく見ていてくれるのですね」と、うれしそうだった。

校務支援システムとは、学籍や出欠、成績情報の管理などを、
パソコンを使ってデータベース化する仕組み
同市では、昨年度の国の補正予算で、校務用パソコンを
全教職員(約600人)に配備したのに伴い、
4月から同小など市内2校に市販ソフトを導入。
9月以降、全小中学校(29校)に拡大。

同市教育センターの松本博幸・指導主事(46)は、
「教員の校務の負担を減らし、子どもたちと向き合う時間を増やすため」

システム導入前、出欠は紙の出欠簿に手書きで記入し、集計も手作業。
通知表を作成する際、評価に関するデータや委員会活動などの所見、
出欠などの記録を見て、いちいち打ち直さなければならなかった。

「以前は、自分のクラスのことだけで精いっぱいだった。
システム導入により、授業以外の雑務をする時間が飛躍的に短縮でき、
児童一人ひとりへの『気づき』が増えた」と、黒須教諭。

文部科学省が2006年、40年ぶりに実施した勤務実態調査によると、
公立小中学校の教員の1日当たりの平均勤務時間11時間(7月分)のうち、
4割近くの約4時間を、成績処理や報告書作成など校務に費やし、
約2時間残業していた。

同省の別の調査(06年度)では、校務への情報通信技術(ICT)導入が
必要だとする学校は83%、教育委員会は95%。
何らかのシステムを導入した自治体は、256(14%)にとどまる。

玉川大学の堀田龍也教授(46)は、
「子どもと向き合う時間が増え、データの蓄積と共有が進めば、
きめ細かい指導が可能となり、学力向上につながる。
教員1人1台の校務用パソコンが、ほぼ実現した今こそ、
校務支援システムを導入すべきだ」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101110-OYT8T00587.htm

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