2010年11月19日金曜日

科学で漆文化を次代へ 盛岡・県立博物館でシンポ

(岩手日報 11月6日)

盛岡市の県立博物館で、「いわての漆」関連シンポジウム
「縄文漆を科学する」は、約80人の参加で開かれた。

宮腰哲雄さん(明治大教授)らが、日本伝統の漆文化を
次代に継承するため、科学分析の必要性や研究成果を発表。

宮腰さんは、「漆の文化と科学―漆文化の学際研究の世界」と題し講演。
漆利用の歴史は、9千年前の縄文時代にさかのぼるが、
出土品を見ると、縄文人は漆を理解し、創意工夫し、
高度な技術を持っていた」と指摘。

漆器を作るとは、「単に器物に漆液を塗る作業ではない。
漆の性質を理解し、漆を使いこなす技術、
きれいなもの作りをする技が必要。
そのためには、漆のことをもっと知る必要がある」とし、
漆のさまざまな科学分析法を解説。

かつて「万能の塗料」と言われた時代もあった漆だが、
現代の塗料のほとんどは石油からの合成。
「石油は限りある資源。
持続可能な社会をつくるためにも、植物由来の漆利用が重要」とし、
さらなる学際的研究の必要性を訴えた。

本多貴之さん(明治大)が漆の有機化学分析、
神谷嘉美さん(東京都立産業技術研究センター)が
岩手町豊岡遺跡出土品の分析結果、
吉田邦夫さん(東京大総合研究博物館准教授)が漆の産地と年代、
河西学さん(山梨文化財研究所室長)が豊岡遺跡の漆塗土器の技術、
阿部芳郎さん(明治大教授)が縄文の漆工芸をテーマに発表。

同展は、県博開館30周年記念特別企画で、
約400点の展示を通じ本県漆文化の全容を紹介。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101106_7

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