2010年3月27日土曜日

アップルとグーグルの微妙なきずな

(日経 2010-03-11)

アップルの新型携帯マルチメディア端末「iPad」。
多彩な機能を搭載した魅力的な端末だが、
技術的に最も注目されているのが、米アドビの動画技術
「フラッシュ」に対応しない点。
その代わり、アップルは次世代ウェブ標準の「HTML5」の
進化・普及に賭ける姿勢を鮮明。

「HTML5」は、フラッシュとともにインターネットの
コンテンツ(情報の内容)の表現力を高める技術、
現在はフラッシュが圧倒的に優勢。
携帯端末市場で激しく競合するアップルとグーグルの2社は、
近く実用化されるHTML5を推し、
メディア産業などは動画表示の業界標準の座を巡る競争を注視。

フラッシュは、世界のウェブ上の動画コンテンツの7~8割、
動画を含む広告の9割。
ウェブ上の動画のデファクト・スタンダード(事実上の標準)技術。

アップルは、世界的な大ヒットとなったiPhoneでも
フラッシュ対応を避け、動画対応では国際標準規格の1つ、
「H.264」と呼ばれる技術に限って対応。

同社はこの路線を、映画やビデオ映像など動画の利用が
より多くなる、iPadでも維持。
アップルがしばしば見せる唯我独尊の一例にも映るが、
iPadの人気次第では、次世代技術「HTML5」の普及を
一気に加速させる効果が出る可能性。

「フラッシュは、バグ(プログラム上の欠陥)が多過ぎる。
そのうち誰も使わなくなる。
世界は、HTML5に向かって進んでいる」−−。
スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)。

グーグルの戦略にも触れ、「我々は、ネット検索市場に
参入しなかったが、彼ら(グーグル)は携帯端末市場に入ってきた。
彼らは、iPhoneを打ち負かしたいようだが、
そんなことは絶対させない」

ジョブズ氏が、敵対心をむき出しにしたグーグル。
同社も、HTML5を最も強力に広めようとしているもう一勢力。
グーグルは、汎用ブラウザーであらゆる情報処理をこなせるよう、
ウェブ技術、クラウド技術を進化させようとしている。
キーとなる技術に、HTML5を選んだ。
携帯端末市場では、完全にライバル関係のアップルとグーグル、
HTML5の開発と普及では、強固にタッグを組んでいる構図。

HTML5は、ウェブページの中身を記述する規格である
HTMLの次世代バージョン。
世界中のIT関連企業が加盟するウェブの技術標準管理団体、
W3Cの中の作業部会が、草案を検討。
動画再生やウェブ上のソフトウエア操作など、
ブラウザーに「プラグイン」と呼ばれるツールを
取り込まないと実行できない。

次世代版では、そうした機能を、ウェブページ側にも
ブラウザー側にも標準装備させる方向。
今の草案では、HTML5が普及すると、ウェブページ上の表示物を
マウスでドラッグ・アンド・ドロップしたり、ウェブページの状態を
端末のブラウザー内のメモリーに記憶させ、
ネット接続がない状態でも閲覧したりといったことが可能。

HTML5は、動画処理機能も含むため、
同規格に準拠したウェブページとブラウザーを組み合わせれば、
フラッシュという特定企業の技術を使わないで、動画が再生。
HTML5の草案に盛られている動画技術は、
まだ未成熟なため、すぐにフラッシュに取って代わることはないが、
グーグルなど関係者は、今後3~5年後には広まっていく。

HTML5普及への最大の障害は、パソコン用ブラウザーで
最大のシェアを握るマイクロソフトが、開発協力に後ろ向き。
2009年夏以降、同社も規格策定に積極的に関与。
3月内にも概要を発表する「インターネット・エクスプローラー(IE)」
の次期バージョンでも、HTML5準拠を前面に打ち出す。

時代の風は、ジョブズ氏の見立て通り、HTML5普及に勢い。
今のところ、世界中の企業がフラッシュを組み込んだ
ウェブサイト作りを進め、広告業界も同じくフラッシュ活用型の動画を
盛り込んだ広告を増やしている。
フラッシュ依存を強めると、気がつくと時代遅れになっている恐れ。

右手で握手をしながら、左手で殴りあうのは、IT業界の常。
愛憎相半ばする関係であるアップルとグーグルの動きを
注視していく必要。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt100309.html

新しい波/335 女子サッカーの育成/2

(毎日 3月13日)

日本の女子サッカー界が抱える大きな課題は、
中学年代の競技者数の落ち込みだ。

東京都江東区が、09年春から興味深い試みを始めた。
区内の拠点校に「女子サッカー部」を置き、
別の中学校に通っている生徒でも参加できる仕組みの導入。
少子化の中、部活動の新たなあり方として注目。

江東区では、もともと小学校対抗の大会があり、
女子サッカーのニーズがあった。
どの中学も、1校では人数が集まらず、指導者や
グラウンド不足など、同様の悩みを持っていた。

拠点校となったのは、区立第四砂町中学校。
週2回練習が行われ、日体大女子サッカー部の部員で、
教職課程を履修する部員が4人1組で指導に。

設立の中心になった区教委事務局の小林秀樹さんら
職員も練習に立ち会い、生徒の出欠は各校の副校長が
連携して連絡を取り合うなど、周囲も協力して環境を整える。
現在9校30人の生徒が参加。

バスを乗り継いで練習に参加する深川第五中1年の
大高萌子さんは、「初心者も経験者もあまり差がないので、
中学で始めても大丈夫という雰囲気がある。
部活に出合えて、今までよりも楽しく過ごせている」

第四砂町中1年の渡辺心さんは、
「今はソフトボール部と掛け持ちをしているが、
本当は毎日サッカーをやっていたい。
目標はサッカーの強い高校に入って、日体大に入ること」

指導する学生たちも、「初めは人見知りしていたが、
だんだんと取り組む姿勢が真剣になってきた」、
練習中に、ルールや個人練習の方法などを
聞いてくる選手も増えてきた。

大学でサッカーを始めた学生もおり、4年生の伊藤唯さんは、
「日々の練習を乗り越え、ぶつかり合ってまとまっていくことを感じた。
そういう部活動ならではのことを知ってほしい」

飛び抜けた才能がなくても、サッカーを続けられる環境作り。
「拠点校システム」によって、その活路が見いだせるかもしれない。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20100313ddm035050076000c.html

アキバで“ITパラリンピック”…ALS患者が電子機器を実演

(2010年3月17日 読売新聞)

体の筋肉が徐々に動かなくなる難病、
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者らが、
パソコンや最新の電子機器の使い方を実演する
「ITパラリンピック」が、秋葉原で開かれる。

障害者をサポートするITの「使い術」を、広く紹介するのが狙い。
日本ALS協会副会長の橋本操さん(57)は、
「かすかに動く身体で、世界を大きく動かす。
ITはそのための道具で、使わないと損」

橋本さんが理事長を務めるNPO法人
「ALS/MNDサポートセンターさくら会」が、
NECや首都大学東京の協力を得て開催。
昨年、都内の福祉施設で初めて開催、今回はより多くの人に
興味を持ってもらおうと、「ITのメッカ」秋葉原で開催。

気軽に外出することが難しいALS患者にとって、
パソコンやインターネットは、「外の世界」との重要な窓口。
筋肉の機能低下が進むと、マウスなどを使って
パソコンを操作することも困難。
こうした人々のため、画面上に映し出された50音表の上を、
カーソルで一文字ずつなぞって、文章を書くソフトなども開発。

ITパラリンピックでは、ALSや全身の筋力が次第に衰えていく
筋ジストロフィーの患者らが、それぞれの「使い術」を紹介。
指先の微細な動きや、足の上下運動でマウスをクリックする
装置を使い、ネット上で会話をしたり、ホームページを作成。

当日は、ALS患者で、テレビ番組「クイズダービー」で
人気だった学習院大名誉教授の篠沢秀夫さん(76)らも
ゲストとして参加。
関西地方のALS患者と会場を、ネットでつなげてのやりとりも行われ、
会場の様子は、さくら会のホームページでライブ中継。
最新ソフトや機器を紹介する企業ブースも設置。

さくら会の今井啓二さん(55)は、
「イベントを公共の場で行うことで、病気への認知度も
高まるとともに、患者にとっても生きる希望につながる」

午後1時から、秋葉原ダイビル(外神田1)12階の
首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス。無料。
ネット中継、「ALS/MNDサポートセンターさくら会」HP、
「ITパラリンピック」へ進む。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/17/117578/

ロジカルシンキング(9)わかりやすいメッセージ〜表現を具体的に、つながりにも留意

(日経 3月2日)

説明内容を、より説得力のあるものにする「メッセージ」に着目。
メッセージとは、自分の伝えたい内容が凝縮されたもの。
ピラミッドストラクチャーのメーンメッセージに該当。

メッセージは、説明内容の核となる。
いくらロジックが組み立てられていても、
メッセージが分かりにくければ、受け手には
何が言いたいのか伝わらない。

メッセージを作る際、注意すべきことが2点。
1つは、文で表現するということ。
メッセージは、自分の主張であり、項目や見出しではなく、
主語(メッセージの主体)と述語を組み合わせた文にすべき。

もう1つは、1つのメッセージで伝えることは、原則1つだけ。
言いたいことをたくさん詰め込むと、結局何を伝えたいのか、
分からなくなってしまう。

ロジックを組み立てていくと、あれもこれも含んだ
冗長なメッセージになりがち。
冗長な文では、要点が一目で分かりにくく、メッセージとして不適切。

逆に、細部をそぎ落としすぎ、一般論レベルでとどまってしまうと、
漠然とした内容に。
冗長でなく、かつ一般論レベルでもないメッセージに
磨き上げることが必要。

メッセージを磨き上げるときに注意したいのが、表現の具体性。
あいまいな表現は間違いではないが、焦点が絞れていない。
読む人によって、メッセージのとらえ方が変わる。

「見直す」、「検討する」などの語句には、何を見直したり、
検討したりするのかを明記する必要。
「差別化」、「付加価値」といった幅広い意味を持つ言葉にも同様。
こうした言葉を使うとき、何を意味するのかをできるだけ
具体的にする。

メッセージの「つながり」にも注目。
文と文の接続関係に注意しないと、結局、何が言いたいのか
分からなくなる。

冗長なメッセージを例にとれば、「不足し」、「共有もされず」
という部分。
不足しているから共有されていない、という原因と結果の
つながりなのか、両者は並列の関係なのか、よく分からない。
「結局、自分は何を言いたいのか」を突き詰めながら、
つながりを分かりやすくする必要。

ロジックを組み立ててメッセージを磨き上げると、
説明内容はより説得力のあるものになる。
そこまでの域に達するのは、非常に難しい。
説明内容を何度となく見直して、修正を重ねていく姿勢。

修正には、ピラミッドストラクチャーが有効。
ピラミッドストラクチャーを使えば、説明内容のロジックを
確認しながら、メッセージを磨き上げていく。
これが、説明内容を分かりやすくする近道。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz100302.html

2010年3月26日金曜日

ナノテクで光るスーパー中小企業

(日経 2010-03-16)

医薬品や化粧品分野向けの超微粒化装置の開発で、
大手企業も一目置く会社が、大阪府和泉市に。
産業機械メーカーのエム・テクニック(榎村真一社長)。

同社の最新装置で作る微粒子の直径は、最小で数nm。
この分野で、限界とされていた10nmの壁を超えた。
年商25億円規模の中小企業、ナノテクという特殊分野で
飛び抜けた技術をもつことで、大手にも引けを取らない存在感。

「粒子を細かくすると、溶けにくい薬も溶けやすくなり、
意外な性質を発揮する」
榎村社長は、ナノテクにこだわる理由。
微粒子にすれば、物質一定量あたりの表面積が広がり、
溶解度や吸収性などが変化。
医薬品開発。
「溶けやすくすることで、これまでにない新薬の開発につながる」

「ULREA(アルリア)」は、直径数ナノメートルの超微粒子を
製造できるのが特徴。
他社の従来機では、作れる粒子の直径は数10~100nmが限度、
エム・テクニックの装置を使えば、ひと回り小さくできる。
装置の構造は、円盤状の上下2枚のディスクで構成。
下側のディスクが高速回転し、上から圧力を加えて抑える
固定式のディスクとのすき間に、微粒子の原料となる液体を流し込む。

すき間の寸法は、1~30um。
ディスクの回転に合わせ、かき回される液体に別の原料液を加え、
両方の液体が化学反応を起こし、
微粒子となって装置から出てくる仕組み。
ディスクの回転の速さとディスク間の圧力を変え、
液体の反応時間を調整し、微粒子の大きさを自由に設定。

他社の従来機は、高圧状態の炉の中で、原料の液体に含まれる
粒子を衝突させ、粒子を砕くが、
この方法だと粒子の直径は、「数100~10nmが限界」。

違いは、「粒子を砕くのではなく、化学反応を使って
超微粒子を生成する点」(榎村社長)。
粒子の大きさを均一にできる利点、高圧にする設備などが不要、
装置の小型化に。

同社の技術に注目するのは、製薬会社だけではない。
プリンターのトナー、液晶テレビ用部材、電子部品の材料など、
デジタル素材分野でも、微粒子の研究に関心を寄せる。

プラントメーカーの設計者だった榎村社長は、
1988年、27歳で起業。
円盤式のディスクを使った独自の微粒化装置の開発を続けてきた。
微粒化装置の研究成果を論文にまとめ、東京理科大で博士号取得。
4人の社員が、仕事と両立しながら大学院で学ぶ。

大手企業から出資の話を持ちかけられても、
「研究の自由度がなくなる」と断った。
ナノテク粒子の製造装置では、特定の業界向けでなく、
応用のすそ野が広い分野を視野に入れている。
企業規模は小さくても、対等な立場で技術開発に取り組め、強みを発揮。

今後の稼ぎ頭と位置づける新型機「アルリア」の価格は、2000万円。
年間100台の販売が当面の目標。
2010年12月期、35億円程度の売り上げを見込む。

アルリアの研究開発に力を入れたため、
ここ2年間は売り上げが落ちこんだが、
「新型機で盛り返し、11年中の上場を目指したい」。

「ナノテク」と言うと、中小企業にとっては取り組みが難しい
最先端分野のように聞こえる。
エム・テクニックは、“一芸”にこだわり、独自のノウハウを
磨き抜いたことで、技術の壁を超えた。

大手が手掛けない技術のレイヤー(層)を、
「スーパー中小企業」が発掘・補完し、優れた製品を世に送り出す。
エレクトロニクスや化学、医薬品などは、
多層的な技術の積み重ねが欠かせない分野。
エム・テクニックのような企業の存在は、ものづくりで
日本が強みを持ち続ける1つの象徴といえるのでは。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon100315.html

新しい波/334 女子サッカーの育成/1

(毎日 3月6日)

北京五輪で4位に入賞し、「なでしこジャパン」の愛称で
一気に知名度を上げたサッカーの女子日本代表。
国際サッカー連盟(FIFA)ランキングは現在6位、
11年女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会の優勝を目標。
世界の頂点を見据える一方、女子サッカーの土壌は、
発展途上の状態にとどまっている。

日本サッカー協会は、女子が男子チームに入ることを
禁じてはいない。
小学生なら、ある程度は同等にプレーできるだろう。
中学生になると、体力差も出てくる。
にもかかわらず、大半の中学校に女子サッカー部はない。

東京都内ですら、公立中学では皆無に等しく、
プレーの場はクラブチームか一部の私立中学に限られる。
もしくは、男子のサッカー部に入るしかない。

日本協会の08年統計によると、登録している女子選手は、
▽小学生=1万4487人
▽中学生=6303人
▽高校生=8302人
▽一般=6902人--と
中学年代の落ち込みが顕著で、小学年代の半分以下。

日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)の浦和レッズレディースに
所属するFW松田典子(23)も、苦境を味わった一人。

小学3年から地元の女子チームでサッカーを始めたが、
進学した中学、高校にはサッカー部がなく、テニス部を選んだ。
「同じチームの同年代の子も、ほとんどやめてしまった」

松田の場合、高校3年の時、小学校時代の恩師と再会し、
恩師が主宰する東京都内のクラブチームでサッカーを再開。
早大に進学後、浦和の前身・さいたまレイナスFCに入団、
昨年から、金融機関に勤務しながらプレーを続けることができたが、
「ずっとサッカーを続けていた選手に比べると、
技術的な差は大きい」

「私たちのプレーを見て、サッカーをやりたいという
女の子が増えてくれるように頑張りたい」
松田は言葉に力を込める。
そのためにも、底辺の環境整備が急務。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20100306ddm035050091000c.html

睡眠障害の自殺危険28倍、飲酒3倍…厚労省調査

(2010年3月16日 読売新聞)

睡眠障害や飲酒行動に問題がある人は、
自殺する危険性が通常よりそれぞれ28倍、3倍も高い、
厚生労働省研究班(研究代表者=加我牧子・国立精神・
神経センター精神保健研究所長)の調査で明らか。

研究班は、2007~09年、自殺した76人(15~78歳)の
生前の様子について、遺族から聞き取り調査を実施(複数回答)。
うち49人について、一般人145人と比較検討。

その結果、睡眠障害などのほか、うつ病などの気分障害は
通常より6倍、死に関する発言をした人は同4倍、
不注意や無謀な行為のあった人は同35倍も、
自殺の危険性が高かった。

国内での年間自殺者は、1998年以来12年連続で
3万人を超えている。
研究班でデータ分析にあたった松本俊彦・同研究所室長は、
「自殺のサインを見逃さないよう、国民への啓発活動が必要。
かかりつけ医や精神科医の診断能力の向上も求められる」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/17/117571/

リクルートMSの藤江マネジャー、「ゆとり世代、職場で価値観の共有を」

(日経 3月3日)

今年4月、小中学時代にゆとりや個性を重視した教育を受けた、
「ゆとり世代」の大卒新入社員が企業に入社。
企業の採用現場などでは、これまでと異なる価値観や
言動に戸惑う声が広がっている。
若手社員の教育に詳しいリクルートマネジメント
ソリューションズ(MS)の藤江嘉彦マネジャーに、
実態と対策を聞いた。

——ゆとり世代の特徴は?

「『納得しないと動かない』、『すぐ正解を求める』といった特徴。
本人にとって意味があり、やりたいと思えば力を発揮する。
賢く、素直ともいわれる。
こうした傾向は、2006年春ごろから目立ってきた。
上司や先輩ら、異なる世代と付き合うのが苦手。
ゆとり教育だけでなく、家庭での育てられ方や入社するまで、
年上にしかられたり、ほめられたりする経験が減っていることも
影響しているのかもしれない」

「インターネットの普及で、情報や仕事のやり方は
調べれば分かると考えている。
今は、多くの業務がマニュアル化され、一見仕事ができる。
現場では、『自分で考えない』と嘆く上司が多い。
半面、若手は『言われたことをやるのが仕事』と考え、ギャップがある」

——いつの世も上司は「若い連中は・・・」と愚痴るし、
世代間の価値観のギャップは過去にもあった。

「『会社組織に入って、仕事で成果を上げる』という価値観は、
これまで世代を超えて共通だったが、ゆとり世代は上下関係や
社会的な経験が従来より不足。
今後は、価値観が異なる社員に活躍してもらうための
人材マネジメントが欠かせない。
企業が大切にしている理念や価値観に、
どのようにして共感してもらうかが重要」

——どのように教育すればよいのか?

仕事の目的を、意識させることが重要。
ある会社で、新入社員に顧客リストを渡し、アポイントを取るように
指示したら、夕方になっても電話をしていなかった。
理由を尋ねると、『1件1件電話するのは非効率なので』。
上司は頭にきたが、この場合、事前に絞り込まれたリストであることや、
新規開拓のためにアポ取りが必要なことを説明していれば、
納得して電話しただろう」

事実に基づいて、振り返ることも重要。
価値観が違うと、議論しても平行線になる。
顧客からクレームを受けた若手社員の対応がまずく、
顧客をさらに怒らせてしまったケースが。
その若手社員は、『顧客が悪い』と言い訳。
この場合、ただしかっても効果がない。
クレーム内容やどういう受け答えをしたか、
ひとつひとつ事実関係を聞き出し、どこが悪かったか指摘」

——従来より、時間や手間がかかりそうだ。

育成に、時間がかかるようになった。
05年、新卒を大量採用するまで、企業は長い間
新卒採用を絞っていた。
企業内で、若手を育成する風土が失われていたことも。
今の企業の職場は非常に忙しく、マネジャーや育成担当者が
つきっきりで、新入社員を育てる余裕がない。
職場全体で、新入社員をフォローする風土づくりがポイント」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100302.html

2010年3月25日木曜日

豊田社長とゴーン社長の気になる「密談」

(日経 2010-03-15)

政財界の要人が一堂に会す
世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)。

人口1万人のスキーリゾート地が格好の「密室」となる
1月のこの1週間は、世界中の企業トップにとっては密会の場にも。
自動車業界も、今年は日米欧の大手首脳が多数集い、
親しげに言葉を交わす光景。

トヨタ自動車の豊田章男社長が、ある首脳に言葉をかけられたのも、
そんなダボスでの午後。
「こんな時期に、弱みにつけ込もうなんて思っていませんから」
カルロス・ゴーン・日産自動車社長。
話題は当然のように、トヨタの米国でのリコール問題。

ゴーン社長としては、「真っ正面から話題に切り込むことで、
あえて重苦しい空気が漂うのを避けようとしたのが半分。
トヨタ問題に対する日産の姿勢を、暗に伝えようとしたのが半分」

ゴーン社長は、こうも言っていた。
「あれは、トヨタだけの問題じゃない。
日産やルノーにも教訓が多いし、突きつけられた問題は同じ。
だれかがこの場に乗じて、トヨタの顧客を奪ってやろうなどと
考えるのが、そもそもおかしい」

2月の米新車販売の実績をみると、トヨタは大手メーカーで
1人負けを強いられている。
他のメーカーの動き方はこの1カ月、2つに割れた。
日産などは、インセンティブと呼ばれる値引き販売には
あまり手をださなかった。

GMとフォード・モーターは、トヨタ車からの乗り換えを決めた
顧客に対し、1000ドル(約9万円)を値引きするキャンペーンを
大々的に実施し、シェア奪回を目指した。

競争だから仕方はない。
追い込まれている企業としては、当然かもしれない。
GMは、連邦破産法の活用で、有担保債務が大幅に軽減、
年金・医療費負担も減ってはいる。
経営危機の間に失われた顧客の数は、世界で数百万人、
それを取り戻すには何かきっかけをつくらないといけない。

同社再建には、米政府が低利融資やデット・エクイティー・スワップで
1兆円を超す資金をつぎ込み、失敗したらオバマ政権の出口戦略
そのものに影響が出る。
GMにとっては、なりふり構っていられない状態。

日産は、2010年3月期の営業利益が2900億円と、
当初の予想より1700億円も上の水準に行く。
新興国市場、特に中国大手と組んだ同国での合弁事業が好調、
米国市場への依存度は、逆に低下傾向。
ゴーン社長が、豊田社長に余裕の表情を見せたのも、
そうした経営状態を反映。

だが、こんな風にも考えられないか。
ハイブリッド車技術が弱い日産は、ハイブリッドの次をにらみ、
電気自動車へと一気にカジを切った。
年末には、トヨタに先んじて専用車「リーフ」の量産も開始。

トヨタの出方は、日産の命運を左右する可能性がある。
トヨタは、まだ電気自動車で明確な戦略を打ち出していない。
あらゆる先端技術で、蓄積が大きいトヨタの一挙手一投足は、
世界の自動車メーカーの命運をも左右。

リコール問題を克服し、電気自動車への戦略を明確にする時、
日産はインフラを含めた技術の標準化で
世界をリードしていけるのか?

そのカギを握っているのは、トヨタを合わせ、日本連合で
協力していけるのかどうか。
次世代技術を巡る思惑が、多分に絡んでいるとされるトヨタ問題。

米国はトヨタの勢いをそぎたいと考え、日本勢は困った時にこそ
良好な関係を築きたい——。
ダボスの社交の場は、そんな一端を浮き彫りにしていた。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan100312.html

日本語を学ぶ(7)効果乏しい国の支援

(読売 3月13日)

今後、日本語はどう教えられていくのか?

「石油会社と言う時、私たちの多くは『せきゅ』と発音。
学習者が、『せきゅ』と聞き取って書くことで、
ネイティブの私たちは初めて自分の発音を知る」

東京・高田馬場の千駄ヶ谷日本語教育研究所。
日本語教師養成講座で、部長講師の小山紀子さん(45)の話を
十数人の受講生が熱心に聞いていた。
「海外関連の仕事をしていたので、興味を持って」と
受講生の一人。

日本語教師として働く場合、養成講座(420時間)の修了、
日本語教育能力検定試験合格、大学での日本語教育課程修了の
いずれかが一般的な採用条件。

2008年度の文化庁の調べによると、国内の日本語教師
約3万1000人のうち、半数の約1万6000人がボランティア、
約1万1000人が非常勤講師、比較的安定した待遇の
常勤講師は約4000人にすぎない。

地域での日本語学習は、ボランティア頼みだが、
「教える場所、金、時間、人材、知識」の不足で悲鳴を上げている。

さいたま市浦和区の国際交流基金日本語国際センター。
カザフスタン、ケニア、インドなど29か国から来日、
半年間の研修を受けていた外国人の日本語教師44人の
歓送会が行われた。

研修は、母国で半年以上の教師経験を持つ人たちが、
日本語教育法を改めて学ぶもので、
これまで71か国の1000人以上が受けてきた。

モロッコから来ていた男性アディル・エル・ハッダウィさん(32)は、
「モロッコでも、日本語はブーム。
実際に来日して、清潔さ、時刻表通りに電車が来るきちょうめんさなど、
日本の文化も知ることができた。
帰国していろいろ伝えられる」

日本のアニメーション人気もあって、海外では日本語学習熱が
高まっており、133か国・地域で約298万人が日本語を学ぶ。

教える側の日本語教師は、約4万4000人。
同基金でも、海外22か所を拠点に日本語教育を展開。

田尻英三・龍谷大学教授(63)(日本語教育)は、
「文部科学省から厚生労働省まで、様々な官庁が
外国人の日本語学習支援策を打ち出しているが、
断片的、対症療法的で、効果的とは言い難い」

教える側の条件整備、待遇改善も課題だが、
自国語の普及体制を積極的に整える
欧州や中国などに、後れをとりつつある。

日本語教育学会は、国の研究・開発機関として
「国立日本語教育研究所(仮称)」を提唱。
会長で、名古屋外国語大学教授の尾崎明人さん(64)は、
「日本語教育の能力評価、人材育成などに総合的に取り組むと
同時に、外国人が日本語を学ぶ重要性に広く気づいてもらう必要」

日本語教育の将来をどう導くのか、
国としての方向性が問われている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100313-OYT8T00346.htm

まちの魅力が地価に反映 医療、観光で下げ止まり

(2010年3月19日 共同通信社)

2010年の公示地価で、下落幅が2年連続で拡大した
地方圏だが、医療関係施設の誘致や、景観整備など、
まちの魅力づくりへの取り組みが地価に反映、
下落を食い止めている地域も。

品川駅から東海道新幹線で約40分、
三島駅近くにある静岡県長泉町
首都圏への通勤者も多いこの町は02年、県と協力して
「静岡がんセンター」を設置。
周辺で、医療研究施設の拡充や、バイオベンチャー育成など
健康を目玉にしたまちづくりを進める。

町の人口は、02年から4千人以上増え、現在は約4万人。
町は、「飲食店などが増え、活気が生まれた」と、
三島駅近くの6調査地点のうち2地点が0・8%上昇、
4地点が横ばいを維持。

鳥取県境港市では、地元出身の漫画家、水木しげるさんの
「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪の像が並ぶ
「水木しげるロード」が人気。
目抜き通りの商店街は、地価下落が沈静化し、
横ばいとなった地点も出た。

松山市は、道後温泉近くの商店の店構えを和風に統一。
屋外看板を撤去するなど、景観向上に努めた。
「観光客が増え、宿泊者数も順調に伸びている」
(道後温泉旅館協同組合)、
「四国の他県から移住する人も増加傾向」(松山市)など
効果は大きく、温泉付近の1地点の地価は横ばい。
ほかの地点でも、下げ止まり傾向。

ただ人口増でマンション建設が相次ぎ、景観を悪化させるのでは、
と住民から懸念の声。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/19/117703/

日本イーライリリーの藤本・医学科学本部長「糖尿病、中枢神経系で新薬を相次ぎ開発」

(日経 3月10日)

日本の製薬会社が新薬不足で苦戦するなか、
豊富な新薬候補品(パイプライン)を抱える外資系製薬会社が
日本での存在感を増している。

米製薬大手の日本法人、日本イーライリリーも、
2009年の売上高が19%増の1092億9500万円となるなど、
伸びが際立っている。
どのような新薬を日本市場に投入し、シェア拡大を狙うのか?
研究開発戦略を担う、藤本利夫・医学科学本部長に聞いた。

——どの分野で新薬開発に力を入れるのか?

当社が強みとする糖尿病や中枢神経系分野を中心に、
積極的に新薬開発を進めていく。
現在、日本で2型糖尿病の治療に使う『エキセナチド』
承認を申請中。
皮下注射タイプで1日に2回、投与して使う。
体内の血糖値に応じて作用し、高血糖のときだけ
膵臓でのインスリン分泌を促す。
けいれんなどが起きる低血糖状態になりにくいのが特長で、
『GLP—1受容体作動薬』と呼ばれるタイプの作用方法の新薬」

「海外では、100万人以上の患者の治療に使われ、
実績を重ねている。
エキセナチドは1週間に1回、投与すれば済むように
薬効を徐々に発揮するように改良した新タイプも現在、
日本で開発最終段階に相当する第3相臨床試験(治験)を実施。
投与回数を減らせるので、患者の負担が軽くなる。
今後の第3相治験の結果を踏まえ、
日本でも承認申請するかどうか検討していきたい」

——統合失調症薬「ジプレキサ」など、中枢神経系の薬にも強い。

「ジプレキサは、日本で2009年に前年比7%増の
435億円(薬価ベース)の売り上げ。
ジプレキサは躁、うつ状態になる『双極性障害』の治療にも
使えるように、日本で開発を進めている。
双極性障害のうち、躁状態を対象とした適応症追加を承認申請中。
うつ状態についても現在、日本で第3相治験を実施中で、
適応症拡大を目指している」

——日本では、エーザイの「アリセプト」しかない
アルツハイマー型認知症治療薬についても、新薬を開発中。

「アルツハイマー薬では、2種類の薬が開発最終段階の
第3相治験まで進んできた。
『LY450139(開発番号)』は、錠剤の飲み薬。
化学合成などで製造する従来型の低分子化合物で、
認知症の症状の進行を抑制。

もう一つは、『LY2062430(同)』という静脈注射の薬。
人の免疫の仕組みを活用した抗体医薬品と呼ばれるバイオ製剤。
アルツハイマーの発症に関係するとみられている
アミロイドベータという物質にくっつき、取り除く。
有効性については、治験で調べている段階だが、
沈着したアミロイドベータに作用し、減らすことができる
可能性もあると期待」

——製薬各社が新しい薬を生み出すのに苦しむなか、
なぜ新薬候補品を次々に開発できるのか?

「研究者やバイオベンチャー企業などと積極的に連携する
『オープンイノベーション』の考え方が功を奏している。
研究開発では、複数の医薬品開発業務受託機関(CRO)と提携
各国の大学などとも協力関係にある。
たくさんの候補品を集めつつ、新薬として十分な安全性や
有効性を持ち、成功できるかどうかをグローバルで判断する
『コーラス』と呼ぶ独自の組織を持っている。
新薬の研究開発状況や承認基準などに詳しい約30人のベテランで
構成され、コーラスで素早く判断することで、成功確率を高めている」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100309.html

2010年3月24日水曜日

三菱ケミカルが描く「新炭素社会」

(日経 2010-03-08)

「『低炭素社会』、『脱・炭素社会』という日本語は間違っている」−−。
三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長。
このコラムの否定にもつながりかねない発言だが、
彼の言い分はこうだ。

化学産業は、炭素を加工して付加価値の高い製品を作り出す、
いわば“練炭術”。
リチウムイオン電池も太陽電池も炭素繊維も、
温暖化ガス排出削減につながるイノベーションは、
すべて炭素を使った技術。
英語では、『Low carbon society』などとは言わない。
『新炭素社会』と言うべきでは

三菱ケミカルは、傘下の三菱化学を中心に、
石油化学事業に依存した事業構造から、
環境・エネルギーなど新事業に経営資源をシフト。

小林社長が目指す「新炭素社会」の三種の神器は、
「太陽電池」、「固体照明」、「リチウムイオン電池」

太陽電池では、後発の三菱化学だが、次世代の本命とされる
「有機薄膜太陽電池」の実用化に、メドを付けた。
有機薄膜とは、軽量で折り曲げが可能、
衣服や自動車の車体に張って使える。

現在主流の太陽電池の原料であるシリコンを使わず、
炭素や窒素など、安価な有機材料を原料に使うので、
将来の製造コストがシリコン系の10分の1程度。
光エネルギーを電気に変える変換効率の理論上の限界が
36%と、シリコン系の29%より高い。

三菱化学は、東京大学と共同で、
変換効率で世界最高レベルの7.4%を達成。
電池の寿命も、10年以上を実現。

光を受けて電子を放出する有機材料と、「フラーレン」と呼ぶ
球状炭素分子を電極で挟んだ構造。
2010年度中に、実用化レベルの10%の変換効率を目指し、
12年度にも商品化する計画。
これまでの世界最高は、住友化学の6.5%。
実用化に向けて開発競争が加速。

三菱化学は、有機薄膜太陽電池の実用化を待たずに昨年、
太陽電池事業に参入。
他社からシリコン系太陽電池を調達し、発電システムの設計や
施工まで手がけるシステム・インテグレーター事業

4月から、アモルファスシリコン太陽電池を組み込んだ
屋上の防水シートや外壁用のアルミ建材も販売。
「本命の薄膜太陽電池が出てくるまで、様々な用途を開拓する」と
星島時太郎執行役員は狙い。
15年度、500億円の売り上げ目標を掲げる。

個体照明は、LED(発光ダイオード)照明と
有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)照明という、
2つのキーデバイスを持つ二正面作戦で展開。

高効率の白色LED素子を武器に、今春から欧米で
照明器具事業に参入。
有機EL照明は、基礎技術を持つパイオニアに出資し、
共同開発で11年中の量産を目指す。

リチウムイオン電池は、正極材、負極材、セパレーター、電解液
という4つの主要材料を持つ世界唯一の企業であることを強みに、
環境車向けの電池開発を加速。

「低炭素」、「脱・炭素」という言葉は、地球温暖化ガスの象徴である
CO2排出削減や化石燃料への依存脱却をうたったもの。
人間の体にも、自然界のほとんどの物質にも、炭素は含まれ、
日々の生活や文明の進化には必要不可欠な元素。

小林社長の「脱・炭素という言葉への違和感」を紹介。
これからは、炭素をうまく活用する知恵が
地球温暖化にストップをかける技術や事業を生み出し、
強い企業を作り上げるのだろう。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan100305.html

日本語を学ぶ(6)高校生も80歳代も先生

(読売 3月11日)

外国人の少ない地域で、日本語学習の取り組みが粘り強く続く。

「子どもは耳がいいのよ。お母さんが『聞いてください』と、
『い』をはっきり言わないと、『切ってください』と間違えちゃうよ」
「『教えることができません』と『教えません』は、何が違うかな?」

秋田県藤里町の三世代交流館。
月2回の日本語の出張講義で訪れた北川裕子さん(60)が、
韓国と中国から国際結婚でやってきた女性2人に、
はきはきとした話し方で日本語を教える。
北川さんは、同町に隣接する能代市を拠点に、
同市内や近隣で日本語学習教室を開催する
「のしろ日本語学習会」の代表。

1997年、韓国から来日した農業佐々木幸子さん(63)は、
「最初の何年かは、家でおばあちゃんやだんなと
方言で会話するばかりで、上手なつもりだった。
ある時、『日本語が下手』と言われてショックで」

近くに学ぶ場もなく、北川さんに頼み込んで、2004年から
農作業や家事の合間に学習を始めた。
08年、日本語能力試験3級に合格。
地元の世界遺産・白神山地を訪れる韓国人観光客に、
簡単な通訳をするほど上達。
「まだまだ、がんばればもっと上手になるよ」と、北川さんは励ます。

秋田県の外国人登録者数は、中国人、韓国人、フィリピン人を中心に、
4405人(2008年末)で、全国で4番目に少ない外国人散在地域。
日本人の配偶者を持つ外国人が、約1割。
約20年前から、農村地域での「外国人花嫁」が増えた地域。

北川さんが能代市で、日本語を母語としない人を対象に
同学習会を始めたのは93年。
中国帰国者の学習支援にかかわったのがきっかけ。
中国やフィリピンなど、海外出身の主婦やその子どもら66人が登録。
北川さんのほか、高校生から80歳代まで、
地域住民約20人がボランティアで教えている。

地方での生活情報は、主に自治体の広報紙から得るため、
読み書きの基本が大事。
テキストに沿って、基本的な文法から学び、受講者には
日常会話レベルの日本語能力試験3級、
可能なら、同1級に合格するのを目標に学習。
盆踊り、花見、忘年会など地域住民を交えた行事を開き、
地域に溶け込めるよう努力。

県立高校放送部員として、一昨年春から同学習会の取材を行い、
その後ボランティアとして参加していた
3年生の伊藤ななせさん(18)は、
「最初は、外国の人が相手ということで緊張し、壁がありましたが、
活動するうちに、地域の同じ仲間なんだな、と感じる」

「高齢化の進む地域を支えてくれる、我々なんか及ばない
力を持つ人を育てる教室」と北川さん。
今後は、後継者育成が課題。

◆日本語能力試験

日本語を母語としない人を対象、財団法人日本国際教育支援協会
などが年2回開催、今年度第2回は国内で9万5000人、
海外で42万人が受験。
1~4級があり、大学受験には1級レベルが必要。
来年度から内容が一新され、レベルは5段階に変わる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100311-OYT8T00200.htm

無理な運動、ひざ痛のもと

(2010年3月19日 毎日新聞社)

ランニングや登山で、ひざを痛める若者や中高年が増えている。
体力を過信せず、運動後のケアを怠らないよう、
医師ら専門家は注意を呼びかけている。

東京マラソン直前、40代の男性が整形外科医院を訪ねた。
男性は、両ひざに故障を抱える市民ランナーで、
通院を始めて1年。
ベストタイムを1時間縮めようと、専属コーチを雇うほどの入れ込み。

痛みがひどいときは、消炎・鎮痛効果のある
ヒアルロン酸をひざに注射。
担当医は、「痛みが強い時は、走らない勇気を」と伝える。

運動が原因となるひざ痛は、関節内の潤滑液(関節液)が減って、
軟骨がすり減る変形性ひざ関節症のほか、
半月板や靱帯の損傷が代表例。
たまにしか汗をかかなくても、1回当たりの運動量が多いと、
ひざを壊しやすい。

健康商品を販売する「エスエスエルヘルスケアジャパン」が、
20歳以上の男女816人にインターネットで尋ねたところ、
「ジョギングを月に1回程度」という回答者の40・0%、
「月に1回未満」の43・3%がひざ痛を抱えていた。

運動具メーカー、ミズノの旗艦店「エスポートミズノ」。
連日、多くの市民ランナーが訪れ、ランニングシューズを求めるが、
競技者仕様の上級モデルを好む初心者が少なくない。

同店フロア長の市橋伸浩さん(37)は、
「競技者仕様の多くは、軽量で底が薄く、上級者が使えば
いいタイムが出る。
体力の備わっていない初心者が使うと、
地面からのショックを靴で吸収できず、ひざに負担が増す。
まさにけがのもと」と言い切る。

痛みをおして走りたいという客も多く、サポーターを勧めたり、
効果的なストレッチの方法をアドバイスしたり。
「デザインや価格が気に入らなくても、ランニングを長く
楽しんでいただくためには、けがを避けることが大事」

登山の場合、下り道でひざに違和感や痛みを覚えるケースが多い。
歩き方が悪いと、体重と担いだ荷物の重量が
一気に片方のひざにかかる。

日本整形外科学会認定のスポーツ医で、整形外科を開業する
服部和幸医師(44)は、「一度痛んだひざは、再び痛みやすい。
再発防止のため、大腿四頭筋という筋肉を鍛え、
ひざを安定させることが大切」と、
可能ならば、スクワットなど筋力トレーニングを勧める。

健康志向雑誌「ターザン」(マガジンハウス)の元編集長で、
編集制作会社経営の及川政治さん(55)も、
筋トレで両ひざ痛を克服。

20代後半から始まった痛みが、30代半ばで悪化。
整骨院で勧められた脚の筋トレに励んだところ、
40代になって痛みがなくなった。
「いまでもジムで脚を鍛えている。ひざを守るには一番いい」

ひざを痛めず、好きなスポーツを続けるにはどうしたらいいか?
東京医科歯科大大学院運動器外科学の宗田大教授(56)は、
少しでも痛みを感じたら、自分には素質がないと思い、
運動をセーブすること。
特に、若いころ運動選手だった人は、体が思い通りに動いた
昔の記憶に引きずられる傾向がある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/19/117704/

成長細胞が"若返り" 精子形成で新機構解明

(2010年3月19日 共同通信社)

精巣内で精子に成長する幹細胞は、成長を始めた後も
再び幹細胞に戻って、自己複製する能力があることを、
自然科学研究機構基礎生物学研究所の吉田松生教授ら
マウス実験で解明、19日付米科学誌サイエンスに掲載。

精子幹細胞の成長は、一度始まると"若返り"できないとの
通説を覆す内容。

吉田教授は、「どういう条件で後戻りするか分かれば、
男性の不妊治療などにつながる可能性がある」

精子に成長する幹細胞は、精巣内にごくわずかしか存在しないが、
多数の精子が長期間、安定的につくり出されるのは、
今回のメカニズムが関与。

吉田教授らは、緑色蛍光タンパク質(GFP)を使い、
精巣内の細胞を生きたまま顕微鏡で観察する技術を開発。
幹細胞が成長を始め、鎖状につながって細胞分裂していく際、
一部の鎖がちぎれて成長段階を後戻りし、
再び自己複製しながら成長を続けることを確かめた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/19/117713/

2010年3月23日火曜日

日本語を学ぶ(5)講師や費用 地域が援助

(読売 3月10日)

不十分な日本語で生活する外国人の学習を、
地域が一体となって支える。

愛知県豊田市の保見団地集会所に、ブラジル人と日本人ら
十数人が集まった。
初心者向けの会話クラスと、中級者向けの読み書きクラスがある
地域日本語教室。

読み書きクラスのこの日のテーマは、「出身地」。
地図や観光資料を持ち寄って、「海がたくさんあります」、
「サンパウロは空気があまり良くない」など和気あいあいと話した後、
受講者はその内容を紙に書き出した。

ブラジル人松田エリザベッチさん(54)は、会話は滑らかだったが、
書いてみると、濁点が抜けるミスを指摘。
「日系人の夫と日本に来て19年ですが、漢字やカタカナは難しい」

この教室を支えるのは、市、名古屋大学、自治会、企業などが
協働して進める「とよた日本語学習支援システム」。
トヨタ自動車が市に寄付した1億円を基に、2008年度、
学校を終え社会に出た同市在住・在勤の外国人らに、
生活上必要な日本語の習得を促すため、始まった。

同市は、外国人集住都市会議会員都市の一つで、
自動車産業などで働く外国人約1万5000人が住む。
大半が、1990年代に来日した日系人と家族で、
長年住んでも、日本語が不得手な場合が多い。

システムのコーディネーター土井佳彦さん(30)は、
「あまり会話せず働ける工場に、会社の送迎バスで通勤し、
買い物をする店ではポルトガル語が通じる、
日本語を話さなくても生活できる環境ができあがってしまった」

システムでは、まず、地域や企業内で日本語学習教室を
開設しようと考える人に対し、講師やボランティア派遣、
一部費用負担などを行う。
専門講師やボランティアの育成も支援。
日本語で何ができるかを7段階で判定する
「とよた日本語能力判定」も開発中。
既に一部が完成し、指導の参考にしたり、
学習費用免除の判定などに使ったりしている。

ウェブ上に、コンピューター教材「とよた日本語eラーニング」を公開。
「電話で休むと学校に伝える」、
「子どもがけがをしたと学校から連絡が来る」など学校、市役所、
病院の3場面で必要な会話を、ポルトガル語訳の字幕付き動画で紹介。
ひらがなやカタカナのほか、履歴書の書き方も自習できる。

こうした学習を通して、地域住民と外国人の接点が増え、
相互理解が徐々に進んでいる。
09年度、日本語教室を開いた企業から、
「簡単な日本語の会話も増え、人間関係もよくなってきた」
などの声も寄せられた。

ボランティアで教室を手伝う市内の無職増田和信さん(61)は、
「教えるだけでなく、楽しく交流でき、相手の国の文化・習慣を
教えてもらえるので面白い」

外国人が、日本語を学べばすむわけではない。
日本人も、相手から学んでいくことが求められている。

◆外国人集住都市会議

南米日系人を中心とする外国人住民が多数居住する都市が、
情報交換や課題解決のために2001年設立。
群馬県太田市、浜松市、岐阜県美濃加茂市、
三重県鈴鹿市など28市町が参加。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100310-OYT8T00181.htm

宇宙ヨットが拓く次世代探査技術

(日経 2010-03-05)

今年、太陽の光を帆に受けて進む「宇宙ヨット」の実験機が、
日米で相次いで打ち上げられる。

燃料を使わずに宇宙を航行する「宇宙ヨット」は、
それ自体が魅力的だが、次世代の宇宙探査機を見据えた
様々な新技術の実験が盛り込まれている。

「今回のプロジェクトで、一気に世界を2歩も3歩もリードできる」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)で、小型ソーラー電力セイル実証機
「IKAROS(イカロス)」のプロジェクトリーダーを務める森治助教。

イカロスは、金星探査機「あかつき」とともにH2Aロケットで、
種子島宇宙センターから5月18日に打ち上げ。
厚さ7.5umのポリイミド膜でできた差し渡し20mの正方形の帆を広げ、
太陽光の力で金星を目指す。
太陽光で探査機がきちんと航行できることを確かめる目的ももちろん、
「帆にはりつけた太陽電池のほうが狙い」。

火星よりずっと遠い木星などの探査機を念頭に置いている。
米国やロシアが、これまで木星より遠くへ行く探査機の電源として、
原子力電池を利用。
原子力電池は、出力を大きくできない。

燃料は少なくて済むが、多くの電力を使うイオンエンジンや
地球まで届く強力な通信機など、将来の探査機に搭載するため、
原子力電池に代わる大出力の電源が求められる。

太陽電池はその有力候補。
宇宙探査機には、これまでも太陽電池がよく利用されているが、
使う場所は地球軌道に近い場所に限られる。
太陽から木星までの距離は、地球までの約5倍。
太陽から届く光は、同じ面積なら25分の1に減り、
太陽電池で必要な電力を確保するには広い面積が必要。

従来の太陽電池パネルを使うと、重量が増えて打ち上げることも
困難になるが、大きな宇宙ヨットの帆に薄膜型の太陽電池を
はりつければ、必要な面積を確保できる。

イカロスは、太陽光で航行するだけでなく、帆にはりつけた
薄膜太陽電池が作る電力でイオンエンジンを動かす。
今回、既存の薄膜太陽電池をはりつけたが、
本格的な探査機に利用するときは帆に直接、薄膜太陽電池を
印刷し、一層軽量化することも可能。

帆の材料でも、新技術が盛り込まれている。
薄くて丈夫なポリイミド膜を使うのは同じだが、メーカーのカネカと
熱を加えるだけで接着できる膜を開発。

ポリイミド膜は、1枚で帆になるような大きなものではなく、
数多くの膜を接着剤ではりつけて大きな帆を作っていた。
この方法だと帆を作るとき、しわくちゃになりやすい。

接着剤に含まれるガスが宇宙でしみ出して装置に付着、
観測などの妨げになる懸念。
熱で接着すれば、こうした懸念がなく、長い間に接着部分が劣化して
帆がばらばらになる心配も減る。

イカロスでは、量産が間に合わず部分的な使用だが、
より大きな帆を作るため、量産技術の開発も進行中。
大きな帆を広げる技術も独自に開発。

支柱などを使わず、帆の頂点につけたおもりの遠心力で広げる方法。
4本の束にたたんで本体に巻き付けた帆をゆっくりと引き出し、
最後に束を開いて帆を広げる。
米国惑星協会が、今年末に打ち上げを予定している宇宙ヨット
「ライトセイル1」は支柱で広げるが、帆が大きくなると
支柱の重量が増えるため、大型の宇宙ヨットには向かない。

「帆を広げるのが一番難しい。
これが成功すれば、イカロスは成功」と森プロジェクトリーダー。

いくつもの新技術が盛り込まれたイカロスだが、
「計画当初は、もっと多くの試みを取り込もうと考えていた」
木星近くの低温でも着火しやすいエンジンや、
エンジンと共通の燃料を使う燃料電池もその1つ。
こうした新技術も、次のステップではとりこんでいきたい。

宇宙ヨットの概念は100年前からあり、米国が試みるなどしたが、
まだ成功していない。
イカロスが成功すれば、世界初の宇宙ヨットになる。

英国のSF作家、アーサー・C・クラークは、短編「太陽からの風」で、
地球の衛星軌道から月へ向かう宇宙のヨットレースを描いた。
将来、こうした宇宙ヨットレースが実現すれば、
イカロスはその先駆者として記憶されることに。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec100304.html

貧困の子どもたち 家計と健康の関連調査 1万世帯対象、4年間継続で

(2010年3月9日 毎日新聞社)

親の経済状況と子どもの健康の関連を調べる
初の大規模調査が、5月にも始まる。

関東地区の1万世帯を任意に抽出し、研究者らが
既往歴や食習慣などを4年間にわたって継続調査。
親から子どもへの貧困の連鎖が社会問題化する中、
経済格差の固定化を防ぐための政策提言に生かす。

高校生までの子どもを持つ関東在住の家庭1万世帯を
無作為に選び、調査員が家庭訪問。
所得などを確認した上で、親と子どもの既往歴、医療機関受診の頻度、
運動習慣、親の飲酒や喫煙--など、数十項目に答えてもらう。

4年間、同じ対象を継続調査し、「所得格差・貧困の経済分析」、
「社会疫学による健康格差のメカニズム分析」などのテーマで、
6班が多角的に分析。
承諾を得た家庭には、脳波の調査も予定、
家庭の経済状態が健康格差を生じさせるメカニズムを解明。

医学や経済学、社会学などの研究者ら約20人が数年前から、
貧困問題を学術的に分析する取り組みを進め、
昨夏、文部科学省の科学研究費補助金
(09-13年度で約15億円)を受ける。

米英やカナダなどでは、経済格差が子どもらの健康に影響を
及ぼしていることを示す結果。

研究の代表者、川上憲人・東大大学院教授(公衆衛生学)は、
「大規模な継続調査と疫学の手法で、貧困と健康格差の
因果関係を明らかにしたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/9/117121/

「血行促進」の効能を表記 種目別のノウハウに横ぐし 〈ヒットのヒント〉ゴールドウインの新井元マネージャー=コンプレッションアンダー事業グループ

(2010年3月10日 共同通信社)

身体にぴったりフィットする機能性アンダーウエアは、
多くのメーカーが販売、スポーツウエアとしてすっかり定着。

ゴールドウインが、昨年発売した「C3fit(シースリーフィット)」は、
タイツタイプの2品目が「血行を促進する」として、
このジャンルで初めて厚生労働省の一般医療機器の認定を取得。
今年3月までの販売目標を、昨年末に達成する好調な売れ行き。

「これまでテニス、登山、ランニングなど、さまざまな種目ごとに
技術や商品企画などのノウハウを培ってきた。
この資産に横ぐしを刺そうというのが、開発の原点だった」

どんなスポーツでも使えるものとなると、アンダーウエア。
後発メーカーだけに、「スポーツに使うだけでなく、
日常の立ち仕事で疲れにくく、海外旅行で飛行機に
長時間乗ったとき、脚がむくみにくいなど、
新しい機能を付け加えようと考えた

血液の循環を高めるため、「足首に最も強く圧力をかけ、
心臓に向かって徐々に締め付ける力を弱めていく、
微妙なバランスが難しかった」

生地の工夫や立体的な縫製など、1年半にわたって試作を続けた。
肌触りにもこだわり、女性の肌着に使われる糸を素材に織り込んだ。
「狙い通り、他社製品に比べ女性のユーザーが多い」と手応え。
東京都出身。42歳。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/10/117159/

2010年3月22日月曜日

メタボ健診、見直し提言 肥満でない人も循環器病に注意

(2010年3月16日 毎日新聞社)

メタボリックシンドローム対策として実施されている、
特定健診・保健指導(メタボ健診)で使う腹囲基準を検証している
厚生労働省研究班は、腹囲が基準未満でも、血圧や血糖値などが
高ければ、心筋梗塞など循環器疾患になる恐れが高いとの研究成果。

肥満ではない人への対策の必要性を、
最終報告書に盛り込む方針で、肥満対策中心の健診制度の
見直しにつながりそう。

◇死亡率低い「小太り」

メタボ健診は、循環器疾患になりやすい目安として、
内臓脂肪の蓄積による腹部肥満に注目。

腹囲や肥満を示す体格指数(BMI)が基準を下回れば、
原則として保健指導の対象にならない。

全国の40~74歳の計約3万1000人を対象とした
12種類の追跡調査から、循環器疾患の発症と腹囲の関係を
調べたところ、腹囲やBMIが基準未満でも、
血圧や血液検査値が高ければ、腹囲やBMIが基準以上の人と
ほぼ同じ程度に循環器疾患を発症するとの結果。

08年度から始まった健診の現場では、
「やせていても、生活習慣病の恐れのある人が見落とされる」
と、戸惑いの声。
研究班は、この結果を踏まえ、最終報告書に
「肥満ではない人への対策も必要」との提言。

同様のデータは他にもある。
大櫛陽一・東海大教授(医療統計学)が、
伊勢原市の40歳以上の住民計約2万2000人を
平均7年間追跡、BMIがメタボ健診の基準を少し超える
「小太り」(BMI25~27未満)の人の死亡率が最も低く、
「やせ」(BMI18・5未満)が最も高かった。

大櫛教授は、「日本人には、健康に影響を与える肥満は少なく、
世界的にもスリム。
統計を見ても、肥満の人の方が長寿であることが分かった」

◇腹囲測定、揺らぐ根拠

厚労省研究班の分析によると、腹囲測定自体の根拠も揺らいでいる。
男女ともに、腹囲のどの数値を基準にしても、
基準以上の腹囲の人が実際に循環器疾患になる危険性は
6割に満たなかった。

基準の数値にかかわらず、腹囲で危険性のある人を見分けられる
確率は、「ほぼ五分五分」。

女性は、発症の危険性と腹囲の関連が低く、
「女性は、腹囲を測定しないという議論も将来はありうる」

坂本亘・大阪大准教授(統計科学)は、
「公表されたデータを見ると、腹囲だけで発症の危険性が高い人を
見分けることは不可能。
腹囲を健診の必須項目とする根拠は薄い

大島明・大阪府立成人病センターがん相談支援センター所長は、
「現在のメタボにのみ焦点を当てた健診を早急に見直し、
禁煙支援など他の要素も含めた国民の健康維持につながる
健診事業に切り替えるべきだ」

研究班は、「40~50代の働き盛り世代の男性は、
過去の世代に比べてメタボが多く、85cmを基準とする
腹囲測定に意味がありそうだ」と、現行制度の大幅変更には慎重。

メタボ健診が、肥満への意識を高めた意義は大きい」とも評価、
現制度に非肥満者対策を加える形を想定。
厚労省は、「日本内科学会などによるメタボ診断基準の
検討結果などを踏まえ、制度の見直しを考えたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/16/117498/

日本語を学ぶ(4)高校の壁 突破へ手探り

(読売 3月9日)

日本で暮らし続けられるよう、高校進学・卒業に向けた支援が続く。

神奈川県立希望ヶ丘高校定時制1年生の家庭科。
住んでみたい部屋の間取りを、生徒たちが描き始めた。
日本人と一緒に、ベトナム人4人が学んでいる。
様子を見守るのは、「多文化教育コーディネーター」の長嶺倫子さん。

多文化教育コーディネーターは、県立高校で学ぶ外国人の生徒らに、
学校の実態に応じた支援を探る同県独自の制度。
2008年度から本格的に始まり、
今年度は全日制8校、定時制3校、通信制1校で導入。

県教育委員会と協働する民間団体
「多文化共生教育ネットワークかながわ」が派遣。
教員らと協力して、支援計画を提案。

長嶺さんは、もう1人のコーディネーターと共に、
週1回2時間ずつ、同校に通う。
昨年度は、個別指導や教師との話し合いを中心に、
母語での支援を充実させた日本語指導策を学校側に提案。

生徒の実情を知らなければと、授業中の教室にも入り込んだ。
「入学時、日本語の海の中で頑張るのが精いっぱいだった生徒が、
今年に入って『自分の力でやってみたい』、
『来年入学する後輩の面倒を見たい』と主体的、自立的な姿勢に
変わったのが印象的」と長嶺さん。

吉田美穂さん(44)は、「様々な悩みに応じた支援の実現で、
日本での将来に希望を持ってもらいたいが、県の助成は10年度まで。
継続できるかが課題」

外国人の生徒らにとって、入学試験で日本語の壁を突破すること
自体が難しい。

大阪府教委では、外国人生徒らが府立高校を受ける際、
試験問題へのルビふり、時間延長、作文での日本語以外使用可、
辞書の持ち込み可などの配慮を実施。

神奈川県も、県立高校入試で100人近くの外国人枠を設け、
類似の配慮を行う、国内では先進県。

問題は見えにくいところにある。
同県の入試の外国人枠は、「来日(通算)3年以内」との
条件付きだが、これだと救済できない生徒が少なからずいる。

ベトナム人や中国人、カンボジア人らを対象に、
日本語教室や生活相談などを行う民間団体
「多文化まちづくり工房」の早川秀樹さん(35)によると、
在日期間が長くても、しっかりした日本語を習得できず、
試験を通る力がついていない子どもは多い。

義務教育期間後に来日したため、日本の中学に入学できず、
受験機会自体が得られない子どもも。

「日本語が不十分なため、『どうせおれは駄目だ』と
進学をあきらめる子どもを見てきた」と早川さん。

法政大学の山田泉教授(59)(日本語教育、多文化教育)は、
「調理師や自動車整備士などの資格試験も、
高校卒業の学力を持っていることが前提の内容レベル。
今の状態では、外国につながる子どもたちの高校卒業は
大変難しく、社会参加の選択肢が狭くなっている」

◆義務教育期間

学校教育法により、満15歳になった年度末までの9年間と規定、
小中学校がこれにあたる。
この期間を過ぎた子どもは、中学に通えないことがある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100309-OYT8T00185.htm

iPS細胞から「腸」 臓器は初、奈良県立医大 治療法開発に期待

(2010年3月10日 共同通信社)

あらゆる組織や臓器の細胞になることができる、
iPS細胞から「腸」をつくることにマウスで成功したと、
奈良県立医大の中島祥介教授(消化器・総合外科学)ら。

日本再生医療学会で発表。
iPS細胞から臓器ができたのは世界初。

iPS細胞は、患者自身の細胞から作製して治療に利用できれば、
拒絶反応が回避でき、中島教授は、
「治療が難しい炎症性の腸疾患や、先天的な運動異常症などの
病態の解明、治療法の開発に役立つ」

中島教授らは、マウスのiPS細胞を液体中に浮かんだ状態で
6日間培養するなど、管状の腸のような組織をつくった。

この組織は、腸の中の食べ物を移動させるのに必要な
「蠕動運動」と呼ばれる収縮をし、粘膜や筋肉、神経細胞などが
腸と同じ層構造を持っており、「機能も形態も本物と同じ」

iPS細胞は、京都大の山中伸弥教授が開発。
病気になった臓器などを再生、修復する医療に有用と
世界的に期待。

※iPS細胞

神経や内臓、筋肉など、さまざまな組織に成長できる万能細胞。
皮膚など分化が進んだ体細胞に、特定の遺伝子操作をすると、
さまざまな組織に成長する能力を持たせることができる。
再生医療の切り札として期待されるが、
がん化するなどの懸念もあり、安全性の向上が課題。
2006年、京都大の山中伸弥教授がマウスで作製に成功。

◆国立成育医療センター研究所の阿久津英憲生殖技術研究室長

マウスの胚性幹細胞(ES細胞)から蠕動運動をする腸は
できているが、腸に備わっている粘膜や神経なども、
iPS細胞からできたとすれば、腸の病気の研究の進展に貢献。
どこまで本来の生体に近い機能を持っているのか、
どれくらいの確率で分化するのか確認し、
医療での応用や創薬での利用を考えれば、
人の細胞でもできるかどうかを確かめる必要。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/10/117152/

2010年3月21日日曜日

日本語を学ぶ(3)不就学打開へ 支援教室

(読売 3月6日)

学校に行っていない外国人の子どもを
支援する取り組みが始まっている。

「いらっしゃいませ」、「ハンバーガーはいくらですか?」、
「ひゃくえんです」――。

文部科学省が、全国で実施している外国人の子どもの
就学支援事業「虹の架け橋教室」。
委託先の一つで、群馬県玉村町にあるNPO法人
多言語教育研究所で、不就学や不登校になっている
ブラジル人やペルー人の子どもらを対象に、
日本語による学習指導が行われていた。

ハンバーガーショップの店員役とお客役に分かれ、
注文のやりとりを日本語で練習する子どもたち。
一組終わると、教師が商品の値段を変えていく。
「全部でいくらですか?」と、お客役の子ども。
店員役の子どもが急いで計算し、「さんひゃくさんじゅうえんです」。
ここで、スペイン語も話せる支援者が、
「さんびゃくさんじゅうえん、ね」と指摘。
時間割は社会だが、日本語と算数の勉強でもある。
教室では、科学、体育、料理など教科や掃除、片づけなども学ぶ。

日本に住む外国人の子どもは、日本人の子どもたちと同じ
地元の公私立学校か、授業が母国語で行われる外国人学校に通う。
外国人学校は、学費が月数万円はかかり、家計の悪化で
学費が払えなくなったり、学校自体が倒産したりで、
不就学になるケースが少なくない。

文科省が2005~06年度、滋賀県や神戸市など1県11市で行った
調査によると、外国人の子どもが不就学となる理由のトップは、
「学校に行くためのお金がないから」(15・6%)、
次いで「日本語がわからないから」(12・6%)。

景気が急速に悪化した08年以降、経済的な理由で
外国人学校に通えなくなった子どもたちが増加。
転校先の地元公立校にも、言葉や習慣の違いなどからなじめず、
不登校になるケースが目立っている。

多言語教育研究所に通うブラジル人のA君(13)は、
日本生まれで、小学校1年からブラジル人学校に通い、
5年生の途中で日本の小学校に転校、授業について行けず、
中学校1年で不登校に。
日常会話にさほど支障はないが、漢字は小2レベル。
「ここは楽しいよ。勉強も、給食も。たぶん、また学校に行ける」

1月に授業が始まったころ、まだみんな表情が硬かった。
同研究所コーディネーターの本堂晴生さん(64)は、
「学校に行かずに家にいると、両親も多くは共働きのため、
日中は誰ともしゃべらず、言葉の力が伸びない。
ここに来て友達や教師と、とりあえず母語でしゃべることで、
興味ややる気がよみがえってきている」

最近閉鎖したブラジル人学校に通っていた18人が、新たに加わった。
虹の架け橋教室の重要性は、さらに高まっている。

◆虹の架け橋教室

文部科学省委託の「定住外国人の子どもの就学支援事業」として、
昨年10月以降順次、各地で始まった。
現在、12県34か所で開催。
子ども1人あたり半年間、日本語や学習の支援を行い、
公立学校や外国人学校に通ってもらうことを目指す。
2012年3月末まで。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100306-OYT8T00172.htm

またひとつアジアに技術が流出した

(日経 2010-03-02)

液晶、プラズマと異なる日本発の新型薄型ディスプレー技術が、
製造ノウハウも含め、台湾に流出する。

開発したベンチャーが資金調達できず、事業化を断念。
同社は、国内メーカーなどに出資を要請、
どこも支援に名乗りを上げなかったため。

昨年、台湾政府などに相談、動画表示に優れた性能に注目した
台湾メーカーが、技術資産の買収を即決。
新市場に挑戦することに臆病になっている国内の大手メーカーは、
もう頼りにならないと、ものづくりベンチャーの視線は
アジアに向かうしかないのか−−。

このベンチャーは、エフ・イー・テクノロジーズ(FET)。
電子を蛍光体に当てて発光させる電界放出型ディスプレー(FED)
開発してきたソニーの技術者が、投資ファンドと組んで、2006年設立。

ソニーが、次世代薄型ディスプレーの事業化を、
有機ELに絞ったため、行き場所をなくした開発チームが
本社に直訴して起業した経緯。

FEDは、画素を作る最小単位ごとに電子を当てて映像を表現、
動きの速い動画像を鮮明に映し出し、高コントラスト比など
高画質を低電圧で実現。

液晶やプラズマが家庭用テレビなどの量産市場を開拓、
FEDはコストダウンや大画面化で液晶に劣るため、
高品質な画質を求めている放送局や画像クリエーター、
医療機器用モニターといった業務用ディスプレーとしての需要が期待。

FEDはキヤノン、東芝など大手も開発に取り組んでいたが、
根本技術である「表面伝導型」という電子放出源の特許を持つ
米企業とのライセンス供与が難航、事業化を挫折。

FETは、画素ムラを抑制するナノメートルサイズの
円すい状の突起物から電子が飛び出す独自技術を開発、
大手の苦戦を尻目にスピーディーな事業立ち上げ。

FETは、起業2年目の08年、プラズマパネルを生産していた
パイオニアの鹿児島工場の買収を表明、業界を驚かし、
09年、月1万枚(26型換算)規模で生産を開始、
年商250億円を目指すとの事業プランを発表、
「モノ作りベンチャー期待の星」として一躍脚光を浴びた。

このシナリオが狂ったのは、プラン表明直後に起きた米金融危機。
不況の波が日本に及び、100億円超とみられる
工場買収資金の出資をあてにしていた企業から相次ぎ見放され、
量産計画を断念。

09年、会社清算の手続きに入った。
経営陣は、「技術だけは何とか日本に残して、
日本発の新型薄型ディスプレーに日の目を見させたい」、
国内の電機メーカーなど新たなスポンサーを探していた。
だが、国内メーカーから色よい返事をもらえず、
FETは交渉先をアジアに広げた。

一番早く手をあげたのが、台湾の液晶大手メーカー、友達光電(AUO)。
AUOは、台湾内で既存の液晶パネル工場を活用、
年内にもFEDパネルの生産を始める見通し。

買収決断の背景には、技術や市場成長力への高い評価はもちろん、
FETの技術者と共同で事業展開することで、
初期から開発するコストが抑制され、
「(開発のための)時間を買う」ことができる「安い買い物」。

FETが試作品を公開してから、日本の放送局や映像機器メーカーなどが
相次ぎパネル採用を表明、これらの受注も獲得できるという、
したたかなそろばん勘定もうかがえる。

FET設立のため、ファンドを組成した先端技術投資会社、
テックゲートインベストメントの土居勝利代表は、
「金融危機後、国内から資金を集めるのが困難に。
ものづくりベンチャーへの投資は、製造設備など少なくみても
100億円が必要、事業化までに時間がかかる。
ネット系に比べ、投資対象としては敬遠されがち」

この間隙をついて、豊富な資金力を持つアジア勢が、
日本のベンチャーの技術資産買収に意欲、
背景には中国、韓国、台湾の新興ハイテクメーカーの
成長の原動力といわれる「ターンキー戦略」がある。

ターンキーとは、装置のカギを回して動かせば、
すぐに製品が出てくるという意味、
アジアの新興メーカーは株式公開で得た資金力を武器に、
製造ノウハウなど完成した技術を外部から導入、
高い投資効率で短期間に市場参入をなし遂げ、
日本企業の脅威。

技術開発を自社に頼る自前主義が強く、
経営の意思決定スピードが遅い日本企業にはまねできない芸当。
大手企業にはない独創技術を武器に、製造装置や材料開発に
取り組んできたものづくりべンチャーは従来、国内メーカーに
技術を売り込み、採用される成長シナリオを描いて頑張ってきた。
大手が、業績不振や再編で新規事業への挑戦に消極的、
こうした出口戦略が通用しにくい。

有望技術を持つベンチャーが生き残るため、
ターンキー経営を標榜するアジアメーカーにアプローチをする
流れは、もう止めようがない。

台湾政府が半導体、液晶に次ぐ新産業として、
LED(発光ダイオード)素子メーカー育成に乗り出して以来、
LED先進国の日本から製造技術を買いあさり、
台湾にLEDベンチャー設立ブームが起きた。

液晶テレビのバックライトや照明用に、白色素子で日本を追い抜き、
世界シェアトップの座をうかがう勢い。
ベンチャーの優れた技術の流出が、グローバル市場における
国内メーカーの競争力衰退の要因となった一例、
政府も経済団体も危機感は薄く、ものづくりベンチャー支援の
具体的な成長戦略を明確に描き出していない。

技術流出を防ぐナショナルプロジェクトの始動など、
対策を早急にとらなければ、半導体、液晶、太陽電池、
LEDと続く敗北の連鎖は止まらない。

日本のハイテク産業は、いま“ゆでカエル”現象になっている。
ゆっくり熱くなるお湯につかったカエルは、
油断しているうちにゆだってしまうとのたとえ。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon100301.html

ロボットは実用前夜 医療ツーリズム出遅れ 「ニッポンの行方―成長戦略」

(2010年3月11日 共同通信社)

鳩山政権の成長戦略で、けん引役として期待される
「医療・介護・健康関連産業」
日本のお家芸、"ものづくり"での強みをいかして、
各種ロボットの実用化は進んでいるが、
メディカルツーリズム(医療観光)は、周辺国に比べ出遅れ。

動かなくなった脚を動かし、もう一度歩きたい-。
病気などで歩行が難しくなった人の願いをかなえる
装着型ロボットが、千葉市幕張で、
2300人の特別養護老人ホーム施設長らに披露。

紹介されたのは、大和ハウス工業(大阪市)がリース販売する
装着型ロボット「HAL」。
脚を動かそうとすると、皮膚につけたセンサーが脳から出る
生体電位信号を読み取り、モーターで動かしてくれる。
ちょうど「脚を持ち上げてくれるような感じ」に。
両脚で月額22万円からで、すでに病院など17施設が導入。

「自分の意思で脚を動かすことで、神経系全体に刺激を与え、
リハビリ効果を大きくする可能性がある」
(山海嘉之・筑波大大学院教授)ため、医療面での期待も高い。

日本ロボット工業会は、介護、福祉ロボットの市場規模を、
2030年に1兆4534億円と試算。
高齢化する世界市場も視野に入る。

大手企業では、パナソニックが昨年、ベッドから車いすに形を変える
介護支援ロボットを発表、薬剤師や看護師支援ロボット開発を進め、
トヨタ自動車も、10年代の早い時期に介護ロボットの販売開始を目指す。

「検査結果は問題ありませんが、少し体重が少ないですね」。
北里研究所病院。
人間ドックで、通訳を介して医師から説明を受けていたのは、
ロシア人のアンナ・バルスコワさん(27)。

バルスコワさんは、ロシアの旅行会社社員。
日本の経済産業省が始めた医療観光の実証事業に乗って、
視察で来日。
ドックの費用約8万円は全額自己負担だが、
「ロシアでは、人間ドックは診療科ごとで、数日かかる。
1日で全部済むのは快適」

事業に加わるJTB子会社の中野隆マーケット戦略部長は、
「検査で異常が見つかったときはどうするか、といった問題点を
整理したうえで、ツアー商品の販売に乗り出したい」

この分野では、日本は後発国。
先行するタイは、既に年間約120万人の患者を海外から受け入れ、
観光収入全体の10%を得ている。
シンガポールや韓国も、積極的に取り組んでおり、競争は激しい。

真野俊樹・多摩大教授(医療経営学)は、
「世界に比べ、日本の医療水準は高いと思われているが、
もう一概にはそういえない。
他国にない強みや明確な戦略を打ち出せなければ、成功は難しい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/11/117218/