2010年11月14日日曜日

情報機器を使う(1)電子黒板 不安な教員も

(読売 11月5日)

「東京と富士山の土は、似ているかどうか確かめよう」
東京・有明で開催された教育機器・教材の展示会。
セミナー会場では、教員ら約280人が見守る中、
筑波大学付属小学校の鷲見辰美教諭(45)が、
公開授業を行っていた。

3種類の土を顕微鏡に載せ、50インチの電子黒板で拡大して見せる。
6年生児童35人から、「オー」と歓声が上がった。
〈1〉同小の地下約20mから採取した土、
〈2〉富士山のふもとの土、
〈3〉鹿児島県・桜島の火山灰。

同じ関東ローム層の〈1〉と〈2〉は赤褐色で、
黒っぽい〈3〉との違いがひと目で分かる。
「言葉だけより、映像の方がずっと分かりやすい」、加藤壮悟君(11)。

この展示会は、教育機器メーカーなどが主催する
「New Education Expo」。
今年15回目で、同種のイベントとしては国内最大級。
公開授業は、新しい情報機器を使った指導法の紹介が目的で、
当日申し込みが殺到したため、急きょ50席増やした。
主催者によると、これほどの反響は初めて。

反響の背景には、景気浮揚を狙った昨年度補正予算で、
学校現場に今年、電子黒板が大量に入ったこと。

文部科学省によると、全公立小中高校に配備された電子黒板は、
今年3月末現在、約5万6000台。
前年度比で3・4倍、1校あたり1・6台の計算。

「授業で使いこなせるか」を聞くと、三重、京都など上位5府県は
「できる」と答えた教員が7割以上、
最も低い和歌山では5割にとどまった。

公開授業に夜行バスで駆けつけた愛知県清須市立西枇杷島中学校の
古田弘樹教諭(35)は、「電子黒板を使いこなせるかどうか、
まだまだ不安。生徒たちのため、腕を磨きたい」

情報機器の活用について、鷲見教諭は、
「土の成分など、実際に目で観察できないミクロの世界を
クラス全員で共有できる電子黒板は、
子どもたちの理解を各段に高める。
触ったことのない教員の方は、食わず嫌いではなく、
まず触ってほしい」

情報通信技術(ICT)の進歩により、学校で情報機器の活用が
急速に進んでいる。
授業がわかりやすくなるといった利点がある一方、
どう使いこなすかといった課題も。
子どもたちの学力を高めるため、何が必要か?
現場の事例を通して考えたい。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101105-OYT8T00226.htm

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